本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
<光学シート>
図1は、本発明の光学シートの一つの実施形態例である光学シート10aについて、層構成を概略的に示した厚さ方向断面図である。図1では見やすさのため、繰り返しとなる符号は一部省略している(以降に示す各図において同じ。)。
光学シート10aは、面光源装置において光源より観察者側に配置され、該光源から出射される光を制御して観察者側に出射するシート状の部材である。図1において、紙面左が光源側となる側、紙面右が観察者側となる側である。
光学シート10aは、光源側から表面マットシート層16、粘着剤層15、光拡散層12aおよび基材層11を有する積層シートである。以下に各層について説明する。
基材層11は、後で詳しく説明する光拡散層12aを形成するための基材となる層である。基材層11を構成する材料の主成分は透光性を有していれば特に限定されることはない。「主成分」とは、層を構成する材料全体に対して50質量%以上含有されている成分のことを意味する(以下同じ。)。基材層11を構成する材料の主成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6等のポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でも入手の容易性、コスト、電離放射線硬化性樹脂との密着性等の観点からは、ポリカーボネート樹脂が好ましい。基材層11を構成する樹脂中には、主成分以外に他の樹脂や各種添加剤を適宜添加してもよい。一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。また、これらの樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を加えても良い。
基材層11の厚さは特に限定されることはないが、50μm以上200μm以下であることが好ましく、75μm以上125μm以下であることがさらに好ましい。
基材層11は、光拡散層12aが備えられる側とは反対側の表面に微細な凹凸を有するマット面が形成されていることが好ましい。これにより光学シート10aを液晶表示装置に用いたときに、いわゆる光学的な密着による干渉縞(ニュートンリング)を抑制することができる。特に、カーナビゲーションシステムのモニターにおいては、高温高湿の環境下で偏光板との部分的な密着による干渉縞の発生が無いことが要求されている。すなわち、光学的な密着がされる部分では、微小な空気層が形成されており、該空気層直前の界面で反射した光と、空気層を透過した後の界面で反射した光とが干渉することにより干渉縞を生じる。これに対して、基材層11にマット面が形成されていることにより、当該干渉が生じるような空気層(例えば層厚が微小で一定である空気層)が形成されることを抑制できるので、干渉縞の発生を抑えることができる。従って、基材層11に形成されるマット面の面粗度は、当該干渉縞を抑制することができれば特に限定されるものではないが、平均粗さ(Ra)で0.1μm以上であることが好ましい。面粗度が小さすぎると、粗面を形成した上記効果が小さくなってしまうからである。一方、光の拡散が多くなり、光の出射範囲を制御する効果が低減する観点から、当該Raは1.5μm以下であることが好ましい。
基材層11にマット面を形成する方法は特に限定されず、公知の手法を採用することができる。これには例えば、エンボスが形成されたロールによる転写、サンドブラスト、印刷及び塗装等を挙げることができる。
光拡散層12aは光透過部13および光拡散部14aを有している。光拡散層12aは、図1に示した断面を有して紙面奥/手前側に延在する。すなわち、図1に表れる断面を有して光透過部13及び光拡散部14aがシート面に沿った一方向に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向のシート面に沿って複数の光透過部13が配列されている。そして光拡散部14aは光透過部13の間に配置されている。
光透過部13は光を透過する部位であり、光透過部13は光を拡散させることなく透過する部位であることが好ましい。ここに「光を拡散させることなく透過する」とは、光を拡散させる材料等を意図的に添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に若干の拡散が生じることは許される。また、光透過部13は、光透過部13の基材層11側の面とその反対側面(光源側の面)とが平行に形成されている。
光透過部13を構成する材料は、基材層11と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏光されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
光透過部13と基材層11とを同じ材料で構成する場合には、基材層11と光透過部13とを一体に形成することもできる。また、光透過部13と基材層11とを異なる材料で構成する場合、及び同じ材料で構成する場合であっても、基材層11と光透過部13を別々に形成し、公知の手段により積層してもよい。光透過部13の形成方法の具体例は後で説明する。
