JP2014066296A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アキュムレータの保持圧が低い場合でも、S&S制御を適切に実行することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】停止条件が成立した場合に、エンジンを停止しかつクラッチ機構を解放してエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路を遮断するとともに、復帰条件が成立した場合に、エンジンを再始動しかつクラッチ機構を係合して前記動力伝達経路を接続するS&S制御を実行する車両の制御装置において、クラッチ機構に供給する油圧を一時的に増大させるファーストフィルを実行する手段(ステップS15)と、S&S制御によりエンジンを再始動する際に、アキュムレータの保持圧が下限値よりも低い場合には、アキュムレータの作動を禁止するとともに、スタータによるエンジンのクランキングとクラッチ機構に対するファーストフィルとを協調させて実行する協調制御手段(ステップS15)とを設けた。
【選択図】図4

Description

この発明は、燃費の向上や排ガスの低減を目的として、走行中もしくは停車時にエンジンの自動停止および再始動を行うことが可能な車両の制御装置に関するものである。
近年、燃費の向上や排ガスの低減を目的として、車両が停車した場合や走行中に所定の条件が成立した場合に、エンジンを停止するいわゆるストップ・アンド・スタート制御(S&S制御)を実行する車両が開発されている。このS&S制御は、例えば、アクセル開度が「0」になるなどの所定の停止条件が成立することにより、エンジンを停止するとともに、アクセルがONにされるあるいはブレーキがOFFにされるなどの所定の復帰条件が成立することにより、エンジンを再始動するものである。
上記のようなS&S制御に関連する発明の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている発明は、所定の条件を満足したときに自動停止されるエンジンと、そのエンジンによって駆動されるオイルポンプと、出力軸が駆動輪と連結された変速装置と、エンジンと変速装置との間に設けられた発進クラッチと、オイルポンプが発生する油圧を基に変速装置の変速制御および発進クラッチの係合制御を実施する油圧制御装置とを備えたアイドルストップ車、すなわちS&S制御を実行する車両の制御装置である。そして、エンジンの自動停止状態からの再始動時に、発進クラッチを係合開始直前の状態にするための初期圧を供給する初期圧制御、動力伝達機構を動力伝達可能な状態(インギヤ状態)にするインギヤ突入制御、および所定の時間勾配をもって油圧を上昇させる昇圧制御を順に実施することにより、発進クラッチの係合制御を実行するように構成されている。
さらに、この特許文献1に記載されている発明は、上記のようなインギヤ突入制御における油圧を、上記の初期圧よりも高く、かつ昇圧制御の油圧よりも低い油圧に制御するとともに、発進クラッチより駆動輪側にある変速装置を含む駆動系統のがた詰め、すなわちデファレンシャル・ギヤや変速機における歯車間のがたを予め詰めておく動作が完了するまで、インギヤ突入制御を実行するように構成されている。
また、特許文献2には、オイルポンプに油路を介して接続されて油圧制御される前進用クラッチと、オイルポンプにより発生させた油圧を蓄えるアキュムレータと、オイルポンプの停止中にアキュムレータの油圧を保持する電磁開閉弁と、電磁開閉弁の開閉を制御するとともに、エンジンを停止状態から再始動させるか否かを判断する制御部とを備えた車両用駆動装置に関する発明が記載されている。そしてこの特許文献2に記載されている発明は、エンジンを再始動させると判断した場合に、エンジンの再始動前に電磁開閉弁を開き、アキュムレータに蓄圧された油圧を前進用クラッチへ供給するように構成されている。
特開2011−33095号公報 国際公開第2010/073765号
上記のように、特許文献1に記載されている発明では、アイドルストップからの復帰時、すなわちS&S制御におけるエンジンの再始動時に、駆動系統のがた詰めが完了するまでの間、クラッチ油圧が初期圧よりも高く昇圧制御よりも低い油圧に制御される。そして、駆動系のがた詰めを実施する間、発進クラッチの伝達トルクが低い状態から徐々に上昇させられる。そのため、上記の特許文献1に記載されている発明によれば、がた詰め完了時に発生するステップ状の入力トルクを低く抑えることができ、振動を伴う不快なインギヤ突入ショックを軽減できる、とされている。
上記の特許文献1には、発進クラッチ等の動作を制御する油圧制御装置の油圧源として、エンジンにより駆動されるオイルポンプのみが備えられていて、電動のオイルポンプや他の代替のポンプ等は備えられていない構成が記載されている。そのため、特許文献1に記載されている構成では、S&S制御によりエンジンが停止させられた状態から再始動される場合には、エンジン再始動の初期において、不可避的にオイルポンプの油圧の立ち上がりが遅れるので、クラッチを係合させるためのクラッチ油圧も立ち上がりが遅れることになる。
このようなエンジン再始動時における油圧の立ち上がり遅れを解消するために、例えば、上記の特許文献2に記載されている構成では、オイルポンプで発生させた油圧を蓄圧するアキュムレータが設けられている。アキュムレータを用いることにより、エンジンを停止した際の油圧の低下を、アキュムレータが吐出する油圧によって補填することができ、エンジン再始動時における油圧の立ち上がりの遅れを解消することができる。
