JP2014115589A - スクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】映像を明るく表示することができるとともに、いずれの側からも反対側の視認性に優れるスクリーンを提供する。
【解決手段】映写機から投射された映像光を観察者に視認可能に表示するスクリーンであって、透光性を有するシート状の基材層と、基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、映写機からの映像光の入射側の最表面に配置された反射抑制層と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、光を透過する光透過部と、隣り合う光透過部間に配置され、光を散乱する光散乱部と、を有し、反射抑制層は、映写機からの映像光の入射側の面にモスアイ構造による微小凹凸面が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、映写機から投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンに関する。
通常、映写機から投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンは、反射型、透過型を問わず映写機から投射された映像光を表示することを目的としており、観察者からみてスクリーンの反対側(背面側)を観察することができない。透過型のスクリーンでは背面側から投射された映像光を観察者側(正面側)に透過することにより映像を表示するので背面側からの光を透過することは可能である。しかしながらこのような透過型のスクリーンであっても特許文献1に記載のように表面に凹凸が必要であり、光の透過は可能であるが背面側の様子を観察することはできない。
特許文献2には、光を透過可能な単位プリズム形状と、複数の単位プリズム形状の間に配置される光吸収部と、裏面側に設けられて映像光を反射するとともに裏面からの光を透過可能な反射透過層と、が具備された半透過型反射スクリーンが開示されている。これによれば、単位プリズム形状を透過した映像光を反射透過層で反射させて観察者側に提供することによりスクリーンとして機能するとともに、プリズム形状を通して背面側の様子を観察することができるとされている。
特開平9−114003号公報 特開2006−243693号公報
しかしながら、特許文献2に開示されているような構成のスクリーンでは、表示させるべき映像光の表示や背面側の様子を観察する際に明るさが不足するという課題があった。
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、映像を明るく表示することができるとともに、いずれの側からも反対側の視認性に優れるスクリーンを提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、映写機から投射された映像光を観察者に視認可能に表示するスクリーンであって、透光性を有するシート状の基材層と、基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、映写機からの映像光の入射側の最表面に配置された反射抑制層と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、光を透過する光透過部と、隣り合う光透過部間に配置され、光を散乱する光散乱部と、を有し、反射抑制層は、映写機からの映像光の入射側の面にモスアイ構造による微小凹凸面が形成されている、スクリーンである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクリーンにおいて、光散乱部には白色又は銀色の顔料が混ぜられた樹脂が充填され、散乱反射により光を散乱する。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のスクリーンにおいて、光散乱部には透明の樹脂と、該透明の樹脂とは屈折率が異なる粒子状の光散乱剤と、が充填されている。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスクリーンにおいて、光散乱部の一部には、光を吸収する光吸収部位が具備されている。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスクリーンにおいて、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、及び近赤外線吸収剤の少なくとも1つを含む層を備えている。
本発明によれば、光散乱層を備えることにより映像を明るく表示することができるとともに、背面側の視認性にも優れるスクリーンを提供することができる。これに加えてモスアイ構造を有する反射抑制層を具備することで当該効果がさらに顕著となる。
第一形態にかかるスクリーン100を説明する斜視図である。 スクリーン100の断面を示し、層構成を模式的に表した図である。 図3(a)は断面における脚部が凸状である光散乱部の例、図3(b)は断面における脚部が凹状である光散乱部の例、図3(c)が断面における脚部が折れ線状である光散乱部の例、及び図3(d)が下底が凹状である光散乱部の例を説明する図である。 変形例であるスクリーン100’の光散乱層を拡大して示した図である。 第二形態にかかるスクリーン200の断面を示し、層構成を模式的に表した図である。 第三形態にかかるスクリーン300を説明する斜視図である。 スクリーン300の断面を示し、層構成を模式的に表した図である。 第四形態にかかるスクリーン400の断面を示し、層構成を模式的に表した図である。 スクリーン500の断面を示し、層構成を模式的に表した図である。
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。また、以下に示す各図では、説明のため形状を誇張して記載することがある。
[反射スクリーン]
図1は第一形態にかかるスクリーン100の斜視図であり、映写機10と併せて示した。スクリーン100と映写機10とで映像表示装置を構成している。ここで、本形態のスクリーン100は、反射型のスクリーンのうち、常設されるタイプのもの(固定型反射スクリーン)である。従ってスクリーン100は図1からわかるようにAで表した観察者の側が正面となり、正面側に映写機10が設置され、これとは反対側(背面側物体Bが存在する側)が背面側となる。
図2は、スクリーン100を設置した姿勢(すなわち、スクリーン面を鉛直に立てた姿勢)において図1にII−IIで示した線に沿った鉛直方向におけるスクリーン100の厚さ方向断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図2では見易さのため、繰り返しとなる符号は一部省略している(以降に示す各図において同じ。)。
スクリーン100は、背面側からパネル111、及び該パネル111に貼合された積層体112を備えている。そして積層体112は、背面側から接着層113、基材層114、光散乱層115、接着層118、保護層119、反射抑制層120を備えている。以下、スクリーン100を構成するこれらの構成要素について説明する。図2では、図2の紙面左が背面側、紙面右が正面側、紙面上方が天、紙面下方が地となる。
パネル111は、ガラスパネルや樹脂パネル等、透光性を有する板状のパネルである。従って、パネル111を構成する部材としては公知の板ガラスや樹脂板を用いることができる。これにより固定型のスクリーンとして安定した設置が可能となる。当該パネル111として、建物の窓ガラスを兼用してもよい。
