JP2014065577A - クレーンの起伏部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】クレーンの起伏部材の設計上の煩雑さを軽減しつつ、起伏部材の分解時にジブバックストップによるジブの回動の規制を回避してブームとジブを地面に倒伏できるようにする。
【解決手段】クレーンの起伏部材では、バックストップインナ20bは、ジブ側端部20mが被係合部16bに係合可能となるように退避した第1位置と、その第1位置よりも進出した位置であってジブ10の回動の中心からジブ側端部20mまでの直線距離がジブ10の回動の中心から被係合部16bまでの直線距離よりも大きくなる第2位置との間で進退自在であり、ブームが起立した状態で自重により第1位置に配置される一方、ブームが地面へ向かって倒伏する過程において、バックストップ本体20がサポート部材22によりジブ側端部20mがブーム側端部20fよりも下側で且つバックストップ受部16よりも上側に位置する姿勢に保持されて自重により第2位置へ移動する。
【選択図】図9

Description

本発明は、クレーンの起伏部材に関するものである。
従来、クレーンの本体に起伏自在となるように設けられた起伏部材が知られている。この起伏部材の一例が下記特許文献1に示されている。
下記特許文献1に示されたクレーンの起伏部材は、クレーンの本体に起伏自在となるように取り付けられたブームと、そのブームの先端部に水平軸回りに回動自在となるように取り付けられたジブとを備えている。ブームには、起立したジブが後方へ転倒するのを阻止するためのジブバックストップが設けられている。ジブバックストップは、ブームの先端部に水平軸回りに回動自在となるように基端部が取り付けられ、その先端部でジブを後方から支えてジブの後方への転倒を阻止するバックストップ本体と、そのバックストップ本体の回動範囲を規制するとともにバックストップ本体がジブを後方から支えるときにそのバックストップ本体の姿勢を保持するサポート部材とを備えている。ジブのうち当該ジブが起立した状態で後側を向く背面には、バックストップ受部が設けられている。バックストップ受部は、被係合部を有しており、ジブバックストップがジブの後方への転倒を阻止するときには、バックストップ本体の先端部が当該被係合部に係合してジブを後方から支えるようになっている。
また、ジブの背面のうちバックストップ受部よりもジブの基端側の位置には、係合回避用のアームが取り付けられている。このアームは、起伏部材の分解のためにブーム及びジブを地面に倒伏させる際、ジブバックストップによるジブの回動規制を回避するためにバックストップ受部の被係合部に対するバックストップ本体の先端部の係合を回避させるためのものである。具体的には、アームは、その一端に錘が設けられ、他端がバックストップ本体の先端部側を押し上げて支えるための支持部になっている。また、アームの両端の中間部は、ジブに枢着されており、それによって、アームは、水平軸回りに回動自在となっている。アームは、このような構成により、一端の錘が下側に位置し且つ他端の支持部が上側に位置する姿勢を取るようにジブに対して相対的に回動し、その支持部でバックストップ本体を押し上げる。
ブームとジブを地面に倒伏させるときには、ブームが先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるとともにそのブームに対してジブが屈折してそのジブの先端部が接地した状態から、ブームを地面に向かって倒伏させ、それに伴ってジブの先端部が前方へ移動しつつジブの基端部が降下するという動作が行われる。この動作の過程では、バックストップ本体は、サポート部材によって、先端部が基端部よりも下側に位置するように斜めに延びる姿勢で保持されながら、その先端部がバックストップ受部の被係合部に接近していく。この際、前記アームは、その支持部でバックストップ本体の先端部側を押し上げて当該先端部が被係合部に係合するのを回避させる。これにより、ジブバックストップによってブームに対するジブの相対的な回動が規制されるのを回避し、ブーム及びジブを地面に倒伏させ得るようにしている。
実開昭60−193392号公報
しかしながら、上記従来の起伏部材の構成では、起伏部材の設計上の煩雑さが増大するという問題点がある。その理由は、以下の通りである。
起伏部材のブーム及びジブは、それぞれ、その軸方向に連結された複数のパーツによって構成されるのが通常であり、連結するパーツ数を増減することでブーム及びジブをクレーンの吊り作業の状況に応じた適切な長さに変更する。ブームとジブの長さがそれぞれ変更されると、起伏部材の分解のためにブームとジブを地面へ倒伏させるときのそれらブームとジブの相対的な動きが変化するため、それに応じて、係合回避用のアームが正常に作用するように起伏部材の設計を十分に検討する必要がある。具体的には、ジブに対する係合回避用のアームの取付位置や長さ、そのアームによるジブバックストップ本体の押し上げ位置等の種々の構成を、ブームとジブの長さの組み合わせ毎及びブームとジブの各姿勢毎に綿密に検討する必要がある。このため、起伏部材の設計が非常に煩雑になる。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、起伏部材の設計上の煩雑さを軽減しつつ、クレーンの起伏部材の分解時にジブバックストップによるブームに対するジブの相対的な回動の規制を回避してブームとジブを地面に倒伏できるようにすることである。
上記目的を達成するために、本発明によるクレーンの起伏部材は、クレーンに設けられて吊り作業に用いられる起伏部材であって、前記クレーンの本体に起伏自在となるように取り付けられるブームと、水平軸回りに回動自在となるように前記ブームの先端部に取り付けられるジブと、前記ブームの先端部に設けられ、前記ブームの延びる方向に対して前記ジブが成す角度であるオフセット角度が所定の角度に達したときに前記ジブを後方から支えて当該ジブが後方へ転倒するのを阻止するジブバックストップとを備え、前記ジブバックストップは、前記ジブを後方から支えるバックストップ本体と、前記バックストップ本体と前記ブームの先端部との間に架設され、前記バックストップ本体が前記ジブを支えるときに当該バックストップ本体が後方から前方へ向かって前記ジブに対して斜めに延びる前傾姿勢を取るように当該バックストップ本体を支えるサポート部材とを有し、前記バックストップ本体は、特定方向に延び、一端部が前記ブームの先端部に取り付けられたブーム側部材と、前記特定方向において進退自在となるように前記ブーム側部材に支持され、当該バックストップ本体が前記ジブを後方から支えるときに前記ジブに当接するジブ側端部を有するジブ側部材とを有し、前記ジブは、前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有し、その