JP2014066078A - 建築複合材およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現する建築複合材を提供する。
【解決手段】無機系材料を含有するレベリング層106と、そのレベリング層106の上に積層されている水性アクリル樹脂を含有するシーラー層108と、そのシーラー層108の上に積層されている水性ウレタン樹脂を含有する中塗層110と、その中塗層110の上に積層されているシロキサン樹脂を含有するコート層112と、を備える、建築複合材100。
【選択図】図1
【解決手段】無機系材料を含有するレベリング層106と、そのレベリング層106の上に積層されている水性アクリル樹脂を含有するシーラー層108と、そのシーラー層108の上に積層されている水性ウレタン樹脂を含有する中塗層110と、その中塗層110の上に積層されているシロキサン樹脂を含有するコート層112と、を備える、建築複合材100。
【選択図】図1
Description
本発明は、建築複合材およびその施工方法に関する。
従来から建築現場では、内装工事などの際に床の施工などに用いるセルフレベリング材として、マグネシアセメントなどの無機系材料を含有するセルフレベリング材が用いられている(特許文献1)。
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、マグネシアセメントなどの無機系材料を含有するセルフレべリング材の打設のみでは、(1)硬化後に粉を噴く(水酸化マグネシウムが表面に形成される)、(2)白色であるが故に汚れが目立ち、しかも洗浄できない、などの問題があった。
第二に、マグネシアセメントなどの無機系材料を含有するセルフレベリング材に従来用いられていたコーティング材のうち、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れているという性能をバランスよく実現できるものは知られていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、マグネシアセメントなどの無機系材料を含有するセルフレベリング材の上にコーティングを行なって、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れているという性能をバランスよく実現することを目的とする。
本発明によれば、マグネシアセメントなどの無機系材料を含有するレベリング層と、そのレベリング層の上に積層されている水性アクリル樹脂を含有するシーラー層と、そのシーラー層の上に積層されている水性ウレタン樹脂を含有する中塗層と、その中塗層の上に積層されているシロキサン樹脂を含有するコート層と、を備える、建築複合材が提供される。
この構成によれば、後述する実施例に示すように、マグネシアセメントなどの無機系材料を含有するセルフレベリング材の上にコーティングを行なって、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現することができる。
また、本発明によれば、施工面の上にマグネシアセメントまたはポルトランドセメントを含有するレベリング材を塗布した後に硬化させてレベリング層を形成する工程と、そのレベリング層の上にアクリルアミンと、一液型アクリルエマルション型塗料を含むシーリング材を塗布した後に硬化させてシーラー層を形成する工程と、そのシーラー層の上に二液型ウレタンエマルション型塗料を含む中塗材を塗布した後に硬化させて中塗層を形成する工程と、その中塗層の上に金属酸化物コロイドゾルと、アルコキシシラン加水分解縮合物と、(メタ)アクリレート類と、を含む主剤と、硬化触媒またはシランカップリング剤を含む硬化剤と、を混合して得られるコーティング材を塗布した後に硬化させてコート層を形成する工程と、を含む、施工方法が提供される。
この方法によれば、後述する実施例に示すように、マグネシアセメントまたはポルトランドセメントを含有するレベリング材を含有するセルフレベリング材の上にコーティングを行なって、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現することができる。
本発明によれば、マグネシアセメントまたはポルトランドセメントを含有するレベリング材を含有するセルフレベリング材の上にコーティングを行なって、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、明細書中において、ある層(施工面)の「上に」別の層が設けられていると表現した場合には、直接的に接触する形で設けられている形態に限定する趣旨ではない。すなわち、それらの2つの層の間に別の層がさらに設けられている形態を排除しない。
図1は、実施形態に係る建築複合材の構成を示した断面図である。本実施形態の建築複合材100は、家屋、店舗、工場などの内装材(特に床材)として好適に用いられる。また、この建築複合材100は、家屋、店舗、工場などの床面114の上に接着層102およびプライマー層104を順に積層して下地処理を行った上で施工されるのに適している。この場合、この建築複合材100の施工される施工面は、プライマー層104の表面ということになる。もっとも、この下地処理は必須ではなく、この建築複合材100は、家屋、店舗、工場などの床面114の上に直接施工されてもよい。この場合、この建築複合材100の施工される施工面は、床面114の表面ということになる。
この建築複合材100は、マグネシアセメントを含有するレベリング材を硬化して得られるレベリング層106を備える。そして、そのレベリング層106の上には水性アクリル樹脂を含有するシーラー層108が積層されている。また、そのシーラー層108の上には水性ウレタン樹脂を含有する中塗層110が積層されている。さらに、その中塗層110の上にはシロキサン樹脂を含有するコート層112が積層されている。
この建築複合材100は、このような構成を有するため、後述する実施例に示すように、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現することができる。また、この建築複合材100は、タイル貼りの代わりに、マグネシアセメントを含有するレベリング層106を設けているため、タイル同士の間の目地に汚れがたまることもなく、外観および洗浄容易性に優れている。
以下、本実施形態の建築複合材100の各要素ごとに詳細に説明する。
(1)レベリング層
本実施形態で用いるレベリング層106は、マグネシアセメントを含有するレベリング材を硬化して得られる。このマグネシアセメントに関しては、1853年にソーレル(sorel)が塩化亜鉛に亜鉛華を混合すると非常に硬いセメントができることを発見し、その後、研究が進められて、塩化マグネシウムと酸化マグネシウム(マグネシア)を混合するとマグネシウムオキシクロライドと称する針状の結晶体が生成され、非常に強度の高い硬化体になることが分かり、これがマグネシアセメントの始まりとされている。
本実施形態で用いるレベリング層106は、マグネシアセメントを含有するレベリング材を硬化して得られる。このマグネシアセメントに関しては、1853年にソーレル(sorel)が塩化亜鉛に亜鉛華を混合すると非常に硬いセメントができることを発見し、その後、研究が進められて、塩化マグネシウムと酸化マグネシウム(マグネシア)を混合するとマグネシウムオキシクロライドと称する針状の結晶体が生成され、非常に強度の高い硬化体になることが分かり、これがマグネシアセメントの始まりとされている。
なお、この硬化反応は、主として
5MgO+MgCl2・6H2O+7H2O→5MgO・MgCl2・13H2O
3MgO+MgCl2・6H2O+5H2O→3MgO・MgCl2・11H2O
酸化マグネシウム+塩化マグネシウム+水→マグネシウムオキシクロライド
で表される反応によるとされている。
5MgO+MgCl2・6H2O+7H2O→5MgO・MgCl2・13H2O
3MgO+MgCl2・6H2O+5H2O→3MgO・MgCl2・11H2O
酸化マグネシウム+塩化マグネシウム+水→マグネシウムオキシクロライド
で表される反応によるとされている。
マグネシアセメントの硬化体は、非常に硬度が高く、耐火・防火性能に優れ、きれいな白色であることから仕上がり色の美しいことが特徴としてあげられている。また、着色することにより、発色が綺麗に現れることも知られている。
