JP2014071370A - 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液体現像剤の製造方法は、樹脂材料として、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を用い、物質Aとして、絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンを含み、物質Bとして、シラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンを含み、絶縁性液体中において、物質Aの存在下、樹脂材料および着色剤を含むトナー材料を粉砕し、微粒子が分散した分散体を得る粉砕工程と、分散体に対してせん断力を加えつつ、樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で、分散体の熱処理を施す加熱工程と、熱処理が施された前記分散体と、物質Bとを混合する混合工程とを有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
従来より、このような液体現像剤を構成するトナー粒子には、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体やエポキシ樹脂等の樹脂材料が用いられている(例えば特許文献1参照)。このような樹脂材料は、取り扱いが容易で、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
しかしながら、トナー粒子の構成材料として用いられる樹脂材料は、一般に、それ自体が負帯電性のものであるため、正帯電性のトナー粒子(液体現像剤)に適用するのが困難であった。また、このような樹脂材料を用いたトナー粒子に、帯電制御剤を添加して正帯電させることも考えられるが、十分な帯電量を得るのが困難であった。
本発明の液体現像剤の製造方法は、絶縁性液体と、トナー粒子とを含む液体現像剤を製造する方法であって、
前記トナー粒子は、樹脂材料、着色剤および物質Aを含むものであり、
前記液体現像剤は、物質Bを含むものであり、
前記樹脂材料として、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を用い、
前記物質Aは、前記絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンであり、
前記物質Bは、シラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンであり、
前記絶縁性液体中において、前記物質Aの存在下、樹脂材料および着色剤を含むトナー材料を粉砕し、微粒子が分散した分散体を得る粉砕工程と、
前記分散体に対してせん断力を加えつつ、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で、前記分散体の熱処理を施す加熱工程と、
前記熱処理が施された前記分散体と、前記物質Bとを混合する混合工程とを有することを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を効率よく製造することができる液体現像剤の製造方法を提供することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。
前記トナー粒子は、樹脂材料、着色剤および物質Aを含むものであり、
前記液体現像剤は、物質Bを含むものであり、
前記樹脂材料として、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を用い、
前記物質Aは、前記絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンであり、
前記物質Bは、シラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンであり、
前記絶縁性液体中において、前記物質A、および前記物質Bの存在下、樹脂材料および着色剤を含むトナー材料を粉砕し、微粒子が分散した分散体を得る粉砕工程と、
前記分散体に対してせん断力を加えつつ、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で、前記分散体の熱処理を施す加熱工程とを有することを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を効率よく製造することができる液体現像剤の製造方法を提供することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の帯電特性を特に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、液体現像剤の現像、転写特性を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の帯電特性を特に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ラジカル重合性モノマーの前記極性基が、アミノ基であることが好ましい。
これにより、トナー粒子の帯電特性をさらに優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の帯電特性を特に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の帯電特性を特に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、液体現像剤の現像、転写特性を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の帯電特性を特に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、液体現像剤の現像、転写特性を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の帯電特性を特に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、液体現像剤の現像、転写特性を特に優れたものとすることができる。
絶縁性液体と、トナー粒子とを含む液体現像剤であって、
前記トナー粒子は、樹脂材料および着色剤を含む母粒子と、当該母粒子に付着した物質Aとを含むものであり、
前記液体現像剤は、物質Bを含むものであり、
前記樹脂材料として、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を用い、
前記物質Aは、前記絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンであり、
前記物質Bは、シラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンであることを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に特に優れた液体現像剤を提供することができる。
≪液体現像剤の製造方法≫