基端部を中心として水平軸回りに回動するジブ本体と、前記ジブ本体が起立したときに後側を向く当該ジブ本体の背面に設けられ、前記バックストップ本体が前記ジブを後方から支えるときに前記ジブ側端部と係合する被係合部を有するバックストップ受部とを備え、前記ジブ側部材は、前記ジブ側端部が前記被係合部に係合可能となるように前記ブーム側部材側に退避した第1位置と、その第1位置よりも前記ブーム側部材から進出した位置であって前記ジブの回動の中心から前記ジブ側端部までの直線距離が前記ジブの回動の中心から前記被係合部までの直線距離よりも大きくなる第2位置との間で進退自在であり、前記ジブ側部材は、前記ブームが起立した状態で当該ジブ側部材の自重により前記第1位置に配置される一方、前記ブームが地面へ向かって倒伏する過程において、前記バックストップ本体が前記サポート部材により前記ジブ側端部が前記ブーム側部材の前記一端部よりも下側で且つ前記バックストップ受部よりも上側に位置する姿勢に保持されて当該ジブ側部材の自重により前記第2位置へ移動する(請求項1)。
このクレーンの起伏部材では、バックストップ本体のジブ側部材が、ブームが起立した状態で前記第1位置に配置される一方、ブームが地面へ向かって倒伏する過程においてバックストップ本体のジブ側端部がブーム側部材の前記一端部よりも下側で且つバックストップ受部よりも上側に位置する姿勢に保持された状態で前記第2位置へ移動する。このため、ブームが先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるとともにそのブームに対してジブが屈折して当該ジブの先端部が接地した状態からブームが地面へ向かって倒伏し、ジブの先端部が前方へ移動しつつジブの基端部が降下する過程において、ジブ側端部がバックストップ受部に接近したときには、ジブ側端部は、被係合部よりもジブの先端側に位置しており、被係合部に係合しない。このため、前記過程において、ブームに対するジブのオフセット角度がジブバックストップによって規制される角度を超えて小さくなるようにジブをブームに対して相対的に回動させることができ、ブームとジブを地面に倒伏させることができる。しかも、このクレーンの起伏部材では、ブームとジブの長さの組み合わせが変更されて前記過程におけるブームとジブの相対的な動き及びバックストップ本体のジブ側端部がバックストップ受部に近接するタイミングが変化しても、ジブ側端部は、バックストップ受部に近接する時点では既に被係合部よりもジブの先端部側に進出しているので、ブームとジブの長さの組み合わせにかかわらず、前記過程においてバックストップ受部の被係合部に対するバックストップ本体のジブ側端部の係合を回避できる。このため、本構成では、従来の係合回避用のアームを用いる場合のようにブームとジブの長さの組み合わせに対応してジブに対する係合回避用のアームの取付位置や長さ、そのアームによるジブバックストップの押し上げ位置等の構成を種々検討するような設計上の手間を削減することができる。従って、本構成では、起伏部材の設計上の煩雑さを軽減しつつ、起伏部材の分解時にジブバックストップによるブームに対するジブの相対的な回動の規制を回避してブームとジブを地面に倒伏させることができる。
また、本発明によるクレーンの起伏部材は、クレーンに設けられて吊り作業に用いられる起伏部材であって、前記クレーンの本体に起伏自在となるように取り付けられるブームと、水平軸回りに回動自在となるように前記ブームの先端部に取り付けられるジブと、前記ブームの先端部に設けられ、前記ブームの延びる方向に対して前記ジブが成す角度であるオフセット角度が所定の角度に達したときに前記ジブを後方から支えて当該ジブが後方へ転倒するのを阻止するジブバックストップとを備え、前記ジブバックストップは、前記ジブを後方から支えるときに前記ジブに当接するジブ側端部を有し、前記ジブは、前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有し、その基端部を中心として水平軸回りに回動するジブ本体と、前記ジブ本体が起立したときに後側を向く当該ジブ本体の背面に設けられ、前記ジブバックストップが前記ジブを後方から支えるときに前記ジブ側端部と係合する被係合部を有するバックストップ受部と、前記ジブ側端部が前記被係合部に係合不能となるように前記被係合部を覆う遮蔽位置とその遮蔽位置から前記ジブの基端部側へ離れた位置であって前記ジブ側端部が前記被係合部に係合可能となるように前記被係合部を露出させる露出位置との間でスライド可能となるように前記バックストップ受部に取り付けられたカバーとを備え、前記カバーは、前記ジブが起立した状態では当該カバーの自重により前記露出位置に配置される一方、前記ジブの先端部が前記ジブの基端部よりも下側に位置するように前記ジブが倒伏されるのに伴って当該カバーの自重により前記遮蔽位置へ移動する(請求項2)。
このクレーンの起伏部材では、カバーが、ジブが起立した状態において前記露出位置に配置される一方、ジブの先端部がジブの基端部よりも下側に位置するようにジブが倒伏されるのに伴って当該カバーの自重により前記遮蔽位置へ移動するため、先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるブームに対してジブが屈折して当該ジブの先端部が接地した状態になったときには、カバーは、前記遮蔽位置に配置される。このため、その後、ブームが地面へ向かって倒伏し、ジブの先端部が前方へ移動しつつジブの基端部が降下する過程においてジブバックストップのジブ側端部がバックストップ受部に接近していっても被係合部に係合するのを阻止できる。その結果、前記過程において、ブームに対するジブのオフセット角度がジブバックストップによって規制される角度を超えて小さくなるようにジブをブームに対して相対的に回動させることができ、ブームとジブを地面に倒伏させることができる。しかも、このクレーンの起伏部材では、ブームとジブの長さの組み合わせが変更されて前記過程におけるブームとジブの相対的な動き及びジブバックストップのジブ側端部がバックストップ受部に近接するタイミングが変化しても、その過程の前の時点でカバーが前記遮蔽位置に配置されているので、ブームとジブの長さの組み合わせにかかわらず、前記過程においてバックストップ受部の被係合部に対するジブバックストップのジブ側端部の係合を阻止できる。このため、本構成では、従来の係合回避用のアームを用いる場合のようにブームとジブの長さの組み合わせに対応してジブに対する係合回避用のアームの取付位置や長さ、そのアームによるジブバックストップの押し上げ位置等の構成を種々検討するような設計上の手間を削減することができる。従って、本構成では、起伏部材の設計上の煩雑さを軽減しつつ、起伏部材の分解時にジブバックストップによるブームに対するジブの相対的な回動の規制を回避してブームとジブを地面に倒伏させることができる。