日本では、大正時代から昭和初期にかけて数多くの著名な建築物(例えば、同潤会アパート、渋沢永一・青淵文庫など)の外装及び内装材として使用され、これらの建築物の中には、現在でも文化財として保護されているものがある。これらの歴史的な建造物の調査から、マグネシアセメントの硬化体は70〜80年経過しても健全であり、長期間の耐久性があるものと考えられている。
今日、ヨーロッパでは、高強度床材、海岸地域の防波堤のコンクリート(無鉄筋)、人工大理石など、多くの用途でマグネシアセメントが利用されているが、日本国内では、酸化マグネシウム(マグネシア)の原料(主として炭酸マグネシウム)が産出されないことから、セメント系や石膏系・漆喰などに仕上げ材としての立場を追われ、一部の用途(耐火煉瓦など)を除いて、あまり利用されなくなっている。
本実施形態では、マグネシアセメントを含有するレベリング材を硬化して得られるセルフレベリング層の上に複数の層のコーティングを行なって、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現することに成功している。
本実施形態で用いるレベリング層106は、酸化マグネシウムと、塩化マグネシウムと、水と、骨材と、を含むセルフレベリング材を硬化させて形成されていることが好ましい。このようにすると、硬度が高く、耐火・防火性能に優れ、きれいな白色であることから仕上がり色の美しいレベリング層106が得られる。
この場合、セルフレベリング材における、酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとの混合割合は質量比で1:0.3〜0.7になるようにして調製することが好ましい。
酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとの混合割合が質量比で1:0.7の範囲を超えると硬化体の表面に汗かき現象が生じるので好ましくない。また、質量比で1:0.3より少ない場合には、塩化マグネシウムと未反応の酸化マグネシウムが水との反応により、水酸化マグネシウムを多く形成してしまうことになり、強度が低く、膨張率の高い硬化体が形成されることになるので好ましくない。なお、これらの観点から、酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとの混合割合は質量比で1:0.4〜0.6とすることがより望ましい。
また、この場合、セルフレベリング材における、酸化マグネシウムと水との混合割合を質量比で1:1.0〜2.0とすることが好ましい。酸化マグネシウムと水との混合割合が質量比で1:2.0を越えると材料分離が生じ、且つ硬化体の強度が著しく低下するので好ましくない。また、酸化マグネシウムと水との混合割合が質量比で1:1.0より少ないと、材料の流動性が低下するので好ましくない。なお、これらの観点から、酸化マグネシウムと水との混合割合は質量比で1:1.3〜1.7とすることがより好ましい。
このセルフレベリング材において、骨材としては、珪砂、寒水石、石灰石を粉砕、あるいは粉砕・篩い分けして粒状、粒子状にしたものなどを使用することができる。
この骨材は、質量比で酸化マグネシウム:1に対して、骨材:1.0〜6.0の割合で加えることが望ましい。酸化マグネシウムと骨材との混合割合が質量比で1:6.0を超えると材料の粘度が低くなり、骨材分離が起こりやすくなり、硬化体の強度にばらつきが生じるので好ましくない。一方、酸化マグネシウムと骨材との混合割合が質量比で1:1.0より少ないと材料の粘度が高くなり、流動性が低下し、硬化体の剛性が高く、じん性が極めて低くなり、外的挙動によるクラック発生の原因となるので好ましくない。なお、これらの観点から、酸化マグネシウムと骨材との混合割合は質量比で1:2.0〜5.0とすることがより好ましい。
また、この骨材の粒度は50〜2000μmであることが好ましい。骨材の粒度が2000μmより大きいと平滑な仕上げ面にすることが難しくなるので好ましくない。一方、骨材の粒度が50μmより小さいと材料の粘性が高くなり、レベリング性が低下するので好ましくない。なお、これらの観点や、2mm〜7mm厚程度の薄塗りを可能にすることを考慮すると、骨材の粒度は50〜1000μmであることがより好ましい。
このセルフレベリング材は前述した混合割合、骨材の粒度で、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、水、骨材を混合して調製することができるが、この技術分野で通常使用されている、ウェランガム系やデンプン系などの分離低減剤、ポリエーテル系などの消泡剤を適宜混合することができる。
また、このレベリング材の塗布量は、5〜40kg/m2であることが好ましい。このレベリング材の塗布量が40kg/m2を超えても特に弊害はないが、施工しにくく(均しにくく)なるため好ましくない。また、このレベリング材の塗布量が5kg/m2未満の場合にはレベリング層106の強度が不足したり、施工しづらくなるために好ましくない。あるいは、このこのレベリング材の塗布量は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40kg/m2のいずれか2つの値の範囲内であってもよい。
なお、上記の説明では、レベリング層106は、マグネシアセメントを含有するレベリング材を硬化して得られるであるとしたが、特に限定する趣旨ではない。他にも、無機系材料であれば任意の材料を好適に用いることができる。例えば、マグネシアセメントの代わりにポルトランドセメントを含有するレベリング材(例えば、モルタルなど)を硬化させて形成されているレベリング層106であってもよい。ポルトランドセメントを構成する主な物質は、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミノフェライト、硫酸カルシウムである。モルタルは、このポルトランドセメントにさらに骨材を加えたものを意味する。よく用いられるのは、1:3モルタル(ポルトランドセメント1kg:砂3kg)である。
(2)シーラー層
本実施形態で用いるシーラー層108は、水性アクリル樹脂を含有する。そして、このシーラー層108は、一液型アクリルエマルション型塗料を含むシーリング材を硬化させて形成されていることが特に好ましい。すなわち、水性塗料には、水溶性(溶液形)塗料とエマルション(分散形)塗料の2種類があるが、このシーリング材には、エマルション塗料を用いることが好ましい。なお、この一液型アクリルエマルション型塗料は、高温で焼付乾燥させる架橋タイプ(熱硬化性塗膜)であるよりも、常温で自然乾燥させるラッカータイプ(熱可塑性塗膜)であることが好ましい。
本実施形態で用いるシーラー層108は、水性アクリル樹脂を含有する。そして、このシーラー層108は、一液型アクリルエマルション型塗料を含むシーリング材を硬化させて形成されていることが特に好ましい。すなわち、水性塗料には、水溶性(溶液形)塗料とエマルション(分散形)塗料の2種類があるが、このシーリング材には、エマルション塗料を用いることが好ましい。なお、この一液型アクリルエマルション型塗料は、高温で焼付乾燥させる架橋タイプ(熱硬化性塗膜)であるよりも、常温で自然乾燥させるラッカータイプ(熱可塑性塗膜)であることが好ましい。
また、このシーリング材は、カチオン型の水性塗料であってもよい。レベリング層106に浸透したカチオン系ポリマー(+粒子)が、陰電荷(−)を帯びたレベリング層106と静電気的に引き合うために、付着性を向上させシーラー層108を形成する事で、強力に密着することができる。すなわち、水性カチオン型シーラーを用いた場合には、レベリング層106のアルカリ成分と反応するため、溶剤型に匹敵する強力な付着性を示す。
このシーラー層108をレベリング層106の上に積層することによって、レベリング層106に含まれるマグネシアセメントによる上層のコーティング(例えば、水性ウレタン樹脂を含有する中塗層110)の吸収を抑えることができる。
すなわち、このシーラー層108をレベリング層106の上に積層することによって、レベリング層106に含まれるマグネシアセメントの表面に水性アクリル樹脂が含浸するため、高い付着性(密着性)を確保することができる。また、このように含浸することとともに、高い耐久性が実現され、かつ高い耐候性をも実現することができる。
このシーリング材に用いられるする一液型アクリルエマルション型塗料は、合成樹脂エマルションペイント及びシーラーに関するJIS規格であるJISK5663 1種に属することが好ましい。
そのため、この塗料には、ホルムアルデヒド系防腐剤、ユリア系樹脂、フェノール系樹脂及びメラミン系樹脂はいずれも含まれないことが好ましい。また、この塗料は、下記の表1の1種の品質を満たしていることが好ましい。