しかしながら、油圧回路における不可避的な油圧漏れやバルブスティックによる油圧漏れなどのために、アキュムレータの保持圧が低下した場合には、クラッチに対して十分な流量の圧油を供給できなくなってしまう可能性がある。エンジンの再始動時にクラッチへ十分な油圧を供給できなくなると、上記のような駆動系統のがた詰めが適切に行われなくなり、エンジン始動後のクラッチの係合時に、がた打ちによるショックや異音が発生してしまうおそれがある。また、クラッチの係合が遅れることによってトルクコンバータのタービン回転数が吹き上がってしまい、その結果、クラッチの摩擦係合部分における発熱が増大し、ひいてはクラッチの耐久性が低下してしまうおそれがある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、アキュムレータなどの蓄圧装置を用いてS&S制御を実行する際に、蓄圧装置の保持圧が低下していた場合であっても、S&S制御を適切に実行することができる車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、エンジンと駆動輪との間で動力を伝達する自動変速機と、油圧制御されて前記エンジンと前記自動変速機との間の動力伝達経路を選択的に遮断するクラッチ機構と、前記エンジンの出力軸を駆動して前記エンジンをクランキングさせるスタータと、前記出力軸と共に駆動されることにより油圧を発生させて前記クラッチ機構へ供給するオイルポンプと、蓄圧した油圧を前記エンジンの停止時に吐出して前記クラッチ機構へ供給することが可能な蓄圧装置とを備え、所定の停止条件が成立した場合に、前記エンジンを停止し、かつ前記クラッチ機構を解放して前記動力伝達経路を遮断するとともに、所定の復帰条件が成立した場合に、前記エンジンを再始動し、かつ前記クラッチ機構を係合して前記動力伝達経路を接続する前記エンジンの自動停止・再始動制御を実行可能な車両の制御装置において、前記蓄圧装置の保持圧を検出する手段と、前記クラッチ機構を係合させる際に、前記クラッチ機構を係合させるために供給する油圧を一時的に増大させるファーストフィルを実行可能な係合制御手段と、前記自動停止・再始動制御の実行に伴い前記エンジンを再始動する際に、前記保持圧が所定の下限値よりも低い場合には、前記蓄圧装置の作動を禁止するとともに、前記クランキングと前記ファーストフィルとを協調させて実行する協調制御手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記エンジンを再始動する際に、前記クラッチ機構を徐々に係合させるもしくは緩く係合させることにより、駆動系統の歯車伝動部分における互いに噛み合う歯車同士の噛み合い部分の隙間を詰めて、前記噛み合い部分における前記歯車同士の衝突を抑制するがた詰めを実行するがた詰め制御手段を更に備え、前記協調制御手段が、少なくとも前記がた詰めが実行されている間は前記ファーストフィルを継続する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
そして、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記協調制御手段が、前記クランキングと前記ファーストフィルとをそれらの開始時期を同期させて実行する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
請求項1の発明によれば、エンジンの自動停止・再始動制御の実行に伴い、自動停止させられていたエンジンを再始動する際に、エンジンの停止時にオイルポンプに代わって油圧を供給する蓄圧装置の保持圧が低下していた場合は、蓄圧装置の作動が禁止される。すなわち、蓄圧装置は、油圧を吐出することがなく、かつ油圧を蓄圧することもない状態に制御される。そして、スタータでエンジンをクランキングする際にエンジンと共に駆動されるオイルポンプで発生させる油圧が、クラッチ機構に係合圧として供給されるとともに、そのクラッチ機構の係合制御に対してファーストフィルが実行される。さらに、これらスタータによるクランキングと、クラッチ機構の係合制御に対するファーストフィルとが、それぞれの実行のタイミングが合わせられて、すなわち協調されて実行される。そのため、エンジンの自動停止・再始動制御を実行する際に、蓄圧装置の保持圧が低下していて、蓄圧装置から供給される油圧でクラッチ機構を適切に制御できない場合であっても、スタータによるエンジンのクランキングの際にオイルポンプで発生する僅かな油圧を可及的に利用してクラッチ機構の係合制御を実行させることができる。したがって、蓄圧装置の保持圧が低下するフェールが生じた場合であっても、エンジンの自動停止・再始動制御を適切に実行することができる。
また、請求項2の発明によれば、上記のように、蓄圧装置の保持圧が低下していた場合に、スタータによるクランキングとクラッチ機構の係合制御に対するファーストフィルとを協調させて実行する際には、クラッチ機構を緩く係合させることにより実施される駆動系統のがた詰めが終了するまで、クラッチ機構の係合制御に対するファーストフィルが継続される。そのため、エンジンの自動停止・再始動制御を実行するにあたり、蓄圧装置の保持圧が低下するフェールが生じた場合であっても、エンジンの再始動時に駆動系統のがた詰めを適切に実施することができる。その結果、がた打ちによるショックや異音の発生を防止もしくは抑制することができる。
そして、請求項3の発明によれば、上記のように、蓄圧装置の保持圧が低下していた場合に、スタータによるクランキングとクラッチ機構の係合制御に対するファーストフィルとを協調させて実行する際には、スタータによるクランキングの開始時期と、クラッチ機構の係合制御に対するファーストフィルの開始時期とが同期されて、それらクランキングとファーストフィルとが実行される。そのため、蓄圧装置の保持圧が低下するフェールが生じた場合であっても、エンジンの自動停止・再始動制御、あるいはエンジンの再始動時におけるがた打ちショックを防止するための駆動系統のがた詰めを適切に実行することができる。