このクレーンの起伏部材において、前記バックストップ受部は、前記被係合部に対して前記ジブの先端部側の位置に設けられ、前記被係合部よりも前記ジブ本体の前記背面から離れた位置に配置された端面を有し、前記カバーは、前記ブームがその先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるとともにそのブームに対して前記ジブが屈折して当該ジブの先端部が接地した状態から前記ブームが地面へ向かって倒伏し、前記ジブの先端部が前方へ移動しつつ前記ジブの基端部が降下する過程において、当該カバーが前記遮蔽位置に配置された状態で前記ジブ側端部と接触する接触面を有し、前記接触面は、前記ジブの先端部側へ向かうにつれて前記ジブの背面から遠ざかるように延びる斜面であり、前記カバーが前記遮蔽位置に配置された状態で前記バックストップ受部の前記端面に連続する前記ジブの先端部側の端部を有することが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、前記過程において、ジブバックストップのジブ側端部がカバーの接触面に接触するとともに、その接触面の傾斜に沿ってジブの先端部側へスムーズにバックストップ受部を乗り越えることができる。
以上説明したように、本発明によれば、クレーンの起伏部材の設計上の煩雑さを軽減しつつ、起伏部材の分解時にジブバックストップによるブームに対するジブの相対的な回動の規制を回避してブームとジブを地面に倒伏させることができる。
本発明の第1実施形態による起伏部材が適用されるクレーンの作業姿勢を示す概略的な側面図である。 図1に示したクレーンにおいて起伏部材が屈折した状態を示す概略的な側面図である。 図1に示したクレーンにおいて起伏部材が地面に倒伏した状態を示す概略的な側面図である。 第1実施形態による起伏部材においてジブバックストップがバックストップ受部の被係合部に係合した状態を示すブームの先端部及びジブの基端部近傍の側面図である。 第1実施形態によるジブバックストップのバックストップアウタの側面図である。 第1実施形態によるジブバックストップのバックストップインナの側面図である。 図6に示したバックストップインナの上面図である。 第1実施形態による起伏部材においてジブバックストップがバックストップ受部の被係合部に係合してバックストップ本体が最も収縮した状態を示す図4相当図である。 第1実施形態による起伏部材のブームとジブを倒伏させるときにバックストップ本体が伸長した状態を示すブームの先端部及びジブの基端部近傍の側面図である。 図9の状態からさらにブームとジブを倒伏させた状態を示す図である。 図10の状態からさらにブームとジブを倒伏させた状態を示す図である。 本発明の第2実施形態による起伏部材においてジブバックストップがバックストップ受部の被係合部に係合した状態を示すブームの先端部及びジブの基端部近傍の側面図である。 第2実施形態による起伏部材のブームとジブを倒伏させるときのブームの先端部及びジブの基端部近傍の側面図である。 図13の状態からさらにブームとジブを倒伏させた状態を示す図である。 図14の状態からさらにブームとジブを倒伏させた状態を示す図である。 第2実施形態によるバックストップ受部及びカバーの側面図である。 第2実施形態によるバックストップ受部の側面図である。 第2実施形態によるカバーの側面図である。 第2実施形態によるカバーをジブの先端側から見た図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図11を参照して、本発明の第1実施形態によるクレーンの起伏部材1について説明する。
この第1実施形態による起伏部材1は、図1〜図3に示すようなクレーンに適用される。なお、図1〜図3は、クレーンの概略的な構成を示すものであり、起伏部材1の後述するジブバックストップ12及びバックストップ受部16については図示を省略している。起伏部材1が適用されるクレーンは、クローラ式の下部走行体2と、その下部走行体2上に縦軸回りに旋回自在となるように搭載された上部旋回体3とを備えている。上部旋回体3は、本発明のクレーンの本体の概念に含まれるものであり、起伏部材1は、この上部旋回体3に設けられている。
起伏部材1は、吊荷の吊り作業に用いられるものであり、その先端から吊り下げたフック装置6により吊荷を吊るようになっている。起伏部材1は、ブーム8と、ジブ10と、一対のジブバックストップ12(図4参照)とを備えている。
ブーム8は、上部旋回体3に起伏自在となるように取り付けられている。ブーム8は、その軸方向に連結された複数の単位ブームからなり、各単位ブームは、4本の主柱材とその4本の主柱材のうち隣り合うもの同士をラチス構造を成すように連結する複数の副材とを有する。ブーム8は、水平軸回りに回動自在となるように上部旋回体3に取り付けられた基端部を有しており、その基端部を支点として起伏するようになっている。
ジブ10は、水平軸回りに回動自在となるようにブーム8の先端部8aに取り付けられている。ジブ10は、ジブ本体14と、一対のバックストップ受部16(図4参照)とを有する。
ジブ本体14は、その軸方向に連結された複数の単位ジブからなり、各単位ジブは、ジブ本体14の軸方向に直交する断面において方形の各頂点に相当する位置に配置された4本の主柱材14aと、その4本の主柱材14aのうち隣り合うもの同士をラチス構造を成すように連結する複数の副材14bとを有する。また、ジブ本体14は、ブーム8の先端部8aに取り付けられた基端部14cを有する。この基端部14cは、ブーム8の先端部8aのうちブーム8が起立したときに前方へ突出する部位に取り付けられている。ジブ本体14は、その基端部14cを中心として水平軸回り(ブーム8の回動軸と平行な軸回り)に回動自在となっている。また、ジブ本体14は、基端部14cと反対側の端部である先端部14d(図1参照)を有している。この先端部14dは、図2に示すように当該先端部14dが接地するときに地面に対して当該先端部14dを支えるローラ14eを備えている。
一対のバックストップ受部16(図4参照)は、一対のジブバックストップ12が後述するようにジブ10を後方から支えるときにそれらのバックストップ本体20のジブ側端部20mを受け止めるためのものである。各バックストップ受部16は、ジブ本体14が起立した状態で後側を向くジブ本体14の背面のうち基端部14c近傍の位置に設けられている。具体的には、ジブ本体14の最も基端側の単位ジブを構成する4本の主柱材14aのうちジブ本体14が起立した状態で後側に配置される2本の主柱材14aの後側を向く面に、バックストップ受部16がそれぞれ取り付けられている。両バックストップ受部16の構成は共通しているため、以下、一方のバックストップ受部16の構成について代表して説明する。
