JP2014069308A - 研磨材。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
メジアン径の大きなダイヤモンド微粒子と、メジアン径の小さな、ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子、又はケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子を含む混合粒子が良好な研削、研磨性を有することを特徴とする研削、研磨用ダイヤモンド粉末。
Description
バンモップス社(VAN MOPPES)の単結晶MB砥石(合成ダイヤモンド)を使用した。
ダイヤモンド微粒子としては、爆射法により得られた未精製のナノダイヤモンド(BDと言うこともある。)、又はそれを酸化処理しグラファイト系炭素の一部を除去した比重2.63〜3.25g/cm3のナノダイヤモンド微粒子が好ましい。前記酸化処理して得られるナノダイヤモンドとしては、後述のグラファイト相の一部が除去されたナノダイヤモンド(グラファイト−ダイヤモンド粒子と呼ぶ)精製ナノダイヤモンド粒子が好ましい。
本発明で用いるナノダイヤモンドの真比重は以下の操作により測定できる。
1.試料を比重ビンに入れ、蓋をした状態で秤量し重量を求める。
2.蒸留水を試料の少し上位まで入れ、煮沸法で気泡を完全に除去する。
3.25℃蒸留水を入れ、恒温槽(25℃)に10分間入れて、基線まで満たす。
4.恒温槽から比重ビンを取り出し、外側の水分を良く拭き取った後秤量し重量を測る。
5.比重ビンをよく洗浄し、25℃の蒸留水のみを入れ、恒温槽(25℃)に10分間入れて、基線まで満たし、4と同様に重量を測定する。
6.上記操作で得た値から以下の式(1)により真比重ρを求める。
ρ=[(W−P)・dw]/[(W1−P)−(W2−P)] ・・・(1)
(ここで、W:比重ビン+試料の重量、
W1:比重ビンに蒸留水のみを満たしたときの重量、
W2:比重ビンに試料と蒸留水を満たし、完全に気泡を満たした(空気を除いた)時の重量、
P:比重ビンの重量、及び
dw:測定時の温度における水の比重である。)
爆射法によるBDの合成は、例えば、水と多量の氷を満たした純チタン製の耐圧容器に、電気雷管を装着した爆薬[例えば、TNT(トリニトロトルエン)/HMX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン)=50/50]を胴内に収納させ、片面プラグ付き鋼鉄製パイプを水平に沈め、この鋼鉄製パイプに鋼鉄製のヘルメット状カバーを被覆して、前記爆薬を爆裂させることにより行うことができる。反応生成物としてのBDは容器中の水中から回収する。
(i)酸化処理A
爆射法で得られた未精製の粗ダイヤモンド(BD)は、まず酸化処理Aを施すのが好ましい。酸化処理Aを施すことによりグラファイト相の一部が除去されたグラファイト−ダイヤモンド粒子が得られる。酸化処理Aは、(a)爆射法で得られたBDを、酸中で酸化性分解処理する工程、(b)酸化性分解処理したBDを、さらに厳しい条件で処理する酸化性エッチング処理工程、(c)酸化性エッチング処理後の液を中和する工程、(d)脱溶媒工程、及び(e)洗浄工程からなり、必要に応じてグラファイト−ダイヤモンド粒子分散液の(f)pH及び濃度を調製する工程、又は(g)乾燥して微粉末とする工程からなる。
回収したBDを55〜56質量%の濃硝酸、又は濃硝酸と濃硫酸との混合物とともに、1.4MPa程度の圧力及び150〜180℃程度の温度で10〜30分間処理し、電気雷管等の混入金属、炭素等の夾雑物等の不純物を分解する。
酸化性分解処理したBDは、濃硝酸中で酸化性分解処理よりもさらに厳しい条件(例えば、1.4MPa、200〜240℃)で行う。このような条件で10〜30分処理すると、BD表面を被覆する硬質炭素、すなわちグラファイトを大部分除去することができるが、圧力、温度、処理時間を調整して、グラファイト量を調整することができる。
酸化性エッチング処理後のグラファイト−ダイヤモンド粒子を含む硝酸水溶液(pHが2〜6.95)に、それ自身又はその分解反応生成物が揮発性の塩基性物質を加えて中和反応させる。塩基性物質の添加によりpH7.05〜12に上昇する。前記塩基性物質を使用することにより、凝集したグラファイト−ダイヤモンド粒子内に浸透した塩基が、粒子内の硝酸と反応し、ガス化することにより凝集体を個々のグラファイト−ダイヤモンド粒子に解体するといった効果が得られる。この工程により、グラファイト−ダイヤモンド粒子の大きな比表面積及び孔部吸着空間が形成されるものと思われる。
