JP2014062147A - 樹脂組成物、およびそれから形成される塗膜 - Google Patents

樹脂組成物、およびそれから形成される塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】塗膜化時のエージング時間を必要とすることなく、塗膜とされた場合の各種基材との密着性、後加工性および硬度に顕著に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、酸価が10〜50mgKOH/gであるポリエステル樹脂と、平均粒子径が1〜30μmである微粒子とを含有する樹脂組成物であって、該微粒子の含有量が1〜40質量%であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、およびそれから形成される塗膜に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂は、機械的強度、熱安定性、疎水性および耐薬品性などに優れるため、繊維、フィルムあるいはシートなどの成形体の材料として、各種分野で広く利用されている。
ポリエステル樹脂においては、構成成分である多価カルボン酸成分およびグリコール成分の種類の組み合わせを適宜に選択することで、種々の構造および特性を得ることができる。そして、ポリエステル樹脂は、各種の基材にコーティングされた場合の、該基材との密着性に優れており、さらに、ポリエステル樹脂を各種基材にコーティングすることで得られた塗膜は、他の基材に対する接着性にも優れている。このように、塗膜とされた場合の優れた密着性および接着性を活かし、ポリエステル樹脂は、接着剤、コーティング剤、インキバインダーあるいは塗料などの用途において広く使用されている。
上記のようなポリエステル樹脂から得られた塗膜を、液晶ディスプレイやLED(発光ダイオード)照明などに用いられる光拡散シートの表面に積層させる場合がある。このような液晶ディスプレイやLED照明においては、複数の構成部材を積層してなる多層構造が採用されている。そして、近年の液晶ディスプレイやLED照明の薄膜化にともない、光拡散シートなどの構成部材を重ねて積層した後、これらを圧縮させる工程に付することが必要とされる。したがって、各々の構成部材においては圧縮に耐えうる程度の強度を有することが必要であるため、光拡散シートの表面に積層される塗膜についても、その硬度を顕著に高くすることが要望されている。
このような背景に基づき、ポリエステル樹脂を塗膜に用いた場合の硬度を向上させることが様々に検討されている。その一例として、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を高くすることで、塗膜とされた場合の硬度を向上させることが検討されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の場合であっても、得られる塗膜の硬度は未だ十分ではないという問題がある。
また、ポリエステル樹脂に対して硬化剤を添加することで、塗膜とされた場合の硬度を向上させることも検討されている。例えば、特許文献2には、ポリエステル樹脂およびイソシアネート系硬化剤を含有するポリエステル樹脂組成物が記載されている。また、特許文献3には、ポリエステル樹脂およびエポキシ樹脂系硬化剤を含有する粉体塗料が記載されている。
特許文献2に記載されたポリエステル樹脂組成物および特許文献3に記載された粉体塗料の場合は、該組成物や塗料からなる塗膜の硬度は顕著に向上されている。しかしながら、これらの文献においては、多量の硬化剤が用いられているため、これらのポリエステル樹脂組成物や粉体塗料を塗膜化する場合は、該組成物や塗料を有機溶剤へ溶解して溶解液を得、この溶解液を基材にコーティングして乾燥させた後に、さらに、塗膜が硬化するまで数日間のエージング工程に付される必要があるため、塗膜を得る際の作業性および生産性に劣るという問題がある。また、特許文献2および特許文献3に記載されたポリエステル樹脂組成物や粉体塗料を硬化させて得られた塗膜は、多量の硬化剤に由来して硬度が必要以上に高くなり過ぎるため、各種基材との密着性に乏しいという問題や、塗膜とされた場合の可とう性やたわみ性に劣るため、種々の形状に追随しにくくなり後加工が困難になるという問題がある。
さらに、ポリエステル樹脂から得られる塗膜の後加工性(可とう性、たわみ性)を向上させるために、特許文献4および特許文献5においては、ポリエステル樹脂および多量の硬化剤からなる樹脂組成物に対して、さらに有機高分子微粒子を含有させることが検討されている。しかしながら、特許文献4および特許文献5においても、硬化剤が多量に用いられているため、塗膜とされた場合の各種基材との密着性、および後加工性は未だ十分ではないという問題がある。
特開2010−095696号公報 特開2007−39560号公報 特開平10−46056号公報 特開2006−16486号公報 特開2006−16485号公報
つまり、従来技術においては、多量の硬化剤を用いることなく、塗膜化された時の硬度が十分に向上され、さらに塗膜とされた場合の各種基材との密着性および後加工性に顕著に優れるポリエステル樹脂組成物を得ることは困難である。
