JP2014070014A - ヒ化ガリウム基板およびヒ化ガリウム基板の製造方法 - Google Patents

ヒ化ガリウム基板およびヒ化ガリウム基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スリップの発生を抑制し、デバイスの不良を低減することができるヒ化ガリウム基板およびヒ化ガリウム基板の製造方法を提供する。
【解決手段】液体封止チョクラルスキー法により、原料に封止剤を加えて加熱し、液体となった封止剤で液面を覆われた原料の融液に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げながらヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程と、ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程と、を有し、ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程では、原料中のガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比を0.5008超0.5016未満に調整する。ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程を経た後、外周縁部でのガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比が0.5003超0.5010未満であり、ユニバーサル硬度が4000N/mm以上であるヒ化ガリウム基板を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒ化ガリウム基板およびヒ化ガリウム基板の製造方法に関する。
ヒ化ガリウム(GaAs)系結晶は、電子の移動度が高いこと、発光特性があること等の優れた特性を有するため、電子デバイスや受発光デバイス等に広く使用されている。これらのデバイスは、GaAs基板の表面に、例えばGaAs系の化合物半導体層を形成し、或いは、イオン打ち込みによる電気的活性層を形成し、リソグラフィ及びエッチング等の技術を用いて製造される。
化合物半導体層は、例えば有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法や分子線エピタキシャル成長(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等によりエピタキシャル成長させる。MOVPE法では、例えばGaAs基板を約800℃まで加熱してエピタキシャル成長し、その後冷却する。
エピタキシャル成長による化合物半導体層は、その下地となるGaAs基板とは異なる組成とすることがあり、この場合、格子定数や熱膨張係数もGaAs基板とは異なる。よって、化合物半導体層をエピタキシャル成長させたエピタキシャル基板は、大きな歪みを有することがあり、エピタキシャル成長面を上にして例えば全体が凸状に反ってしまうことがある。このような大きな歪みを有するGaAs基板をエピタキシャル成長時等に急激に加熱し冷却すると、基板内部の歪みが開放され、スリップと呼ばれる段差をGaAs基板の表面の外周縁部から内側へと生じさせることがある。
そこで、例えば特許文献1では、エピタキシャル成長面を上にして中央部が低く、かつ周辺部が高く同心円状に反った状態、つまり、全体が凹状に反った状態となるようGaAs基板を製造する。
特開2007−214368号公報
しかしながら、GaAs基板の大口径化が進むなか、基板面内の温度の不均一により発生する熱応力によってスリップが発生し易くなっている。したがって、例えば特許文献1のような方法による歪みの緩和では不充分である。GaAs基板の内側のデバイス形成領域にこのようなスリップが伝搬されると、デバイスに断線等の不良が生じてしまう場合があった。
本発明の目的は、スリップの発生を抑制し、デバイスの不良を低減することができるヒ化ガリウム基板およびヒ化ガリウム基板の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、
外周縁部でのガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比が0.5003超0.5010未満である
ヒ化ガリウム基板が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
外周縁部でのユニバーサル硬度が4000N/mm以上である
第1の態様に記載のヒ化ガリウム基板が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