接着層113は、パネル111と積層体112とを接着するための層である。接着層113を構成する材料としては、パネル111と積層体112とを接着できるものであれば特に限定されず、公知の粘着剤、接着剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。その中では例えば接着層113を構成する材料としてアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物とを組み合わせた粘着剤を挙げることができる。接着層113を構成する材料は、スクリーン100の性質上、透光性、耐候性に優れることが好ましい。
接着層113の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層113が薄過ぎるとパネル111と積層体112との密着性が低下する虞がある。また、接着層113が厚過ぎると接着層113の厚さを均一にすることが困難になる。
基材層114は、光散乱層115を形成するための基材となる層である。
従って基材層114は、透光性を有するとともに光散乱層115の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層114を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層114の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層114の厚さがこの範囲を外れると、加工性に問題を生じる虞がある。例えば、基材層114が薄過ぎればしわが生じやすくなる。一方、基材層114が厚過ぎれば、スクリーン100を製造する工程のうち中間工程において巻き取りが困難になる。
光散乱層115は光透過部116及び光散乱部117を有している。光散乱層115は、図2に示した断面を有して紙面奥/手前側に延在する。すなわち、図2に表れる断面を有して光透過部116及び光散乱部117がスクリーン面に沿った一方向(本形態では水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向(本形態では鉛直方向)のスクリーン面に沿って複数の光透過部116が配列されている。光透過部116のうち基材層114側では隣接する光透過部116同士が連結されている。そして光散乱部117は光透過部116の間に配置されている。
光透過部116は光を透過する部位であり、光散乱層115のうち光透過部116が配置されている部位の基材層114側の面とその反対側面(接着層118側の面)とは平行及び平滑に形成されている。これによって、後に説明するようにスクリーン100を通して背面側の景色が見やすくなる。好ましくは光透過部は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さがさらに向上する。ここで「散乱することなく光を透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に若干の散乱が生じることは許される。
光透過部116を構成する材料は、基材層114と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
光透過部116と基材層114とを同じ材料で構成する場合には、基材層114と光透過部116とを一体に形成することもできる。また、光透過部116と基材層114とを異なる材料で構成する場合、及び同じ材料で構成する場合であっても、基材層114と光透過部116を別々に形成し、公知の手段により積層してもよい。
光透過部116の形成方法の具体例は後で説明する。
光透過部116を構成する材料としては、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
光散乱部117は、到達した光を散乱反射させることができるように構成されている。詳しくは次の通りである。
上記したように光透過部116はシート面に沿った方向に所定の間隔で並列され、隣り合う光透過部116間には、台形断面を有する溝状の凹部が形成されている。本形態における凹部は、図2に表れる断面において保護層119側(正面側)に長い下底、基材層114側(背面側)に短い上底を有する台形を有しており、ここに光散乱部117を構成する材料が充填されることにより光散乱部117が形成されている。従って光散乱部117も凹部に沿った台形断面を具備している。
光散乱部117を構成する材料としては、光を反射して散乱できる材料であれば特に限定されることはない。このような材料としては、例えば白色顔料や銀色顔料を混ぜた硬化性樹脂が挙げられる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えば、アルミニウム、クロム等の金属が挙げられる。これにより効率よく光を散乱反射させることができる。また、硬化性樹脂は光透過部116を構成する材料と同様のものを用いることができる。
また、光散乱部117を透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料で構成してもよい。透明なバインダー樹脂としては光透過部116と同様なものを用いることができる。一方、当該透明な散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、アイカ工業株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。
光散乱部117の屈折率は光透過部116の屈折率と同じ又は近いことが好ましい。これにより光透過部116と光散乱部117との界面における屈折、及びこれによる波長分散を防止することができ、画面に観察される虹状のムラ(模様)の発生を抑制できる。
ただし、光散乱部117の屈折率と光透過部116の屈折率とを異なるように形成することを妨げるものではない。例えば光散乱部117の屈折率を光透過部116の屈折率よりも低くなるように形成すれば、界面に入射する光が全反射臨界角より大きい場合、全反射を利用して光を反射することができる。
光散乱部117の台形断面のうち脚部を構成する斜辺の、スクリーン面法線に対する角度θ(図2参照)は、0°以上20°以下であることが好ましい。スクリーン面法線に対する角度θが0°未満(本実施形態でθが負であるとは、図2に表れる断面において、光散乱部117の基材層114側の底の幅より保護層119側の底の幅が短い形状となることを意味する。)になるように光散乱部117を形成するとすれば、光散乱層115を形成する際に用いる金型の作製が困難になり、金型を作製したとしてもこれにより成形した材料の離型性が悪くなる。一方、θが大き過ぎると光透過部間に形成される凹部の開口幅に対する凹部の深さのアスペクト比を大きくとることが困難となり、後述するような光散乱層115における所望の効果が低減する虞がある。
ただし、本発明において光透過部及び光散乱部の断面形状は図2に例示した形態に限定されない。光散乱層は光透過部が配置される部位において基材層側の面とその反対側の面とが平行に形成されていればよい。従って、図2に表れる断面に相当する断面において、光透過部及び光散乱部は長方形(θ=0°のとき)であってもよい。
光散乱部の台形断面の脚部を構成する斜辺は曲線状、折れ線状であってもよい。図3に各例の光散乱部の断面形状を表した。図3(a)が脚部が凸状の曲線の光散乱部117aの例、図3(b)が脚部が凹状の曲線の光散乱部117bの例、及び図3(c)が脚部が折れ線状の光散乱部117cの例である。断面における脚部が曲線状のときには、当該曲線の接線が各部において上記θと同じ条件であることが好ましい。また、断面における脚部が折れ線状のときには、該折れ線を構成する各線が上記θと同じ条件であることが好ましい。
また、図3(d)は、光散乱部の台形断面のうち下底側(光透過部間に形成される溝の開口側)が凹状に形成されている例の光散乱部117dである。この場合、積層体を形成するときに光散乱部117dを含む光散乱層が他の層に積層された際には、当該凹状の内側には隣接する接着層118の粘着剤が充填される。
