JP2014067200A - 加工システム及び数値制御データ生成装置及び数値制御データ生成方法 - Google Patents

加工システム及び数値制御データ生成装置及び数値制御データ生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明の課題は、工具経路長を短くして加工時間を短縮する加工方法を提供することである。
【解決手段】
本発明の加工システムは、数値制御データ生成装置と生成された数値制御データを用いて加工対象を加工する装置とを有する加工システムであって、前記数値制御データ生成装置は、複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域を生成する手段と、前記加工対象を加工する装置は、生成された加工領域を入力し、前記加工領域に応じて工具の傾き角を変えて前記加工対象を加工する手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図9

Description

本発明は、数値制御データを用いて加工対象を加工するシステムに関する。
切削加工では、作業者による精度や作業時間のばらつきを抑えた製品を複数作成するために、一般にNC(Numerical Control)工作機械が用いられている。そして、NC工作機械における工具経路(ツールパス)は、CAM(Computer Aided Manufacturing)システムを利用して生成される。このCAMシステムで生成したNCデータに基づき、切刃を有する回転工具を用いて加工対象の素材を製品形状に加工する。加工で用いられる工具には、一般にボールエンドミルやフラットエンドミル、ラジアスエンドミルなどがある。
特許文献1(特許第3000219号)には、曲面を加工するため曲面加工用工具の加工に使用する部分の運動最外周軌跡が、該工具の運動中心軸に平行な面に対して投影した形状において1種以上の曲率が変化する曲線若しくは直線と該曲線の組み合せからなる形状である曲面加工用工具を用いた曲面加工に係り、加工すべき曲面上の各加工点に対する曲面の情報又は曲面の情報と加工径路の情報をもとに、加工曲面の曲率、法線、接線に関する情報の少なくとも一つ以上を演算し、該曲面の情報をもとに工具の形状及び/又は出力する加工点の刻み及び/又は工具の姿勢及び/又は工具の位置を演算し、工具軌跡情報を発生することが書かれている。
特許文献2(特許第4700369号)には、曲面を有する形状データと複数の種類の切削工具から選択した切削工具の情報とを基に、工具主軸方向ベクトルを切削工具の進路方向に対し、できるだけ後方に傾斜させるよう傾斜角度を設定することが書かれている。
特許文献3(特開2010−137291号公報)には、形状データから多面体を生成する多面体生成手段と、前記多面体に係る全ての多角形平面に対して、面積と、法線方向を示す単位ベクトルである法線ベクトルと、前記面積と前記法線ベクトルの積である平面ベクトルとを算出する多面体情報算出手段と、全ての前記平面ベクトルに基づいて、前記工具姿勢の第0姿勢の方向を示す第0姿勢ベクトルを設定する第0姿勢設定手段と、前記法線ベクトルのそれぞれと前記平面ベクトルのそれぞれの組み合わせに対して、前記法線ベクトルと前記平面ベクトルの内積に重み係数を乗じた値を姿勢適正値として算出し、前記姿勢適正値に基づいて前記法線ベクトルの中から第0姿勢よりも後の工具姿勢の方向を示す工具姿勢ベクトルおよびその加工領域を決定する姿勢・領域決定手段と、決定された前記工具姿勢ベクトルによって加工する前記加工領域を調整する領域調整手段と、が
書かれている。
特許第3000219号公報 特許第4700369号公報 特開2010-137291号公報
CAMシステムを利用して生成される数値制御データの課題として、加工時間の短縮と工具の干渉回避がある。特許文献1の方法では、加工領域が固定されているため、同じ工具で加工できる領域が分割されてしまうことによって、適切な工具と工具姿勢が選択されず干渉回避に限界がある。また、同一工具に対して工具傾き角による切削幅の違いを考慮していないため、工具経路長を短くできず、加工時間の短縮に限界がある。同様に特許文献2の方法においても、工具傾き角による切削幅の違いを考慮していないため、加工時間の短縮に限界がある。
上記の実情の通り、工具の干渉を回避する工具姿勢を求める方法はあるが、干渉を回避し、工具の形状を考慮して加工時間を短縮する方法がないため、加工時間が増大することがあった。
