JP2014060261A - 導電性ペースト、太陽電池、及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

導電性ペースト、太陽電池、及び太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることができる太陽電池の電極形成に適した導電性ペースト、及びこの導電性ペーストを使用することによりエネルギー変換効率が高く、電池特性が良好な太陽電池、及び前記導電性ペーストを使用した太陽電池の製造方法を実現する。
【解決手段】導電性ペーストが、少なくともAg粉末等の導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有している。ガラスフリットは、第1の温度領域Xで結晶化する結晶点Tcと、第1の温度領域Xよりも高温の第2の温度領域Yで再溶融する再溶融点Tmを有している。第1の温度領域Xは、プレヒートゾーンBが終了する温度以下の領域であり、第2の温度領域Yは、プレヒートゾーンBの終了後、最高焼成温度T3に達するまでの領域である。この導電性ペーストを使用して受光面電極を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、導電性ペースト、太陽電池、及び太陽電池の製造方法に関し、より詳しくは太陽電池の電極形成に適した導電性ペースト、及びこの導電性ペーストを使用して製造された太陽電池、及び導電性ペーストを使用した太陽電池の製造方法に関する。
太陽電池は、通常、半導体基板の一方の主面に所定パターンの受光面電極が形成されている。また、前記受光面電極を除く半導体基板上には反射防止膜が形成されており、入射される太陽光の反射損失を前記反射防止膜で抑制し、これにより太陽光の電気エネルギーへの変換効率を向上させている。
前記受光面電極は、通常、導電性ペーストを使用して以下のようにして形成される。すなわち、導電性ペーストは、導電性粉末、ガラスフリット、及び有機ビヒクルを含有しており、半導体基板上に形成された反射防止膜の表面に導電性ペーストを塗布し、所定パターンの導電膜を形成する。そして、焼成過程でガラスフリットを溶融させ、導電膜下層の反射防止膜を分解・除去し、これにより導電膜が焼結されて受光面電極を形成すると共に、該受光面電極と半導体基板とを接着させ、両者を導通させている。
このように焼成過程で反射防止膜を分解・除去し、半導体基板と受光面電極とを接着させる方法は、ファイヤースルー(焼成貫通)と呼ばれ、太陽電池の変換効率は、ファイヤースルー性に大きく依存する。すなわち、ファイヤースルー性が不十分であると変換効率が低下し、太陽電池としての基本性能に劣ることが知られている。
そして、この種の太陽電池では、受光面電極と半導体基板との接着強度を高めるために、低軟化点のガラスフリットを使用した技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、Ag粉末とPbO−SiO−Bを主成分とするガラス粉末と有機物からなるビヒクルとを含み、窒化ケイ素層を貫通して前記窒化ケイ素層の下に形成されたn型半導体層と導通する電極を形成するための導電性組成物であって、前記Ag粉末の前記組成物中の比率が70質量%以上95質量%以下であり、前記ガラス粉末が前記銀粉末100質量部に対して1質量部以上10質量部以下含まれ、前記ガラス粉末の塩基度が0.5以上0.8以下であってガラスの転移点が300℃〜450℃である導電性組成物が提案されている。
また、上記特許文献1のような鉛系のガラスフリットは、環境負荷が大きいことから、非鉛系のガラスフリットも検討されている。
例えば、特許文献2では、Ag粉末とPbOを含有しないガラス粉末と有機物からなるビヒクルとを含み、窒化ケイ素層を貫通して前記窒化ケイ素層の下に形成されたn型半導体層と導通する電極を形成するための導電性組成物であって、前記Ag粉末の前記組成物中の比率が70質量%以上95質量%以下であり、前記ガラス粉末が前記銀粉末100質量部に対して1質量部以上10質量部以下含まれ、前記ガラス粉末の塩基度が0.16以上0.44以下であってガラスの転移点が300℃〜450℃である導電性組成物が提案されている。
これら特許文献1及び2では、ガラス転移点が300〜450℃の低軟化点ガラスフリット(ガラス粉末)を含有した導電性組成物を使用することにより、良好なファイヤースルー性を確保し、これにより良好な電池特性を有する太陽電池を実現しようとしている。
特開2010−238955号公報(請求項1、段落番号〔0039〕等〕 特開2009−231827号公報(請求項1、段落番号〔0019〕等)
ところで、太陽電池のエネルギー変換効率を向上させるためには、受光面電極と半導体基板との間の密着性を良好にし、これら受光面電極と半導体基板との間の接触抵抗を低減する必要がある。
そして、斯かる接触抵抗を低減させるためには、導電性ペースト(導電性組成物)に含有される導電性粉末(Ag粉末)の焼結挙動を制御して該Ag粉末の熱収縮率と半導体基板の熱収縮率との差を小さくし、これにより受光面電極と半導体基板を接着させることが重要である。