また、散乱反射をさせ易くするという観点から光散乱部117と光透過部116との界面を微小な凹凸が無数に形成された面であるマット面としてもよい。
光散乱部117が並列されるピッチは特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光散乱部117のピッチが狭すぎると、光散乱層115による後述の効果が低減する虞があるとともに、さらに微細な形状になるので加工が困難となる。一方、光散乱部117のピッチが広すぎると、金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
光散乱部117の台形断面のうち、保護層119側の幅は特に限定されないが、5μm以上150μm以下であることが好ましい。この幅が狭すぎると光散乱層115による後述の効果が低減する虞があるとともに、さらに微細な形状になるので加工が困難となる。一方、この幅が広すぎると金型で成形する際に材料の離型性が低下する傾向にある。
また、複数の光散乱部117の関係のうち、図2に示した見込み角θは、映写機10からの映像光の投射角θに対して、次の式(1)の関係を有していることが好ましい。
Figure 2014115589
ここで、nは光透過部116の屈折率を表している。これにより映写機10からの映像光が光散乱部117に達する割合が多くなり、より明るい映像を観察者に提供することができる。
ここで、「見込み角θ」とは、図2に表れているように、隣接する2つの光散乱部117のうち、映写機10から遠い側の光散乱部117の映写機10が配置された側とは反対側(本形態では背面側)の角部と、映写機10に近い側の光散乱部117の映写機10が配置された側(本形態では正面側)の角部とを結ぶ線であり、1つの光透過部116の台形断面における対角線を構成する線が、スクリーン100の法線となす角である。
また、「映像光の投射角θ」とは、映写機10から投射される映像光のうちその光軸(輝度が最も高い部分に沿った軸線)が、スクリーン100の法線となす角である(図2のθ参照。ここでは映像光L101の投射角をθとしている。)。
この式は、映像光の投射角θは空気中(屈折率=1)、見込み角θは光透過部116中をそれぞれ対象としているので、スネルの法則から、
1・sinθ=n・sinθ
の関係に基づいて、下記式(2)を算出し、これを臨界的な境界として式(1)を得ることができる。
Figure 2014115589
光散乱層115の厚さ(図2の紙面左右方向大きさ)は特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。光散乱層115が薄過ぎると光散乱部117の厚さ方向大きさ(図2の紙面左右方向大きさ)が不足して所望の光学的効果が低減してしまったり、光散乱部117の加工自体が困難になったりする虞がある。一方、光散乱層115が厚過ぎると逆に光散乱部117の厚さ方向(図2の紙面左右方向大きさ)が大きくなりすぎ、そのための金型の製造、及び金型からの材料の離型性が低下し、生産性が悪くなる虞がある。
接着層118は、保護層119を光散乱層115の面のうち基材層114とは反対側の面に貼り付けるための層である。接着層118に用いられる材料は特に限定されることはないが、上記の目的を有し、透光性を備えていれば各種材料を用いることができる。これには例えば公知の粘着剤、接着剤、紫外線硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物を組み合わせた粘着剤を挙げることができる。
接着層118の厚さは特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層118が薄過ぎると保護層119と光散乱層115との密着性が低下する虞がある。また、接着層118が厚過ぎると接着層118の厚さを均一にすることが困難になる。
保護層119は、上記基材層114と対になり、光散乱層115を挟むように配置される層であり、基材層114と併せて光散乱層115を保護する機能を有する。保護層119はこのような機能を有するものであれば、その材料は特に限定されることはないが、例えば上記した基材層114と同様の材料により構成することができる。
反射抑制層120は、本形態では観察者側に配置され、映写機10からの映像光が入射する側の最表面に積層される層であり、光の反射を抑制する機能を有する。本形態ではいわゆるモスアイ構造を具備する。すなわち、反射抑制層120は透光性を有する基層の一方(観察者側、映像光が入射する側)の面上に、多数の微小突起を具備してモスアイ構造を形成する微小突起層が積層されて形成されている。
反射抑制層120の基層は上記した基材層114と同様の材料により構成することもできるが、透過率がよく、リタレーションの特性に優れることからトリアセチルセルロース(TAC)を用いることが好ましい。
また、反射抑制層120の基層の厚さは、光透過性を高く維持するために可能な限り薄くすることが好ましく、一方で微小突起層を支持する観点からはある程度の厚さが必要となる。かかる観点から、反射抑制層120の基材層の厚さは例えば20μm以上200μm以下である。
微小突起層は、硬化した樹脂による層として形成され、表面に多数の微小突起から構成された、いわゆるモスアイ構造による光反射抑制構造を有する。
モスアイ構造を構成する各微小突起は、光に対する反射抑制構造を発揮し得る大きさ及び配置となっている。
微小突起は、隣接する微小突起の頂上部同士の間隔をPとして、この間隔Pについての平均値Paveと標準偏差σに対して、
最大間隔Pmaxを、Pmax=Pave+3σとし、
可視光波長帯域の最大波長780nmをλmaxとしたときに、Pmax≦λmax
とすることで、光反射抑制構造を構成する。
光反射抑制効果が必要とされる可視光として、可視光波長帯域の最大波長780nmを含まないこともあり得る。ただし、いかなる波長の可視光に対しても光反射抑制効果を得るには、可視光波長帯域で最も波長が小さい最小波長380nm(これを「λmin」と記載する。)に対して、反射抑制効果を発揮し得る構造としておけば、λminよりも大きい波長の光に対しても、光反射抑制効果を発揮し得る。かかる観点から、より好ましくは、最大間隔Pmaxは、Pmax≦λminである。以上のような観点等を考慮して、Pmaxは設定される。ここで、Pmaxの具体例を示せば、50nm以上300nm以下である。
微小突起の高さは、150nm〜450nm程度である。微小突起の高さとは、微小突起の頂上部と、隣接する微小突起間の谷底部と、の高低差、言い換えると、微小突起層表面の包絡面に対する垂直方向における、微小突起の頂上部と隣接する微小突起間の谷底部との距離である。複数の微小突起の高さは、揃っていても、不揃いでも、いずれでも良い。微小突起の高さは、微小突起層表面の包絡面に対する垂直方向において、屈折率の変化をより滑らかにすることができる観点から、大きい方が好ましい。
屈折率の変化を滑らかにする点で、微小突起はその頂上部から隣り合う微小突起との谷底部に行くにつれて、微小突起層表面の包絡面に平行な面内での断面積が、漸増する形状が好ましい。また、頂上部は断面積がゼロ又はゼロに近いことがより好ましい。
微小突起の微小突起層の表面の包絡面に平行な面内における配置は、規則的でも不規則的(ランダム)でも、いずれでもよい。
微小突起層を構成する硬化性の樹脂としては、ウレタン系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂、アクリル系、エポキシ系等の電離放射線硬化性樹脂等を用いることができる。その中でも典型的には、例えば、紫外線や電子線で硬化可能な電離放射線硬化性樹脂が用いられる。電離放射線硬化性樹脂としては、代表的にはアクリル系樹脂の1つの態様であるアクリレート系樹脂を用いることができる。アクリレート系樹脂としては、プレポリマー(乃至はオリゴマー)、モノマーの1種以上を含む樹脂組成物を用いることができる。
