JP2014071333A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】定着性、及び流動性に優れ、潜像担持体からトナー像を転写する際の中抜けが生じにくく、転写残トナーのクリーニング時のすり抜けに起因する画像不良が生じにくい、静電潜像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、静電潜像現像用トナーの粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比が0.825以上0.900以下とし、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差を0.07以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
一般に電子写真法では、感光体ドラムの表面を、コロナ放電等を用いて帯電させた後にレーザー等を用いて露光することで静電潜像を形成する。形成された静電潜像が、トナーを用いて現像されトナー像が形成される。さらに、形成されたトナー像が被記録媒体に転写され、高品質な画像が得られる。通常、トナー像の形成に使用されるトナーは、熱可塑性樹脂のような結着樹脂に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性材料のような成分を混合した後、混練、粉砕、分級工程を経て得られる、平均粒径5μm以上10μm以下のトナー粒子(トナー母粒子)が用いられる。そしてトナーに流動性を付与したり、トナーに好適な帯電性能を付与したり、感光体ドラムからのトナーのクリーニング性を向上させたりする目的で、シリカや酸化チタンのような無機微粉末がトナー母粒子に外添されている。
このようなトナーについて、近年の高画質化に対する要望の高まりから、トナーの小粒子径化が進んでいる。トナーを小粒子径化することで、細線の再現性は向上する。
しかし、小粒子径化されたトナーは、粒子径3μm以下の超微粉を含むことが多い。トナーが超微粉を含む場合、粒子径3μm以下の超微粉が現像スリーブを汚染することがある。現像時に現像スリーブから感光体へトナーを供給する際に、超微粉は感光体へ供給されずに現像スリーブに留まってしまうことがある。その理由は、超微粉は現像スリーブへの付着力が強いためである。このような現像時に現像スリーブに超微粉が留まる現象が繰り返されると、現像スリーブ上に付着力の強い超微粉が偏在することになる。その結果、現像スリーブ周面上におけるトナー薄層の形成が不十分になることで、現像性の低下が引き起こされることがある。
また、小粒子径のトナーに含まれる超微粉は、長期間にわたって印刷を行う場合にキャリアの表面に付着し、所謂スペントの要因となることがある。このため、小粒子径のトナーを長期間使用した場合、形成画像におけるかぶりや現像装置からのトナー飛散が起こりやすいという問題がある。小粒子径のトナーのこのような問題の発生は、結着樹脂と、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のような成分とを溶融混錬した後、混練物を粉砕・分級して得られる粉砕トナーにおいてより顕著である。
さらに、小粒子径のトナー粒子は、クリーニング部が備える、例えば弾性ブレードのような、潜像担持体上の転写残トナーを除去するための装置をすり抜けてしまう場合がある。転写残トナーが上記装置をすり抜けた場合、画像不良の原因となることがある。
小粒子径の粉砕トナーに関するこのような課題を解決するために、例えば、アスペクト比が0.8以上0.9以下であるトナーを用いて画像を形成する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2009−134079号公報
しかし、小粒子径のトナーのアスペクト比を0.8以上0.9以下としても、必ずしも、現像スリーブの汚染や、キャリアスペントの発生を抑制できるわけではない。例えば、トナー全体のアスペクト比の平均値が0.8以上0.9以下であったとしても、トナーに含まれる特定の粒子径の範囲の粒子のアスペクト比が低い場合がある。このような場合、低アスペクト比の粒子は長径に平行な面で、現像スリーブやキャリアに強固に付着してしまうことがある。また、低アスペクト比の粒子が長径に沿った面で潜像担持体に付着した場合、特に、転写残トナーのクリーニング時において、転写残トナーを除去するための装置をトナーがすり抜ける現象が生じる可能性がある。
また、低アスペクト比の粒子は、潜像担持体(感光体ドラム)からも剥離しにくい。このため、潜像担持体からトナー像を転写する際に中抜けが生じ、形成画像に画像不良が生じやすい。ここで、中抜けとは、転写時に細線の中央部が部分的に転写されず、形成画像中の細線の中央部の画像濃度がその周囲と比較して低下するという現象(画像不良)である。さらに、低アスペクト比の粒子は、真球度が低い不規則な形状であるため、トナーの流動性が低下しやすく、トナーの流動性の低下に起因して、形成画像に種々の画像不良が発生しやすくなる。そして、特許文献1に開示されるトナーは、低温定着性の改良を目論むものではあるが、トナーに含まれる材料の種類や含有比率によっては、必ずしも低温定着性に優れる物ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、定着性、及び流動性に優れ、潜像担持体からトナー像を転写する際の中抜けが生じにくく、転写残トナーのクリーニング時のトナーのすり抜けに起因する画像不良が生じにくい、静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比が0.825以上0.900以下であり、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下である静電潜像現像用トナーを用いて、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、少なくとも、結着樹脂を含み、
前記結着樹脂は、結晶性ポリエステルを含み、
粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比が0.825以上、0.900以下であり、
粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下である、静電潜像現像用トナーに関する。
本発明によれば、定着性、及び流動性に優れ、潜像担持体からトナー像を転写する際の中抜けが生じにくく、転写残トナーのクリーニング時のすり抜けに起因する画像不良が生じにくい、静電潜像現像用トナーを提供できる。
フローテスターを用いたポリエステル樹脂の軟化点の測定方法について説明する図である。 画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)は、少なくとも結着樹脂を含み、結着樹脂は結晶性ポリエステルを含む。そして、本発明のトナーは、粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比が0.825以上0.900以下であり、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下である。
また、本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂に対して、種々の成分が配合されたトナー粒子の表面に、所望により、外添剤を付着させたものである(外添剤を付着させる前の個々の粒子をトナー母粒子と呼称することがある。また、外添剤が添加された後の個々の粒子をトナー粒子と呼称することがある)。トナー粒子は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には、結着樹脂に対して、電荷制御剤、及び離型剤が配合されたものを用いる。また、トナー粒子は、必要に応じて、着色剤、及び磁性粉のような任意の成分を含んでいてもよい。さらに、本発明の静電潜像現像用トナーは、所望によりキャリアと混合して2成分現像剤として用いることもできる。以下、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性粉、及びキャリアと、静電潜像現像用トナーの製造方法と、本発明の静電潜像現像用トナーを用いる画像形成方法とについて順に説明する。
〔結着樹脂〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂として、結晶性ポリエステルを必須に含むものを用いる。トナーの結着樹脂として結晶性ポリエステルを用いることで、良好な定着性のトナーを得やすい。また、本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂として、結晶性ポリエステル以外の樹脂を含んでいてもよい。以下、結晶性ポリエステルについて説明する。
(結晶性ポリエステル)
結晶性ポリエステルは、2価又は3価以上のアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られるものを使用できる。結晶性ポリエステルを合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。本出願の明細書、及び特許請求の範囲において、結晶性ポリエステルは結晶性指数が0.90以上1.10未満、好ましくは0.98以上1.05以下であるポリエステルである。ポリエステルの結晶性指数は、単量体であるアルコール成分やカルボン酸成分の、種類、及び使用量を適宜調整することで、調整できる。結晶性ポリエステルは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
