JP2014072751A - 画像処理装置およびコンピュータプログラム - Google Patents

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Abstract


【課題】 処理対象の画像データに応じて、適切な色変換処理を実行する。
【解決手段】 画像処理装置は、対象画像データを用いて、複数の画素の色相値を取得する取得部と、複数の色相値を用いて、対象画像の指標値を規定する規定部であって、指標値は、対象画像データに対して色変換処理を実行した場合に、色相が変化する度合いを表す値である、規定部と、指標値が、色相が変化する度合いが比較的低いことを示す場合には、対象画像データに対する色変換処理の方法を、第1の方法に決定し、指標値が、色相が変化する度合いが比較的高いことを示す場合には、対象画像データに対する色変換処理の方法を、第2の方法に決定する決定部と、を備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、画像データに対して色変換処理を実行するための画像処理技術に関する。
画像データによって表す画像の画質等を調整するために、画像データに対して様々な色変換処理が実行されている。例えば、明度補正、下地除去処理、コントラスト強調などの色変換処理が知られている。また、ディスプレイへの表示や、プリンタでの印刷のために、ICCプロファイルに従って、画像データの色空間を変換する処理が、知られている(例えば、特許文献1)。この技術は、処理対象の画像データ(例えば、スキャンデータ)がモノクロ画像であるかカラー画像であるかを判断し、判断結果に応じて適切なICCプロファイルを準備している。
特開2012−19483号公報
しかしながら、上記技術では、画像データの個々の特徴について十分に考慮しているとは言えず、処理対象の画像データによっては、適切な色変換処理が実行されない可能性があった。例えば、画像データが示す画像によっては、色相が変化しやすい画像や変化しにくい画像が存在する。このために、色相が変化しにくい画像に対して過度に複雑な色変換処理が実行されて、処理負荷や処理に要する時間が過大になる場合や、色相が変化しやすい画像に対して過度に単純な色変換処理が実行されて、画像の色相が大きく変化することで所望する処理結果が得られない場合があった。
本発明の主な利点は、処理対象の画像データに応じて、適切な色変換処理を実行することができる画像処理技術を提供することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]複数の画素を含む対象画像データを用いて、前記複数の画素の色相を示す複数の色相値を取得する取得部と、
前記複数の色相値を用いて、前記対象画像の指標値を規定する規定部であって、前記指標値は、前記対象画像データに対して色変換処理を実行した場合に、色相が変化する度合いを表す値である、前記規定部と、
前記指標値が、色相が変化する度合いが比較的低いことを示す場合には、前記対象画像データに対する前記色変換処理の方法を、第1の方法に決定し、前記指標値が、色相が変化する度合いが比較的高いことを示す場合には、前記対象画像データに対する色変換処理の方法を、第2の方法に決定する、決定部と、
を備える、画像処理装置。
上記構成によれば、色相が変化する度合いを表す指標値を用いて、色相が変化する度合いが比較的低い場合には、色変換処理の方法を第1の方法に決定し、色相が変化する度合いが比較的高い場合には、色変換処理の方法を第2の方法に決定する。この結果、対象画像データに応じた適切な方法で、色変換処理を実行することができる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、上記装置の機能を実現する方法、上記装置の機能を実現するコンピュータプログラム、当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
本発明の一実施例としての複合機200の構成を示すブロック図。 第1実施例の画像処理のフローチャート。 指標値算出用のヒストグラムHGの一例を示す図。 ヒストグラムHGのクラスを定義するクラス定義テーブルの一例。 明度値Vの範囲について説明する図。 色相値Hの範囲について説明する図。 指標値TVの算出式を示す図。 指標値TVを算出するための重みを規定したテーブルの一例を示す図。 補正レベルに応じたトーンカーブを説明する図。 特定の色相値Hを有する色の一例をRGBの各成分値で表した図。 濃度補正によって色相が変化する度合いについて説明する第1の図。 濃度補正によって色相が変化する度合いについて説明する第2の図。 濃度補正によって色相が変化する度合いについて説明する第3の図。 第2実施例の画像処理のフローチャート。 除去レベルRLに応じたトーンカーブを説明する図。 第2実施例の第2重みW2を規定したテーブルの一例。 第3実施例の画像処理のフローチャート。
A.実施例:
A−1:複合機200の構成
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としての複合機200の構成を示すブロック図である。
複合機200は、CPU210と、ハードディスクドライブやEEPROMなどの不揮発性記憶装置220と、RAMなどの揮発性記憶装置230と、所定の方式(例えば、インクジェット方式、レーザー方式)で画像を印刷するプリンタ部240と、光学的に対象物(例えば、紙の文書)を読み取ることによってスキャンデータを取得するスキャナ部250と、タッチパネルやボタンなどの操作部260と、タッチパネルと重畳された液晶パネルなどの表示部270と、パーソナルコンピュータ300やUSBメモリ(図示省略)などの外部装置とデータ通信を行うためのインターフェースを含む通信部280と、を備えている。
不揮発性記憶装置220は、プログラム222と、パラメータデータ224と、を格納している。プログラム222は、例えば、CD−ROMやDVD−ROMなどに格納された形態で提供される。あるいは、プログラム222は、ネットワークを介して複合機200に接続されたサーバからダウンロードされる形態で提供される。さらに別の形態として、プログラム200は、複合機200の出荷時に、予め記憶されている形態で提供される。パラメータデータ224は、後述する画像処理で用いられる各種のパラメータが記録されたデータである。揮発性記憶装置230には、CPU210が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域231が設けられている。
CPU210は、プログラム222を実行することにより、複合機200の全体を制御する装置制御部50と、後述する画像処理を実行する画像処理部100と、の機能を実現
する。画像処理部100は、取得部110と、規定部120と、決定部130と、色変換部140と、プロファイル処理部150と、を備えている。取得部110は、対象画像データを用いて、各画素の色相値Hを取得する。規定部120は、各画素の色相値Hを用いて、指標値TVを規定する。指標値TVは、濃度補正などの色変換処理を実行した場合に、色相が変化する度合いを表す値である。規定部120は、画素毎に、色相が変化する度合いを規定する画素規定部125を備えている。決定部130は、濃度補正などの色変換処理の方法を、指標値TVに応じて決定する。色変換部140は、決定部130によって決定された方法で、対象画像データに対して色変換処理を実行する。プロファイル処理部150は、決定部130によって決定された方法で色変換処理を行うためのプロファイル(例えば、ICCプロファイル)を対象画像データに添付する。以下、これらの各機能部が実行する画像処理について説明する。
A−2:画像処理
図2は、第1実施例の画像処理のフローチャートである。この画像処理は、例えば、ユーザがスキャナ部250に原稿を載置して読取指示を行ったときや、ユーザが既に生成されて不揮発性記憶装置220に格納済みのスキャンデータを指定して濃度補正指示を行ったときに、実行される。