得られたグラファイト−ダイヤモンド粒子を含む液は、遠心分離、デカンテーション等により脱溶媒するのが好ましい。
脱溶媒したグラファイト−ダイヤモンド粒子はデカンテーション法により水洗するのが好ましい。洗浄操作は3回以上行うのが好ましい。水洗したグラファイト−ダイヤモンド粒子は、再度遠心分離し、脱水するのが好ましい。
グラファイト−ダイヤモンド粒子分散液は、pH4〜10、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH6〜7.5に調節する。グラファイト−ダイヤモンド粒子濃度は0.05〜16%、好ましくは0.1〜12%、より好ましくは1〜5%に調製するのが好ましい。
酸化処理Bは、(a)グラファイト相を有するナノダイヤモンドと、酸化性化合物と、水及び/又はアルコールからなる溶媒とからなる混合物A(単に「混合物A」とよぶことがある)を調製し、(b)この混合物Aを、溶媒の臨界点以上の温度及び圧力にした状態でグラファイト相を有するナノダイヤモンドを処理し、(c)得られた精製ダイヤモンド粒子を含む液を遠心分離して溶媒を除去する工程を有する。さらに、脱溶媒した精製ダイヤモンド粒子を(d)水洗及び遠心分離により脱水する工程を設けるのが好ましい。工程(c)と(d)の間に、必要に応じて、脱溶媒した精製ダイヤモンド粒子を(e)塩基性溶液で中和する工程、及び(f)弱酸で処理する工程を設けてもよい。工程(c)又は(d)で得られた精製ダイヤモンド粒子は乾燥して微粉末にする。
混合物Aは、グラファイト相を有するナノダイヤモンドの粉末に、酸化性化合物、及び水及び/又はアルコールからなる溶媒を混合することにより調製する。又は、前記溶媒にあらかじめグラファイト相を有するナノダイヤモンドを分散した液に、前記酸化性化合物又はその溶液を添加して調製しても良い。混合物Aには、酸化性化合物による酸化反応を促進させるため、塩基性化合物又は酸化性化合物を添加しても良い。
混合物Aを溶媒の臨界点以上の温度及び圧力で処理する。処理温度は溶媒の臨界温度以上、600℃以下であるのが好ましく、550℃以下であるのがより好ましい。処理圧力は溶媒の臨界圧力以上、100MPa以下であるのが好ましく、70MPa以下であるのがより好ましく、50MPa以下であるのが最も好ましい。処理時間は温度及び圧力により適宜設定すればよいが、1〜24時間が好ましい。
酸化処理Aと同様にして行う。
酸化処理Aと同様にして行う。
工程(c)で脱溶媒した精製ダイヤモンド粒子を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基で中和してもよい。塩基性溶液の濃度は0.01〜0.5mol/Lが好ましい。脱溶媒した精製ダイヤモンド粒子に塩基性溶液を添加し、超音波処理するのが好ましい。
工程(e)で中和した精製ダイヤモンド粒子を弱酸溶液で洗浄するのが好ましい。弱酸溶液の例として、0.01〜0.5mol/Lの塩酸が挙げられる。中和した精製ダイヤモンド粒子に弱酸溶液を添加し、超音波処理するのが好ましい。
酸化処理Cは、(a)グラファイト相を有するナノダイヤモンドと、水及び/又はアルコールからなる溶媒とからなる混合物Bを調製し、(b)この混合物Bに酸素を共存させた状態で、処理溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1MPa(ゲージ圧)以上の圧力でグラファイト相を有するナノダイヤモンドを処理し、(c)得られた精製ダイヤモンド粒子を含む液を遠心分離して溶媒を除去する工程を有する。さらに、脱処理溶媒した精製ダイヤモンド粒子を(d)水洗及び遠心分離により脱水する工程を設けるのが好ましい。工程(c)又は(d)で得られた精製ダイヤモンド粒子は乾燥して微粉末にする。
混合物Bは、グラファイト相を有するナノダイヤモンドと、水及び/又はアルコールからなる溶媒とを混合することにより調製する。混合物B中のグラファイト相を有するナノダイヤモンドの濃度は、0.05〜16質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が最も好ましい。この濃度が16質量%を超えると、精製が不十分となる恐れがある。一方0.05質量%未満であると、回収時のロスの割合が多くなり生産性が悪化する。
混合物Bをオートクレーブに入れ、酸素を導入する。酸素の導入量は、グラファイト相を有するナノダイヤモンド中のグラファイト1gに対して、0.1モル以上が好ましく、0.15モル以上がより好ましく、0.2モル以上が最も好ましい。この導入量の上限は特に制限されない。
