WO2018003385A1

WO2018003385A1 - 建設機械のガントリ

Info

Publication number: WO2018003385A1
Application number: PCT/JP2017/020221
Authority: WO
Inventors: 泰彦村山
Original assignee: コベルコ建機株式会社
Priority date: 2016-06-30
Filing date: 2017-05-31
Publication date: 2018-01-04
Also published as: US10703614B2; JP6260651B2; JP2018002384A; US20200039800A1

Abstract

格納状態を保持するための連結部材が当該格納状態から作業状態への移行時に上部後脚に自動的に保持される建設機械のガントリが提供される。ガントリは、前脚（４）、上部後脚（５）、下部後脚及び連結部材（７）を備える。連結部材（７）は、前脚（４）と上部後脚（５）とを相互連結する連結部（３２）を基台に連結して格納状態を保持する。連結部材（７）は、回動可能に連結部（３２）に連結される上端部（７１）を有する。連結部材（７）は軸部（７５）を有し、上部後脚（５）は軸部（７５）を保持する軸保持部（８）を有する。軸保持部（８）は、軸部（７５）の下端部を保持する軸保持面（８１）と、脱落防止部（８２）と、軸部（７５）を軸保持面（８１）に案内するように前側に向けて下り傾斜するガイド部（８３）と、を有する。軸部（７５）は、連結部材（７）に対する回動半径方向の相対変位によって脱落防止部（８２）を乗り越える。

Description

建設機械のガントリ

　本発明は、建設機械のガントリに関するものである。

　従来、特許文献１に示すような建設機械のガントリが知られている。図９は当該ガントリと同等のガントリ９を示す。当該ガントリ９は、前脚９１と、上部後脚９２と、下部後脚９３と、連結部９４と、を有する。建設機械の作業状態では、上部後脚９２と下部後脚９３とが略垂直線上に沿って延びるとともに前脚９１が前斜め下方に向けて傾斜する。一方、建設機械の格納状態では、下部後脚９３と上部後脚９２とが折り畳まれながら倒伏し、かつ、折り畳まれた上部後脚９２の上に前脚９１が倒伏する。

　前記建設機械は、基台である旋回フレーム９０を備える。前記ガントリ９は、前記前脚９１と前記上部後脚９２とを相互に連結する連結部９４と、当該連結部９４を前記旋回フレーム９０に連結して格納状態を保持する連結棒９５と、をさらに備える。前記連結棒９５は、当該連結棒９５の回動中心となるように前記連結部９４に連結される上端部と、ピン挿通孔９５１が形成される下端部と、を有する。旋回フレーム９０にもピン挿通孔９０１が形成され、格納状態で前記ピン挿通孔９５１、９０１にピンが挿通されることにより、格納状態が保持される。

　このような建設機械においては、前記連結棒９５の下端部を固定せずに建設作業を行うと、連結棒９５が揺れて上部後脚９２等と衝突し、上部後脚９２や連結棒９５の塗装の損傷や衝突音の発生を招くおそれがある。そこで、特許文献１に示すガントリは、図９に示されるように、前記連結棒９５に軸部として設けられる係合ピン９６と、上部後脚９２に軸保持部として設けられる係合溝９７を含む。前記係合ピン９６及び前記係合溝９７は、作業状態において互いに係合することにより、連結棒９５の揺れを防止する。

　さらに、図９に示されるガントリ９では、前脚９１、上部後脚９２および下部後脚９３を折り畳んで格納状態とする際、図１０に示すように、係合ピン９６が、係合ピン９６を保持する係合溝９７の軸保持面９７１から、軸保持面９７１よりも上側に位置する脱落防止部９７２を乗り越えて、脱落する。これにより、前記上部後脚９２の前記軸保持部による連結棒９５の保持が自動的に解除される。

　しかしながら、上述した従来のガントリでは、格納状態から作業状態への移行時における連結棒９５の係合ピン９６と係合溝９７との自動的な係合は行われない。このため、当該係合ピン９６と当該係合溝９７との係合は人手により行う必要がある。この人手による係合作業は面倒である。たとえば、踏み台がない場合には係合部分に作業者の手が届かない。

特開２０１１－３７６２８号公報

　本発明の目的は、格納状態から作業状態への移行が可能な建設機械のガントリであって、前記格納状態を保持するための連結部材の前記作業状態における揺動を容易に抑止することができるガントリを提供するものである。

