JP2014064485A - 色素斑疾患の治療方法を探索するための色素含有人工皮膚の使用 - Google Patents

色素斑疾患の治療方法を探索するための色素含有人工皮膚の使用 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、色素斑疾患の治療方法を探索する方法を提供する事である。
【解決手段】色素斑疾患の治療方法を探索するための色素含有人工皮膚の使用であって、
前記色素含有人工皮膚が真皮層及び表皮層を有し、
該真皮層は細胞外マトリックス及び真皮繊維芽細胞を有し、
該表皮層は角化細胞及び角質層並びに基底層を有し、
該基底層は前記表皮層と接する側に載置され、
該角質層は前記基底層の前記表皮層と接する側の反対側に接して載置され、
前記基底層又は前記真皮層にメラノサイトを含む、
使用。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素含有人工皮膚、色素含有人工皮膚の製造方法、色素斑疾患の治療方法を探索するための色素含有人工皮膚の使用に関する。
特許文献1に示すように、人工皮膚を製造するための技術は、既に確立している。これに対して更に、色素を産生するメラノサイトを含む人工皮膚が知られている。このような人工皮膚として、MAT Tech社から、MEL−300FTキット(Black donor)なる商品が発売されている。
この方法は、予め作製した真皮層上に、表皮角化細胞とメラノサイトを混合した懸濁液を播種して表皮層を作製するものである。
特開2009−226207
従来法で作製されたメラノサイトを含む人工皮膚は、メラノサイトが基底層に固着し難く、得られた人工皮膚を培養開始してからほぼ2週間でメラノサイトが存在しなくなってしまう。
このような人工皮膚は、主に化粧品としての美白剤の効果判定や、毒性を試験するための用途としては十分に使用できるものではあるが、色素斑疾患の治療方法を探索するには、有効に用いる事ができないという欠点を有している。
なぜならば、また、色素斑疾患は、メラニンや、それを産生するメラノサイトが皮膚の基底層やそれより深部の真皮層において存在しているものであり、このような疾患のモデル皮膚として用いるには、長期間上述の位置にメラニンやメラノサイトが存在し続けている必要があるからである。
だからといって、色素斑疾患の有効な治療法を探索するために、斯かる患者から、病理組織を採取する事は現実的には困難である。況や、斯かる患者に被験者として協力を求める事も非常に難しい。
そして、色素斑疾患の動物モデルも学術的には確率しておらず、近年の動物愛護の観点からも、色素斑疾患の有効な治療方法を模索する上で、動物モデルを採用する事は有効な手段とは言えない。
以上のことから、本発明の課題は色素斑疾患の治療を探索するのに有効なモデルとなる人工皮膚を作製する事である。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の工程でメラノサイトを含む人工皮膚を作製したところ、基底層又はそれよりも深部の真皮層でメラニン、メラノサイト等が存在する人工皮膚を得る事に成功した。また、このようなメラニン、メラノサイト等は、培養から2週間経過した後であっても、基底層又はそれよりも深部に存在していることも明らかとなった。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、下記に示す広い態様の発明を包含するものである。
項1 以下の工程1〜3を含む、色素含有人工皮膚の製造方法;
(1)担体と真皮線維芽細胞を混合して培養し、真皮層を作製する工程1、
(2)上記工程1にて作製した真皮層の上部に、メラノサイトを播種して培養する工程2、
(3)上記工程2の後に、真皮層の上部に表皮角化細胞を播種して培養し、表皮層を作製する工程3。
項2 色素含有人工皮膚が色素斑疾患モデル皮膚である上記項1に記載の製造方法。
項3 色素斑疾患が、雀卵斑、扁平卵斑、肝斑、日光性色素斑、炎症後色素沈着症、固定薬疹、リール黒皮症、後天性真皮内メラノサイトーシス、大田母斑、及び青色母斑からなる群より選択される、少なくとも1つである上記項2に記載の製造方法。
項4 上記項1に記載の方法によって得られる色素含有人工皮膚。
項5 真皮層及び表皮層を有する色素含有人工皮膚であって、
該真皮層は細胞外マトリックス及び真皮繊維芽細胞を有し、
該表皮層は角化細胞及び角質層並びに基底層を有し、