液体封止チョクラルスキー法により、原料に封止剤を加えて加熱し、液体となった前記封止剤で液面を覆われた前記原料の融液に種結晶を接触させ、前記種結晶を引き上げながらヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程と、
前記ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程と、を有し、
前記ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程では、
前記原料中のガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比を0.5008超0.5016未満に調整する
ヒ化ガリウム基板の製造方法が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
前記ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程を経た後、
外周縁部でのガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比が0.5003超0.5010未満であるヒ化ガリウム基板を得る
第3の態様に記載のヒ化ガリウム基板の製造方法が提供される。
本発明の第5の態様によれば、
前記ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程で、前記原料中のガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比を調整することにより、
前記ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程を経た後、
外周縁部でのユニバーサル硬度が4000N/mm以上であるヒ化ガリウム基板を得る
第3の態様に記載のヒ化ガリウム基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、スリップの発生を抑制し、デバイスの不良を低減することができるヒ化ガリウム基板およびヒ化ガリウム基板の製造方法が提供される。
GaAs基板中のAs組成比とGaAs基板のユニバーサル硬度との相関関係を示すグラフである。 原料中のAs組成比とGaAs基板中のAs組成比との相関関係を示すグラフである。 従来技術に係るGaAs基板においてスリップが発生した様子を示す図である。
<本発明の一実施形態>
(1)GaAs基板
まずは、本発明の一実施形態に係るヒ化ガリウム(GaAs)基板について説明する。
本実施形態に係るGaAs基板は、例えば外周縁部でのガリウム(Ga)とヒ素(As)とのモル数の総和におけるAsの組成比が、0.5003超0.5010未満、好ましくは0.5004以上0.5009以下である。また、係るGaAs基板は、例えば外周縁部でのユニバーサル硬度が4000N/mm以上である。
ここで、GaAs基板の外周縁部とは、GaAs基板の外周5mmの範囲内をいう。つまり、GaAs基板の外周端部から半径方向に5mm入った所までの領域を指す。
また、GaAs基板の外周縁部でのAsの組成比は、外周縁部のGaAs基板中に含有されるGaおよびAsの重量を用い、次式(1)により求めたモル比率である。外周縁部でのGaおよびAsの重量は、高周波誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により、GaAs基板の外周縁部を測定して得られる値である。
As組成比=(As重量/As原子量)/[(Ga重量/Ga原子量)+(As重量/As原子量)] ・・・(1)
また、ユニバーサル硬度は、ドイツ規格協会(DIN:Deutsched Institut fur Normung)により定められた規格DIN 50359に準拠した硬さの物性値である。ユニバーサル硬度は、例えばダイアモンド製の圧子を試料面に押し込んだときの圧子の荷重と試料面に生じた窪みの表面積との比から定義され、次式(2)により求められる。窪みの表面積は、圧子の押し込み深さから算出される。圧子には、例えばビッカース硬さの測定に用いる四角錐の圧子(ビッカース圧子)や、バーコビッチ硬さの測定に用いる三角錐の圧子(バーコビッチ圧子)等が用いられる。
ユニバーサル硬度=(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の測定対象物との接触表面積) ・・・(2)