特許文献3では、ツーリング剛性を確保し易い工具姿勢を決定するとともに、その工具姿勢において干渉の起こり難い加工領域を決定する。しかし、被加工物の形状のみで加工領域を分割しており、工具の形状や切削幅を考慮していないため、加工時間の短縮効果に限界がある。また、面積が大きく、方向が近い曲面メッシュをまとめ、データベースの姿勢適正値を随時更新する方法であり、被削面全体での加工時間短縮を考慮しておらず、加工時間短縮効果に限界がある。本発明の課題は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、工具経路長を短くして加工時間を短縮する加工方法を提供することである。
本発明の加工システムは、数値制御データ生成装置と生成された数値制御データを用いて加工対象を加工する装置とを有する加工システムであって、前記数値制御データ生成装置は、複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域を生成する手段と、前記加工対象を加工する装置は、生成された加工領域を入力し、前記加工領域に応じて工具の傾き角を変えて前記加工対象を加工する手段と、を有することを特徴とする。
本発明の数値制御データ生成装置は、加工対象を加工するための数値制御データ生成装置であって、複数の工具の傾き角に対応する、工具を傾けた状態で加工する際の加工可能な曲率を特定する手段と、前記加工対象の被削面の曲率を特定する手段と、前記加工可能な曲率と前記被削面の曲率を用いることによって複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域を生成する手段と、前記曲率と前記加工対象の加工領域とを対応付けることによって複数に分割された加工領域を特定する手段と、
を有することを特徴とする。
本発明の数値制御データを生成する方法は、加工対象を加工するための数値制御データを生成する方法であって、複数の工具の傾き角に対応する、工具を傾けた状態で加工する際の加工可能な曲率を特定するステップと、前記加工対象の被削面の曲率を特定するステップと、前記加工可能な曲率と前記被削面の曲率を用いることによって複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域を生成するステップと、前記曲率と前記加工対象の加工領域とを対応付けることによって複数に分割された加工領域を特定するステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、工作機械を数値制御し、加工対象の素材を製品形状に加工する際に工具経路長を短くして加工時間を短縮することができる。
工具傾き角と切削幅の関係を示す概念図。 加工システムの構成図。 加工領域決定処理を示すフローチャート。 3次元での工具姿勢を表す概念図。 工具傾き角毎の切削可能曲率リストの例。 被削面の曲率抽出方法の例。 被削面の曲率情報の例。 加工領域割付処理結果の例。 工具干渉がある場合の加工領域決定処理を示すフローチャート。 画面表示の例。
以下、本発明の一実現形態について、図面を用いて説明する。切刃の回転軌跡を、工具中心軸を含む平面に投影したときに得られる形状を切刃の投影と定義する。すると、特許文献1に示す切刃の投影が楕円の工具(フラットエンドミル、ラジアスエンドミルなど)は工具の傾き角によって切削痕の幅である切削幅が異なり、工具傾き角が小さいほど切削幅が大きいという関係性がある。
図1に、工具傾き角による切削幅の模式図を示す。ここで、被削面とは、当該工程、あるいは、当該加工で目標とする形状を指す。また、素材とは加工前の形状を指す。いま、図中矢印方向に工具を移動させ、工具61の切刃62で素材63を切削する。このとき、工具61の工具傾き角を大きくした場合は、図1(a)に示すとおり、切削痕64の幅は小さくなる。
一方、工具傾き角を小さくした場合は、図1(b)に示すとおり、工具径に近い幅で切削することとなり、切削痕64の幅は大きくなる。この切削幅が大きいほど、被削面全体を加工するための工具経路長が短くなり、加工時間が短くなる。以下、この工具傾き角を用いて説明する。
<加工方法を実施するシステムの構成>
図2は、本発明の加工システムの一実現例にかかる機能構成図である。本発明の加工システム0は、数値制御データ生成装置10と加工装置6とから構成される。数値制御データ生成装置10は、処理部1と、記憶部2と、入力部3と、出力部4と、表示部5からなり、加工装置6を数値制御するデータを生成するCAM装置である。
