JP2014071061A - 信号処理用半導体集積回路、及び磁界検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気素子の励磁効率または励磁電流が低下した場合であっても、磁気素子の測定磁界範囲を確保できる信号処理用半導体集積回路、及び磁界検出装置を提供する。
【解決手段】時間に対して周期的に変化する励磁電流を励磁コイルに通電することにより、外部磁界に応じて時間間隔が変化する信号を出力する時間分解型のフラックスゲート素子(磁気素子20)を感磁素子として用いた磁界検出用の信号処理用半導体集積回路10であって、外部磁界に応じて励磁電流に直流電圧をオフセットとして重畳して、感磁素子の測定磁界範囲を、時間間隔が変化する信号を感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】時間に対して周期的に変化する励磁電流を励磁コイルに通電することにより、外部磁界に応じて時間間隔が変化する信号を出力する時間分解型のフラックスゲート素子(磁気素子20)を感磁素子として用いた磁界検出用の信号処理用半導体集積回路10であって、外部磁界に応じて励磁電流に直流電圧をオフセットとして重畳して、感磁素子の測定磁界範囲を、時間間隔が変化する信号を感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、時間分解型フラックスゲートセンサの信号処理用半導体集積回路、及び磁界検出装置に関する。
スマートフォンの普及により、三軸の磁気センサを組み合わせた三軸電子方位計(電子コンパス)の需要が増大している。例えばナビゲーションシステムとしてのアプリケーションにおいて、カーナビゲーションシステムのように目的地までの案内をするため、位置情報に加えて方角の情報が必要である。また、使用者が向いている方角に合わせて地図を表示するといった際にも方角の情報が必要である。そのため、地磁気を検出するための磁気センサが用いられている。
地磁気レベルの磁気を検出可能な高感度磁気素子としては、ホール素子や磁気インピーダンス素子、磁気抵抗効果素子、或いはフラックスゲート素子などが知られている。その中でもフラックスゲート素子は磁界分解能が高く、且つ広い測定磁界範囲を実現可能であり、他の部品から発生する外乱磁場が存在する携帯機器内部などにおけるアプリケーションには好適であると言える。一般的に、フラックスゲート素子は、細長い形状の磁性体コアに励磁用のコイル(励磁コイル)と検出用のコイル(検出コイル)が巻かれている構造が知られている。このフラックスゲート素子を用いる磁界検出装置が、例えば特許文献1に開示されている。
まず、従来における磁界検出装置の構成について図面を参照しながら説明する。図8は、従来の磁界検出装置90の構成の一例を示す図である。なお、図8は、本願発明者が従来の磁界検出装置を説明するため、作成した図面である。図8に示すように、磁界検出装置90は、信号処理用半導体集積回路91、及び磁気素子20を備えている。また、信号処理用半導体集積回路91は、励磁電流発生源11、クロック12(クロック発生回路)、アンプ13、コンパレータ14、及びTDC15(Time to Digital Converter)を備える。信号処理用半導体集積回路91内部の励磁電流発生源11は、クロック12が発生するクロック信号の周期に基づいて励磁電流を発生し、この励磁電流を磁気素子20の励磁コイルに通電する。磁気素子20(感磁素子)の検出コイルは、外部磁界に応じたピーク間隔を有するパルス状の誘導電圧を出力信号として発生し、アンプ13に対して出力する。この出力信号を、信号処理用半導体集積回路91内部のアンプ13が増幅し、コンパレータ14に対して、増幅した信号を出力する。コンパレータ14は、アンプ13から入力される、増幅後の信号から、磁気素子20の出力信号のピーク間隔に関する情報を検出する。TDC15は、ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変化してデジタル出力(Digital out)として出力(アウトプット)する。
このように、磁気素子20(フラックスゲート素子)を用いた磁界検出装置90(時間分解型フラックスゲート磁気センサ)では、磁気素子20の励磁コイルに時間変化する交流電流を通電する。これにより、磁気素子20の磁気コアを交流励磁し、検出コイルにパルス状の誘導電圧を生じさせる。また、外部磁界が印加されることにより、このパルス状の誘導電圧の発生するタイミングが時間的に変化する。そのため、信号処理用半導体集積回路91では、この誘導電圧を出力信号として検出することにより外部磁界に対する応答を得ることが出来る。
ここで、フラックスゲート素子の測定磁界範囲は、磁性体の材料物性に一意ではなく、素子に通電する励磁電流の振幅に比例するため、広い測定磁界範囲を可能とする。また出力が、上述のようにTDC15を用いるためタイムドメインであることから、ADC(Analog Digital Converter)を用いた場合のように入力電圧の制限が無く、且つノイズレベルがセンサの分解能に影響し難い。そのため、信号処理用半導体集積回路91において、高分解能化が容易となり、広い測定磁界範囲と高分解能を両立することが可能である。なお、磁界分解能に関しては、TDC15において、磁気素子20の出力信号のピーク間隔を、カウンタにより計測し、デジタル化して出力するため、測定磁界範囲に対する有効ビット数により磁界分解能が決まる。例えば、±1.2mTの測定磁界範囲に対して有効ビット数を14ビットに設定した場合、磁界分解能は、0.146μT/LSBとなる。
近年では携帯機器の小型化・薄型化に伴い、搭載される素子に対するサイズダウンの要求が厳しくなっており、半導体プロセス(薄膜プロセス)を用いることによる磁気センサ素子自体の小型化、集積化が進み携帯機器用途に対応している。磁気センサ素子の性能は、測定可能な磁界範囲と磁界分解能で決まる。フラックスゲート素子の測定磁界範囲は、磁性体の物性やコイルの巻き数などの素子構造により決まる励磁効率α(T/A)と、コイルに通電する励磁電流I(A)の積(αI)で表される。