　提供されるのは、建設機械の基台上に設けられるガントリであって、前記基台に対して起伏可能となるように当該基台の前側支持部に回動可能に連結される基端部とその反対側の可動端部とを有する前脚と、前記前脚の前記可動端部に回動可能に連結される第１上側端部とその反対側の第１下側端部とを有する上部後脚と、前記上部後脚の前記第１下側端部に回動可能に連結される第２上側端部と前記基台の後側支持部であって前記前側支持部よりも後側に位置する部位に回動可能に連結される第２下側端部とを有する下部後脚と、前記前脚の前記可動端部と前記上部後脚の前記第１上側端部とを連結する前後連結部であって、前記可動端部及び前記第１上側端部の少なくとも一方に回動可能に連結される前後連結部と、連結部材と、を備える。当該ガントリは、前記上部後脚と前記下部後脚とが略垂直線上に沿って延びるとともに前記前脚が前斜め下方に向けて傾斜する作業状態と、前記上部後脚の前記第１下側端部が前記第１上側端部よりも前側に位置するとともに前記下部後脚の前記第２上側端部が前記第２下側端部よりも前側に位置するように前記上部後脚と前記下部後脚とが折り畳まれながら倒伏し、かつ、その折り畳まれた前記上部後脚の上に前記前脚が倒伏する格納状態とに切換可能である。前記連結部材は、前記前後連結部を前記基台に連結することにより当該格納状態を保持するものであって、前記連結部材の長手方向の両端部である第１連結端部及び第２連結端部を有し、前記第１連結端部が前記上部後脚に離接する方向に回動可能となるように、前記第２連結端部が前記連結部のうち前記上部後脚の前記第１上側端部よりも後側に位置する部位に連結される。前記第１連結端部は、前記上部後脚、前記下部後脚及び前記基台の中から選ばれる部位である第２格納連結部に連結されて前記格納状態を保持する第１格納連結部を有する。前記連結部材は、前記第１連結端部及び前記第２連結端部を含む連結部材本体と、前記連結部材本体における前記第１連結端部と前記第２連結端部との間の位置において前記連結部材の長手方向および前記上部後脚に離接する方向と直交する方向である軸方向に前記連結部材本体から突出する軸部と、を有する。前記上部後脚は、前記作業状態において前記上部後脚から後側に向けて突出して前記軸部を保持する軸保持部を有し、当該軸保持部は、回動中心となる前記他第２連結端部から自重で垂下する前記連結部材の前記軸部の下端部を受ける軸保持面と、前記軸保持面の後側で前記軸保持面よりも上側に位置し、前記軸部の後側への移動を規制して前記軸部の前記軸保持面からの脱落を防止する脱落防止部と、前記脱落防止部の後側に位置し、折り畳まれて倒伏していた前記上部後脚および前記下部後脚が起立して略垂直線上に沿って延びる際に前記第２連結端部から自重で垂下する前記連結部材の前記軸部の前記下端部に接触し、かつ、当該軸部を前記軸保持面に案内するように前側に向けて下り傾斜するガイド部と、を含む。前記連結部材のうちの少なくとも前記軸部を含む部分は前記軸保持部に対して当該連結部材の前記第２連結端部を中心とする回動の回動半径方向に相対変位可能であり、当該相対変位により前記軸部が前記脱落防止部を乗り越える。

図１は、本発明の実施形態に係る建設機械としてのクローラクレーンの概略側面図である。図２は、前記クローラクレーンのガントリ及びその周辺の要素を示す側面図である。図３は、前記ガントリにおける軸保持部に軸部が保持される前の状態を示す一部破断側面図である。図４は、前記軸保持部及びその周辺の要素を示す側面図である。図５は、前記軸保持部により前記軸部が保持される前の状態を示す一部破断側面図である。図６は、前記軸保持部のガイド部に軸部が接触した状態を示す一部破断側面図である。図７は、前記軸部が前記軸保持部の脱落防止部を乗り越える直前の状態を示す一部破断側面図である。図８は、前記軸部が前記軸保持部の軸保持面に保持された状態を示す一部破断側面図である。図９は、従来のクローラクレーンのガントリ及びその周辺の要素を示す側面図である。図１０は、図９に示されるガントリにおける軸保持部の側面図である。

　本発明の一実施形態について図１～図８に基いて説明する。

　本発明は、クレーン、杭打ち機等、種々の建設機械のガントリに適用されることができる。前記クレーンは、クローラクレーンをはじめとする各種の移動式クレーン、及び定置式クレーンのいずれも含む。以下に説明される実施形態での建設機械は図１に示されるクローラクレーン１である。

　図１に示すように、前記クローラクレーン１は、クローラ式の下部走行体１１と、この下部走行体１１上に旋回可能に搭載された上部旋回体１２と、作業アタッチメントであるブーム１４と、を備える。

　上部旋回体１２は、基台としての旋回フレーム１３を有する。前記ブーム１４は前記旋回フレーム１３の前部に当該旋回フレーム１３に対して起伏可能に取付けられる。前記基台の形態、形状及び大きさは限定されない。当該基台は、板状のものや枠状のものでもよい。