光透過部13は屈折率がNpであり、光透過性を有する。このような光透過部13を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。屈折率Npの値は特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点等から1.49〜1.56であることが好ましい。
光拡散部14aは、到達した光を拡散させることができるように構成されている。詳しくは次の通りである。
上記したように光透過部13はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、光透過部13間には、台形断面を有する凹部が形成されている。本実施形態における凹部は、図1に表れる断面(シート厚方向断面)において、光源側となる側から観察者側となる側に向かうにつれて幅が狭くなる台形状の断面を有した溝であり、ここに光拡散部14aを構成する材料が充填されることにより光拡散部14aが形成されている。従って光拡散部14aも凹部に沿った台形断面を具備している。
光拡散部14aの台形断面のうち脚部を構成する斜辺の、シート面法線に対する角度θ1(図1参照)は、0°以上20°以下であることが好ましい。シート面法線に対する角度θ1が0°未満(本実施形態でθ1が負であるとは、図1に表れる断面において、光拡散部14aの基材層11側の底の幅より光源側の底の幅が短い形状となることを意味する。)になるように光拡散部14aを形成するとすれば、光拡散層12aを形成する際に用いる金型の作製が困難になり、金型を作製したとしてもこれにより成形した材料の離型性が悪くなる。一方、θ1が大き過ぎると光透過部13間に形成される凹部の開口幅に対する凹部の深さのアスペクト比を大きくとることが困難となり、光拡散層12aによる後述する所望の効果が低減する虞がある。
ただし、本発明において光透過部及び光拡散部の形状は図1に例示した形態に限定されない。光透過部は基材層側の面とその反対側の面とが平行に形成されていればよい。従って、図1に表れる断面に相当する断面において、光透過部および光拡散部は長方形(θ1=0°のとき)であってもよく、上記光拡散部の台形の脚部に相当する部分が曲線状(当該曲線の接線が各部において上記θ1と同じ条件であることが好ましい。)や折れ線状(折れ線を構成する各線が上記θ1と同じ条件であることが好ましい。)であってもよい。
また、光拡散部14aと光透過部13との界面で光を拡散させ易くするという観点からは、光拡散部14aと光透過部13との界面を、微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
光拡散部14aが並列されるピッチは特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光拡散部14aのピッチが狭すぎると、光拡散層12aによる後述の効果が低減する虞があるとともに、微細形状になるので加工が困難になる。一方、光拡散部14aのピッチが広すぎると、金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
光拡散部14aの台形断面のうち、光源側の幅は特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。この幅が狭すぎると光拡散層12aによる後述の効果が低減する虞があるとともに、微細形状になるので加工が困難になる。一方、この幅が広すぎると金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
光拡散部14aは、光透過部13の屈折率Npより低い屈折率Nbを有する所定の材料により構成されることが好ましい。光透過部13の屈折率Npと光拡散部14aの屈折率NbとをNp>Nbとしたときには、光透過部13と光拡散部14aとの界面において、屈折率差と該界面への入光角との関係に基づいて、臨界角以上の角度で該界面に到達した光を全反射させ、臨界角未満の角度で該界面に到達した光を光拡散部14aに入射させて後述するように拡散させることができる。このように光拡散層12に入射した光を全反射や拡散させることによって、シート面法線方向に対して平行に近い角度で光学シート10から出射される光の量を増やすことができる。NpとNbとの屈折率の差は特に限定されるものではないが、0より大きく0.06以下であることが好ましい。
光拡散部14aは、光を反射して拡散する材料を含有することにより光を拡散反射させることができる。このような光拡散部14aを構成する材料としては、例えば白色顔料や銀色顔料を混ぜた硬化性樹脂が挙げられる。この場合、当該硬化性樹脂の屈折率がNbである。光拡散部14aに用いる白色顔料としては、例えば、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えば、アルミニウム、クロムなどの金属が挙げられる。これにより効率よく光を拡散反射させることができる。また、硬化性樹脂は光透過部13を構成する材料と同様のものを用いることができる。上記のような材料を光透過部13間の凹部に充填することにより、光拡散部14aを形成することができる。
光拡散層12aの厚さは特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光拡散層12aが薄過ぎると光拡散部14aの高さ(厚さ方向大きさ)が不足して所望の光学的効果が低減してしまったり、光拡散部14aの加工自体が困難になったりする虞がある。一方、光拡散層12aが厚過ぎると逆に光拡散部14aが高くなりすぎ、そのための金型の製造、及び金型からの材料の離型性が低下し、生産性が悪くなる虞がある。