ここで励磁効率αとは、励磁コイルに流れる単位電流当たりの発生磁界であり、磁性体コアの物性や励磁コイルの巻き数で決まる素子構造に固有の物性値である。励磁効率αが高いほど、同じ励磁電流に対して広い測定磁界範囲が得られる。しかしながら、励磁効率αは、磁性体の単位長さあたりの励磁コイルの巻き数に比例する。そのため、フラックスゲート素子の小型化は、半導体プロセスのデザインルールなどの制約を受け、励磁効率を増加させることが困難となる。そのけっか、測定磁界範囲を拡大することが困難となる。
つまり、素子の小型化と励磁効率の向上を両立するには、コイル配線の微細化による巻き数の増加が求められる。しかしながら、巻き数の増加はコイル抵抗の増大に繋がる。
励磁効率αは、素子構造によって一意に定まる物性値であり、測定磁界範囲は励磁電流Iにより調整することが可能である。しかし、素子のコイル抵抗と設定可能な電源電圧の値から励磁電流Iの許容される範囲が必然的に決まる。そのため、コイル配線の微細化により励磁効率αを向上させた場合においても、配線の微細化、及び巻き数の増加に伴うコイル抵抗の増大により所望の測定磁界範囲が得られなくなる恐れがある。
励磁効率αは、素子構造によって一意に定まる物性値であり、測定磁界範囲は励磁電流Iにより調整することが可能である。しかし、素子のコイル抵抗と設定可能な電源電圧の値から励磁電流Iの許容される範囲が必然的に決まる。そのため、コイル配線の微細化により励磁効率αを向上させた場合においても、配線の微細化、及び巻き数の増加に伴うコイル抵抗の増大により所望の測定磁界範囲が得られなくなる恐れがある。
また、配線の微細化によりコイル抵抗の増大分を上回る励磁効率αの向上を実現し、少ない励磁電流にて所望の測定磁界範囲を得られた場合においても、励磁電流Iの絶対値としての減少が出力信号の波高値の低下を招き、S/N比が悪化する恐れがある。出力信号の波高値は、励磁電流Iの微分成分(傾き成分)に比例するため、励磁周波数を大きくして励磁周期を短くすることにより出力信号の波高値を上げることは可能である。しかしながら、測定磁界範囲が一定である場合においては、今度は分解能が低下する。これが意味するところを、図9に示すように励磁電流が三角波の場合を想定して、以下に説明する。
図9は、励磁周期と磁界分解能との関係を示す図である。環境磁界(外部磁界)が素子の測定磁界範囲内である場合には、図9(a)に示すようにパルス状の出力信号が検出される。この出力信号の波高値は、励磁電流(この場合は三角波)の傾きに比例するので、図9(b)に示すように、励磁周期を例えば半分にすることにより、出力信号の波高値は2倍になる。これにより、励磁電流が減少した場合の出力信号の波高値の低下を補うことが可能である。しかし、測定磁界範囲は、上述の様に、励磁効率αと励磁電流Iにより決まるために、励磁周期に拠らず一定である。更に、測定磁界範囲は、励磁周期の一周期に対応しており、デジタル1単位(以下、1LSBと示す。)の時間間隔が一定の場合、励磁周期が半分になるということは、デジタル出力の場合に同一の測定磁界範囲に対する分割ビット数が半分になることと同義であり、よって磁界分解能が半分になるという問題がある。
以上をまとめると、従来においては、感磁素子の小型化によるコイル巻き数の減少やコイル配線の微細化による抵抗の増大に伴い、励磁電流発生源11における消費電力の増加、或いは測定磁界範囲の減少といった問題がある。また、配線の微細化により励磁効率αが向上した場合においても、電源電圧等の制約による励磁電流Iの減少に伴う検出信号の波高値低下により、S/N比が悪化する。検出コイルの出力信号の波高値を増加させるために、励磁周期を短くした場合には、上述の様に、デジタル出力の場合、磁界分解能が低下するといった問題点がある。
本発明の信号処理用半導体集積回路は、時間に対して周期的に変化する励磁電流を励磁コイルに通電することにより、外部磁界に応じて時間間隔が変化する信号を出力する時間分解型のフラックスゲート素子を感磁素子として用いた磁界検出用の信号処理用半導体集積回路であって、前記外部磁界に応じて前記励磁電流に直流電圧をオフセットとして重畳して、前記感磁素子の測定磁界範囲を、前記時間間隔が変化する信号を前記感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせることを特徴とする。
また、上記信号処理用半導体集積回路は、前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、更に、前記コンパレータからの出力を磁界データへ換算する演算部と、前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする。
また、上記信号処理用半導体集積回路は、前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、更に、前記時間/デジタル変換器からのデジタルデータを磁界データへ換算する演算部と、前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする。
また、上記信号処理用半導体集積回路は、前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータを磁界データへ換算する演算部と、前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳し、前記演算部は、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換機能を含んで構成される、ことを特徴とする。
また、上記信号処理用半導体集積回路において、前記直流電圧オフセット発生源は、前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を、前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入るまで、繰り返し実行することを特徴とする。