このようなGaAs基板上には、上述のように、例えば所定の化合物半導薄層が形成され、電子デバイスや受発光デバイス等が製造される。化合物半導体層は、例えば有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法や分子線エピタキシャル成長(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等により、約800℃にGaAs基板を加熱してエピタキシャル成長させたものである。また、エピタキシャル成長後には、これらの層に対し、例えば約850℃のアニール処理を行う。
化合物半導体層としては、例えばヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)層やヒ化インジウムガリウム(InGaAs)層等がある。これらのAlGaAs層やInGaAs層は、GaAs基板とは組成が異なり、格子定数や熱膨張係数も異なる。よって、エピタキシャル成長後のGaAs基板には、例えば上述のような歪みが生じることがある。
また、例えば従来のGaAs基板のように、外周縁部におけるAs組成比やユニバーサル硬度が定められていないGaAs基板においては、MOVPE法等によるエピタキシャル成長における降温時やアニール処理等の昇降温時等、デバイス製造工程において幾度かの高温にGaAs基板が曝されるうちに、上述のようにスリップが生じてしまう場合がある。図3に、GaAs基板にスリップ5が発生した様子を示す。
従来のGaAs基板においてみられるスリップ5は、例えばGaAs基板に対する加熱および冷却による急激な温度変化によって、GaAs基板の内部の歪みが開放されて生じる。つまり、基板内部の歪みが開放される際、GaAs基板を構成する結晶が一部移動し、結晶面の高さにずれを生じさせる。これにより、GaAs基板の表面やその上に形成された化合物半導体層の表面に生じた段差がスリップ5である。係るスリップ5は、図3に示すように、結晶の開放端であるGaAs基板の外周縁部から発生し、GaAs基板の内側に向かって結晶方向に沿って伝搬される。GaAs基板の内側は、電子デバイスや受発光デバイス等が形成されるデバイス形成領域となっている。このデバイス形成領域にまでスリップ5が伝搬されると、電子デバイス等に断線等の不良が生じてしまう。
ここで、加熱処理における昇温および降温の速度を低下させればスリップの発生を抑制できる。しかし、デバイス製造工程における熱履歴を制御して、GaAs基板や電子デバイス等が受ける熱量を制限するには、急速な昇温および降温の方が有利である。
また、上述の特許文献1のように、GaAs基板の全体を凹状に反らせ、エピタキシャル成長後のGaAs基板に歪みを生じ難くする方法もある。しかし、これまで主流であった直径が75mm〜150mm程度で厚さが600μm〜750μm程度の基板に対し、GaAs基板の大口径化が進んでおり、基板面内の温度均一性を保つことが難しくなってきている。このため、特にGaAs基板の直径が150mmを超えると、基板中心部と外周縁部との温度の不均一により熱応力が発生し、スリップが発生し易くなってしまう。このような状況下では、特許文献1のような対策は充分ではない。
本発明者等は、上記のようなスリップが主にGaAs基板の外周縁部を起点に発生していることに着目し、種々のGaAs基板のうち、スリップが発生したものと発生しなかったものとの外周縁部における様々な特性を評価した。その結果、スリップが発生しなかったGaAs基板においては、外周縁部におけるAs組成比が所定値内となっていることを見いだした。
本発明者等は、係る知見に基づき、外周縁部におけるAs組成比がスリップの発生に与える影響について、さらに鋭意研究を行った。その結果、As組成比とユニバーサル硬度との間に、図1に示すような相関関係があることを見いだした。
図1は、GaAs基板中のAs組成比とGaAs基板のユニバーサル硬度との相関関係を示すグラフである。グラフの横軸は、GaAs基板中のAs組成比であり、グラフの縦軸は、GaAs基板のユニバーサル硬度(N/mm)である。図1に示すように、ユニバーサル硬度はAs組成比に対して極を持つ。つまり、例えばAs組成比が0.5006のとき、ユニバーサル硬度は最大となる。
本発明者等が、GaAs基板のスリップの有無を図1のグラフに照らし合わせたところ、外周縁部におけるユニバーサル硬度が4000N/mm以上のGaAs基板においてはスリップが生じていないことを見いだした。
以上のことから、GaAs基板の外周縁部における硬度が増すことで、結晶面の高さにずれを生じさせる結晶の移動が起こり難くなり、外周縁部を起点とするスリップの発生が抑制されると考えられる。また、GaAs基板の外周縁部における硬度は、例えば外周縁部におけるAs組成比により制御することができる。
このとき、スリップの発生を抑制するには、GaAs基板の外周縁部におけるAs組成比が例えば0.5003超0.5010未満であればよい。また、図1に示すばらつきを考慮に入れ、外周縁部におけるAs組成比を好ましくは0.5004以上0.5009以下とすれば、スリップの発生がより確実に抑制される。