本発明は、前記の問題点を解決しようとするものであり、多量の硬化剤を用いることなく、塗膜とされた場合の硬度、各種基材との密着性および後加工性に顕著に優れる樹脂組成物を得ることを技術的な課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸価が10〜50mgKOH/gであるポリエステル樹脂と、平均粒子径が1〜30μmである微粒子とを含有する樹脂組成物であって、該微粒子の含有量が1〜40質量%であることを特徴とする樹脂組成物は、上記の問題が解決されるものであることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)酸価が10〜50mgKOH/gであるポリエステル樹脂と、平均粒子径が1〜30μmである微粒子とを含有する樹脂組成物であって、該微粒子の含有量が1〜40質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)ポリエステル樹脂の数平均分子量が2000〜25000であることを特徴とする(1)の樹脂組成物。
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−20〜85℃であることを特徴とする(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)含有される微粒子が有機高分子微粒子および/または金属微粒子であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの樹脂組成物。
(5)含有される微粒子が架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの樹脂組成物。
(6)硬化剤の含有量が1質量%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかの樹脂組成物から形成され、ポリエステル樹脂からなる層および平均粒子径が1〜30μmである微粒子を含有することを特徴とする塗膜。
(8)ポリエステル樹脂からなる層の厚みが3〜20μmであることを特徴とする(7)の塗膜。
(9)ポリエステル樹脂からなる層の厚みが微粒子の平均粒子径よりも薄く、塗膜表面に微粒子の一部が露出していることを特徴とする(7)または(8)の塗膜。
本発明によれば、塗膜とされた場合における硬度、各種基材との密着性に優れた樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明の樹脂組成物から得られた塗膜は、隣り合う微粒子間に存在する樹脂部分に起因して、十分な可とう性やたわみ性を保持することができるため、後加工性にも優れるものである。加えて、本発明の樹脂組成物は、塗膜化の際の数日間のエージング時間を必要としないため、塗膜生産性にも優れるものである。
特に、本発明の樹脂組成物から得られた塗膜において、ポリエステル樹脂からなる層の厚みが微粒子の平均粒子径よりも薄く、塗膜表面に微粒子の一部が露出している場合は、表面に露出する微粒子に起因して硬度により優れるものとなる。
本発明の樹脂組成物から形成された塗膜の断面を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、酸価が10〜50mgKOH/gであるポリエステル樹脂と、平均粒子径が1〜30μmである微粒子とを含有する樹脂組成物であって、該微粒子の含有量が1〜40質量%であることを特徴とする。
まず、ポリエステル樹脂について述べる。
本発明の樹脂組成物に含有されるポリエステル樹脂は、バインダー樹脂としての役割を担うものであり、多価カルボン酸成分とグリコール成分とを主成分として構成されるものである。
主成分のうちの一つである多価カルボン酸成分は、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシ-イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、1,3,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、シュウ酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などや、またはその無水物が挙げられる。なかでも、耐久性などの観点から、テレフタル酸、イソフタル酸を含むことが好ましい。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
主成分のうちの一つであるグリコール成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール、ダイマージオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ブチルエチルプロパンジオール、1,2−プロパンジオールなどが挙げられる。なかでも、溶解性などの観点から、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールが好ましい。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、上記の多価カルボン酸成分およびグリコール成分以外のモノマー成分(他のモノマー成分)が含有されていてもよい。なお、ポリエステル樹脂における、他のモノマー成分の共重合割合は、ポリエステル樹脂に含まれる全モノマー成分に対して50モル%未満であることが好ましい。