プレポリマー(又はオリゴマー)としては、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、トリアジン(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート系、アクリル(メタ)アクリレート系等を用いることができる。
モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等の単官能モノマーを用いることができる。
なお、本明細書では(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
このような電離放射線硬化性樹脂は、必要に応じてその他添加剤を含んでもよい。このような添加剤とてしは、公知の各種添加剤を含むことができる。例えば、前記樹脂組成物を紫外線照射で硬化させる場合は、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系等の光重合開始剤を添加する。また、シリコーン系、フッ素系等の離型剤やレベリング剤、アクリル系、ポリエステル系等の各種熱可塑性樹脂、希釈溶剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、等を添加することができる。
反射抑制層120は、基層上に微小突起層を形成することにより作製されるがその方法は特に限定されない。例えば、熱プレス法、射出成形法、溶融押出法等がある。その中でも、とりわけ、電離放射線硬化性樹脂の樹脂液を成形型に接触させて賦形する2P法による方法が、光反射抑制構造のようなサブミクロンオーダーの微細な表面凹凸を精密に形成できる上、生産性にも優れており、微小突起層の好ましい形成法である。
2P法において、未硬化の樹脂組成物からなる樹脂液を成形型の型面に接触させる方法としては、
(a)成形型の型面に直接に樹脂液を塗布する方法、
(b)基材層となる基材の面上に樹脂液を塗布して、基材層上に形成された樹脂液層としてから、この樹脂液層を成形型の型面に接触させる方法、及び、
(c)成形型の型面に接触しようとする基材層に対して、この基材層と成形型の型面との間に樹脂液を落しこんで供給する方法、
がある。
以上説明した構成を具備するスクリーン100は例えば次のように製造することができる。
スクリーン100は、パネル111に積層体112を貼合することによって製造することができる。積層体112は、例えば次のように作製することが可能である。
積層体112のうち光散乱層115は金型ロールを用いる方法により形成する。すなわち、円筒状であるロールの外周面に光散乱層115の光透過部116の形状を転写可能な凹凸が設けられた金型ロールを準備する。そして金型ロールとこれに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層114となる基材を挿入する。このとき基材の一方の面には接着層113が予め形成されていることが好ましい。その際には、接着層113が他にくっついてしまわないように、接着層113の表面のうち基材と反対側の表面には剥離シートが付けられている。そして、基材のうち接着層113が配置されていない側の面と金型ロールとの間に光透過部116を構成する組成物を供給しながら金型ロール及びニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された凹凸の凹部内に光透過部116を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの凹凸の表面形状に沿ったものとなる。
ここで、光透過部116を構成する組成物としては、上記したものが好ましいが、さらに具体的には次の通りである。すなわち、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)を配合した光硬化型樹脂組成物を用いることができる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤(I1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン化合物(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置及び光硬化型樹脂組成物の硬化性から任意に選択することができる。なお、光透過部116の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)及び光重合開始剤(I1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金型ロールと基材との間に挟まれ、ここに充填された光透過部116を構成する組成物に対し、基材側から光照射装置により光を照射する。これにより、光透過部116を構成する組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層114及び成形された光透過部116を離型して中間シートを得る。
次に、得られた中間シートの光透過部116間に形成された凹部に光散乱部117を構成する組成物を充填して硬化させることによって、光散乱部117を形成することができる。具体的には、例えば電離放射線硬化性樹脂やその他公知の硬化性樹脂に、上記した光を反射して散乱する材料を分散させた組成物を凹部に過剰に供給し、ブレードによりスキージして余分な組成物を掻きとって除去するとともに、凹部に組成物を充填する。このようにして充填された組成物に対して適切な硬化方法を適用して硬化性樹脂を硬化させる。
以上により光散乱層115が形成される。
一方、保護層119の一方の面に反射抑制層120、他方の面に接着層118を積層した積層体を準備し、この積層体の接着層118が光散乱層115に接するように積層する。なお、接着層118が紫外線硬化樹脂、光硬化性樹脂等からなる場合には、積層後に紫外線又は光を照射して硬化させればよい。反射抑制層120の作製は上記した通りである。
以上のように作製した積層体112を接着層113によりパネル111に貼合することでスクリーン100を製造することができる。
スクリーン100には上記した各層のいずれかに、他の機能を付加させるための構成を備えてもよい。これには例えば、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、又は近赤外線吸収剤を添加し、紫外線吸収機能、熱線吸収機能、又は近赤外線吸収機能を備えさせることが挙げられる。
近赤外線吸収機能は、近赤外線吸収剤(近赤外線吸収色素)を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。近赤外線吸収色素としては、800nm以上1100nm以下の波長領域の光を吸収するものを用いることが好ましい。該波長領域の近赤外線の透過率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。一方で、近赤外線吸収色素は可視光領域、即ち、380nm以上780nm以下の波長領域で、十分な透過率を有することが好ましい。
紫外線吸収機能は、以下に例示する紫外線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、全てBASFジャパン株式会社製)や、トリアジン系紫外線吸収剤(TINUVIN 1577 ED、BASFジャパン株式会社製)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 81 FL、全てBASFジャパン株式会社製)、ベンゾエート系紫外線吸収剤(TINUVIN 120、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