しかしながら、特許文献1及び2では、ガラスフリットのガラス転移点が300〜450℃と低く、斯かる低い温度領域で流動化し、導電性粉末の焼結が促進される。したがって、導電性粉末と半導体基板との熱収縮率の差が大きい状態で導電性粉末の焼結が促進されて半導体基板と接着することとなり、このため接触抵抗が大きくなり、所望の大きなエネルギー変換効率を得るのが困難な状況にあった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることができる太陽電池の電極形成に適した導電性ペースト、及びこの導電性ペーストを使用することによりエネルギー変換効率が高く、電池特性が良好な太陽電池、及び前記導電性ペーストを使用した太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
電極と半導体基板との間の接触抵抗を低減させるためには、電極の主成分となる導電性粉末と半導体基板とを接合させた後に導電性粉末の焼結を促進させるのが好ましいと考えられる。
本発明者は、斯かる観点から鋭意研究を行ったところ、比較的低温(第1の温度領域)で結晶化し、かつ高温(第2の温度領域)で再溶融するガラスフリットを含有した導電性ペーストを使用することにより、低温領域での導電性粉末の過剰な焼結を抑制することができ、これにより電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることが可能であるという知見を得た。しかもその後、焼成温度を昇温させると、ガラスフリットが再溶融することから、この再溶融時に導電性粉末の焼結を促進することができ、これにより焼結後の電極のライン抵抗の低減化を図ることができることも分かった。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る導電性ペーストは、太陽電池の電極を形成するための導電性ペーストであって、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットが、第1の温度領域で結晶化する結晶化点と、前記第1の温度領域よりも高温の第2の温度領域で再溶融する再溶融点とを有していることを特徴としている。
また、本発明の導電性ペーストは、乾燥ゾーンとプレヒートゾーンと本焼成ゾーンとを有する焼成プロファイルで熱処理を行った場合、前記第1の温度領域は、前記プレヒートゾーンが終了する温度以下の領域であるのが好ましい。
これによりガラスフリットは、プレヒートゾーンが終了する温度以下の領域、すなわち第1の温度領域で結晶化することから、斯かる第1の温度領域では導電性粉末の過剰な焼結を抑制しつつ、導電性粉末と半導体基板とを接着させることが可能となる。
また、本発明の導電性ペーストは、前記結晶化点は、250℃以上500℃以下であり、前記再溶融点は、500℃を超え750℃以下であるのが好ましい。
これにより250℃以上500℃以下の低温領域でガラスフリットが結晶化して導電性粉末の過剰な焼結が抑制され、この状態で導電性粉末と半導体基板とが接着することになる。そして、500℃を超え750℃以下の温度領域でガラスフリットは再溶融し、この再溶融時に導電性粉末の焼結を促進させることができる。
そして、Te系ガラスフリット又はMo系ガラスフリットは、上述した第1の温度領域で結晶化点を有し、第2の温度領域で再溶融点を有する。したがって、ガラスフリット中にTe及びMoのうちの少なくとも一方の元素を含有した場合は、接触抵抗が低く電極のライン抵抗が低い太陽電池を実現することが可能となる。
すなわち、本発明の導電性ペーストは、前記ガラスフリットが、Te及びMoのうちの少なくとも一方の元素を含有しているのが好ましい。
また、本発明の導電性ペーストは、前記ガラスフリットが、Zn、Si、Bi、Pb、Al、P、及びアルカリ金属のうちのいずれか1種類以上の元素を含むのが好ましい。
これにより化学的耐久性の向上やガラスフリットの熱物性を容易に調整することが可能となる。
また、本発明の導電性ペーストは、前記ガラスフリットの含有量が、1〜10重量%であるのが好ましい。
これにより電極と半導体基板との間の接合性が良好でかつはんだ付け性の良好な導電性ペーストを得ることができる。
また、本発明の導電性ペーストは、前記導電性粉末は、Ag粉末であるのが好ましい。
これにより導電性ペーストを大気中で本焼成しても良好な導電性を有する電極を得ることが可能となる。
また、本発明に係る太陽電池は、半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該記反射防止膜を貫通する電極が形成され、前記電極が、上記いずれかに記載の導電性ペーストが焼結されてなることを特徴としている。
これにより電極と半導体基板との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができることから、エネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることが可能となる。