次に、粘着剤層15について説明する。粘着剤層15は、表面マットシート層16と光拡散層12aとを接着するための層である。粘着剤層15を構成する材料としては、表面マットシート層16と光拡散層12aとを接着できるものであれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。粘着剤層15を構成する材料としては、例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、粘着剤層15を構成する材料は、光学シート10の性質上、透光性、耐候性に優れることが好ましい。
粘着剤層15の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。粘着剤層15の厚さを上記範囲とすることによって、粘着剤層15の厚さを均一にしつつ、表面マットシート層16と光拡散層12aとの密着性を確保しやすくなる。
次に、表面マットシート層16について説明する。表面マットシート層16は、透光性を有しており、光拡散層12aが備えられる側とは反対側の表面に微細な凹凸を有するマット面が形成されたシートで構成された層である。表面マットシート層16は、上述した基材層11を構成するシートと同様のシートによって構成することができる。このように光拡散層12を基材層11と表面マットシート層16とで挟持する形態とすることによって、光学シート10の反りを防止することができる。
次に、光学シート10aの製造方法について説明する。
光拡散層12aは金型ロールを用いる方法により形成する。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光拡散層12aの光透過部13の形状を転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層11となる基材を挿入する。このとき基材の一方の面にはAG層15が予め形成されていることが好ましい。基材のうちAG層15が形成されていない側の面と金型ロールとの間に光透過部13を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過部13を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部13を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン化合物(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部13の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部13を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部13を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層11および成形された光透過部13を離型する。
次に、光透過部13間に形成された凹部に光拡散部14aを構成する組成物を充填して硬化させることによって、光拡散部14aを形成することができる。具体的には、電離放射線硬化性樹脂やその他公知の硬化性樹脂に、上記した光を反射して拡散する材料を分散させた組成物を凹部に過剰に供給し、ブレードによりスキージして余分な組成物を掻きとって除去するとともに、凹部に組成物を充填する。このようにして充填された組成物に対して適切な硬化方法を適用して硬化性樹脂を硬化させる。
以上により光拡散部14aが形成される。
次に、一方の面側に粘着剤層15が形成された表面マットシート層16となるシートを準備し、粘着剤層15を介して当該シートを光拡散層12aに貼合する。このようにして、光学シート10aを製造することができる。
以上説明したように、光学シート10aは蒸着等のプロセスを必要とせずに、容易且つ安価に製造することができる。
次に、光学シート10aを面光源装置において光源の観察者側に配置したときの作用について説明する。図1に模式的な光路例を示した。なお当該光路例は概念的に示したものであり、屈折、反射の程度等を厳密に表したものではない。以下同様である。
光源から出射され、シート面法線に対して小さな角度で光透過部13に入射した光L11は、光透過部13および基材層11を透過して光学シート10aから出射し、LCDに提供される。一方、光源から出射されて光拡散部14aに入射した光L12は、光拡散部14aにおいて拡散反射される。そして、拡散反射された光L12は、基材層11を透過して光学シート10aから出射し、LCDに提供される。光学シート10aによれば、光拡散部14aに達した光が吸収されることなく拡散反射されて観察者側に出射されるので、光源からの光を効率よくLCD側に出射することができる。また、シート面法線に対して大きな角度で光拡散部14aに入射した光を拡散反射させることによって、シート面法線に対して小さい角度で光学シート10aから出射する光の量を増やすことができる。すなわち、光学シート10aを光源とLCDとの間に配設したとき、入射した光をシート面法線方向に対して平行に近づけてLCDに向けて出射することができる。