ステップS10では、画像処理部100(図1)は、処理対象の対象画像データとして、スキャンデータを取得する。画像処理部100は、例えば、スキャナ部250を用いて原稿を読み取ることによって、あるいは、不揮発性記憶装置220から読み出すことによって、対象画像データを取得する。対象画像データは、各画素の色をRGB値で表すビットマップデータである。なお、本実施例では、RGBの3個の色成分値は、それぞれ、0〜255の範囲の値をとる。すなわち、RGBの3個の色成分値は、それぞれ256階調である。
次いで、ステップS20では、画像処理部100は、明度補正の補正レベルを取得する。補正レベルは、例えば、図2に示す入力画面UIを介して、ユーザによって入力される。この入力画面UIは、表示部270に表示され、ユーザは、スライダSDの位置を、操作部260を介して操作することによって、補正レベルCLを入力することができる。補正レベルは、後述するトーンカーブの形状を決定するγ値で表される。γ値は、明度を変更しない場合をγ=1に設定され、明度を高くする(明るくする)場合には、γ>1に設定される。そして、明度を高くする程度が大きいほど、γ値は、大きな値に設定される。逆に、γ値は、明度を低くする(暗くする)場合には、0<γ<1の範囲に設定される。そして、明度を低くする程度が大きいほど、γ値は、小さな値に設定される。図2に示す入力画面UIにおいて、スライダSDが移動可能な範囲に対応する横軸の中心は、明度を変更しないことを表す「γ=1」に対応する。そして、ユーザは、入力画面UIにおいて、スライダSDの位置を中心から右側に移動するほど、明度を高くすることを入力することができ、スライダSDの位置を中心から左側に移動するほど、明度を低くすることを入力することができる。
次いで、ステップS30では、画像処理部100の取得部110(図1)は、対象画像データを構成する各画素データ(例えば、RGB色空間における表色値)を、HSV色空間における表色値に変換する。RGB色空間における表色値(すなわち、R、G、B)をHSV色空間における表色値(すなわち、H、S、V)に変換する変換式は、図2内に示すとおりである。図2のMAXは、R、G、Bの3個の成分値のうちの最大値を表し、MINは、R、G、Bの3個の成分値のうちの最小値を表す。なお、変換後の対象画像データは、バッファ領域231に格納される。変更前の対象画像データは、後述する濃度補正で用いられるので、消去されることなく、バッファ領域231に残される。
図2に示すように、色相値Hは、MAXがRである場合には、H=60×{(G−B)/(MAX−MIN)}である。また、色相値Hは、MAXがGである場合には、H=60×{(B−R)/(MAX−MIN)}+120である。また、色相値Hは、MAXがBである場合には、H=60×{(R−G)/(MAX−MIN)}+240である。ただし、上記の式で、色相値Hが負の値になった場合(H<0)には、図2の式による算出値に360を加算した値を、色相値Hとする。
なお、彩度値Sは、S=(MAX−MIN)/MAXである。また、明度値Vは、V=MAX/255である。
色相値Hは、0≦H<360の範囲の値であり、彩度値Sおよび明度値Vは、0≦S、V≦1の範囲の値である。
色空間の変換に続いて、ステップS40では、規定部120の画素規定部125は、指標値算出用のヒストグラムを作成して、バッファ領域231に格納する。
図3は、指標値算出用のヒストグラムHGの一例を示す図である。
図3に示すように、ヒストグラムHGは、対象画像データを構成する複数の画素を、6つのクラスに分類して、クラス毎に、属する画素数をカウントしたヒストグラムである。6つのクラスは、パラメータデータ224(図1)に記録されているクラス定義テーブルによって定義されている。
図4は、ヒストグラムHGのクラスを定義するクラス定義テーブルの一例である。
図4のテーブルから解るように、ヒストグラムHGの6つのクラスは、明度値Vの範囲(すなわち、明度範囲)と、色相値Hの範囲(すなわち、色相範囲)と、によって定義されている。
図5は、明度値Vの範囲について説明する図である。
図5には、HSV色空間が概念的に図示されている。図5に示すように、HSV色空間は、円錐形状を有している。円錐の頂点P1と円錐の底面の中心点P2とを結ぶ直線は、HSV色空間の無彩色軸GAである。円錐の頂点P1は、明度値Vが最小値「0」である点であり、円錐の底面の中心点P2は、明度値Vが最大値「1」である点である。図5に示すように、HSV色空間では、彩度値Sは、無彩色軸GAからの距離で表され、明度値Vは、無彩色軸GA上の位置で表される。
クラス定義テーブル(図4)には、図5に示す3つの明度範囲、すなわち、0≦V<0.3である第1明度範囲VR1と、0.3≦V<0.7である第2明度範囲VR2と、0.7≦V≦1である第3明度範囲VR3と、が定義されている。
図6は、色相値Hの範囲について説明する図である。図6には、HSV色空間を無彩色軸方向から見た形状が図示されている。色相値Hは、HSV色空間を無彩色軸方向から見た形状である円(図6)の円周方向の位置で表される。例えば、図6に示すように、色相値H=0は、赤(R)を表し、色相値H=120は、緑(G)を表し、色相値H=240は、青(B)を表す。また、色相値H=60は、黄(Y)を表し、色相値H=180は、シアン(C)を表し、色相値H=300は、マゼンタ(M)を表す。
また、クラス定義テーブル(図4)には、図6に示す2つの色相範囲、すなわち、図6において、ハッチングされた範囲である第1色相範囲HR1と、ハッチングされていない第2色相範囲HR2と、が定義されている。
第1色相範囲HR1は、(15≦H<45)、(75≦H<105)、(135≦H<165)、(195≦H<225)、(255≦H<285)、(315≦H<345)の6つの範囲を含む。第2色相範囲HR2は、(345≦H<360,0≦H<15)、(45≦H<75)、(105≦H<135)、(165≦H<195)、(225≦H<255)、(285≦H<315)の6つの範囲を含む。
以上の説明から解るように、第1色相範囲HR1と第2色相範囲HR2とは、0から360までの色相値Hの連続的な変化に対して、第1色相範囲HR1と、第2色相範囲HR2とが、周期的に繰り返されるように、配置されている。
図4に示すように、ヒストグラムHGの6つのクラスは、以下のとおりである。
クラス1:明度値Vが第1明度範囲VR1内、かつ、色相値Hが第1色相範囲HR1内
クラス2:明度値Vが第2明度範囲VR2内、かつ、色相値Hが第1色相範囲HR1内
クラス3:明度値Vが第3明度範囲VR3内、かつ、色相値Hが第1色相範囲HR1内
クラス4:明度値Vが第1明度範囲VR1内、かつ、色相値Hが第2色相範囲HR2内
クラス5:明度値Vが第2明度範囲VR2内、かつ、色相値Hが第2色相範囲HR2内
クラス6:明度値Vが第3明度範囲VR3内、かつ、色相値Hが第2色相範囲HR2内
上述したステップS40(図2)では、画素規定部125は、対象画像データに含まれる分類対象の複数の画素を、各画素の色相値Hおよび明度値Vに応じて、上記6つのクラスのいずれかに分類することによって、図3のヒストグラムHGを作成する。分類対象の複数の画素は、対象画像データに含まれる全ての画素のうち、色相値Hが算出できない画素(RGB値が、R=G=Bである画素)を除いた複数の画素である。なお、各クラスには、後述するように画素毎の「色相が変化する度合い」を示す重みW1が対応付けられているので、画素規定部125が、各画素を、上記6つのクラスのいずれかに分類することは、各画素の「色相が変化する度合い(重みW1)」を規定していることに等しい。
ヒストグラムHGが作成されると、次のステップS50では、規定部120は、ヒストグラムHGを用いて、対象画像データによって表される対象画像の指標値TVを算出して、バッファ領域231に格納する。この指標値TVは、明度補正の方法を決定するための指標値であり、対象画像データに対して明度補正を実行した場合に、対象画像の色相が変化する度合いを表す指標値である。