また、本発明に係る太陽電池の製造方法は、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有した導電性ペーストを調製し、半導体基板の一方の主面に反射防止膜を形成した後、前記導電性ペーストを前記反射防止膜の主面に塗布して導電膜を形成し、その後、焼成処理を行い、前記反射防止膜を分解・除去して前記導電膜を前記半導体基板に接合し、第1の電極を形成する太陽電池の製造方法において、前記焼成処理は、前記導電膜を乾燥させる乾燥ゾーンと、前記導電膜をプレヒートするプレヒートゾーンと、前記導電膜を本焼成する本焼成ゾーンとからなる焼成プロファイルを実行し、前記ガラスフリットは、前記プレヒートゾーンが終了するまでの第1の温度領域で結晶化し、前記プレヒートゾーンの終了後、前記本焼成ゾーンで最高焼成温度に達するまでの第2の温度領域で再溶融することを特徴としている。
これによりプレヒートゾーンが終了するまでの第1の温度領域でガラスフリットは結晶化することから、斯かる第1の温度領域で導電性粉末の焼結が抑制され、この状態で導電性粉末と半導体基板とを接合することが可能となる。そしてプレヒートゾーンの終了後、前記本焼成ゾーンで最高焼成温度に達するまでの第2の温度領域でガラスフリットは再溶融することから、この再溶融時に導電性粉末の焼結を促進することができる。
また、本発明の太陽電池の製造方法は、前記半導体基板の他方の主面に第2の電極を形成するのが好ましい。
本発明の導電性ペーストによれば、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットが、第1の温度領域で結晶化する結晶化点を有すると共に、前記第1の温度領域よりも高温の第2の温度領域で再溶融する再溶融点を有しているので、ガラスフリットは第1の温度領域で結晶化して結晶化物を析出し、斯かる結晶化物が導電性粉末間に介在することによって導電性粉末の過剰な焼結が抑制される。そしてこれにより導電性粉末の収縮挙動が半導体基板の収縮挙動に近づいた状態で導電性粉末が半導体基板に接合し、これにより焼結後の電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることができる。そして、第1の温度領域よりも高温の第2の温度領域でガラスフリットは再溶融して流動化することから、この再溶融時に導電性粉末の焼結が促進され、これにより焼結後の電極のライン抵抗を低くすることができる。
このように本導電性ペーストでは、電極と半導体基板との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができる。
また、本発明の太陽電池によれば、半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該記反射防止膜を貫通する電極が形成され、前記電極が、上記いずれかに記載の導電性ペーストが焼結されてなるので、電極と半導体基板との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることが可能となる。
また、本発明の太陽電池の製造方法によれば、本発明に係る太陽電池の製造方法は、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有した導電性ペーストを調製し、半導体基板の一方の主面に反射防止膜を形成した後、前記導電性ペーストを前記反射防止膜の主面に塗布して導電膜を形成し、その後、焼成処理を行い、前記反射防止膜を分解・除去して前記導電膜を前記半導体基板に接合し、第1の電極を形成する太陽電池の製造方法において、前記焼成処理は、前記導電膜を乾燥させる乾燥ゾーンと、前記導電膜をプレヒートするプレヒートゾーンと、前記導電膜を本焼成する本焼成ゾーンとからなる焼成プロファイルを実行し、前記ガラスフリットは、前記プレヒートゾーンが終了するまでの第1の温度領域で結晶化し、前記プレヒートゾーンの終了後、前記本焼成ゾーンで最高焼成温度に達するまでの第2の温度領域で再溶融するので、第1の温度領域で導電性粉末の焼結が抑制され、この状態で導電性粉末と半導体基板とを接合することが可能となり、焼結後の電極と半導体基板との間の接触抵抗を低減することが可能となる。そして第2の温度領域でガラスフリットは再溶融することから、この再溶融時に導電性粉末の焼結を促進することができ、これにより焼結後の電極のライン抵抗を低減することが可能となる。
本発明に係る導電性ペーストを使用して製造された太陽電池の一実施形態を示す要部断面図である。 受光面電極側を模式的に示した拡大平面図である。 裏面電極側を模式的に示した拡大底面図である。 焼成処理における焼成プロファイルの一例を示す図である。 太陽電池の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図である。 実施例2で熱物性を測定した際の温度Tと温度差ΔTとの関係を示す図である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る導電性ペーストを使用して製造された太陽電池の一実施の形態を示す要部断面図である。
この太陽電池は、Siを主成分とした半導体基板1の一方の主面に反射防止膜2及び受光面電極3が形成されると共に、該半導体基板1の他方の主面に裏面電極4が形成されている。
半導体基板1は、p型半導体層1bとn型半導体層1aとを有し、p型半導体層1bの上面にn型半導体層1aが形成されている。