熱線吸収機能は、以下に例示する熱線吸収剤を上記した各層の1つ又は複数に添加したり、塗布したりすることにより向上させることができる。熱線吸収剤としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)又はスズドープ酸化インジウム(ITO)、フタロシアニン化合物等の金属酸化物超微粒子等が挙げられる。
次に、スクリーン100を図1のようにして設置したときの作用について説明する。図2に模式的な光路例を示した。なお当該光路例は概念的に示したものであり、屈折、反射の程度等を厳密に表したものではない。以下同様である。
映写機10(図1参照)から投射された映像光L101は、反射抑制層120、保護層119、及び接着層118を透過して光散乱層115の光散乱部117に到達する。光散乱部117に到達した映像光L101は、光散乱部117によって散乱反射される。そして、散乱反射された光の一部が映写機10側、すなわち観察者側に向きが変えられる。そしてスクリーン100から出射して観察者に映像として提供される。
スクリーン100によれば、光散乱部117に達した映像光が吸収されることなく散乱反射されて観察者に出射されるので、明るい映像光を提供することができる。すなわち、映写機10からの映像光を効率よく観察者側に反射されて出射することが可能である。
また、映像光L101がスクリーン100に入射する際に、反射抑制層120と空気との界面にモスアイ構造が形成されているので、映像光L101が反射してスクリーン100内に入ることなく上方に反射してしまうことを防止することができ(図2にCで示したような反射光を防止することができ)、効率よく映像光L101をスクリーン100内に導入することが可能である。その際、モスアイ構造では、スクリーン面法線に対して斜めに入射する光を拡散させて透過させる性質を有していることから、斜め方向から投射される映像光L101も所定の広がりを有してスクリーン100内に入射される。これにより映像光が拡散し、観察者に広い範囲で映像光を提供することができる。
一方、スクリーン100の背面側からスクリーン100を通過して観察者に達する光は例えばL102による。すなわち、背面側からの光L102は光散乱部117に達することなくスクリーン100を透過して観察者に観察される。従って、光散乱層115のうち光透過部116が配置された部位の表裏面を介して背面側からの光が観察者に提供されるので、明確に明るくスクリーン100の背面側を観察することができる。このとき、スクリーン100の観察者側面はモスアイ構造により、光の反射が抑えられているので観察者側からスクリーン100に入射する外光(電灯からの光や太陽光等)がスクリーン100の表面で観察者側に反射されることが抑制されている。これにより、光L102への外光の影響が抑えられており、光L102の視認性が向上している。
以上のように、スクリーン100によれば、映写機からの映像光を効率よくスクリーン100内に導入するとともに、その映像光を効率よく観察者に提供することができる。さらにはスクリーン100によれば背面側の光をより明瞭に観察者に提供することもでき、背面側を明るく観察することも可能である。
例えばこのようなスクリーン100を、これまでオフィス等で用いられていたスクリーンの代わりにする等、従来のスクリーン用途に用いることができる。これに加えその他にも、ガラス張りで店内を視認できる店舗のショーウィンドウのガラスにスクリーン100を適用し、スクリーン100に効果的な映像を投射すれば、映像と店内とをいずれも視認することができ、ディスプレイ効果を向上させることができる。
図4はスクリーン100の変形例であるスクリーン100’のうち、光散乱層115’にのみ注目し拡大して示した図である。スクリーン100’は、スクリーン100の光散乱層115のうち光散乱部117の代わりに光散乱部117’が適用された点でスクリーン100と異なる。他の部分はスクリーン100と同様である。従ってここでは、光散乱部117’についてのみ説明し、他の部位については同じ符号を用いるとともに説明を省略する。
光散乱部117’は、光散乱部位117’a及び光吸収部位117’bを備えている。光散乱部位117’aは光を散乱反射する部位であり、該光散乱部位117’aを構成する材料は上記説明した光散乱部117と同様である。
光散乱部117’は光散乱部117と同様に隣接する光透過部116間の凹部に形成されるが、光散乱部位117’aは、凹部内のうち当該凹部の開口側(図4の紙面右側)の一部には形成されない。そしてこの光散乱部位117’aが形成されない部位に光吸収部位117’bが充填されるように設けられている。
光吸収部位117’bは、光透過性を有する樹脂中に光吸収性を有する粒子(光吸収粒子)が分散されて構成されている。
光透過性を有する樹脂としては光透過部116の樹脂と同様のものを用いることができる。
一方、光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、吸収すべき光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を使用してもよい。具体的には、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。特に、着色した有機微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましく用いられる。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましく用いられる。
本例では、光吸収部位117’bを上記のように構成したが、光吸収部位は光を吸収することができればその形態は限定されることなく、他の形態をとることも可能である。これには例えば、顔料や染料で着色した樹脂を挙げることができる。
このような光散乱部117’は、上記説明した光散乱層115と同様に、光透過部116間に形成された凹部内に光散乱部117’を構成する組成物を充填して硬化させることによって形成することができる。具体的には、電離放射線硬化性樹脂やその他公知の硬化性樹脂に上記した光を反射して散乱する材料を分散させた組成物を、凹部に向けて過剰に供給する。次にこれをブレードによりスキージして余分な組成物を掻き取って除去するとともに、凹部に組成物を充填する。このようにして充填された組成物に対して適切な硬化方法を適用して硬化性樹脂を硬化させる。ここでスキージの際に、ブレードを光透過部に少し強く押し当てる。これにより組成物が凹部の内容積よりも少なくなるように掻き出され、凹部内の開口部付近に空間が形成され、光散乱部位117’aとなる。そして当該凹部内の空間に光吸収部位117’bとなる組成物を過剰に供給し、再度ブレードによりスキージして余分な組成物を掻き取って除去するとともに、該空間内に組成物を充填する。次いで充填された組成物に対して適切な硬化方法を適用して硬化性樹脂を硬化させ光吸収部位117’bとする。
このように2回にわたって光透過部間の凹部にそれぞれの組成物を供給、スキージ、及び硬化することで光散乱部117’を形成することができる。
変形例に係るスクリーン100’によれば、光散乱部117’の一部に光を吸収する部位が形成されている。これにより図4に光路例L103で示したように、スクリーン100’に入射する正面側からの外光の一部を光吸収部位117’bで吸収することが可能となる。これによりスクリーン100’は、スクリーン100で説明した効果に加え、映像光や背面側景色のコントラストを向上させることが可能となる。