酸化処理Aと同様にして行う。
酸化処理Aと同様にして行う。
酸化処理Dは、前記グラファイト相を有するナノダイヤモンドを反応管に入れ、常圧下で酸素を含む気体を流しながら375〜630℃に加熱する工程を有する。加熱温度は380〜450℃であるのが好ましく、400〜430℃が最も好ましい。酸素を含む気体は、酸素ガス、空気等を使用できるが、簡便さから空気が好ましい。
酸化処理を効率よく行い、着色の少ない精製ダイヤモンド粒子を得るために、酸化処理B〜Dの前にBD又はグラファイト−ダイヤモンド粒子をビーズミル等の公知のメディア分散法により粉砕するのが好ましい。ビーズミルによる分散は、ジルコニアビーズを使用するのが好ましい。BD又はグラファイト−ダイヤモンド粒子をメディア分散することにより、メジアン径を100nm以下にするのが好ましく、下限は特に限定されないが、25nm以上、好ましくは、30nm以上が好ましい。
前記爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンド、又は前記酸化処理して得られたナノダイヤモンドに、シリル化剤、アルコキシシラン、シランカップリング剤等を反応させることによりナノダイヤモンドの表面にあるグラファイト相や水酸基を、ケイ素を含む有機基に置換することができる。ケイ素化処理は、シリル化剤を用いるのが好ましい。
前記爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンド、又は前記酸化処理により得られたナノダイヤモンドは、フルオロアルキル基含有オリゴマーを使用した方法、フッ素ガスと直接反応させる方法、フッ素プラズマによる方法等により、その表面をフッ素又はフッ素を有する基で修飾することができる。
高分子主鎖の両末端にフルオロアルキル基が直接炭素−炭素結合により導入された高分子界面活性剤(含フッ素オリゴマー)は、水溶液中又は有機溶媒中において自己組織化したナノレベルの分子集合体を形成することが知られている。このフルオロアルキル基が末端に導入された含フッ素オリゴマーを用いることにより、フルオロアルキル基で修飾したナノダイヤモンドを形成することができる。
フッ素ガスと直接反応させる方法は、ナノダイヤモンドを入れた反応管(ニッケル製等)に、フッ素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスを300〜500℃で10〜500時間流すことにより行う。
本実施例、比較例で使用の爆射法ナノダイヤモンドは、以下の方法で作製した。
(A)の爆射は、TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)(B)を60/40の比で含む0.65kgの爆発物を3m3の爆発チャンバー内で爆発させて生成する(C)BDを保存するための雰囲気を形成した後、同様の条件で2回目の爆発を起こしBDを(D)合成した。爆発生成物が膨張し熱平衡に達した後、15mmの断面を有する超音速ラバル(E)ノズルを通して35秒間ガス混合物をチャンバーより流出させた。チャンバー壁との熱(F)交換及びガスにより行われた仕事(断熱膨張、気化)のため、混合物の冷却速度は280℃/(G)分であった。サイクロンで捕獲した生成物(黒色の粉末、BD)の比重は2.55g/cm3で(H)あった。このBDは比重から計算して、76容積%のグラファイト系炭素と24容積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
これら合成の単結晶ダイヤモンドと、爆射法によって合成した比重2.80g/cm3のナノダイヤモンドに対しフッ素を8重量%付加したメジアン径50nmのナノダイヤモンドを重量比で100対1の割合で混合した混合粒子の0.01質量%含有の純水分散溶液に、粒子重量に対し加工促進剤としてコハク酸を1質量%添加し、pHを5.5に調整した。この分散液を用いて、以下の方法で研削(ラップ)済みの磁気ディスク用基板を被研磨物として研磨試験を行った。
(a)被研磨物:φ2.5インチ結晶化ガラス・ディスク
(b)加工枚数:15枚
(c)研磨機:両面研磨機(定盤径φ700mm)
(d)研磨パッド:BELLATRIX N0048(カネボウ株式会社製)
(e)荷重:100g/cm2
(f)上定盤回転数:24rpm
(g)下定盤回転数:16rpm
(h)研磨用分散物供給量:150cc/min.