バックストップ受部16は、所定の厚みを有する板材からなり、当該バックストップ受部16が取り付けられる主柱材14aの前記後側を向く面に立設されている。バックストップ受部16は、当該バックストップ受部16が取り付けられる主柱材14aの延びる方向(軸方向)に沿って延びており、基端側部位16aと、被係合部16b(図9参照)と、先端側部位16cとを有する。
基端側部位16aは、バックストップ受部16のうちジブ10の基端寄りに位置する部位である。被係合部16bは、バックストップ受部16においてこの基端側部位16aに対してジブ10の先端側に配置されている。また、先端側部位16cは、バックストップ受部16のうち被係合部16bに対してジブ10の先端側に配置された部位である。先端側部位16cの主柱材14aに対する取付面から反対側の端面までの幅は、基端側部位16aの主柱材14aに対する取付面から反対側の端面までの幅よりも大きく、それによって、先端側部位16cと基端側部位16aとの間には段差が形成されている。この段差部分によって被係合部16bが形成されている。被係合部16bは、後述のバックストップ本体20がジブ10を後方から支えるときにそのバックストップ本体20のジブ側端部20mと係合するものである。
一対のジブバックストップ12は、ブーム8が起立した状態で、ブーム8の延びる方向(軸線方向)に対してジブ10の延びる方向(ジブ本体14の軸線方向)が成す角度であるオフセット角度が所定の角度に達したときに、ジブ10を後方から支えてそのジブ10が後方へ転倒するのを阻止するものである。一対のジブバックストップ12は、ブーム8の先端部8aに設けられている。具体的には、これらのジブバックストップ12は、ブーム8の先端部8aのうちジブ本体14の基端部14cが取り付けられた箇所よりもブーム8が起立したときに後側に位置する箇所に取り付けられている。また、各ジブバックストップ12は、ジブ本体14の回動軸の延びる方向において各バックストップ受部16が配置された位置と対応する位置にそれぞれ配置されている。両ジブバックストップ12の構成は共通しているため、以下、一方のジブバックストップ12の構成について代表して説明する。
ジブバックストップ12は、バックストップ本体20と、サポート部材22とを有する。
バックストップ本体20は、伸縮自在となるように構成され、収縮した状態でジブ10を後方から支えるものである。バックストップ本体20は、バックストップアウタ20aと、バックストップインナ20bと、ピン20cと、バネ部材20dとを有する。
バックストップアウタ20aは、本発明のブーム側部材の概念に含まれるものである。バックストップアウタ20aは、特定方向に延びており、その一端部がブーム8の先端部8aに取り付けられている。バックストップアウタ20aは、図5に示すように、略円筒状のアウタ本体20eと、ブーム側端部20fと、アウタ側鍔部20gと、接続部20hとを有する。
ブーム側端部20fは、バックストップアウタ20aの前記一端部に相当し、アウタ本体20eの一端部に設けられている。ブーム側端部20fは、ジブ10の回動軸と平行な軸回りに回動自在となるようにブーム8の先端部8aに取り付けられており、バックストップアウタ20aは、このブーム側端部20fを中心としてブーム8の先端部8aに対して回動可能となっている。アウタ本体20eのブーム側端部20fと反対側の端部である他端部は、開口している。また、アウタ本体20eには、当該アウタ本体20eをその径方向に貫通する貫通穴20iが設けられている。アウタ側鍔部20gは、環状の円板からなり、アウタ本体20eの他端部近傍の部位に外嵌されて固定されている。前記貫通穴20iは、このアウタ側鍔部20gの固定部位よりもブーム側端部20f側の位置に配設されている。接続部20hは、サポート部材22を接続するためのものであり、アウタ本体20eのうちアウタ側鍔部20gのブーム側端部20f側に近接した位置に設けられている。
バックストップインナ20bは、本発明のジブ側部材の概念に含まれるものである。バックストップインナ20bは、バックストップアウタ20aが延びる方向(アウタ本体20eの軸方向)において当該バックストップアウタ20aに対して進退自在となるように当該バックストップアウタ20aに支持されている。バックストップインナ20bは、図6及び図7に示すように、インナ本体20jと、インナ側鍔部20kと、ジブ側端部20mとを有する。
インナ本体20jは、アウタ本体20eの内径よりも僅かに小さい外径を有しており、アウタ本体20eの前記他端部の開口を通じてその一端部側からアウタ本体20e内に挿嵌されている。インナ本体20jのうちアウタ本体20e内に挿嵌される部位の特定範囲には、長穴20nが形成されている。この長穴20nは、インナ本体20jをその径方向に貫通しているとともにインナ本体20jの軸方向に延びている。インナ側鍔部20kは、環状の円板からなり、インナ本体20jのうちアウタ本体20e内に挿嵌される部位よりも当該インナ本体20jの他端部寄りの部位に外嵌されて固定されている。
ジブ側端部20mは、バックストップ本体20がジブ10を後方から支えるときにジブ10に当接する部位である。具体的には、ジブ側端部20mは、バックストップ本体20がジブ10を後方から支えるときにバックストップ受部16の被係合部16bに係合する。このジブ側端部20mは、インナ本体20jのうちアウタ本体20e内に挿嵌される一端部と反対側の端部である他端部に配設されている。ジブ側端部20mは、側方から見て先端が円弧状の板体であるセンタープレート20oと、そのセンタープレート20oを板厚方向の両側から挟み込んだ状態で当該センタープレート20oに結合された一対のサイドプレート20pと、両サイドプレート20pから外側に張り出すようにそのサイドプレート20pに取り付けられた一対のガイド部材20qとを有する。両サイドプレート20pは、センタープレート20oの先端の円弧状の外周よりも一回り大きい外周形状を有している。ジブ側端部20mがバックストップ受部16の被係合部16bに係合するときには、センタープレート20oの先端の外周面が被係合部16bのうちジブ10の基端側を向く面に当接するとともに、両サイドプレート20pのうちセンタープレート20oの外周からはみ出た部分同士の間に被係合部16bが配置された状態になる。一対のガイド部材20qは、ジブ側端部20mが被係合部16bに係合するときに側方へ多少ぶれた場合でも、そのジブ側端部20mを被係合部16bに対する適切な係合位置に導くためのものである。