次に、本発明の光学シートの他の実施形態例について説明する。図2は、第二実施形態にかかる光学シート10bを説明する図であり、該光学シート10bの図1に相当する図である。図2において、図1と同様の構成のものには同じ符号を付しており、これらについては説明を省略する。
光学シート10bは、光源側から表面マットシート層16、粘着剤層15、光拡散層12bおよび基材層11を有する積層シートである。光学シート10bは、上記した光学シート10aの光拡散層12aに代えて光拡散層12bが適用されている点で光学シート10aと異なる。その他の点については、光学シート10bと光学シート10aは同様である。
光学シート10aに備えられた光拡散層12aの光拡散部14aが光を拡散反射させるのに対して、光学シート10bに備えられた光拡散層12bの光拡散部14bは光を透過させつつ拡散させるという点で、光学シート10bは光学シート10aと異なる。光拡散部14bは、光拡散部14aと同様に、光透過部13間の凹部に形成される。到達した光を透過させつつ拡散させる光拡散部14bを構成する材料としては、透明な硬化性樹脂と該硬化性樹脂とは屈折率が異なる透明な拡散剤とを混合させた材料が好ましい。当該拡散剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製のガンツパールが挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、拡散剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパールが挙げられる。また、拡散剤は中空粒子にすることも可能である。
光学シート10bも光学シート10aと同様に、蒸着等のプロセスを必要とせずに、容易且つ安価に製造することができる。
次に、光学シート10bを表示装置の観察者側に配置したときの作用について説明する。図2に模式的な光路例を示した。
光源から出射され、シート面法線に対して小さな角度で光透過部13に入射した光L21は、光透過部13および基材層11を透過して光学シート10bから出射し、LCDに提供される。一方、光源から出射され、シート面法線に対して大きな角度で光拡散層12bに入射した光L22は、光拡散部14bに入射して拡散透過する。そして、拡散透過した光L22は、基材層11を透過して光学シート10bから出射し、LCDに提供される。光学シート10bによれば、光拡散部14bに達した光が吸収されることなく拡散反射されて観察者側に出射されるので、光源からの光を効率よくLCD側に出射することができる。また、シート面法線に対して大きな角度の光を拡散させることによって、シート面法線に対して小さい角度で光学シート10bから出射する光の量を増やすことができる。すなわち、光学シート10bを光源とLCDとの間に配設したとき、入射した光をシート面法線方向に対して平行に近づけてLCDに向けて出射することができる。
次に、本発明の光学シートの他の実施形態例について説明する。図3は第三実施形態にかかる光学シート20の断面を示し、該光学シート20の図1に相当する図である。図3において、図1と同様の構成のものには同じ符号を付しており、これらについては説明を省略する。
光学シート20は、光源側から賦型マット層17、光拡散層12aおよび基材層11を有する積層シートである。光学シート20は、上記した光学シート10aの表面マットシート層16および粘着剤層15に代えて賦型マット層17が適用されている点で光学シート10aと異なる。その他の点については、光学シート20と光学シート10aは同様である。
賦型マット層17は、硬化性樹脂によって構成された、透光性を有しており、光拡散層12aが備えられる側とは反対側の表面に微細な凹凸を有するマット面が形成されている。賦型マット層17が有するマット面の形状は、上述した基材層11のマット面と同様である。
賦型マット層17は透明な硬化性樹脂を含む組成物によって構成されており、硬化前の硬化性樹脂を含んだ組成物を光拡散層12aの表面に塗工し、所定の表面形状を有する型を押しつけつつ、または押し付けた後に該硬化性樹脂を硬化させることによって形成できる。賦型マット層17を構成する組成物としては、従来公知の硬化性樹脂を用いることができ、例えば光透過部13を構成する組成物と同様の組成物を用いることができる。
光学シート20は、光学シート10aと同様に、光拡散層12aによって所定の方向(光透過部13の並列方向)に平行な面内において入射した光をシート面法線方向に対して平行に近づけて出射することができ、入射した光の利用効率が高く、且つ安価に製造できる。
なお、光学シート20の説明では、光拡散層12aを備えた形態と例示して説明したが、光拡散層12aに代えて光拡散層12bを備える形態としてもよい。
次に、本発明の光学シートの第四実施形態例について説明する。図4は第四実施形態例にかかる光学シート30の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
光学シート30は、光源側から表面マットシート層16、粘着剤層15、光拡散層12a(以下、「第1の光拡散層12a」ということがある。)、基材層11(以下、「第1の基材層11」ということがある。)、粘着剤層25、光拡散層22(以下、「第2の光拡散層22」ということがある。)および基材層21(以下、「第2の基材層21」ということがある。)を有する積層シートである。表面マットシート層16、粘着剤層15、第1の光拡散層12および第1の基材層11は上述した光学シート10aと同様であるので、説明を省略する。