まず、本発明の液体現像剤の製造方法について説明する。本発明において、液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
《第1実施形態》
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、樹脂材料としてのポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂と着色剤とを含むトナー材料を混練し、混練物を得る混練工程と、当該混練物を粗粉砕し、粗粉砕された混練物(粗粉砕物)を得る粗粉砕工程と、得られた粗粉砕物を、絶縁性液体中で、物質Aとしての当該絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンの存在下で粉砕し、微粒子が分散した分散体を得る粉砕工程と、前記分散体に対して、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で熱処理を施す加熱工程と、前記熱処理が施された前記分散体と、物質Bとしてシラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンとを混合する混合工程とを有している。
<混練工程>
本工程では、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を含む樹脂材料と着色剤とを含むトナー材料を混練し、混練物を得る。
混練の方法は、例えば、2軸混練押出機、ニーダー、バッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
本工程では、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を含む樹脂材料を用いる。
ポリエステル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができるため、樹脂材料として好適に用いることができる。特に、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。また、スチレン−アクリル樹脂は、一般に、結着樹脂として用いられる各種樹脂材料の中でも、特に価格が低いく、液体現像剤の生産コストの更なる低減を図ることができる。このため、このような樹脂材料を用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができるため、樹脂材料として好適に用いることができる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、アセトキシスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
また、アクリロニトリル類は、アクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルである。
また、アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等、ヒドロキシポリオキシアルキレンエーテルモノ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
スチレン−アクリル樹脂を構成する各成分の重合比率は、特に限定されない。また、分子量、分子量分布も、特に限定されるものではない。
また、本発明で用いる樹脂材料のガラス転移温度Tgは、15℃以上70℃以下であることが好ましく、20℃以上65℃以下であることがより好ましい。なお、本明細書で、ガラス転移温度とは、示差走査熱量測定機DSC−220C(SII製)における測定条件:サンプル量10mg、昇温速度10℃/min、測定温度範囲10〜150℃で測定した際に、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をいう。
本発明において用いられる着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
特に、樹脂材料として、前述したなかでも、顔料を用いることがより好ましい。
[その他の成分]
また、混練物は、前記以外の成分を用いてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、前記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
次に、前記工程で得られた混練物を粗粉砕し、粗粉砕物を得る。
このように混練物を粗粉砕した粗粉砕物を用いることにより、後述する粉砕工程(微粉砕工程)において、より効果的にトナー粒子の粒径を小さくすることができる。
本工程における粗粉砕の方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
粗粉砕工程において得られる粗粉砕物の平均粒径は、1000μm以下であるのが好ましい。粗粉砕の工程は、複数回に分けて行ってもよい。
次に、前記工程で得られた粗粉砕物を、絶縁性液体中で湿式粉砕する(粉砕工程)。
粉砕工程において、絶縁性液体中には、物質Aとしての当該絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンを含んでいる。
粉砕工程において、物質Aを用いることにより、粉砕を効率よく行うことができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、絶縁性液体中に安定して存在する物質Aが、粉砕の際に形成される粉砕物の周りに付着する。換言すると、物質Aのシリコーンの部分が絶縁性液体側に親和し、物質Aのアクリルの部分が粉砕物側に付着し皮膜形成していく。このように、物質Aが、分散剤として機能することで、粉砕物の粉砕が効率よく進行するものと考えられる。以上のような効果は、粉砕力が大きい場合に、より顕著に表れるものと考えられる。
本工程における粉砕の方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
本工程での湿式粉砕は、絶縁性液体中で行う。
絶縁性液体は、最終的に得られる液体現像剤において、トナー粒子を分散する分散媒として機能するものである。
また、絶縁性液体は、画像形成時において帯電したトナー粒子を転写させるために、高い絶縁性を有する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
本工程では、絶縁性液体として、前述した中でも、ジメチルシリコーンオイルを用いるのが好ましい。これにより、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