また、上記信号処理用半導体集積回路において、前記直流電圧オフセット発生源は、前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入った場合であっても、前記磁界データが前記測定磁界範囲の予め設定された範囲内に入るまで、前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を更に繰り返し実行することを特徴とする。
本発明の磁界検出装置は、時間に対して周期的に変化する励磁電流を励磁コイルに通電することにより、外部磁界に応じて時間間隔が変化する信号を出力する時間分解型のフラックスゲート素子を感磁素子として用いた磁界検出装置であって、前記外部磁界に応じて前記励磁電流に直流電圧をオフセットとして重畳して、前記感磁素子の測定磁界範囲を、前記時間間隔が変化する信号を前記感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせることを特徴とする。
また、上記磁界検出装置は、前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、更に、前記コンパレータからの出力を磁界データへ換算する演算部と、前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする。
また、上記磁界検出装置は、前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、更に、前記時間/デジタル変換器からのデジタルデータを磁界データへ換算する演算部と、前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする。
また、上記磁界検出装置は、前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータを磁界データへ換算する演算部と、前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳し、前記演算部は、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換機能を含んで構成される、ことを特徴とする。
また、上記磁界検出装置において、前記直流電圧オフセット発生源は、前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を、前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入るまで、繰り返し実行することを特徴とする。
また、上記磁界検出装置において、前記直流電圧オフセット発生源は、前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入った場合であっても、前記磁界データが前記測定磁界範囲の予め設定された範囲内に入るまで、前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を更に繰り返し実行することを特徴とする。
本発明によれば、感磁素子の測定磁界範囲を、時間間隔が変化する信号を感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせるため、励磁電流を増やす必要がない。そのため、フラックスゲート素子の小型化に伴い、励磁電流を増加させる必要がなく、励磁電流発生源における消費電力の増加、或いは測定磁界範囲の減少を抑制できる効果がある。
また、配線の微細化により励磁効率が向上した場合において、励磁電流を減少させると、出力信号の波高値低下は生じ、S/N比は悪化する。しかしながら、波高値を稼ぐために、励磁周期を短くした場合においても、磁励周期に応じて、測定磁界範囲を、時間間隔が変化する信号を感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせることができる。そのため、上述の様なデジタル出力における磁界分解能の低下を抑制できる効果がある。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、磁界検出装置1の構成の一例を示す図である。なお、図1において、図8と同一の部分には同一の符号を付している。図1に示す磁界検出装置1は、信号処理用半導体集積回路10、及び磁気素子20(時間分解型のフラックスゲート素子)を備えている。また、信号処理用半導体集積回路10は、励磁電流発生源11、クロック12(クロック発生回路)、アンプ13、コンパレータ14、TDC15(時間/デジタル変換器)、及びDCオフセット発生源16、及び演算回路17(演算部)を備える。
図1は、磁界検出装置1の構成の一例を示す図である。なお、図1において、図8と同一の部分には同一の符号を付している。図1に示す磁界検出装置1は、信号処理用半導体集積回路10、及び磁気素子20(時間分解型のフラックスゲート素子)を備えている。また、信号処理用半導体集積回路10は、励磁電流発生源11、クロック12(クロック発生回路)、アンプ13、コンパレータ14、TDC15(時間/デジタル変換器)、及びDCオフセット発生源16、及び演算回路17(演算部)を備える。
まず、本願の技術思想について、上記構成のうち、本願の特徴的部分であるDCオフセット発生源16が有する機能を中心に図2〜図4を用いて説明する。
信号処理用半導体集積回路10では、オフセットシフトによるダイナミックレンジのウインドウ表示(測定磁界範囲の選択)を用いている。具体的には、測定する外部磁界の範囲に応じて、DCオフセット発生源16は、励磁電流発生源11が磁気素子20の励磁コイルに通電する励磁電流に対して、直流電圧(DC電圧)を重畳する。これにより、磁気素子20の測定磁界範囲の基準DC電位をシフトさせ、本来の測定磁界範囲を超えている場合においても外部磁界の検出を可能とする。