第2の基材層21は第1の基材層11と同様の構成であり、第2の光拡散層22は第1の光拡散層12aと同様の構成を有しているが、第2の光拡散層22の光拡散部24(図3には光透過部23のみが表れ、光拡散部24は表れない。)が第1の光拡散層12aの光拡散部14と直交するような向きで配置されている。図5に、第1の光拡散層12aの光拡散部14と第2の光拡散層22の光拡散部24との関係を示した。図5は、光学シート30をLCDが備えられる側の正面(シート面法線方向)から見た概略図である。
粘着剤層25は、第1の基材層11と第2の光拡散層22とを接着するための層である。粘着剤層25を構成する材料としては、第1の基材層11と第2の光拡散層22とを接着できるものであれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。粘着剤層25を構成する材料としては、例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、粘着剤層25を構成する材料は、光学シート30の性質上、透光性、耐候性に優れることが好ましい。
粘着剤層25の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。粘着剤層25の厚さを上記範囲とすることによって、粘着剤層25の厚さを均一にしつつ、第1の基材層11と第2の光拡散層22との密着性を確保しやすくなる。
光学シート30によれば、光学シート10aと同様に第1の光拡散層12aによって所定の方向(光透過部13の並列方向)に平行な面内において出射される光をシート面法線方向に近づけることができる効果に加えて、第2の光拡散層22によって、その直交方向(光透過部23の並列方向)に平行な面内においても出射される光をシート面法線方向に近づけることができる。
光学シート30は、表面マットシート層16、粘着剤層15、第1の光拡散層12aおよび第1の基材層11を含む積層シートを上述した光学シート10aと同様の方法で作製した後、粘着剤層25を介して、第2の基材層21の一方の面側に第2の光拡散層22が形成された積層シートを貼合することによって製造できる。第2の光拡散層22は、第1の光拡散層12aと同様にして形成できる。なお、粘着剤層25は、第1の基材層11の一方の面側に第1の光拡散層12aを形成する前に第1の基材層11の他方の面側に形成しておいてもよく、第1の基材層11と第2の光拡散層22とを貼り合わせる際に第1の基材層11または第2の光拡散層22の表面に形成してもよい。粘着剤層25が紫外線硬化性樹脂等からなる場合には、粘着剤層25を介して第1の基材層11と第2の光拡散層22とを積層した後に紫外線等を照射して硬化させればよい。
これまでの光学シート30の説明では、図5に示したように、光学シートの正面視において、第1の光拡散層の光拡散部と第2の光拡散層の光拡散部とが、それぞれ光学シートの四辺のいずれかに平行に並列された形態を例示して説明した。しかしながら、本発明はかかる形態に限定されず、第1の光拡散層の光拡散部と第2の光拡散層の光拡散部とは、光学シートの正面視においてそれぞれ光学シートの四辺に対して傾斜した方向に並列されていてもよい。このとき、光学シートを正面から見たときの第1の光拡散層の光拡散部と第2の光拡散層の光拡散部との交差角はとくに限定されないが、例えば、45°以上90°以下であることが好ましく、90°であることがより好ましい。
また、これまでの光学シート30の説明では、第1の光拡散層と第2の光拡散層の表裏が同一方向、すなわち、どちらについても基材層が観察者側となるように配置された形態を例示して説明したが、本発明はかかる形態に限定されず、第1の光拡散層と第2の光拡散層のどちらか若しくは両方が図示した形態と表裏が反対の形態であってもよい。
また、これまでの光学シート30の説明では、第1の光拡散層12aと第2の光拡散層22とを備える形態を例示して説明したが、本発明はかかる形態に限定されず、第1の光拡散層と第2の光拡散層のどちらか若しくは両方を、光拡散層12bのように光を透過拡散する層としてもよい。
また、これまでの光学シート30の説明では、表面マットシート層16および粘着剤層15を備えた形態を例示して説明したが、本発明の光学シートはかかる形態に限定されない。上述した光学シート20と同様に、表面マットシート層16および粘着剤層15に替えて賦型マット層17を備える形態としてもよい。
<面光源装置>
次に、本発明の面光源装置について説明する。上述した本発明の光学シートは、液晶表示装置等に用いられる面光源装置に適用することができる。
本発明の面光源装置は光源と上述した本発明の光学シートとを備えている。以下の本発明の面光源装置の説明では、上述した光学シート10aを備えた形態を例示しているが、光学シート10aに替えて本発明の他の形態の光学シート(例えば、光学シート10b、光学シート20、光学シート30等。)を備えた形態としてもよい。
図6は、本発明の面光源装置の一つの実施形態例である面光源装置100の構造を説明する分解断面図である。