本工程では、物質Aとしての絶縁性液体に実質的に可溶なアクリル変性シリコーンを用いる。これにより、樹脂材料および着色剤を含む材料で構成された母粒子の表面付近に、物質Aを好適に付着させることができる。すなわち、このような物質Aは、絶縁性液体への親和基であるシリコーン部分と、母粒子への親和基であるアクリルの部分とを有しているものである。そのため、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。さらに、後の工程で、物質Bとしてのシラノール含有ポリシロキサンをトナー粒子に、好適に付着させることができ、トナー粒子の正帯電の帯電特性を十分に優れたものとすることができる。また、最終的に得られる液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性、液体現像剤の保存安定性を優れたものとすることができ、さらに、液体現像剤の製造時におけるトナー粒子の凝集を防止する機能も有している。
まず、アクリル変性シリコーン(固体あるいは液体)を、キャリア(絶縁性液体)に5wt%の割合で入れ、超音波洗浄機ASU−2M(アズワン製)における測定条件:温度25℃、出力55W、周波数42kHzで超音波分散を15分行った後、温度25℃で24時間放置する。その後、サンプルに光を通した際のムラや白濁の状況を目視にて確認する。そして、サンプルに光を通した際にムラや白濁のない状態を、実質的に可溶であると判断し、一方、サンプルに光を通した際にムラや白濁がある状態を、実質的に不溶である判断する。
また、物質Aは、ラジカル重合性モノマーを共重合したアクリル変性シリコーンであるのが好ましい。
これにより、トナー粒子の帯電特性を十分に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、液体現像剤の現像、転写特性を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子の正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。また、最終的に得られる液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性、液体現像剤の保存安定性を特に優れたものとすることができる。
このようなラジカル重合性モノマーとしては、親水性及び疎水性のラジカル重合性モノマー等が挙げられる。具体例としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸(以下(メタ)アクリル酸という)などのアクリル酸類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのアルキルエステル類、アクリルアミド等の酸アミド類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミン誘導体、酸アミド類あるいはアミン誘導体の酸中和物、アミン誘導体とモノクロロ酢酸ナトリウムとの反応物であるアミノ酢酸ベタイン誘導体類、アミン誘導体のスルホン酸塩であるスルホベタイン型誘導体類、アミン誘導体の4級化されたカチオン型誘導体類、2−アクリロイルオキシエチルリン酸などのリン酸基誘導体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基誘導体、(メタ)アクリル酸パーフロロデシルエチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフロロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸パーフロロブチルエチル、パーフロロエステル類などの(メタ)アクリル酸の各種誘導体、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
物質Aは、下記一般式(1)のシリコーンマクロマーを共重合したアクリル変性シリコーンであるのが好ましい。
このようなシリコーンマクロマーとしては、片末端にアクリル基、メタクリル基を有する片末端反応性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、中でも、下記一般式(2)あるいは(3)に示す片末端メタクリル変性ジメチルポリシロキサンを含むものが好ましい。これにより、前述したような効果をさらに顕著なものとすることができる。
また、物質Aが、アミノ基のような極性基の部分を有する場合、帯電特性を特に優れたものとすることができる。これにより、物質Aは、絶縁性液体への親和基であるシリコーン部分と、母粒子への親和基であるアクリルの部分とを兼ね備えながら、さらに、アミノ基のような極性基の部分を有する機能分離型の構造を有するものとなる。その結果、優れた分散安定性と帯電特性とを兼ね備えることができる。
これにより、トナー粒子の帯電特性を特に優れたものとしつつ、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、液体現像剤の現像、転写特性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、4級カチオン性シリコーン、アミノフェニル変性シリコーンおよびフェニル変性シリコーンを、総称して物質Cと記載する。また、以下の工程では、物質Cを含む場合について、中心的に説明する。
物質Bとして用いることのできるアミノフェニル変性シリコーンの具体例としては、2−2078Fluid(東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
物質Bとして用いることのできるフェニル変性シリコーンの具体例としては、SH556(東レダウコーニング社製)、PH1555(東レダウコーニング社製)、silshine151(Momentive製)等が挙げられる。
その後、湿式粉砕工程を経て得られた分散体に対し、熱処理を施す。特に、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で熱処理を施す。
これにより、粒子の表面付近に、物質Aを確実に付着させることができるとともに、粒子の円形度を好適なものに調製することができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤を構成するトナー粒子の正帯電の帯電特性を優れたものとすることができるとともに、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。また、トナー粒子の転写効率、現像効率等を優れたものとすることができる。
本工程での熱処理時間は、5分以上150分以下であるのが好ましく、10分以上90分以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮されるとともに、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。
本工程をせん断をかけながら行う場合、300rpm以上1200rpm以下のせん断をかけるのが好ましく、400rpm以上900rpm以下のせん断をかけるのがより好ましい。
また、0.01≦R1−R0≦0.10の関係を満足するのが好ましいが、0.02≦R1−R0≦0.09の関係を満足するのがより好ましく、0.03≦R1−R0≦0.08の関係を満足するのがさらに好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
その後、熱処理が施された分散体と、物質Bとしてのシラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンとを混合する。