該基底層は前記真皮層と接する側に載置され、
該角質層は前記基底層の前記真皮層と接する側の反対側に接して載置され、
前記基底層又は前記真皮層にメラノサイトを含む
色素含有人工皮膚。
項6 色素斑疾患モデル皮膚である上記項4又は項5に記載の色素含有人工皮膚。
項7 色素斑疾患が、雀卵斑、扁平卵斑、肝斑、日光性色素斑、炎症後色素沈着症、固定薬疹、リール黒皮症、後天性真皮内メラノサイトーシス、大田母斑、及び青色母斑からなる群より選択される、少なくとも1つである上記項6に記載の色素含有人工皮膚。
項8 上記項4〜7の何れか1項に記載の色素含有人工皮膚の、色素斑疾患の治療方法を探索するための使用。
項9 色素斑疾患が、雀卵斑、扁平卵斑、肝斑、日光性色素斑、炎症後色素沈着症、固定薬疹、リール黒皮症、後天性真皮内メラノサイトーシス、大田母斑、及び青色母斑からなる群より選択される、少なくとも1つである上記項8に記載の使用。
以下に本発明の効果について記載する。ただし、本発明は以下に示す全ての効果を発揮する発明に限定されず、少なくとも1つの効果を発揮すればよい。
本発明の色素含有人工皮膚の製造方法は、従来の人工皮膚の製造方法と同様の材料、機材等を用いて簡便に色素含有人工皮膚を作製する事が可能である。
本発明の色素含有人工皮膚は、メラニン、メラノサイトが4週間近く残留するので、色素斑疾患のモデル皮膚として有効に用いることができる。
本発明の色素含有人工皮膚を色素斑疾患の治療方法を探索するための使用することは、患者に対する負担を与える事が無く(特に人権的な取りあつかいに考慮する必要が無い点)、動物愛護の点に影響を与えることなく(動物実験を行う必要ながない点)、色素斑疾患の治療方法を探索する事に有用に用いられる。
特に、動物や患者に対しては適用できないような過酷な条件での治療方法の探索を行う事ができ、経時時間当たりの効果を容易にサンプリングできる点においても非常に優れている。
また、本発明に係る色素含有人工皮膚を用いれば、同時に多数の候補薬剤に関して色素斑疾患の治療方法の効果を確認する事が可能であるために、治療方法の開発等においてはスピードアップできる効果が見込める。
本発明に係る色素含有人工皮膚を説明する写真。図中、1はステンレスグリッド;2はフィルター;3は、本発明の色素含有人工皮膚;4は角質;5は、表皮角化細胞;6はメラノサイト;7は、真皮繊維芽細胞;8は、細胞外マトリックスを示す。 本発明に係る色素含有人工皮膚を培養した際の性質を示す写真。人工皮膚の培養から7日目まで、基底層にメラノサイトが残存しており、真皮内にメラニン顆粒は存在しないことを示している。 本発明に係る色素含有人工皮膚を培養した際の性質を示す写真。人工皮膚の培養から10日目以降に真皮内へのメラニン顆粒の存在している事を示している(矢印)。また、人工皮膚の培養から21日目以降メラノサイトと思われる細胞の真皮内へ落ち込んでいる事も示している。(矢印)。 本発明に係る色素含有人工皮膚にレーザートーニング処理を施した結果を示す写真。図上段は未処理のサンプル、図下段は処理したサンプルをそれぞれ示す。処理直後にメラニン顆粒は分散しており、処理後3日目の照射群のメラニン顆粒は減少していることを示す。 本発明に係る色素含有人工皮膚にレーザートーニング処理を施した結果を示す写真。図上段は未処理のサンプル、図下段は処理したサンプルをそれぞれ示す。処理後5日目及び7日目において、基底層のメラノサイトが減少していることを示している。 本発明に係る色素含有人工皮膚にレーザートーニング処理を施した結果を示す写真。図上段は未処理のサンプル、図下段は処理したサンプルをそれぞれ示す。処理後10日目及び14日目において、基底層のメラノサイトがほとんど見られなくなり、表皮層全体のメラニン顆粒も減少していることを示している。 本発明に係る色素含有人工皮膚にレーザートーニング処理を施した結果を示す写真。図上段は未処理のサンプル、図下段は処理したサンプルをそれぞれ示す。処理後21日目及び28日目において、基底層のメラノサイトが見られなくなり、表皮層全体のメラニン顆粒もほとんどないことが示されている。
色素含有人工皮膚の製造方法
以下に、本発明について詳細に説明する。なお、本発明を実施するために使用される様々な技術は、当業者であれば、特にその出展を明示して技術を除き、公知の文献等を参照することで、容易に実施することができる。