面光源装置100は、光源101を備えており、光源101から観察者側に向かって拡散シート102、プリズムシート103、反射型偏光シート104および光学シート10aを列記した順で備えている。これらの構成要素は、公知の粘着剤等によって互いに位置を固定される。
光源101は、液晶表示装置の光源である。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるバックライトを用いることができる。これには例えば、発光源を面内に略均等に配置して面状の光源とする形式や、縁(エッジ)に発光源を配置して反射面等を利用して最終的に面状に光を出射するエッジ入力型とする形式等を挙げることができる。
拡散シート102は、光源101からの光を等方的に拡散させて出射するシート状の部材である。拡散シート102としては、通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられる拡散シートを用いることができる。
プリズムシート103は、シート状の基材上に光源101とは反対側に突出するように複数の単位プリズムが形成された部材であり、該プリズムにおいて臨界角以上の光を全反射させて光源101側に戻すとともに、臨界角以下の光を正面に向け出射することによって、正面輝度を向上させることができる。プリズムシート103としては、通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるプリズムシートを用いることができる。
上記プリズムシート103の観察者側には、拡散シートを設けてもよい。当該拡散シートは、プリズムシート103から出射された光を均一にするための部材であり、通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられる拡散シートを用いることができる。
反射型偏光シート104は、所定の偏光した光を透過し、それ以外の光を反射することができる偏光シートである。これによれば、透過しない光は反射されて再利用に供されるので輝度の向上を図ることが可能となる。ここに用いられる反射型偏光シートは公知のシートを用いることができる。
上述したように、本発明の光学シートによれば、入射した光をシート面法線方向に対して平行に近づけて出射することができ、入射した光の利用効率が高く、且つ安価に製造できる。よって、本発明の光学シートを備えた面光源装置100によれば、光源101からの光を観察者側の表面の法線方向に対して平行に近づけて映像源へと効率良く提供することができ、製造コストを低減させることができる。
図7は、本発明の面光源装置の他の実施形態例である面光源装置200の構造を説明する分解断面図である。
面光源装置200は、光源101を備えており、光源101から観察者側に向かって拡散シート102、プリズムシート103、光学シート10aおよび反射型偏光シート104を列記した順で備えている。面光源装置200を構成するこれらの要素は、配列順が異なる以外は上述した面光源装置100と同様である。
特許文献2に開示されているような入射した光の一部を吸収する光学シートを用いる場合には、プリズムシートや反射型偏光シートによって光源側に戻された光が当該光学シートで吸収されて光源からの光の利用効率が低下してしまうことを防止するため、プリズムシート及び反射型偏光シートよりも観察者側に当該光学シートを配置する必要があった。一方、本発明の光学シートは、図7に示したように光源101と反射型偏光シート104との間に配置したとしても、反射型偏光シート104によって光源101側に戻された光を吸収せずに拡散させることができるので、光の利用効率の低下を抑制できる。
また、本発明の光学シートを備えた面光源装置200によれば、光源101からの光を観察者側の表面の法線方向に対して平行に近づけて映像源へと効率良く提供することができ、製造コストを低減させることができる。
図8は、本発明の面光源装置のさらに他の実施形態例である面光源装置300の構造を説明する分解断面図である。
面光源装置300は、光源101を備えており、光源101から観察者側に向かって拡散シート102、光学シート10a、プリズムシート103および反射型偏光シート104を列記した順で備えている。面光源装置300を構成するこれらの要素は、配列順が異なる以外は上述した面光源装置100と同様である。
上述したように、特許文献2に開示されているような入射した光の一部を吸収する光学シートを用いる場合には、プリズムシート及び反射型偏光シートよりも観察者側に当該光学シートを配置する必要があった。一方、本発明の光学シートは、図8に示したように光源101とプリズムシート103との間に配置したとしても、プリズムシート103によって光源101側に戻された光を吸収せずに拡散させることができるので、光の利用効率の低下を抑制できる。
また、本発明の光学シートを備えた面光源装置300によれば、光源101からの光を観察者側の表面の法線方向に対して平行に近づけて映像源へと効率良く提供することができ、製造コストを低減させることができる。
図9は、本発明の面光源装置のさらに他の実施形態例である面光源装置400の構造を説明する分解断面図である。
面光源装置400は、光源101を備えており、光源101から観察者側に向かって拡散シート102、光学シート10a’、および反射型偏光シート104を列記した順で備えている。面光源装置400は、光学シート10aおよびプリズムシート103に代えて光学シート10a’を備えている点で面光源装置300と異なる。