[物質B]
本工程では、物質Bとしてシラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンを用いる。これにより、物質Aが付着した粒子の表面付近に、物質Bを好適に付着させることができ、トナー粒子の正帯電の帯電特性を十分に優れたものとすることができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性、液体現像剤の保存安定性を優れたものとすることができるとともに、液体現像剤全体としての粘性を低下させることができる。
また、物質Bとしてシラノール基含有ポリシロキサンを用いることにより、粒子に特に高い帯電性を付与することができる。また、フッ素変性シリコーンを用いることにより、トナー粒子間での帯電特性の均一性を特に優れたものとすることができるとともに、液体現像剤の保存安定性、転写効率等を特に優れたものとすることができる。
物質Bとして用いることのできるシラノール基含有ポリシロキサンの具体例としては、SS4267(Momentive製)、DC593(東レダウコーニング社製)、SS4230(Momentive製)等が挙げられる。
物質Bとして用いることのできるフッ素変性シリコーンの具体例としては、XS66−B8226(Momentive社製)、XS66−C1191(Momentive社製)、XS66−B8636(Momentive社製)等が挙げられる。
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の第2実施形態について説明する。以下の説明では、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明は省略する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、絶縁性液体中において、物質Aおよび物質Bの存在下、樹脂材料および着色剤を含む材料で構成された粉末を粉砕し分散体を得る湿式粉砕工程と、前記分散体に対してせん断力を加えつつ、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で熱処理を施す加熱工程とを有している。言い換えると、物質Aに加え、物質Bの存在下において、湿式粉砕工程を行い、加熱工程後の混合工程を省略した以外は、前述した第1実施形態と同様である。このような構成とした場合であっても、前記と同様の効果を得ることができる。また、混合工程を省略することができるため、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、樹脂材料および着色剤を含む母粒子に物質Aが付着したトナー粒子と含む。また、本発明の液体現像剤は、物質Bを有する。これにより、正帯電の帯電特性を優れた液体現像剤を提供することができる。
また、物質Bは、トナー粒子の表面付近に付着していてもよいし、その一部が遊離し、絶縁性液体中に存在していてもよい。これにより、液体現像剤全体の帯電性をさらに優れたものとすることができる。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10質量%以上60質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上50質量%以下であるのがより好ましい。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子の体積平均粒径(D50)は、2μm以上4μm以下であるのが好ましい。
次に、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラー11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラー51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラー51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラー51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラー45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上にトナー画像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
すなわち、上流側2次転写ローラー64、下流側2次転写ローラー65は、それぞれ、ベルト駆動ローラー41および従動ローラー44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
なお、定着温度(設定温度)は、具体的には、80℃以上160℃以下であるのが好ましく、100℃以上150℃以下であるのがより好ましく、100℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラー32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤撹拌ローラー34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラー20Yと、現像ローラークリーニングブレード21Yとを有している。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラー32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラー34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
この塗布ローラー32Yは、鉄等金属性のローラーの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラーを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラー32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラー32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラー20Yへ搬送する。
また、液体現像剤として、物質Aとしての絶縁性液体に実質的に可溶なアクリル変性シリコーンを含むため、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。これにより、現像剤撹拌ローラーに印加する電圧をより小さくすることができるため、画像形成装置の省電力化を図ることができる。