また、このシーリング材の塗布量は、0.02〜0.2kg/m2であることが好ましい。このシーリング材の塗布量が0.2kg/m2を超えるとシーラー層108の厚みが必要以上に大きくなりすぎて、色の変化と強度に問題が生じる可能性があるため好ましくない。また、このシーリング材の塗布量が0.02kg/m2未満の場合にはシーラー層108が薄すぎてシール性が不足したり、付着に影響を及したりするために好ましくない。あるいは、このこのシーリング材の塗布量は、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20kg/m2のいずれか2つの値の範囲内であってもよい。
なお、このシーリング材には、塗工性および得られる塗膜の平滑性や外観を向上させる目的で、公知のレベリング剤、消泡剤などの添加剤を配合することができる。また、このシーリング材には、光安定剤、染料、顔料、フィラーなどを公知の知見に従って配合してもかまわない。
(3)中塗層
本実施形態で用いる中塗層110は、水性ウレタン樹脂を含有する。そして、この中塗層110は、白色顔料として酸化チタンを含有する二液型ウレタンエマルション型塗料を含む中塗材を硬化させて形成されていることが好ましい。すなわち、水性塗料には、水溶性(溶液形)塗料とエマルション(分散形)塗料の2種類があるが、この中塗材には、エマルション塗料を用いることが好ましい。なお、この二液型ウレタンエマルション型塗料は、高温で焼付乾燥させる架橋タイプ(熱硬化性塗膜)であるよりも、常温で自然乾燥させるラッカータイプ(熱可塑性塗膜)であることが好ましい。
本実施形態で用いる中塗層110は、水性ウレタン樹脂を含有する。そして、この中塗層110は、白色顔料として酸化チタンを含有する二液型ウレタンエマルション型塗料を含む中塗材を硬化させて形成されていることが好ましい。すなわち、水性塗料には、水溶性(溶液形)塗料とエマルション(分散形)塗料の2種類があるが、この中塗材には、エマルション塗料を用いることが好ましい。なお、この二液型ウレタンエマルション型塗料は、高温で焼付乾燥させる架橋タイプ(熱硬化性塗膜)であるよりも、常温で自然乾燥させるラッカータイプ(熱可塑性塗膜)であることが好ましい。
この中塗層110をシーラー層108の上に積層することによって、シーラー層108の上に中塗層110を介してコート層112を積層することができる。シーラー層108に含有される水系アクリル樹脂には、水系ウレタン樹脂を含有する中塗層110を先ず塗らないと、シーラー層108の水系アクリル樹脂の上に直接シロキサン樹脂を含有するコート層112を塗っても付着しない。また、シーラー層108の水系アクリル樹脂は、時間が経つと黄変する性質があるので、このシーラー層の上に白色顔料として酸化チタンを含有する中塗層110を塗ることにより、白色を時間経過の中で維持する機能もある。
また、この中塗材の塗布量は、一回塗りの場合には0.05〜0.3kg/m2であることが好ましい。この中塗材の塗布量が0.3kg/m2を超えると中塗層110の厚みが必要以上に大きくなりすぎてコストアップにつながったり、工期が長くなる(乾きにくくなる)ことがあったりするため好ましくない。また、この中塗材の塗布量が0.05kg/m2未満の場合には中塗層110が薄すぎて上層の接着性が悪くなったり、塗りむらが発生したりするために好ましくない。あるいは、このこの中塗材の塗布量は、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30kg/m2のいずれか2つの値の範囲内であってもよい。
また、この中塗材の塗布量は、二回塗りの場合には0.10〜0.6kg/m2であることが好ましい。この中塗材の塗布量が0.6kg/m2を超えると中塗層110の厚みが必要以上に大きくなりすぎてコストアップにつながったり、厚みが必要以上に大きくなりすぎてコストアップにつながったり、工期が長くなる(乾きにくくなる)ことがあったりするため好ましくない。また、この中塗材の塗布量が0.10kg/m2未満の場合には中塗層110が薄すぎて上層の接着性が悪くなったり、塗りむらが発生したりするために好ましくない。あるいは、このこの中塗材の塗布量は、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60kg/m2のいずれか2つの値の範囲内であってもよい。
なお、この中塗材には、塗工性および得られる塗膜の平滑性や外観を向上させる目的で、公知のレベリング剤、消泡剤などの添加剤を配合することができる。また、こ中塗材には、光安定剤、染料、顔料、フィラーなどを公知の知見に従って配合してもかまわない。
(4)コート層
本実施形態で用いるコート層112は、シロキサン樹脂を含有する。そして、このコート層112は、金属酸化物コロイドゾルと、アルコキシシラン加水分解縮合物と、(メタ)アクリレート類と、を含む主剤と、硬化触媒またはシランカップリング剤を含む硬化剤と、を混合して得られるコーティング材を硬化させて形成されていることが好ましい。
本実施形態で用いるコート層112は、シロキサン樹脂を含有する。そして、このコート層112は、金属酸化物コロイドゾルと、アルコキシシラン加水分解縮合物と、(メタ)アクリレート類と、を含む主剤と、硬化触媒またはシランカップリング剤を含む硬化剤と、を混合して得られるコーティング材を硬化させて形成されていることが好ましい。
このコート層112を中塗層110の上に積層することによって、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れを汚れも落としやすく、密着性に優れているとしやすい、などの優れた表面諸特性を併有する建築複合材100ができる。
(4−1)主剤
このコーティング材に用いられる主剤は、金属酸化物コロイドゾルと、アルコキシシラン加水分解縮合物と、(メタ)アクリレート類と、を含む。
このコーティング材に用いられる主剤は、金属酸化物コロイドゾルと、アルコキシシラン加水分解縮合物と、(メタ)アクリレート類と、を含む。
(4−1−1)金属酸化物コロイドゾル
本実施形態のコーティング材における金属酸化物コロイドゾルとしては、コロイダルシリカが代表的なものとして例示される。これは、直径5〜200nm、好ましくは5〜100nmのシリカ微粒子が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたものである。なかでも、酸性水溶液分散型コロイダルシリカが、アルコキシシラン加水分解縮合物との反応を考慮した場合、容易に化合出来るSiOH表面状態を有しているため最も適している。
本実施形態のコーティング材における金属酸化物コロイドゾルとしては、コロイダルシリカが代表的なものとして例示される。これは、直径5〜200nm、好ましくは5〜100nmのシリカ微粒子が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたものである。なかでも、酸性水溶液分散型コロイダルシリカが、アルコキシシラン加水分解縮合物との反応を考慮した場合、容易に化合出来るSiOH表面状態を有しているため最も適している。
かかるコロイダルシリカの具体例として、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、触媒化成工業(株)製のカタロイドSN、日本化学工業(株)製のシリカドール30Aなどが挙げられる。また、アルカリ性コロイダルシリカに種々の有機酸、無機酸を添加することにより、pHを3〜5のコロイダルシリカ酸性準安定域で安定化させ、その表面をSiOH型としたものも同様に使用することができる。
有機溶媒分散型のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST;触媒化成工業(株)製のOSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1632、OSCAL1732などを挙げることができる。
その他の金属酸化物コロイドゾルは、種々の機能性付与、例えば、導電性、光触媒活性、屈折率制御の目的で添加される。具体的には、マグネシウム酸化物、珪素酸化物とマグネシウム酸化物との共酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、インジウム酸化物、ゲルマニウム酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、セシウム酸化物、インジウム錫酸化物、および錫アンチモン酸化物のコロイドゾルが単独であるいは混合物として用いることができる。