この半導体基板1は、例えば、単結晶又は多結晶のp型半導体層1bの一方の主面に不純物を拡散させ、薄いn型半導体層1aを形成することにより得ることができるが、p型半導体層1bの上面に、n型半導体層1aが形成されているのであれば、その構造及び製法は特に限定されるものではない。また、半導体基板1は、n型半導体層1aの一方の主面に薄いp型半導体層1bが形成された構造のものや、半導体基板1の一方の主面の一部にp型半導体層1bとn型半導体層1aの両方が形成されている構造のものを用いてもよい。いずれにしても反射防止膜2が形成された半導体基板1の主面であれば、本発明に係る導電性ペーストを有効に用いることができる。
尚、図1では、半導体基板1の表面はフラット状に記載しているが、太陽光を半導体基板1に効果的に閉じ込めるために、表面は微小凹凸構造を有するように形成されている。
反射防止膜2は、窒化ケイ素(SiN)等の絶縁性材料で形成され、矢印Aに示す太陽光の受光面への光の反射を抑制し、太陽光を半導体基板1に迅速かつ効率よく導く。この反射防止膜2を構成する材料としては、上述した窒化ケイ素に限定されるものではなく、他の絶縁性材料、例えば酸化ケイ素や酸化チタンを使用してもよく、2種類以上の絶縁性材料を併用してもよい。また、結晶Si系であれば単結晶Si及び多結晶Siのいずれを使用してもよい。
受光面電極3は、半導体基板1上に反射防止膜2を貫通して形成されている。この受光面電極3は、スクリーン印刷等を使用し、後述する本発明の導電性ペーストを半導体基板1上に塗布して導電膜を作製し、焼成することによって形成される。すなわち、受光面電極3を形成する焼成過程で、導電膜下層の反射防止膜2が分解・除去されてファイヤースルーされ、これにより反射防止膜2を貫通する形態で半導体基板1上に受光面電極3が形成される。
受光面電極3は、具体的には、図2に示すように、多数のフィンガー電極5a、5b、…5nが櫛歯状に並設されると共に、フィンガー電極5a、5b、…5nと交差状にバスバー電極6が設けられ、フィンガー電極5a、5b、…5nとバスバー電極6とが電気的に接続されている。そして、受光面電極3が設けられている部分を除く残りの領域に、反射防止膜2が形成されている。このようにして半導体基板1で発生した電力をフィンガー電極5nによって集電するとともにバスバー電極6によって外部へ取り出している。
裏面電極4は、具体的には、図3に示すように、p型半導体層1bの裏面に形成されたAl等からなる集電電極7と、該集電電極7の裏面に形成されて該集電電極7と電気的に接続されたAg等からなる取出電極8とで構成されている。そして、半導体基板1で発生した電力は集電電極7に集電され、取出電極8によって電力を取り出している。
次に、受光面電極3を形成するための本発明の導電性ペーストについて詳述する。
本発明の導電性ペーストは、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有している。
そして、前記ガラスフリットは、第1の温度領域で結晶化する結晶化点と、前記第1の温度領域よりも高温の第2の温度領域で再溶融する再溶融点とを有している。
これにより、受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることが可能となり、エネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることができる。
すなわち、受光面電極3は、上述したように導電性ペーストを半導体基板1上に塗布して導電膜を作製し、その後、焼成炉内で焼成処理を行い、反射防止膜2をファイヤースルーし、これにより反射防止膜2を貫通する形態で半導体基板1上に形成される。
そして、上記焼成処理は、図4に示すように、乾燥ゾーンA、プレヒートゾーンB及び本焼成ゾーンCからなる焼成プロファイルに基づいて行われる。
すなわち、室温から時間t1までの乾燥ゾーンAでは、乾燥温度T1(例えば、250〜300℃)で乾燥処理を行い、時間t1の経過後、プレヒートゾーンBに移行する。このプレヒートゾーンBでは、プレヒート温度T2(例えば、400〜500℃)に昇温し、時間t2が経過するまでプレヒートを行う。そして時間t2が経過後、本焼成ゾーンCに移行する。そして、この本焼成ゾーンCでは、温度を最高焼成温度T3(例えば、750〜800℃)に昇温させた後、時間t3に達するまで焼成処理を行い、その後、室温まで冷却している。
そして、本実施の形態では、プレヒートゾーンBが終了する温度以下の領域、すなわち第1の温度領域Xでガラスフリットが結晶化し、結晶化物が析出する。
これにより導電性粉末は結晶化物中に介在し、これにより低温領域での導電性粉末の過剰な焼結が抑制され、焼結後の受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗を低減させることができる。
すなわち、ガラスフリットは、低軟化点近傍域で流動化することから、特許文献1や2に記載された低軟化点のガラスフリットを使用した場合、ガラスフリットは比較的低温で流動化し、斯かる低温領域で導電性粉末の焼結が促進される。そしてこの状態で導電性粉末が半導体基板1に接合されると、導電性粉末と半導体基板との熱収縮差に起因して焼結後の受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗が大きくなる。
そこで、本実施の形態では、第1の温度領域Xでガラスフリットを結晶化させて結晶化物を析出させ、導電性粉末間に結晶化物を介在させて導電性粉末の焼結を抑制し、これにより接触抵抗の低減を図っている。