図7は、指標値TVの算出式を示している。すなわち、規定部120は、ヒストグラムHG内の総画素数PNtotalに対する、クラスCNに属する画素数PN(CN)の割合(PN(CN)/PNtotal)に、クラス毎に規定された第1重みW1(CN)を乗じたクラス指標値CTV(CN)をクラス毎に算出する。CNは、クラス番号であり、1から6までの整数である。なお、上記説明から解るように、クラス指標値CTV(CN)は、以下の式で表される。
CTV(CN)={(PN(CN)/PNtotal)×W1(CN)}
図7に示すように、規定部120は、クラス毎に算出された6個のクラス指標値CTV(CN)を全て加算した合計値に、第2重みW2を乗じた値を、対象画像の指標値TVとして算出する。
図8は、指標値TVを算出するための重みを規定したテーブルの一例を示す図である。これらのテーブルに示す内容は、パラメータデータ224(図1)に記録されている。図8(A)には、第1重みW1を規定したテーブルが示されている。第1重みW1は、クラスCNに属する画素に対して濃度補正を実行した場合に、当該画素の色相が変化する度合いを示す値である。図8(A)に示すように、第1重みW1は、クラス毎に規定されている。第1重みW1が大きいほど、色相が変化する度合いが大きく、第1重みW1が小さいほど、色相が変化する度合いが低いことを示している。
第1色相範囲HR1に対応するクラス1〜3の第1重みW1を比較すると、大きな明度値Vの範囲に対応するクラスほど、大きな第1重みW1が割り当てられている。同様に、第2色相範囲HR2に対応するクラス4〜6の第1重みW1を比較すると、大きな明度値Vの範囲に対応するクラスほど、大きな第1重みW1が割り当てられている。すなわち、画素規定部125は、大きな明度値Vを有する画素ほど、色相が変化する度合いを高く規定し、小さな明度値Vを有する画素ほど、色相が変化する度合いを低く規定する。これは、小さな明度値Vを有する画素(すなわち、暗い画素)は、色相の変化が目立ちにくく、大きな明度値Vを有する画素(すなわち、明るい画素)は、色相の変化が目立ちやすいことに起因している。
また、同じ明度範囲に対応する2つのクラスの第1重みW1を比較すると、第1色相範囲HR1に対応するクラスの第1重みW1は、第2色相範囲HR2に対応するクラスの第1重みW1と比較して、大きい。例えば、第1明度範囲VR1に対応するクラス1とクラス4とを比較すると、クラス1の第1重みW1(1)は、クラス4の第1重みW1(4)より大きい。同様に、クラス2の第1重みW1(2)は、クラス5の第1重みW1(5)より大きく、クラス3の第1重みW1(3)は、クラス6の第1重みW1(6)より大きい。すなわち、第1色相範囲HR1内の色相値を有する画素は、第2色相範囲HR2内の色相値を有する画素と比較して、色相が変化する度合いが高いと規定されることになる。この理由については、後述する。
図8(B)には、第2重みW2を規定したテーブルが示されている。
第2重みW2は、ステップS20で取得された補正レベル(例えば、γ値)で、対象画像データに対して濃度補正を実行した場合に、対象画像の色相が変化する度合いと正の相関を有する値である。第1重みW1と同様に、第2重みW2が大きいほど、色相が変化する度合いが高いことを示し、第2重みW2が小さいほど、色相が変化する度合いが低いことを示している。
図9は、補正レベル(γ値)に応じたトーンカーブを説明する図である。図9のグラフは、明度補正に用いるトーンカーブの一例を示している。図9のグラフにおいて、横軸は入力値Pinを表し、縦軸は出力値Poutを表している。トーンカーブは、入力値Pinと出力値Poutとを対応付ける線である。これらのトーンカーブL2〜L5は、入力値Pinを正規化した値(Pin/255)の(1/γ)乗に、係数として最大階調値255を乗じた値を、出力値Poutとする式(図9参照)で表される。図9において、直線L1は、入力値Pinと出力値Poutとが等しいことを表す直線であり、γ=1に対応する。濃度補正に用いられるトーンカーブが直線L1から離れているほど、補正前の画素値と補正後の画素値との間の変化量が大きい(補正レベルが高い)。トーンカーブL4、L5は、γ>1であるトーンカーブであり、明度を大きくする補正に用いられる。トーンカーブL4を用いる場合の補正レベルは、トーンカーブL5を用いる場合の補正レベルより高い。また、トーンカーブL2、L3は、γ<1であるトーンカーブであり、明度を小さくする補正に用いられる。トーンカーブL2を用いる場合の補正レベルは、トーンカーブL3を用いる場合の補正レベルより高い。
以上の説明から解るように、補正レベルは、(γ−1)の絶対値が大きいほど高いと言える。図8(B)に示すように、第2重みW2は、(γ−1)の絶対値が大きいほど、すなわち、補正レベルが高いほど、大きくなるように設定されている。
なお、図9から解るように、本実施例の濃度補正に用いられるトーンカーブL2〜L5の形状は、上に突(例えば、L4、L5)あるいは下に突(例えば、L2、L3)であることが解る。また、トーンカーブL2〜L5は、直線L1とは交差していない。すなわち、トーンカーブL2〜L5は、直線L1との交点を有していない。
以上説明した第1重みW1と、第2重みW2と、ヒストグラムHGの各クラスに属する画素数PN(CN)と、ヒストグラムHGの総画素数PNtotalと、を用いて、対象画像の指標値TVが算出される。図7の算出式から解るように、指標値TVは、6つのクラスに分類される画素の数の割合に応じて決定される値と言うことができる。また、第1色相範囲HR1内の色相値Hを有する画素と、第2色相範囲HR2内の色相値Hを有する画素とは、それぞれ異なる第1重みW1が乗じられるので、指標値TVは、第1色相範囲HR1内の色相値Hを有する画素の数と、第2色相範囲HR2内の色相値Hを有する画素の数と、の割合に応じて決定される値と言うこともできる。同様に、指標値TVは、3つの明度範囲VR1〜VR3に分類される画素の数の割合に応じて決定される値と言うこともできる。
指標値TVが算出されると、次のステップS60では、決定部130は、指標値TVが所定の閾値TH以下であるか否かを判断する。指標値TVが所定の閾値TH以下である場合には(ステップS60:YES)、すなわち、指標値TVが、色相が変化する度合いが比較的低いことを示す場合には、決定部130は、濃度補正を第1の方法によって実行すると決定し、ステップS70に処理を移行する。閾値THは、実験的に適切な値に予め決定されているが、本実施例では、TH=0.2である。
ステップS70では、色変換部140は、対象画像データに対して第1の方法による濃度補正を実行して、濃度補正後の対象画像データをバッファ領域231に格納する。具体的には、色変換部140は、第1の方法として、図9に示すトーンカーブを、対象画像データに含まれる3つの成分データ(R成分データ、G成分データ、B成分データ)に対して、それぞれ適用することによって、3つの成分データをそれぞれ補正する。第1の方法は、簡便な方法であり、第1の方法の処理負荷は、第2の方法の処理負荷と比較して、処理負荷の低い方法である。すなわち、第1の方法は、第2の方法と比較して、計算量が少ない方法である。第1の方法を用いた場合に濃度補正後の対象画像の色相が変化する可能性は、第2の方法を用いた場合と比べて、高い。
一方、指標値TVが所定の閾値THより大きい場合には(ステップS60:NO)、すなわち、指標値TVが、色相が変化する度合いが比較的高いことを示す場合には、決定部130は、濃度補正を第2の方法によって実行すると決定し、ステップS80〜S100に処理を移行する。