連通部35Yを現像剤撹拌ローラー34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤撹拌ローラー34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラー32Yに安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラー20Yは、その表面に、前述した塗布ローラー32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラー20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラー20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラー32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラー32Yと現像ローラー20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラー32Yと現像ローラー20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラー20Y上に供給される液体現像剤の量を調製することができる。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤の製造方法は、前述した各工程(湿式粉砕工程、加熱工程、混合工程)に加え、他の工程を有するものであってもよい。例えば、湿式粉砕工程の後(湿式粉砕工程と加熱工程との間や、加熱工程と混合工程との間、混合工程後)に、湿式粉砕工程で用いた絶縁性液体とは異なる組成の絶縁性液体を混合する工程を有していてもよい。すなわち、湿式粉砕工程で用いた絶縁性液体と、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体とは、組成が異なるものであってもよい。このような工程を有することにより、湿式粉砕工程の処理効率を特に高いものとしつつ、最終的に得られる液体現像剤の組成を特に好ましいものとすることができる。
まず、液体現像剤の製造に先立って、物質Aの合成を行った。
(合成例1)
物質Aの合成方法は、まず、攪拌機、温度計、還流冷却器を備えたガラス製フラスコに、イソプロパノール120gと、メチルメタクリレート20g、ブチルメタクリレート5gおよび2−エチルへキシルメタクリレート5gの各ラジカル重合性モノマーと、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4gの下記式(4)に示すシリコーンマクロマーとを入れ、窒素気流下にて攪拌しながら、加熱還流した。その後、5時間重合を行った後、減圧下で揮発成分を溜去して物質Aとしてのアクリル変性シリコーンを得た。
物質Aの合成に用いる成分を表1に示すようにした以外は、合成例1と同様にして、物質Aとしてのアクリル変性シリコーンを得た。
前記各合成例で用いる成分および配合量を表1にまとめて示す。
(調製例1)
合成例1で得られた物質Aとしてのアクリル変性シリコーンを、絶縁性液体であるデカメチルシクロペンタシロキサンで希釈し、30wt%のアクリル変性シリコーン溶液を調製した。
(調製例2〜4)
合成例1で得られた物質Aの代わりに、合成例2〜4で得られた物質Aを用いた以外は、それぞれ、調製例1と同様にしてアクリル変性シリコーン溶液を得た。
次に、以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[混練工程、粗粉砕工程]
(着色剤マスターバッチの調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(ガラス転移温度(Tg):50℃):60重量部を用意した。
次に、前記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
前記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
(粗粉砕物の調製)
前記着色剤マスターバッチ:15重量部、前記ポリエステル樹脂:85重量部を、2軸混練押出機を用いて混練した。そして、2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。得られた混練物をハンマーミルで粉砕し、粗粉砕物を得た。
前記の方法で得られた粗粉砕物と、物質Aとしての調製例1のアクリル変性シリコーン溶液と、物質Cとしての4級カチオン性シリコーン(SilsenseQ−Plus、ルーブリゾール社製)と、絶縁性液体としてのジメチルシリコーンオイル(KF−96−50cs、信越化学工業社製)をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:10mm)を体積充填率40%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで48時間湿式粉砕を行った。
本工程を行うことにより得られた分散体に含まれる粒子について、平均円形度R0を測定した結果、0.860であった。
湿式粉砕工程で得られた分散体をビーカーに移し、ホットスターラーにのせ60℃で熱した。その際、500rpmのせん断をかけた。熱処理は30分間行った。その後、室温まで自然冷却した。
本工程後の分散体に含まれる粒子の平均円形度R1は、0.905であった。
その後、前記の熱処理が施された分散体に、物質Bとしてのトリメチルシロキシケイ酸(SS4267、Momentive社製)を10重量部添加し、ディスパーで混合攪拌することにより、液体現像剤を得た。トナー粒子の体積平均粒径(D50)は3.0μmであった。
液体現像剤の製造に用いる成分・配合量と、加熱工程での熱処理条件とを表2に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例18)
液体現像剤の製造に用いる成分・配合量を表3に示すようにし、粉砕工程の条件を以下に述べるようした以外は、実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
粉砕工程は、ジルコニアボールを使用した湿式粉砕を、ビーズミルを使用した湿式粉砕に変更した。このような工程により、着色剤マスターバッチの濃度が高いにも関わらず、粉砕における粘性が抑えられ、3μm程度の粒子を得ることができた。
加熱工程前の分散体中に含まれる粒子の平均円形度R0は、0.860であった。また、得られた液体現像剤に含まれるトナー粒子の平均円形度R1は、0.912であった。
(実施例19)
液体現像剤の製造に用いる材料および配合量を表3に示すようにした以外は、実施例18と同様にして液体現像剤を製造した。
[混練工程、粗粉砕工程]
(着色剤マスターバッチの調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(ガラス転移温度(Tg):50℃):60重量部を用意した。
次に、前記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
前記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
(粗粉砕物の調製)
前記着色剤マスターバッチ:15重量部、前記ポリエステル樹脂:85重量部を、2軸混練押出機を用いて混練した。そして、2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。得られた混練物をハンマーミルで粉砕し、粗粉砕物を得た。