信号処理用半導体集積回路10では、オフセットシフトによるダイナミックレンジのウインドウ表示(測定磁界範囲の選択)を用いている。具体的には、測定する外部磁界の範囲に応じて、DCオフセット発生源16は、励磁電流発生源11が磁気素子20の励磁コイルに通電する励磁電流に対して、直流電圧(DC電圧)を重畳する。これにより、磁気素子20の測定磁界範囲の基準DC電位をシフトさせ、本来の測定磁界範囲を超えている場合においても外部磁界の検出を可能とする。
このオフセットシフトの一例について、図2を用いて説明する。図2は、オフセットシフトの模式図である。なお、図2に示すように、励磁電流発生源11が磁気素子20の励磁コイルに通電する励磁電流が周期的な三角波の場合について説明する。図2(a)において、点線で示す外部磁界下では、三角波の傾きに応じた二つの出力信号が磁気素子20の検出コイル(磁界検出用コイル)から出力され、この出力信号が信号処理用半導体集積回路10において検出される。
例えば、外部環境が変化し、外部磁界が図2(b)に示す状態になった場合、磁気素子20の測定磁界範囲内であるため、磁気素子20の検出コイルは、三角波の傾きに応じた二つの出力信号を出力する。この出力信号は信号処理用半導体集積回路10において検出される。また、信号処理用半導体集積回路10は、そのピーク間隔(時間間隔)の変化から印加している磁界に関する情報を得る。
しかし、外部環境が変化し、外部磁界が図2(c)に示す状態になった場合、外部磁界が測定磁界範囲を超えているために検知されず、出力信号も得られない。つまり、磁気素子20の検出コイルは、破線で示す三角波の傾きに応じた二つの出力信号を出力しない。
例えば、外部環境が変化し、外部磁界が図2(b)に示す状態になった場合、磁気素子20の測定磁界範囲内であるため、磁気素子20の検出コイルは、三角波の傾きに応じた二つの出力信号を出力する。この出力信号は信号処理用半導体集積回路10において検出される。また、信号処理用半導体集積回路10は、そのピーク間隔(時間間隔)の変化から印加している磁界に関する情報を得る。
しかし、外部環境が変化し、外部磁界が図2(c)に示す状態になった場合、外部磁界が測定磁界範囲を超えているために検知されず、出力信号も得られない。つまり、磁気素子20の検出コイルは、破線で示す三角波の傾きに応じた二つの出力信号を出力しない。
そこで、DCオフセット発生源16が、励磁電流(三角波)にDC電圧をオフセットとして重畳させることにより、外部磁界が本来の測定磁界範囲を超えている場合においても測定を可能とする。つまり、図2(c)に示すように、磁気素子20の検出コイルは、実線で示す三角波の傾きに応じた二つの出力信号を出力する。
図3は、ウインドウ表示の概念図である。図3では、信号処理用半導体集積回路10が用いるダイナミックレンジのウインドウ表示を、ダイナミックレンジ(Dynamic Range;以下、本明細書においてダイナミックレンジDRという)に対して簡易的に表している。この図3に示すように、磁界検出装置1がアプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRに対して、DCオフセット発生源16は、測定する外部磁界の範囲に応じて、励磁電流に対して、直流電圧(DC電圧)を重畳する。これにより、磁気素子20の測定磁界範囲の基準DC電位をシフトさせ、本来の測定磁界範囲(図3において中央に示す測定磁界範囲)を超えている場合においても外部磁界の検出を可能とする。
図3に示すウインドウ表示の概念図に関して、更に詳しく図4、及び図5を用いて説明する。図4は、ダイナミックレンジに対するウインドウ表示例(1)を示す図である。また、図5は、ダイナミックレンジに対するウインドウ表示例(2)を示す図である。
図4は、磁気素子20の測定磁界範囲が、アプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRの5分の1程度の場合の一例である。アプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRは、外部磁界H−からH+の範囲であり、通常の場合に素子が測定可能な磁界範囲は外部磁界H2−から外部磁界H3+である。外部磁界が外部磁界H2−から外部磁界H3+の範囲内である場合、例えば外部磁界H0である場合、信号処理用半導体集積回路10は磁気素子20の出力信号を測定することが可能である。しかし、外部磁界が外部磁界H2−から外部磁界H3+の範囲を超えている場合、例えば外部磁界H1である場合、磁気素子20の測定磁界範囲を超えているため、信号処理用半導体集積回路10は磁気素子20の出力信号を測定することが不可能となる。
図4は、磁気素子20の測定磁界範囲が、アプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRの5分の1程度の場合の一例である。アプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRは、外部磁界H−からH+の範囲であり、通常の場合に素子が測定可能な磁界範囲は外部磁界H2−から外部磁界H3+である。外部磁界が外部磁界H2−から外部磁界H3+の範囲内である場合、例えば外部磁界H0である場合、信号処理用半導体集積回路10は磁気素子20の出力信号を測定することが可能である。しかし、外部磁界が外部磁界H2−から外部磁界H3+の範囲を超えている場合、例えば外部磁界H1である場合、磁気素子20の測定磁界範囲を超えているため、信号処理用半導体集積回路10は磁気素子20の出力信号を測定することが不可能となる。