この発明で制御の対象とする車両の駆動系統および制御系統の一例を示す模式図である。 この発明の制御装置により実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。 図2に示す制御を実行した場合のクラッチ機構、アキュムレータ、スタータ、およびエンジンの作動状態を説明するためのタイムチャートである。 この発明の制御装置により実行される制御の他の例を説明するためのフローチャートである。 図4に示す制御を実行した場合のクラッチ機構、アキュムレータ、スタータ、およびエンジンの作動状態を説明するためのタイムチャートである。
次に、この発明を図面を参照して具体的に説明する。この発明で制御の対象とする車両の駆動系統および制御系統を図1に示してある。この図1に示す車両Veは、エンジン1と、そのエンジン1の出力側に連結されてエンジン1が出力する動力を駆動輪2へ伝達する自動変速機3とを備えている。具体的には、エンジン1の出力軸1a側に、トルクコンバータ4および前後進切替機構5を介して、自動変速機3が設けられている。
エンジン1は、車両Veにおける駆動力源であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなど、燃料を燃焼させて動力を出力する内燃機関である。この図1では、スロットル開度を電気的に制御することが可能な電子制御式のスロットルバルブや、燃料噴射量を電気的に制御することが可能な電子制御式の燃料噴射装置を備えているガソリンエンジンを搭載した例を示している。したがって、このエンジン1は、所定の負荷に対して回転数を電気的に制御することにより、燃費が最も良好な状態で運転することが可能な構成となっている。
また、エンジン1には、停止状態のエンジン1を始動させるためのスタータ6が設けられている。このスタータ6に所定の電圧を印加してスタータ6を起動させることにより、スタータ6のピニオンギヤとフライホイールのリングギヤとが噛み合い、エンジン1の出力軸1aをクランキングするように構成されている。
自動変速機3は、エンジン1が出力するトルクを変速して駆動輪2へ伝達する伝動装置であり、例えば、有段式の自動変速機(AT)、ベルト式やトロイダル式の無段変速機(CVT)、または有段式の手動変速機構をベースにしたデュアルクラッチ式の自動変速機(DCT)や自動クラッチおよび自動シフト式の自動変速機(AMT)などによって構成することができる。そして、この発明における車両Veは、自動変速機3として上記のようないずれの構成の変速機を用いた場合であっても、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路を選択的に接続または遮断するクラッチ機構7を備えている。
この図1に示す例では、自動変速機3はベルト式のCVTであり、したがって、エンジン1から駆動輪2へ伝達するトルクの回転方向を前進方向と後進方向とに切り替えるための前後進切替機構5が設けられている。この前後進切替機構5は、周知の構成のものであって、前進段を設定する際に係合する前進クラッチと後進段を設定する際に係合する後進ブレーキとが備えられている。すなわち、これら前進クラッチおよび後進ブレーキにより、この発明におけるクラッチ機構7が構成されている。そして、そのクラッチ機構7の係合状態および解放状態をそれぞれ制御することにより、上記のような前進段ならびに後進段、およびニュートラルの状態をそれぞれ選択的に設定するように構成されている。したがって、クラッチ機構7を解放状態にする(すなわち前進クラッチおよび後進ブレーキを共に解放状態にする)ことにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達を遮断したニュートラルの状態を設定することができる構成となっている。
また、上記のクラッチ機構7は、エンジン1によって駆動されるオイルポンプ8を油圧源とする油圧制御装置(図示せず)に接続されている。そしてエンジン1が運転されている通常時には、その油圧制御装置によって前進クラッチおよび後進ブレーキの係合・解放状態がそれぞれ制御されるようになっている。
なお、自動変速機3として有段式のATを用いる場合、例えば一般的なATは、複数のプラネタリーギヤと、前進段を設定する際に係合される前進クラッチと、後進段を設定する際に係合される後進ブレーキとを備えている。なお、特定の前進段を設定する際に係合されるクラッチもしくはブレーキを備えている場合もある。そして、これらの前進クラッチおよび後進ブレーキを全て解放した場合に、自動変速機3におけるニュートラル状態が設定されるように構成されている。すなわち、前進クラッチおよび後進ブレーキを全て解放することにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路を遮断することができる。したがって、この場合は、上記の前進クラッチおよび後進ブレーキ等により、この発明におけるクラッチ機構を構成することができる。
また、自動変速機3としてDCTを用いる場合は、そのDCTに備えられている2つのクラッチを共に解放することにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路が遮断される。すなわち、自動変速機3においてニュートラル状態が設定される。したがって、この場合は、上記の2つのクラッチにより、この発明におけるクラッチ機構を構成することができる。
また、自動変速機3としてAMTを用いる場合は、従来の手動変速機と同様のエンジン1と手動変速機構との間に設けられているクラッチを解放することにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路が遮断される。すなわち、自動変速機3においてニュートラル状態が設定される。したがって、この場合は、上記のクラッチにより、この発明におけるクラッチ機構を構成することができる。
この発明における車両Veは、例えば車両が停車した場合や走行中にアクセルペダルの踏み込みが全て戻されるなどの所定の条件が成立した場合に、エンジン1の運転を停止し、例えばブレーキペダルの踏み込みが戻された場合やアクセルペダルが再び踏み込まれた場合に、エンジン1を再始動する、いわゆるS&S制御を実行可能な構成となっている。