そして、プレヒートゾーンBの終了後、本焼成ゾーンCで最高焼成温度T3に達するまでの第2の温度領域Yでガラスフリットを再溶融させ、この再溶融時に導電性粉末の焼結を促進させ、これにより焼結後の受光面電極3のライン抵抗の低減化を図っている。
このように本実施の形態では、第1の温度領域Xで結晶化点Tcを有し、第2の温度領域Yで再溶融点Tmを有するガラスフリットを使用することにより、受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗を低減すると共に、受光面電極3のライン抵抗を低減させている。
このようなガラスフリットとしては、第1の温度領域で結晶化点Tcを有し、第2の温度領域で再溶融点Tmを有するものであれば、特に限定されるものではないが、Te及びMoのうちの少なくとも一方の元素を含有したガラスフリット、例えば、Te−Zn−Bi−O系ガラスフリットやMo−Pb−O系ガラスフリットを好んで使用することができる。
尚、ガラスフリットの結晶化点Tc及び再溶融点Tmは、後述する実施例で詳述するように、例えばTG−DTA(熱重量−示差熱分析)装置を使用して発熱ピーク及び吸熱ピークを測定し、発熱ピークを結晶化点Tc、吸熱ピークを再溶融点Tmとして求めることができる。
また、結晶化点Tcは、ガラスフリットを形成する組成によっては、複数存在し得るが、本発明では、複数の結晶化点Tcのうちのいずれかの結晶化点Tcが、上記第1の温度領域Xに存在すれば、導電性粉末間に結晶化物を介在させることによって導電性粉末の過剰な焼結を抑制できることから、少なくとも一つの結晶化点Tcが第1の温度領域Xに存在すればよい。
また、本ガラスフリットは、上述した結晶化点Tc及び再溶融点Tmを有するのであれば、必要に応じて各種添加成分を含有してもよく、例えば、Si、AlやNa、K、Li等のアルカリ金属を含有した化合物を含有したり、さらには B、V、Ti、Mg、Sr、Ca、Ce、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Nb、Ta、W、Pd、Ag、Ru、Sn、In、Y、Dy、La等を含有するのも好ましく、斯かる添加成分を含有することにより、化学的耐久性を向上させることができ、またガラスフリットの熱物性の調整を容易に行うことができる。
尚、これらの添加物の添加形態は、特に限定されるものではなく、酸化物、水酸化物、過酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フッ化物等の形態で添加することができる。
また、導電性ペースト中のガラスフリットの含有量は、特に限定されるものではないが、1〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。すなわち、ガラスフリットの含有量が1重量%未満になると、受光面電極3と半導体基板1との接合性が低下するおそれがあり、ガラスフリットの含有量が10重量%を超えると、焼成後の受光面電極表面にガラス成分が過剰に存在してはんだ付け性の低下を招くおそれがある。
導電性粉末としては、良好な導電性を有する金属粉であれば特に限定されるものではないが、焼成処理を大気中で行った場合であっても酸化されることなく良好な導電性を維持することができるAg粉末を好んで使用することができる。尚、この導電性粉末の形状も、特に限定されるものではなく、例えば、球形状、扁平状、不定形形状、或いはこれらの混合粉であってもよい。
また、導電性粉末の平均粒径も、特に限定されるものではないが、導電性粉末と半導体基板1との間で、所望の接触点を確保する観点からは、球形粉換算で、0.5〜5.0μmが好ましい。
また、導電性ペースト中の導電性粉末の含有量は、特に限定されるものではないが、80〜95重量%が好ましい。導電性粉末の含有量が80重量%未満になると、ライン電極の膜厚が薄くなり、ライン抵抗が増加する傾向がある。一方、導電性粉末の含有量が95重量%を超えると、有機ビヒクル等の含有量が少なくなってペースト化が困難になるおそれがある。
有機ビヒクルは、バインダ樹脂と有機溶剤とが、例えば体積比率で、1〜3:7〜9となるように調製されている。尚、バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
また、導電性ペーストには、必要に応じて、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジブチル等の可塑剤を1種又はこれらの組み合わせを添加するのも好ましい。また、脂肪酸アマイドや脂肪酸等のレオロジー調整剤を添加するのも好ましく、さらにはチクソトロピック剤、増粘剤、分散剤などを添加してもよい。
そして、この導電性ペーストは、導電性粉末、ガラスフリット、有機ビヒクル、必要に応じて各種添加剤を所定の混合比率となるように秤量して混合し、三本ロールミル等を使用して分散・混練することにより、容易に製造することができる。