このような公知文献として、例えば 例えば、Sambrook and Russell,“Molecular Cloning A LABORATORY MANUAL”,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York, 2001;Ausubel,F.M.et al. “Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley & Sons,New York,.NY;Molecular Biology of the Cell 5E:Reference Edition Bruce Alberts、Alexander Johnson、Julian Lewis、 Martin Raff;Basic and Clinical Pharmacology 12/E(LANGE Basic Science)by Bertram Katzung,Susan Masters and Anthony Trevor(Dec 13,2011)等の文献を参照すればよい。
また、細胞培養分野に関しては、Basic Cell Culture:A Practical Approach,2nd ed.demonstrates techniques of great importance in biotechnology,J.Davis,ed.,Oxford University Press,2002. 、Culture of Epithelial Cells,2nd ed.R.I.Freshney and M.G.Freshney,ed.,Wiley−Liss,2002等の文献を参照すればよい。
そして、色素斑疾患、その治療方法等に関しては、Dermatologic Surgery: Step by Step,Chapter 39 Laser Treatment for Pigmented Lesions (pages 304-306)Blackwell Publishing Ltd,2012、Congenital melanocytic nevi:Where are we now?:Part II.Treatment options and approach to treatment,Omar A.Ibrahimi,Ali Alikhan,Daniel B.Eisen,Journal of the American Academy of Dermatology,67,2012,515.e1-515.e13等の文献を参照すればよい。
本発明に係る色素含有人工皮膚の製造方法
本発明に係る色素含有人工皮膚の製造方法は、以下の3つの工程を含むものである。
(1)担体と真皮線維芽細胞を混合して培養し、真皮層を作製する工程1、
(2)上記工程1にて作製した真皮層の上部に、メラノサイトを播種して培養する工程2、
(3)上記工程2の後に、真皮層の上部に表皮角化細胞を播種して培養し、表皮層を作製する工程3。
<工程1について>
本発明の色素含有人工皮膚の製造方法における工程1は、担体と真皮線維芽細胞を混合して培養し、真皮層を作製する工程である。
工程1における培養における真皮繊維芽細胞は、特に限定はされないが、例えば、ヒト由来、マウス由来、ラット由来、サル由来、チンパンジー等の動物種に由来する真皮繊維芽初代培養細胞、市販のライン化された真皮繊維芽細胞等から適宜選択して使用すればよい。このような真皮繊維芽細胞は、一種類のみを用いる事に限定されず、数種類を組み合わせて用いてもよい。
工程1における培養における真皮繊維芽細胞の使用量は、特に限定はされないが、通常は、2.0×10細胞/cm〜2.0×10細胞/cm程度の真皮線維芽細胞を用いればよい。
工程1における培養にて用いる培地は、市販の培地を適宜用いればよい。なお、斯かる培地には適宜、FBSやFCSといった血清、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物質が含まれていてもよい。
工程1において真皮繊維芽細胞と混合する担体は、特に限定はされないが、例えばフィブリン糊、マトリゲル(登録商標)、同種真皮マトリックス、ペプチドハイドロゲル、1型コラーゲン等が挙げられる。工程1における培地に含まれる担体は、これらのうちの1種類以上を、適宜併用してもよい。これらの担体は、市販のものを適宜入手して使用すれば良い。
工程1における培養条件は、特に限定はされず一般的な細胞培養条件又は、人工皮膚を作製する際の三次元培養条件を基に、適宜選択すればよい。例えば、37℃で5%のCO存在下でインキュベートする方法が挙げられる。