ピン20cは、アウタ本体20eの貫通穴20i及びインナ本体20jの長穴20nに挿嵌されて抜け止めされている。このピン20cにより、バックストップインナ20bがバックストップアウタ20aに対して進退するときの移動範囲が、長穴20nの長さに相当する範囲に規制されている。具体的には、バックストップインナ20bがバックストップアウタ20aから進出するときには、ピン20cが長穴20nのジブ側端部20mと反対側の端縁に当接することによりバックストップインナ20bがそれ以上進出するのが規制され、バックストップインナ20bがバックストップアウタ20a側に退避するときには、ピン20cが長穴20nのジブ側端部20m側の端縁に当接することによりバックストップインナ20bがそれ以上バックストップアウタ20aのブーム側端部20f側へ退避するのが規制されるようになっている。
バックストップインナ20bは、ジブ側端部20mが被係合部16bに係合可能となるようにバックストップアウタ20a側に退避した第1位置(図4参照)と、その第1位置よりもバックストップアウタ20aから進出した位置であってジブ10の回動の中心からジブ側端部20mのセンタープレート20oの先端面までの直線距離D1(図9参照)がジブ10の回動の中心から被係合部16bのジブ10の基端側を向く面までの直線距離D2よりも大きくなる第2位置との間で進退自在となっている。なお、バックストップインナ20bが前記第1位置に配置された状態では、ピン20cは長穴20nのジブ側端部20m側の端縁の少し手前の位置に配置されており、ジブ10の回動の中心からジブ側端部20mのセンタープレート20oの先端面までの直線距離がジブ10の回動の中心から被係合部16bのジブ10の基端側を向く面までの直線距離と等しくなっている。また、バックストップインナ20bが前記第2位置に配置された状態では、ピン20cは長穴20nのジブ側端部20mと反対側の端縁に当接するようになっている。
バネ部材20d(図4参照)は、ジブバックストップ12のバックストップ本体20がジブ10を後方から支えるときにそのジブ10からバックストップインナ20bに加えられる力に対抗するためのものである。このバネ部材20dは、コイルバネからなり、アウタ側鍔部20gとインナ側鍔部20kとの間でバックストップアウタ20a及びバックストップインナ20bに外嵌されている。バックストップ本体20がジブ10を後方から支えるときにジブ10からバックストップインナ20bに力が加えられると、バネ部材20dは、インナ側鍔部20kによって押し縮められる。
サポート部材22は、バックストップ本体20のバックストップアウタ20aとブーム8の先端部8aとの間に架設され、バックストップ本体20がジブ10を後方から支えるときにそのバックストップ本体20の姿勢を保持するように当該バックストップ本体20を支えるものである。具体的には、サポート部材22は、バックストップ本体20がジブ10を後方から支えるときに、バックストップ本体20がジブ側端部20m側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるとともにジブ10の軸方向に対して斜めに延びる姿勢を維持するように当該バックストップ本体20を下側から支える。また、サポート部材22は、伸縮可能となるように構成されている。具体的には、サポート部材22は、ブーム8の先端部8aにバックストップ本体20(バックストップアウタ20a)の回動軸と平行に延びる軸回りに回動可能となるように取り付けられた基端部を有するサポートアウタ22aと、そのサポートアウタ22aに対して軸方向に進退自在となるように当該サポートアウタ22aに支持されたサポートインナ22bとを有する。サポートアウタ22aの基端部は、ブーム8の先端部8aのうちバックストップアウタ20aのブーム側端部20fが取り付けられた箇所とジブ10の基端部14cが取り付けられた箇所との間に位置する箇所に取り付けられている。サポートインナ22bは、サポートアウタ22aの基端部と反対側の先端部側からサポートアウタ22a内に挿嵌されている。サポートインナ22bのうちサポートアウタ22aに挿嵌された側と反対側の端部は、サポートアウタ22aの基端部の回動軸と平行に延びる軸回りに回動可能となるようにバックストップアウタ20aの接続部20hに接続されている。
次に、本発明の第1実施形態による起伏部材1の動作について説明する。
クレーンによる作業時には、ブーム8が起立されている。この状態では、サポート部材22は、最も収縮した状態にあり、このサポート部材22によってバックストップ本体20がジブ側端部20m側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びる姿勢で支持されている。このとき、バックストップインナ20bは、自重により、バックストップアウタ20a側に退避して第1位置に配置されている。この状態で、ジブ10が起立していき、ブーム8に対するジブ10のオフセット角度がジブバックストップ12による規制角度に近づくと、図4に示すように、バックストップ受部16の被係合部16bがバックストップインナ20bのジブ側端部20mと係合する。この状態からさらにジブ10が起立すると、ジブ10からバックストップインナ20bに荷重が加えられ、それによって、バックストップインナ20bは、バネ部材20dを収縮させながらブーム側端部20f側へ退避する(図8参照)。このとき、バックストップインナ20bは、バネ部材20dを最も収縮させるとともにピン20cが長穴20nのジブ側端部20m側の端縁に当接する位置まで退避する。この状態で、バックストップ本体20は、ジブ10を後方から支え、ジブ10のそれ以上の後方への回動が阻止される。
一方、起伏部材1の分解作業を行うときには、図2に示すように、ブーム8が、先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように前方斜め上へ延びる姿勢をとり、そのブーム8に対してジブ10が屈折してそのジブ10の先端部14dのローラ14eが接地した状態にされる。この状態から、ブーム8が地面へ向かって徐々に倒伏され、それに伴って、ローラ14eが転動しつつジブ10の先端部14dが前方へ移動し、且つ、ジブ10の基端部14cが降下していく。この過程で、バックストップ本体20は、図9に示すように、最も収縮したサポート部材22によって支えられながら、ジブ側端部20mがブーム側端部20fよりも下側に位置するように傾いた姿勢をとる。そして、バックストップ本体20の傾きが所定の角度を越えると、バックストップインナ20bは、自重によりバックストップアウタ20aから最大の進出位置である第2位置へ進出する。すなわち、バックストップ本体20の傾斜角度が、バックストップインナ20bの自重によって作用する力がバックストップインナ20bの進出に対する抵抗力(ピン20cと長穴20nの縁部との間の摩擦力及びバックストップアウタ20aとバックストップインナ20bとの間の摩擦力等)を上回るような角度に達すると、バックストップインナ20bは第2位置へ進出する。バックストップインナ20bが第2位置に進出した状態では、ジブ10の回動の中心からジブ側端部20mのセンタープレート20oの先端面までの直線距離D1がジブ10の回動の中心からバックストップ受部16の被係合部16bまでの直線距離D2よりも大きくなる。また、このとき、バックストップ本体20は、最も収縮したサポート部材22により下側から支えられてジブ側端部20mがバックストップ受部16よりも上側に位置するような姿勢に保持されている。