加工装置6は、数値制御データを受信し、数値制御データに基づいて加工対象を加工するNC工作機械である。加工装置6は、図1に示すような工具61を備えており、工具傾き角を変えて素材63を切削することができる。加工装置6は、必ずしも加工システム0に内蔵される必要はなく、有線による接続あるいは、ネットワークインターフェース等の通信機器を介して、加工システム0の出力部4に接続される。また、加工装置6は、数値制御データ生成装置10の外部に設置されていてもよく、処理部1によって計算された数値制御によって動作するものであればよい。
処理部1は、工具傾き角毎の切削可能曲率算出部11と、被削面曲率抽出処理部12と、加工領域割付部13と、工程順序算出部14からなる。
記憶部2は、工具情報保持部21と、被削面の形状情報保持部22と、切削可能曲率リスト保持部23と、被削面の曲率情報保持部24と、加工工程計画記憶部25からなる。加工工程計画記憶部25は、加工領域情報保持部251と、工具傾き角情報保持部252と、切削方向情報保持部253と、使用工具情報保持部254と、工程順序情報保持部255からなる。
工具傾き毎の切削可能曲率算出部11は、記憶部2の工具情報保持部21に保持されている工具情報から工具の形状を参照して、工具傾き各毎の切削可能曲率を算出する。工具傾き毎の切削可能曲率算出部11の処理の詳細については、図3〜図5を用いて後述する。工具傾き毎の切削可能曲率算出部11の処理結果は、記憶部2の切削可能曲率リスト23で保持する。
被削面曲率抽出処理部12は、記憶部2の被削面の形状情報保持部22に保持されている被削面の形状に基づき、被削面の曲率を抽出する。被削面曲率抽出処理部12の処理の詳細については、図3と図6〜図7を用いて後述する。被削面曲率抽出処理部12の処理結果は、記憶部2の被削面の曲率情報保持部24で保持する。
加工領域割付部13では、記憶部2の切削可能領域リスト保持部23に保持されている切削可能領域と、被削面の曲率情報保持部24に保持されている被削面の曲率情報に基づき、工具傾き角を小さい順に選択して、切削可能な曲率の領域を割付ける。加工領域割付部13の処理の詳細については、図3、図8を用いて後述する。加工領域割付部13の処理結果は、記憶部2の加工工程計画記憶部25で保持する。加工領域割付部13の処理結果として生成される加工工程について、加工領域の情報は記憶部2の加工領域情報保持部251に保持する。工具傾き角の情報は工具傾き角情報保持部252で保持する。領域内の切削方向は、切削方向情報保持部253で保持する。当該工程で使用する工具の情報は、使用工具情報保持部254で保持する。また、加工領域割付部13の処理を繰り返して生成される複数の工程について、工程順序情報を工程順序情報保持部255に保持する。
工程順序算出部14は、加工領域割付部13を繰り返して生成される複数工程について、工程の順序を算出する。算出した工程順序は工程順序情報保持部255に保持する。入力部3は、ユーザの指示の入力を受け付ける。出力部4は、本コンピュータシステムの処理結果を表示したり印刷したりする。
本システムにおいて、工具情報保持部21、加工工程計画記憶部25、入力部3、出力部4、表示部5は一般的なCAD(Computer Aided DeSign)、及び、CAMを利用しても良い。また、本システムを一般的なCAD、及び、CAMに組み込んで利用しても良い。
<加工方法およびそれを実現するシステムの概要>
次に、本加工システムで実現する加工領域の割付方法について説明する。切刃62の投影が楕円の工具61は工具の傾き角によって切削痕の幅である切削幅が異なり、工具傾き角が小さいほど切削幅が大きいという関係性がある。この切削幅が大きいほど、被削面全体を加工するための工具経路長が短くなり、加工時間が短くなる。
本発明ではこの関係性に基づき、最小の工具傾き角で加工できる領域が最大化するよう、加工領域を順次決定し、加工時間を短縮する。図3に、加工領域を決定する手順を示す。始めに、ステップS101では、工具情報保持部21に記憶されている工具61の形状情報に基づき、各工具について、工具傾き角毎の切削可能曲率をリスト化する。