工程1における培養時間は、特に限定はされないが、通常は3時間〜48時間程度とすればよい。
工程1における培養終了後に、コラーゲンを固化する工程が含まれていてもよい。具体的には、培養終了後の真皮層を5%のCO存在下で37℃から温度を可能な範囲で上昇させてインキュベートする工程、培地のpHを変更してインキュベートする工程などがあげられる。
<工程2について>
本発明の色素含有人工皮膚の製造方法における工程2は、上記工程1にて作製した真皮層の上部に、メラノサイトを播種して培養する工程である。
工程2における培養におけるメラノサイトは、特に限定はされないが、例えば、ヒト由来、マウス由来、ラット由来、サル由来、チンパンジー等の動物種に由来するメラノサイトの初代培養細胞、市販のライン化されたメラノサイト等から適宜選択して使用すればよい。このようなメラノサイトは、一種類のみを用いる事に限定されず、数種類を組み合わせて用いてもよい。
工程2における培養におけるメラノサイトの使用量は、特に限定はされないが、通常は、2.0×10細胞/cm〜2.0×10細胞/cm程度のメラノサイトを用いればよい。
工程2における培養にて用いる培地は、市販の培地を適宜用いればよい。なお、斯かる培地には適宜、FBSやFCSといった血清、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物質が含まれていてもよい。
工程2における培養条件は、特に限定はされず一般的な細胞培養条件又は、人工皮膚を作製する際の三次元培養条件を基に適宜選択すればよい。例えば、37℃で5%のCO存在下でインキュベートする方法が挙げられる。
工程2における培養時間は、メラノサイトが工程1にて作成した真皮層に固着する範囲であれば、特に限定はされないが、通常は1日〜5日程度とすればよい。より好ましくは。3〜5日程度である。なお、固着の度合いは、例えば、顕微鏡などの観察によって確認すればよい。
<工程3について>
本発明の色素含有人工皮膚の製造方法における工程3は、上記工程2の後に、真皮層の上部に表皮角化細胞を播種して培養し、表皮層を作製する工程である。
工程3における培養における表皮角化細胞は、特に限定はされないが、例えば、ヒト由来、マウス由来、ラット由来、サル由来、チンパンジー等の動物種に由来する表皮角化初代培養細胞、市販のライン化された表皮角化細胞等から適宜選択して使用すればよい。このような表皮角化細胞は、一種類のみを用いる事に限定されず、数種類を組み合わせて用いてもよい。
工程3における培養における表皮角化細胞の使用量は、特に限定はされないが、通常は、2.0×10細胞/cm〜2.0×10細胞/cm程度の表皮角化細胞を用いればよい。
工程3における培養にて用いる培地は、市販の培地を適宜用いればよい。なお、斯かる培地には適宜、FBSやFCSといった血清、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物質が含まれていてもよい。
工程3における培養条件は、特に限定はされず一般的な細胞培養条件又は、人工皮膚を作製する際の三次元培養条件を基に適宜選択すればよい。例えば、37℃で5%のCO存在下でインキュベートする方法が挙げられる。
工程3における培養時間は、通常は12時間〜36時間程度。とすればよい。
工程3における培養終了後に、表皮層の角化を促進させるための工程(角化促進工程)が含まれていてもよい。具体的には、表皮層の表面を空気に曝す状態にして、培養する工程が挙げられる。
角化促進工程における培地及び培養温度の条件は、工程3における条件と同様にすればよく、培養時間は、通常2日〜7日程度とすればよいとすればよい。
色素含有人工皮膚
本発明に係る色素含有人工皮膚は以下に示す真皮層及び表皮層といった2層構造を有する。
<真皮層について>
本発明に係る色素含有人工皮膚に含まれる真皮層は、細胞外マトリックス及び真皮繊維芽細胞を有する。細胞外マトリックス及び真皮繊維芽細胞は、上記本発明に係る色素含有人工皮膚の製造方法の<工程1>にて詳述したものと同様である。
また、真皮層にはメラノサイト又はメラニンが含まれていてもよい。メラノサイトとは、上記本発明に係る色素含有人工皮膚の製造方法の<工程2>にて詳述したものと同様である。
メラニンにはユウメラニン、フェオメラニンなどが含まれ、これらは酸化体であってもよく、重合体であってもよい。