その後、ブーム8がさらに地面へ向かって倒伏されると、図10に示すように、バックストップ本体20のジブ側端部20mが、バックストップ受部16に接近し、当該ジブ側端部20mのセンタープレート20oの外周面がバックストップ受部16の先端側部位16cの主柱材14aに対する取付面と反対側の端面に接触する。この時点で、ジブ側端部20mのセンタープレート20oの先端面は、被係合部16bを越えてジブ10の先端部14d側に位置するので、ジブ側端部20mが被係合部16bに係合することはなく、ジブバックストップ12によりジブ10の回動が阻止されるのが回避される。その結果、ブーム8に対するジブ10のオフセット角度がジブバックストップ12によって規制される所定の角度よりも小さくなることが可能になり、ブーム8及びジブ10は図3に示すように地面に完全に倒伏され、バックストップインナ20bのジブ側端部20mは、図11に示すように、その先端がバックストップ受部16をジブ10の先端部14側に乗り越えた位置に配置される。そして、ブーム8及びジブ10が完全に倒伏された状態で、ブーム8及びジブ10の分解作業が行われる。
この第1実施形態では、ブーム8がその先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるとともにそのブーム8に対してジブ10が屈折して当該ジブ10の先端部14dが接地した状態からブーム8が地面へ向かって倒伏し、ジブ10の先端部14dが前方へ移動しつつジブ10の基端部14cが降下する過程において、ジブ側端部20mがバックストップアウタ20aのブーム側端部20fよりも下側で且つバックストップ受部16よりも上側に位置するような姿勢でバックストップ本体20が保持された状態で、ジブ側端部20mが、ジブ10の回動の中心からジブ側端部20mまでの直線距離がジブ10の回動の中心から被係合部16bまでの直線距離よりも大きくなる第2位置に進出する。このため、前記過程においてジブ側端部20mがバックストップ受部16に接近したときには、ジブ側端部20mは、被係合部16bよりもジブ10の先端側に位置しており、被係合部16bに係合しない。このため、前記過程において、ブーム8に対するジブ10のオフセット角度がジブバックストップ12によって規制される角度を超えて小さくなるようにジブ10をブーム8に対して相対的に回動させることができ、ブーム8とジブ10を地面に倒伏させることができる。
しかも、この第1実施形態では、ブーム8とジブ10の長さの組み合わせが変更されて前記過程におけるブーム8とジブ10の相対的な動き及びバックストップインナ20bのジブ側端部20mがバックストップ受部16に近接するタイミングが変化しても、ジブ側端部20mは、バックストップ受部16に近接するときには既に被係合部16bよりもジブ10の先端部14d側に進出しているので、ブーム8とジブ10の長さの組み合わせにかかわらず、前記過程においてバックストップ受部16の被係合部16bに対するジブ側端部20mの係合を回避できる。このため、当該第1実施形態では、従来の係合回避用のアームを用いる場合のようにブームとジブの長さの組み合わせに対応してジブに対する係合回避用のアームの取付位置や長さ、そのアームによるジブバックストップ本体の押し上げ位置等の構成を種々検討するような設計上の手間を削減することができる。従って、当該第1実施形態では、起伏部材1の設計上の煩雑さを軽減しつつ、起伏部材1の分解時にジブバックストップ12によるブーム8に対するジブ10の相対的な回動の規制を回避してブーム8とジブ10を地面に倒伏させることができる。
(第2実施形態)
次に、図12〜図19を参照して、本発明の第2実施形態によるクレーンの起伏部材1の構成について説明する。
この第2実施形態によるクレーンの起伏部材は、ブーム8及びジブ10を地面に向かって倒伏させていく過程でバックストップインナ20bのジブ側端部20mがバックストップ受部16の被係合部16bに係合するのを阻止するためのカバー30を備えている。
カバー30は、バックストップ受部16の長手方向に移動可能となるようにそのバックストップ受部16に取り付けられている。詳しくは、カバー30は、バックストップインナ20bのジブ側端部20mがバックストップ受部16の被係合部16bに係合不能となるように被係合部16bを覆う遮蔽位置(図13参照)とその遮蔽位置からジブ10の基端部14c側へ離れた位置であってジブ側端部20mが被係合部16bに係合可能となるように当該被係合部16bを露出させる露出位置(図12参照)との間でスライド可能となるようにバックストップ受部16の基端側部位16aに取り付けられている。
当該第2実施形態では、バックストップ受部16の基端側部位16aの長さは、上記第1実施形態における同部位の長さに比べて大きくなっている。そして、この基端側部位16aには、その長手方向に延びる長穴16e(図17参照)が設けられている。カバー30は、図19に示すように、互いに間隔をあけて配置された一対の脚部30aと、それら両脚部30aの上端同士を繋ぐ連結部30bとを有しており、それら一対の脚部30a及び連結部30bは一体に形成されている。カバー30は、その一対の脚部30aがバックストップ受部16の基端側部位16aの板厚方向における両側に分かれて配置されて当該基端側部位16aに跨るように配置されている。カバー30の両脚部30aの互いに対応する位置には、貫通穴30c(図18参照)が設けられており、この両脚部30aの貫通穴30cと前記基端側部位16aの長穴16eに取付ピン32が挿入されている。この取付ピン32は、図略の抜け止め部材によってカバー30に固定されている。
カバー30は、前記遮蔽位置では、取付ピン32が長穴16eのジブ10の先端部14d側の端縁に当接するとともに当該カバー30のジブ10の先端部14d側の端部が被係合部16bのうちジブ10の基端部14c側を向く面に当接し、前記露出位置では、取付ピン32が長穴16eのジブ10の基端部14c側の端縁に当接するように配置される。また、カバー30は、ジブ10がその基端部14cよりも先端部14dが上側に位置するような姿勢を取るときには、当該カバー30の自重によりジブ10の基端部14c側へ移動して前記露出位置に配置され、ジブ10がその先端部14dよりも基端部14cが上側に位置するような姿勢をとるときには、当該カバー30の自重によりジブ10の先端部14d側へ移動して前記遮蔽位置に配置される。
