JP2010286270A - 電流センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造で小型化を図ることができ、しかも大きい被測定電流を検出することができる電流センサを提供すること。
【解決手段】本発明の電流センサは、被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子と、前記2つの磁気抵抗効果素子が接続され、誘導磁界の強度差に比例した前記2つの磁気抵抗効果素子の出力を得る回路と、を具備することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の電流センサは、被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子と、前記2つの磁気抵抗効果素子が接続され、誘導磁界の強度差に比例した前記2つの磁気抵抗効果素子の出力を得る回路と、を具備することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気抵抗効果素子(TMR素子、GMR素子)を用いた電流センサに関する。
電気自動車においては、エンジンで発電した電気を用いてモータを駆動しており、このモータ駆動用の電流の大きさは、例えば電流センサにより検出される。この電流センサとしては、導体の周囲に、一部に切り欠き(コアギャップ)を有する磁性体コアを配置し、このコアギャップ内に磁気検出素子を配置してなるものである(特許文献1)。この電流センサにおいては、磁性体コアの中に生じた磁力線によりコアギャップに被測定電流に比例した磁界が通る。磁気検出素子がこの磁界を電圧信号に変換し、この磁気検出素子からの出力電圧を増幅回路にて増幅し、被測定電流に比例した出力電圧を発生する。
近年、電気自動車の大出力化・高性能化に伴って、取り扱う電流値が大きくなってきており、そのため大電流時の磁気飽和を回避する必要がある。磁気飽和を回避するためには磁性体コアを大きくする必要があるが、磁性体コアを大きくすると電流センサ自体が大型化するという問題がある。このような磁性体コアを用いた電流センサの課題を解決するために、磁性体コアを用いず、磁気抵抗効果素子を用いた電流センサが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、磁性体コアを用いず、磁気抵抗効果素子を用いた構造においては、外部磁界の影響を受けるために、外部磁界の影響を低減させるために磁気シールドが必要となり、設計が難しくなると共に構造が複雑化し、製造コストの増大を招く問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で小型化を図ることができ、しかも大きい被測定電流を検出することができる電流センサを提供することを目的とする。
本発明の電流センサは、被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子と、前記2つの磁気抵抗効果素子が接続され、誘導磁界の強度差に比例した前記2つの磁気抵抗効果素子の出力を得る回路と、を具備することを特徴とする。
この構成によれば、被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に2つの磁気抵抗効果素子を配置しており、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子の出力を得る回路を備えている。このため、2つの磁気抵抗効果素子の出力から磁界の強度差を求めることにより、外部磁界が印加されていても、2つの磁気抵抗効果素子に印加される外部磁界が相殺されるので、外部磁界の影響を除去することができる。その結果、外部磁界を低減させるために磁気シールドを設ける必要がなく、簡単な構造で小型化を図ることができる。また、本構成においては、磁性体コアを用いていないので、大きい被測定電流でも構造を大型化することなく検出することができる。
本発明の電流センサにおいては、前記磁気抵抗効果素子がそれぞれ零磁界で同一の抵抗を持つことが好ましい。
本発明の電流センサにおいては、前記磁気抵抗効果素子がそれぞれ同一磁界に対して同一の抵抗変化率を示すことが好ましい。
本発明の電流センサにおいては、前記電流センサが磁気比例式電流センサであることが好ましい。
本発明の電流センサにおいては、前記電流センサは、前記2つの磁気抵抗効果素子に対して前記被測定電流からの誘導磁界の方向と平行に磁界を印加するフィードバックコイルを備えた磁気平衡式電流センサであり、前記回路がブリッジ回路であることが好ましい。この場合において、前記2つの磁気抵抗効果素子における前記被測定電流からの誘導磁界と、前記フィードバックコイルからの磁界の合成磁界が同一となる時に前記ブリッジ回路の中点電位差が零となることが好ましい。また、この場合においては、前記フィードバックコイルから前記2つの磁気抵抗効果素子に対して同一強度で方向が反対の磁界が印加されることが好ましい。