そのようなS&S制御が実行される場合は、例えば信号待ちのための停車時や減速走行中に、エンジン1の運転が自動停止させられる。エンジン1が停止する際には、出力トルクの変動が大きくなり、そのトルク変動に起因したショックや振動が駆動系へ伝搬されてしまうおそれがある。そのため、S&S制御によりエンジン1が自動停止させられる場合には、クラッチ機構7が解放されて、エンジン停止時のショックや振動が駆動系へ伝搬されてしまうことを防止するようになっている。また、エンジン1の自動停止後に、そのエンジン1を再始動する際にも、出力トルクの変動が大きくなるので、エンジン停止時に解放されたクラッチ機構7は、エンジン1の再始動が完了した後に、再び係合されるようになっている。
さらに、S&S制御によりエンジン1が自動停止させられることによって、そのエンジン1によって駆動されるオイルポンプ8も停止する。すなわち、上述したような油圧制御装置の油圧源が喪失する。そのため、この発明における車両Veには、エンジン1が停止して油圧制御装置の油圧源が喪失する場合であっても、クラッチ機構7へ供給する油圧を確保し、クラッチ機構7を適切に作動させることを可能にするため、アキュムレータ9が設けられている。このアキュムレータ9は、エンジン1が運転されていてオイルポンプ8が駆動されている際に油圧を蓄圧し、エンジン1の運転が停止させられてオイルポンプ8が停止した際に、必要に応じて油圧を供給する蓄圧装置である。
アキュムレータ9には、アキュムレータ作動用のソレノイドバルブ10が設けられていて、そのソレノイドバルブ10の吐出ポートが、クラッチ制御用のリニアソレノイドバルブ11を介してクラッチ機構7に接続されている。したがって、エンジン1が停止させられてオイルポンプ8が停止している場合であっても、上記のソレノイドバルブ10およびリニアソレノイドバルブ11の開閉状態をそれぞれ制御することにより、クラッチ機構7へ供給する油圧を制御してクラッチ機構7の係合・解放状態を制御することが可能な構成になっている。
そして、自動変速機3の出力側に、所定の伝動機構12およびデファレンシャルギヤ13を介して、駆動輪2が動力伝達可能に連結されている。なお、上記のように図1では、車両Veがエンジン横置きの前輪駆動車である例を示しているが、この発明で制御の対象とする車両Veは、プロペラシャフトを介してエンジン1と後輪すなわち駆動輪2とが連結された後輪駆動車であってもよく、あるいは四輪駆動車であってもよい。
上記で説明したようなエンジン1の運転状態やクラッチ機構7の係合および解放の状態を制御するための電子制御装置(ECU)14が設けられている。このECU14は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータや予め記憶しているデータに基づいて演算を行って制御指令信号を出力するように構成されている。具体的には、このECU14には、アクセルペダルの踏み込み角もしくは踏み込み量を検出するアクセルセンサ(アクセルスイッチ)15、ブレーキペダルの踏み込み角もしくは踏み込み量を検出するブレーキセンサ(ブレーキスイッチ)16、エンジン1の出力軸1aの回転速度を検出するエンジン回転数センサ17、アキュムレータ9内に蓄圧されている油圧(すなわち保持圧)を検出する油圧センサ18、アキュムレータ9内で保持されているオイルの温度を検出する油温センサ19などの各種センサからの検出信号が入力されるようになっている。これに対して、ECU14からは、エンジン1の運転状態を制御する信号、クラッチ機構7の係合および解放の状態を制御する信号、スタータ6の作動状態を制御する信号、アキュムレータ9の油圧の蓄圧状態および吐出状態を制御する信号などが出力されるように構成されている。
上記のような構成により、この発明における車両Veは、いわゆるS&S制御を実行することが可能になっている。前述したように、S&S制御は、燃費の向上や排ガスの低減のために、例えば、ブレーキONで停車している場合や減速走行中にアクセル開度が「0」になった場合などのように、所定の停止条件が成立した場合に、エンジン1を自動停止するとともに、その後ブレーキOFFになった場合やアクセルONになった場合などのように、所定の復帰条件が成立した場合に、エンジン1を再始動する制御である。このようなS&S制御の基本的な制御内容は公知であり、その実行条件や復帰条件等に関しては、例えば前述の特許文献1や特許文献2等にも記載されているため、ここでは詳しい説明は省略する。
S&S制御においてエンジン1を再始動する場合は、車両Veの駆動系統のギヤの噛み合い部分において、がた打ちによるショックが発生する可能性がある。例えば、デファレンシャルギヤ12では、ギヤの噛み合い部分における隙間(がた)が大きく、エンジン1が再始動されてそのトルクが伝達される際に、がたの部分におけるギヤ同士の衝突によって、ショックや異音が発生する、すなわちいわゆるがた打ちが発生する可能性がある。そのため、この発明では、S&S制御の実行中にエンジン1を再始動する場合には、上記のようながた打ちショックを防止するために、クラッチ機構7を予備的に係合させて、予めがたの部分を詰めておくいわゆるがた詰め制御を実行するように構成されている。このがた詰め制御も、前述の特許文献1に記載されているように公知であるが、この発明における車両Veは上記のようにアキュムレータ9を備えていて、それによりこの発明におけるがた詰め制御では、クラッチ機構7の係合制御とアキュムレータ9による油圧制御とを協調させて制御するように構成されている。
その制御の一例を図2のフローチャートに示してある。このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図2のフローチャートにおいて、先ず、S&S制御が実行中であるか否かが判断される(ステップS1)。S&S制御が実行中でないことにより、このステップS1で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