カバー30の連結部30bは、ブーム8がその先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるとともにそのブーム8に対してジブ10が屈折して当該ジブ10の先端部14dが接地した状態からブーム8が地面へ向かって倒伏し、ジブ10の先端部14dが前方へ移動しつつジブ10の基端部14cが降下する過程において、バックストップインナ20bのジブ側端部20mのセンタープレート20oの先端の外周面と接触する接触面30eを有している。この接触面30eは、連結部30bのうち脚部30aと反対側に位置する端面であり、ジブ10の先端部14d側へ向かうにつれてジブ10の背面から遠ざかるように斜めに延びる斜面である。また、接触面30eは、図16に示すように、カバー30が前記遮蔽位置に配置された状態でバックストップ受部16の先端側部位16cの主柱材14aに対する取付面と反対側の端面に連続するジブ10の先端部14d側の端部を有する。また、接触面30eは、カバー30が前記遮蔽位置に配置された状態でバックストップ受部16の基端側部位16aの主柱材14aに対する取付面と反対側の端面に接するジブ10の基端部14c側の端部を有する。また、接触面30eは、バックストップ受部16の板厚と略等しい幅を有する。また、カバー30の連結部30bは、図19に示すように、その接触面30eから脚部30a側へ向かうにつれて幅が徐々に大きくなるように構成されている。接触面30eがジブ側端部20mのセンタープレート20oの先端の外周面と接触した状態では、連結部30bの接触面30e近傍の部分がジブ側端部20mの一対のサイドプレート20pのうちセンタープレート20oの外周からはみ出た部分同士の間に配置されるようになっている。
なお、この第2実施形態では、上記第1実施形態と比べて、バックストップアウタ20aからのバックストップインナ20bの最大の進出距離が小さくなっている。具体的には、当該第2実施形態では、バックストップインナ20bは、バックストップアウタ20aから、アウタ側鍔部20gとインナ側鍔部20kとの間の間隔が最も伸長した状態のバネ部材20dの長さに略等しくなるような位置までしか進出しないようになっている。すなわち、インナ本体20jの長穴20nの形成範囲が、バックストップインナ20bのこの進出距離の条件を満たすような範囲に設定されている。
この第2実施形態による起伏部材1の上記以外の構成は、上記第1実施形態による起伏部材1と同様である。
次に、本発明の第2実施形態による起伏部材1の動作について説明する。
まず、クレーンによる作業時には、ブーム8及びジブ10が起立されている。この状態では、カバー30が自重によって前記露出位置に配置され、バックストップ受部16の被係合部16bが露出した状態になっている。これにより、ブーム8に対するジブ10のオフセット角度がジブバックストップ12によって規制される所定の角度に達するまでジブ10が起立された場合には、図12に示すように、バックストップインナ20bのジブ側端部20mが被係合部16bに係合して上記第1実施形態と同様にジブ10のそれ以上の後方への回動が阻止される。
一方、起伏部材1の分解時には、上記第1実施形態と同様、ブーム8が先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びる姿勢をとり、そのブーム8に対してジブ10が屈折してそのジブ10の先端部14dのローラ14eが接地される。この状態で、カバー30は、自重により前記遮蔽位置に配置される。これにより、その後、ブーム8が地面へ向かって倒伏されるとともに、ジブ10の先端部14dが前方へ移動しつつジブ10の基端部14cが降下する過程において、カバー30は、図13〜図15に示すように前記遮蔽位置に維持され、バックストップインナ20bのジブ側端部20mが被係合部16bに係合するのが阻止される。具体的には、この過程において、図14に示すように、ジブ側端部20mのセンタープレート20oの先端面がカバー30の接触面30eに接触し、その後、ジブ側端部20mは、接触面30eに沿ってバックストップ受部16の先端側部位16c側へ滑り、さらに、図15に示すように先端側部位16cの主柱材14aに対する取付面と反対側の端面上をジブ10の先端部14d側へ滑る。このようにして、バックストップ受部16の被係合部16bに対するジブ側端部20mの係合が回避され、ブーム8及びジブ10が地面に倒伏される。
この第2実施形態では、先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるブーム8に対してジブ10が屈折してジブ10の先端部14dが接地した状態になったときには、カバー30が自重により遮蔽位置に配置され、その後、ブーム8が地面へ向かって倒伏し、ジブ10の先端部14dが前方へ移動しつつジブ10の基端部14cが降下する過程では、そのカバー30により、バックストップインナ20bのジブ側端部20mがバックストップ受部16に接近していっても被係合部16bに係合するのが阻止される。このため、前記過程において、ブーム8に対するジブ10のオフセット角度がジブバックストップ12によって規制される角度を超えて小さくなるようにジブ10をブーム8に対して相対的に回動させることができ、ブーム8とジブ10を地面に倒伏させることができる。
しかも、この第2実施形態では、ブーム8とジブ10の長さの組み合わせが変更されて前記過程におけるブーム8とジブ10の相対的な動き及びバックストップインナ20bのジブ側端部20mがバックストップ受部16に近接するタイミングが変化しても、その過程の前の時点でカバー30が遮蔽位置に配置されているので、ブーム8とジブ10の長さの組み合わせにかかわらず、前記過程においてバックストップ受部の被係合部に対するバックストップ本体のジブ側端部の係合を阻止できる。このため、この第2実施形態では、従来の係合回避用のアームを用いる場合のようにブームとジブの長さの組み合わせに対応してジブに対する係合回避用のアームの取付位置や長さ、そのアームによるジブバックストップ本体の押し上げ位置等の構成を種々検討するような設計上の手間を削減することができる。従って、第2実施形態では、起伏部材1の設計上の煩雑さを軽減しつつ、起伏部材1の分解時にジブバックストップ12によるブーム8に対するジブ10の相対的な回動の規制を回避してブーム8とジブ10を地面に倒伏させることができる。
また、第2実施形態では、カバー30の接触面30eは、ジブ10の先端部14d側へ向かうにつれてジブ10の背面から遠ざかるように延びる斜面であり、カバー30が遮蔽位置に配置された状態でバックストップ受部16の先端側部位16cの主柱材14aに対する取付面と反対側の端面に連続するジブ10の先端部14d側の端部を有するため、ブーム8が地面へ向かって倒伏し、ジブ10の先端部14dが前方へ移動しつつジブ10の基端部14cが降下する過程において、バックストップインナ20bのジブ側端部20mがカバー30の接触面30eに接触するとともに、その接触面30eの傾斜に沿ってジブ10の先端部14d側へスムーズにバックストップ受部16を乗り越えることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、ブームの先端部に取り付けられるバックストップ本体のブーム側部材がアウタで、そのブーム側部材によって進退自在となるように支持されるジブ側部材がインナであるが、これら両部材はインナとアウタが逆に構成されていてもよい。すなわち、ブーム側部材がインナで、ジブ側部材がアウタであってもよい。
