JP2014070271A - 鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造 - Google Patents

鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造 Download PDF

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Abstract

【課題】防食対象物が不規則な変形をしていても、防食層と防食対象物表面の間に隙間を生じさせることなく防食層を防食対象物表面に均一に被覆させることができ、良好な被覆防食状態とすることができ、また外力を受けても損傷しにくく、良好な被覆防食状態を長期間維持でき、さらに現場での塗布作業や大型機械を必要とせず、現場での作業性に優れる鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造を提供すること。
【解決手段】被防食体4の表面に防食層3を配設し、該防食層3の上に保護カバー1を取り付ける鋼構造物の被覆防食方法において、前記防食層3を、吸水性高分子の含有量が異なるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層からなる内層31及び表層32から構成される2層構造であって、前記内層31が前記表層32より吸水性高分子を多く含有する防食層とし、該2層構造の防食層3を前記保護カバー1と一体化して被防食体4に取り付ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、海洋環境に曝露されている鋼矢板などの鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造に関し、特に、腐食の厳しい飛沫干満帯の被覆防食方法及び被覆防食構造に関するものである。鋼構造物の中でも鋼矢板は、打設時の衝撃や地震などにより不規則な変形をしている場合があるが、この場合にも、隙間なく被覆することにより良好な防食状態を長期間維持できる鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造に関する。
従来、海洋環境に曝露されている既設鋼構造物の被覆防食方法としては、ペトロラタム被覆、水中硬化形被覆、モルタル被覆などが実施されてきた(非特許文献1参照)。
ペトロラタム被覆は、防食層にペトロラタム系防食材を使用し、その保護層としてプラスチック製もしくは耐食金属製の保護カバーを用いる複合タイプの防食方法である。
水中硬化形被覆は、水中でも硬化するエポキシ系の塗料もしくはパテを鋼材に塗布する防食方法である。
モルタル被覆は、防食対象物にプラスチック製もしくは耐食金属製などの型枠を取り付け、型枠内に海水中でも硬化するモルタルを注入する防食方法である。
さらに最近は新たな防食方法として、防食対象物に大きな電流を通電して、その表面に厚いエレクトロコーティングを形成させて防食する電着工法(特許文献1参照)や、ウレタンなどの樹脂に防錆剤などを添加し、未硬化の状態で防食対象物に被覆する有機被覆工法(特許文献2参照)がある。
上述した従来の防食方法において、ペトロラタム被覆は、実施に大型機械を必要としない、工法が単純であるなどの利点があるものの、鋼矢板などのように防食対象物が曲がりの角度が鋭角的で変形を伴う場合は、被覆層と防食対象物表面の間に隙間を生じやすくなり、その部分の防食が不十分となる欠点がある。
水中硬化形被覆は、塗装と同じ要領で施工できるが、必要な素地調整のグレードが高いため、ブラスト直後に塗料もしくはパテを塗布しないと接着不良となる場合があり、また塗膜であることから漂流物の衝撃に弱いという欠点がある。
モルタル被覆は、被覆材としての強度は優れるものの、被覆作業には大型重機が必要であり、防食対象物にかかる質量もかなり大きい。
電着工法は、皮膜が形成されるまで大電流を通電する必要があるため、干満帯上部への適用は難しく、皮膜維持のために若干の防食電流を常時供給する必要もある。
有機被覆工法は、システムとしてはペトロラタム被覆と類似し、防食層としてペトロラタム系防食材の替わりにウレタンなどの樹脂を用いる方法であるが、現場ヤードでの塗布作業を伴うため、現場の作業環境に大きく影響を受けてしまう。
「港湾鋼構造物 防食・補修マニュアル」(2009年版)平成21年11月、(財)沿岸開発技術研究センター発行、第55〜59頁