これら金属酸化物コロイドゾルは、金属原子−酸素原子の繰り返しで構成されるが、末端部位においては金属原子と結合しない酸素原子の結合手(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基のような形態)が存在するものが好ましく、当該結合手を有することでシロキサン(アルコキシシラン加水分解縮合物)のSiOHと反応し得る。金属コロイドゾルの粒子径としては、0.005μm〜1μmであることが好ましい。
(4−1−2)アルコキシシラン加水分解縮合物
本実施形態において、アルコキシシラン加水分解縮合物としては、下記式(1)のアルコキシシランを加水分解縮合反応させた物であることが好ましいものとして例示できる。
R1 aR2 bSi(R3)4−a−b・・・(1)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2はアリール基、ハロゲン化アリール基、置換アリール基、ハロゲン化アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基およびシアノ基からなる群より選ばれる1以上の基を含む有機官能基を表し、R3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基を表し、a,bはおのおの0,1,2のいずれかの整数であり、a+bは0,1,2のいずれかの整数である。)
本実施形態において、アルコキシシラン加水分解縮合物としては、下記式(1)のアルコキシシランを加水分解縮合反応させた物であることが好ましいものとして例示できる。
R1 aR2 bSi(R3)4−a−b・・・(1)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2はアリール基、ハロゲン化アリール基、置換アリール基、ハロゲン化アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基およびシアノ基からなる群より選ばれる1以上の基を含む有機官能基を表し、R3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基を表し、a,bはおのおの0,1,2のいずれかの整数であり、a+bは0,1,2のいずれかの整数である。)
当該アルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトライソシアナトシラン、メチルトリイソシアナトシラン等が挙げられる。これらは単独でも、混合して使用してもよく、予め部分的に加水分解を施しておいたものを使用しても構わない。
また、後述する種々の有機ポリマーとのハイブリッド化を促進する目的で、目的とする有機ポリマーとの相溶性、反応性、種々の化学的インタラクションを形成する有機化合物を予め反応せしめたものを使用することも可能である。
アルコキシシラン加水分解縮合物(シロキサン樹脂成分)は、末端をSiOH型とすることにより、被塗物表面に塗布され、硬化触媒により発生する酸により脱水縮合し、シロキサン結合を形成することができるために好ましい。なお、末端がSiOR型(Rは有機基)である場合、反応後にこれが残ってしまう懸念があり、塗布後、この加水分解が律速段階となり、生成するアルコールが硬化触媒に影響を与え、場合によっては硬化不良を引き起こしてしまうことがあるため適当ではない。
アルコキシシラン加水分解縮合物としては、そのピーク分子量がポリスチレン換算で1000以下となるように分子量が制御された合成条件で合成されたものが好ましい。当該分子量が大き過ぎると、硬度の発現、特に耐擦傷性が不十分となる懸念がある。アルコキシシランの加水分解縮合物は、上記式(1)に示されるアルコキシシランの加水分解直後の発生期のSiOHが最も活性が高く、硬度、擦傷性が出やすいことがわかっている。即ち、アルコキシシラン加水分解縮合物のピーク分子量がポリスチレン換算で1000以下となるように分子量分布が制御された合成条件にて製造されることが、コーティング材において目的とする高硬度、高耐擦傷性、高耐摩耗性の発現に繋がることを意味する。
アルコキシシラン加水分解縮合物の分子量制御方法としては、その代表的な合成方法であるゾルゲル法における水の添加量とトータルソリッドで制御できる。即ち、仕込みシランモノマーの加水分解性アルコキシシリル基(−SiOR)1モルに対して1.0モル以上の水を添加しトータルソリッドを10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%程度に抑え、シラノール濃度を低くすることにより低分子量化を図ることができる。
具体的に、末端がSiOHでそのピーク分子量がポリスチレン換算で1000以下となるように分子量を制御するためには、上記式(1)に示されるアルコキシシランを加水分解する際の条件について述べる。水の添加量としては、上記式(1)のアルコキシシランモノマー1モルに対して、((4−a−b)+0.2)/2モル〜20モルとすることが好ましく、3モル〜10モルとすることがより好ましく、3.1モル〜6モルとすることがさらに好ましい。
水の添加量が不足する場合、末端の全てがSiOHになり得ず、アルコキシシリル基が残存してしまい、硬化性、硬度の面で目的を十分に達成することができない可能性があり、水の添加量が多過ぎる場合、得られた系が不安定化してしまい、その後に続く脱溶媒反応時にゲル化してしまうおそれが生ずる懸念があるため好ましくない。上述した水とは、系に添加されるすべての水分が含まれる。即ち、添加される水分散金属酸化物コロイドゾル、加水分解触媒、有機ポリマーなどに含まれる水分を含めた総和にて論じられるものである。
また、加水分解時のトータルソリッドも活性な発生期の−SiOHの縮合を制御するのに有効である。トータルソリッドを10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%に制御することにより活性なシラノール濃度を低くすることに達成される。この濃度より高いと縮合が進んで分子量がアップしてしまい、濃度が低過ぎると収率の面から好ましくない。
このコーティング材におけるアルコキシシラン加水分解縮合物と金属酸化物コロイドゾルとの使用割合は、組成物の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性および耐クラック性の点から適宜選択される。アルコキシシラン加水分解縮合物のソリッド分は金属酸化物コロイドゾルのソリッド分およびアルコキシシラン加水分解縮合物のソリッド分の合計量に対して20〜95質量%、好ましくは40〜90質量%、最も好ましくは60〜80質量%である。
アルコキシシラン加水分解縮合物の添加量、存在量がこれより少な過ぎる場合、目的とする効果を期待することが困難な場合があり、多過ぎる場合は安定性、透明性、耐クラック性、硬度、耐熱性など溶液特性、皮膜特性上不利となる懸念がある。
(4−1−3)(メタ)アクリレート類
このコーティング剤に用いる(メタ)アクリレート類としては、金属酸化物コロイドゾルおよびアルコキシシラン加水分解縮合物を安定に溶解し、硬化触媒で重合する不飽和二重結合を1個以上有する化合物が好適なものとして挙げられ、VOC削減の観点からは、常圧で沸点が260℃を超える液状不揮発性を有し、単官能および/または多官能の(メタ)アクリレート類を特に好適な物として挙げることができる。
このコーティング剤に用いる(メタ)アクリレート類としては、金属酸化物コロイドゾルおよびアルコキシシラン加水分解縮合物を安定に溶解し、硬化触媒で重合する不飽和二重結合を1個以上有する化合物が好適なものとして挙げられ、VOC削減の観点からは、常圧で沸点が260℃を超える液状不揮発性を有し、単官能および/または多官能の(メタ)アクリレート類を特に好適な物として挙げることができる。
硬化触媒で重合する不飽和二重結合を1個以上有するとともに、常圧で沸点が260℃を超える液状不揮発性を有し、単官能および/または多官能の重合性化合物として具体的には、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ぺンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;また、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネートなどの3官能(メタ)アクリレート類;また、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシ)ホスフェ−ト、ヘキサメタクリロイロキシエトキシシクロトリホスファゼン(PPZ)などの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに上記したような化合物の他にポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、変性ポリブタジエン等を挙げることができる。