(2)GaAs基板の製造方法
次に、本発明の一実施形態に係るGaAs基板の製造方法について説明する。
本実施形態に係るGaAs基板は、例えば液体封止チョクラルスキー(LEC:Liquid Encapsulated Czochralski)法によりGaAs単結晶を成長させる工程と、GaAs単結晶を薄く切り分ける工程と、を行うことで製造される。ここでは、外周縁部のみならずGaAs基板の全面において、略一様に上述の数値範囲内のAs組成比およびユニバーサル硬度となるようGaAs基板を製造する方法について述べる。
まずは、LEC法によりGaAs単結晶を成長させる工程について説明する。
すなわち、高純度のGaと高純度のAsとが所定のAs組成比となるよう含有された原料を、高圧容器内に設置されたルツボ内に収容する。ルツボは、例えば耐熱性に優れる熱分解窒化ホウ素(PBN:Pyrolytic Boron Nitride)等から構成する。
次に、上記原料に封止剤を加え、高圧容器内をアルゴン(Ar)ガス等の大気圧以上の不活性ガス雰囲気下に保ち、加熱する。封止剤には、例えば三酸化ホウ素(B)等を用いる。固形の原料は、ルツボ内で加熱されてGaとAsとが反応し、溶融温度に達すると溶融して融液となる。また、B等の封止剤は、例えば常温では固体となっており、ルツボ内で加熱されて溶融温度に達すると、溶融して液体状となる。封止剤は原料の融液よりも比重が小さいため、融液となった原料の液面は、溶融して液体となった封止剤により覆われる。
このように、ルツボ内を大気圧以上に保つと共に、原料の液面を液体となった封止剤により覆うことで、蒸気圧が高いAsが原料から分解蒸発してしまうのを抑制することができる。
続いて、液体状態の封止剤で液面を覆われた原料の融液に、種結晶を接触させる(種付けをする)。次に、この種結晶を所定の速度で徐々に引き上げていく。これにより、GaAs単結晶が成長し、封止剤を貫いて引き上げられていく。
得られたGaAs単結晶のインゴットを高圧容器から取り出して室温まで徐冷する。以上により、GaAs単結晶の鋳塊(インゴット)が製造される。
次に、GaAs単結晶を薄く切り分ける工程について説明する。
上記のように製造され、円柱状となっているGaAs単結晶のインゴットの側面に沿って、円筒状の研削刃で研削する。必要に応じて、研削済みのインゴットをアニールする。その後、バンドソー等を用いてインゴットを基板状に薄くスライスし、片面あるいは両面と、外周端部とをそれぞれ研磨する。
種結晶により引き上げられ徐々に凝固する際、GaAs単結晶の側面からは所定量のAsが分解蒸発してしまう。よって、製造されるインゴット側面の表層部分のAs組成比は、インゴットの中心部よりも低下している場合がある。上記のように、円筒状の研削刃で例えばインゴットの最表面から約5mm程度内側までの厚さを研削することで、Asが分解蒸発して組成比が低くなった部分を取り除くことができる。
これにより、外周縁部のみならずGaAs基板の全面において略一様に、Asの組成比が上記所定範囲内であるGaAs基板を得ることができる。また、外周縁部のみならずGaAs基板の全面において略一様に、ユニバーサル硬度が上記所定範囲内となる。
以上により、GaAs基板が製造される。
なお、本発明者等は、所定のAs組成比を有するGaAs基板を得るため原料中に含有されるべきAs組成比についても調査を行った。その結果、原料中のAs組成比とGaAs基板中のAs組成比との間に、図2に示すような相関関係があることを見いだした。
図2は、原料中のAs組成比とGaAs基板中のAs組成比との相関関係を示すグラフである。グラフの横軸は、原料中のAs組成比であり、グラフの縦軸は、GaAs基板のAs組成比である。原料中のAs組成比は、原料に用いたGaとAsとのそれぞれの重量の計測値を用い、上述の式(1)により求めたものである。また、GaAs基板中のAs組成比は、上述のICP発光分光分析法を用いる方法により求めたものである。
図2によれば、原料中のAs組成比をGaAs基板中のAs組成比よりも若干高くすることで、GaAs基板の製造工程において分解蒸発してしまうAsの分を補うことができる。
より具体的には、図2には多少のばらつきがあるものの、原料中のAs組成比を、例えば0.5008超0.5016未満、好ましくは0.5011以上0.5014以下とすることで、外周縁部においてAs組成比が0.5003超0.5010未満、好ましくは0.5004以上0.5009以下であるGaAs基板を製造することができる。また、このことは、上記GaAs単結晶を成長させる工程で原料中のAs組成比を調整することにより、外周縁部でのユニバーサル硬度が4000N/mm以上となったGaAs基板を得ることができることを意味する。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、GaAs基板はGaとAsとからなることとしたが、GaやAs以外の元素が添加されていてもよい。この場合においても、外周縁部でのGaとAsとのモル数の総和におけるAsの組成比を上記範囲内とすることで、本発明の効果を奏する。