　前記上部旋回体１２は、前記旋回フレーム１３の前部の上に配置されるキャブ１５（運転室）と、前記旋回フレーム１３の後部の上に配置されるガントリ３と、当該旋回フレーム１３の後端につながるカウンタウエイト１６と、をさらに含む。

　以下の説明における前後左右は、前記下部走行体１１に対して旋回する前記基台を基準に定義される。図１に示すように、ガントリ３の後述する前脚４が倒伏する方向が後方、その反対の方向が前方である。左方および右方は当該定義による前方を基準に決められる。

　前記クローラクレーン１は、ブームガイライン１７、上部スプレッダ１８、ブーム起伏ロープ１９、下部スプレッダ３０及びブーム起伏ドラム２０をさらに備える。前記ブームガイライン１７は、前記ブーム１４の先端部に固定される第１端部と、当該第１端部と反対の側で前記上部スプレッダ１８に連結される第２端部と、を有する。前記ガントリ３は頂部を含む形状を有し、当該頂部に前記下部スプレッダ３０が設けられる。前記ブーム起伏ロープ１９は前記上部スプレッダ１８と下部スプレッダ３０との間に巻き掛けられている。前記ブーム起伏ロープ１９は、前記ガントリ３に固定される基端を有し、当該基端よりも先端側の部分が前記ブーム起伏ドラム２０に巻き付けられている。当該ブーム起伏ドラム２０は、前記旋回フレーム１３の後部に配置され、前記ブーム起伏ロープ１９の繰り出し及び巻き取りを行うように回転することにより、当該下部スプレッダ３０と上部スプレッダ１８との間の距離を増減させてブーム１４を起伏させる。

　ブーム１４の先端部には、ブームポイントシーブ２１、アイドラシーブ２２および補助シーブ２３がそれぞれ回転自在に設けられる。ブームポイントシーブ２１からは主巻上ロープ２４を介して主フック２５が吊り下げられ、補助シーブ２３からは補巻上ロープ２６を介して補フック２７が吊り下げられる。

　旋回フレーム１３には、主巻ドラム２８、補巻ドラム２９およびブーム起伏ドラム２０がこの順で前側から並ぶように配置される。各ドラム２８，２９，２０はそれぞれドラム回転軸を有し、当該ドラム回転軸が左右方向に延びる横置き姿勢で前記旋回フレーム１３に取り付けられている。

　前記主巻上ロープ２４は、ブーム１４に固定される先端を有し、当該先端よりも基端側の当該主巻上ロープ２４の部分がブームポイントシーブ２１およびアイドラシーブ２２に支持されるとともに前記主巻ドラム２８に巻き付けられる。主巻ドラム２８の回転により、主巻上ロープ２４を介して主フック２５の巻き上げまたは巻き下げが行われる。

　前記補巻上ロープ２６は補フック２７に固定される先端を有し、当該先端よりも基端側の当該補巻上ロープ２６の部分が前記補助シーブ２３に支持されるとともに前記補巻ドラム２９に巻き付けられる。補巻ドラム２９の回転により、補巻上ロープ２６を介して補フック２７の巻き上げまたは巻き下げが行われる。

　図２に示すように、前記ガントリ３は、左右一対の前脚４と、左右一対の上部後脚５と、左右一対の下部後脚６と、左右一対の前後前後連結部３２と、を備える。

　前記一対の前脚４のそれぞれは、当該前脚４が起伏可能となるように前記基台である前記旋回フレーム１３に回動可能に連結される基端部である下端部４２と、その反対側の可動端部である上端部４１と、を有する。本実施形態では、当該前脚４の下端部４２が旋回フレーム１３に対してピン等からなる支軸４３まわりに回動可能に連結され、これにより前脚４が旋回フレーム１３に支持される。しかし、前脚４を基台に回動可能に連結する手段は限定されない。

　前記上部後脚５は、作業状態において上側を向く第１上側端部である上端部５１と、その反対側の第１下側端部である下端部５２と、を有する。前記上端部５１は、前記前脚４の両端部のうち作業状態において上側を向く前記上端部４１に回動可能に連結される。本実施形態では、前記上部後脚５の上端部５１が前記前脚４の上端部４１に対してピン等からなる支軸５３まわりに回動可能に連結される。しかし、上部後脚５を前脚４に回動可能に連結する手段は限定されない。

　下部後脚６は、作業状態において上側を向く第２上側端部である上端部６１と、その反対側の第２下側端部である下端部６２と、を有する。前記上端部６１は、前記上部後脚５の両端部のうち作業状態において下側を向く前記下端部５２に回動可能に連結される。前記下部後脚６の両端部のうち前記作業状態において下側を向く前記下端部６２は、前記基台である前記旋回フレーム１３において前記前脚４の下端部４２が連結される前側支持部よりも後側に位置する後側支持部に回動可能に連結される。本実施形態では、下部後脚６の上端部６１が、上下に並ぶ二つの連結ピン６３、６４を介して上部後脚５の下端部５２に連結される。前記下部後脚６の下端部６２は、前記旋回フレーム１３において前記前脚４の下端部４２が連結される前記前側支持部よりも後側の前記後側支持部にピン等からなる支軸６６まわりに回動可能に支持される。しかし、下部後脚６を上部後脚５と基台（本実施形態における旋回フレーム１３）とに回動可能に連結する手段は限定されない。