(メタ)アクリレート類のソリッド分は、金属酸化物コロイドゾル、アルコキシシラン加水分解縮合物および(メタ)アクリレート類のソリッド分の合計量に対して10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、最も好ましくは40〜80質量%である。
(メタ)アクリレート類の添加量、存在量がこれより少な過ぎる場合、目的とする効果を期待することが困難な場合があり、多過ぎる場合は安定性、透明性、耐クラック性、硬度、耐熱性など溶液特性、皮膜特性上不利となる懸念がある。
(4−2)硬化剤
このコーティング材に用いられる硬化剤は、硬化触媒またはシランカップリング剤を含む。
このコーティング材に用いられる硬化剤は、硬化触媒またはシランカップリング剤を含む。
(4−2−1)硬化触媒
このコーティング材に使用するに適した硬化触媒としては、シラン樹脂を硬化させ得るものであればよく、特に制限はない。
このコーティング材に使用するに適した硬化触媒としては、シラン樹脂を硬化させ得るものであればよく、特に制限はない。
当該硬化触媒としては、具体的には例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクチレート、ジブチル錫ジラウレート、などの有機錫化合物や、アルミニウムトリス(アセチルアセトン)、アルミニウムトリス(アセトアセテートエチル)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセトアセテートエチル)などの有機アルミニウム化合物や、ジルコニウム(アセチルアセトン)、ジルコニウムトリス(アセチルアセトン)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)などの有機ジルコニウム化合物や、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノエチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノブチルエーテル)などの有機チタニウム化合物等の有機金属化合物;塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの鉱酸類や、蟻酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸類等の酸;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基や、エチレンジアミン、アルカノールアミンなどの有機塩基などのアルカリ;アミノ変性シリコーン、アミノシラン、シラザン、アミン類などのアミノ化合物などが挙げられる。これらのうち、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物が好ましい。
本実施形態に使用可能な硬化触媒は、市販品として入手することができる。例えばD−20(信越化学社製)、DX−9740(信越化学社製)、DX−175(信越化学社製)、コンポブリッドHCS硬化剤(アトミクス(株)社製)、コンポブリッドAMC硬化剤(アトミクス(株)社製)などが挙げられる。
これら硬化触媒の配合割合は、シラン樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲が好ましく、0.5〜10質量部の範囲がより好ましい。この範囲を超えて配合割合が低い場合は、硬化性が劣ることとなり、またこの範囲を超えて配合割合を多くするといわゆる可使時間(外気に晒してから塗布完了までの時間≒塗布作業可能時間)が短くなり実用上好ましくない。
(4−2−2)シランカップリング剤
本発明で用いるシランカップリング剤は、コロイダルシリカに作用させるために添加する物であり、従来公知の各種シランカップリング剤を用いることができる。ただし、本実施形態の目的に鑑みると、シランカップリング剤として、メチルトリメトキシシラン、エポキシ基含有シランカップリング剤、シラン樹脂と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤、アルキル基の炭素数が3以上のアルキルトリメトキシシラン、および下記構造式1で示される化合物が好ましく、これらが全て含まれることがより好ましい。
本発明で用いるシランカップリング剤は、コロイダルシリカに作用させるために添加する物であり、従来公知の各種シランカップリング剤を用いることができる。ただし、本実施形態の目的に鑑みると、シランカップリング剤として、メチルトリメトキシシラン、エポキシ基含有シランカップリング剤、シラン樹脂と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤、アルキル基の炭素数が3以上のアルキルトリメトキシシラン、および下記構造式1で示される化合物が好ましく、これらが全て含まれることがより好ましい。
エポキシ基含有シランカップリング剤(エポキシ型シランカップリング剤)としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられる。シラン樹脂と反応しうる官能基を有する知らんカップリング剤としてはとしては、OH基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、ウレイド基等を挙げることができる。当該シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、勿論これらに限定されるわけではない。
アルキル基の炭素数が3以上のアルキルトリメトキシシランは、上記のメチルトリメトキシシラン、エポキシ基含有シランカップリング剤、および、シラン樹脂と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤に比して加水分解性の劣るシランカップリング剤である。アルキル基の炭素数が3以上のアルキルトリメトキシシランとしては、例えばn−プロピルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
アルキル基の炭素数としては、3以上であることが必須であるが、6以上であることがより好ましい。適度に炭素数の大きなアルキル基とすることで、塗膜の硬化収縮を低減してクラックを防止する機能が存分に発揮される。ただし、アルキル基の炭素数があまり多くなると、アルコキシシリル基部分の加水分解性が低下するため上限としては、10以下が好ましく、8以下が好ましい。また、上記構造式1で示される化合物は、多官能のシランカップリング剤であり、架橋密度を向上させる機能を有する。
(4−3)その他
このコーティング剤には、さらに溶媒が使用される。この溶媒としてはシロキサン樹脂固形分が安定に溶解することが必要である。そのためには、使用される溶媒の少なくとも20質量%以上好ましくは50質量%以上がアルコールであることが望ましい。かかるアルコールとしては例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1プロパノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどが挙げられ、炭素数1〜4の低沸点アルコールが好ましく、溶解性、安定性、及び塗工性の点で2−プロパノールが特に好ましい。
このコーティング剤には、さらに溶媒が使用される。この溶媒としてはシロキサン樹脂固形分が安定に溶解することが必要である。そのためには、使用される溶媒の少なくとも20質量%以上好ましくは50質量%以上がアルコールであることが望ましい。かかるアルコールとしては例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1プロパノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどが挙げられ、炭素数1〜4の低沸点アルコールが好ましく、溶解性、安定性、及び塗工性の点で2−プロパノールが特に好ましい。