他のモノマー成分としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、乳酸、オキシラン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4-(β-ヒドロキシ)エトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトンなどが挙げられる。
また、他のモノマー成分として、モノカルボン酸、モノアルコールなどが用いられてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸などが挙げられる。モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどが挙げられる。
本発明にて用いられるポリエステル樹脂の酸価は、10〜50mgKOH/gであることが必要であり、12〜40mgKOH/gであることが好ましく、14〜30mgKOH/gであることがさらに好ましい。本発明において、ポリエステル樹脂の酸価を高めるためには、該ポリエステル樹脂を解重合反応に付することが必要であり、それにより該ポリエステル樹脂の分子量が低くなってしまう。そのため、酸価が50mgKOH/gを超えると、ポリエステル樹脂の分子量の低さに起因して、該ポリエステル樹脂が含有される樹脂組成物から得られる塗膜の硬度が低下してしまうという問題がある。一方、ポリエステル樹脂の酸価が10mgKOH/g未満であると、ポリエステル樹脂への微粒子の分散性が低くなってしまうため、得られた樹脂組成物を塗膜化することができず、また塗膜化できたとしても硬度に劣るものしか得られないという問題がある。
より具体的には、本発明の樹脂組成物は、上記のような特定の範囲の酸価を有するポリエステル樹脂を用いることにより、ポリエステル樹脂と微粒子との相溶性に顕著に優れる。そのため、樹脂組成物中における微粒子の分散性、あるいは、本発明の樹脂組成物から塗膜を得る際に該樹脂組成物を有機溶剤に溶解させる場合においては、該有機溶剤中の微粒子の分散性に優れるものとなり、ひいては、本発明の樹脂組成物から得られた塗膜中の微粒子の分散性に優れるものとなる。なお、微粒子の分散性に優れるとは、撹拌時に均一に分散するとともに、撹拌終了後すぐに該微粒子が凝集や沈降することなく均一に分散した状態を保っていることを意味する。
なお、本発明の樹脂組成物において、2種類以上のポリエステル樹脂を混合して用いる場合は、混合されて得られるポリエステル樹脂混合物の酸価が上記の範囲を満足すればよく、混合されるポリエステル樹脂の組み合わせや、各々の混合割合などは、特に限定されるものではない。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−20〜85℃であることが好ましく、−10〜65℃であることがより好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度が85℃を超えると、後述の微粒子のポリエステル樹脂への分散性が不十分となる場合があるため好ましくない。一方、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−20℃未満であると、該ポリエステル樹脂が柔らかくなることで、得られた樹脂組成物を塗膜とした時の硬度が低くなることがあるため好ましくない。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、2000〜25000であることが好ましく、4000〜22000であることがより好ましく、6000〜18000であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が25000を超えると、ポリエステル樹脂への微粒子の分散性が低くなってしまうため、得られた樹脂組成物を塗膜化することができず、また塗膜化できたとしても、硬度に劣るものしか得られない場合があるため好ましくない。一方、ポリエステル樹脂の数平均分子量が2000未満であると、得られた樹脂組成物を塗膜とした時の硬度が低くなることがあり好ましくない。
なお、本発明において、2種類以上のポリエステル樹脂を混合して用いる場合は、混合されて得られるポリエステル樹脂混合物のガラス転移温度および数平均分子量が上記の範囲を満足すればよく、混合されるポリエステル樹脂の組み合わせや、各々の混合割合などは、特に限定されるものではない。
また、本発明にて用いられるポリエステル樹脂は、結晶性であってもよいし、非晶性であってもよい。
上述のようなポリエステル樹脂を得るためには、例えば、以下のような手法を用いることができる。すなわち、多価カルボン酸やグリコールなどの原料モノマーを反応缶に投入した後、エステル化反応をおこなう。次いで、公知の方法で所望の分子量に達するまで重縮合させることにより、ポリエステル樹脂を製造することができる。エステル化反応は、例えば、180℃以上の温度において4時間以上おこなわれる。