　前記上部後脚５と前記下部後脚６とを連結する前記上下二つの連結ピン６３、６４のうち、上側の連結ピン６３は、上部後脚５に設けられた第１ピン挿通孔および下部後脚６に設けられた第２ピン挿通孔に当該第１及び第２ピン挿通孔が互いに一致した状態で挿入される。下側の連結ピン６４は、前記上部後脚５に設けられた第３ピン挿通孔および前記下部後脚６に設けられた長孔６５の上端部に当該第３ピン挿通孔と当該長孔６５の上端部とが一致した状態で挿入される。

　前記ガントリ３の作業状態は図２に実線で示される。この作業状態では、前記上部後脚５と前記下部後脚６とが略鉛直線上に沿って延びるとともに、前脚４が前斜め下方に傾斜する。前記上部後脚５及び前記下部後脚６のそれぞれの長手方向は、作業状態において必ずしも厳密に鉛直方向と一致していなくてもよく、当該長手方向が鉛直方向に対してたとえば２０度程度傾いてもよい。上部後脚５の長手方向及び下部後脚６の長手方向のそれぞれは、必ずしも直線状でなくてもよい。上部後脚５の長手方向と下部後脚６の長手方向とがなす角は１８０度に限定されない。

　前記ガントリ３の格納状態は図２に二点鎖線で示される。この格納状態では、前記連結ピン６３が上部後脚５及び下部後脚６から外され、上部後脚５の第１下側端部である前記下端部５２がその第１上側端部である上端部５１よりも前側に位置するとともに下部後脚６の第２上側端部である上端部６２がその第２下側端部である下端部６１よりも前側に位置するように、上部後脚５と下部後脚６とが折り畳まれながら倒伏する。さらに、このように折り畳まれた上部後脚５の上に、前脚４の可動端部である前記上端部４１がその基端部である前記下端部４２よりも後側に位置するように、当該前脚４が倒伏する。

　当該格納状態において、上部後脚５の長手方向と下部後脚６の長手方向とがなす角は０度に限定されない。

　前記ガントリ３は、前記前脚４の下部と前記旋回フレーム１３との間に介在する油圧シリンダ３１をさらに含む。当該油圧シリンダ３１は、伸縮動作することにより、ガントリ３の前脚４を支軸４３回りに回動させる。本実施形態では、前記油圧シリンダ３１の伸長に伴って前脚４が起立方向に回動する。前記左右一対の前後連結部３２は、前記左右一対の前脚４と前記一対の上部後脚５とをそれぞれ相互に連結する。当該左右一対の前後連結部３２同士の間には左右方向に延びる連結軸３３が架設され、この連結軸３３に下部スプレッダ３０が取り付けられる。

　前記ガントリ３は、さらに、左右一対の連結部材７を備える。当該一対の連結部材７は、前記格納状態で前記一対の前後連結部３２のそれぞれを基台に連結することにより当該格納状態を保持する。当該連結部材７は左右のいずれか一方においてのみ設けられてもよい。

　本実施形態に係る前記前後連結部３２は、前脚４にこれと一体に固定される一方、上部後脚５に相対的に回動可能に連結されている。当該前後連結部３２は、あるいは、上部後脚５にこれと一体に固定されてもよいし、前脚４および上部後脚５のそれぞれに対して相対運動が可能なリンク部材として構成されてもよい。

　前記一対の連結部材７のそれぞれは、ロッド状の連結部材本体７０を有する。本実施形態に係る連結部材本体７０は、一対の長尺の板部と、二枚の長尺の板部の間に介在するスペーサと、を有する。しかし、当該連結部材本体７０の具体的な形状は限定されない。

　連結部材７は、長手方向の両端部である第１連結端部及び第２連結端部を有する。本実施形態において、前記第１連結端部は下端部７２であり、前記第２連結端部は上端部７１である。当該上端部７１は、当該下端部７２が前記上部後脚５に対して離接する方向に回動可能となるように上部後脚５に連結される。前記第２連結端部である前記上端部７１は前記前後連結部３２に連結される。具体的に、当該前後連結部３２は、前記上部後脚５の前記第１上側端部である前記上端部５１よりも後側に位置する部分を有し、この部分に前記上端部７１が連結される。本実施形態では、前記上端部７１が、前記前後連結部３２のうち当該前後連結部３２と前記上部後脚５との連結点である支軸５３よりも後側の部位に、ピン等からなる支軸７３まわりに回動可能となるように連結される。