特開2011−252190号公報 特開2000−282500号公報
本発明の目的は、上述した従来の鋼構造物の防食方法の欠点を改良し、防食対象物が不規則な変形をしていても、防食層と防食対象物表面の間に隙間を生じさせることなく防食層を防食対象物表面に均一に被覆させることができ、良好な被覆防食状態とすることができ、また外力を受けても損傷しにくく、良好な被覆防食状態を長期間維持でき、さらに現場での塗布作業や大型機械を必要とせず、現場での作業性に優れる鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造を提供することにある。
本発明者らは、防食対象物表面に配設する防食層を、水膨張性樹脂により形成することについて種々検討を行ったところ、水膨張性樹脂が吸水膨張することにより、防食対象物が変形しても該変形に防食層が追従するものの、水膨張性樹脂が吸水膨張する際に均一に膨張させることが難しく、その結果、防食層の表面にシワが発生し、防食対象物表面と防食層との間に隙間が生じて、防食層を防食対象物表面に均一に被覆させることができないとの問題があった。
本発明者らは、上記問題を解決すべくさらに鋭意研究を重ねた結果、防食対象物表面に配設する防食層を、吸水膨張性の低い表層と、吸水膨張性の高い内層とから構成される2層構造とすることにより、上記問題が解決され、上記目的を達成する鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造が得られることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記の鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造を提供するものである。
被防食体の表面に防食層を配設し、該防食層の上に保護カバーを取り付ける鋼構造物の被覆防食方法において、前記防食層を、吸水性高分子の含有量が異なるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層からなる内層及び表層から構成される2層構造であって、前記内層が前記表層より吸水性高分子を多く含有する防食層とし、該2層構造の防食層を前記保護カバーと一体化して被防食体に取り付けることを特徴とする鋼構造物の被覆防食方法。
被防食体の表面に配設された防食層と、該防食層の上に取り付けた保護カバーとを備えた鋼構造物の被覆防食構造において、前記防食層が、吸水性高分子の含有量が異なるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層からなる内層及び表層から構成される2層構造であって、前記内層が前記表層より吸水性高分子を多く含有していることを特徴とする鋼構造物の被覆防食構造。
本発明によれば、従来の鋼構造物の防食方法の欠点を改良し、防食対象物が不規則な変形をしていても、防食層と防食対象物表面の間に隙間を生じさせることなく防食層を防食対象物表面に均一に被覆させることができ、良好な被覆防食状態とすることができ、また外力を受けても損傷しにくく、良好な被覆防食状態を長期間維持でき、さらに現場での塗布作業や大型機械を必要とせず、現場での作業性に優れる鋼構造物の被覆防食方法及び被覆防食構造を提供することができる。
図1は、本発明の鋼構造物の被覆防食構造の好ましい一実施形態を示す断面図である。 図2は、図1に示す実施形態において、防食層が吸水膨張する前の状態を示す断面図である。 図3は、試験例11、12及び13の防食層の海水浸漬後の質量の経日変化を示すグラフである。 図4は、試験例11、12及び13の防食層の海水浸漬後の径の経日変化を示すグラフである。 図5は、試験例11、12及び13の防食層の海水浸漬後の厚さの経日変化を示すグラフである。
以下、本発明の鋼構造物の被覆防食方法を、図1及び図2に示す本発明の鋼構造物の被覆防食構造の好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示す実施形態は、被防食体として鋼矢板に本発明の被覆防食方法を適用した場合の一例であり、被防食体(鋼矢板)4の表面に配設された防食層3と、該防食層3の上に取り付けた保護カバー1とを備えている。防食層3は、保護カバー1側の内層31と、被防食体4の表面側の表層32とから構成される2層構造となしてある。