重縮合反応は、一般的には、130Pa以下という減圧下かつ220〜280℃という温度下で、重合触媒を用いておこなわれる。重合触媒としては、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物などが挙げられる。なお、重合触媒の使用量が過少であると重合反応が遅くなる場合があり、一方、過多であると得られるポリエステル樹脂の色調が低下する場合がある。そのため、重合触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4モルであることが好ましい。そして、ポリエステル樹脂の酸価を調整するために、前記の重縮合反応に引き続き、多価カルボン酸をさらに添加し、不活性雰囲気下で解重合反応をおこなうことができる。
次いで微粒子について述べる。
本発明において、微粒子は、塗膜とされた場合の硬度を向上させることを目的として、樹脂組成物に含有されるものである。このような微粒子としては、有機高分子微粒子、無機微粒子あるいは金属微粒子などが挙げられる。本発明においては、このような微粒子のなかでも、微粒子自体の硬度が高く、該微粒子が含有された樹脂組成物を塗膜とした場合の硬度をより向上させうる観点から、特定の有機高分子微粒子および/または金属微粒子を用いることが好ましい。
有機高分子微粒子としては、架橋ポリメタクリル酸メチル、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メチロールメラミン、あるいは尿素・ホルムアルデヒド縮合物などの有機高分子からなる微粒子が挙げられる。また、金属粒子としては、アルミニウム、銅、銀あるいは鉄などからなる微粒子が挙げられる。これらのなかでも、塗膜とされたときの透過性および硬度に優れる観点から、有機高分子微粒子が好ましい。有機高分子微粒子のなかでも、塗膜とされた場合の透過性や硬度に顕著に優れる観点から、架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子が特に好ましい。
微粒子を構成するポリメタクリル酸メチルに含有されるアクリル成分としては、アクリル系単量体として、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミドおよびN−メチロールアクリルアミドなどから選ばれた1種以上を挙げることができる。
一般的に、ポリエステル樹脂に対する各種微粒子の分散性は良好ではなく、特に、微粒子としてアクリル成分を含有するものを用いた場合には、アクリル成分とポリエステル樹脂との親和性が低いことに起因して、両者は非常に混ざりにくいため、微粒子の分散性は非常に悪いものとなる。そのため、ポリエステル樹脂と微粒子とを含有する樹脂組成物を塗膜化する場合は、塗膜を形成することが困難であったり、塗膜が形成されたとしても塗膜中に微粒子が均一に分散しなかったりするという問題があった。しかしながら、本発明の樹脂組成物においては、上述のように、ポリエステル樹脂として、特定の酸価であるポリエステル樹脂を用いている。そのため、微粒子、特にポリメタクリル酸メチルというアクリル成分を含有する微粒子を用いたとしても、ポリエステル樹脂中と微粒子とのなじみ(密着性)を良好とすることができ、分散性を良好にすることができ、ひいては、塗膜とした場合に、塗膜中の該微粒子の配列を均一とすることができる。このような構成とすることにより、硬度および後加工性に優れる塗膜を形成することができる。
微粒子の平均粒子径は、1〜30μmであることが必要であり、3〜25μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。微粒子の平均粒子径が30μmを超えると、本発明で規定するような特定の酸価を有するポリエステル樹脂を用いたとしても、樹脂組成物における該微粒子の分散が困難となり、つまり分散性に劣る樹脂組成物しか得られない。また、良好な分散ができたとしても、得られる樹脂組成物を基材などに塗布して塗膜とした場合に、塗膜本来の可とう性やたわみ性が低下することにより、種々の形状に追随しにくくなり後加工が困難になるという問題や、基材との密着性に劣るという問題がある。一方、1μm未満であると、微粒子を添加することにより奏される硬度向上効果が発現せず、つまり得られた樹脂組成物を塗膜とした時の硬度が低くなるという問題がある。
本発明の樹脂組成物において、微粒子の含有量は、1〜40質量%であることが必要であり、5〜35質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。微粒子の含有量が1質量%未満であると、微粒子を添加することにより奏される硬度向上効果が発現せず、つまり得られた樹脂組成物を塗膜とした時の硬度が低くなるという問題がある。一方、40質量%を超えると、本発明で規定する特定の酸価であるポリエステル樹脂を用いたとしても、該樹脂の分散が困難となり、つまり分散性に劣る樹脂組成物しか得られない。また分散ができたとしても、得られる樹脂組成物を基材などに塗布した際に、バインダー樹脂としてのポリエステル樹脂の量に対し、微粒子の含有量が過剰となるため、塗膜表面に露出する微粒子が多くなることで基材に接触する微粒子の面積が大きくなり過ぎてしまい、必要とする密着性(各種基材に対する密着性)が得られない。また、隣り合う微粒子間において樹脂を十分に保持することも困難となるため、塗膜本来の可とう性やたわみ性が低下し、種々の形状に追随しにくくなり後加工が困難になるという問題がある。