本発明の電流センサにおいては、前記磁気抵抗効果素子の磁化固定軸がそれぞれ同一方向であり、前記磁化固定軸の方向が前記被測定電流からの誘導磁界に平行方向であることが好ましい。
本発明の電流センサは、被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子と、前記2つの磁気抵抗効果素子が接続され、誘導磁界の強度差に比例した前記2つの磁気抵抗効果素子の出力を得る回路と、を具備するので、簡単な構造で小型化を図ることができ、しかも大きい被測定電流を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、電流センサが磁気比例式電流センサである場合について説明する。導体に被測定電流が流れると、その導体の周囲において、右ねじを回す際に進む方向に電流の向きを一致させたときの右回り方向に磁界が生じる。磁気比例式電流センサは、その磁界を測定することにより電流の大きさを間接的に測定する。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、電流センサが磁気比例式電流センサである場合について説明する。導体に被測定電流が流れると、その導体の周囲において、右ねじを回す際に進む方向に電流の向きを一致させたときの右回り方向に磁界が生じる。磁気比例式電流センサは、その磁界を測定することにより電流の大きさを間接的に測定する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電流センサの回路図である。図1に示す電流センサは、被測定電流Iが流れる導体1の近傍に配設される。この電流センサは、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子R1,R2の出力を得る回路を備える。この回路においては、被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に2つの磁気抵抗効果素子R1,R2が配置される。図1においては、導体1の中心から磁気抵抗効果素子R1までの距離をrとし、磁気抵抗効果素子R1,R2間の距離をdとしている。したがって、導体1の中心から磁気抵抗効果素子R2までの距離はr+dである。2つの磁気抵抗効果素子R1,R2は接続されている。また、この回路は2つの固定抵抗素子R3,R4を有しており、この2つの固定抵抗素子R3,R4は接続されている。
本実施の形態において、導体1の中心から磁気抵抗効果素子R1までの距離rは、磁化飽和、回路出力などを考慮すると、2.0mm〜25.0mmであることが好ましい。また、磁気抵抗効果素子R1,R2間の距離dは、検出可能な誘導磁界強度差などを考慮すると、0.1mm以上であることが好ましい。なお、距離dについては大きくすることにより出力が増加するため、電流センサ本体の許容可能なサイズ範囲で距離dを最大となるように設計することが望ましい。また、これらの距離r,dは被測定電流Iの大きさにより適宜変更することができる。
図1に示す電流センサの回路においては、磁気抵抗効果素子R1,R2間の接続点に電源Vddが接続されており、固定抵抗素子R3,R4間の接続点にグランド(Gnd)が接続されている。さらに、この回路においては、磁気抵抗効果素子R1の出力(出力1)は磁気抵抗効果素子R1と固定抵抗素子R3との間の接続点から取り出し、磁気抵抗効果素子R2の出力(出力2)は磁気抵抗効果素子R2と固定抵抗素子R4との間の接続点から取り出している。このような構成の回路においては、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子R1,R2の出力を得ることができる。
図2は、図1に示す電流センサの検出磁界と導体−磁気抵抗効果素子間の距離との間の関係を示す図であり、図3は、図1に示す電流センサの検出磁界と被測定電流との間の関係を示す図である。図2から分かるように、導体1の中心から電流センサの磁気抵抗効果R1までの距離が大きくなるにしたがって被測定電流誘導磁界が小さくなる(H1→H2)。また、図3から分かるように、被測定電流Iが大きくなるにしたがって被測定電流誘導磁界H1,H2も大きくなる。
上記回路を有する電流センサによれば、被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に2つの磁気抵抗効果素子R1,R2を配置しており、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子の出力を得ることができる。このため、2つの磁気抵抗効果素子R1,R2の出力から磁界の強度差(H1−H2:I/2π{1/r+1/(r+d)})を求めることができる。そのため、外部磁界が印加されていても、2つの磁気抵抗効果素子R1,R2に印加される外部磁界が相殺される。すなわち、電流センサに外部磁界が印加されると、磁気抵抗効果素子R1,R2での磁界強度(H1,H2)は変動するが、磁界の強度差(H1−H2)は変動しない。その結果、外部磁界の影響を除去することができ、外部磁界を低減させるために磁気シールドを設ける必要がなく、簡単な構造で小型化を図ることができる。また、本構成においては、磁性体コアを用いていないので、大きい被測定電流でも、すなわち電線の径が大きくなる大電流の測定を行う場合でも、構造を大型化することなく検出することができる。