図4を用い、ステップS101について説明する。図4(a)に、3次元における工具傾き角の例を示す。3次元上での工具61の姿勢は、工具61の進行方向を軸とする座標系を考えると、工具上基準点の座標、および、工具進行方向に対する工具傾き角と、進行方向と直行する方向の工具傾き角の、2つの角度で定義できる。NC工作機械では、この工具姿勢で、工具上の基準点を工具経路の参照となる点、または線に沿って移動させて、工具61の切刃62で素材63を加工する。ここで、工具61が移動する際に切刃62が通る軌跡を、進行方向と直行する面に投影して得られる曲線を切刃の投影曲線71と定義する。この切刃62の投影曲線71の曲率が、その工具傾き角で切削可能な曲率となる。図4(b)に、ある工具姿勢での切刃62の投影曲線71と、進行方向と直行する面72、その工具傾き角で切削可能な曲率をもった、被削面上の曲線73の例を示す。
図5に、ステップS101の処理結果である工具傾き角毎の切削可能曲率リスト81の例を示す。工具傾き角毎の切削可能曲率リスト81は、工具番号811、工具種類812、工具径813、工具コーナー半径814といった工具情報と、進行方向の工具傾き角815と、垂直方向の工具傾き角816、その工具傾き角で切削可能な曲率817の情報を持つ。工具61の形状情報は、工具情報保持部21の情報を参照して工具61を対応付けても良い。
ステップS101は、工具毎の切削可能曲率算出部11で処理する。また、算出した切削可能曲率リスト81は、切削可能曲率リスト保持部23で保持する。次に、ステップS102では、被削面の形状情報保持部22に記憶されている被削面の形状情報に基づき、被削面の曲率を抽出する。被削面の曲率は、曲面を微細なメッシュ状に分割して、各メッシュの法線ベクトルを用いるなど、一般的な幾何計算によって算出できる。一例として、被削面の等パラメータ曲線に基づいて、被削面上の離散点と被削面の断面曲線から、曲率を算出する方法を示す。
図6を用い、ステップS102について説明する。図6(a)に、上面を被削面とする素材63の例を示す。この被削面の曲面に対して、図6(b)のように、u方向とv方向の等パラメータ曲線74を抽出する。次に、図6(c)図中矢印で示すように、等パラメータ曲線を進行方向のベクトル75とみなす。工具61上の基準点を、このベクトル75に沿って移動することで素材63を切削する。この等パラメータ曲線上に離散点76を取る。次に、この離散点76で、進行方向のベクトル75と直交する面77を仮定する。そして、仮想した直行面77と被削面の交線78を求める。求めた交線78に対して、進行方向のベクトル75を中心にして、投影距離が工具径の幅と等しい円弧79を抽出する。この円弧79の曲率が、離散点76における、被削面の曲率とみなせる。被削面の曲率について、平面や凸面では被削面の曲率が0〜負の値となることがある。切刃62の投影が楕円の工具61(フラットエンドミル、ラジアスエンドミルなど)では切削可能曲率は負の値をとらないため、被削面の曲率が0〜負の値となる場合は、被削面の曲率を0とみなす。切刃の投影が凹面を含むような特殊工具では、被削面の曲率を0〜負の値としてもよい。
ステップS102では、被削面上の複数の離散点について、この曲率抽出を行い、被削面全体の曲率を抽出する。ここで、3つ以上の離散点で囲まれた曲面の範囲を、領域と定義する。本例では領域の連続性を考慮し、切削方向が同じで、かつ、曲率が等しい離散点のうち、隣り合った離散点で囲まれた範囲を1つの領域とする。
ステップS102の処理を実行し、被削面全体の曲率を抽出したのち、離散点同士を評価して領域を生成する。
図7に、ステップS102を実行した結果の例を示す。図7(a)に、被削面上の離散点p1、p2、p3を示す。図7(b)に、各離散点における被削面の曲率情報82の例を示す。被削面の曲率情報は、離散点名821、離散点の座標822、工具進行方向ベクトル823、被削面の曲率824、領域825の情報を持つ。
ステップS102は被削面曲率抽出処理部12で処理する。抽出した被削面の曲率情報は、被削面の曲率情報保持部24で保持する。ここで、ステップS102は、ステップS101を処理する前に行っても良い。また、可能であれば、ステップS101、S102を並行して行っても良く、他の装置から受信しても良い。
次に、ステップS103では、ステップS101で作成した切削可能曲率リスト81の中で、工具傾き角を小さい順に選択する。工具傾き角が小さい順に選択することで、各領域には最小の工具傾き角が設定される。同じ工具傾き角の工具が複数存在する場合は、切削幅を最大化する観点から、工具径813の大きい工具を選択しても良い。あるいは、工具交換回数を少なくするという観点から、前の工程と同じ工具で、次に小さい工具傾き角を選択しても良い。また、複数の工具のうち傾き角が異なるものであっても曲率が同じ場合には、加工領域を加工する順序の前後関係を考慮して工具を選択してもよいし、同じ工具を優先して使用するようにしてもよい。また、曲率が同じであっても、工具の径が異なる場合においては、他の加工領域を加工する工具を考慮し、同じ工具を優先して使用するようにしてもよく、あるいは、径が大きい工具を優先するようにしてもよい。