前記の方法で得られた粗粉砕物と、物質Aとして調製例1のアクリル変性シリコーン溶液と、物質Cとしての4級カチオン性シリコーン(SilsenseQ−Plus、ルーブリゾール社製)と、物質Bとしてのトリメチルシロキシケイ酸(SS4267、Momentive社製)と、絶縁性液体としてのジメチルシリコーンオイル(KF−96−50cs、信越化学工業社製)をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:10mm)を体積充填率40%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで48時間湿式粉砕を行った。
本工程を行うことにより得られた分散体に含まれる粒子について、FPIA−3000Sを用いて平均円形度R0を測定した結果、0.860であった。
湿式粉砕工程で得られた分散体をビーカーに移し、ホットスターラーにのせ60℃で熱した。その際、500rpmのせん断をかけた。熱処理は30分間行った。その後、室温まで自然冷却し液体現像剤を得た。
得られた液体現像剤に含まれるトナー粒子の平均円形度R1は、0.912であった。
液体現像剤の製造に用いる各成分・配合量と、加熱工程での熱処理条件を表3に示すようにした以外は、前記実施例20と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例1〜3)
湿式粉砕工程において物質Aを用いず、代わりに不溶のアクリル変性シリコーンを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
湿式粉砕工程において物質Aを用いず、代わりに絶縁性液体に実質的に可溶なアミノ変性シリコーン(アクリル変性シリコーンではない)として、KF393(信越化学工業製)用いるとともに、各成分の配合量を表3に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例5)
湿式粉砕工程において物質Aを用いず、各成分の配合量を表3に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
湿式粉砕工程において物質Aおよび物質Cを用いず、各成分の配合量を表3に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例7)
加熱工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
湿式粉砕工程において物質Aとして、絶縁性液体に実質的に不溶のアクリル変性シリコーンにした以外は、前記実施例20と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例9)
湿式粉砕工程において物質Aを用いず、各成分の配合量を表3に示すようにした以外は、前記実施例20と同様にして液体現像剤を製造した。
湿式粉砕工程において物質Bおよび物質Cを用いず、各成分・配合量を表3に示すようにした以外は、前記実施例20と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例11)
加熱工程を省略した以外は、前記実施例20と同様にして液体現像剤を製造した。
湿式粉砕工程において物質Aを用いず、代わりに不溶のアクリル変性シリコーンを用いるとともに、各成分の配合量を表3に示すようにし、粉砕工程の条件を以下に述べるように変更した以外は、実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
粉砕工程は、実施例18と同様に、ジルコニアボールを使用した湿式粉砕を、ビーズミルを使用した湿式粉砕に変更した。
なお、前記各実施例および各比較例での円形度は以下のようにして測定した。すなわち、各実施例および各比較例について、得られた分散体および液体現像剤に、シリコーンオイル(粘度2cst)を加えて体積基準で1000倍に希釈し、さらに、超音波分散を1分間行うことで希釈液を得た。得られた希釈液について、フロー式粒度分布計 FPIA−3000S(Sysmex社製)を用いて円形度を測定した。
また、各実施例で得られた、25℃における絶縁性液体100gに対する可溶のアクリル変性シリコーンの溶解度は、いずれも10g以上であった。
なお、比較例1〜4、比較例8、比較例12については、表2、表3の物質Aの欄に、不溶のアクリル変性シリコーン、または、可溶のアミノ変性シリコーンの条件を示した。
以上のようにして得られた液体現像剤に関して、以下のような評価を行った。
[3.0]粉砕効率
前述の粉砕方法において、所望の体積平均粒径D50に到達するまでの粉砕時間により粉砕効率を定める為、以下の4段階に従い評価した。
A:粉砕時間が24時間未満であり、粉砕効率が優れる。
B:粉砕時間が24時間以上36時間未満であり、粉砕効率がやや優れる。
C:粉砕時間が36時間以上48時間未満であり、粉砕効率がやや劣る。
D:粉砕時間が48時間以上であり、粉砕効率が劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラー上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラーの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラーとの間を通過した後の、現像ローラー上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラー上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が96%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上96%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :転写効率が96%以上であり、転写効率に特に優れる。
B :転写効率が90%以上96%未満であり、転写効率に優れる。
C :転写効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :転写効率が80%よりも小さく、転写効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、定着の設定温度を100℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.2kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
B :画像濃度残存率が90%以上96%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−2000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、□10mmの透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。
B :電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)。