ステップS80〜S100では、色変換部140は、対象画像データに対して第2の方法による濃度補正を実行して、濃度補正後の対象画像データをバッファ領域231に格納する。具体的には、ステップS80では、色変換部140は、対象画像データの色空間を、RGB色空間からYCrCb色空間に変換する。すなわち、色変換部140は、対象画像データを構成する各画素データ(すなわち、RGB色空間における表色値)を、YCrCb色空間における表色値に変換する。次のステップS90では、色変換部140は、色空間が変換された後の対象画像データの複数の画素の輝度値Yに対して、図9に示すトーンカーブを適用することによって、対象画像データの輝度値Yを補正する。次のステップS100では、色変換部140は、輝度値Yが補正された対象画像データの色空間をYCrCb色空間からRGB色空間に変換する。第2の方法の処理負荷は、第1の方法の処理負荷と比較して、処理負荷が高い方法である。すなわち、第2の方法は、第1の方法と比較して、計算量が多い方法である。第2の方法が用いられる場合は、第1の方法が用いられる場合と比較して、処理時間が長くなるが、YCrCb色空間におけるCrCbで表される色相を補正せず、Yで表される輝度のみを補正するため、補正後の対象画像の色相が変化する可能性は低くなる。
対象画像に対する明度補正が終了すると、画像処理部100は、画像処理を終了する。濃度補正後の対象画像データは、例えば、パーソナルコンピュータ300に提供される、あるいは、不揮発性記憶装置220に格納される。
A−3:補正によって色相が変化する度合いについて
ここで、指標値TVを算出する際に、すなわち、第1色相範囲HR1内の色相値を有する画素は、第2色相範囲HR2内の色相値を有する画素と比較して、色相が変化する度合いが高いと規定される(図3,図8(A))理由について説明する。
図10は、特定の色相値H(H=0、15、30、・・・、180)を有する色の一例を、RGBの各成分値で表した図である。色相値H=0の色(赤)は、典型例を図10(A)に示すように、R成分値(例えば、255)が、G成分値およびB成分値より大きく、G成分値とB成分値とは互いに等しい(例えば、0)。すなわち、色相値H=0の色は、最大の成分値と、2番目(すなわち、中間)の成分値との第1差分ΔC1が最大(この場合には255)であり、2番目の成分値と最小の成分値との第2差分ΔC2が最小(この場合には0)となる色である。このように、第1差分ΔC1が最大となり、第2差分ΔC2が最小となる色相には、他に、H=120(緑)、240(青)がある。
ここで、色相値Hが0から60に向かって変化するに連れて、G成分値が段階的に大きくなっていき、相対的に、第1差分ΔC1が小さくなり、第2差分ΔC2が大きくなっていく。例えば、色相値H=15の色では、典型例を図10(B)に示すように、第1差分ΔC1と第2差分と比率は、3対1である。さらに、色相値H=30の色では、典型例を図10(C)に示すように、第1差分ΔC1と第2差分とが等しくなる。また、色相値H=45の色では、典型例を図10(D)に示すように、第1差分ΔC1より第2差分ΔC2が大きくなり、第1差分ΔC1と第2差分と比率は、1対3となる。そして、色相値H=60の色(黄)は、R成分値とG成分値とが互いに等しく、B成分値は、R成分およびG成分と比較して小さくなる(例えば、0)。したがって、色相値H=60の色(黄)では、第1差分ΔC1が最小となり、第2差分ΔC2が最大(この場合には255)となる(図10(E))。このように、第1差分ΔC1が最小(この場合には0)となり、第2差分ΔC2が最大となる色相は、他に、H=180(シアン)、300(マゼンタ)がある。
さらに、色相値Hが60から120に向かって変化するに連れて、次はR成分値が段階的に小さくなり、相対的に、第1差分ΔC1が大きくなり、第2差分ΔC2が小さくなる。例えば、色相値H=90の色では、典型例を図10(F)に示すように、第1差分ΔC1と第2差分とが等しくなる。そして、色相値H=120の色では、典型例を図10(G)に示すように、色相値H=0の色と同様に、第1差分ΔC1が最大(この場合には255)となり、第2差分ΔC2が最小(この場合には0)となる。
さらに、色相値Hが120から180に向かって変化するに連れて、次はB成分値が段階的に大きくなり、相対的に、第1差分ΔC1が小さくなり、第2差分ΔC2が大きくなる。例えば、色相値H=150の色では、典型例を図10(H)に示すように、第1差分ΔC1と第2差分とが等しくなる。そして、色相値H=180の色では、典型例を図10(I)に示すように、色相値H=60の色と同様に、第1差分ΔC1が最小(この場合には0)となり、第2差分ΔC2が最大(この場合には255)となる。
以上の説明から解るように、色相値Hが0から360に向かって変化すると、第1差分ΔC1が最大となり、第2差分ΔC2が最小となる色相値H(H=0、120、240)と、第1差分ΔC1が最小となり、第2差分ΔC2が最大となる色相値H(H=60、180、300)と、が色相値Hが「60」だけ変化する度に、交互に繰り返される。第1差分ΔC1が最大となり、第2差分ΔC2が最小となる色相値Hを、第1差分最大色相値と呼び、第1差分ΔC1が最小となり、第2差分ΔC2が最大となる色相値Hを、第2差分最大色相値と呼ぶ。
そして、第1差分最大色相値と第2差分最大色相値との中間の色相値H(H=30、90、150、210、270、330)では、第1差分ΔC1と第2差分ΔC2とが等しくなる。第1差分ΔC1と第2差分ΔC2とが等しくなる色相値Hを、差分均等色相値と呼ぶ。
すなわち、色相値Hが0から360に向かって変化すると、第1差分最大色相値、差分均等色相値、第2差分最大色相値、差分均等色相値、の順番で、これらの3種類の色相値が、周期的に、繰り返される。
図11〜図13は、濃度補正によって色相が変化する度合いについて説明する図である。図11(A)は、差分均等色相値の近傍の色相を表すRGB値の例を示している。図11(B)は、図11(A)に示すRGB値の各色成分値(R成分値、G成分値、B値)に対して、トーンカーブを適用して濃度補正を行った後のRGB値を示している。この例では、図9のトーンカーブL2のように、明度を低下させる濃度補正が行われている。差分均等色相値の近傍の色相を表すRGB値では、図11(A)、図11(B)に示すように、最大の成分値と最小の成分値(この例では、R成分値とB成分値)の補正前後での変化量と比較して、中間の成分値(この例では、G成分値)の補正前後での変化量が大きい。明度補正のトーンカーブは、入力値Pinの取り得る範囲の中央付近の変化量が大きく、両端(すなわち、上限値と下限値)付近の変化量が小さいからである。この結果、第1差分ΔC1と第2差分ΔC2との比率が、補正前後で大きく変化している。色相値Hは、図1の算出式から解るように、最大の成分値MAXと最小の成分値MINとの差分(すなわち、第1差分ΔC1+第2差分ΔC2)と、第2差分ΔC2と、の比率で決まるので、第1差分ΔC1と第2差分ΔC2との比率が変化するほど、色相値Hが変化する。したがって、差分均等色相値の近傍の色相を有する画素は、濃度補正によって色相が変化する度合いが高いことが解る。例えば、図11の例では、濃度補正によって赤みが増す方向に色相が変化する。
図12(A)は、第1差分最大色相値の近傍の色相を表すRGB値の例を示している。図12(B)は、図12(A)に示すRGB値の各色成分値に対して、トーンカーブを適用して濃度補正を行った後のRGB値を示している。この例では、図9のトーンカーブL2のように、明度を低下させる濃度補正が行われている。第1差分最大色相値の近傍の色相を表すRGB値では、図12(A)、図12(B)に示すように、3個の成分値は、補正の前後で、あまり変化しない。なぜなら、図12(A)に示すように、3個の成分値が上限値または下限値付近の値であり、上記したように、明度補正のトーンカーブは、両端(すなわち、上限値と下限値)付近の変化量が小さいからである。この結果、第1差分ΔC1と第2差分ΔC2との比率が、補正前後であまり変化しない。したがって、第1差分最大色相値の近傍の色相を有する画素は、濃度補正によって色相が変化する度合いが、差分均等色相値の近傍の色相を有する画素より低いことが解る。