pH調整のために使用される酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、亜硝酸、硝酸、過塩素酸、スルファミン酸などの無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸;が挙げられ、pH調整の容易さの観点から、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸などの有機カルボン酸が好ましい。
その他の溶媒としては、水/アルコールと混和することが必要であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチルなどのエステル類が挙げられる。
また、このコーティング材の塗布量は、0.02〜0.16kg/m2であることが好ましい。このシーリング材の塗布量が0.16kg/m2を超えるとコート層112の厚みが必要以上に大きくなりすぎてコストアップにつながったり、割れる(クラックが生じる)、剥離する、などの問題が生じたりするため好ましくない。また、このコーティング材の塗布量が0.02kg/m2未満の場合にはコーティング層112が薄すぎて塗りむらが生じやすいくなったり、機能への支障が生じたりするために好ましくない。あるいは、このこのコーティング材の塗布量は、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16kg/m2のいずれか2つの値の範囲内であってもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施の形態ではレベリング層106は、酸化マグネシウムと、塩化マグネシウムと、水と、骨材と、を含むセルフレベリング材を硬化させて形成するとしたが、マグネシアセメントの生成に従来から行われているように、塩化マグネシウムに替えて硫酸マグネシウムを使用することも可能である。このようにしても、硬度が高く、耐火・防火性能に優れ、きれいな白色であることから仕上がり色の美しいレベリング層106が得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<材料の用意>
以下の配合で各材料を用意した。
接着剤A:マスタックハイパーボンド(超速効・高接着下地調整剤、マスタック株式会社製)
プライマーA:MGプライマー(マスタック株式会社製)
マグネシアセメントA:MGレベラー ホワイト(酸化マグネシウムと骨材とを含む粉体+塩化マグネシウムと水とを含むニガリ混和液のセット、マスタック株式会社製)
13モルタルA:デンカ普通ポルトランドセメント(電気化学工業株式会社製)1質量部:砂3質量部
水性アクリル樹脂A:Eナンバーエコシーラー(一液型アクリルエマルション型塗料、アトミクス株式会社製)
水性ウレタン樹脂A:アクアクリーンU(二液型ウレタンエマルション型塗料、アトミクス株式会社製)
シロキサン樹脂A:ハードSYMコート(金属酸化物コロイドゾルとアルコキシシラン加水分解縮合物と(メタ)アクリレート類とを含む主剤+硬化触媒またはシランカップリング剤を含む硬化剤のセット、マスタック株式会社製)
以下の配合で各材料を用意した。
接着剤A:マスタックハイパーボンド(超速効・高接着下地調整剤、マスタック株式会社製)
プライマーA:MGプライマー(マスタック株式会社製)
マグネシアセメントA:MGレベラー ホワイト(酸化マグネシウムと骨材とを含む粉体+塩化マグネシウムと水とを含むニガリ混和液のセット、マスタック株式会社製)
13モルタルA:デンカ普通ポルトランドセメント(電気化学工業株式会社製)1質量部:砂3質量部
水性アクリル樹脂A:Eナンバーエコシーラー(一液型アクリルエマルション型塗料、アトミクス株式会社製)
水性ウレタン樹脂A:アクアクリーンU(二液型ウレタンエマルション型塗料、アトミクス株式会社製)
シロキサン樹脂A:ハードSYMコート(金属酸化物コロイドゾルとアルコキシシラン加水分解縮合物と(メタ)アクリレート類とを含む主剤+硬化触媒またはシランカップリング剤を含む硬化剤のセット、マスタック株式会社製)
<材料の組合せ>
そして、以下の表2に示す通りに様々な構成の建築複合材を構成するための各層の材料の組み合わせを用意した。
そして、以下の表2に示す通りに様々な構成の建築複合材を構成するための各層の材料の組み合わせを用意した。
なお、いずれの実施例・比較例においても、上層が3週間後の耐剥離性試験で剥がれた場合には、むき出しになった最上層について鉛筆硬度、耐擦傷性、耐クラック性、接着強度、滑り、洗浄容易性、耐熱性、耐溶剤性を評価した。また、最上層がコート層でない場合には、最上層にあたるレベリング層、シーラー層、中塗層、プライマー層、タイルについて鉛筆硬度、耐擦傷性、耐クラック性、滑り、洗浄容易性、耐熱性、耐溶剤性を評価した。
<施工方法>
実施例1の材料の組合せを用いて、以下のとおり施工を行って図1に示すような構造の建築複合材を形成した。なお、実施例1以外の実施例または比較例も基本的には実施例1と同様にして建築複合材を形成した。
実施例1の材料の組合せを用いて、以下のとおり施工を行って図1に示すような構造の建築複合材を形成した。なお、実施例1以外の実施例または比較例も基本的には実施例1と同様にして建築複合材を形成した。
(1)下地処理
まず、床面114(床スラブ)上に存在する既存の塗りもの/貼りものおよび接着剤をすべて撤去した。さらにクラックなどを樹脂モルタルまたはパテ処理し、強化ガラス繊維などで補修した。その上で、床面114上に接着剤A:マスタックハイパーボンド(主剤3.5kg+硬化剤3.5kg+粉体15kg)を施工全面に塗布量0.55kg/m2となるように塗布し、2〜3時間室温(23℃)に静置して硬化させて接着層102を形成した。
まず、床面114(床スラブ)上に存在する既存の塗りもの/貼りものおよび接着剤をすべて撤去した。さらにクラックなどを樹脂モルタルまたはパテ処理し、強化ガラス繊維などで補修した。その上で、床面114上に接着剤A:マスタックハイパーボンド(主剤3.5kg+硬化剤3.5kg+粉体15kg)を施工全面に塗布量0.55kg/m2となるように塗布し、2〜3時間室温(23℃)に静置して硬化させて接着層102を形成した。
その後、接着層102の上に刷毛またはローラーでプライマーA:MGプライマー(18kg)を4倍に希釈した上で塗布量0.036kg/m2となるように塗布し、2〜3時間室温(23℃)に静置して硬化させてプライマー層104を形成した。
(2)塗装下地
次に、プライマー層104の上に塗装下地(MGレベラー打設)を行った。まず、マグネシアセメントA:MGレベラー ホワイトに含まれる塩化マグネシウムと水とを含むニガリ混和液10.5Lに酸化マグネシウムと骨材とを含む粉体20kgを加え、ミキサーでダマが無くなるまで撹拌した後、網でろ過してレベリング材を得た。その後、このレベリング材をプライマー層104の上に塗布量10kg/m2となるように流し込み、5mm厚となるように均した。そして、10時間室温(23℃)に静置して材料を十分に硬化させてレベリング層106を形成した後、以下の塗装を行った。
次に、プライマー層104の上に塗装下地(MGレベラー打設)を行った。まず、マグネシアセメントA:MGレベラー ホワイトに含まれる塩化マグネシウムと水とを含むニガリ混和液10.5Lに酸化マグネシウムと骨材とを含む粉体20kgを加え、ミキサーでダマが無くなるまで撹拌した後、網でろ過してレベリング材を得た。その後、このレベリング材をプライマー層104の上に塗布量10kg/m2となるように流し込み、5mm厚となるように均した。そして、10時間室温(23℃)に静置して材料を十分に硬化させてレベリング層106を形成した後、以下の塗装を行った。
(3)下塗り
続いて、レベリング層106の上に水性アクリル樹脂A:Eナンバーエコシーラー7kgを用いてローラーで塗布量0.07kg/m2となるように塗装した。そして、3時間室温(23℃)に静置して材料を十分に硬化させてシーラー層108を形成した。
続いて、レベリング層106の上に水性アクリル樹脂A:Eナンバーエコシーラー7kgを用いてローラーで塗布量0.07kg/m2となるように塗装した。そして、3時間室温(23℃)に静置して材料を十分に硬化させてシーラー層108を形成した。
(4)中塗り
その後、水性ウレタン樹脂A:アクアクリーンUの主剤15kgと硬化剤1kgを15:1の割合で混合し、水で10〜20%希釈して均一に撹拌し、ローラーで一回塗りでシーラー層108の上に塗布量0.12kg/m2となるように塗装した。そして、3時間室温(23℃)に静置して中塗層110を形成した。