C :電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)。
D :電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)。
E :電位差が+50mV未満(非常に悪い)。
[3.5.1]方法1
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω2(rω2=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)2×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、前記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
A:0≦k<0.004
B:0.004≦k<0.008
C:0.008≦k<0.012
D:k≧0.012
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を用いて、それぞれ、図1、図2に示すような画像形成装置により、所定パターンの画像を10000枚の記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。この画像形成は、各色の液体現像剤タンクから対応する各色の撹拌装置への液体現像剤の供給を停止した状態で行った。10000枚の記録紙への画像形成を行った後、固形分含有率が20質量%となるように、撹拌装置に回収されたトナー粒子を絶縁性液体で希釈することにより再生した液体現像剤(リサイクル液体現像剤)について、以下に述べるような2種類の方法(方法1、方法2)のよる試験を行い、リサイクルについての適応性(リサイクル性)を評価した。
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが1mm以下。
B :沈降した深さが1mmよりも大きく、3mm以下。
C :沈降した深さが3mmよりも大きく、6mm以下。
D :沈降した深さが6mmよりも大きい。
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω2(rω2=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)2×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、前記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
B:0.006≦k<0.010
C:0.010≦k<0.014
D:k≧0.014
これらの結果を表4、表5に示す。
Claims (10)
- 絶縁性液体と、トナー粒子とを含む液体現像剤を製造する方法であって、
前記トナー粒子は、樹脂材料、着色剤および物質Aを含むものであり、
前記液体現像剤は、物質Bを含むものであり、
前記樹脂材料として、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を用い、
前記物質Aは、前記絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンであり、
前記物質Bは、シラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンであり、
前記絶縁性液体中において、前記物質Aの存在下、樹脂材料および着色剤を含むトナー材料を粉砕し、微粒子が分散した分散体を得る粉砕工程と、
前記分散体に対してせん断力を加えつつ、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で、前記分散体の熱処理を施す加熱工程と、
前記熱処理が施された前記分散体と、前記物質Bとを混合する混合工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 絶縁性液体と、トナー粒子とを含む液体現像剤を製造する方法であって、
前記トナー粒子は、樹脂材料、着色剤および物質Aを含むものであり、
前記液体現像剤は、物質Bを含むものであり、
前記樹脂材料として、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を用い、
前記物質Aは、前記絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンであり、
前記物質Bは、シラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンであり、
前記絶縁性液体中において、前記物質A、および前記物質Bの存在下、樹脂材料および着色剤を含むトナー材料を粉砕し、微粒子が分散した分散体を得る粉砕工程と、
前記分散体に対してせん断力を加えつつ、前記樹脂材料のガラス転移温度よりも高い温度で、前記分散体の熱処理を施す加熱工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 前記物質Aは、ラジカル重合性モノマーを共重合したアクリル変性シリコーンである請求項1または2に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記ラジカル重合性モノマーは、極性基を有するものである請求項3に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記ラジカル重合性モノマーの前記極性基が、アミノ基である請求項4に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記粉砕工程において、さらに、4級カチオン性シリコーン、アミノフェニル変性シリコーンおよびフェニル変性シリコーンよりなる群から選択される1種または2種以上を用いる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体現像剤の製造方法。
- 最終的に得られる液体現像剤中における含有率が0.1質量%以上10.0質量%以下となるように、前記物質Aを用いる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液体現像剤の製造方法。
- 最終的に得られる液体現像剤中における含有率が0.1質量%以上12.5質量%以下となるように、前記物質Bを用いる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液体現像剤の製造方法。
- 絶縁性液体と、トナー粒子とを含む液体現像剤であって、
前記トナー粒子は、樹脂材料および着色剤を含む母粒子と、当該母粒子に付着した物質Aとを含むものであり、
前記液体現像剤は、物質Bを含むものであり、
前記樹脂材料として、ポリエステル樹脂および/またはスチレン−アクリル樹脂を用い、
前記物質Aは、前記絶縁性液体に実質的に可溶のアクリル変性シリコーンであり、
前記物質Bは、シラノール基含有ポリシロキサンおよび/またはフッ素変性シリコーンであることを特徴とする液体現像剤。
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