一方、S&S制御が実行中であることにより、ステップS1で肯定的に判断された場合には、ステップS2へ進む。そして、エンジン1の再始動要求があるか否かが判断される。未だエンジン1の再始動要求がないことにより、このステップS2で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
一方、エンジン1の再始動要求があったことにより、ステップS2で肯定的に判断された場合には、ステップS3へ進む。そして、スタータ6が飛び込み可能であるか否かが判断される。これは、スタータ6によってエンジン1をクランキングして始動させることが可能であるか否かを判断するものであり、例えば、エンジン1の回転数もしくはエンジン1とスタータ6のセルモータとの差回転に基づいて判断することができる。具体的には、エンジン回転数が判断閾値として定めた所定回転数以下の場合に、スタータ6によるエンジン1の始動が可能であると判断される。あるいは、エンジン1とスタータ6のセルモータとの差回転が判断閾値として定めた所定値以下の場合に、スタータ6によるエンジン1の始動が可能であると判断される。
スタータ6の飛び込みが不可能である、すなわちスタータ6によるエンジン1の始動が不可能であることにより、このステップS3で否定的に判断された場合は、再度このステップS3の制御が実行される。すなわち、例えばエンジン回転数が所定回転数以下に低下することにより、スタータ6によるエンジン1の始動が可能になるまで、このステップS3の制御が繰り返される。
そして、スタータ6の飛び込みが可能である、すなわちスタータ6によるエンジン1の始動が可能になったことにより、ステップS3で肯定的に判断された場合には、ステップS4へ進み、スタータ6が起動させられてエンジン1のクランキングが開始される、すなわちエンジン1の出力軸1aが回転させられる。そして、それとともに、がた詰め制御が開始される。このがた詰め制御は、前述したように、がた打ちショックを防止するためにクラッチ機構7を予備的に係合させておく制御、すなわち、クラッチ機構7を徐々に係合させるもしくは緩く係合させる制御である。具体的には、クラッチ機構7が、完全係合ではないものの、半係合もしくはスリップ係合状態にされて、わずかにトルク伝達が可能な状態にされる。この場合、クラッチ機構7を完全係合させるわけではないため、クラッチ機構7を係合させるための油圧は、通常時にクラッチ機構7を完全係合させるために必要な油圧よりも低くともよい。したがって、この段階では、エンジン1がスタータ6によってクランキングされる際に、エンジン1の出力軸1aと共に駆動されるオイルポンプ8で発生させる程度の低い油圧で、このがた詰め制御におけるクラッチ機構7の係合制御を実行することができる。
上記のように、がた詰め制御によってクラッチ機構7が予備的に緩く係合されることにより、デファレンシャルギヤ13などの伝動機構におけるギヤの噛み合い部分に存在していた隙間(がた)が、トルクの伝達方向に詰められる。そのため、この後のエンジン1の始動時に、クラッチ機構7が完全係合状態にされてエンジン1からのトルクが駆動系へ伝達される状態になった際に、がた打ちによるショックや異音の発生を防止することができる。
上記のステップS4でがた詰め制御が開始されると、アキュムレータ9の作動要求があるか否かが判断される(ステップS5)。このステップS5における制御は、この発明のがた詰め制御において、がた詰めを実施するためのクラッチ機構7の予備的な係合と、クラッチ機構7を完全係合させる際の迅速な油圧応答性を確保するためのアキュムレータ9の作動とを協調制御するためのものである。したがって、このステップS5の制御では、クラッチ機構7の係合タイミングと、アキュムレータ9による油圧の吐出タイミングとが適宜に合わせられる。例えば、クラッチ機構7の予備的な係合の開始時点から所定の時間が経過した時点で、アキュムレータ9の作動要求信号が出力され、アキュムレータ9から油圧が出力されるように構成されている。あるいは、クラッチ機構7の係合圧が所定の油圧以上になった時点で、アキュムレータ9から油圧が出力されるように構成することもできる。
上記のように、例えば未だ所定時間が経過していないため、あるいはクラッチ機構7の係合圧が未だ所定油圧に達していないために、未だアキュムレータ9の作動要求がないことにより、このステップS5で否定的に判断された場合は、再度このステップS5の制御が実行される。すなわち、例えば所定時間が経過したことにより、あるいはクラッチ機構7の係合圧が所定油圧に達したことにより、アキュムレータ9の作動要求信号が出力されるまで、このステップS5の制御が繰り返される。
これに対して、アキュムレータ9の作動要求信号が出力されたことにより、ステップS5で肯定的に判断された場合には、ステップS6へ進む。そして、クラッチ機構7の完全係合制御が開始されるとともに、そのクラッチ機構7を応答性良く係合させるためのファーストフィル制御が実行される。具体的には、アキュムレータ9から吐出される油圧により、クラッチ機構7に対して一時的に通常の係合圧よりも高い油圧が供給される。そうすることにより、クラッチ機構7を係合させるための油圧が迅速に供給され、その結果、クラッチ機構7を応答性良く速やかに係合させることができる。そして、このファーストフィル制御によりクラッチ機構7が応答性良く完全係合されると、クラッチ機構7に対する係合圧が、通常の油圧に戻されてその油圧レベルで維持される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
上記のように図2のフローチャートで示した制御を実行した場合の各制御指令のタイミングを、図3のタイムチャートに示してある。S&S制御の実行中に、すなわちS&S制御によるエンジン1の自動停止中に、所定の復帰条件が成立したことにより時刻t1でエンジン1の始動要求信号が出力されると、続いて、スタータ6の起動信号が出力され、エンジン1がクランキングされる。また、スタータ6の起動信号の出力に続いて、クラッチ機構7の係合圧が、がた詰め制御のための指示圧p1に設定される。すなわち、がた詰め制御が開始されて、クラッチ機構7が予備的にわずかに係合させられる。この指示圧p1は、クラッチ機構7を完全には係合させずに、半係合もしくはスリップ係合させるための油圧であり、後述のクラッチ機構7を完全係合させるための指示圧p2よりも低い所定の油圧に設定されている。