結晶性ポリエステルの結晶性指数は、結晶性ポリエステルの軟化点と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化点/融解熱の最大ピーク温度)を用いて求めることができる。結晶性ポリエステルの軟化点は後述するフローテスターを用いて測定される。融解熱の最大ピーク温度は後述する示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。
アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
これらのアルコール成分のなかでは、ポリエステルの結晶化を促進しやすいことから、炭素原子数2以上8以下の脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールの中では、ポリエステルの結晶化をより促進しやすいことから炭素原子数2以上8以下のα,ω−アルカンジオールがより好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためには、アルコール成分中の炭素原子数2以上10以下の脂肪族ジオールが80モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましい。また、結晶性ポリエステルを得るためには、アルコール成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましく、100モル%であるのが最も好ましい。
カルボン酸成分としては2価又は3価以上のカルボン酸を使用できる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸のようなアルキル又はアルケニルコハク酸のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体としたものを用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
これらのカルボン酸成分の中では、ポリエステルの結晶化を促進しやすいことから、炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素原子数2以上16以下のα,ω−アルカンジカルボン酸がより好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためには、カルボン酸成分中の炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましい。また、結晶性ポリエステルを得るためには、カルボン成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましく、100モル%であるのが最も好ましい。
結晶性ポリエステルの軟化点は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。結晶性ポリエステルの軟化点は、以下の方法に従って測定できる。
<軟化点測定方法>
フローテスター(CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて軟化点の測定を行う。測定試料作成用の成形型にトナー約1.8gを充填し、4MPaの圧力を印加して、直径1cm長さ2cmの円柱状のトナーのペレットを作成する。得られたペレットをフローテスターにセットし、プランジャー荷重30kgf、ダイ穴直径1mm、ダイ長さ1mm、昇温速度4℃/分、測定温度範囲70℃以上160℃以下で軟化点を測定する。フローテスターの測定で得られた、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブを用いて、軟化点を読み取る。
軟化点の読み取り方を、図1を用いて説明する。ストロークの最大値をSとし、低温側のベースラインのストローク値をSとする。S字カーブにおいて、ストロークの値が(S+S)/2となる温度を、測定試料の軟化点とする。
結着樹脂としては、定着性が良好であることから熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂単独で使用するだけでなく、熱可塑性樹脂に架橋剤や熱硬化性樹脂を添加することも可能である。結着樹脂内に一部架橋構造を導入することで、トナーの定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、耐久性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やシアネート系樹脂が好ましい。好適な熱硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、及びシアネート樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用できる。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、50℃以上65℃以下が好ましく、50℃以上60℃以下がより好ましい。結着樹脂のガラス転移点が低すぎる場合、画像形成装置の現像部の内部でトナー同士が融着したり、トナーの保存安定性の低下に従って、トナー容器の輸送時や倉庫等での保管時にトナー同士が一部融着したりする場合がある。また、結着樹脂のガラス転移点が高すぎる場合、結着樹脂の強度が低下し、潜像担持部にトナーが付着しやすい。また、結着樹脂のガラス転移点が高すぎる場合、トナーが低温で良好に定着しにくい傾向がある。
なお、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、吸熱曲線を測定することで結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。測定試料としての結着樹脂10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/minで常温常湿下において測定して得られた吸熱曲線を用いて結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。
(結晶性ポリエステル以外の樹脂)
トナー粒子に含まれる結着樹脂は、結晶性ポリエステル以外に、従来からトナー粒子の結着樹脂として用いられているような結晶性ポリエステル以外の樹脂を含んでいてもよい。結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂を含む場合、結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。この場合、結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、典型的には、5質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。
結晶性ポリエステル以外の樹脂の具体例としては、結晶性ポリエステル以外のポリエステル樹脂(非晶質ポリエステル樹脂)、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー中の着色剤に対する分散性、トナーの帯電性、用紙に対する定着性の面から、ポリスチレン系樹脂、及び非晶質ポリエステル樹脂が好ましく、非晶質ポリエステル樹脂が特に好ましい。以下、ポリスチレン系樹脂、及び結晶性ポリエステル以外のポリエステル樹脂について説明する。
ポリスチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体でもよく、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。共重合モノマーの具体例としては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのようなエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルのようなハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルのような(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドのような他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンのようなN−ビニル化合物が挙げられる。これらの共重合モノマーは、2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合できる。