そこで、DCオフセット発生源16は、励磁電流発生源11が通電する励磁電流に対して、一定のDC電圧をオフセットとして重畳し、磁気素子20の測定磁界範囲を、この場合にはマイナス方向に、外部磁界H1−から外部磁界H2+の範囲にシフトさせる。これにより、通常では測定不可能であった外部磁界環境下における測定を可能とすることができる。また、同様に外部磁界が外部磁界H2であるような場合においても、励磁電流に対して測定磁界範囲をプラス方向にシフトさせるようにDC電圧をオフセットとして重畳する。この場合、磁気素子20の測定磁界範囲を、外部磁界H3−から外部磁界H4+の範囲にシフトさせることにより、信号処理用半導体集積回路10が磁気素子20の出力信号を測定することが可能となる。
このように、信号処理用半導体集積回路10では、オフセットシフトによるダイナミックレンジのウインドウ表示(測定磁界範囲の選択)を用いる。これにより、磁気素子20の測定磁界範囲がアプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRに満たない場合であっても、アプリケーションとして求められるダイナミックレンジDR全域に亘った磁気素子20の出力信号の測定を可能とする。
オフセットシフトによるダイナミックレンジのウインドウ表示によれば、次に説明する効果を奏することができる。
すなわち、まず、磁気素子20の小型化に伴うコイル巻き数の減少により励磁効率が低下し、結果として磁気素子20の測定磁界範囲が狭まった場合においても、測定磁界範囲をシフトさせることができる。つまり、測定磁界範囲をシフトさせて、磁気素子20が2つの出力信号を出力し、信号処理用半導体集積回路10が外部磁界を検出するようにすることができる。これにより、磁気素子20の小型化に伴う影響を受けないようにすることができる。
すなわち、まず、磁気素子20の小型化に伴うコイル巻き数の減少により励磁効率が低下し、結果として磁気素子20の測定磁界範囲が狭まった場合においても、測定磁界範囲をシフトさせることができる。つまり、測定磁界範囲をシフトさせて、磁気素子20が2つの出力信号を出力し、信号処理用半導体集積回路10が外部磁界を検出するようにすることができる。これにより、磁気素子20の小型化に伴う影響を受けないようにすることができる。
或いは、同様に、配線の微細化に伴うコイル抵抗の増大により励磁電流が低下し、結果として素子の測定磁界範囲が狭まった場合においても、予め範囲が狭まった測定磁界範囲を複数設定しておく。DCオフセット発生源16は、この用意した複数の測定磁界範囲において、磁気素子20が2つの出力信号を出力する測定磁界範囲へシフトさせることができる。これにより、磁気素子20に対する励磁電流が低下の影響を受けないようにすることができる。
また、S/Nの改善を目的として出力信号の波高値を上げるために励磁周期を短くした場合においても、1LSBに対するピーク間隔が同じ割合になるように、磁気素子20のフルレンジのビット数を指定することにより、分解能を保つことが可能である。
また、S/Nの改善を目的として出力信号の波高値を上げるために励磁周期を短くした場合においても、1LSBに対するピーク間隔が同じ割合になるように、磁気素子20のフルレンジのビット数を指定することにより、分解能を保つことが可能である。
更には、次に説明する効果を奏することができる。例えば、図5に示すように、測定磁界範囲の中心付近におけるリニアリティの高い領域を選択的に使用するといった適用方法も可能である。図5に示すように、各測定磁界範囲において破線で示す領域に外部磁界がある場合、隣の測定磁界範囲においては、同じ外部磁界がその測定磁界範囲の中央部に位置することになる。つまり、各測定磁界範囲において実線で示す領域に外部磁界がない場合、隣の測定磁界範囲にシフトすることにより、同じ外部磁界を測定磁界範囲の中央部に位置させることができる。これにより、アプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRの全範囲に亘って良好な線形性を得ることが可能となる。また、励磁電流を低減した場合においては、信号処理用半導体集積回路10の励磁電流発生源11における消費電力の低減を行なうことができる。
図1に戻って、このようなオフセットシフトによるダイナミックレンジのウインドウ表示を用いる信号処理用半導体集積回路10、及び信号処理用半導体集積回路10を備えた磁界検出装置1の構成について説明する。
信号処理用半導体集積回路10内部の励磁電流発生源11は、クロック12が発生するクロック信号の周期に基づいて励磁電流を発生し、この励磁電流を磁気素子20の励磁コイルに通電する。磁気素子20(感磁素子)の検出コイルは、外部磁界に応じたピーク間隔を有するパルス状の誘導電圧を出力信号として発生し、アンプ13に対して出力する。この出力信号を、信号処理用半導体集積回路10内部のアンプ13が増幅し、コンパレータ14に対して、増幅した信号を出力する。コンパレータ14は、アンプ13から入力される、増幅後の信号から、磁気素子20の出力信号のピーク間隔に関する情報を検出する。TDC15は、ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して、デジタル出力(Digital out)として出力(アウトプット)する。TDC15は、Digital outを出力する一方で、このDigital outを演算回路17に対しても出力する。演算回路17は、Digital outを磁界に換算し、磁界に換算された磁界データを、DCオフセット発生源16に対して出力する。
信号処理用半導体集積回路10内部の励磁電流発生源11は、クロック12が発生するクロック信号の周期に基づいて励磁電流を発生し、この励磁電流を磁気素子20の励磁コイルに通電する。磁気素子20(感磁素子)の検出コイルは、外部磁界に応じたピーク間隔を有するパルス状の誘導電圧を出力信号として発生し、アンプ13に対して出力する。この出力信号を、信号処理用半導体集積回路10内部のアンプ13が増幅し、コンパレータ14に対して、増幅した信号を出力する。コンパレータ14は、アンプ13から入力される、増幅後の信号から、磁気素子20の出力信号のピーク間隔に関する情報を検出する。TDC15は、ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して、デジタル出力(Digital out)として出力(アウトプット)する。TDC15は、Digital outを出力する一方で、このDigital outを演算回路17に対しても出力する。演算回路17は、Digital outを磁界に換算し、磁界に換算された磁界データを、DCオフセット発生源16に対して出力する。