なお、上記真皮層には、皮脂腺、汗腺、血管、或いは毛母細胞は含まない。
<表皮層について>
本発明に係る色素含有人工皮膚に含まれる表皮層は角化細胞及び角質層並びに基底層を有する。
基底層は前記真皮層と接する側に載置され、角質層は前記基底層の前記真皮層と接する側の反対側に接して載置される。
また、表皮層にはメラノサイト又はメラニンが含まれていてもよい。より具体的には、表皮層の角質層以外の部位に含まれていることが好ましく、最も好ましくは基底層にメラノサイト又はメラニンが含まれる事である。
このようなメラノサイト又はメラニンは、<真皮層>において上述したものと同様とである。
なお、上記真皮層には、皮脂腺、汗腺、血管、或いは毛母細胞は含まない。
本発明に係る色素含有人工皮膚の製造方法は、公知の方法を用いる事によって適宜作製する事が可能であり、特に限定はされないが、例えば、上記本発明に係る色素含有人工皮膚の製造方法を採用して作製する事が好ましい。
本発明に係る色素含有人工皮膚は、培養から2週間程度もの間、培地等にメラノサイトが流出しないといった効果を発揮する。特に、本発明に係る色素含有人工皮膚は、基底層に比較的長期間メラノサイトが滞留し続けるといった作用も発揮する。
以上のことから、本発明に係る色素含有人工皮膚は、メラノサイトの存在に起因する色素斑疾患、特に基底層或いは真皮層にメラノサイトが存在することに起因する色素斑疾患の治療法を探索する上で用いる、色素斑疾患モデル皮膚として有効である。
色素斑疾患とは、特に限定はされないが、基底層又は真皮層にメラノサイト又はメラニンが存在し続けることに起因する疾患であり、例えば、雀卵斑、扁平卵斑、肝斑、日光性色素斑、炎症後色素沈着症、固定薬疹、リール黒皮症、後天性真皮内メラノサイトーシス、大田母斑、青色母斑等が挙げられる。
色素含有人工皮膚の使用
本発明に係る色素含有人工皮膚の使用は、色素斑疾患の治療方法を探索するための使用である。
色素含有人工皮膚とは、上述した本発明に係る色素含有人工皮膚である。
色素斑疾患とは、上記色素含有人工皮膚にて詳述したとおりである。
これらの色素斑疾患の治療方法としては、特に限定はされないが、例えば、トラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンE等を内服する方法;ハイドロキノン、レチノイン酸等を外用する方法;レーザートーニング、Intense Pulsed Light(IPL)、ケミカルピーリング等を用いた物理的な施術を用いた方法等が挙げられる。
材料、試薬、試料等
材料としてヒト表皮角化細胞(Lonza社製)、ヒト表皮メラノサイト(Lonza社製)とヒト真皮線維芽細胞(Lonza社製)を使用した。
表皮角化細胞はKGM−2(Lonza社製)を、メラノサイトはMGM−4(Lonza社製)を培養液とし、真皮線維芽細胞は10%FBS(HyClone社製)を添加したDMEM(LIFE TECHNOLOGIES社製)を培養液として継代培養を行った。
表皮角化細胞とメラノサイトは4〜5継代、真皮線維芽細胞は8〜10継代の細胞を使用した。
色素含有人工皮膚の作製
7.5mLの5倍濃縮DMEMと3.75mLのreconstruction buffer(和光純薬工業株式会社製)の混合液に、26.3mLのコラーゲン(新田ゼラチン株式会社製)を加え、水酸化ナトリウムにてpH調整を行い、コラーゲン液を作製した。
そこへ10%のFBSを添加したDMEMと、線維芽細胞を加えて懸濁液を作製し、24ウェルプレートの一穴に1.5mLずつ入れ、一穴の線維芽細胞が4.0×10細胞となるようにした。
その後37℃、5%のCO条件下のインキュベーターに2時間入れ、コラーゲンを固化させて真皮層を作製した。
次いで、作製した真皮層上に、MGM−4にて懸濁したメラノサイトを24ウェルプレートの1穴に0.5mLずつ播種し、一穴の表皮角化細胞が4.0×10細胞となるようにした。
これを3晩培養してメラノサイトが真皮層により強く固着するようにした。さらにこの上に、KGM−2にて懸濁した表皮角化細胞を24ウェルプレートの一穴に0.5mLずつ播種し、一穴の表皮角化細胞が4.0×10細胞となるようにして表皮層を作成した。これを一晩培養した。
次に、直径6cm×高さ1.5cmのシャーレ内に滅菌済みの金網(Screens for CD−1;size:40mesh:Sigma−Aldrich社)を置き、混合培養液(DMEM:KGM−2=1:1)でシャーレを満たした後、金網上にフィルターを重ならないように3枚ずつ置いた。