非晶質ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と、同様の単量体、及び方法により製造することができる。本出願の明細書、及び特許請求の範囲において、非晶質ポリエステル樹脂は結晶性指数が1.10以上、好ましくは1.50〜3.00となるようなポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂の結晶性指数は、単量体であるアルコール成分やカルボン酸成分の、種類、及び使用量を適宜調整することにより調整できる。
非晶質ポリエステル樹脂を調製する場合、得られるポリエステル樹脂の結晶化を抑制する必要がある。ポリエステル樹脂の結晶化の抑制方法は特に限定されないが、好適な結晶化抑制方法として、例えば、以下の1)〜3)の方法が挙げられる。
1)結晶化を促進するアルコール成分、及びカルボン酸成分を少量しか使用しないか、使用しない方法。
2)アルコール成分、及びカルボン酸成分として、それぞれ2種以上の化合物を使用する方法。
3)ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物や、アルキル置換コハク酸のような結晶化を抑制し得る単量体を使用して結晶化を抑制する方法。
上述した結晶化抑制方法の中では、単量体の種類が少なく非晶質ポリエステル樹脂の調製が容易であることから、3)の方法がより好ましい。3)の方法では、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、及びアルキル置換コハク酸の使用量を増やすほど結晶化を抑制しやすいが、これらの単量体の使用量は、得られるポリエステルの結晶化度と、他の物性とを考慮して適宜調整される。
非晶質ポリエステル樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂と、非晶質ポリエステル樹脂とを組み合わせて用いる場合、低温定着性に優れるトナーを得やすいことから、結晶性ポリエステル樹脂と非晶質ポリエステル樹脂との質量比(結晶性ポリエステル樹脂:非晶質ポリエステル樹脂)は5:95〜50:50が好ましい。
〔着色剤〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂中に、必要に応じて着色剤を含んでいてもよい。静電潜像現像用トナーに含まれる着色剤は、所望するトナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーに添加することができる好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラックのような黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキのような黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGKのような橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bのような赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキのような紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのような青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGのような緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛のような白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトのような体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーを所望の色相に調整する目的で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的には、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。
〔電荷制御剤〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、通常、結着樹脂中に電荷制御剤を含む。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上さる。そのため、電荷制御剤は耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
電荷制御剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりトナーに使用されている電荷制御剤から適宜選択して使用できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディーブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な帯電立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
官能基として、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂のような1種又は2種以上の樹脂が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
正帯電性の電荷制御剤として使用できる樹脂の中では、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点から、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂がより好ましい。4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂において、スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としてはジメチルメタクリルアミドが挙げられ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドのようなヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、有機金属錯体、キレート化合物のような電荷制御剤が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナートのようなアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロムのようなサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、典型的には、トナー全量を100質量部とした場合に、1.5質量部以上15質量部以下が好ましく、2.0質量部以上8.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以上7.0質量部以下が特に好ましい。電荷制御剤の使用量が過少である場合、所定の極性にトナーを安定して帯電させにくいため、形成画像の画像濃度が所望する値を下回ったり、画像濃度を長期にわたって維持することが困難になったりすることがある。また、このような場合、電荷制御剤が均一に分散し難く、形成画像にかぶりが生じやすくなったり、潜像担持部の汚染が起こりやすくなったりする。電荷制御剤の使用量が過多である場合、耐環境性の悪化に起因する、高温高湿下での帯電不良に起因する形成画像における画像不良や、潜像担持部の汚染が起こりやすくなる。
〔離型剤〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、通常、離型剤を含む。トナーに添加する離型剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。離型剤としてはワックスが好ましく、ワックスの具体例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックスのようなワックスが挙げられる。これらの離型剤は2種以上を組み合わせて使用できる。このような離型剤をトナーに添加することで、形成画像におけるオフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)の発生をより効率的に抑制することができる。
離型剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上5質量部が好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、形成画像におけるオフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合があり、離型剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着に起因してトナーの保存安定性が低下する場合がある。
〔磁性粉〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、所望により、結着樹脂中に磁性粉を配合することができる。トナーに配合する磁性粉の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されない。具体的な磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉は、結着樹脂中での分散性の改良のような目的で、チタン系カップリング剤やシラン系カップリング剤のような表面処理剤を用いて表面処理された磁性粉を使用できる。