光学シート10a’は光学シート10aにプリズムシート103の機能を付加したものである。プリズムシート103はシート状の基材上に単位プリズムを複数形成することによって構成されている。光学シート10a’では、基材層11上にプリズムシート103と同様の単位プリズム103aが複数形成されている。このようにして本発明の光学シートとプリズムシートとを一体化させることによって、プリズムシートを備えている場合と同様の効果を奏しつつ、面光源装置を構成する層の界面の数を減らすことができる。界面の数を減らすことにより、面光源装置において界面でロスする光の量を減らすことができる。また、本発明の光学シートとプリズムシートとを一体化させることによって、面光源装置の製造コストを低減することもできる。
これまでの本発明の面光源装置の説明では、拡散シート102およびプリズムシート103を備えた形態を例示して説明したが、これらは必須の要素ではない。また、本発明の光学シートによる効果を妨げない限りにおいて、例示した以外に従来公知の面光源装置に備えられる部材が備えられていてもよい。
<液晶表示装置>
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。上述した本発明の面光源装置は、液晶表示装置に適用することができる。
本発明の液晶表示装置は上述した本発明の面光源装置と液晶パネルとを備えている。以下の本発明の液晶表示装置の説明では、上述した面光源装置100を備えた形態を例示しているが、面光源装置100に代えて本発明の他の形態の面光源装置(例えば、面光源装置200や面光源装置300または面光源装置100、200、300において光学シート10aに代えて光学シート10b、光学シート20、光学シート30等の本発明の他の光学シートを備えた面光源装置。)を備えた形態としてもよい。
図10は、本発明の液晶表示装置の一つの実施形態例である液晶表示装置のうち、該面光源装置100を具備する映像源ユニット1の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。映像源ユニット1は、液晶ディスプレイパネルユニットである。図10では紙面右が観察者側となる。なお、面光源装置100の構成は上述した通りであり、図10では面光源装置100を簡略化して示している。
映像源ユニット1は、面光源装置100、映像源110および映像光制御シート120を備えている。
映像源110は、液晶表示装置の映像が表される部位であり、偏光板105、107およびこれらに挟まれた液晶パネル106を備えている。
偏光板105、107は、液晶パネル106を挟むように配置される一対の光学要素であり、吸収軸方向に平行な振動面を有する偏光光を吸収する一方、吸収軸方向に直交する振動面を有する偏光光を透過する機能を有する。当該偏光板105、107と液晶パネル106を透過した光源101(図6参照)の光が映像光となり観察者側に出射される。
液晶パネル106には、ここに出射されるべき映像情報が表されている。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられる液晶パネルを用いることができる。
映像光制御シート120は、液晶表示装置の最も観察者側に備えられて該液晶表示装置によって表示される映像光を改質する機能を有する層が積層された積層シートであり、従来公知の液晶表示装置に用いられるものを適用することができる。当該積層シートに備えられる層としては、例えば、液晶表示装置の視野角を制御する機能を有する層、アンチグレア層、反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、偏光フィルタ層、防汚層等を挙げることができる。
アンチグレア層は、観察者が画面を見た時のぎらつきを防止することができる機能を有する層であり、AG層ともいわれる。アンチグレア層は、例えば、通常に入手できる防眩フィルムによって構成することができる。
反射防止層はいわゆるアンチリフレクション層であり、AR層ともいわれる。これは反射を防止することができる機能を有するフィルムが配置される。
ハードコート層は、HC層ともいわれる。これは、画像表示面に傷がつくことを抑えるために耐擦傷性を付与することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
帯電防止層は、アンチスタティック(AS)層ともいわれる。これは、帯電、すなわち静電気が帯電することを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。これには通常に入手できるASフィルムを適用することが可能である。
防汚層は画面表面の汚れを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
偏光フィルタ層は、上記した偏光フィルタと同様のものである。必要に応じてここに配置してもよい。
以上、現時点において、最も実践的で好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光学シート、面光源装置および液晶表示装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。