また、防食層3の内層31と保護カバー1との間には、連続発泡の樹脂系フォーム層2を配設してある。
図1は、防食層3が吸水膨張した後の状態を示す断面図であり、図2は、防食層3が吸水膨張する前の状態を示す断面図である。
なお、図1及び図2中、5は被防食体4の連結部に固定された帯状のベースプレート、6は該ベースプレート5に垂直に固定されたスタットボルト、7は該スタットボルトに嵌着したナット及びワッシャーであり、本実施形態の被覆防食構造は、スタットボルト6に、保護カバー1、樹脂系フォーム層2及び防食層3を、それらの一端に形成された孔を介して嵌め込み、ナット7で固定することにより、被防食体4に取り付けられている。
本実施形態では、まず、予めスタットボルト6が垂直に溶接にて固定された帯状のベースプレート5を、被防食体4の連結部に溶接にて固定する。スタットボルト6は、帯状のベースプレート5の所定箇所に所定間隔を空けて複数個取り付ける。
このスタットボルト6に、保護カバー1、樹脂系フォーム層2及び防食層3を、それらの一端に形成された孔を介して嵌め込む。
保護カバー1、樹脂系フォーム層2及び防食層3は、現場作業の簡略化及び作業時間の短縮化などの観点から、予め工場にて、保護カバー1の裏面に樹脂系フォーム層2を合成ゴム系接着剤などで固定し、樹脂系フォーム層2の上に防食層3を内層31及び表層32の順で取り付けて一体化しておいたものを、現場にて、前記のスタットボルト6及びナット7からなる固定具で被防食体4に装着することが好ましい。
防食層3は、吸水性高分子の含有量が異なるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層から形成される2層構造の防食層であり、内層31は、表層32より吸水性高分子を多く含有するペースト状ウレタン系樹脂の硬化層から形成する。
表層32は、吸水性高分子の含有量が0〜10質量%、特に1〜7質量%であるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層から形成することが好ましく、内層31は、吸水性高分子の含有量が5〜40質量%、特に10〜30質量%であるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層から形成することが好ましい。
内層31の吸水性高分子の含有量が少ないと、膨張速度が遅くなったり、膨張が不十分となり、また多過ぎると、膨張した防食層が脆くなり部分的に欠落する惧れがある。
表層32は、内層31が吸水膨張した際、均一に膨張しないために被防食体4側の部分にシワによる隙間が発生するのを防止するものであり、そのためには、吸水性高分子の含有量を、内層31の吸水性高分子の含有量よりも少なくする必要がある。
前記吸水性高分子としては、吸水膨張性を有する高分子であればよく、例えば、アクリル酸系高分子、イソブチレン・マレイン酸系高分子、ポリビニルアルコール系高分子などを用いることができる。これらの吸水性高分子は市販品を用いることができ、例えば、上記アクリル酸系高分子としては、日本触媒株式会社製の商品名「アクアリック CS-6S」、住友精化株式会社製の商品名「アクアキープ」などがある。
前記吸水性高分子としては、下記の方法により測定した膨張率が、10倍〜40倍の範囲内であるものが好ましく、20倍〜30倍の範囲内であるものがより好ましい。
〔膨張率の測定方法〕
3.5%食塩水に試料を2時間浸漬した後の対試料吸水重量倍率を測定する。
吸水性高分子を含有させる前記ウレタン系樹脂としては、ペースト状であり、一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂が好ましく、その他、二液硬化型ウレタン系樹脂も用いることができる。一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとを反応させたイソシアネート基含有プレポリマーを主成分とするポリウレタンシーラントを用いることができる。また、一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂の商品名としては、シーアイ化成株式会社の「アクアガード」や「リークマスター」などがある。
前記ウレタン系樹脂として、吸水膨張性が無いウレタン系樹脂又は吸水膨張性が低いウレタン系樹脂を用いる場合は、吸水性高分子を若干多く配合することが好ましい。