図13(A)は、第2差分最大色相値の近傍の色相を表すRGB値の例を示している。図13(B)は、図13(A)に示すRGB値の各色成分値に対して、トーンカーブを適用して濃度補正を行った後のRGB値を示している。この例では、図9のトーンカーブL2のように、明度を低下させる濃度補正が行われている。第2差分最大色相値の近傍の色相を表すRGB値では、図13(A)、13(B)に示すように、3個の成分値は、補正の前後で、あまり変化しない。なぜなら、図13(A)に示すように、3個の成分値が上限値または下限値付近の値であり、上記したように、明度補正のトーンカーブは、両端(すなわち、上限値と下限値)付近の変化量が小さいからである。この結果、第1差分ΔC1と第2差分ΔC2との比率が、補正前後であまり変化しない。したがって、第1差分最大色相値の近傍の色相を有する画素と同様に、第2差分最大色相値の近傍の色相を有する画素は、濃度補正によって色相が変化する度合いが、差分均等色相値の近傍の色相を有する画素より低いことが解る。
本実施例では、図6から解るように、第1色相範囲HR1は、6個の差分均等色相値(H=30、90、150、210、270、330)の近傍の色相範囲、具体的には、各差分均等色相値を中心とした前後15ずつの色相範囲に設定されている。そして、図8(A)から解るように、第1色相範囲HR1には、第2色相範囲HR2よりも大きな第1重みW1が割り当てられているので、第1色相範囲HR1内の色相値を有する画素は、色相が変化する度合いが比較的高いと規定される。この結果、濃度補正が実行された場合に、対象画像を構成する画素の色相が変化する度合いを、色相値Hに応じて適切に規定することができる。この結果、適切な濃度補正の方法を決定することができる。
ここで、3個の色成分値(本実施例では、R成分値とG成分値とB成分値)の最大値を第1値とし、最小値を第2値とし、中間値を第3値とすると、差分均等色相値の近傍の色は、第3値が、第1値と第2値との平均値に比較的近い色であると、言える。したがって、第3値が、第1値と第2値との平均値に比較的近い場合に、これらの第1値〜第3値で構成された画素値(すなわち、表色値)を有する画素は、色相が変化する度合いが比較的高いと規定される、と言える。
さらに、本実施例では、図6から解るように、第2色相範囲HR2は、3個の第1差分最大色相値(H=0、120、240)と3個の第2差分最大色相値(H=60、180、300)の近傍の色相範囲、具体的には、第1差分最大色相値および第2差分最大色相値を中心とした前後15ずつの色相範囲に設定されている。そして、図8(A)から解るように、第2色相範囲HR2には、第1色相範囲HR1よりも小さな第1重みW1が割り当てられているので、第2色相範囲HR2内の色相値を有する画素は、色相が変化する度合いが比較的低いと規定される。この結果、濃度補正が実行された場合に、対象画像を構成する画素の色相が変化する度合いを、色相値Hに応じて適切に規定することができる。この結果、適切な濃度補正の方法を決定することができる。
ここで、3個の色成分値(本実施例では、R成分値とG成分値とB成分値)の最大値を第1値とし、最小値を第2値とし、中間値を第3値とすると、第1差分最大色相値および第2差分最大色相値の近傍の色は、第3値が、第1値と第2値との平均値よりも第1値および第2値のうちの一方に近い色であると、言うことが出来る。したがって、第3値が、第1値および第2値のうちの一方に比較的近い場合に、これらの第1値〜第3値で構成された画素値(表色値)を有する画素は、色相が変化する度合いが比較的低いと規定される、と言うことが出来る。
以上説明した第1実施例によれば、色相が変化する度合いを表す指標値TVを用いて、色相が変化する度合いが基準より低い場合には、濃度補正の方法を第1の方法に決定し、色相が変化する度合いが基準より高い場合には、濃度補正の方法を第2の方法に決定する(図2)。この結果、対象画像データに応じた適切な方法で、濃度補正を実行することができる。より具体的には、色相が変化しにくい対象画像に対して、本実施例の第2の方法のような複雑な濃度補正が実行されて、処理負荷や処理時間が過大になることを抑制することができる。あるいは、色相が変化しやすい対象画像に対して、本実施例の第1の方法のような単純な濃度補正が実行されて、対象画像の色相が大きく変化することを抑制することができる。したがって、ユーザは、所望の濃度補正がなされた対象画像データを、対象画像データの特性に応じて効率的に取得することができる。
さらに、図6、図8(A)に示すように、画素規定部125は、画素毎の色相値Hの連続的な変化に対して、色相が変化する度合いが比較的低いと規定する画素と、色相が変化する度合いが比較的高いと規定する画素と、が周期的に繰り返されるように、画素毎の色相が変化する度合いを規定する。この結果、図10〜図13で説明したような、色相の変化する度合いが、色相値の連続的な変化に対して周期的に変化するという、色相値Hの特性を利用して、適切な指標値TVを算出することができる。この結果、色相値Hに応じて、対象画像の色相が変化する度合いを適切に規定できるので、適切な濃度補正の方法を決定することができる。
また、図6に示すように、色相値Hが取り得る範囲内に、第1色相範囲HR1と、第2色相範囲HR2と、が設定され、図7の算出式から解るように、規定部120は、第1色相範囲HR1内の色相値Hを有する画素の数と、第2色相範囲HR2内の色相値Hを有する画素の数との割合に応じて、指標値TVを規定する。色相が変化する度合いが高い画素が占める割合が高い対象画像ほど、色相が変化する度合いが高いと考えられる。したがって、対象画像の色相が変化する度合いの規定(すなわち、指標値TVの算出)には、色相が変化する度合いが比較的高い画素と、比較的低い画素との割合が考慮されることが好ましい。本実施例によれば、色相値Hが取り得る範囲内に設定された第1色相範囲HR1と、第2色相範囲HR2とを利用して、色相が変化する度合いが比較的高い画素と、比較的低い画素との割合に応じた指標値TVを算出するので、色変換処理の適切な方法を決定することができる。
また、図4、図5、図8(A)に示すように、規定部120は、色相値Hに加えて、各画素の明度値Vを用いて、指標値TVを規定する。具体的には、明度値Vの取り得る範囲内に、第1明度範囲VR1と、第2明度範囲VR2と、第3明度範囲VR3と、が設定され(図4、図5)、明度値Vがいずれの範囲に属するかに応じて、各画素の色相が変化する度合いを規定している、すなわち、第1重みW1を決定している(図8(A))。規定部120は、対象画像の色相が変化する度合いを、明度値Vを考慮して、規定することが好ましい場合がある。例えば、明度値Vが小さい画像(例えば、暗い画像)は、色相の変化が目立ちにくいと考えられるので、このような画像の色相が変化する度合いは低く規定されることが好ましい。本実施例では、明度値Vを用いることによって、指標値TVを適切に算出することができる。したがって、濃度補正の適切な方法を、決定することができる。
さらに、規定部120は、濃度補正の補正レベルを示すγ値、すなわち、濃度補正によって対象画像内の複数の画素の画素値を変更するレベルを示す値を用いて、指標値TVを規定する。具体的には、規定部120は、γ値に応じて規定された第2重みW2(図8(B))を指標値TVの算出に用いている(図7)。補正レベルによって、対象画像の色相が変化する度合いは変化する。例えば、対象画像の補正レベルが低いほど、濃度補正による対象画像の画素値の変更量が小さくなるので、対象画像の色相が変化する度合いが低くなると考えられる。したがって、対象画像の色相が変化する度合いの規定(指標値TVの算出)には、補正レベルを考慮することが好ましい。本実施例では、濃度補正の補正レベルに応じて、濃度補正の適切な方法を、決定することができる。
B.第2実施例:
図14は、第2実施例の画像処理のフローチャートである。図14において、第1実施例の画像処理(図2)と同一のステップには、図2と同一の符号を付し、第1実施例の画像処理と異なるステップには、符号の末尾に「A」を付した。