24ウェルプレートより培養した標本をすくい取り、フィルター(FILTER TIPE:3.0μm;white SSWP;25mm:MILLIPORE社)上に1つずつ乗せ、表皮層を空気にさらすようにした。これを4日間培養し、表皮層の角化を促進させた。すべての色素含有人工皮膚は同一の条件下にて培養した。
得られた色素含有人工皮膚の組織標本を作製した。具体的には、得られたサンプルを、20%中性緩衝ホルマリン(Formalin Neutral Buffer Solution;和光純薬工業株式会社)にて固定を行ったのちに脱水処理を行い、低温パラフィンにて包埋し、組織標本を作製した。ついで、得られた標本をマッソン・フォンタナ染色法に従って染色し、顕微鏡観察した。
なお、病理組織包埋用パラフィンとして、Pathoprep546(和光純薬工業株式会社)、中間脱パラフィン透徹剤として、ティシュー・クリア(サクラファインテックジャパン株式会社)を使用した。
図1のBに示すように、得られた人工皮膚は従来法によって作製される人工皮膚にはない、メラノサイトが基底層に存在することが明らかとなった。この人工皮膚を公知の条件で培養し続けた結果、図2及び図3に示すように、メラノサイトが基底層に残存し続けている事が明らかとなった。また、21日後には、真皮層にまでメラノサイトが落ち込んでいる事が明らかとなった。このような形態は、特に重篤な色素斑疾患の病態を示すものとよく一致する。
レーザートーニング
QスイッチYAGレーザー(メドライトC3、HOYA株式会社製)にトーニング用ハンドピースを装着して以下の条件で上述の色素含有人工皮膚モデルに照射した。照射直径は4mmとし、人工皮膚モデルの全体に4.4mJで各部分が1回だけ照射されるように数発の照射を行った。
QスイッチYAGレーザー照射後、標本を混合培養液にて培養し、照射直後および照射後所定の期日ごとに28日目まで、それぞれ3枚ずつ取り出した。それらを上述の方法と同様に組織標本を作製した。ついで、得られた標本をマッソン・フォンタナ染色法に従って染色し、顕微鏡観察によってメラニン局在の評価を行った。
結果を図4〜7に示す。その結果、レーザーの処理後直後にメラニン顆粒は分散しており、処理後3日目の照射群のメラニン顆粒は減少していることが明らかとなった。また、5日目及び7日目において、基底層のメラノサイトが減少していることも明らかとなった。
そして、処理後10日目及び14日目において、基底層のメラノサイトがほとんど見られなくなり、表皮層全体のメラニン顆粒も減少していることも明らかとなり、処理後21日目及び28日目においては、基底層のメラノサイトが見られなくなり、表皮層全体のメラニン顆粒もほとんどないことが明らかとなった。
以上のことから、本実施例にて作製した色素含有人工皮膚を用いて、基底層又は真皮層にメラノサイト又はメラニンが存在し続けることに起因する色素斑疾患の治療法として、上述のレーザー処理を行う事が有効である事が強く示唆された。

Claims (3)

  1. 色素斑疾患の治療方法を探索するための色素含有人工皮膚の使用であって、
    前記人工皮膚が真皮層及び表皮層を有し、
    該真皮層は細胞外マトリックス及び真皮繊維芽細胞を有し、
    該表皮層は角化細胞及び角質層並びに基底層を有し、
    該基底層は前記真皮層と接する側に載置され、
    該角質層は前記基底層の前記真皮層と接する側の反対側に接して載置され、
    前記基底層又は前記真皮層にメラノサイトを含む、
    使用。
  2. 色素斑疾患の治療方法を探索するための色素含有人工皮膚の使用であって、
    該色素含有人工皮膚が、以下の工程1〜3を含む製造方法によって得られたものである方法;
    (1)担体と真皮線維芽細胞を混合して培養し、真皮層を作製する工程1、
    (2)上記工程1にて作製した真皮層の上部に、メラノサイトを播種して培養する工程2、
    (3)上記工程2の後に、真皮層の上部に表皮角化細胞を播種して培養し、表皮層を作製する工程3。
  3. 色素斑疾患が、雀卵斑、扁平卵斑、肝斑、日光性色素斑、炎症後色素沈着症、固定薬疹、リール黒皮症、後天性真皮内メラノサイトーシス、大田母斑、及び青色母斑からなる群より選択される、少なくとも1つである請求項1又は請求項2に記載の使用。
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