前記ウレタン系樹脂は、ペースト状であるので吸水性高分子を配合し易く、また硬化後にゴム弾性を持ち、その伸び率が600〜1400%のものが防食層を形成する上で好ましい。
防食層3において、内層31及び表層32の厚さは、前記のウレタン系樹脂や吸水性高分子の種類などによって一概にはいえないが、内層31の厚さは、好ましくは2〜15mm、より好ましく2〜5mmであり、表層32の厚さは、好ましくは0.5〜3mm、より好ましく1〜2mmである。
防食層3が厚くなり過ぎると、被防食体4の変形部に対する追従に時間を要することになり、コストの増大や作業効率の低下を引き起すので好ましくない。
尚、防食層3の内層31及び表層32には、防錆剤を配合することもできる。
保護カバー1としては、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製保護カバーが好ましく、その他、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂などのブラスチックからなる保護カバーや、ステンレス、チタンなどの耐食性金属からなる保護カバーを使用することもできる。
防食層3の内層31と保護カバー1との間に配設された連続発泡の樹脂系フォーム層2としては、吸水性及び柔軟性のあるものが好ましく、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタンなどのシート状発泡材が用いられる。
樹脂系フォーム層2を防食層3の内層31と保護カバー1との間に配設することにより、樹脂系フォーム層2から吸水した水分により防食層3が主に内層31から効率よく膨張し、複雑な構造の被防食体4に対しても隙間のない被覆が可能となり、さらに良好な被覆防食状態とすることができる。
本実施形態では、保護カバー1、樹脂系フォーム層2及び防食層3の被防食体4への取付け時には、防食層3は適度の硬さを有するため、図2に示すように、防食層3と被防食体4の表面との間に隙間が生じているが、取付け後、保護カバー1の内側に存在する水や湿気を防食層3が吸収して膨張することにより防食層3が充満して上記隙間がなくなり、図1に示すような良好な被覆防食状態となる。
本発明は、上述の図1及び図2に示す実施形態に制限されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜種々の変更が可能であることは言うまでもない。
図1及び図2には示していないが、本発明においては、保護カバーの上下端部にエポキシ樹脂系のシールをする(例えば、水中硬化形エポキシパテを用いて保護カバーの上下端部を止水構造とする)ことが好ましい。該シール時には、保護カバーの内側では水や湿気が残留する。この水や湿気を防食層3が吸収して膨張することにより隙間がなくなり、図1に示すような良好な被覆防食状態となる。
本発明は、海洋環境に曝露されている鋼矢板などの鋼構造物に適用することが好ましい。
試験例1〜10(防食層の厚さの評価試験)
下記1のようにして内層を作製し、次いで該内層の上に、下記2のようにして表層を作製して、表1に示す厚さの内層及び表層から構成される防食層をそれぞれ作製した。
1.内層の作製
一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)に耐塩性吸水性高分子(日本触媒株式会社製の商品名「アクアリック CS-6S」)20質量%を混合させて、FRP板(70mm×15mm×厚さ2.5mm)上に塗布し、大きさ70mm×15mmで表1に示す厚さの内層を、FRP板上にそれぞれ作製した。これらの内層は、室温で1日養生した。
2.表層の作製
上記内層の上に、一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)を塗布し、大きさ70mm×15mmで表1に示す厚さの表層を、上記内層の上にそれぞれ作製した。
表層の作製後、得られた防食層を室温で7日養生した。
得られた各防食層について表面の状態を観察し、シワの面積の割合及び鋼製矢板角部の追随性を以下の方法で調べた。
(1)シワの面積の割合
得られた各防食層を、20℃の天然海水(八丈島沖)に浸漬した後、4日後に取り出して、防食層表面(表層側)の全面積に対するシワの面積の割合を求めた。
(2)凹凸部の追随性