このように本実施の形態では、少なくともAg粉末等の導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットが、第1の温度領域Xで結晶化する結晶化点Tcを有すると共に、前記第1の温度領域Xよりも高温の第2の温度領域Yで再溶融する再溶融点Tmを有しているので、ガラスフリットは第1の温度領域Xで結晶化して結晶化物を析出し、斯かる結晶化物が導電性粉末間に介在することによって導電性粉末の過剰な焼結が抑制される。その結果、導電性粉末の収縮挙動が半導体基板1の収縮挙動に近づいた状態で導電性粉末が半導体基板1に接合し、これにより焼結後の受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗を低くすることができる。そして、第1の温度領域Xよりも高温の第2の温度領域Yでガラスフリットは再溶融して流動化することから、この再溶融時に導電性粉末の焼結が促進され、これにより焼結後の受光面電極3のライン抵抗を低くすることができる。
このように本導電性ペーストでは、受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができる。
次に、本発明の太陽電池の製造方法を詳述する。
図5は太陽電池の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図である。
まず、図5(a)に示すように、単結晶又は多結晶のSi等からなる厚みが200μm程度のp型半導体基板11を用意する。このp型半導体基板11は、例えば、Si等の半導体原料を坩堝で溶解・再固化させて形成されたインゴットをブロック毎に切断し、ワイヤーソー等で薄片状にスライスすることによって得られる。
次いで、図5(b)に示すように、p型半導体基板11の表面にn型拡散層12を形成する。すなわち、拡散すべき不純物を含有した塗布液をスピンコート法等により膜状に塗布して塗布膜を形成し、熱処理を行って前記不純物をp型半導体基板11の表面に拡散させ、厚みが300〜500nmのn型拡散層12を形成する。そしてこれにより、p型半導体基板11の部分をp型半導体層1b、n型拡散層12の部分をn型半導体層1aとした半導体基板1を得る(pn接合の形成)。
尚、拡散すべき不純物としては、n型拡散層12を形成するものであれば特に限定されないが、通常はPが好んで使用され、塗布液としてはオキシ塩化リン(POCl)が好んで使用される。また、入射する太陽光を有効に半導体基板1内に閉じ込めるためには、テクスチャエッチングを行って表面を微小凹凸構造とする。
次に、プラズマ化学気相成長法(PECVD)等の薄膜形成法を使用し、図5(c)に示すように、窒化ケイ素(SiN)等の絶縁性材料からなる膜厚が70〜80nmの反射防止膜2を形成する。
次に、平均粒径が例えば5μm程度のAl粉末を含有したAlペーストを用意し、更に平均粒径が例えば1.5μm程度のAg粉末を含有したAgペーストを用意する。そして、該Alペーストを前記半導体基板1の裏面全面に塗布し、さらにAgペーストをスクリーン印刷して乾燥させ、図5(d)に示すように、裏面電極用の第2の導電膜13を形成する。
次に、上記本発明の導電性ペーストを使用してスクリーン印刷し、所定パターンの第1の導電膜14を形成する。
そしてこの後、入口から出口まで1〜3分で搬送されるベルト式焼成炉を使用し、上述した焼成プロファイルで焼成処理を行う。すなわち、乾燥ゾーンAでは、室温から乾燥温度T1(例えば、250〜300℃)に昇温させ、時間t1が経過するまで乾燥処理を行い、プレヒートゾーンBに移行する。そして、プレヒートゾーンBでは、プレヒート温度T2(例えば、400〜500℃)に昇温させて時間t2が経過するまでプレヒートを行う。このときにAlは焼結される。次いで、時間t2が経過した後、本焼成ゾーンCに移行する。この本焼成ゾーンCでは、焼成最高温度T3が750〜800℃となるように昇温させ、ガラスフリットを再溶融させて第1の導電膜14を焼結させ、さらに第2の導電膜13を焼結させ、図5(e)に示すように、受光面電極3及び裏面電極4を作製し、これにより太陽電池が形成される。
このように本製造方法では、焼成処理は、第1の導電膜14を乾燥させる乾燥ゾーンAと、第1の導電膜14をプレヒートするプレヒートゾーンBと、第1の導電膜14を本焼成する本焼成ゾーンCとからなる焼成プロファイルを実行し、前記ガラスフリットは、プレヒートゾーンBが終了するまでの第1の温度領域Xで結晶化し、プレヒートゾーンBの終了後、本焼成ゾーンCで最高焼成温度T3に達するまでの第2の温度領域Yで再溶融するので、第1の温度領域Xで導電性粉末の焼結が抑制され、この状態で導電性粉末と半導体基板1とを接合することが可能となり、焼結後の受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗を低減することが可能となる。そして第2の温度領域Yでガラスフリットは再溶融することから、この再溶融時に導電性粉末の焼結を促進することができ、これにより焼結後の受光面電極3のライン抵抗を低減することが可能となる。
そして、本太陽電池は、半導体基板1の一方の主面に反射防止膜2及び該記反射防止膜2を貫通する受光面電極3が形成され、受光面電極3が、上記導電性ペーストが焼結されてなるので、受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗及び受光面電極3のライン抵抗の双方を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることが可能となる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、導電性ペーストを受光面電極の形成用に使用したが、裏面電極の形成用に使用してもよい。