本発明の樹脂組成物は、上記のようなポリエステル樹脂と、平均粒子径が1〜30μmの微粒子とを含有するものである。本発明においては、特定の平均粒子径を有する微粒子を、特定の割合で含有することにより、初めて、多量の硬化剤を用いずとも得られる塗膜の硬度を高くすることができ、加えて基材に対する密着性および可とう性の向上が可能となることが見出された。より具体的には、塗膜化の際に数日間のエージング時間を要することなく、塗膜とされた場合における基材との密着性、後加工性、および硬度のいずれにも優れる樹脂組成物を得ることができたのである。
なお、本発明の樹脂組成物を用いることによって、硬化剤を用いずとも十分な硬度を有する塗膜を得ることは可能であるが、本発明にて得られる塗膜の性能を阻害しない範囲で、硬化剤を用いることもできる。硬化剤を配合する場合には、硬化剤の含有量が1質量%以下であることがより好ましく、硬化剤の含有量が0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物に配合可能な硬化剤としては、ポリエステル樹脂が有する官能基、又はポリエステル樹脂が反応して形成される官能基(例えば、カルボキシル基やその無水物、水酸基、エポキシ基など)との反応性を有する化合物からなるものであれば、特に限定されるものではない。
上記のような硬化剤としては、例えば、イソシアネート化合物及びその各種ブロックイソシアネート化合物;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;尿素;メラミンなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を製造するためには、例えば、以下のような手法を採用することができる。すなわち、上述のようにして得られたポリエステル樹脂に対し、有機高分子微粒子または金属微粒子などの微粒子を、得られる樹脂組成物における含有割合が1〜40質量%となるように均一に分散する。微粒子を分散する方法としては、ポリエステル樹脂を汎用の有機溶剤に溶解した後、微粒子を添加し、これを撹拌することにより分散してもよい。あるいは、押出機などを用い、ポリエステル樹脂中に微粒子を直接練り込むことにより分散してもよい。なお、ポリエステル樹脂を溶解するための汎用の有機溶剤とは、特に限定されるものではなく、トルエン、メチルエチルケトン、アルコール、あるいはこれらの水溶液などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を、例えば、各種の基材に対してコーティング(塗布)し、必要に応じて乾燥させて有機溶媒の除去をおこなうことで、基材上に本発明の塗膜を形成することができる。つまり、本発明の塗膜は、ポリエステル樹脂からなる層(本明細書においては、単に「ポリエステル樹脂層」と称する場合がある)および平均粒子径が1〜30μmである微粒子を含有するものである。
本発明の樹脂組成物がコーティングされる対象である基材としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂からなるフィルムやシート;あるいは、アルミニウム箔または銅箔などの金属箔などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を基材にコーティングする方法としては、特に限定されるものではなく、リバースロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法またはスプレーコート法などの公知の方法を用いることができる。
本発明の塗膜において、ポリエステル樹脂層の厚みは、3〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましく、7〜10μmであることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂層の厚みが3μm未満であると、塗膜中に含有される微粒子の塗膜表面に露出する面積が大きくなり過ぎてしまう場合があり、これにより、基材との密着性が低下する場合がある。一方、20μmを超えると、塗膜全体に微粒子を十分かつ均一に存在させることができない場合があり、その結果、塗膜硬度が低下する場合がある。なお、ポリエステル樹脂層の厚みは、用いる微粒子の粒径との関係で任意に選択することが好ましく、例えば、平均粒子径が5μmの微粒子を用いる場合には、ポリエステル樹脂層の厚みが5μm未満となるように、塗液の濃度および塗布厚みなどを適宜に調整することが好ましい。
本発明の樹脂組成物から形成された塗膜の断面を図1にて示す。図1に示すように、基材2の表面に形成された塗膜1には、ポリエステル樹脂層4および微粒子5が含有されている。さらに、本発明の樹脂組成物を用いることにより、隣り合う微粒子間に存在するポリエステル樹脂部分に起因して可とう性やたわみ性を保持することができるため、後加工性にも優れる塗膜を形成することができる。
本発明の塗膜においては、ポリエステル樹脂層の厚み3が微粒子5の平均粒子径よりも薄くなっていることにより、塗膜表面に微粒子5の一部が露出していることが好ましい。このような構成を有することにより、その表面に露出する微粒子に起因して硬度に顕著に優れる塗膜となる。