　詳しくは、前記連結部材７の上端部７１と前記前後連結部３２のうちの少なくとも一方に挿入孔が形成されて当該挿入孔に前記支軸７３が挿入されている。しかし、連結部材７を前後連結部３２に回動可能に連結する手段は限定されない。

　前記連結部材７の前記第１連結端部である前記下端部７２は、前記上部後脚５、前記下部後脚６及び基台である旋回フレーム１３の中から選ばれる部位である第２格納連結部に連結されて格納状態を保持する第１格納連結部を有する。本実施形態では、連結部材７の下端部７２に前記第１格納連結部であるピン挿通孔７４が形成される。一方、本実施形態に係る前記第２格納連結部は、基台である旋回フレーム１３に形成されたピン挿通孔１３１である。

　前記ピン挿通孔７４、１３１は、前記格納状態において前記連結部材７が上端部７１を中心に回動して基台に対して所定の角度をなすときに互いに一致することが可能であり、その一致した状態で当該ピン挿通孔７４，１３１の双方にピンが挿入され、これにより前記連結部材７と前記旋回フレーム１３（基台）とが連結される。当該連結は前記前脚４、前記上部後脚５、前記下部後脚６および前記連結部材７の相対位置関係を固定して格納状態を保持する。前記第１及び第２格納連結部の具体的な形態は限定されない。

　前記ピン挿通孔７４、１３１から前記ピンが抜かれて前記第１及び第２格納連結部の連結が解除されることにより、ガントリ３は前記格納状態から前記作業状態に移行することが可能である。しかし、連結部材７は、その上端部７１を中心に回動可能であるため、当該連結部材７が固定されないままガントリ３が前記作業状態に移行すると、当該連結部材７が揺れて上部後脚５等と衝突し、これにより上部後脚５や連結部材７の塗装の損傷や衝突音の発生を招くおそれがある。

　このような連結部材７の揺動を防ぐため、図３に示すように、前記連結部材７は前記連結部材本体７０に加えて軸部７５を有し、前記上部後脚５は、前記軸部７５を保持する軸保持部８を有する。

　前記軸部７５は、前記連結部材７のいずれかの部分に設けられる。軸部７５は、前記連結部材本体７０から軸方向に突出する。当該軸方向は、当該連結部材本体７０の長手方向に直交し、かつ、前記連結部材７が前記上部後脚５に対して離接する方向に対して直交する方向であり、本実施形態ではガントリ３の左右方向に相当する。

　本実施形態では、連結部材本体７０の上部において、当該連結部材７０を構成する一対の板部にそれぞれ挿入孔が形成される。前記軸部７５は、円柱状のピンからなり、前記挿入孔のそれぞれに遊びをもって挿入され、これにより当該一対の板部の間に両持ち梁状に架設されている。前記遊びは、前記軸部７５が前記軸保持部８に対して前記連結部材７の回動半径方向（本実施形態では連結部材本体７０の長手方向）に所定距離だけ相対移動することを可能にする。前記軸部７５は、円柱状ではなく円筒状であってもよい。当該軸部７５の断面は円状ではなく角状であってもよい。当該軸部７５の形状、大きさ、材質等は限定されない。軸部７５は、連結部材本体７０に片持ち梁状に支持されてもよい。

　前記軸保持部８は、本実施形態では、ロックプレート８０により構成される。当該ロックプレート８０は、前記上部後脚５の上部に連結され、作業状態において当該上部後脚５よりも後側に突出する。当該ロックプレート８０は、前記連結部材本体７０を構成する前記一対の板部の回動軌道から左右のいずれかに外れた位置、本実施形態では当該一対の板部同士の間の位置、にあり、当該連結部材本体７０とは干渉しない。

　前記軸保持部８は、図４に示すように、軸保持面８１、脱落防止部８２およびガイド部８３を含む。

　前記軸保持面８１は、前記上部後脚５と前記下部後脚６とが略鉛直線に沿って延びる前記作業状態において前記上部後脚５から後側に向けて突出し、回動中心となる前記第２連結端部である前記上端部７１から自重で垂下する前記連結部材７の前記軸部７５の下端部を受ける面である。本実施形態に係る前記軸保持面８１は、前記ロックプレート８０の上面の一部にて構成され、作業状態において、自重で垂下する連結部材７の軸部７５の下端部に接触するような位置に形成される。当該軸保持面８１の形状は、前記軸部７５の下端部の形状に対応して当該下端部と嵌合可能な形状、図３に示される例では軸方向から見て上向きに開口する円弧状、であることが好ましい。