この実施の形態における磁気抵抗効果素子R1,R2としては、TMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)、GMR素子(巨大磁気抵抗効果素子)などを用いることができる。例えば、GMR素子として、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層、フリー磁性層を有する多層膜で構成されるスピンバルブ型GMR素子を用いることができる。このスピンバルブ型GMR素子においては、磁界に対する回路出力の線形性を考慮すると、磁気抵抗効果素子R1,R2の固定磁性層の磁化固定軸がそれぞれ同一方向であることが好ましく、また、誘導磁界に対する抵抗変化率を考慮すると、磁化固定軸の方向が被測定電流Iからの誘導磁界に平行方向であることが好ましい。
また、この実施の形態における磁気抵抗効果素子R1,R2は、微小な磁界での測定精度を考慮すると、それぞれ零磁界で同一の抵抗を持つことが好ましい。また、回路出力の線形性を考慮すると、磁気抵抗効果素子R1,R2がそれぞれ同一磁界に対して同一の抵抗変化率を示すことが好ましい。
次に、本実施の形態に係る電流センサの効果を明確にするために行った実施例について説明する。
図1に示す回路(被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子を有する回路)を有する電流センサ(実施例1)を用い、約0.05mTの地磁気が加わった場合の誘導磁界を求めた。このとき、導体1に流れる被測定電流を100Aとし、導体1の中心から磁気抵抗効果素子R1までの距離rを10mmとし、磁気抵抗効果素子R1,R2間の距離dを0.1mmとした。このように磁気抵抗効果素子R1,R2を配置することにより、磁気抵抗効果素子R2においては、磁気抵抗効果素子R1の被測定電流誘導磁界H1の1%程度の磁界強度差が得られる。なお、被測定電流100Aにおいては、磁気抵抗効果素子R1での誘導磁界は2.0mT程度となる。
図1に示す回路においては、磁気抵抗効果素子R1,R2での磁界強度(H1,H2)は地磁気により変動するが、磁界の強度差(H1−H2)は変動しない。このため、精度良く被測定電流を測定することができる。
また、参考例として、図4に示す回路(図1に示す回路の磁気抵抗効果素子R2を固定抵抗素子R2’とした回路)を有する電流センサ(参考例1)を用い、約0.05mTの地磁気が加わった場合の誘導磁界を求めた。図4に示す回路においては、磁気抵抗効果素子R1の磁界強度H1が地磁気により変動して2%程度の磁界変化が生じ、測定誤差となった。
本実施の形態においては、図5に示すように、被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子R1,R2を有し、固定抵抗素子を設けない構成、すなわち、磁気抵抗効果素子R1での電圧V1と、磁気抵抗効果素子R2での電圧V2との間の電圧差V1−V2を出力とする構成としても良い。また、本実施の形態においては、図6に示すように、被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの電流センサA,B(図4に示す構成の回路を有する電流センサ)を有する構成、すなわち、電流センサAの出力と、電流センサBの出力との間の電圧差A−Bを出力とする構成としても良い。
このように、本実施の形態に係る電流センサは、被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に2つの磁気抵抗効果素子を配置しており、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子の出力を得る回路を備えているので、2つの磁気抵抗効果素子の出力から磁界の強度差を求めることにより、外部磁界が印加されていても、2つの磁気抵抗効果素子に印加される外部磁界が相殺され、外部磁界の影響を除去することができる。その結果、外部磁界を低減させるために磁気シールドを設ける必要がなく、簡単な構造で小型化を図ることができる。また、本構成においては、磁性体コアを用いていないので、大きい被測定電流でも構造を大型化することなく検出することができる。なお、被測定電流が小さいほど外部磁界の影響は大きくなるので、被測定電流が500A以下レベルの場合に特に有効である。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、電流センサが磁気平衡式電流センサである場合について説明する。磁気平衡式電流センサは、被測定電流によって発生する磁界を打ち消す方向に巻回されたコイルを有している。磁気平衡式電流センサにおいては、被測定電流が流れると、電流に応じた磁界により磁気検出素子に出力電圧が生じ、この磁気検出素子から出力された電圧信号が電流に変換されてコイルにフィードバックされる。このコイルにより発生する磁界(キャンセル磁界)と被測定電流により生じる磁界とが打ち消しあって磁界が常に0になるように動作する。このとき、コイルに流れるキャンセル電流を電圧変換させて出力として取り出す。