第2実施例の画像処理では、第1実施例の濃度補正に代えて、下地除去処理を実行する。下地除去処理は、例えば、文字文書のように、背景画像の色が重要ではない画像を印刷する際に、当該背景画像の色を白色に変換するため実行される。この結果、下地除去処理後の画像データを用いて画像を印刷すれば、印刷に要する印刷材(トナーやインク)の量を低減することができる。具体的には、第2実施例の画像処理では、第1実施例の画像処理(図2)におけるステップS20、S50〜S100に代えて、図14に示すステップS20A、S50A〜S90Aが実行される。
第1実施例と同様に対象画像データとしてスキャンデータが取得される(ステップS10)と、図14のステップS20Aでは、画像処理部100は、下地除去処理の除去レベルRLを取得する。除去レベルRLは、例えば、第1実施例における補正レベルの入力と同様に、所定の入力画面UIを介して、ユーザによって入力される。これに代えて、画像処理部100は、対象画像データが表す画像の下地領域の色を特定して、特定された下地領域の色を除去できるように、除去レベルRLを決定しても良い。
図15は、除去レベルRLに応じたトーンカーブを説明する図である。図15のグラフは、下地除去処理に用いるトーンカーブの一例を示している。図15のグラフにおいて、横軸は入力値Pinを表し、縦軸は出力値Poutを表している。図15に示すトーンカーブは、2本の直線で構成された折れ線型のトーンカーブである。
本実施例では、除去レベルRLは、除去範囲の下限値Puの逆数で表される。除去範囲は、下地除去処理によって白色に変更される色の範囲である。逆数を取る理由は、除去範囲の下限値Puが小さいほど、除去範囲が大きくなることによって、除去レベルが高くなるからである。例えば、図15に示す3つのトーンカーブL6、L7、L8における除去範囲の下限値Puは、それぞれPu1、Pu2、Pu3である(Pu1<Pu2<Pu3)。図15に示すように、トーンカーブL6を用いる場合の除去レベルRLは、トーンカーブL7を用いる場合の除去レベルRLより高く、トーンカーブL7を用いる場合の除去レベルRLは、トーンカーブL8を用いる場合の除去レベルRLより高い。
Pu=Pu1に設定されたトーンカーブL6(図15)は、Pu1≦Pin≦255(すなわち、最大階調値)の範囲(以下、「除去範囲」とも呼ぶ)内の入力値Pinを255(すなわち、最大階調値)に変換する。また、トーンカーブL6は、0≦Pin<Pu1の範囲内の入力値Pinに、0≦Pout<255の範囲内の出力値Poutを、入力値Pinの変化に対して、出力値Poutが直線的に変化するように、対応付けている。この結果、トーンカーブL6が、RGBの3個の色成分値にそれぞれ適用されると、Pu1≦R≦255、かつ、Pu1≦G≦255、かつ、Pu1≦B≦255を満たす範囲内のRGB値を有する画素の色が白色(255、255、255)に変換される。このように、下地除去処理は、基準より白色に近い色を有する画素の色を白色に変換することによって、対象画像の下地領域の色を除去することができる。ただし、トーンカーブL6を、対象画像内の全ての画素に対して適用すると、対象画像内の下地領域とは異なる領域(例えば、写真や描画などのオブジェクトを表すオブジェクト領域)の色相が変化する可能性がある。下地除去処理の除去レベルRLが高いほど、すなわち、除去範囲が大きいほど、下地除去処理によって、濃度が高い下地領域を除去することができるが、下地除去処理によって、オブジェクト領域の色相が変化する可能性が高くなる。
なお、図15から解るように、本実施例の下地除去処理に用いられるトーンカーブL6〜L8の形状は、上に突であることが解る。また、これらのトーンカーブL6〜L8は、入力値Pinと出力値Poutとが等しいことを表す直線L1とは交差していない。すなわち、トーンカーブL6〜L8は、直線L1との交点を有していない。
除去レベルRLが取得された後、第1実施例と同様に、対象画像データの画素値の変換(すなわち、RGB色空間からHSV色空間への変換:ステップS30)と、ヒストグラムHGの作成(ステップS40)が実行される。
ヒストグラムHGが作成されると、次のステップS50Aでは、規定部120は、ヒストグラムHGを用いて、対象画像データによって表される対象画像の指標値SVを算出する。この指標値SVは、下地除去処理の方法を決定するための指標値であり、対象画像データに対して下地除去処理を実行した場合に、対象画像の色相が変化する度合いを表す指標値である。指標値SVは、基本的に、第1実施例の指標値TVを算出するための算出式(図7)と同じ式を用いて算出される。第1実施例と異なる点は、第2重みW2の具体的な値である。
図16は、第2実施例の第2重みW2を規定したテーブルの一例である。第2実施例では、規定部120は、第1実施例における図8(B)のテーブルに代えて、図16に示すテーブルを参照して、第2重みW2を取得する。図16に示すテーブルは、パラメータデータ224に記録されている。
第2実施例の第2重みW2は、下地除去処理を実行した場合に、対象画像の色相が変化する度合いと正の相関を有する値である。すなわち、第1実施例の第2重みW2と同様に、第2重みW2が大きいほど、色相が変化する度合いが高いことを示し、第2重みW2が小さいほど、色相が変化する度合いが低いことを示している。図16に示すように、第2重みW2は、除去範囲の下限値Puが小さいほど、第2重みW2が大きくなり、除去範囲の下限値Puが大きいほど、第2重みW2が小さくなるように、規定されている。
上述したステップS50Aでは、規定部120は、図16に示す第2重みW2と、第1実施例と同様の第1重みW1と、ヒストグラムHGの各クラスに属する画素数PN(CN)と、ヒストグラムHGの総画素数PNtotalと、を用いて、対象画像の指標値SVを算出する。
指標値SVが算出されると、次のステップS60Aでは、決定部130は、指標値SVが所定の閾値TH2以下であるか否かを判断する。指標値TVが所定の閾値TH以下である場合には(ステップS60A:YES)、すなわち、指標値SVが、色相が変化する度合いが基準以下であることを示す場合には、決定部130は、下地除去処理を第1の方法で実行すると決定し、ステップS70Aに処理を移行する。一方、指標値SVが所定の閾値TH2より大きい場合には(ステップS60A:NO)、すなわち、指標値SVが、色相が変化する度合いが基準より高いことを示す場合には、決定部130は、下地除去処理を第2の方法で実行すると決定し、ステップS80A、S90Aに処理を移行する。
第1実施例と同様に、第1の方法は、第2の方法より簡便な方法である。したがって、第1の方法の処理負荷は第2の方法の処理負荷より低い。処理後の対象画像において、第1の方法を用いる場合にオブジェクト領域の色相が変化する可能性は、第2の方法を用いる場合より高い。
具体的には、ステップS70Aでは、色変換部140は、第1の方法による下地除去処理を実行する。具体的には、色変換部140は、第1の方法として、例えば、図15に示すトーンカーブL6を、対象画像データに含まれる3つの成分データ(R成分データ、G成分データ、B成分データ)に対して、それぞれ適用することによって、3つの成分データをそれぞれ補正する。
ステップS80A、S90Aでは、色変換部140は、第2の方法による下地除去処理を実行する。具体的には、ステップS80では、色変換部140は、対象画像データを解析して、対象画像内の下地領域をオブジェクト領域から分離する。分離の方法は、周知の種々の方法が持ち得られ得る。色変換部140は、例えば、対象画像の画素ごとのエッジ強度を算出し、エッジ強度が基準より低い領域であって、かつ、領域の色が基準より白色に近い領域を下地領域として分離する。
ステップS90Aでは、色変換部140は、下地領域として分離された領域の色を白色に変換することによって、下地除去を行う。対象画像データに対する下地除去処理が終了すると、画像処理部100は、画像処理を終了する。
以上説明した第2実施例によれば、対象画像データに応じた適切な方法で、下地除去処理を実行することができる。
C.第3実施例:
図17は、第3実施例の画像処理のフローチャートである。第3実施例の画像処理が第1実施例の画像処理(図2)と異なる点は、図2のステップS70に代えて、図17のステップS70Bが実行される点と、図2のステップS80〜S100に代えて、図17のステップS80Bが実行される点だけである。第3実施例の画像処理の他のステップは、第1実施例の画像処理(図2)の同符号のステップと同じであるので、説明を省略する。
第3実施例の複合機200の不揮発性記憶装置220には、第1実施例における第1の方法による濃度補正(ステップS70)を実行するためのトーンカーブ(図9)を規定した第1のプロファイル情報と、第1実施例における第2の方法による濃度補正(ステップS80〜S100)を実行するための3次元ルックアップテーブルを規定した第2のプロファイル情報が、それぞれ補正レベルごとに予め格納されている。これらのプロファイル情報は、例えば、インターナショナル・カラー・コンソーシアム(International Color Consortium(ICC))が公表した標準規格に従って作成されたプロファイル情報(いわゆるICCプロファイル)である。3次元ルックアップテーブルは、入力値としてのRGB値と、濃度補正後のRGB値と、を対応付けたテーブルであり、周知のテーブルであるので、詳細の説明を省略する。図9のトーンカーブを規定するために必要なデータサイズは、3次元ルックアップテーブルを規定するために必要なデータサイズと比較して、大幅に小さい。したがって、第1のプロファイル情報のデータサイズは、第2のプロファイル情報のデータサイズと比較して、大幅に小さい。
ステップS70Bでは、プロファイル処理部150は、対象画像データに、第1のプロファイル情報を付加する。一方、ステップS80Bでは、プロファイル処理部150は、対象画像データに、第2のプロファイル情報を付加する。具体的には、プロファイル処理部150は、例えば、対象画像データを、プロファイル情報を関連付けて格納可能な形式のファイルに格納し、当該ファイルの所定の領域(ヘッダ領域など)に第1のプロファイル情報(ステップS70B)、あるいは、第2のプロファイル情報(ステップS80B)を格納する。プロファイル情報を関連付けて格納可能なファイル形式には、PDF形式、JPEG形式、TIFF形式ファイルなどが知られている。
プロファイル情報が付加された対象画像データは、例えば、パーソナルコンピュータ300に提供される。パーソナルコンピュータ300は、付加されたプロファイル情報に従って、対象画像データに対して濃度補正を実行することができる。
以上説明した第3実施例によれば、対象画像データの内容に応じた適切なプロファイル情報を対象画像データに付加することができる。例えば、色相が変化しにくい対象画像を表す対象画像データに対して、必要以上に大きなサイズのプロファイル情報が付加されることによって、対象画像データとプロファイル情報とを含むファイルのサイズが過大になることを抑制することができる。また、付加されたプロファイル情報に従って濃度補正を行う装置(例えば、パーソナルコンピュータ300)の処理負荷が過大になることを抑制することができる。また、色相が変化しやすい対象画像を表す対象画像データに対して、簡便な濃度補正を行うためのプロファイル情報が付加されることによって、外部機器において、付加されたプロファイル情報に従って濃度補正を行った場合に、十分な画質が得られない可能性を低減することができる。
D.変形例:
(1)上記第1実施例では、画像処理部100は、濃度補正の方法を決定しているが、これに代えて、画像処理部100は、コントラスト補正や、彩度の補正などの方法を決定しても良い。また、上記第2実施例では、画像処理部100は、下地除去処理の方法を決定しているが、これに代えて、人の肌色を適正化する色変換処理や、空の青色を適正化する処理などの特定のオブジェクトの色を変換する処理の方法を決定しても良い。一般的に言えば、画像処理部100は、あらゆる種類の色変換処理を決定してもよいが、特に、画像処理部100は、色に関する特性であって、色相とは異なる特性を変更するための処理(濃度補正、コントラスト補正、彩度の補正など)と、対象画像のうちの一部の領域の色を変更するための処理(下地除去処理、空、人の肌色を適正化する処理など)と、のうちの少なくとも一方の色変換処理の方法を決定することが好ましい。
(2)上記第1実施例では、規定部120は、図7に示す算出式を用いて、指標値TVを算出しているが、これに代えて、他の方法で、指標値を算出しても良い。例えば、規定部120は、第1色相範囲HR1内の色相値Hを有する画素の数をカウントし、第2色相範囲HR2内の色相値を有する画素の数をカウントしないこととし、当該カウント数を指標値として用いても良い。また、上記実施例では、決定部130は、指標値TVを1個の閾値THと比較して、第1の方法と第2の方法の中から、濃度補正を行うための方法を決定しているが、これに代えて、指標値TVを2個以上の閾値と比較して、3種類以上の方法の中から、濃度補正を行うための方法を決定しても良い。
(3)上記第1実施例では、図6に示すように、色相値Hの連続的な変化に対して、色相が変化する度合いが高いと規定された(すなわち、大きな第1重みW1が対応付けられた)第1色相範囲HR1と、色相が変化する度合いが低いと規定された(すなわち、小さな第1重みW1が対応付けられた)第2色相範囲HR2と、を用いて、画素毎に色相が変化する度合いを規定している。そして、色相値Hの連続的な変化に対して、第1色相範囲HR1と第2色相範囲HR2とが周期的に繰り返されるように設定されている。これに限らず、例えば、色相値Hの変化に対して周期的に繰り返される関数F(H)を用いて、当該関数F(H)の値を重み付けW1として用いて(すなわち、W1=F(H))、画素毎に色相が変化する度合いを規定してもよい。この場合には、関数F(H)には、差分均等色相値(すなわち、H=30、90、150、210、270、330)の近傍で最大値となり、第1差分最大色相値(すなわち、H=0、120、240)および第2差分最大色相値(すなわち、H=60、180、300)の近傍で最小値となるような関数(例えば、三角関数など)が選択されることが好ましい。
(4)上記実施例では、取得部110は、色相値Hや明度値Vを算出するために、対象画像データの色空間を、RGB色空間からHSV色空間に変換しているが、これに代えて、他の色空間を用いても良い。例えば、取得部110は、対象画像データの色空間を、RGB色空間からCIELAB色空間に変換してもよい。この場合には、取得部110は、例えば、CIELAB色空間における*a値と*b値とを用いて、式tanH=(*b/*a)に従って、色相値Hを算出しても良い。また、この場合には、規定部120は、指標値TVを算出する際に、明度値Vの代わりに、*L値を用いても良い。
(5)上記第1実施例では、第1の方法は、色変換を行うことなくRGBの各成分値にトーンカーブを適用する方法であり、第2の方法は、輝度値Yに対してトーンカーブを適用するために、トーンカーブの適用の前後に1回ずつ色変換を行う方法である。また、上記第2実施例では、第1の方法は、対象画像データの解析を伴わない方法であり、第2の方法は、対象画像データの解析を伴う方法である。これに限らず、第1実施例および第2実施例では、処理負荷が互い異なる様々な方法の組合わせが、第1の方法と第2の方法の組合わせとして採用され得る。
(6)上記第3実施例では、第1のプロファイル情報は、トーンカーブを規定するプロファイルであり、第2のプロファイル情報は、3次元ルックアップテーブルを規定するプロファイルである。これに限らず、第3実施例では、データサイズが互いに異なる様々なプロファイル情報の組合わせが、第1のプロファイル情報と第2のプロファイル情報の組合わせとして採用され得る。例えば、第1のプロファイル情報は、グリッド数が基準より少ない3次元ルックアップテーブルを規定した情報であり、第2のプロファイル情報は、グリッド数が基準より多い3次元ルックアップテーブルを規定した情報であっても良い。