DCオフセット発生源16(直流電圧オフセット発生源)は、磁気素子20の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有する。外部磁界が磁気素子20の測定磁界範囲を超えている場合には正常な出力が得られない。そのため、DCオフセット発生源16は、当該テーブルから測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応するDC電圧(直流電圧)を、励磁電流発生源11が磁気素子20の磁励コイルに対して通電する励磁電流に重畳する。
なお、DCオフセット発生源16は、測定磁界範囲の選択を、例えば図4または図5に示すアプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRの下方(外部磁界の小さい方)側の測定磁界範囲から、順番にインクリメントすることにより実行する。或いは、DCオフセット発生源16は、アプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRの上方(外部磁界の大きい方)側からディクリメントすることにより、測定磁界範囲の選択を実行してもよい。DCオフセット発生源16は、測定磁界範囲の選択動作、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応するDC電圧(直流電圧)、すなわち基準DC電位を励磁電流に重畳する動作を繰り返し実行する。すなわち、DCオフセット発生源16は、磁気素子20が正常な出力信号を出力するまで、つまり、入力される磁界データが選択した測定磁界範囲に入るまで繰り返し実行する。
また、DCオフセット発生源16は、外部磁界が磁気素子20の測定磁界範囲内であった場合においても、測定磁界範囲の任意の範囲(例えば中心から±30%)を超えている場合、演算回路17からの磁界データにより、これを感知する。DCオフセット発生源16は、他の測定磁界範囲を選択する。DCオフセット発生源16は、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応するDC電圧を、励磁電流にDC電圧をオフセットとして重畳させることにより磁気素子20の測定磁界範囲をシフトさせる。
例えばDCオフセット発生源16は、図5に示すアプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRにおいて、外部磁界が測定磁界範囲の破線で示す領域に入った場合、これに隣接する測定磁界範囲を選択する。
例えば、インクリメントで測定磁界範囲をシフトさせているとき、外部磁界が外部磁界H4である場合、外部磁界H3−から外部磁界H2−を含む測定磁界範囲内に外部磁界H4が入る。そのため、磁気素子20は2つの出力信号を出力し、DCオフセット発生源16には外部磁界H4に対応する磁界データが演算回路17から入力される。しかしながら、外部磁界H4は、外部磁界H3−から外部磁界H2−を含む測定磁界範囲の中心から±30%の範囲を上側に超えている。そのため、DCオフセット発生源16は、外部磁界H2−から外部磁界H1−を含む測定磁界範囲へ、測定磁界範囲をシフトさせる。そして、DCオフセット発生源16は、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応するDC電圧(直流電圧)、すなわちDC電位を励磁電流に重畳する。これにより、常に磁気素子20の測定磁界範囲の中心付近を使用することが可能であるため、良好な線形性が得られる。
例えばDCオフセット発生源16は、図5に示すアプリケーションとして求められるダイナミックレンジDRにおいて、外部磁界が測定磁界範囲の破線で示す領域に入った場合、これに隣接する測定磁界範囲を選択する。
例えば、インクリメントで測定磁界範囲をシフトさせているとき、外部磁界が外部磁界H4である場合、外部磁界H3−から外部磁界H2−を含む測定磁界範囲内に外部磁界H4が入る。そのため、磁気素子20は2つの出力信号を出力し、DCオフセット発生源16には外部磁界H4に対応する磁界データが演算回路17から入力される。しかしながら、外部磁界H4は、外部磁界H3−から外部磁界H2−を含む測定磁界範囲の中心から±30%の範囲を上側に超えている。そのため、DCオフセット発生源16は、外部磁界H2−から外部磁界H1−を含む測定磁界範囲へ、測定磁界範囲をシフトさせる。そして、DCオフセット発生源16は、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応するDC電圧(直流電圧)、すなわちDC電位を励磁電流に重畳する。これにより、常に磁気素子20の測定磁界範囲の中心付近を使用することが可能であるため、良好な線形性が得られる。
次に、本発明の信号処理用半導体集積回路、及び信号処理用半導体集積回路を備えた磁界検出装置の他の構成例について説明する。図6は、磁界検出装置1aの構成の一例を示す図である。なお、図6において、図1と同じ部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。図6に示す磁界検出装置1aは、信号処理用半導体集積回路10a、及び磁気素子20を備えている。また、信号処理用半導体集積回路10aは、励磁電流発生源11、クロック12、アンプ13、コンパレータ14、TDC15(Time to Digital Converter)、DCオフセット発生源16、及び演算回路17aを備える。