図5を用い、ステップS103について説明する。今、図5の切削可能曲率リスト81の中で、ステップS103では始めに、工具傾き角の最も小さい工具1、工具種類ラジアスエンドミル、工具径50、工具コーナー半径3.0、進行方向工具傾き角0度、垂直方向工具傾き角0度のデータD11を選択する。この工具傾き角で切削可能な曲率は0となる。
次に、ステップS104では、ステップ102で抽出した被削面の曲率情報の中から、ステップS103で選択した切削可能曲率よりも小さい曲率を持つ領域を割付けていく。
図8を用い、ステップS104について説明する。図8の加工領域の割付け結果83のうち、821〜825は図7の被削面の曲率情報82と同様であるため、説明を省略する。今、ステップS104では、被削面の曲率情報のうち、曲率がステップS103で選択したデータD11における切削可能曲率0以下である、離散点p3、座標(x3、y3、z3) 、工具進行方向ベクトルu方向、被削面の曲率0.00、領域1のデータD23を選択する。そして、この領域1の進行方向工具傾き角832に0度を、垂直方向の工具傾き角833に0度を設定する。
ここで、被削面の曲率情報の中には、同じ離散点名p3で、工具進行方向ベクトル823がv方向であるデータD26が存在する。この領域1では既に工具傾き角が決定済みのため、データD26には他の工具傾き角を設定しない。このように、同じ離散点で異なる工具進行方向ベクトル823のデータを持つ場合、1つのデータで工具傾き角を決定した後、同離散点のデータには進行方向工具傾き角832、工具傾き角833を設定しない。
ステップS103とステップS104は、処理部1の加工領域割付部13で処理する。ステップS104の処理結果は、記憶部2の加工工程計画記憶部25で保持する。ステップS104で割付けた加工領域情報は、加工領域情報保持部251に記憶する。割付けた工具傾き角は、工具傾き角情報保持部252に記憶する。工具進行方向ベクトル、あるいは、切削方向の情報は、切削方向情報保持部253に記憶する。割付けた工具の情報は、使用工具情報保持部254に記憶する。
ステップS104を実行すると、加工領域と切削方向、工具傾き角を指定した加工工程が1つ作成される。図3のフローチャートによれば、工具傾き角を小さい順に選択し、領域を割付ける処理を繰り返すことで、複数の工程が作成される。これら複数の工程の順序は、工程順序情報保持部255で記憶する。
工程順序は、図3のフローチャートに従い、工具傾き角が小さい順に選択して割付ける処理を繰り返すため、処理の実行後には、工具傾き角が小さい順となっている。この工程順序については、複数の領域の統合や、同一工具の工程をまとめるなどして、工程順序を入れ替えても良い。これらの工程順序の算出は、処理部1の工程順序算出部で処理する。
ステップS104を実行した後、全ての領域で工具傾き角が決定した場合は、加工領域の割付けを終了する。未割付けの領域が存在する場合は、ステップS103とステップS104を繰り返す。以上のように、図3に示すフローチャートにより、被削面に対して最小の工具傾き角で加工できる領域が最大化するよう、加工領域を決定することができる。
<工具の干渉を回避する手段>
次に、図9を用いて、工具の干渉がある場合の加工領域決定方法を示す。ステップS101〜ステップS104までは、前述の図3と同じ処理であるため、説明を省略する。ステップS104を実行後、工具傾き角を設定した領域で機械や母材などの構成部品と工具が干渉するか、判定する。干渉の判定方法は、一般的な、メッシュモデルやボクセルモデルなどによりモデル同士の重複の有無を判定する方法などを用いればよい。干渉判定により、領域内のどの部分で干渉が発生するかを特定する。
構成部品と工具が干渉しない場合は、全ての領域が割付けられたか判定する処理を行う。全ての領域が割付けられている場合は、処理を終了する。未割付けの領域が存在する場合は、ステップS103に戻り、処理を繰り返す。
構成部品と工具が干渉する場合は、ステップS105の処理に進む。ステップS105では、直前のステップS104で割付けた領域の中で、構成部品と干渉する部分のみを割付けから除去する。除去した部分は、未割付の領域として保持する。