また、上記第1実施形態では、ブーム及びジブが地面に向かって倒伏する過程において、バックストップインナのジブ側端部がバックストップ受部の先端側部位の主柱材に対する取付面と反対側の端面に接触しながらジブの先端側へ移動するが、このような構成に限定されない。すなわち、バックストップ本体がサポート部材によってジブ側端部がもう少し上側に位置するように支えられ、ジブ側端部がバックストップ受部に接触せずにその上方を通過するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態において、上記第1実施形態と同様にバックストップインナがバックストップアウタから進出できるようにしてもよい。
1 起伏部材
8 ブーム
8a 先端部
10 ジブ
12 ジブバックストップ
14 ジブ本体
16 バックストップ受部
16b 被係合部
20 バックストップ本体
20a バックストップアウタ(ブーム側部材)
20b バックストップインナ(ジブ側部材)
20m ジブ側端部
22 サポート部材
30 カバー
30e 接触面

Claims (3)

  1. クレーンに設けられて吊り作業に用いられる起伏部材であって、
    前記クレーンの本体に起伏自在となるように取り付けられるブームと、
    水平軸回りに回動自在となるように前記ブームの先端部に取り付けられるジブと、
    前記ブームの先端部に設けられ、前記ブームの延びる方向に対して前記ジブが成す角度であるオフセット角度が所定の角度に達したときに前記ジブを後方から支えて当該ジブが後方へ転倒するのを阻止するジブバックストップとを備え、
    前記ジブバックストップは、前記ジブを後方から支えるバックストップ本体と、前記バックストップ本体と前記ブームの先端部との間に架設され、前記バックストップ本体が前記ジブを支えるときに当該バックストップ本体が後方から前方へ向かって前記ジブに対して斜めに延びる前傾姿勢を取るように当該バックストップ本体を支えるサポート部材とを有し、
    前記バックストップ本体は、特定方向に延び、一端部が前記ブームの先端部に取り付けられたブーム側部材と、前記特定方向において進退自在となるように前記ブーム側部材に支持され、当該バックストップ本体が前記ジブを後方から支えるときに前記ジブに当接するジブ側端部を有するジブ側部材とを有し、
    前記ジブは、前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有し、その基端部を中心として水平軸回りに回動するジブ本体と、前記ジブ本体が起立したときに後側を向く当該ジブ本体の背面に設けられ、前記バックストップ本体が前記ジブを後方から支えるときに前記ジブ側端部と係合する被係合部を有するバックストップ受部とを備え、
    前記ジブ側部材は、前記ジブ側端部が前記被係合部に係合可能となるように前記ブーム側部材側に退避した第1位置と、その第1位置よりも前記ブーム側部材から進出した位置であって前記ジブの回動の中心から前記ジブ側端部までの直線距離が前記ジブの回動の中心から前記被係合部までの直線距離よりも大きくなる第2位置との間で進退自在であり、
    前記ジブ側部材は、前記ブームが起立した状態で当該ジブ側部材の自重により前記第1位置に配置される一方、前記ブームが地面へ向かって倒伏する過程において、前記バックストップ本体が前記サポート部材により前記ジブ側端部が前記ブーム側部材の前記一端部よりも下側で且つ前記バックストップ受部よりも上側に位置する姿勢に保持されて当該ジブ側部材の自重により前記第2位置へ移動する、クレーンの起伏部材。
  2. クレーンに設けられて吊り作業に用いられる起伏部材であって、
    前記クレーンの本体に起伏自在となるように取り付けられるブームと、
    水平軸回りに回動自在となるように前記ブームの先端部に取り付けられるジブと、
    前記ブームの先端部に設けられ、前記ブームの延びる方向に対して前記ジブが成す角度であるオフセット角度が所定の角度に達したときに前記ジブを後方から支えて当該ジブが後方へ転倒するのを阻止するジブバックストップとを備え、
    前記ジブバックストップは、前記ジブを後方から支えるときに前記ジブに当接するジブ側端部を有し、
    前記ジブは、前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有し、その基端部を中心として水平軸回りに回動するジブ本体と、前記ジブ本体が起立したときに後側を向く当該ジブ本体の背面に設けられ、前記ジブバックストップが前記ジブを後方から支えるときに前記ジブ側端部と係合する被係合部を有するバックストップ受部と、前記ジブ側端部が前記被係合部に係合不能となるように前記被係合部を覆う遮蔽位置とその遮蔽位置から前記ジブの基端部側へ離れた位置であって前記ジブ側端部が前記被係合部に係合可能となるように前記被係合部を露出させる露出位置との間でスライド可能となるように前記バックストップ受部に取り付けられたカバーとを備え、
    前記カバーは、前記ジブが起立した状態では当該カバーの自重により前記露出位置に配置される一方、前記ジブの先端部が前記ジブの基端部よりも下側に位置するように前記ジブが倒伏されるのに伴って当該カバーの自重により前記遮蔽位置へ移動する、クレーンの起伏部材。
  3. 前記バックストップ受部は、前記被係合部に対して前記ジブの先端部側の位置に設けられ、前記被係合部よりも前記ジブ本体の前記背面から離れた位置に配置された端面を有し、
    前記カバーは、前記ブームがその先端側へ向かうにつれて上方へ向かうように斜めに延びるとともにそのブームに対して前記ジブが屈折して当該ジブの先端部が接地した状態から前記ブームが地面へ向かって倒伏し、前記ジブの先端部が前方へ移動しつつ前記ジブの基端部が降下する過程において、当該カバーが前記遮蔽位置に配置された状態で前記ジブ側端部と接触する接触面を有し、
    前記接触面は、前記ジブの先端部側へ向かうにつれて前記ジブの背面から遠ざかるように延びる斜面であり、前記カバーが前記遮蔽位置に配置された状態で前記バックストップ受部の前記端面に連続する前記ジブの先端部側の端部を有する、請求項2に記載のクレーンの起伏部材。
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