磁性粉の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とした場合に、35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。磁性粉の使用量が過多である場合、長期間にわたり印刷する場合に画像濃度が所望する値を下回ったり、定着性が極度に低下したりする場合がある。磁性粉の使用量が過少である場合、かぶりが発生しやすかったり、長期間にわたり印刷する場合に画像濃度が所望する値を下回りやすかったりする場合がある。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
〔外添剤〕
本発明の静電潜像現像用トナーに関しては、トナーの流動性、保存安定性、クリーニング性のような特性を改良する目的で外添剤をトナー母粒子の表面に付着させてもよい。
外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
外添剤の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の体積固有の抵抗値は、外添剤の表面に酸化スズ及び酸化アンチモンからなる被覆層を形成し、被覆層の厚さや、酸化スズと酸化アンチモンとの比率を変えることで調整できる。
外添剤のトナー母粒子に対する使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。外添剤の使用量は、典型的には、外添剤を用いて処理される前のトナー母粒子100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましい。このような範囲の量で外添剤を使用すると、流動性、保存安定性及びクリーニング性に優れるトナーを得やすい。
外添剤は、疎水化処理剤を用いてその表面を処理したものを用いることができる。疎水化処理された外添剤を用いると、高温高湿下でのトナーの帯電量の低下を抑制することができ、さらには、流動性に優れるトナーを得やすい。疎水化処理剤としては、例えば、アミノシランカップリング剤を用いることができる。アミノシランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランカップリング剤が挙げられる。疎水化効果を補う為に、アミノシランカップリング剤と、アミノシランカップリング剤以外の疎水化処理剤とを併用できる。アミノシランカップリング剤以外の疎水化処理剤としては、疎水化効果、及びトナーの流動性の改良効果に優れることから、ヘキサメチルジシラザンを用いるのが好ましい。
シリコーンオイルもまた、外添剤の疎水化処理剤として使用できる。シリコーンオイルの種類は、所望の疎水化効果が得られる限り、特に限定されず、従来から疎水化処理剤として用いられている種々のシリコーンオイルを使用できる。シリコーンオイルとしては、直鎖シロキサン構造を有するものが好ましく、非反応性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイルの何れも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、クロロシリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、アセトキシ基含有シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイルのようなシリコーンオイルが挙げられる。
外添剤の疎水化処理の方法としては、外添剤を高速で撹拌しながら、アミノシラン、及びシリコーンオイルのような疎水化処理剤を滴下又は噴霧する方法、撹拌されている疎水化処理剤の有機溶剤溶液中に外添剤を添加する方法が挙げられる。疎水化処理後に加熱することで疎水化処理された外添剤が得られる。疎水化処理剤を滴下又は噴霧する場合、疎水化処理剤は、そのまま、又は、有機溶剤のような溶媒を用い、希釈して用いることができる。
〔キャリア〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、キャリアとして磁性キャリアを用いるのが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーを2成分現像剤とする場合の好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂を用いて被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルトのような粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウムのような金属との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金のような粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂のような樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。キャリアの粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定される粒子径で、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
キャリアの見掛け密度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。キャリアの見掛け密度は、キャリアの組成や表面構造によって異なるが、典型的には、2.0g/cm以上2.5g/cm以下が好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下が好ましい。2成分現像剤におけるトナーの含有量をこのような範囲とすることにで、形成画像における適度な画像濃度を維持し、トナー飛散の抑制によって画像形成装置内部の汚染や転写紙へのトナーの付着を抑制できる。
〔静電潜像現像用トナーの製造方法〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂に、着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉のような任意の成分を配合した後に、所望の粒子径のトナー母粒子を調製し、得られたトナー母粒子の表面に外添剤を付着させることで製造できる。
結着樹脂に、着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉のような任意の成分を配合してトナーを製造する方法は、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、得られるトナーが、粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比が0.825以上0.900以下であり、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下であれば特に限定されない。
このような粒子径、及びアスペクト比のトナー粒子の好適な調製方法としては、結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉のような任意の成分とを、混合機を用いて混合した後、一軸又は二軸押出機のような混練機を用いて結着樹脂と結着樹脂に配合される成分とを溶融混練して混練物を得、冷却された混練物を粗粉砕、微粉砕して分級する方法において、機械式粉砕機を用いて、各微粉砕工程後の体積平均粒径(D50)が徐々に小さくなるように、複数回、好ましくは3回以上に分けて微粉砕工程を行う方法が挙げられる。
機械式粉砕機を用いて、1回で所望の粒子径まで微粉砕する場合、微粉砕工程の初期では、トナー粒子の角や周囲が削られることに起因する粒子径変化が主に起こるが、微粉砕工程の後期では、トナー粒子の角が取れているためトナー粒子の割れに起因する粒子径変化が主に生じ、アスペクト比の低いトナー粒子が得られると思われる。一方、機械式粉砕機を用いて、複数回に分けて微粉砕を行う場合、トナー粒子の割れに起因するアスペクト比の低下を抑制しつつ、粒子の角が削れることに起因する粒子径変化の比率を高めることができ、アスペクト比の比較的大きなトナー粒子が得られると考えられる。
トナーの平均アスペクト比、及びアスペクト比の分布は以下の方法を用いて測定することができる。
<平均アスペクト比、及びアスペクト比分布測定方法>
フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000(シスメックス株式会社製))を用いてトナーの平均アスペクト比、及びアスペクト比分布を測定する。23℃、60%RHの環境下において、円相当径0.60μm以上400μm以下の範囲のトナー粒子について、短径及び長径を測定し下式から各トナー粒子のアスペクト比を求める。得られた各粒子のアスペクト比から、円相当径3μm以上10μm未満のトナー粒子のアスペクト比の総和を求め、得られた総和の値を円相当径3μm以上10μm未満の測定したトナー粒子数で除し、円相当径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比を求める。また、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)について、D3〜D9の値を求める。具体的には、例えば、D3の値については、円相当径3μm以上4μm未満のトナー粒子のアスペクト比の総和を求める。そして、得られた総和の値を円相当径3μm以上4μm未満の測定したトナー粒子数で除してD3の値を求める。