本発明の塗膜において、図1にて示されるようにポリエステル樹脂層の厚み3が微粒子5の平均粒子径よりも薄く、塗膜表面に微粒子の一部が露出している場合、ポリエステル樹脂層の厚み3に対する微粒子の突出した高さ6の割合の範囲が、1〜50%であることが好ましく、5〜45%であることがより好ましく、10〜40%であることがさらに好ましい。該微粒子の突出した高さ6の割合が1%未満であると、塗膜硬度が低くなる場合がある。一方、50%を超えると、塗膜表面に微粒子5が必要以上に大きく突出し過ぎてしまい、他の基材への接着性に劣る場合がある。
なお、上記のポリエステル樹脂層3に対する微粒子の突出高さ6の割合は、本発明で得られる塗膜が理想的な状態(すなわち、平均粒子径が均一である微粒子が互いに重ならず、該微粒子の底面が基材と接している状態)で形成された場合に適用されることが好ましい。例えば、用いる微粒子について、各々の粒子径のばらつきが大きかったり、塗膜中に分散する微粒子に重なりが生じたりした場合には、微粒子の突出高さ6が必要以上に高くなることがある。そのような場合であっても、塗膜からの微粒子の脱落が起きないように、ポリエステル樹脂層の厚みを厚く設定し、微粒子の突出高さ6の割合を最大100%まで拡大することもできる。しかしながら、平均粒子径が均一である微粒子を用い、上記の微粒子の突出高さの割合を1〜50%とすることが、塗膜硬度と後加工性とを同時に向上させるために最も好ましいのである。
本発明の樹脂組成物から形成された塗膜は、硬度に優れるばかりか、基材との密着性および可とう性にも顕著に優れている。そのため、接着剤やコーティング剤などの用途において好適に用いられる。また、このような塗膜をフィルムなどの基材に積層して得られた積層体を、他の基材にさらに積層して用いることも可能である。
本発明の塗膜は、照明カバー、透過型ディスプレイの光拡散シート、照明看板、あるいはLED照明などにて用いられる各種光拡散シートに積層され好適に使用できる。特にディスプレイおよびLED照明などの薄膜化にともない、複数の構成部材を多層構造で積層させ、これらを圧縮工程に付する必要があるが、本発明の塗膜は硬度に優れ、しかも後加工性にも優れるため、該塗膜の脱落や破損を生じることなく圧縮工程を経ることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
評価法および測定法は次の通りである。
(1)ポリエステル樹脂の酸価
得られたポリエステル樹脂1gをジオキサン50mlに室温で完全に溶解させた後、クレゾールレッドを指示薬として、0.1モル/Lの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定をおこなった。そして、中和に消費されたKOHのmg数を、ポリエステル樹脂のg数で割った値を酸価として求めた。
(2)ポリエステル樹脂の数平均分子量
送液ユニット(島津製作所社製、「LC−10ADvp型」)および紫外−可視分光光度計(島津製作所社製、「SPD−6AV型」)を用い、GPC分析により、ポリスチレン換算でポリエステル樹脂の数平均分子量を求めた。なお、GPC分析条件としては、検出波長を254nmとし、溶媒としてテトラヒドロフランを用いた。
(3)ポリエステル樹脂の組成
NMR測定装置(日本電子社製、「JNM−LA400型」)を用い、1H−NMR測定をおこなって、それぞれのモノマー成分のピーク強度からポリエステル樹脂の組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、「ダイヤモンドDSC」)を用い、−40℃から100℃まで、10℃/分で昇温させたチャートから、ガラス転移温度(Tg)を読み取った。
(5)ポリエステル樹脂層の厚みに対する微粒子の突出高さの割合(%)
下記式により、ポリエステル樹脂層の厚みに対する微粒子の突出高さの割合を求めた。
ポリエステル樹脂層の厚みに対する微粒子の突出高さの割合(%)={(微粒子の平均粒子径−ポリエステル樹脂層の厚み)/ポリエステル樹脂層の厚み}×100
(6)樹脂組成物における微粒子の分散性
得られた樹脂組成物を、その固形分濃度が30質量%になるように、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤[(トルエン)/(メチルエチルケトン)=8/2、質量比)に溶解させた後、該混合溶剤を1時間振とう機で振った後、分散状況を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:混合溶剤中において、微粒子が均一に分散していた。
△:混合溶剤中において、微粒子の一部が分散していた。
×:混合溶剤中において、微粒子のほとんどが浮遊または沈降し、分散しなかった。
なお、上記の混合溶剤中の微粒子の分散性に優れることは、ポリエステル樹脂と微粒子との相溶性に優れることを意味し、これは、得られる樹脂組成物中および塗膜中における微粒子の分散性に優れることの指標となる。
本発明においては、○または△であるものが実用上の分散性を備えていると判断し、×であるものは分散性に劣るため実用性を有しないと判断した。
(7)塗膜化したときの硬度(硬度の異なる鉛筆を用いた試験)