　前記脱落防止部８２は、前記軸保持面８１の後側の位置で当該軸保持面８１よりも上側に突出し、これにより、前記軸部７５の後側への移動を規制して当該軸部７５の前記軸保持面８１からの脱落を防止する。本実施形態に係る脱落防止部８２は、ロックプレート８０の上面の軸保持面８１の後端を画定するように上向きに突出したエッジにより構成される。

　前記ガイド部８３は、脱落防止部８２の後側に位置する、前側に向けて下り傾斜する面である。当該ガイド部８３は、上部後脚５および下部後脚６が折り畳まれかつ倒伏した姿勢、つまり格納状態における姿勢、から起立して略垂直線上に沿って延びる姿勢、つまり作業状態における姿勢、に至るまでの間に前記第２連結端部である前記上端部７１から自重で垂下する連結部材７の軸部７５の下端部に接触することにより、当該軸部７５を前記脱落防止部８２及び前記軸保持部８１に向けて案内する。

　次に、前記軸保持部８による軸部７５の保持の詳細について説明する。

　前記格納状態から前記上部後脚５および下部後脚６が起立する方向の前記上部後脚５の回動は、当該上部後脚５に設けられた軸保持部８のガイド部８３の後方への移動を伴う。この移動により、当該軸保持部８を構成するロックプレート８０は、図３に示すように、連結部材本体７０を構成する一対の板部の間に挿入される。図３、図５～８は、連結部材本体７０を構成する前記一対の板部のうちの紙面方向手前側の板部の一部（軸部７５および軸保持部８が挿入される部分）を破断して示している。

　前記ガイド部８３は、図５に示すように、自重で垂下する連結部材７の軸部７５の下端部に接触し、さらに、図６に示すように、後方に移動しながら軸部７５の下端部を支持する。このとき、当該ガイド部８３のうち前記軸部７５と接触する部分は前側に向けて傾斜しているために当該軸部７５に前向きの力を与える。

　その後、ガイド部８３がさらに後方に移動して前記軸部７５を支持しながら当該軸部７５に前向きの力を与えることにより、図７に示すように軸部７５に脱落防止部８２を乗り越えさせる。当該軸部７５は、連結部材本体７０に対して上述したように当該軸部７５の遊びの範囲内で当該連結部材本体７０の長手方向すなわち連結部材７の回動半径方向に相対変位可能であるため、当該軸部７５は当該連結部材本体７０に対して当該連結部材７の長手方向の上向きに若干相対変位することにより前記脱落防止部８２を乗り越えることが可能である。

　前記脱落保持部８２を乗り越えた前記軸部７５は、図８に示すように、当該軸部７５の自重によって前記連結部材本体７０に対して相対的に下降し、これにより軸保持面８１に受け止められ、保持される。当該保持は、前記連結部材７がその上端部７１を中心に上部後脚５に対して相対的に回動することを抑止し、これにより、当該連結部材７の揺動に起因する当該連結部材７の上部後脚５等に対する衝突を阻止して、上部後脚５や連結部材７の塗装の損傷や衝突音の発生を防止する。

　以上説明した前記軸部７５の前記軸保持部８に対する一連の動作、すなわち、前記ガイド部８３による案内によって前記脱落防止部８２を乗り越えて前記軸保持面８１に至る動作、は起伏シリンダ３１の伸長による前記ガントリ３の格納状態から作業状態への移行に伴って自動的に行われる。このため、軸部７５を軸保持面８１に保持させるのに人手を要しない。

　前記連結部材７における前記軸部７５の位置、及び、前記上部後脚５における前記軸保持部８の位置は、作業状態において上側にあるほど好ましい。本実施形態では、前記軸部７５は、当該軸部７５と前記連結部材７の第２連結端部である上端部７１との距離が前記軸部７５と前記連結部材７の第１連結端部である下端部７２よりも小さい位置に設けられ、これに対応して前記軸保持部８は、当該軸保持部８と前記上部後脚５の第１上側端部である上端部５１との距離が当該軸保持部８と前記上部後脚５の第１下側端部である下端部５２との距離よりも小さい位置に設けられている。このことは、軸保持部８の上部後脚５からの突出長さを小さくすることを可能にする。なぜならば、前記軸部７５が前記連結部材７の回動中心に近いほど当該軸部７５の移動距離が小さいため、当該軸部７５を案内するために前記ガイド部８３に求められる当該ガイド部８３の上部後脚５からの突出長さが小さくなるからである。

　一方、前記作業状態から前記格納状態への移行では、従来と同様に、前記上部後脚５および軸保持部８が傾くに伴って前記連結部材７の軸部７５が連結部材本体７０に対して当該連結部材７の第２連結端部である上端部７１に近づく向きに若干相対変位することにより脱落防止部８２を乗り越えて軸保持面８１から脱落する。これにより、前記軸保持部８による前記軸部７５の保持、換言すれば、前記上部後脚５による前記連結部材７の保持、が自動的に解除される。このため、前記上部後脚５による前記連結部材７の保持の解除に人手を要しない。さらに、当該保持の解除のための作業の失念に起因する上部後脚５、下部後脚６、連結部材７等の相互衝突による損傷が防止される。