また、本変形例では光吸収部位117’bが備えられているものの、光吸収部位117’bは光散乱部117’の一部にしか形成されていないことから、光散乱部117’の光散乱性能の低下を小さく抑えつつ外光を吸収することができる。従って、正面側への明るい映像光を提供する機能、及び明るい背面側景色を観察者に提供する機能を高く維持しつつ、コントラストも向上させることが可能である。
図5は第二形態にかかるスクリーン200を説明する図であり、図2に相当する図である。スクリーン200では、スクリーン100と同様の構成のものには同じ符号を付すとともに詳しい説明は省略する。以下同様である。
スクリーン200も固定型反射スクリーンの1つの形態であり、パネル111、該パネル111に貼合された積層体212を備えている。そして、積層体212は、接着層221、光散乱層215、基材層214、反射抑制層120を備えている。
接着層221は、積層体212をパネル111に貼り付けるための層である。
接着層221に用いられる材料は特に限定されることはないが、接着の機能を発揮させる観点からは公知の粘着剤、接着剤を用いることができる。例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物を組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、スクリーン200の性質上透光性に優れていることが好ましく、耐候性に優れた材料によることがより好ましい。
スクリーン200では光散乱層215が、スクリーン100の光散乱層115と比較して観察者側と背面側とが反転した形状とされている。これに伴って基材層214が光散乱層215の観察者側に配置されている。
従って光散乱層215は当該反転した形態であること以外は光散乱層115と同様であり、光透過部216は光透過部116に相当し、光散乱部217は光散乱部117に相当する。
また、基材層214は光散乱層215を形成するための基材となる層である点で基材層114と共通する。従って基材層214は、透光性を有するとともに光散乱層215の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層214を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。基材層214の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層214の厚さがこの範囲を外れると、加工性に問題を生じる虞がある。例えば、基材層214が薄過ぎればしわが生じやすくなる。また、基材層214が厚過ぎれば、スクリーン200を製造する工程のうち中間工程において巻き取る際に、その巻き取りが困難になる。
このようなスクリーン200では、必ずしも保護層を必要としない点でスクリーン100に比べて層構成を簡略化することができるため、低コストで製造することができる。例えばスクリーン200は次のように製造することができる。
基材層214の一方の面に光散乱層215を形成する方法は、上記したスクリーン100の製造方法のうち、基材層114の一方の面に光散乱層115を形成する方法と同様である。ここで基材層214の他方の面には予め反射抑制層120が形成されていることが好ましい。
その後、光散乱層215の面のうち基材層214とは反対側の面に接着層221を積層して積層体212を作製し、接着層221によりパネル111に貼合することでスクリーン200を製造することができる。
次に、スクリーン200を図1のようにして設置したときの作用について説明する。図5に模式的な光路例を示した。
映写機10(図1参照)から出射された映像光L201は、反射抑制層120及び基材層214を透過して光散乱層215の光散乱部217に到達する。光散乱部217に到達した映像光L201は、光散乱部217によって散乱反射される。そして、散乱反射された光の一部が映写機10側、すなわち観察者側に向きが変えられる。そしてスクリーン200から出射して観察者に映像として提供される。
スクリーン200によれば、光散乱部217に達した映像光が吸収されることなく散乱反射されて観察者に出射されるので、明るい映像光を提供することができる。すなわち、映写機10からの映像光を効率よく観察者に出射することが可能である。
また、映像光L201がスクリーン200に入射する際に、反射抑制層120と空気との界面にモスアイ構造が形成されているので、映像光L201が反射してスクリーン200内に入ることなく上方に反射してしまうことを防止することができ、効率よく映像光L201をスクリーン100内に導入することが可能である。その際、モスアイ構造では、スクリーン面方向に対して斜めに入射する光を拡散させて透過させる性質を有していることから、斜め方向から投射される映像光L201も所定の広がりを有してスクリーン200内に入射される。これにより映像光が拡散し、観察者に広い範囲で映像光を提供することができる。
一方、スクリーン200の背面側からスクリーン200を通過して観察者に達する光はL202による。すなわち、背面側からの光L202は光散乱部217に達することなくスクリーン200を透過して観察者に観察される。従って、光散乱層215のうち光透過部216が配置された部分の表裏面を介して背面側からの光が観察者に提供されるので、明確に明るくスクリーン200の背面側を観察することができる。このとき、スクリーン200の観察者側面はモスアイ構造により、光の反射が抑制されているので観察者側からスクリーン200に入射する外光(電灯からの光や太陽光等)がスクリーン200の表面で観察者側に反射されることが抑制されている。これにより、光L202への外光の影響が抑えられており、光L202の視認性が向上している。
以上のように、スクリーン200によれば、映写機からの映像光を効率よくスクリーン200内に導入するとともに、その映像光を効率よく観察者に提供することができる。さらにはスクリーン200によれば背面側の光をより明瞭に観察者に提供することもでき、背面側を明るく観察することも可能である。
またスクリーン200でも、上記117a〜117dで示した光散乱部の形状やスクリーン100’で説明した形態で光吸収部位が具備された光散乱部が適用されてもよい。
[透過スクリーン]
図6は第三形態にかかるスクリーン300の斜視図であり、映写機20と併せて示した。本形態のスクリーン300は、透過型のスクリーンのうち、常設されるタイプのもの(固定型透過スクリーン)である。従ってスクリーン300は図6からわかるようにAで表した観察者の側が正面側となり、これとは反対側である背面側に映写機20が設置される。
図7は、スクリーン300を設置した姿勢(スクリーン面を鉛直に立てた姿勢)において図6にV−Vで示した線に沿った鉛直方向におけるスクリーン300の厚さ方向断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
スクリーン300は、背面側から反射抑制層301、パネル111、接着層113、基材層114、光散乱層115、接着層118、保護層119、ハードコート層302を備えている。図7では、図7の紙面左が背面側、紙面右が正面側、紙面上方が天、紙面下方が地となる。
スクリーン300のうち、パネル111、接着層113、基材層114、光散乱層115、接着層118、及び保護層119については上記したスクリーン100と同様であるから同じ符号を用いて説明を省略する。スクリーン300では、パネル111の背面側に反射抑制層301が配置され、保護層119の観察者側にハードコート層302が配置されている点でスクリーン100と異なる。そこでここでは反射抑制層301及びハードコート層302について説明する。