上記のようにがた詰め制御が開始されると、その開始時刻t2から所定時間経過した時刻t3までの間、がた詰め制御が継続して実行される。ここでの所定時間は、クラッチ機構7を予備的に係合させて駆動系のがたを詰めるのに適当な時間として予め設定されている。そして、がた詰め制御が開始されてから所定時間が経過した時刻t3で、アキュムレータ9の作動要求信号が出力されてアキュムレータ9から油圧が吐出される。それとともに、クラッチ機構7の係合圧が指示圧p3に設定され、クラッチ機構7の係合が開始される。具体的には、アキュムレータ作動用のソレノイドバルブ10が開かれてアキュムレータ9から油圧が供給されるとともに、そのアキュムレータ9から吐出される油圧が、クラッチ制御用のリニアソレノイドバルブ11によって指示圧p3に制御され、係合圧としてクラッチ機構7へ供給される。ここで指示圧p3は、クラッチ機構7を係合する際の応答性を高めて、クラッチ機構7を速やかに係合させるファーストフィル制御を実行するための油圧であり、一時的に、通常時にクラッチ機構を完全係合させる際の指示圧p2よりも高い値に設定される。
上記のファーストフィル制御によりクラッチ機構7が完全係合させられると、クラッチ機構7の係合圧が指示圧p2に設定され、その指示圧p2による完全係合状態が維持される。すなわち、上記の一連のS&S制御が完了する。なお、エンジン1は、上記のようながた詰め制御が実行された後、クラッチ機構7のファーストフィル制御が開始されるまでの間に、すなわち時刻t1から時刻t3の期間に、完爆状態になって自律運転する状態となるように制御される。
このように、この発明のS&S制御では、クラッチ機構7の係合制御とアキュムレータ9による油圧制御との協調制御、および、クラッチ機構7のファーストフィル制御が適宜実行されることにより、がた詰め制御を精度良く、適切なタイミングで実行することができる。そのため、S&S制御におけるエンジン1の再始動時に、駆動系でのがた打ちによるショックや異音の発生を防止もしくは抑制することができる。また、クラッチ機構7が適切なタイミングで、かつ迅速に係合制御されることにより、トルクコンバータ4のタービン回転数が吹き上がってしまうような事態を防止して、クラッチ機構7における係合時の発熱を抑制することができる。さらに、アキュムレータ9による油圧の供給も適切なタイミングで実行されることにより、アキュムレータ9で保持されている油圧を無駄なく、効率良く使用することができる。
上記のように、この発明では、クラッチ機構7の係合制御とアキュムレータ9による油圧制御とを協調させて実行することにより、エンジン1の再始動時のがた打ちショックを防止するためのがた詰め制御を適切に実行することができる。また、アキュムレータ9を有効にかつ適切なタイミングで作動させることにより、アキュムレータ9で保持されている油圧を有効に活用することができる。その一方で、例えば、アキュムレータ制御用のソレノイドバルブ10におけるバルブスティックや異物かみ、あるいは油圧回路における不可避的な油圧漏れなどにより、S&S制御の実行時にアキュムレータ9の保持圧が低下してしまうことが想定される。そのような場合には、上記のようながた詰め制御やクラッチ機構7の係合制御におけるファーストフィル制御を適切に実行することができなくなってしまう可能性がある。そこで、この発明では、S&S制御の実行時にアキュムレータ9の保持圧が低下していた場合であっても、上記のようながた詰め制御やクラッチ機構7の係合制御を含んだS&S制御を適切に実行することができるように構成されている。
その制御の一例を図4のフローチャートに示してある。この図4のフローチャートにおける初めのステップS11,S12,S13の制御内容は、それぞれ、前述の図2のフローチャートにおけるステップS1,S2,S3の制御内容と同じである。したがって、この図4のフローチャートで示す制御例において、ステップS11,S12,S13の制御が、前述の図2のフローチャートにおけるステップS1,S2,S3と同様に実行され、そして、スタータ6の飛び込みが可能になったこと、すなわちスタータ6によるエンジン1の始動が可能になったことにより、ステップS13で肯定的に判断された場合には、ステップS14へ進む。そして、アキュムレータ9でがた詰め制御を実行するための十分な油圧が保持されているか否かが判断される。
前述したように、S&S制御の実行時にアキュムレータ9の保持圧が低下していた場合には、アキュムレータ9が吐出する油圧を利用したがた詰め制御や、クラッチ機構7の係合制御におけるファーストフィル制御を、適切に実行することができなくなるおそれがある。そのため、この発明では、アキュムレータ9の保持圧が、がた詰め制御を実行するためには不十分な油圧レベルであると判断した場合には、アキュムレータ9を作動させずに、がた詰め制御を実行するように構成されている。
アキュムレータ9の保持圧が十分であるか否かの判断は、例えば、アキュムレータ9の保持圧が、閾値として設定した下限値αに満たない場合に、そのアキュムレータ9の保持圧が、がた詰め制御を実行するためには不十分な油圧レベルであると判断することができる。なお、上記のようにアキュムレータ9の保持圧のレベルを判断するための下限値αは、実験やシミュレーション等の結果を基に予め設定した一定値であってもよいが、油温に応じて変化する変数であってもよい。例えば、所定の油温レベル毎に下限値αを設定したマップを持たせておき、S&S制御の実行時に、アキュムレータ9内の油温を考慮し、そのマップからアキュムレータ9の保持圧のレベルを判断するようにしてもよい。そのように、油温を考慮して下限値αを適宜に設定することにより、上記のようなアキュムレータ9の保持圧レベルに対する判断をより精度良く行うことができる。