　本実施形態に係る前記前脚４、前記上部後脚５、前記下部後脚６および前記連結部材７はいずれもロッド状の部材により構成される。しかし、当該前脚４、上部後脚５、下部後脚６および連結部材７は、全体として前記のような動作が可能なリンク機構を構成するものであればよく、それぞれの形状及び構造は限定されない。例えば、それぞれは一または複数の例えば板状をした部材により構成されてもよい。前記実施形態に係る前脚４、上部後脚５、下部後脚６および連結部材７はいずれも直線状であるが、これらは曲線部を含んでもよいし、緩やかに曲がった全体形状を有していてもよい。

　本発明に係る軸部は、脱落保持部を乗り越えることが可能な程度に軸保持部に対して連結部材の回動半径方向に相対変位可能であればよい。例えば、前記実施形態のように前記連結部材７の上部に形成されている挿入孔に前記軸部７５が遊びをもって挿入されるのに代えてあるいは加えて、連結部材７の上端部７１と前後連結部３２のうちの少なくとも一方に形成された挿入孔に支軸７３が遊びをもって挿入されることにより、連結部材７全体が前記軸保持部８に対して当該連結部材７の回動半径方向に所定距離内で相対変位可能であってもよい。

　以上のように、格納状態から作業状態への移行が可能な建設機械のガントリであって、前記格納状態を保持するための連結部材の前記作業状態における揺動を容易に抑止することができるガントリが提供される。提供されるのは、建設機械の基台上に設けられるガントリであって、前記基台に対して起伏可能となるように当該基台の前側支持部に回動可能に連結される基端部とその反対側の可動端部とを有する前脚と、前記前脚の前記可動端部に回動可能に連結される第１上側端部とその反対側の第１下側端部とを有する上部後脚と、前記上部後脚の前記第１下側端部に回動可能に連結される第２上側端部と前記基台の後側支持部であって前記前側支持部よりも後側に位置する部位に回動可能に連結される第２下側端部とを有する下部後脚と、前記前脚の前記可動端部と前記上部後脚の前記第１上側端部とを連結する前後連結部であって、前記可動端部及び前記第１上側端部の少なくとも一方に回動可能に連結される前後連結部と、連結部材と、を備える。当該ガントリは、前記上部後脚と前記下部後脚とが略垂直線上に沿って延びるとともに前記前脚が前斜め下方に向けて傾斜する作業状態と、前記上部後脚の前記第１下側端部が前記第１上側端部よりも前側に位置するとともに前記下部後脚の前記第２上側端部が前記第２下側端部よりも前側に位置するように前記上部後脚と前記下部後脚とが折り畳まれながら倒伏し、かつ、その折り畳まれた前記上部後脚の上に前記前脚が倒伏する格納状態とに切換可能である。前記連結部材は、前記前後連結部を前記基台に連結することにより当該格納状態を保持するものであって、前記連結部材の長手方向の両端部である第１連結端部及び第２連結端部を有し、前記第１連結端部が前記上部後脚に離接する方向に回動可能となるように、前記第２連結端部が前記前後連結部のうち前記上部後脚の前記第１上側端部よりも後側に位置する部位に連結される。前記第１連結端部は、前記上部後脚、前記下部後脚及び前記基台の中から選ばれる部位である第２格納連結部に連結されて前記格納状態を保持する第１格納連結部を有する。前記連結部材は、前記第１連結端部及び前記第２連結端部を含む連結部材本体と、前記連結部材本体における前記第１連結端部と前記第２連結端部との間の位置において前記連結部材の長手方向および前記上部後脚に離接する方向と直交する方向である軸方向に前記連結部材本体から突出する軸部と、を有する。前記上部後脚は、前記作業状態において前記上部後脚から後側に向けて突出して前記軸部を保持する軸保持部を有し、当該軸保持部は、回動中心となる前記他第２連結端部から自重で垂下する前記連結部材の前記軸部の下端部を受ける軸保持面と、前記軸保持面の後側で前記軸保持面よりも上側に位置し、前記軸部の後側への移動を規制して前記軸部の前記軸保持面からの脱落を防止する脱落防止部と、前記脱落防止部の後側に位置し、折り畳まれて倒伏していた前記上部後脚および前記下部後脚が起立して略垂直線上に沿って延びる際に前記第２連結端部から自重で垂下する前記連結部材の前記軸部の前記下端部に接触し、かつ、当該軸部を前記軸保持面に案内するように前側に向けて下り傾斜するガイド部と、を含む。前記連結部材のうちの少なくとも前記軸部を含む部分は前記軸保持部に対して当該連結部材の前記第２連結端部を中心とする回動の回動半径方向に相対変位可能であり、当該相対変位により前記軸部が前記脱落防止部を乗り越える。