実施例および比較例にて得られた樹脂組成物を、その固形分濃度が30質量%になるように、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤[(トルエン)/(メチルエチルケトン)=8/2、質量比]に溶解させて溶解液を得た。該溶解液を、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装置)を用いて銅板に塗布した。その後、100℃で30秒間熱処理することで、所定の厚みの塗膜を形成した。この塗膜を、各種の硬度を有する鉛筆(三菱鉛筆社製、「UNI」シリーズ)を用いて引っ掻き、塗膜が破損して鉛筆の先端が基板に達したときの該鉛筆の硬度により、下記の基準で評価した。
◎:鉛筆の硬度が3H以上であった。
○:鉛筆の硬度が2H以上3H未満であった。
△:鉛筆の硬度がH以上2H未満であった。
×:鉛筆の硬度がH未満であった。
本発明においては、△以上の評価であるものが実用性を有するものであると判断し、×であるものは硬度に劣るため実用性を有しないと判断した。
(8)塗膜化したときの可とう性(折り曲げ試験)
基材としてPET基材(ポリエチレンテレフタレート基材)に(6)と同様の方法で塗膜を形成した。この塗膜を180°方向に折り曲げた。そして開いた際の塗膜の状態を目視にて観察した。下記の基準で評価した。
◎:塗膜が割れず、かつ折り曲げた跡も残らなかった。
○:塗膜は割れなかったが、折り曲げた跡が少し残った。
△:塗膜は割れなかったが、折り曲げた跡が強く残った。
×:塗膜が割れた。
本発明においては、△以上の評価であるものが実用性を有するものであると判断し、×であるものは可とう性に劣るため実用性を有しないと判断した。
(9)密着性(クロスカット試験)
基材としてPET基材(ポリエチレンテレフタレート基材)および銅箔上に、(6)と同様の方法で塗膜を形成した。これらの塗膜において、JIS K5600−5−6に規定されたクロスカット法に従って切込みを入れ、マス目を100個形成した。その後、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を、切り込み方向の一方向に平行な方向に端部を残して貼りつけ、該粘着テープの上から消しゴムでこすって十分に接着させた。次いで、該粘着テープを貼付面に対して60°の角度の方向に引っ張って、瞬間的に引き剥がした。粘着テープを引き剥がした後、塗膜に残るマス目の数を目視で計測し、下記の基準で評価した。
◎:残ったマス目が95枚以上であった。
○:残ったマス目が90枚以上95枚未満であった。
△:残ったマス目が70枚以上90枚未満であった。
×:残ったマス目が70枚未満であった。
本発明においては、△以上の評価であるものが実用性を有するものであると判断し、×であるものは塗膜の密着性に劣るため実用性を有しないと判断した。
(10)総合評価
○:上記の(6)〜(9)の評価結果において×の評価が無い。
×:上記の(6)〜(9)の評価結果のうち、1つ以上の×の評価がある。
(ポリエステル樹脂の調製)
調製例1
テレフタル酸82g(49.5モル%)、イソフタル酸82g(49.5モル%)、エチレングリコール43g(70モル%)、ネオペンチルグリコール68g(65モル%)、および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を、250℃にし系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに3.0時間重合反応をおこなった。減圧を解除してから、解重合剤であるトリメリット酸1.9g(1.0モル%)を投入し、245℃で2時間解重合反応をおこない、ポリエステル樹脂Aを得た。
調製例2〜14
ポリエステル樹脂の仕込組成を表1のように変更した以外は、調製例1と同様の操作をおこない、ポリエステル樹脂B〜Nを得た。なお、調製例14においては、仕込組成を変更しただけではなく、解重合反応はおこなわずに重縮合反応が終了した段階でポリエステル樹脂Nを得た。調製例1〜14で得られたポリエステル樹脂A〜Nにおける、モノマーの仕込組成、重合反応時間を表1に示す。
Figure 2014062147
なお、表1および後述の表2中における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
PTMG1000:ポリテトラメチレングリコール
TMA:トリメリット酸
また、表1および後述の表2中における微粒子の種類(I)〜(IX)は、それぞれ以下のものを示す。
(I):架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(綜研化学社製、「MX−1000」、平均粒子径:10μm)
(II):架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(積水化成品工業社製、「SSX−101」、平均粒子径:1μm)
(III):架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(積水化成品工業社製、「MBX−20」、平均粒子径:30μm)
(IV):非架橋のポリメタクリル酸メチル微粒子(松本油脂製薬社製、「M101」、平均粒子径:20μm)
(V):メチロールメラミン微粒子(日本カーバイド工業社製、「ニカレジンS−260」、平均粒子径:10μm)
(VI):銅粉(福田金属箔粉工業社製、「FCC−SP−77」、平均粒子径:10μm)