したがって、アキュムレータ9の保持圧ががた詰め制御を実行するために十分な油圧レベルであることにより、このステップS14で肯定的に判断された場合は、前述の図2のフローチャートにおけるステップS4,S5,S6と同様の制御、すなわち、前述の制御例で説明したように、アキュムレータ9が吐出する油圧を利用したがた詰め制御およびクラッチ機構7の係合制御におけるファーストフィル制御がそれぞれ実行される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、アキュムレータ9の保持圧が低下していて、がた詰め制御を実行するには不十分な油圧レベルであることにより、ステップS14で否定的に判断された場合には、ステップS15へ進む。そして、アキュムレータ9の保持圧不足時における対応制御が実行される。具体的には、先ず、アキュムレータ9の作動が禁止される。すなわち、このS&S制御の実行に際して、アキュムレータ制御用のソレノイドバルブ9は閉じた状態に制御される。そのため、アキュムレータ9からは油圧は供給されることがなく、またアキュムレータ9に油圧が蓄圧されることもない状態になる。そして、スタータ6が起動させられてエンジン1のクランキングが開始されるとともに、クラッチ機構7の係合制御におけるファーストフィル制御が直ちに実行される。すなわち、前述の通常時(すなわちアキュムレータ9の保持圧が十分である場合)と比較して、クラッチ機構7に対するファーストフィル制御の開始タイミングが早められて、クラッチ機構7の係合制御が実行される。さらに、クラッチ機構7に対するファーストフィル制御の実行時間は、前記述の通常時と比較して、より長い間実行されるようになっている。これは、クラッチ機構7へ供給される油圧が低く、通常時と比較してがた詰め制御を実行する際のクラッチ機構7の係合圧が低い場合であっても、可及的に適切にがた詰め制御を実行できるようにするためである。したがって、このステップS15において実行されるファーストフィル制御は、少なくともがた詰め制御により所望するがた詰めが実行されている間、継続されるように実行時間が設定されている。
前述したように、S&S制御が実行されてエンジン1が自動停止させられた状態では、オイルポンプ8の駆動も停止している。そのため、油圧制御のための油圧が低下する。したがって、従来の制御内容では、クラッチ機構7を係合させるための油圧が低く、もしくは油圧が不足して、クラッチ機構7の係合制御を適切に実行できない場合がある。それに対して、この発明では、上記のようにスタータ6によるエンジン1のクランキングとともに、アキュムレータ9から供給される油圧を利用したクラッチ機構7に対するファーストフィル制御が、互いに、タイミングを合わせて実行される。
エンジン1の始動が未だ完了していない状態であっても、スタータ6によってエンジン1がクランキングされている状態では、スタータ6の駆動力によりオイルポンプ8も駆動することができる。そのため、エンジン1の始動後の通常の油圧レベルには満たないものの、ある程度のレベルの油圧をオイルポンプ8で発生させることができる。そして、その低いレベルの油圧であっても、上記のようにクラッチ機構7に対するファーストフィル制御の開始タイミングが早められ、かつそのファーストフィル制御の実行時間が延長されることにより、スタータ6によって駆動されるオイルポンプ8によって発生させられる油圧を可及的に確保して、クラッチ機構7の係合制御に利用することができる。そのため、エンジン1の始動が完了する前の低い油圧であっても、S&S制御におけるがた詰め制御およびクラッチ機構の係合制御を、可及的に当初の目標通りに実行することができる。
ステップS15で、上記のようにアキュムレータ9の保持圧不足時における対応制御が実行されると、その後、このルーチンを一旦終了する。
上記のように図4のフローチャートで示した制御を実行した場合の各制御指令のタイミングを、図5のタイムチャートに示してある。この場合は、通常のがた詰め制御を実行するにはアキュムレータ9の保持圧が不足している状態である。S&S制御の実行中に、すなわちS&S制御によるエンジン1の自動停止中に、所定の復帰条件が成立したことにより時刻t11でエンジン1の始動要求信号が出力されると、続いて、時刻t12でスタータ6の起動信号が出力され、エンジン1がクランキングされる。そしてここでは、スタータ6の起動開始のタイミングと合わせて、クラッチ機構7の係合圧が、ファーストフィル制御を実行するための指示圧p4に設定される。すなわち、スタータ6の起動開始のタイミングと合わせて、クラッチ機構7に対するファーストフィル制御が直ちに実行される。
そして、時刻t12もしくは時刻t12の前後で、スタータ6の起動開始のタイミングと合わせて開始されたファーストフィル制御は、前述の図2,図3に示したような通常のファーストフィル制御の実行時間よりも長い時刻t13までの所定時間の間実行される。ここでの所定時間、すなわち、この場合のファーストフィル制御の実行時間は、少なくともこのファーストフィル制御を実行してクラッチ機構7を係合させることにより実行されるがた詰め制御の実行時間を含むように設定されている。すなわち、少なくともがた詰めが実行されている間は、このファーストフィル制御が継続されるように、上記の所定時間が設定されるようになっている。
そしてその後、クラッチ機構7の係合圧が指示圧p2に設定され、その指示圧p2による完全係合状態が維持される。すなわち、上記の一連のS&S制御が完了する。なお、この場合、エンジン1は、時刻t11でスタータ6によるクランキングが開始され、またクラッチ機構7に対するファーストフィル制御が実行された後から、クラッチ機構7が完全係合状態になる以前の間に、完爆状態になって自律運転する状態となるように制御される。