(アスペクト比算出式)
アスペクト比=短径/長径
本発明のトナーは、上記のようにして求められる粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比が0.825以上0.900以下である。平均アスペクト比が低すぎる場合、流動性が低下しやすい。また、平均アスペクト比が低すぎると、潜像担持体から被記録媒体へトナー像を転写する際に、潜像担持体表面からトナーが剥離しにくくなる。このような場合、転写中抜けとよばれる画像不良が形成画像に生じることがある。平均アスペクト比が高すぎる場合、トナーの流動性が良好であるものの、潜像担持体に付着した転写残トナーをクリーニングする際に、転写残トナーを除去するための装置をトナー粒子がすり抜けることがある。
また、本発明のトナーは、上記のようにして求められる粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下である。D3〜D9の値の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が過大である場合、トナーの流動性が低下しやすい。また、潜像担持体から被記録媒体へトナー像を転写する際に、潜像担持体表面からトナーが剥離しにくくなり、転写中抜けとよばれる画像不良が形成画像に生じることがある。
また、上記のようにして求められる、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるD3〜D9の値の標準偏差Dσは、0.0233以下であるのが好ましく、0.0190以上0.0233以下であるのがより好ましい。トナー粒子のD3〜D9の値の標準偏差Dσが、このような範囲である場合、アスペクト比のバラつきの少ないトナーを得やすいため、潜像担持体からトナー像を転写する際の中抜けが形成画像により生じにくいトナーを得ることができる。
また、本発明のトナーは、粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均円形度が0.967以上0.980以下であるのが好ましく、0.970以上0.980以下であるのがより好ましい。平均円形度が低すぎる場合、トナー粒子の形状に丸みがなくなる。そのために、潜像担持体(感光体ドラム)との接触摩擦係数が増大し、潜像担持体から被記録媒体へトナー像を転写する際に、潜像担持体表面からトナーが剥離しにくくなる。このような場合、転写中抜けとよばれる画像不良が形成画像に生じることがある。また、平均円形度が高すぎる場合、潜像担持体に付着した転写残トナーをクリーニングする際に、転写残トナーを除去するための装置をトナー粒子がすり抜けることがある。トナーの平均円形度を調整する方法は特に限定されないが、例えば、アスペクト比と同様に、トナーを調製する際の機械式粉砕機を用いる微粉砕の回数を適宜調整することで調整できる。また、外添剤を用いて処理される前のトナーを、熱処理することでトナーの平均円形度を高めることもできる。
粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均円形度は、以下の方法に従って測定できる。
<平均円形度測定方法>
フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000(シスメックス株式会社製))を用いてトナーの平均円形度を測定する。23℃、60%RHの環境下において、円相当径0.60μm以上400μm以下の範囲のトナー粒子について、粒子像と同じ投影面積を持つ円の円周の長さ(L)と、トナー粒子投影像の外周の長さ(L)とを測定し、下式に従って円形度を求める。円相当径3μm以上10μm未満のトナー粒子の円形度の総和を、円相当径3μm以上10μm未満の測定したトナー粒子数で除した値を平均円形度とする。
(円形度算出式)
円形度=L/L
本発明のトナーは、粒子径4.0μm以下の個数微粉率が8%以下であるのが好ましく、7.5%以下であるのがより好ましい。個数微粉率が高すぎる場合、微粉の影響で帯電量分布がブロードとなる。その結果、長時間にわたり印刷を行う場合に形成画像の画像濃度が所望する値を下回ることがある。個数微粉率は、トナーを調製する際の分級条件を適宜変更することで調整することができる。
本発明のトナーは、粒子径の体積分布の標準偏差(SD)が1.25以下であるのが好ましく、1.24以下であるのがより好ましい。粒子径の体積分布の標準偏差が大きすぎる場合、帯電量の分布がブロードとなる。その結果、長時間にわたり印刷を行う場合に形成画像の画像濃度が所望する値を下回ることがある。粒子径の体積分布の標準偏差(SD)は、個数微粉率と同様に、トナーを調製する際の分級条件を適宜変更することで調整することができる。
このようにして得られたトナー粒子の表面には、所望により外添剤を付着させてもよい。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー母粒子に埋め込まれないように混合条件を調整して、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
なお、トナーの体積平均粒子径は以下の方法を用いて測定できる。
<体積平均粒子径測定方法>
トナーの体積平均粒子径の測定は、コールターカウンターマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて行うことができる。電解液としてアイソトンII(ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャーとして100μm径のアパーチャーを用いる。電解液(アイソトンII)に少量の界面活性剤を添加した溶液にトナー10mgを加え、超音波分散器を用いて、トナーを電解液中に分散させる。トナーが分散した電解液を測定試料として用い、コールターカウンターマルチサイザー3を用いてトナーの粒度分布を測定し、トナーの体積平均粒子径を得る。なお、細線の再現性が良好である点等の高画質の画像が得られことや、含まれる超微粉による現像スリーブの汚染を抑制するという事から、トナーの体積平均粒子径は、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
〔画像形成方法〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、1成分現像方式、又は2成分現像方式を用いて画像を形成する種々の画像形成装置において使用できる。ここでは、2成分現像方式の中でも、画質、及び寿命の点で優れた現像方式であるタッチダウン現像方式について、図2を参照して説明する。
タッチダウン現像方式では、2成分現像剤の帯電不良に起因して、形成画像におけるかぶりや画像形成装置内におけるトナーの飛散が起こりやすい。本発明のトナーは上述のような特徴を有するため、本発明のトナーを含む2成分現像剤を用いることで、タッチダウン現像方式における上記の問題点を顕著に改善できる。
タッチダウン現像方式は、以下のような方式である。まず、磁気ローラーの表面上に2成分現像剤からなる磁気ブラシを形成する。次に、磁気ブラシから、トナーのみを、感光体に対面配置された現像ローラーの表面に移送させて現像ローラー表面上にトナー層を形成する。そして、トナー層からトナーを感光体に向けて飛翔させて、感光体表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する方式である。
図2に記載のタッチダウン現像方式を採用した画像形成装置10は、ドラム状の感光体11と、感光体11の表面を帯電させる帯電部12と、感光体11の表面を露光して静電潜像を形成する露光部13と、静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像とする現像部14と、トナー像を、感光体11から、無端ベルト15上を移動する被転写体へと転写する転写部16と、感光体の表面をクリーニングするクリーニング部17とを具備する。
感光体11としては、セレン、アモルファスシリコンのような無機感光体;導電性基体上に電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂のような成分を含有する単層又は積層の感光層が形成された有機感光体が挙げられる。帯電部12としては、スコロトロン方式帯電器、帯電ローラー、及び帯電ブラシが挙げられる。露光部13、転写部16、クリーニング部17としては、公知のものを用いればよい。