(VII):銀粉(田中貴金属販売社製、「AY−6010」、平均粒子径:10μm)
(VIII):架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(積水化成品工業社製、「エポスターMX200W」、平均粒子径:0.4μm)
(IX):架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(積水化成品工業社製、「MBX−40」、平均粒子径:40μm)
実施例1
調製例1にて得られたポリエステル樹脂A30gを、その固形分濃度が30質量%になるように、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤[(トルエン)/(メチルエチルケトン)=8/2、質量比]70gに溶解させた。そして、さらに6gの微粒子(I)(樹脂固形分に対して20質量%)を添加した後、1時間振とう機で振り、微粒子Iを均一に分散させ、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から、上記評価方法における(6)および(7)の手法により、PETフィルム上と銅箔上とに、それぞれ、ポリエステル樹脂層の厚みが8μmである塗膜を形成し評価に付した。実施例1の結果を表2に示す。
Figure 2014062147
実施例2〜25および比較例1〜7
使用するポリエステル樹脂の種類、および微粒子の種類と含有量を、表2および3に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から、表2および表3に示すようにポリエステル樹脂層の厚みを変えた塗膜を形成し、実施例1と同様の手法により評価に付した。その結果を表2および3に示す。
Figure 2014062147
なお、表3中、比較例1および比較例5においては、後述のように塗膜を得ることができなかったが、基材上に樹脂組成物を塗布した状態で可とう性の評価をおこなった。
表2〜3から明らかなように、実施例1〜25で得られた樹脂組成物は、含有される微粒子の分散性に優れており、加えて塗膜とされた場合の硬度および基材との密着性に優れていた。
比較例1で得られた樹脂組成物は、用いられたポリエステル樹脂の酸価が低すぎ、ポリエステル樹脂中における微粒子の分散性が低いものであったため、塗膜を形成することができなかった。
比較例2で得られた樹脂組成物は、用いられたポリエステル樹脂の酸価が高すぎたため、塗膜とされた場合の硬度に劣るものであった。
比較例3で得られた樹脂組成物は、微粒子の含有量が過少であったため、塗膜とされた場合の硬度に劣るものであった。
比較例4で得られた樹脂組成物は、微粒子の含有量が過多であったため、塗膜とされた場合の基材との密着性および可とう性に劣るものであった。
比較例5で得られた樹脂組成物は、用いられたポリエステル樹脂の酸価が低すぎ、加えて、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が本発明における好ましい範囲を超えて高かった。そのため、該樹脂組成物中における微粒子の分散性が低く、塗膜を形成することができなかった。
比較例6で得られた樹脂組成物は、用いられた微粒子の平均粒子径が過小であったため、塗膜とされた場合の硬度に劣るものであった。
比較例7で得られた樹脂組成物は、用いられた微粒子の平均粒子径が過大であったため、塗膜とされた場合の基材との密着性、および可とう性に劣るものであった。
1 塗膜
2 基材
3 ポリエステル樹脂層の厚み
4 ポリエステル樹脂層
5 微粒子
6 微粒子の突出高さ

Claims (9)

  1. 酸価が10〜50mgKOH/gであるポリエステル樹脂と、平均粒子径が1〜30μmである微粒子とを含有する樹脂組成物であって、該微粒子の含有量が1〜40質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. ポリエステル樹脂の数平均分子量が2000〜25000であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−20〜85℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 含有される微粒子が有機高分子微粒子および/または金属微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 含有される微粒子が架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 硬化剤の含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成され、ポリエステル樹脂からなる層および平均粒子径が1〜30μmである微粒子を含有することを特徴とする塗膜。
  8. ポリエステル樹脂からなる層の厚みが3〜20μmであることを特徴とする請求項7に記載の塗膜。
  9. ポリエステル樹脂からなる層の厚みが微粒子の平均粒子径よりも薄く、塗膜表面に微粒子の一部が露出していることを特徴とする請求項7または8に記載の塗膜。
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