図6に示す構成例の信号処理用半導体集積回路10aにおいては、演算回路17aが、コンパレータ14からのデータを磁界データに換算し、DCオフセット発生源16に対して出力する。
図6に示す構成例の信号処理用半導体集積回路10aにおいては、演算回路17aが、コンパレータ14からのデータを磁界データに換算し、DCオフセット発生源16に対して出力する。
次に、本発明の信号処理用半導体集積回路、及び信号処理用半導体集積回路を備えた磁界検出装置の他の構成例について説明する。図7は、磁界検出装置1bの構成の一例を示す図である。なお、図7において、図1、及び図6と同じ部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。図7に示す磁界検出装置1bは、信号処理用半導体集積回路10b、及び磁気素子20を備えている。また、信号処理用半導体集積回路10bは、励磁電流発生源11、クロック12(クロック発生回路)、アンプ13、コンパレータ14、DCオフセット発生源16a、及び演算回路及びTDC18を備える。
信号処理用半導体集積回路10bにおいては、演算回路及びTDC18は、コンパレータ14からのピーク間隔に関する時間情報を磁界データに換算し、DCオフセット発生源16aに対して出力する。また、演算回路及びTDC18は、図1、図6に示すTDC15と同様の時間/デジタル変換機能を有しており、コンパレータ14からのピーク間隔に関する時間情報をデジタルデータに変換し、Digital outとして出力する。
信号処理用半導体集積回路10bにおいては、演算回路及びTDC18は、コンパレータ14からのピーク間隔に関する時間情報を磁界データに換算し、DCオフセット発生源16aに対して出力する。また、演算回路及びTDC18は、図1、図6に示すTDC15と同様の時間/デジタル変換機能を有しており、コンパレータ14からのピーク間隔に関する時間情報をデジタルデータに変換し、Digital outとして出力する。
また、DCオフセット発生源16aは、励磁電流発生源11が通電する励磁電流の励磁周期を短くするための制御信号である励磁周期変更信号を、励磁電流発生源11に対して出力する。これにより、磁気素子20の出力信号の波高値が上がり、S/Nを改善することができる。この際、DCオフセット発生源16aは、1LSBに対するピーク間隔が同じ割合で、磁気素子20の測定磁界範囲が狭まった測定磁界範囲を選択することにより、分解能を保つことを可能とする。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等も含まれる。
10…磁界検出装置、11…励磁電流発生源、12…クロック、13…アンプ、14…コンパレータ、15…TDC、16,16a…DCオフセット発生源、17,17a…演算回路、18…演算回路及びTDC、20…磁気素子
Claims (12)
- 時間に対して周期的に変化する励磁電流を励磁コイルに通電することにより、外部磁界に応じて時間間隔が変化する信号を出力する時間分解型のフラックスゲート素子を感磁素子として用いた磁界検出用の信号処理用半導体集積回路であって、
前記外部磁界に応じて前記励磁電流に直流電圧をオフセットとして重畳して、前記感磁素子の測定磁界範囲を、前記時間間隔が変化する信号を前記感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせることを特徴とする信号処理用半導体集積回路。 - 前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、
前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、
前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、
更に、前記コンパレータからの出力を磁界データへ換算する演算部と、
前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、
前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする請求項1に記載の信号処理用半導体集積回路。 - 前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、
前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、
前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、
更に、前記時間/デジタル変換器からのデジタルデータを磁界データへ換算する演算部と、
前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、
前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする請求項1に記載の信号処理用半導体集積回路。 - 前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、
前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、
前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータを磁界データへ換算する演算部と、
前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、
前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳し、
前記演算部は、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換機能を含んで構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理用半導体集積回路。 - 前記直流電圧オフセット発生源は、前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を、