その後、水性ウレタン樹脂A:アクアクリーンUの主剤15kgと硬化剤1kgを15:1の割合で混合し、水で10〜20%希釈して均一に撹拌し、ローラーで一回塗りでシーラー層108の上に塗布量0.12kg/m2となるように塗装した。そして、3時間室温(23℃)に静置して中塗層110を形成した。
(5)仕上塗り
最後に、上記の水性ウレタン樹脂A:アクアクリーンUと同日に塗装できるように工程を組んで、シロキサン樹脂A:ハードSYMコートの主剤3kgと硬化剤1kgを3:1の割合で混合し、アルコール系専用希釈剤で20〜30%希釈し、よく撹拌した上で、コテバケを使用し、ムラにならないように薄く均一に塗布量0.06kg/m2となるように塗布した。なお、厚く塗ると表面に割れが入る原因となるので注意して塗布した。したがって、塗布した箇所がわかりやすいようにマーキングしながら塗布したほうがよい。そして、12時間室温(23℃)に静置(歩行可能な硬化までは室温で3時間程度、十分な塗装性能発揮までは約1周間かかる)して材料を十分に硬化させて中塗層110を形成した。
最後に、上記の水性ウレタン樹脂A:アクアクリーンUと同日に塗装できるように工程を組んで、シロキサン樹脂A:ハードSYMコートの主剤3kgと硬化剤1kgを3:1の割合で混合し、アルコール系専用希釈剤で20〜30%希釈し、よく撹拌した上で、コテバケを使用し、ムラにならないように薄く均一に塗布量0.06kg/m2となるように塗布した。なお、厚く塗ると表面に割れが入る原因となるので注意して塗布した。したがって、塗布した箇所がわかりやすいようにマーキングしながら塗布したほうがよい。そして、12時間室温(23℃)に静置(歩行可能な硬化までは室温で3時間程度、十分な塗装性能発揮までは約1周間かかる)して材料を十分に硬化させて中塗層110を形成した。
また、実施例2〜13、比較例1〜10については、基本的には実施例1と同様にして建築複合材を形成したが、表2〜表8に基いて多少施工方法を改変した。もっとも、当業者であれば表2〜表8を見れば改変内容は容易に理解できるために説明を繰り返さない。
<性能評価>
(1)鉛筆硬度
作成した建築複合材について、JIS K5600−5−4引っかき硬度(鉛筆法)に従って鉛筆硬度を測定した。当該評価のみ、基材がボンデライト鋼板のものを用いた。
(1)鉛筆硬度
作成した建築複合材について、JIS K5600−5−4引っかき硬度(鉛筆法)に従って鉛筆硬度を測定した。当該評価のみ、基材がボンデライト鋼板のものを用いた。
(2)耐擦傷性
作成した建築複合材について、#0000スチールウールを用い、500gの荷重で20回擦った後の表面の傷つき状態を観察し、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全くキズがつかない
○・・・わずかに1〜2本キズがつく
△・・・数本のキズがつく
×・・・全面にキズがつく
作成した建築複合材について、#0000スチールウールを用い、500gの荷重で20回擦った後の表面の傷つき状態を観察し、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全くキズがつかない
○・・・わずかに1〜2本キズがつく
△・・・数本のキズがつく
×・・・全面にキズがつく
(3)耐クラック性
作成した建築複合材について3週間後に塗膜外観を観察し、以下の評価基準で評価した。
◎・・・クラック、割れ、はがれ無し
○・・・厚塗り部一部クラック有り
△・・・クラック発生
×・・・全面クラック、はがれ発生
作成した建築複合材について3週間後に塗膜外観を観察し、以下の評価基準で評価した。
◎・・・クラック、割れ、はがれ無し
○・・・厚塗り部一部クラック有り
△・・・クラック発生
×・・・全面クラック、はがれ発生
(4)レベリング性
作成した建築複合材について目視で評価を行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全く凹凸がなく平坦である
○・・・ほんのわずかに凹凸がある
△・・・少しだけ凹凸がある
×・・・凹凸が目立つ
作成した建築複合材について目視で評価を行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全く凹凸がなく平坦である
○・・・ほんのわずかに凹凸がある
△・・・少しだけ凹凸がある
×・・・凹凸が目立つ
(5)曲げ強度、圧縮強度、接着強度
作成した建築複合材についてJIS A1171の試験方法により曲げ強度、圧縮強度、接着強度(材齢28日)を測定して以下の評価基準で評価した。
圧縮強度
◎・・・50N/mm2以上
○・・・30N/mm2以上、50N/mm2未満
△・・・20N/mm2以上、30N/mm2未満
×・・・20N/mm2未満
曲げ強度
◎・・・7N/mm2以上
○・・・5N/mm2以上、7N/mm2未満
△・・・3N/mm2以上、5N/mm2未満
×・・・3N/mm2未満
接着強度
◎・・・3N/mm2以上
○・・・2N/mm2以上、3N/mm2未満
△・・・0.7N/mm2以上、2N/mm2未満
×・・・0.7N/mm2未満
作成した建築複合材についてJIS A1171の試験方法により曲げ強度、圧縮強度、接着強度(材齢28日)を測定して以下の評価基準で評価した。
圧縮強度
◎・・・50N/mm2以上
○・・・30N/mm2以上、50N/mm2未満
△・・・20N/mm2以上、30N/mm2未満
×・・・20N/mm2未満
曲げ強度
◎・・・7N/mm2以上
○・・・5N/mm2以上、7N/mm2未満
△・・・3N/mm2以上、5N/mm2未満
×・・・3N/mm2未満
接着強度
◎・・・3N/mm2以上
○・・・2N/mm2以上、3N/mm2未満
△・・・0.7N/mm2以上、2N/mm2未満
×・・・0.7N/mm2未満
(6)洗浄容易性
作成した建築複合材についてコーヒーをこぼした上で水洗いを行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全く汚れがつかない
○・・・わずかに汚れがつく
△・・・少し汚れががつく
×・・・目立つように汚れがつく
作成した建築複合材についてコーヒーをこぼした上で水洗いを行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全く汚れがつかない
○・・・わずかに汚れがつく
△・・・少し汚れががつく
×・・・目立つように汚れがつく
(7)耐熱性
作成した建築複合材についてタバコのもみ消しを行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全く痕がつかない
○・・・わずかに痕がつく
△・・・少し痕ががつく
×・・・くっきりと痕がつく
作成した建築複合材についてタバコのもみ消しを行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・全く痕がつかない
○・・・わずかに痕がつく
△・・・少し痕ががつく
×・・・くっきりと痕がつく
(8)耐溶剤性
作成した建築複合材についてラッカーシンナーに一晩の間浸漬を行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・まったく変化なし
○・・・わずかに表面の塗膜が溶解
△・・・少し表面の塗膜が溶解
×・・・表面の塗膜が全体的に溶解
作成した建築複合材についてラッカーシンナーに一晩の間浸漬を行い、以下の評価基準で評価した。
◎・・・まったく変化なし
○・・・わずかに表面の塗膜が溶解
△・・・少し表面の塗膜が溶解
×・・・表面の塗膜が全体的に溶解
(9)粉ふき
作成した建築複合材について3週間後に目視にて表面の粉ふきの状態を確認した。評価基準は、以下のとおりである。
◎・・・まったく粉ふきなし
○・・・わずかに表面に粉ふきあり
△・・・少し表面に粉ふきあり
×・・・表面の塗膜が全体的に粉をふいている
作成した建築複合材について3週間後に目視にて表面の粉ふきの状態を確認した。評価基準は、以下のとおりである。
◎・・・まったく粉ふきなし
○・・・わずかに表面に粉ふきあり
△・・・少し表面に粉ふきあり
×・・・表面の塗膜が全体的に粉をふいている
(10)耐剥離性
作成した建築複合材について3週間後に目視にて表面の剥離の状態を確認した。評価基準は、以下のとおりである。
◎・・・まったく剥離なし
○・・・わずかに表面に剥離あり
△・・・少し表面に剥離あり
×・・・表面の塗膜が全体的に剥離している
作成した建築複合材について3週間後に目視にて表面の剥離の状態を確認した。評価基準は、以下のとおりである。