透明なアクリル板上に、断面が5×5mmの正方形、高さ3mm、底辺5mmの二等辺三角形の断面を有する透明なアクリル棒を接着剤で貼り付けて凹凸部を模擬した。次いで該凹凸部に、得られた各防食層を設置した後、7日後に凹凸部の密着状態を目視により確認した。シワの有無にかかわらず密着しているものを「◎」(優良)、大きな隙間が確認されたものを「○」(良好)と判定した。
そして上記評価試験結果から各防食層を総合評価した。
(3)総合評価
総合評価は三段階で行い、シワの面積の割合0%かつ凹凸部の追随性の評価が◎であるものを「◎」(優良)、シワの面積の割合1〜9%又は凹凸部の追随性の評価が○であるものを「○」(良好)、シワの面積の割合10%以上であるものを「×」(不良)とした。
上記評価試験結果及び総合評価を表1に示す。
Figure 2014070271
試験例1〜10の結果から分かるように、防食層が表層の無い1層構造であると、シワが多く発生するのに対し、表層及び内層を有する2層構造の防食層は、シワの発生が少なく、特に厚さが1mm以上の表層を有する2層構造の防食層では、シワの発生がなく、防食層が均一に膨張していた。また試験例8〜10は、表層の厚さ5mm又は内層の厚さ10mmと各防食層が厚いので凹凸部の追随性が若干劣ることが分かった。
試験例11(防食層の吸水膨張性の評価試験)
下記1のようにして内層を作製し、次いで該内層の上に、下記2のようにして表層を作製して、厚さ8mmの防食層(内層の厚さ6mm、表層の厚さ2mm)を作製した。
1.内層の作製
一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)に耐塩性吸水性高分子(日本触媒株式会社製の商品名「アクアリック CS-6S」)20質量%を混合させて、径30mm×厚さ6mmの内層を作製した。この内層は、室温で1日養生した。
2.表層の作製
上記内層の上に、一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)を塗布し、径30mm×厚さ2mmの表層を、上記内層の上に作製した。
表層の作製後、得られた防食層を室温で7日養生した。
得られた防食層を、20℃の天然海水(八丈島沖)に浸漬した後、任意に取り出して、防食層の質量、径、厚さをそれぞれ測定した。その結果を図3(質量)、図4(径)及び図5(厚さ)にそれぞれ示す。
試験例12(防食層の吸水膨張性の評価試験)
径30mm×厚さ5mmの発泡ポリエチレン(連続発泡、発泡倍率15倍)を作製した。この発泡ポリエチレンの上に、試験例11と同様にして、内層及び表層を作製し、樹脂系フォーム層が配設された防食層を得た。
得られた防食層について、試験例11と同様にして、質量、径、厚さをそれぞれ測定した。その結果を図3(質量)、図4(径)及び図5(厚さ)にそれぞれ示す。
試験例13(防食層の吸水膨張性の評価試験)
試験例11において、内層の厚さを8mmとし、表層を作製しない以外は、試験例11と同様にして、厚さ8mmの1層構造の防食層を得た。
得られた防食層について、試験例11と同様にして、質量、径、厚さをそれぞれ測定した。その結果を図3(質量)、図4(径)及び図5(厚さ)にそれぞれ示す。
図3、図4及び図5において、○のプロットで示すグラフが試験例11(2層構造の防食層、樹脂系フォーム層無し)の結果を示し、◇のプロットで示すグラフが試験例12(2層構造の防食層、樹脂系フォーム層有り)の結果を示し、●のプロットで示すグラフが試験例13(1層構造の防食層)の結果を示す。
試験例11、12及び13の結果から分かるように、試験例11及び12の2層構造の防食層では、穏やかな膨張が確認されたのに対し、試験例13の表層の無い1層構造の防食層では、急激に膨張していることが確認された。また、試験例13の表層の無い1層構造の防食層では、防食層表面にシワが多く観察され、また海水に浸漬6日後から、防食層の収縮や離水が確認された。
試験例14(防食層の内層及び表層の吸水性高分子の含有量の考察)
下記1のようにして内層を作製し、次いで該内層の上に、下記2のようにして表層を作製して、70mm×15mm×厚さ6mmの2層構造の防食層を作製した。
1.内層の作製
一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)に耐塩性吸水性高分子(日本触媒株式会社製の商品名「アクアリック CS-6S」)20質量%を混合させて、FRP板(70mm×15mm×厚さ2.5mm)上に塗布し、70mm×15mm×厚さ4mmの内層を、FRP板上に作製した。この内層は、室温で1日養生した。
2.表層の作製