現像部14は、2成分現像剤によってその表面上に磁気ブラシが形成される磁気ローラー18(現像剤担持体)と、磁気ローラー18上に形成される磁気ブラシ(図示略)から移送されるトナーによってその表面上にトナー層(図示略)が形成される現像ローラー19(トナー担持体)と、磁気ローラー18へ直流(DC)バイアスを印加する電源20と、現像ローラー19へ直流(DC)バイアスを印加する電源22と、現像ローラー19へ交流(AC)バイアスを印加する電源24と、磁気ローラー18上に形成された磁気ブラシの高さを一定に保つための規制ブレード26と、トナーが収納されるコンテナ28と、2成分現像剤のトナーを帯電させる撹拌ミキサー30と、撹拌ミキサー30から供給される2成分現像剤を、撹拌しながら磁気ローラー18へ供給するパドルミキサー34と、撹拌ミキサー30とパドルミキサー34の間を仕切る仕切板32(現像剤は仕切板32と後述の枠体36との間の図示しない流通路を経て撹拌ミキサー30からパドルミキサー34に供給される)と、磁気ローラー18、現像ローラー19、撹拌ミキサー30及びパドルミキサー34を収納する枠体36とを具備する。磁気ローラー18は、内部に複数の固定磁石(不図示)が配設されており、スリーブ状の磁気ローラー18のスリーブ(不図示)が該固定磁石の周囲を回転可能となっている。また、現像ローラー19は、感光体11の対面に配置されている。
図2に示されるタッチダウン現像方式の画像形成装置では、例えば、感光体11の表面を、帯電部12を用いて帯電させる帯電工程と、感光体11の表面を、露光部13を用いて露光して静電潜像を形成する露光工程と、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いて磁気ローラー18の周面上に磁気ブラシを形成し、磁気ブラシからトナーのみを分離させて現像ローラー19の周面上にトナー層を形成し、トナー層のトナーを感光体11の表面の静電潜像の露光した部分に付着させてトナー像とする現像工程とを有する方法を用いて画像が形成される。
具体的な画像形成方法は以下の通りである。まず、帯電部12を用いて感光体11の表面を帯電させる。次いで、露光部13を用いて感光体11の表面を露光して静電潜像を形成する。一方、現像部14において、撹拌ミキサー30を用いて2成分現像剤に含まれるトナーを帯電させる。その2成分現像剤を、パドルミキサー34を用いて磁気ローラー18へと供給し、磁気ローラー18の表面に2成分現像剤を担持させて磁気ブラシを形成させる。次に、該磁気ブラシからトナーのみを現像ローラー19の表面に移送させて現像ローラー19の表面にトナー層を形成させる。
そして、現像ローラー19のトナー層からトナーを感光体11に向けて飛翔させ、感光体11の表面に形成された静電潜像の露光した部分にトナーを付着させることで静電潜像をトナー像として現像する。ついで、トナー像を、転写部16を用いて、感光体11から、無端ベルト15上を移動する被転写体へ転写することで、被転写体上に画像が形成される。また、別途、転写工程後の感光体11の表面を、クリーニング部17を用いてクリーニングする。以上の工程は、繰り返し行われる。
コンテナ28から供給されたトナーは、撹拌ミキサー30でキャリアと混合され、2成分現像剤とされる。
以上説明したタッチダウン現像方式は、カラー画像を高速で形成可能であることから、複数色のトナーを用いるタンデム方式のカラー画像形成装置に採用されることが多い。しかし、このようなタンデム方式のカラー画像形成装置において、タッチダウン現像方式を採用する場合、現像装置の小型化のために、磁気ローラー18の下方に現像ローラー19を設けるのが一般的である。このような場合、現像剤がストレスを受けやすく、低印字濃度で長時間印刷を行う場合に、外添剤のトナー母粒子への埋没のような影響でトナーの過剰帯電が起こりやすくなる。そして、トナーが過剰帯電した結果、現像ローラー19へのトナーやトナーに含まれる成分の付着が起こりやすくなる。
具体的には、磁気ローラー18と現像ローラー19との間では、所望の帯電量になったトナーを磁気ローラー18から現像ローラー19に供給すると同時に、現像ローラー19から感光体11に飛翔せずに現像ローラー19に残ったトナーが磁気ローラー18に回収される。このため、現像ローラー19には、常にフレッシュなトナーが供給される。
しかし、上述のレイアウトでは、重力に逆らって、トナーを現像ローラー19から磁気ローラー18に移動させる必要があるため、トナーを回収しにくい。さらに、トナーが過剰に帯電すると、現像ローラーへの鏡像力が増してトナーが現像ローラー19に付着しやすくなるので、現像ローラー19から磁気ローラー18へのトナーの回収が困難になることがある。その結果、現像ローラー19には常に同じトナーが滞留し、トナーの過剰帯電がさらに加速される。その結果、現像ローラー19へのトナーの付着が強固となることで、現像ローラー19に付着したトナーの過剰な帯電電荷の影響で、トナーの磁気ローラー18から現像ローラー19への移行による現像ローラー19上のトナー層の形成が阻害されるために、良好な画像を形成しにくくなることがある。
しかし、本発明の静電潜像現像用トナーを使用すれば、定着性、及び流動性に優れ、良好な画像を形成でき、潜像担持体からトナー像を転写する際の中抜けが生じにくく、転写残トナーのクリーニング時のすり抜けに起因する画像不良が形成画像に生じにくい。特に、以上説明したように、現像スリーブへのトナーや、トナーに含まれる成分の付着が起こりやすい、タッチダウン現像方式を採用した画像形成装置であっても、本発明のトナーによれば、現像スリーブへのトナー付着を抑制できる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
実施例、及び比較例において結着樹脂として用いる非晶質ポリエステル樹脂を、調製例1に記載の方法に従い調製した。
〔調製例1〕
(非晶質ポリエステル樹脂の調製)
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1960g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物780g、ドデセニル無水コハク酸257g、テレフタル酸770g、及び酸化ジブチル錫4gを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下に、撹拌しながら235℃まで昇温した。次いで、同温度にて8時間反応を行った後、反応容器内を8.3kPaに減圧して1時間反応を行った。その後、反応混合物を180℃に冷却し、所望の酸化となるようにトリメリット酸無水物を反応容器に添加した。次いで、10℃/時間の速度で反応混合物を210℃まで昇温し同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して非晶質ポリエステル樹脂を得た。非晶質ポリエステルは、ガラス転移点が70℃、融点(Tm)が140℃、質量平均分子量(Mw)が55000であった。
実施例において結着樹脂として用いる結晶性ポリエステルA、及びBを、調製例2に記載の方法に従い調製した。
〔調製例2〕
(結晶性ポリエステルAの調製)
1,4−ブタンジオール918g、1,6−ヘキサンジオール118g、フマル酸1160g、酸化ジブチル錫4g、及びハイドロキノン2gを反応容器に仕込んだ。次に、反応容器内を窒素雰囲気下とし、撹拌しながら反応容器内を160℃まで昇温した。次いで、同温度で5時間反応を行った後、200℃まで昇温した。次いで、同温度にて1時間反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出し、冷却して結晶性ポリエステルAを得た。結晶性ポリエステルAは、軟化点が106℃、融点(Tm)が113℃、質量平均分子量(Mw)が5900、結晶性指数が0.9であった。
(結晶性ポリエステルBの調製)
160℃での反応時間を3時間とすることの他は、結晶性ポリエステルAと同様にして、結晶性ポリエステルBを得た。結晶性ポリエステルBは、軟化点が95℃、融点(Tm)が106℃、質量平均分子量(Mw)が4800、結晶性指数が0.9であった。
〔実施例1〕
調製例1で得た非晶質ポリエステル樹脂70質量部、調製例2で得た結晶性ポリエステルA30質量部、カルナバワックス(カルナバワックス1号(加藤洋行株式会社製))5質量部、電荷制御剤(P−51(オリヱント化学工業株式会社製))2質量部、及びカーボンブラック(MA100(三菱化学株式会社製))を、混合機を用いて混合し混合物を得た。次に、混合物を、2軸押出機を用いて溶融混練して混練物を得た。混練物を、粉砕機(ロートプレックス(株式会社東亜機械製作所製))を用いて粗粉砕して体積平均粒子径(D50)20μmの粗粉砕物を得た後に、機械式粉砕機(ターボミル(ターボ工業株式会社製))を用いて粗粉砕物を12回に分けて微粉砕し微粉砕物を得た。分級機(エルボージェット(日鉄鉱業株式会社製))を用いて微粉砕物を分級して、体積平均粒子径(D50)が6.7μmのトナー母粒子を得た。表1に、各回の粉砕後のトナー母粒子の体積平均粒子径(D50)を記す。
得られたトナー母粒子に、トナー母粒子の質量に対して1.8質量%の疎水性シリカ(REA200(日本アエロジル株式会社製))と、1.0質量%の酸化チタン(EC−100(チタン工業株式会社製))とを加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、回転周速30m/秒の条件で5分間、撹拌及び混合して、体積平均粒子径6.8μmの黒色トナーを得た。得られた黒色トナーの体積平均粒子径、平均円形度、及び平均アスペクト比を、以下の方法に従い測定した。実施例1の黒色トナーの体積平均粒子径、平均円形度、及び平均アスペクト比を表2に記す。