未割付の領域と判定された際に、判定に用いた工具の傾き角を、次回の未割付の領域の判定から除外する。このように、未割付の領域に対して干渉する工具の傾き角を除外することによって、加工領域に対して適切な工具の傾き角を判定することができる。次回の未割付の領域の判定には、別の種類の工具を用いても良い。また、別の傾き角を選択しても良い。あるいは、ユーザが加工領域に対応する工具の傾き角を選択してもよい。
ステップS105を処理した後は、全ての領域が割付けられたか判定する処理を行う。全ての領域が割付けられている場合は、処理を終了する。未割付けの領域が存在する場合は、ステップS103に戻り、処理を繰り返す。
図3のフローチャートに示すように、工具傾き角を小さい順に選択して領域を割付けた後に、工具の干渉を判定して、干渉のある部分を未割付けにすることで、被削面に対して最小の工具傾き角で加工できる領域を最大化したうえで、工具干渉の無い領域の分割を実現できる。本工程によって、工具の干渉を回避することが可能となる。
<領域内での工具傾き角の変化を許容する場合の例>
上記の例ではステップS101で、切削方向が同じで、かつ、曲率が等しい離散点のうち、隣り合った離散点で囲まれた範囲を1つの領域とした。領域内での工具傾き角の変化を許容する場合は、工具傾き角の変化量の許容値を設定し、許容値内の曲率を持つ離散点で囲まれた範囲を1つの領域とすることができる。
この場合は、領域内の離散点の最大曲率をその領域の曲率とすることで、ステップS104において、領域内の最大曲率の点でも切削可能な工具傾き角に、領域を割付けることができる。
この工程によって、隣り合った離散点で囲まれた範囲を1つの領域とすることで、工具の傾きを変更することによって加工が可能となり、工具経路長を削減することができ、加工効率を上げることが可能となる。
<画面表示の例>
図10に、加工方法を実施するシステムの画面表示例を示す。加工システム画面91は、例えば、被削面の指定画面911、加工領域の分割結果表示画面912、加工領域の割付け結果表示画面913などから構成される。被削面の指定画面911では、処理部の入力部3を介して、加工方法を適用する被削面を指定する。指定した被削面の情報は、被削面の形状情報保持部22に記憶する。
加工領域の分割結果表示画面912では、被削面の指定画面911で指定した領域に対し、図3あるいは図9の処理を行って自動的に工具傾き角を最小化し、領域を分割した結果を表示する。加工領域の割付け結果表示画面913では、加工領域の分割結果表示画面912に示した各領域と、各領域に設定された工具傾き角、および、切削方向、工具の情報などを表示する。
図10において、加工システム画面91では、工具の形状情報を入力できるようにしても良い。また、一般的なCADやCAMの設定項目を入力できるようにしても良い。
本実施例によって、工作機械を数値制御し、加工対象の素材を製品形状に加工する際に、工具経路長を短くして加工時間を短縮することができる。また、工具の干渉を起こさない工具経路を特定できる。また、工具傾き角の変更が少ない工具経路を特定できる。また、工具の変更回数が少ない工具経路を特定できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
0…加工システム、1…処理部、2…記憶部、3…入力部、4…出力部、5…表示部、6…加工装置、61…工具、62…切刃、63…素材、64…切削痕、71…投影曲線、72…面、73…被削面上の曲線、74…パラメータ曲線、75…ベクトル、76…離散点、77…直行面、78…被削面の交点、79…円弧、81…切削可能曲率リスト、91…加工システム画面

Claims (15)

  1. 数値制御データを生成する数値制御データ生成装置と生成された数値制御データを用いて加工対象を加工する加工装置とを有する加工システムであって、
    前記数値制御データ生成装置は、複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域のデータを生成する手段と、
    前記加工装置は、生成された前記加工領域のデータを使用して、前記加工対象を複数の加工領域に分けて、前記加工領域に対応した工具の傾き角により、前記加工対象を加工する手段と、
    を有することを特徴とする加工システム。
  2. 請求項1記載の加工システムにおいて、