加工時間は、比較例2の分散液を使用したときに取り代が3μm(両面)になる時間を、実施例1〜4及び比較例1に適用した。具体的には、比較例2の分散液を用いて下記方法により予め研磨速度を求めておき、取り代が一定(両面合わせてで3μm)となるよう研磨速度を設定した。
研磨試験後の磁気ディスク用基板を洗浄、乾燥した後、研磨加工の前後で磁気ディスク用基板の重量を測定し、その差(重量減)と磁気ディスク用基板の面積、ならびに加工時間より研磨速度を測定した。
有限会社ビジョンサイテック製の微細欠陥可視化検査装置MicroMAX(マイクロマックス)OSA6100を使用して測定した。
実施例5は、実施例1〜4及び比較例1〜2と同様にして、メジアン径が30μである合成の単結晶ダイヤモンドと、爆射法によって合成した比重2.80g/cm3のナノダイヤモンドに対しフッ素を8重量%付加したメジアン径25nmのナノダイヤモンドを重量比で100対1の割合で混合した混合粒子を作製した。
実施例8は、実施例1〜4及び比較例1〜2と同様にして、メジアン径が30μである合成の単結晶ダイヤモンドと、爆射法によって合成した比重2.63g/cm3のナノダイヤモンドに対しフッ素を8.1重量%付加したメジアン径30nmのフッ素化ナノダイヤモンドを重量比で100対1の割合で混合した混合粒子を作製した。
実施例1〜4及び比較例1〜2で使用のナノダイヤモンドの粉末をメチルイソブチルケトンに3質量%の濃度で分散させ、トリメチルクロロシランのメチルイソブチルケトン溶液(濃度7.5質量%)を1:1の容量で加え、48時間撹拌してナノダイヤモンドをトリメチルシランで修飾した。得られた分散物をメチルイソブチルケトンで洗浄後、2質量%に濃度調製し、超音波処理(20kHz、500W、120分間)を行い、トリメチルシラン修飾ナノダイヤモンド分散物を得た。比重2.85g/cm3の爆射法ナノダイヤモンド重量に対し7重量%のシランを付加したメジアン径50nmのケイ素化ナノダイヤモンドを得た。
◎;加工量が0.70以上1.00以下
○;加工量が0.5以上0.70未満
×;加工量が0.50未満
◎;スクラッチ数が30個未満
○;スクラッチ数が30個以上50個未満
×;スクラッチ数が50個以上
Claims (9)
- ダイヤモンドからなる研磨材であって、前記ダイヤモンド中に、メジアン径1ミクロン以上のダイヤモンド微粒子と、メジアン径が100nm以下のケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子を含むことを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- ダイヤモンドからなる研磨材であって、前記ダイヤモンド中に、メジアン径1ミクロン以上のダイヤモンドと、メジアン径が100nm以下のケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子を含むことを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- 請求項1に記載の研磨材において、前記メジアン径が100nm以下のケイ素を有するダイヤモンド微粒子がケイ素化処理されたダイヤモンド微粒子であり、前記フッ素を有するダイヤモンド微粒子がフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子であることを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- 請求項2に記載の研磨材において、前記メジアン径が100nm以下のケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子が、ケイ素化処理及びフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子であることを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- 請求項1〜4に記載の研磨材において、前記メジアン径が1μ以上及び100nm以下のダイヤモンド微粒子が天然ダイヤモンド及び/又は合成ダイヤモンドであることを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の研磨材において、前記メジアン径が100nm以下のダイヤモンド微粒子の比重が2.63g/cm3以上であることを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- 請求項3又は4に記載の研磨材において、前記ケイ素化処理がシリル化処理であることを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- 請求項3又は4のいずれかに記載の研磨材において、前記フッ素化処理がフルオロアルキル基含有オリゴマーによる処理であることを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の研磨材において、前記メジアン径が100nm以下のダイヤモンド微粒子が爆射法で得られたナノダイヤモンドであることを特徴とする研削・研磨用ダイヤモンド粉末。
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