◎・・・まったく剥離なし
○・・・わずかに表面に剥離あり
△・・・少し表面に剥離あり
×・・・表面の塗膜が全体的に剥離している
(11)滑り
作成した建築複合材について表面を濡らした状態で靴底の滑りやすさを確認した。評価基準は、以下のとおりである。
◎・・・まったく靴底がすべらない
○・・・わずかに靴底がすべる
△・・・少し靴底がすべる
×・・・靴底がすべり易すぎて歩行が困難
作成した建築複合材について表面を濡らした状態で靴底の滑りやすさを確認した。評価基準は、以下のとおりである。
◎・・・まったく靴底がすべらない
○・・・わずかに靴底がすべる
△・・・少し靴底がすべる
×・・・靴底がすべり易すぎて歩行が困難
このようにして各評価項目を評価した結果を上記の表2〜表8に示す。
<結果の考察>
上記の実施例1〜13および比較例1〜10の実験結果から、マグネシアセメントを含有するレベリング層106と、そのレベリング層106の上に積層されている水性アクリル樹脂を含有するシーラー層108と、そのシーラー層108の上に積層されている水性ウレタン樹脂を含有する中塗層110と、その中塗層110の上に積層されているシロキサン樹脂を含有するコート層112と、を備える、建築複合材100によれば、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現することができる。
上記の実施例1〜13および比較例1〜10の実験結果から、マグネシアセメントを含有するレベリング層106と、そのレベリング層106の上に積層されている水性アクリル樹脂を含有するシーラー層108と、そのシーラー層108の上に積層されている水性ウレタン樹脂を含有する中塗層110と、その中塗層110の上に積層されているシロキサン樹脂を含有するコート層112と、を備える、建築複合材100によれば、外観に優れ、全体の厚みを薄く抑えることができ、耐汚染性に優れ、滑りにくく、燃えにくく、汚れも落としやすく、密着性に優れている、という性能をバランスよく実現することができる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
100 建築複合材
102 接着層
104プライマー層
106 レベリング層
108 シーラー層
110 中塗層
112 コート層
102 接着層
104プライマー層
106 レベリング層
108 シーラー層
110 中塗層
112 コート層
Claims (13)
- 無機系材料を含有するレベリング層と、
前記レベリング層の上に積層されている水性アクリル樹脂を含有するシーラー層と、
前記シーラー層の上に積層されている水性ウレタン樹脂を含有する中塗層と、
前記中塗層の上に積層されているシロキサン樹脂を含有するコート層と、
を備える、建築複合材。 - 請求項1に記載の建築複合材において、
前記レベリング層が、マグネシアセメントまたはポルトランドセメントを含有するレベリング材を硬化させて形成されている、
建築複合材。 - 請求項2に記載の建築複合材において、
前記マグネシアセメントを含有するレベリング材が、酸化マグネシウムと、塩化マグネシウムと、水と、骨材と、を含む、
建築複合材。 - 請求項2または3に記載の建築複合材において、
前記レベリング材の塗布量が、5〜40kg/m2である、
建築複合材。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の建築複合材において、
前記シーラー層が、一液型アクリルエマルション型塗料を含むシーリング材を硬化させて形成されている、
建築複合材。 - 請求項5に記載の建築複合材において、
前記水性シーリング材の塗布量が、0.02〜0.2kg/m2である、
建築複合材。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の建築複合材において、
前記中塗層が、二液型ウレタンエマルション型塗料を含む中塗材である、
建築複合材。 - 請求項7に記載の建築複合材において、
前記中塗材の塗布量が、
一回塗りの場合には0.05〜0.3kg/m2であり、
二回塗りの場合には0.10〜0.6kg/m2である、
建築複合材。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の建築複合材において、
前記コート層が、
金属酸化物コロイドゾルと、アルコキシシラン加水分解縮合物と、(メタ)アクリレート類と、を含む主剤と、
硬化触媒またはシランカップリング剤を含む硬化剤と、
を混合して得られるコーティング材を硬化させて形成されている、
建築複合材。 - 請求項9のいずれかに記載の建築複合材において、
前記コーティング材の塗布量が、0.02〜0.16kg/m2の塗布量で塗布した後に硬化させて形成されている、
建築複合材。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の建築複合材において、
内装材として用いられる、建築複合材。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の建築複合材において、
床材として用いられる、建築複合材。 - 施工面の上に建築複合材を施工する方法であって、
前記施工面の上にマグネシアセメントまたはポルトランドセメントを含有するレベリング材を塗布した後に硬化させてレベリング層を形成する工程と、
前記レベリング層の上にアクリルアミンと、一液型アクリルエマルション型塗料を含むシーリング材を塗布した後に硬化させてシーラー層を形成する工程と、
前記シーラー層の上に二液型ウレタンエマルション型塗料を含む中塗材を塗布した後に硬化させて中塗層を形成する工程と、
前記中塗層の上に金属酸化物コロイドゾルと、アルコキシシラン加水分解縮合物と、(メタ)アクリレート類と、を含む主剤と、硬化触媒またはシランカップリング剤を含む硬化剤と、を混合して得られるコーティング材を塗布した後に硬化させてコート層を形成する工程と、
を含む、施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012212517A JP2014066078A (ja) | 2012-09-26 | 2012-09-26 | 建築複合材およびその施工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012212517A JP2014066078A (ja) | 2012-09-26 | 2012-09-26 | 建築複合材およびその施工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014066078A true JP2014066078A (ja) | 2014-04-17 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2012212517A Pending JP2014066078A (ja) | 2012-09-26 | 2012-09-26 | 建築複合材およびその施工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014066078A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110770405A (zh) * | 2017-06-22 | 2020-02-07 | 冠军联合国际公司 | 地板面板及其生产方法 |
JP2021088904A (ja) * | 2019-12-06 | 2021-06-10 | 常盤工業株式会社 | セルフレベリング材の施工方法 |
-
2012
- 2012-09-26 JP JP2012212517A patent/JP2014066078A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110770405A (zh) * | 2017-06-22 | 2020-02-07 | 冠军联合国际公司 | 地板面板及其生产方法 |
JP2021088904A (ja) * | 2019-12-06 | 2021-06-10 | 常盤工業株式会社 | セルフレベリング材の施工方法 |
JP7359385B2 (ja) | 2019-12-06 | 2023-10-11 | 常盤工業株式会社 | セルフレベリング材の施工方法 |
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