<体積平均粒子径測定方法>
実施例1のトナーの体積平均粒子径の測定は、コールターカウンターマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて行った。電解液としてアイソトンII(ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャーとして100μm径のアパーチャーを用いた。電解液(アイソトンII)に少量の界面活性剤を添加した溶液に実施例1のトナー10mgを加え、超音波分散器を用いて実施例1のトナーを電解液中に分散させた。実施例1のトナーが分散した電解液を測定試料として用い、コールターカウンターマルチサイザー3を用いて実施例1のトナーの粒度分布を測定し、実施例1のトナーの体積平均粒子径を得た。
<平均円形度測定方法>
フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000(シスメックス株式会社製))を用いて実施例1のトナーの平均円形度を測定した。23℃、60%RHの環境下において、円相当径0.60μm以上400μm以下の範囲の実施例1のトナー粒子について、トナー粒子像と同じ投影面積を持つ円の円周の長さ(L)と、トナー粒子投影像の外周の長さ(L)とを測定し、下式に従って円形度を求めた。円相当径3μm以上10μm未満の実施例1の測定したトナー粒子の円形度の総和を、円相当径3μm以上10μm未満の測定した実施例1のトナー粒子数で除した値を平均円形度とした。
(円形度算出式)
円形度a=L/L
<平均アスペクト比、及びアスペクト比分布測定方法>
フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000(シスメックス株式会社製))を用いて実施例1のトナーの平均アスペクト比、及びアスペクト比分布を測定した。23℃、60%RHの環境下において、円相当径0.60μm以上400μm以下の範囲の実施例1のトナー粒子について、短径及び長径を測定し下式から実施例1の各トナー粒子のアスペクト比を求めた。得られた実施例1の各トナー粒子のアスペクト比から、円相当径3μm以上10μm未満の実施例1のアスペクト比を測定したトナー粒子のアスペクト比の総和を求め、得られた総和の値を円相当径3μm以上10μm未満のアスペクト比を測定した実施例1のトナー粒子数で除し、円相当径3μm以上10μm未満の実施例1のトナー粒子の平均アスペクト比を求めた。また、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)について、D3〜D9の値を求めた。具体的には、例えば、D3の値については、円相当径3μm以上4μm未満のアスペクト比を測定した実施例1のトナー粒子のアスペクト比の総和を求めた。そして、得られた総和の値を円相当径3μm以上4μm未満のアスペクト比を測定した実施例1のトナー粒子数で除してD3を求めた。また、D3〜D9の値を用いて、D3〜D9の値の標準偏差Dσを求めた。
(アスペクト比算出式)
アスペクト比b=短径/長径
また、実施例1の黒色トナーについて、以下の方法に従い、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性の評価を行った。実施例1のトナーの評価結果を表2に示す。
<画像品質評価>
プリンター(FS−C5016(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))用の現像剤に使用されているキャリアと実施例1のトナーとを、キャリア100質量部に対してトナー10質量部の割合で混合して2成分現像剤を得た。画像品質の評価には、プリンター(FS−C5016(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いた。実施例1の2成分現像剤をプリンターの現像器に充填し、また、実施例1のトナーをプリンターのトナーコンテナに充填した。そして、23℃60%RHの環境下において、印字速度16枚/分、印字率5%の条件にて5000枚連続して印字した。次に、画像評価パターンを出力した。画像評価パターンのベタ画像、50%ハーフ画像、及び現像器の現像ローラーのスリーブの状態を目視で観察し、以下の基準に従って画像品質を評価した。実用上許容できる評価結果は5、及び4である。
5:現像スリーブ上に付着物は見られず、ベタ画像、50%ハーフ画像共に良好である。
4:現像スリーブ上に少量の付着物が見られるが、ベタ画像、50%ハーフ画像共に良好である。
3:現像スリーブ上に多量の付着物が見られ、ベタ画像、50%ハーフ画像に周期性を有する画像欠損(スリーブ層ムラ)がわずかに発生している。
2:現像スリーブ上に多量の付着物が見られ、ベタ画像、50%ハーフ画像に周期性を有する画像欠損(スリーブ層ムラ)が多数発生している。また、5000枚の耐久印刷の途中から現像スリーブ上の付着物の影響に起因する画像不良が発生し始める。
1:現像スリーブ上に多量の付着物が見られ、ベタ画像、50%ハーフ画像に周期性を有する画像欠損(スリーブ層ムラ)が多数発生している。また、初期画像形成時から現像スリーブ上の付着物の影響に起因する画像不良が確認される。
<転写性評価(中抜け評価)>
プリンター(FS−C5016(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いて評価した。実施例1の2成分現像剤を現像器に充填し、初期画像として細線画像を形成した。細線画像上の中抜けの有無を、ルーペを用いて観察して、下記の基準に従って転写性を評価した。実用上許容できる評価結果は5、及び4である。
5:中抜け発生無し。
4:極わずかに中抜けが発生。
3:少量の中抜けが発生。
2:局所的に多くの中抜けが発生。
1:広範囲にわたり顕著に中抜けが発生。
<クリーニング性評価>
プリンター(FS−C5016(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いて評価した。転写性評価に続き、ベタ画像を形成した直後に白紙画像を形成し、白紙画像を目視で観察してトナーのすり抜けの状態を評価した。実用上許容できる評価結果は3である。
3:白紙画像中にトナーのすり抜けに起因する黒筋は確認されない。
2:白紙画像中にトナーのすり抜けに起因する黒筋がわずかに確認される。
1:白紙画像中に多量のトナーのすり抜けに起因する黒筋が確認される。
<定着性評価>
プリンター(FS−C5016(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いて評価した。定着温度を180℃に設定し、20℃65%RH環境下にて定着パターンソリッド画像を連続5枚印字した後、測定用画像を得た。評価機は、電源を切った状態で10分間静置した後、電源を入れて用いた。得られた測定用画像の、摩擦前の画像濃度を、グレタグマクベススペクトロアイ(RD914(グレタグマクベス社製))を用いて測定した。
次いで、布帛で覆った1kgの黄銅製分銅を用いて、分銅の自重のみが画像にかかるように10往復させて摩擦し、摩擦後の評価画像の画像濃度を測定した。下式に従って、摩擦前後の画像濃度から定着率を算出した。算出した定着率から、下記基準に従って定着性を評価した。実用上許容できる評価は3である。
定着率(%)=(摩擦後画像濃度/摩擦前画像濃度)×100
3:定着率が95%以上。
2:定着率が90%以上、95%未満。
1:定着率が90%未満。
<流動性評価>
トナー10.0gを、23℃60%RHの環境下に12時間静置した。次いで、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、振動条件を、振幅1mm、周波数60Hzとして、30秒間、目開き60μmの篩でトナーを篩別し、下式に従って残留率(%)を求め、下記基準に従って評価した。実用上許容できる評価は3である。
(残留率算出式)
残留率(%)=篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量(10.0g)×100
3:残留率が20%未満。
2:残留率が20%以上、40%未満。
1:残留率が40%以上。
〔実施例2〜5、及び比較例7〕
表1に記載の微粉砕回数で、各回の微粉砕において表1に記載される体積平均粒子径(D50)となるまで微粉砕を行う他は、実施例1と同様にして、実施例2〜5、及び比較例7のトナーを得た。実施例2〜5、及び比較例7のトナーについて、実施例1のトナーと同様に、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性の評価を行った。体積平均粒子径、平均円形度及び平均アスペクト比を含む実施例2〜5のトナーの評価結果を表2に示し、比較例7のトナーの評価結果を表4に示す。
〔実施例6〕
調製例2で得た結晶性ポリエステルA30質量部に変えて、調製例2で得た結晶性ポリエステルB30質量部を用い、表1に記載の微粉砕回数にて、各回の微粉砕において表1に記載される体積平均粒子径(D50)となるまで微粉砕を行う他は、実施例1と同様にして、実施例6のトナーを得た。実施例6のトナーについて、実施例1のトナーと同様に、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性の評価を行った。体積平均粒子径、平均円形度及び平均アスペクト比を含む実施例6のトナーの評価結果を表2に示す。