　このガントリでは、前記格納状態から前記作業状態への移行時に、前記連結部材の軸部が軸保持部のガイド部によって自動的に脱落防止部に案内されることが可能であり、かつ、当該軸部の当該軸保持部に対する連結部材の回動半径方向の相対変位により前記脱落防止部を乗り越えて前記軸保持部の軸保持面に自動的に保持されることが可能である。

　前記軸部は、前記連結部材において前記軸部と前記第１連結端部との距離よりも当該軸部と前記第２連結端部との距離が小さい位置に設けられ、前記軸保持部は前記上部後脚において当該軸保持部と前記第１下側端部との距離よりも当該軸保持部と前記第１上側端部との距離が小さい位置に設けられることが好ましい。このことは、前記軸保持部が前記上部後脚から後方に突出する長さを小さくすることを可能にする。

Claims

　建設機械の基台上に設けられるガントリであって、
　前記基台に対して起伏可能となるように当該基台の前側支持部に回動可能に連結される基端部とその反対側の可動端部とを有する前脚と、
　前記前脚の前記可動端部に回動可能に連結される第１上側端部とその反対側の第１下側端部とを有する上部後脚と、
　前記上部後脚の前記第１下側端部に回動可能に連結される第２上側端部と前記基台の後側支持部であって前記前側支持部よりも後側に位置する部位に回動可能に連結される第２下側端部とを有する下部後脚と、
　前記前脚の前記可動端部と前記上部後脚の前記第１上側端部とを連結する前後連結部であって、前記可動端部及び前記第１上側端部の少なくとも一方に回動可能に連結される前後連結部と、
　連結部材と、を備え、
　前記ガントリは、前記上部後脚と前記下部後脚とが略垂直線上に沿って延びるとともに前記前脚が前斜め下方に向けて傾斜する作業状態と、前記上部後脚の前記第１下側端部が前記第１上側端部よりも前側に位置するとともに前記下部後脚の前記第２上側端部が前記第２下側端部よりも前側に位置するように前記上部後脚と前記下部後脚とが折り畳まれながら倒伏し、かつ、その折り畳まれた前記上部後脚の上に前記前脚が倒伏する格納状態とに切換可能であり、
　前記連結部材は、前記前後連結部を前記基台に連結することにより当該格納状態を保持するものであって、
　前記連結部材の長手方向の両端部である第１連結端部及び第２連結端部を有し、前記第１連結端部が前記上部後脚に離接する方向に回動可能となるように、前記第２連結端部が前記前後連結部のうち前記上部後脚の前記第１上側端部よりも後側に位置する部位に連結され、
　前記第１連結端部は、前記上部後脚、前記下部後脚及び前記基台の中から選ばれる部位である第２格納連結部に連結されて前記格納状態を保持する第１格納連結部を有し、
　前記連結部材は、前記第１連結端部及び前記第２連結端部を含む連結部材本体と、前記連結部材本体における前記第１連結端部と前記第２連結端部との間の位置において前記連結部材の長手方向および前記上部後脚に離接する方向と直交する方向である軸方向に前記連結部材本体から突出する軸部と、を有し、
　前記上部後脚は、前記作業状態において前記上部後脚から後側に向けて突出して前記軸部を保持する軸保持部を有し、当該軸保持部は、回動中心となる前記他第２連結端部から自重で垂下する前記連結部材の前記軸部の下端部を受ける軸保持面と、前記軸保持面の後側で前記軸保持面よりも上側に位置し、前記軸部の後側への移動を規制して前記軸部の前記軸保持面からの脱落を防止する脱落防止部と、前記脱落防止部の後側に位置し、折り畳まれて倒伏していた前記上部後脚および前記下部後脚が起立して略垂直線上に沿って延びる際に前記第２連結端部から自重で垂下する前記連結部材の前記軸部の前記下端部に接触し、かつ、当該軸部を前記軸保持面に案内するように前側に向けて下り傾斜するガイド部と、を含み、
　前記連結部材のうちの少なくとも前記軸部を含む部分は前記軸保持部に対して当該連結部材の前記第２連結端部を中心とする回動の回動半径方向に相対変位可能であり、当該相対変位により前記軸部が前記脱落防止部を乗り越える、建設機械のガントリ。
　前記軸部は、前記連結部材において前記軸部と前記第１連結端部との距離よりも当該軸部と前記第２連結端部との距離が小さい位置に設けられ、前記軸保持部は前記上部後脚において当該軸保持部と前記第１下側端部との距離よりも当該軸保持部と前記第１上側端部との距離が小さい位置に設けられる、請求項１記載の建設機械のガントリ。