前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入るまで、繰り返し実行することを特徴とする請求項2から請求項4いずれか一項に記載の信号処理用半導体集積回路。 - 前記直流電圧オフセット発生源は、前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入った場合であっても、前記磁界データが前記測定磁界範囲の予め設定された範囲内に入るまで、
前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を更に繰り返し実行することを特徴とする請求項5に記載の信号処理用半導体集積回路。 - 時間に対して周期的に変化する励磁電流を励磁コイルに通電することにより、外部磁界に応じて時間間隔が変化する信号を出力する時間分解型のフラックスゲート素子を感磁素子として用いた磁界検出装置であって、
前記外部磁界に応じて前記励磁電流に直流電圧をオフセットとして重畳して、前記感磁素子の測定磁界範囲を、前記時間間隔が変化する信号を前記感磁素子が出力する測定磁界範囲にシフトさせることを特徴とする磁界検出装置。 - 前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、
前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、
前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、
更に、前記コンパレータからの出力を磁界データへ換算する演算部と、
前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、
前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする請求項7に記載の磁界検出装置。 - 前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、
前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、
前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換器と、を含んで構成され、
更に、前記時間/デジタル変換器からのデジタルデータを磁界データへ換算する演算部と、
前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、
前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳することを特徴とする請求項7に記載の磁界検出装置。 - 前記感磁素子の励磁コイルに励磁電流を通電する励磁電流発生源と、
前記感磁素子の出力信号を増幅するアンプと、
前記アンプにより増幅される前記感磁素子の出力信号のピーク間隔を測定するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータを磁界データへ換算する演算部と、
前記演算部から入力される直流電圧オフセット発生源と、を備え、
前記直流電圧オフセット発生源は、前記感磁素子の測定磁界範囲が複数設定されるとともに、前記磁界データが予め外部磁界に関連付けられて記憶されたテーブルを有し、当該テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳し、
前記演算部は、前記コンパレータから出力される前記ピーク間隔に関するアナログデータをデジタルデータに変換して外部に出力する時間/デジタル変換機能を含んで構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載の磁界検出装置。 - 前記直流電圧オフセット発生源は、前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を、
前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入るまで、繰り返し実行することを特徴とする請求項8から請求項10いずれか一項に記載の磁界検出装置。 - 前記直流電圧オフセット発生源は、前記磁界データが、選択した前記測定磁界範囲に入った場合であっても、前記磁界データが前記測定磁界範囲の予め設定された範囲内に入るまで、
前記テーブルから前記測定磁界範囲を選択し、当該測定磁界範囲の中央の磁界に対応する前記直流電圧を、前記励磁電流に重畳する動作を更に繰り返し実行することを特徴とする請求項11に記載の磁界検出装置。
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JP2012219220A JP2014071061A (ja) | 2012-10-01 | 2012-10-01 | 信号処理用半導体集積回路、及び磁界検出装置 |
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Cited By (1)
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JP2015092144A (ja) * | 2013-11-08 | 2015-05-14 | 矢崎総業株式会社 | 磁界検出センサ |
-
2012
- 2012-10-01 JP JP2012219220A patent/JP2014071061A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
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