以上のように、この発明に係る車両の制御装置によれば、S&S制御における、クラッチ機構7の係合制御とアキュムレータ9による油圧制御との協調制御、クラッチ機構7のファーストフィル制御、および、駆動系統のがた詰め制御を、それぞれ、精度良く適切なタイミングで実行することができる。そのため、S&S制御におけるエンジン1の再始動時に、駆動系のがた打ちショックや異音の発生を防止もしくは抑制することができる。また、クラッチ機構7が適切なタイミングで、かつ迅速に係合制御されることにより、トルクコンバータ4のタービン回転数が吹き上がってしまうような事態を防止して、クラッチ機構7における係合時の発熱を抑制することができる。さらに、アキュムレータ9による油圧の供給も適切なタイミングで実行されることにより、アキュムレータ9で保持されている油圧を無駄なく、効率良く使用することができる。
そして、特に、この発明では、S&S制御の実行に伴い、自動停止させられていたエンジン1を再始動する際に、エンジン1の停止時にオイルポンプ8に代わって油圧を供給するアキュムレータ9の保持圧が低下していた場合には、アキュムレータ9の作動が禁止される。すなわち、アキュムレータ9は、油圧を吐出することがなく、かつ油圧を蓄圧することもない状態に制御される。そして、スタータ6でエンジン1をクランキングする際にエンジン1の出力軸1aと共に駆動されるオイルポンプ8で発生させる油圧が、クラッチ機構7に係合圧として供給されるとともに、そのクラッチ機構7の係合制御に対してファーストフィル制御が実行される。
さらに、上記のようなスタータ6によるクランキングと、クラッチ機構7に対するファーストフィル制御とが、それぞれの実行のタイミングが合わせられて、すなわち協調されて実行される。例えば、スタータ6によるクランキングの開始時期と、クラッチ機構7に対するファーストフィル制御の開始時期とが同期されて、それらクランキングとファーストフィル制御とが実行される。また、クラッチ機構7に対するファーストフィル制御は、そのクラッチ機構を緩く係合させることにより実施される駆動系統のがた詰め制御の実施状況と考慮して、ファーストフィルの実行時間が設定され実行される。
そのため、この発明によれば、S&S制御を実行する際に、アキュムレータ9の保持圧が低下していて、アキュムレータ9から供給される油圧でクラッチ機構9を適切に制御できない場合であっても、スタータ6によるエンジン1のクランキングの際にオイルポンプ8で発生する少ない油圧を可及的に有効に利用して、クラッチ機構7の係合制御を実行させることができる。したがって、アキュムレータ9の保持圧が低下してしまうフェールが生じた場合であっても、S&S制御を可及的に通常通りに実行することができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、ステップS6,S15を実行する機能的手段が、この発明における「係合制御手段」に相当する。そして、ステップS15を実行する機能的手段が、この発明における「協調制御手段」に相当する。また、ステップS4,S15を実行する機能的手段が、この発明における「がた詰め制御手段」に相当する。
1…エンジン、 2…駆動輪、 3…自動変速機、 6…スタータ、 7…クラッチ機構、 8…オイルポンプ、 9…アキュムレータ(蓄圧装置)、 10…アキュムレータ制御用ソレノイドバルブ、 11…クラッチ制御用リニアソレノイドバルブ、 12…伝動機構、 13…デファレンシャルギヤ、 14…電子制御装置(ECU)、 15…アクセルセンサ(アクセルスイッチ)、 16…ブレーキセンサ(ブレーキスイッチ)、 17…エンジン回転数センサ、 18…油圧センサ、 19…油温センサ、 Ve…車両。

Claims (3)

  1. エンジンと駆動輪との間で動力を伝達する自動変速機と、油圧制御されて前記エンジンと前記自動変速機との間の動力伝達経路を選択的に遮断するクラッチ機構と、前記エンジンの出力軸を駆動して前記エンジンをクランキングさせるスタータと、前記出力軸と共に駆動されることにより油圧を発生させて前記クラッチ機構へ供給するオイルポンプと、蓄圧した油圧を前記エンジンの停止時に吐出して前記クラッチ機構へ供給することが可能な蓄圧装置とを備え、所定の停止条件が成立した場合に、前記エンジンを停止し、かつ前記クラッチ機構を解放して前記動力伝達経路を遮断するとともに、所定の復帰条件が成立した場合に、前記エンジンを再始動し、かつ前記クラッチ機構を係合して前記動力伝達経路を接続する前記エンジンの自動停止・再始動制御を実行可能な車両の制御装置において、
    前記蓄圧装置の保持圧を検出する手段と、
    前記クラッチ機構を係合させる際に、前記クラッチ機構を係合させるために供給する油圧を一時的に増大させるファーストフィルを実行可能な係合制御手段と、
    前記自動停止・再始動制御の実行に伴い前記エンジンを再始動する際に、前記保持圧が所定の下限値よりも低い場合には、前記蓄圧装置の作動を禁止するとともに、前記クランキングと前記ファーストフィルとを協調させて実行する協調制御手段と
    を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記エンジンを再始動する際に、前記クラッチ機構を徐々に係合させるもしくは緩く係合させることにより、駆動系統の歯車伝動部分における互いに噛み合う歯車同士の噛み合い部分の隙間を詰めて、前記噛み合い部分における前記歯車同士の衝突を抑制するがた詰めを実行するがた詰め制御手段を更に備え、
    前記協調制御手段は、少なくとも前記がた詰めが実行されている間は前記ファーストフィルを継続する手段を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記協調制御手段は、前記クランキングと前記ファーストフィルとをそれらの開始時期を同期させて実行する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
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