(7)上記第1実施例では、HSV色空間内に、色相値Hの範囲と、明度値Vの範囲と、によって区画された6個の部分色空間が設定され、規定部120は、部分色空間毎に、属する画素数をカウントしたヒストグラムHGを作成している。そして、規定部120は、1個の部分色空間に属する複数個の画素毎に、色相が変化する度合いを規定している。すなわち、規定部120は、1個の部分色空間に属する複数個の画素毎に、乗ずる第1重みW1を規定している。これに加えて、彩度値Sの範囲を規定して、さらに、多数の部分色空間を設定しても良い。また、HSV色空間に代えて、CIELAB色空間が採用されても良い。一般的に言えば、規定部120は、所定の色空間内に、複数の部分色空間を設定し、1個の部分色空間に属する色を有する1個以上の画素毎に、色相が変化する度合いを規定することが好ましい。
(8)複合機200の画像処理部100による画像処理機能は、パーソナルコンピュータ300によって実現されても良い。例えば、パーソナルコンピュータ300に、当該画像処理機能を実現するためのコンピュータプログラムを含むスキャナドライバプログラムをインストールしても良い。この場合には、パーソナルコンピュータ300のスキャナドライバが、パーソナルコンピュータ300に接続されたスキャナを利用して取得したスキャンデータに対して、画像処理(例えば、図2の処理)を実行しても良い。また、複合機200に代えて、光学的に対象物を読み取ることによって対象物を表す画像データを生成する画像読取部を含む他の画像処理装置(例えば、スキャナやデジタルカメラ)によって実現されてもよい。この場合には、実施例の複合機200と同様に、画像処理装置は、自身の画像読取部によって生成された画像データを用いて、画像処理(例えば、図2の処理)を行えばよい。
一般的には、画像処理(例えば、図2の処理)を実現する画像処理装置は、複合機200に限らず、種々の装置であってよい。例えば、プリンタ、デジタルカメラ、スキャナなどの画像関連機器の内部のコンピュータ、汎用のパーソナルコンピュータ、ネットワークに接続されたサーバ等を採用可能である。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数のコンピュータが、画像処理に要する機能を一部ずつ分担して、全体として、画像処理の機能を提供してもよい。この場合、複数のコンピュータの全体が、請求項における画像処理装置に対応する。
(9)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
50...装置制御部、100...画像処理部、110...取得部、120...規定部、125...画素規定部、130...決定部、140...色変換部、150...プロファイル処理部、200...複合機、210...CPU、220...不揮発性記憶装置、222...プログラム、224...パラメータデータ、230...揮発性記憶装置、231...バッファ領域、240...プリンタ部、250...スキャナ部、255...最大階調値、260...操作部、270...表示部、280...通信部、300...パーソナルコンピュータ

Claims (10)

  1. 複数の画素を含む対象画像データを用いて、前記複数の画素の色相を示す複数の色相値を取得する取得部と、
    前記複数の色相値を用いて、前記対象画像の指標値を規定する規定部であって、前記指標値は、前記対象画像データに対して色変換処理を実行した場合に、色相が変化する度合いを表す値である、前記規定部と、
    前記指標値が、色相が変化する度合いが比較的低いことを示す場合には、前記対象画像データに対する前記色変換処理の方法を、第1の方法に決定し、前記指標値が、色相が変化する度合いが比較的高いことを示す場合には、前記対象画像データに対する色変換処理の方法を、第2の方法に決定する決定部と、
    を備える、画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置であって、
    前記規定部は、前記複数の色相値を用いて、色相が変化する度合いを、画素毎に規定する画素規定部を備え、
    前記規定部は、前記複数の画素に対して前記画素規定部によって規定された、前記画素毎の色相が変化する度合いを用いて、前記対象画像の指標値を規定し、
    前記複数の画素の色は、3つの色成分値を含む複数の成分値で表され、
    評価対象の画素の前記3つの色成分値は、最大値である第1値と、最小値である第2値と、前記第1値と前記第2値との間の値である第3値と、を含み、
    前記画素規定部は、前記第3値が、前記第1値および第2値のうちの一方に比較的近い場合に、前記評価対象の画素は、色相が変化する度合いが比較的低いと規定し、前記第3値が、前記第1値と前記第2値との平均値に比較的近い場合に、前記評価対象の画素は、色相が変化する度合いが比較的高いと規定する、画像処理装置。
  3. 請求項2に記載の画像処理装置であって、
    前記画素規定部は、前記色相値の連続的な変化に対して、色相が変化する度合いが比較的低いと規定される画素と、色相が変化する度合いが比較的高いと規定される画素と、が周期的に繰り返されるように、前記画素毎の色相が変化する度合いを規定する、画像処理装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像処理装置であって、
    前記第1の方法および前記第2の方法の少なくとも一方は、入力値と出力値とを対応付けたトーンカーブを適用する方法であり、
    前記トーンカーブは、前記入力値と前記出力値とが等しいことを表す直線と、交差する点を有しない、画像処理装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
    前記色相値が取り得る範囲内に、第1の色相範囲と、第2の色相範囲と、が設定され、
    前記規定部は、前記第1の色相範囲内の前記色相値を有する画素の数と、前記第2の色相範囲内の前記色相値を有する画素の数と、の割合に応じて、前記指標値を規定する、画像処理装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
    前記規定部は、さらに、前記複数の画素の明度を用いて、前記指標値を規定する、画像処理装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像処理装置であって、
    前記規定部は、さらに、前記色変換処理によって前記複数の画素の画素値を変更するレベルを示す値を用いて、前記指標値を規定する、画像処理装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像処理装置であって、
    前記第1の方法による色変換処理の処理負荷と、前記第2の方法による色変換処理の処理負荷とは、互いに異なる、画像処理装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像処理装置であって、
    前記色変換処理は、色に関する特性であって、色相とは異なる前記特性を変更するための処理と、前記対象画像のうちの一部の領域の色を変更するための処理と、のうちの少なくとも一方の処理である、画像処理装置。
  10. 複数の画素を含む対象画像データを用いて、前記複数の画素の色相を示す複数の色相値を取得する取得機能と、
    前記複数の色相値を用いて、前記対象画像の指標値を規定する規定機能であって、前記指標値は、前記対象画像データに対して色変換処理を実行した場合に、色相が変化する度合いを表す値である、前記規定機能と、
    前記指標値が、色相が変化する度合いが比較的低いことを示す場合には、前記対象画像データに対する前記色変換処理の方法を、第1の方法に決定し、前記指標値が、色相が変化する度合いが比較的高いことを示す場合には、前記対象画像データに対する色変換処理の方法を、第2の方法に決定する、決定機能と、
    をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
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