〔比較例1〜3、8、及び9〕
調製例1で得た非晶質ポリエステル樹脂70質量部、及び調製例2で得た結晶性ポリエステルA30質量部に変えて、調製例1で得た非晶質ポリエステル樹脂100質量部を用い、表1に記載の微粉砕回数にて、各回の微粉砕において表1に記載される体積平均粒子径(D50)となるまで微粉砕を行う他は、実施例1と同様にして、比較例1〜3、8、及び9のトナーを得た。比較例1〜3、8、及び9のトナーについて、実施例1のトナーと同様に、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性の評価を行った。体積平均粒子径、平均円形度及び平均アスペクト比を含む比較例1〜3のトナーの評価結果を表3に示し、体積平均粒子径、平均円形度及び平均アスペクト比を含む比較例8、及び9のトナーの評価結果を表4に示す。
〔比較例4〕
微粉砕工程に、衝突式粉砕機(ジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製))を用いて、微粉砕工程を1回で行うことの他は、実施例1と同様にして、比較例4のトナーを得た。比較例4のトナーについて、実施例1のトナーと同様に、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性の評価を行った。体積平均粒子径、平均円形度及び平均アスペクト比を含む比較例4のトナーの評価結果を表3に示す。
〔比較例5〕
比較例4で得た外添剤を付着させる前のトナー母粒子を、サフュージョン(日本ニューマチック株式会社製)を用いて処理温度300℃にて球形化処理した。球形化処理されたトナー母粒子に、実施例1と同様に外添剤を付着させて、比較例5のトナーを得た。比較例5のトナーについて、実施例1のトナーと同様に、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性の評価を行った。体積平均粒子径、平均円形度及び平均アスペクト比を含む比較例5のトナーの評価結果を表3に示す。
〔比較例6〕
比較例4で得た外添剤を付着させる前のトナー母粒子を、サフュージョン(日本ニューマチック株式会社製)を用いて処理温度350℃にて球形化処理した。球形化処理されたトナー母粒子に、実施例1と同様に外添剤を付着させて、比較例6のトナーを得た。比較例6のトナーについて、実施例1のトナーと同様に、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性の評価を行った。体積平均粒子径、平均円形度及び平均アスペクト比を含む比較例6のトナーの評価結果を表4に示す。
Figure 2014071333
Figure 2014071333
Figure 2014071333
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表1、及び表2によれば、トナーの製造における微粉砕工程を、機械式粉砕機(ターボミル)を用いて複数回に分割して行うことで、平均アスペクト比が0.825以上0.900以下であり、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下であるトナーを調製できることが分かる。
トナーを1回で所望の粒子径まで粉砕する場合、粉砕工程の初期では、トナー粒子の角や周囲が削られることに起因する粒子径変化が主に起こるが、粉砕工程の後期では、トナー粒子の角が取れているためトナー粒子の割れに起因する粒子径変化が主に生じ、アスペクト比の低いトナー粒子が得られると思われる。このため、トナー粒子の粉砕を複数回に分けて行う場合、粒子の角が削れることに起因する粒子径変化の比率を高めることができ、アスペクト比の比較的大きなトナー粒子が得られると考えられる。
表2によれば、少なくとも結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、平均アスペクト比が0.825以上0.900以下であり、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下である、実施例1〜6のトナーは、画像品質、転写性、クリーニング性、定着性、及び流動性、何れも良好であることが分かる。
表3によれば、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含まず、平均アスペクト比が0.825未満であり、Dmax−Dminが0.07を超える比較例1、及び2のトナーでは、定着性、及び流動性が損なわれ、転写性が大きく損なわれていることが分かる。また、Dmax−Dminは0.07以下であるが、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含まず、平均アスペクト比が0.825未満である比較例3のトナーでは、画像品質、及びクリーニング性に問題は無いものの、定着性、及び流動性が損なわれ、転写性が大きく損なわれていることが分かる。さらに、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、平均アスペクト比は0.825以上0.900以下であるが、Dmax−Dminが0.07を超える比較例4のトナーでは、画像品質、クリーニング性、及び定着性に問題は無いものの、流動性が損なわれ、転写性がやや損なわれていることが分かる。
また、表3によれば、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、Dmax−Dminは0.07以下であるが、平均アスペクト比が0.900を超える比較例5のトナーでは、転写性、定着性、及び流動性は問題ないものの、画像品質、及びクリーニング性がやや劣ることが分かる。
表4によれば、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、Dmax−Dminは0.07以下であるが、平均アスペクト比が0.900超である比較例6のトナーでは、転写性、定着性、及び流動性に問題は無いものの、画像品質が損なわれ、クリーニング性が大きくが損なわれることが分かる。また、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含み、Dmax−Dminは0.07以下であるが、平均アスペクト比が0.825未満である比較例7のトナーでは、画像品質、転写性、クリーニング性、及び定着性に問題は無いものの、流動性が損なわれていることが分かる。
また、表4によれば、平均アスペクト比が0.825以上0.900以下であり、粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下であるが、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含まない、比較例8、及び9のトナーでは、画像品質、転写性、クリーニング性、及び流動性に問題は無いものの、定着性が損なわれていることが分かる。
10 画像形成装置
11 感光体
12 帯電部
13 露光部
14 現像部
15 無端ベルト
16 転写部
17 クリーニング部
18 磁気ローラー
19 現像ローラー
20 電源
22 電源
24 電源
26 規制ブレード
28 コンテナ
30 撹拌ミキサー
32 仕切板
36 枠体

Claims (7)

  1. 少なくとも、結着樹脂を含み、
    前記結着樹脂は、結晶性ポリエステルを含み、
    粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比が0.825以上、0.900以下であり、
    粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の最大値であるDmaxと最小値であるDminとの差が0.07以下である、静電潜像現像用トナー。
  2. 粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均円形度が0.967以上0.980以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 粒子径3μm以上10μm未満のトナー粒子の平均円形度が0.970以上0.980以下である、請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 体積平均粒子径が5μm以上10μm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 粒子径4.0μm以下の個数微粉率が8%以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 粒子径の体積分布の標準偏差(SD)が1.25以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
  7. 前記粒子径nμm以上n+1μm未満のトナー粒子の平均アスペクト比であるDn(nは3以上9以下の整数)の標準偏差が0.0190以上、0.0233以下である、請求項1〜6の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
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