反射抑制層301は、本形態では背面側に配置され、映写機20からの映像光が入射する側の最表面に積層される層であり、光の反射を抑制する機能を有する。本形態でもいわゆるモスアイ構造を具備する。すなわち、反射抑制層301は透光性を有する基層の一方(背面側、映像光が入射する側)の面上に、多数の微小突起を具備してモスアイ構造を形成する微小突起層が積層されて形成されている。反射抑制層301自体の構成は上記した反射抑制層120と同様である。
ハードコート層301は、表面保護を目的として、スクリーン300のうち観察者側の最表面に設けられる層である。ハードコート層301は透明な樹脂層として形成することができ、擦り傷、表面汚染に対する耐性の観点から、硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成することが好ましい。
具体的には電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂等を要求性能に応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等が挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマー等からなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
また、ハードコート層302には、耐汚染性向上の機能を追加してもよい。これは例えばシリコーン系化合物、フッ素系化合物等を添加することにより可能となる。さらにその他の機能として帯電防止性向上、撥水性向上の機能を有するものとしてもよい。
帯電防止性向上のために用いることができる材料としては、電子伝導タイプではPEDOT−PSS(PEDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene);3,4−エチレンジオキシチオフェンポリマー)とPSS(poly(styrenesulfonate);スチレンスルホン酸ポリマー)とを共存)等が挙げられ、イオン導電タイプではリチウム塩系材料等が挙げられる。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
このようなスクリーン300を図6のようにして設置したときの作用について説明する。図7に模式的な光路例を示した。
スクリーン300の背面側の映写機20(図6参照)から投射された映像光L301は、反射抑制層301、パネル111、接着層113、及び基材層114を透過して光散乱層115の光散乱部117に到達する。光散乱部117に到達した映像光L301は、光散乱部117によって散乱反射される。そして、散乱反射された光の一部が観察者側に向きが変えられる。そしてスクリーン300から出射して観察者に映像として提供される。
スクリーン300によれば、光散乱部117に達した映像光が吸収されることなく散乱反射されて観察者に出射されるので、明るい映像光を提供することができる。すなわち、映写機20からの映像光を効率よく観察者側に反射されて出射することが可能である。
また、映像光L301がスクリーン300に入射する際に、反射抑制層301と空気との界面にモスアイ構造が形成されているので、映像光L301が反射してスクリーン300内に入ることなく上方に反射してしまうことを防止することができ(図7にDで示したような反射光を防止することができ)、効率よく映像光L301をスクリーン300内に導入することが可能である。その際、モスアイ構造では、スクリーン面法線に対して斜めに入射する光を拡散させて透過させる性質を有していることから、斜め方向から投射される映像光L301も所定の広がりを有してスクリーン300内に入射される。これにより映像光が拡散し、観察者に広い範囲で映像光を提供することができる。
一方、スクリーン300の背面側からスクリーン300を通過して観察者に達する光は例えばL302による。すなわち、背面側からの光L302は光散乱部117に達することなくスクリーン300を透過して観察者に観察される。従って、光散乱層115のうち光透過部116が配置された部位の表裏面を介して背面側からの光が観察者に提供されるので、明確に明るくスクリーン300の背面側を観察することができる。このとき、スクリーン300の背面側面はモスアイ構造により、反射が抑制されているので背面側から光L302がスクリーン300に入射しやすい構成とされているので、光L302が効率よく観察者に到達して視認性が向上している。
以上のように、スクリーン300によれば、背面側に配置された映写機からの映像光を効率よくスクリーン300内に導入するとともに、その映像光を効率よく観察者に提供することができる。さらにはスクリーン300によれば背面側の光をより明瞭に観察者に提供することもでき、背面側を明るく観察することも可能である。
図8は、第四の形態にかかるスクリーン400の層構成を説明する図であり、図7に相当する図である。
スクリーン400は、背面側から反射抑制層301、パネル111、接着層113、基材層414、光散乱層415、接着層118、保護層119、ハードコート層302を備えている。
スクリーン400では、反射抑制層301、パネル111、接着層113、接着層118、保護層119、及びハードコート層302は上記したスクリーン300と同様である。
基材層414は、光散乱層415を形成するための基材となる層である。従って基材層414は、透光性を有するとともに光散乱層415の変形を防止できるように支持する。かかる観点から、基材層514を構成する材料の具体例として例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等のうちの1つ以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を挙げることができる。
基材層414の厚さは特に限定されないが、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材層414の厚さがこの範囲を外れると、加工性に問題を生じる虞がある。例えば、基材層414が薄過ぎればしわが生じやすくなる。また、基材層414が厚過ぎれば、スクリーン400を製造する工程のうち中間工程において巻き取りが困難になる。
光散乱層415は光透過部116及び光散乱部417を有している。光散乱層415は、図8に示した断面を有して紙面奥/手前側に延在する形状を有する。すなわち、図8に表れる断面を有して光透過部116及び光散乱部417がスクリーン面に沿った一方向(本形態では水平方向)に延びるように配置されるとともに、該一方向とは異なる方向(本形態では鉛直方向)のスクリーン面に沿って複数の光透過部116が配列されている。そして光散乱部417は光透過部116の間に配置されている。
光透過部116はスクリーン100と同様である。
光散乱部417は、到達した光を散乱させつつ透過することができるように構成されている。
スクリーン100に備えられた光散乱部117が光を散乱反射させるのに対して、光散乱部417は光を透過させつつ散乱させるという点で異なる。光散乱部417は、光散乱部117と同様に、光透過部116間の凹部に形成される。到達した光を透過させつつ散乱させる光散乱部417を構成する材料としては、透明なバインダー樹脂と該バインダー樹脂とは屈折率が異なる透明な散乱剤とを混合させた材料が好ましい。
透明なバインダー樹脂としては光透過部116と同様なものを用いることができる。
一方、当該散乱剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレンを中心としたモノマーを重合して得られた架橋粒子が挙げられる。当該架橋粒子の具体例としては、アイカ工業株式会社製のガンツパール(登録商標)が挙げられる。上記架橋粒子は、アクリル酸エステル及びスチレンとの混合比を変えることによって、屈折率を制御することができる。例えば、アクリル比を高くすることで屈折率を1.49程度にすることができ、スチレン比を高くすることで屈折率を1.59程度にすることができる。また、散乱剤にはウレタン架橋粒子を用いることも可能である。当該ウレタン架橋粒子の具体例としては、根上工業株式会社製のアートパール(登録商標)が挙げられる。また、散乱剤は中空粒子にすることも可能である。これにより効率よく光を透過散乱することができる。