本実施の形態においては、電流センサが磁気平衡式電流センサである場合について説明する。磁気平衡式電流センサは、被測定電流によって発生する磁界を打ち消す方向に巻回されたコイルを有している。磁気平衡式電流センサにおいては、被測定電流が流れると、電流に応じた磁界により磁気検出素子に出力電圧が生じ、この磁気検出素子から出力された電圧信号が電流に変換されてコイルにフィードバックされる。このコイルにより発生する磁界(キャンセル磁界)と被測定電流により生じる磁界とが打ち消しあって磁界が常に0になるように動作する。このとき、コイルに流れるキャンセル電流を電圧変換させて出力として取り出す。
図7は、本発明の実施の形態2に係る電流センサの回路図である。図7に示す電流センサは、被測定電流Iが流れる導体1の近傍に配設される。この電流センサは、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子R1,R2の出力を得るブリッジ回路を備える。このブリッジ回路においては、被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に2つの磁気抵抗効果素子R1,R2が配置される。図7においては、導体1の中心から磁気抵抗効果素子R1までの距離をrとし、磁気抵抗効果素子R1,R2間の最短距離をdとしている。したがって、導体1の中心から磁気抵抗効果素子R2までの距離はr+dである。2つの磁気抵抗効果素子R1,R2は接続されている。導体1の中心から磁気抵抗効果素子R1までの距離rや磁気抵抗効果素子R1,R2間の最短距離dについては、実施の形体と同じである。
この電流センサは、被測定電流Iによって発生する磁界を打ち消す方向に巻回されたフィードバックコイル2を有する。また、この回路は2つの固定抵抗素子R3,R4を有しており、この2つの固定抵抗素子R3,R4は接続されている。
図7に示す電流センサの回路においては、磁気抵抗効果素子R1,R2間の接続点に電源Vddが接続されており、固定抵抗素子R3,R4間の接続点にグランド(Gnd)が接続されている。さらに、この回路においては、磁気抵抗効果素子R1の出力(出力1)は磁気抵抗効果素子R1と固定抵抗素子R3との間の接続点から取り出し、磁気抵抗効果素子R2の出力(出力2)は磁気抵抗効果素子R2と固定抵抗素子R4との間の接続点から取り出している。
また、このブリッジ回路においては、各磁気抵抗効果素子R1,R2における被測定電流Iからの誘導磁界と、フィードバックコイル2からの磁界の合成磁界が同一となる時にブリッジ回路中点電位差が零となるようになっている。さらに、このブリッジ回路においては、フィードバックコイル2から磁気抵抗効果素子R1,R2に対して同一強度で方向が反対の磁界を印加するようになっている。このような構成のブリッジ回路においては、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子R1,R2の出力を得ることができる。
図8は、図7に示す電流センサの検出磁界と導体−磁気抵抗効果素子間の距離との間の関係を示す図である。図8から分かるように、導体1の中心から電流センサの磁気抵抗効果R1までの距離が大きくなるにしたがって被測定電流誘導磁界が小さくなる。図7に示す電流センサにおいては、それぞれの磁気抵抗効果素子R1,R2に印加する磁界強度が同一となれば良いので、図7及び図8に示すように、誘導磁界の大きい磁気抵抗効果素子R1(誘導磁界強度=H1)には誘導磁界と反対の方向へキャンセル磁界を印加し、誘導磁界の小さい磁気抵抗効果素子R2(誘導磁界強度=H2)には誘導磁界と同じ方向へキャンセル磁界を印加する。これにより、各々の磁気抵抗効果素子R1,R2での合成された磁界強度は誘導磁界強度H1,H2の平均となり、ブリッジ回路の中点電位差は零となる。このときのフィードバックコイル2からのキャンセル磁界強度はH1,H2の磁界強度差の半分である(H1−H2)/2となる。
フィードバックコイル2からのキャンセル磁界強度を磁気抵抗効果素子R1,R2に印加する被測定電流Iからの磁界H1,H2から求めると以下のようになる。
H1=I/2πr
H2=I/2π(r+d)
(H1−H2)/2={I/2πr−I/2π(r+d)}/2
=I/4π{1/r−1/(r+d)}
=I/4π{(r+d−r)/r*(r+d)}
=I/4π{d/r(r+d)}
この式から、キャンセル磁界は被測定電流Iと1次線形比例関係を持つことが分かる。