また、上述の実施形態では、LEC法によりGaAs基板を製造することとしたが、LEC法以外の方法により製造してもよい。他の製造方法としては、例えば垂直ブリッジマン(VB:Vertical Bridgeman)法や、水平ブリッジマン(HB:Horizontal Bridgeman)法、垂直温度勾配凝固(VGF:Vertical Gradient Freezing)法等がある。
また、上述の実施形態では、GaAs単結晶を引き上げる際、種結晶を引き上げながら結晶成長させることとしたが、種結晶の位置を固定し、ルツボを降下させながら結晶成長させてもよい。
また、上述の実施形態では、ルツボはPBN製としたが、耐熱性に優れる材料であればこれに限定されない。
また、上述の実施形態では、ICP発光分光分析法により測定したモル比率や、ビッカース圧子を用いた試験法により測定したユニバーサル硬度等の規定値を用いたが、これ以外の測定方法や規定方法によりAs組成比や基板の硬度を特定してもよい。その場合、As組成比や硬度の適正な数値範囲は変わっても、As組成比と硬度との間に上述のような相関関係が認められる点は変わりなく、これを利用して本発明の効果を奏することができる。
また、上述の実施形態では、外周縁部のみならずGaAs基板の全面において略一様にAs組成比およびユニバーサル硬度が上記所定範囲内となることとしたが、本発明の効果を得るには、外周縁部のAs組成比および硬度が適正値となっていればよく、GaAs基板の他の領域についてこれらの数値を限定するものではない。
次に、本発明に係る実施例について比較例とともに説明する。
(実施例に係るGaAs基板)
まずは、実施例に係るGaAs基板を製作した。Gaを15000g、Asを16200g含有し、As組成比が0.5013の原料を用いた。封止剤には、Bを2000g用いた。これらを収容するルツボはPBN製とした。
高圧容器内を6MPaのArガス雰囲気下とし、GaとAsとを反応させる温度は約900℃とした。その後、溶融温度まで更に昇温し、原料全体を融液にした。続いて、圧力を2MPaまで低下させ、種結晶を原料の融液に接触させた(種付けを行った)。この種結晶を10mm/hの速度で引き上げてGaAs単結晶を成長させた後、室温まで徐冷した。得られたGaAs単結晶のインゴットをスライスし、直径が150mmで厚さが750μmであり、主面の面方位が(100)面の実施例に係るGaAs基板を20枚得た。
次に、これらGaAs基板の外周縁部におけるAs組成比とユニバーサル硬度とを測定した。
As組成比は、上述の実施形態と同様の方法を用いて測定した。ICP発光分光分析法による測定には、堀場製作所製のICP発光分析装置「ULTIMA2」を用いた。測定にあたっては、所定濃度の王水を標準液として標準液を薄めた濃度の異なる試液を幾種類か作り、これらにGaAs基板を溶かし込み、得られたGaAs溶液に対して測定を行った。王水は、濃塩酸(HCl水溶液)と濃硝酸(HNO水溶液)とが3:1の体積比となっている混合液である。これにより、検量線を作成し、これを用いてスペクトル強度からGaAs溶液中のGaおよびAsの濃度を算出し、さらにGaおよびAsの重量をそれぞれ算出した。これらを上述の式(1)にあてはめ、測定に係るGaAs基板のAs組成比を得た。
ユニバーサル硬度は、上述の通り、DIN 50359に準拠した方法を用いて測定した。測定には、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製の超微小硬さ測定システム「フィッシャースコープ(登録商標) H−100」を用いた。測定にあたっては、ビッカース圧子を用い、最大試験荷重を1000mNとした。また、荷重条件としては、最大試験荷重に30秒で達するよう試験荷重を一定の割合で増加させつつ印加することとした。さらに、測定環境として、温度を24℃とし、湿度を65%とした。
上記条件下にて、主面の面方位が(100)面のGaAs基板に対し、測定の起点を、<001>方向の外周端部から半径方向に5mm入った位置とした。また、測定の終点を、<011>方向の外周端部から半径方向に5mm入った位置とした。この起点から終点までを周方向に等間隔で4点測定し、測定点における押し込み深さから窪みの表面積を算出した。これを上述の式(2)にあてはめ、このときの最小値を、測定に係るGaAs基板のユニバーサル硬度とした。
続いて、これらGaAs基板に対してスリップの有無を評価した。