上記内層の上に、一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)に耐塩性吸水性高分子(日本触媒株式会社製の商品名「アクアリック CS-6S」)5質量%を混合させたものを塗布し、70mm×15mm×厚さ2mmの表層を、上記内層の上に作製した。
表層の作製後、得られた防食層を室温で7日養生した。
得られた防食層を、20℃の天然海水(八丈島沖)に浸漬した後、4日後に取り出して、防食層表面(表層側)の全面積に対するシワの面積の割合を求めた。その結果を表2に示す。
試験例15(防食層の内層及び表層の吸水性高分子の含有量の考察)
下記1のようにして内層を作製し、次いで該内層の上に、下記2のようにして表層を作製して、70mm×15mm×厚さ6mmの2層構造の防食層を作製した。
1.内層の作製
一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)に耐塩性吸水性高分子(日本触媒株式会社製の商品名「アクアリック CS-6S」)5質量%を混合させて、FRP板(70mm×15mm×厚さ2.5mm)上に塗布し、70mm×15mm×厚さ4mmの内層を、FRP板上に作製した。この内層は、室温で1日養生した。
2.表層の作製
上記内層の上に、一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂(シーアイ化成株式会社製の商品名「シーアイアクアガード SS-10」)に耐塩性吸水性高分子(日本触媒株式会社製の商品名「アクアリック CS-6S」)20質量%を混合させたものを塗布し、70mm×15mm×厚さ2mmの表層を、上記内層の上に作製した。
表層の作製後、得られた防食層を室温で7日養生した。
得られた防食層を、20℃の天然海水(八丈島沖)に浸漬した後、4日後に取り出して、防食層表面(表層側)の全面積に対するシワの面積の割合を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2014070271
1 保護カバー
2 連続発泡の樹脂系フォーム層
3 防食層
31 内層
32 表層
4 被防食体(鋼矢板)
5 ベースプレート
6 スタッドボルト
7 ナット及びワッシャー

Claims (8)

  1. 被防食体の表面に防食層を配設し、該防食層の上に保護カバーを取り付ける鋼構造物の被覆防食方法において、前記防食層を、吸水性高分子の含有量が異なるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層からなる内層及び表層から構成される2層構造であって、前記内層が前記表層より吸水性高分子を多く含有する防食層とし、該2層構造の防食層を前記保護カバーと一体化して被防食体に取り付けることを特徴とする鋼構造物の被覆防食方法。
  2. 前記防食層の前記内層と前記保護カバーとの間に、連続発泡の樹脂系フォーム層を配設する請求項1記載の鋼構造物の被覆防食方法。
  3. 前記防食層の前記表層の吸水性高分子の含有量が0〜10質量%であり、前記防食層の前記内層の吸水性高分子の含有量が10〜30質量%である請求項1又は2記載の鋼構造物の被覆防食方法。
  4. 前記保護カバーの上下端部にエポキシ樹脂系のシールをする請求項1〜3の何れか1項に記載の鋼構造物の被覆防食方法。
  5. 前記吸水性高分子が、アクリル酸系高分子、イソブチレン・マレイン酸系高分子、ポリビニルアルコール系高分子の何れか1以上の高分子からなる請求項1〜4の何れか1項に記載の鋼構造物の被覆防食方法。
  6. 前記防食層を形成するペースト状ウレタン系樹脂の硬化層が、ペースト状一液湿気硬化型水膨張性ウレタン系樹脂の硬化層である請求項1〜5の何れか1項に記載の鋼構造物の被覆防食方法。
  7. 被防食体の表面に配設された防食層と、該防食層の上に取り付けた保護カバーとを備えた鋼構造物の被覆防食構造において、前記防食層が、吸水性高分子の含有量が異なるペースト状ウレタン系樹脂の硬化層からなる内層及び表層から構成される2層構造であって、前記内層が前記表層より吸水性高分子を多く含有していることを特徴とする鋼構造物の被覆防食構造。
  8. 前記防食層の前記内層と前記保護カバーとの間に、連続発泡の樹脂系フォーム層が配設されている請求項7記載の鋼構造物の被覆防食構造。
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