また、上記実施の形態では、熱物性である結晶化点Tc及び再溶融点Tmの測定についても、上述したTG−DTA装置に限定されるものでなく、任意の方法で測定することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔試料の作製〕
(導電性ペーストの作製)
ガラス素材としてMoO、TeO、ZnO、SiO、Bi、PbO、NaO、KO、Al、P、Bを用意し、表1に示すような配合量となるように、これらガラス素材を秤量して調製し、試料番号1〜5のガラスフリットを作製した。
また、導電性粉末として平均粒径が1.6μmの球形Ag粉末を用意した。
次いで、有機ビヒクルを作製した。すなわち、バインダ樹脂としてエチルセルロース樹脂10重量%、有機溶剤としてテキサノール90重量%となるようにエチルセルロース樹脂とテキサノールとを混合し、有機ビヒクルを作製した。
そして、Ag粉末が86.0重量%、ガラスフリットが3.0重量%となるように、これらを脂肪酸アマイドや脂肪酸等のレオロジー調整剤及び有機ビヒクルと共に配合し、プラネタリーミキサーで混合した後に、三本ロールミルで混練し、これにより試料番号1〜5の導電性ペーストを作製した。
(太陽電池セルの作製)
縦50mm、横50mm、厚み0.2mmの単結晶のSi系半導体基板の表面全域に膜厚0.1μmの反射防止膜をプラズマ化学気相成長法(PECVD)で形成した。尚、このSi系半導体基板は、p型Si系半導体層の一部にPを拡散させ、これによりp型Si系半導体層の上面にn型Si系半導体層が形成されている。
次いで、Alを主成分としたAlペースト、及びAgを主成分としたAgペーストを用意した。そして前記Si系半導体基板の裏面にAlペースト及びAgペーストを適宜塗付し、乾燥させて裏面電極用導電膜を形成した。
次に、試料番号1〜5の導電性ペーストを使用してスクリーン印刷を行い、焼成後の膜厚が20μmとなるように、Si系半導体基板の表面に導電性ペーストを塗布し、受光面電極用導電膜を作製した。
次いで、各試料を温度150℃に設定したオーブン中に入れ、導電膜を乾燥させた。
その後、ベルト式近赤外炉(デスパッチ社製、CDF7210)を使用し、試料が入口〜出口間を約1分で搬送するように搬送速度を調整し、大気雰囲気下、乾燥ゾーンAでは乾燥温度T1を250℃、プレヒートゾーンBではプレヒート温度T2を500℃、本焼成ゾーンCでは最高焼成温度T3が750〜800℃となるように炉内温度を制御し、試料番号1〜5の太陽電池セルを作製した。尚、最高焼成温度T3を750〜800℃としたのは、ペースト組成によって最適な最高焼成温度が異なるからである。
〔試料の評価〕
(導電性ペーストの熱物性)
TG−DTA装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TG−DTA320)を使用し、試料の結晶化点Tc及び再溶融点Tmを測定した。
具体的には、試料容器の材質をAlとし、基準物質にα−アルミナを使用した。そして、大気雰囲気下、室温から800℃まで20℃/minの昇温速度で温度を上昇させ、発熱ピークから結晶化点Tcを求め、吸熱ピークから再溶融点Tmを求めた。
すなわち、TG−DTA装置では、昇温過程で試料が熱的に安定である間は、試料と基準物質との温度差ΔTは一定で推移するが、試料に熱変化が生じると温度差ΔTが変動する。そして、この温度差ΔTを温度Tの関数で表すと発熱ピーク又は吸熱ピークが生じる。例えば、昇温過程で熱エネルギーが放出され、基準物質よりも少ないエネルギーを吸収して発熱反応が生じ、発熱ピークで試料は結晶化する。そして、試料の発熱ピークが結晶化点Tcとなる。また、昇温過程で溶融熱が発生し、基準物質よりも多くの熱エネルギーが吸収されて吸熱反応が生じ、吸熱ピークで試料は再溶融する。そして、試料の吸熱ピークが再溶融点Tmとなる。
図6は、TG−DTA装置で測定された温度Tと温度差ΔTとの関係を示す一例であって、試料番号2の場合を示している。横軸が温度T(℃)であり、縦軸が温度差ΔT(℃)である。
この図6に示すように、試料番号2では、低温領域では基準物質よりも少ないエネルギーを吸収して発熱反応を生じ、試料が結晶化し、結晶化物が析出した。そして結晶化挙動が終了すると、再び試料と基準物質との温度差ΔTは元の温度差に戻り、これによりT〜ΔT曲線には発熱ピークが生じた。そして、発熱ピークを挟む接線の交点が結晶化点T(試料番号2では427℃)となる。
次いで、昇温させると、温度差ΔTは暫くの間、略一定を保持し、或る温度に達すると溶融熱が発生して基準物質よりも多くの熱エネルギーを吸収し、吸熱反応が生じた。そしてこの溶融挙動が終了すると再び試料と基準物質との温度差ΔTは元の温度差に戻り、これによりT〜ΔT曲線には吸熱ピークが生じた。そして、温度差ΔTが急降下する前後の曲線の接線同士の交点が再溶融点Tm(試料番号2では542℃)となる。
尚、ガラスフリットは、複数のガラス素材の混合物であることから、試料番号1、3、4では2個の結晶化点Tcが認められた。
また、試料番号5では、結晶化点Tc及び再溶融点Tmも測定できなかった。
(太陽電池の電池特性)