スリップの有無を評価するにあたっては、これらのGaAs基板上に、予め、AlGaAs層のほか、数種類のエピタキシャル層を合計で1μmの厚さとなるよう成長させた。エピタキシャル成長は、MOVPE方を用い、基板温度を約700℃として行った。その後、GaAs基板をアニール炉内に入れ、水素(H)ガス雰囲気で室温から850℃まで昇温し、続いて、850℃から室温まで降温した。このとき、昇温速度および降温速度をいずれも600℃/hとした。
上記処理を経た各GaAs基板について、基板上のエピタキシャル層の最表面を目視観察することによりスリップの有無を確認した。
(比較例に係るGaAs基板)
次に、上述の実施例と略同様の方法により、比較例に係るGaAs基板を20枚製作した。ただし、比較例においては、Gaを15000g、Asを16150g含有し、As組成比が0.5005の原料を用いた。
続いて、これらGaAs基板の外周縁部におけるAs組成比とユニバーサル硬度とを、上述の実施例と同一の方法により、測定した。
また、上述の実施例と同一の方法により、これらGaAs基板上にエピタキシャル層を成長させたうえで、スリップの有無を評価した。
(評価結果)
実施例に係るGaAs基板の外周縁部におけるAs組成比は、各GaAs基板とも0.5006〜0.5008と、すべて0.5003超0.5010未満の範囲内であった。また、ユニバーサル硬度は、各GaAs基板とも4100N/mm以上と、すべて4000N/mm以上であった。20枚の実施例に係るGaAs基板において、スリップが発生したものは無かった。
比較例に係るGaAs基板の外周縁部におけるAs組成比は、各GaAs基板とも0.5001〜0.5003と、すべて0.5003超0.5010未満の範囲を下回っていた。また、ユニバーサル硬度は、各GaAs基板とも3950N/mm〜4050N/mmと、全GaAs基板中の複数枚において4000N/mmを下回っていた。また、20枚の比較例に係るGaAs基板のうち、スリップが発生したものが3枚あった。これら3枚のGaAs基板の外周縁部におけるユニバーサル硬度は、すべて4000N/mm未満であった。
以上のことから、GaAs基板の外周縁部におけるAs組成比およびユニバーサル硬度を上記所定範囲内とすることで、スリップの発生を抑制できることがわかった。
5 スリップ

Claims (5)

  1. 外周縁部でのガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比が0.5003超0.5010未満である
    ことを特徴とするヒ化ガリウム基板。
  2. 外周縁部でのユニバーサル硬度が4000N/mm以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載のヒ化ガリウム基板。
  3. 液体封止チョクラルスキー法により、原料に封止剤を加えて加熱し、液体となった前記封止剤で液面を覆われた前記原料の融液に種結晶を接触させ、前記種結晶を引き上げながらヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程と、
    前記ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程と、を有し、
    前記ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程では、
    前記原料中のガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比を0.5008超0.5016未満に調整する
    ことを特徴とするヒ化ガリウム基板の製造方法。
  4. 前記ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程を経た後、
    外周縁部でのガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比が0.5003超0.5010未満であるヒ化ガリウム基板を得る
    ことを特徴とする請求項3に記載のヒ化ガリウム基板の製造方法。
  5. 前記ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程で、前記原料中のガリウムとヒ素とのモル数の総和におけるヒ素の組成比を調整することにより、
    前記ヒ化ガリウム単結晶を薄く切り分ける工程を経た後、
    外周縁部でのユニバーサル硬度が4000N/mm以上であるヒ化ガリウム基板を得る
    ことを特徴とする請求項3に記載のヒ化ガリウム基板の製造方法。
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