光散乱部417の他の構成についてはスクリーン100の光散乱部117と同様であることから説明を省略する。
スクリーン400の製造方法についても、光散乱部417に充填すべき材料を上記のものに変更するのみでスクリーン100と同様の方法を適用することが可能である。
次に、スクリーン400を図6のようにして設置したときの作用について説明する。図8に模式的な光路例を示した。
映写機20(図6参照)から投射された映像光L401は、反射抑制層301、パネル111、接着層113、及び基材層414を透過して光散乱層415の光散乱部417に到達する。光散乱部417に到達した映像光L401は、光散乱部417に入り、該光散乱部417の作用により散乱される。そして、散乱された光は、スクリーン400から出射して観察者に映像として提供される。
スクリーン400によれば、光散乱部417に達した映像光が吸収されることなく散乱されて観察者に出射されるので、明るい映像光を提供することができる。すなわち、映写機20からの映像光を効率よく観察者に出射することが可能である。この際における反射抑制層301の効果は上記の通りである。
一方、スクリーン400の背面側からスクリーン400を通過して観察者に達する光はL402による。すなわち、背面側からの光L402は光散乱部417に達することなくスクリーン400を透過して観察者に観察される。従って、光散乱層415のうち光透過部116が配置された部位の表裏面を介して背面側からの光が観察者に提供されるので、明確に明るくスクリーン400の背面側を観察することができる。この際における反射抑制層301の効果も上記の通りである。
以上のように、スクリーン400によれば、背面側に配置された映写機からの映像光を効率よくスクリーン400内に導入するとともに、その映像光を効率よく観察者に提供することができる。さらにはスクリーン400によれば背面側の光をより明瞭に観察者に提供することもでき、背面側を明るく観察することも可能である。
図9は第五形態にかかるスクリーン500を説明する図であり、図9に相当する図である。スクリーン500も固定型透過スクリーンの1つの形態であり、背面側から反射抑制層301、パネル111、接着層521、光散乱層515、基材層514、ハードコート層302を備えている。
接着層521は、光散乱層515、基材層514及びハードコート層302をパネル111に貼り付けるための層である。従って、接着層521に用いられる材料は接着が可能であれば特に限定されることはなく公知の粘着剤、接着剤を用いることができる。例えばアクリル系の粘着剤を用いることができ、さらに具体的にはアクリル系共重合体とイソシアネート化合物を組み合わせた粘着剤を挙げることができる。ただし、スクリーン500の性質上透光性に優れていることが好ましく、耐候性に優れた材料によることがより好ましい。
スクリーン500では光散乱層515が、スクリーン400の光散乱層415と比較して観察者側と背面側とが反転した形状とされている。これに伴って基材層514が光散乱層515の観察者側に配置されている。
従って光散乱層515は当該反転した形態であること以外は光散乱層415と同様であり、光透過部516は光透過部116に相当し、光散乱部517は光散乱部417に相当する。
また、基材層514は基材層414と同様である。
このようなスクリーン500では、保護層を必ずしも必要としない点でスクリーン400に比べて層構成を簡略化することができるため、低コストで製造することができる。例えばスクリーン500は次のように製造することができる。
基材層514の一方の面に光散乱層515を形成する方法は、上記したスクリーン400の製造方法のうち、基材層414の一方の面に光散乱層415を形成する方法と同様である。ここで基材層514の他方の面には予めハードコート層302が形成されていることが好ましい。
次に、スクリーン500を図6のようにして設置したときの作用について説明する。図9に模式的な光路例を示した。
映写機20(図6参照)から投射された映像光L501は、反射抑制層301、パネル111、及び接着層512を透過して光散乱層515の光散乱部517に到達する。光散乱部517に到達した映像光L501は、光散乱部517に入り、該光散乱部517の作用により散乱される。そして、散乱された光は、スクリーン500から出射して観察者に映像として提供される。
スクリーン500によれば、光散乱部517に達した映像光が吸収されることなく散乱されて観察者に出射されるので、明るい映像光を提供することができる。すなわち、映写機20からの映像光を効率よく観察者に出射することが可能である。この際における反射抑制層301の効果は上記の通りである。
一方、スクリーン500の背面側からスクリーン500を透過して観察者に達する光はL502による。すなわち、背面側からの光L502は光散乱部517に達することなくスクリーン500を透過して観察者に観察される。従って、光散乱層515のうち光透過部516が配置された部位の表裏面を介して背面側からの光が観察者に提供されるので、明確に明るくスクリーン500の背面側を観察することができる。この際における反射抑制層301の効果は上記の通りである。
10 映写機
20 映写機
100 スクリーン
111 パネル
112 積層体
113 接着層
114 基材層
115 光散乱層
116 光透過部
117 光散乱部
118 接着層
119 保護層
120 反射抑制層
200 スクリーン
212 積層体
214 基材層
215 光散乱層
216 光透過部
217 光散乱部
221 接着層
300 スクリーン
301 反射抑制層
302 ハードコート層
400 スクリーン
500 スクリーン
514 基材層
515 光散乱層
516 光透過部
517 光散乱部

Claims (5)

  1. 映写機から投射された映像光を観察者に視認可能に表示するスクリーンであって、
    透光性を有するシート状の基材層と、
    前記基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、
    前記映写機からの映像光の入射側の最表面に配置された反射抑制層と、を備え、
    前記光散乱層は、
    前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、光を透過する光透過部と、
    隣り合う前記光透過部間に配置され、光を散乱する光散乱部と、を有し、
    前記反射抑制層は、前記映写機からの映像光の入射側の面にモスアイ構造による微小凹凸面が形成されている、
    スクリーン。
  2. 前記光散乱部には白色又は銀色の顔料が混ぜられた樹脂が充填され、散乱反射により光を散乱する請求項1に記載のスクリーン。
  3. 前記光散乱部には透明の樹脂と、該透明の樹脂とは屈折率が異なる粒子状の光散乱剤と、が充填されている請求項1に記載のスクリーン。
  4. 前記光散乱部の一部には、光を吸収する光吸収部位が具備されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスクリーン。
  5. 紫外線吸収剤、熱線吸収剤、及び近赤外線吸収剤の少なくとも1つを含む層を備えている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスクリーン。
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