H1=I/2πr
H2=I/2π(r+d)
(H1−H2)/2={I/2πr−I/2π(r+d)}/2
=I/4π{1/r−1/(r+d)}
=I/4π{(r+d−r)/r*(r+d)}
=I/4π{d/r(r+d)}
この式から、キャンセル磁界は被測定電流Iと1次線形比例関係を持つことが分かる。
上記ブリッジ回路を有する電流センサによれば、被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に2つの磁気抵抗効果素子R1,R2を配置しており、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子の出力を得ることができる。このブリッジ回路において、キャンセル磁界は、上述のとおり(H1−H2)/2である。このため、外部磁界が印加されていても、2つの磁気抵抗効果素子R1,R2に印加される外部磁界が相殺される。すなわち、電流センサに外部磁界が印加されると、磁気抵抗効果素子R1,R2での磁界強度(H1,H2)は変動するが、キャンセル磁界(H1−H2)/2は変動しない。その結果、外部磁界の影響を除去することができ、外部磁界を低減させるために磁気シールドを設ける必要がなく、簡単な構造で小型化を図ることができる。また、本構成においては、磁性体コアを用いていないので、大きい被測定電流でも、すなわち電線の径が大きくなる大電流の測定を行う場合でも、構造を大型化することなく検出することができる。
また、通常の磁気平衡式電流センサでは、フィードバックコイルからのキャンセル磁界は磁気抵抗効果素子への誘導磁界(H1)と同一の磁界強度が必要である。本実施の形態に係る電流センサでは、フィードバックコイルからのキャンセル磁界強度はH1,H2の磁界強度差の半分である(H1−H2)/2となり、通常の磁気平衡式電流センサのキャンセル磁界の半分以下で良い。このため、フィードバックコイルの小型化と省電力化を図ることが可能となる。また、フィードバックコイルの軸心が被測定電流Iからの誘導磁界方向と直交するため、被測定電流Iが交流やパルス状の場合でもフィードバックコイルへの誘導起電力が生じない。そのため、本実施の形態に係る電流センサは、高周波交流やパルス電流の測定にも適用が可能である。
次に、本実施の形態に係る電流センサの効果を明確にするために行った実施例について説明する。
図7に示す回路(被測定電流Iからの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子を有する回路)を有する電流センサ(実施例2)を用い、約0.05mTの地磁気が加わった場合の誘導磁界を求めた。このとき、導体1に流れる被測定電流を100Aとし、導体1の中心から磁気抵抗効果素子R1までの距離rを10mmとし、磁気抵抗効果素子R1,R2間の距離dを0.5mmとした。このように磁気抵抗効果素子R1,R2を配置することにより、磁気抵抗効果素子R2においては、磁気抵抗効果素子R1の被測定電流誘導磁界H1の0.1mT程度の磁界強度差が得られる。なお、被測定電流100Aにおいては、磁気抵抗効果素子R1での誘導磁界は2.0mT程度となる。
図7に示す回路においては、磁気抵抗効果素子R1,R2での磁界強度(H1,H2)は地磁気により変動するが、キャンセル磁界(H1−H2)/2は変動しない。このため、精度良く被測定電流を測定することができる。また、このときのキャンセル磁界は0.05mTであった。
また、参考例として、図9に示す回路(図4に示す回路の磁気抵抗効果素子R2を固定抵抗素子R2’とし、フィードバックコイル2を設けた回路)を有する電流センサ(参考例2)を用い、約0.05mTの地磁気が加わった場合の誘導磁界を求めた。図9に示す回路においては、磁気抵抗効果素子R1の磁界強度H1が地磁気により変動して2.0%程度の磁界変化が生じ、測定誤差となった。また、このときのキャンセル磁界は2.0mTであった。
このように、本実施の形態に係る電流センサは、被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に2つの磁気抵抗効果素子を配置しており、誘導磁界の強度差に比例した2つの磁気抵抗効果素子の出力を得るブリッジ回路を備えているので、2つの磁気抵抗効果素子の出力から磁界の強度差を求めることにより、外部磁界が印加されていても、2つの磁気抵抗効果素子に印加される外部磁界が相殺され、外部磁界の影響を除去することができる。その結果、外部磁界を低減させるために磁気シールドを設ける必要がなく、簡単な構造で小型化を図ることができる。また、本構成においては、磁性体コアを用いていないので、大きい被測定電流でも構造を大型化することなく検出することができる。なお、被測定電流が小さいほど外部磁界の影響は大きくなるので、被測定電流が500Aレベルの場合に特に有効である。さらに、本実施の形態に係る電流センサにおいては、図4に示す回路の磁気抵抗効果素子を固定抵抗素子とし、同一形状のフィードバックコイルを設けた回路を有する電流センサに比べて、フィードバックコイルでの消費電力を約1/20程度に抑えることができる。