試料番号1〜5の各試料について、ソーラーシミュレータ(英弘精機社製、SS−50XIL)を使用し、温度25℃、AM(エアマス)−1.5の条件下、電流−電圧特性曲線を測定し、この電流−電圧特性曲線から数式(1)で表わされる曲線因子FF(Fill Factor)を求めた。
FF=Pmax/(Voc×Isc) …(1)
ここで、Pmaxは試料の最大出力、Vocは出力端子を開放したときの開放電圧、Iscは出力端子を短絡したときの短絡電流である。
また、最大出力Pmax、受光面電極の面積A、放射照度Eから、数式(2)に基づき変換効率ηを求めた。
η=Pmax/(A×E) …(2)
表1は試料番号1〜5の各試料のペースト組成、熱物性(結晶化点Tc及び再溶融点Tm)、電池特性(曲線因子FF及び変換効率η)を示している。
Figure 2014060261
試料番号5は、曲線因子FFが0.603と低く、変換効率ηが12.71%と低かった。これはガラスフリットが結晶化点Tcを有さず、該ガラスフリットが低温領域で流動化してAg粉末の過剰な焼結が促進され、その結果、曲線因子FF及び変換効率ηがいずれも低くなったものと思われる。
これに対し試料番号1〜4は、プレヒート温度である500℃に達するまでに結晶化点Tcを有し、かつその後、プレヒート温度から最高焼成温度に至るまでの間に再溶融するので、接触抵抗を低くすることができ、ライン抵抗も低くなる
。その結果、曲線因子FFが0.770〜0.782と高く、変換効率ηも16.47〜16.74%の高変換効率を有する太陽電池が得られることが分かった。
電極と半導体基板との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率の高い太陽電池を得ることができる。
1 半導体基板
2 反射防止膜
3 受光面電極(電極)

Claims (10)

  1. 太陽電池の電極を形成するための導電性ペーストであって、
    少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、
    前記ガラスフリットが、第1の温度領域で結晶化する結晶化点と、前記第1の温度領域よりも高温の第2の温度領域で再溶融する再溶融点とを有していることを特徴とする導電性ペースト。
  2. 乾燥ゾーンとプレヒートゾーンと本焼成ゾーンとを有する焼成プロファイルで熱処理を行った場合、前記第1の温度領域は、前記プレヒートゾーンが終了する温度以下の領域であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 前記結晶化点は、250℃以上500℃以下であり、前記再溶融点は、500℃を超え750℃以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の導電性ペースト。
  4. 前記ガラスフリットは、Te及びMoのうちの少なくとも一方の元素を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の導電性ペースト。
  5. 前記ガラスフリットは、Zn、Si、Bi、Pb、Al、P、及びアルカリ金属のうちのいずれか1種類以上の元素を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導電性ペースト。
  6. 前記ガラスフリットの含有量が、1〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の導電性ペースト。
  7. 前記導電性粉末は、Ag粉末であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の導電性ペースト。
  8. 半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該記反射防止膜を貫通する電極が形成され、
    前記電極が、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の導電性ペーストが焼結されてなることを特徴とする太陽電池。
  9. 少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有した導電性ペーストを調製し、
    半導体基板の一方の主面に反射防止膜を形成した後、前記導電性ペーストを前記反射防止膜の主面に塗布して導電膜を形成し、その後、焼成処理を行い、前記反射防止膜を分解・除去して前記導電膜を前記半導体基板に接合し、第1の電極を形成する太陽電池の製造方法において、
    前記焼成処理は、前記導電膜を乾燥させる乾燥ゾーンと、前記導電膜をプレヒートするプレヒートゾーンと、前記導電膜を本焼成する本焼成ゾーンとからなる焼成プロファイルを実行し、
    前記ガラスフリットは、前記プレヒートゾーンが終了するまでの第1の温度領域で結晶化し、前記プレヒートゾーンの終了後、前記本焼成ゾーンで最高焼成温度に達するまでの第2の温度領域で再溶融することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  10. 前記半導体基板の前記一方の主面に対向する他方の主面に第2の電極を形成することを特徴とする請求項9記載の太陽電池の製造方法。
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