    前記複数の加工領域のデータを生成する手段は、前記複数の工具の傾き角における加工可能な曲率を特定し、前記加工対象の被削面の曲率を特定し、前記加工可能な曲率と前記被削面の曲率を用いて複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域のデータを生成することを特徴とする加工システム。
  3. 請求項1記載の加工システムにおいて、
    前記複数の加工領域のデータを生成する手段は、前記工具の傾き角が小さい順に、対応する加工領域のデータを生成することを特徴とする加工システム。
  4. 請求項2記載の加工システムにおいて、
    前記複数の加工領域のデータを生成する手段は、工具の種類の情報と、工具の径と、工具傾き角の情報を用いて、切削可能な曲率を特定することを特徴とする加工システム。
  5. 請求項1記載の加工システムにおいて、
    前記複数の加工領域を前記工具の傾き角に対応させて表示する表示手段と
    を有することを特徴とする加工システム。
  6. 請求項1記載の加工システムにおいて、
    前記加工領域のデータを生成する手段は、加工領域を特定する際に、所定の工具の傾き角を用いると工具の干渉が発生する加工する領域を、前記工具または、前記工具の傾き角を変更して加工する領域のデータを生成すること
    を特徴とする加工システム。
  7. 加工対象を加工するための数値制御データを生成する数値制御データ生成装置であって、
    加工対象を加工する工具の傾き角に対して、加工可能な曲率を特定する手段と、
    前記加工対象の被削面の曲率を特定する手段と、
    前記加工可能な曲率と前記被削面の曲率を用いて、複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域のデータを生成する手段と、
    を有することを特徴とする数値制御データ生成装置。
  8. 請求項7記載の数値制御データ生成装置において、
    前記複数の加工領域のデータを生成する手段は、前記工具の傾き角が小さい順に対応する加工領域のデータを生成すること
    を特徴とする数値制御データ生成装置。
  9. 請求項7記載の数値制御データ生成装置において、
    前記加工可能な曲率を特定する手段は、工具の種類の情報と、工具の径と、工具傾き角の情報を用いて、切削可能な曲率を特定することを特徴とする数値制御データ生成装置。
  10. 請求項7記載の数値制御データ生成装置において、
    前記複数の加工領域を前記工具の傾き角に対応させて表示する表示手段と
    を有することを特徴とする数値制御データ生成装置。
  11. 請求項7記載の数値制御データ生成装置において、
    前記加工領域のデータを生成する手段は、加工領域を特定する際に、所定の工具の傾き角を用いると工具の干渉が発生する加工する領域を、前記工具または、前記工具の傾き角を変更して加工する領域のデータを生成することを特徴とする数値制御データ生成装置。
  12. 加工対象を加工するための数値制御データを生成する方法であって、
    加工対象を加工する工具の傾き角に対して、加工可能な曲率を特定するステップと、
    前記加工対象の被削面の曲率を特定するステップと、
    前記加工可能な曲率と前記被削面の曲率によって複数の工具の傾き角に対応させて複数の加工領域のデータを生成するステップと、
    を有することを特徴とする数値制御データ生成方法。
  13. 請求項12記載の数値制御データ生成方法において、
    前記加工領域のデータを生成するステップは、前記工具の傾き角が小さい順に対応する加工領域のデータを生成すること
    を特徴とする数値制御データ生成方法。
  14. 請求項12記載の数値制御データ生成方法において、
    前記加工可能な曲率を特定するステップは、工具の種類の情報と、工具の径と、工具傾き角の情報を用いて、切削可能な曲率を特定することを特徴とする数値制御データ生成方法。
  15. 請求項12記載の数値制御データ生成方法において、
    前記加工領域のデータを生成するステップは、加工領域を特定する際に、所定の工具の傾き角を用いると工具の干渉が発生する加工する領域を、前記工具または、前記工具の傾き角を変更して加工する領域のデータを生成すること
    を特徴とする数値制御データ生成方法。
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