本発明は上記実施の形態1,2に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態1,2における材料、各層の配置位置、厚さ、大きさ、製法などは適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。
本発明は、電気自動車のモータ駆動用の電流の大きさを検出する電流センサに適用することが可能である。
1 導体
2 フィードバックコイル
H1,H2 被測定電流誘導磁界
R1,R2 磁気抵抗効果素子
R2’,R3,R4 固定抵抗素子
A,B 電流センサ
2 フィードバックコイル
H1,H2 被測定電流誘導磁界
R1,R2 磁気抵抗効果素子
R2’,R3,R4 固定抵抗素子
A,B 電流センサ
Claims (8)
- 被測定電流からの誘導磁界強度が異なる位置に配置される2つの磁気抵抗効果素子と、前記2つの磁気抵抗効果素子が接続され、誘導磁界の強度差に比例した前記2つの磁気抵抗効果素子の出力を得る回路と、を具備することを特徴とする電流センサ。
- 前記磁気抵抗効果素子がそれぞれ零磁界で同一の抵抗を持つことを特徴とする請求項1記載の電流センサ。
- 前記磁気抵抗効果素子がそれぞれ同一磁界に対して同一の抵抗変化率を示すことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電流センサ。
- 前記電流センサが磁気比例式電流センサであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流センサ。
- 前記電流センサは、前記2つの磁気抵抗効果素子に対して前記被測定電流からの誘導磁界の方向と平行に磁界を印加するフィードバックコイルを備えた磁気平衡式電流センサであり、前記回路がブリッジ回路であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流センサ。
- 前記2つの磁気抵抗効果素子における前記被測定電流からの誘導磁界と、前記フィードバックコイルからの磁界の合成磁界が同一となる時に前記ブリッジ回路の中点電位差が零となることを特徴とする請求項5記載の電流センサ。
- 前記フィードバックコイルから前記2つの磁気抵抗効果素子に対して同一強度で方向が反対の磁界が印加されることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の電流センサ。
- 前記2つの磁気抵抗効果素子の磁化固定軸がそれぞれ同一方向であり、前記磁化固定軸の方向が前記被測定電流からの誘導磁界に平行方向であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の電流センサ。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009138318A Pending JP2010286270A (ja) | 2009-06-09 | 2009-06-09 | 電流センサ |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2010286270A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9638767B2 (en) | 2011-09-19 | 2017-05-02 | Denso Corporation | Current sensor and attachment structure of the same |
WO2017141763A1 (ja) * | 2016-02-15 | 2017-08-24 | アルプス電気株式会社 | 電流センサ |
CN109085404A (zh) * | 2017-06-13 | 2018-12-25 | Tdk株式会社 | 电流传感器 |
-
2009
- 2009-06-09 JP JP2009138318A patent/JP2010286270A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9638767B2 (en) | 2011-09-19 | 2017-05-02 | Denso Corporation | Current sensor and attachment structure of the same |
WO2017141763A1 (ja) * | 2016-02-15 | 2017-08-24 | アルプス電気株式会社 | 電流センサ |
CN109085404A (zh) * | 2017-06-13 | 2018-12-25 | Tdk株式会社 | 电流传感器 |
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