JP2014220425A - 導電性ペースト、及び太陽電池セルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁性が良好で、太陽電池セルが日陰に入った場合であっても、発熱を抑制でき、太陽電池モジュールの劣化を抑制できるようにする。
【解決手段】導電性ペーストは、Ag等の導電性粉末と、V2O5等のV酸化物を主成分とするV酸化物系ガラス材と、ZnO等のZn酸化物と、有機ビヒクル等とを含有している。V酸化物系ガラス材及びZn酸化物の各含有量の総計に対するZn酸化物の含有量は、重量比率で0.2〜0.8が好ましく、V酸化物系ガラス材及びZn酸化物の各含有量の総計は、導電性粉末100重量部に対し6〜17重量部が好ましい。この導電性ペーストを使用し、ビア部6a及びバスバー部6bからなる貫通電極6を形成する。この導電性ペーストは、MWT構造の太陽電池のうち、p型半導体層1a及びn型半導体層1bが貫通電極6と接するタイプの貫通電極形成用に特に適している。
【選択図】図1
【解決手段】導電性ペーストは、Ag等の導電性粉末と、V2O5等のV酸化物を主成分とするV酸化物系ガラス材と、ZnO等のZn酸化物と、有機ビヒクル等とを含有している。V酸化物系ガラス材及びZn酸化物の各含有量の総計に対するZn酸化物の含有量は、重量比率で0.2〜0.8が好ましく、V酸化物系ガラス材及びZn酸化物の各含有量の総計は、導電性粉末100重量部に対し6〜17重量部が好ましい。この導電性ペーストを使用し、ビア部6a及びバスバー部6bからなる貫通電極6を形成する。この導電性ペーストは、MWT構造の太陽電池のうち、p型半導体層1a及びn型半導体層1bが貫通電極6と接するタイプの貫通電極形成用に特に適している。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電性ペースト、及び太陽電池セルの製造方法に関し、より詳しくはMWT(Metal Wrap Through)構造を有する太陽電池セルの貫通電極の形成に適した導電性ペースト、及びこの導電性ペーストを使用した太陽電池セルの製造方法に関する。
自然再生可能エネルギーへの関心の高まりと共に、クリーンで再生可能なエネルギー源である太陽光を利用した太陽光発電システムが注目されている。太陽光発電システムは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するものであるが、通常は、所定個数の太陽電池セルを封止材で封入して太陽電池モジュールを形成し、斯かる太陽電池モジュールを直列又は/及び並列に接続して使用する。
したがって、太陽電池セルは、太陽光発電システムの基本構成要素であり、特に、資源量が豊富で省資源・低コスト化が可能なシリコン(以下、「Si」という。)系材料を使用したSi系太陽電池セルの研究・開発が盛んに行なわれている。
図9は、従来の太陽電池セルの一例を模式的に示す要部断面図であり、図10はその要部平面図である。
すなわち、この太陽電池セルは、Siを主成分とした半導体基板101の一方の主面に反射防止膜102及び受光面電極103が形成されると共に、該半導体基板101の他方の主面に裏面電極104が形成されている。
半導体基板101は、p型半導体層101aの上面にn型半導体層101bが形成されると共に、p型半導体層101aの下面には背面電界(Back Surface Field;以下、「BSF」という。) 101cが形成されている。そして、p型半導体層101aとn型半導体層101bとでpn接合が形成されている。
また、受光面電極103は、Ag等の導電性粉末を主成分として形成されており、図10に示すように、インターコネクタに接続されるバスバー電極105と、バスバー電極105と電気的に接続された多数のフィンガー電極106a、106b…106nとを有している。
しかしながら、この種の太陽電池では、半導体基板101の表面に設けられた受光面電極103(バスバー電極105及びフィンガー電極106a、106b…106n)によって、太陽からの光が遮られることから、太陽光から半導体基板101に入射される光量の減少を招き、十分な発電効率を得るのが困難である。しかも、受光面電極103の下部でキャリアの再結合損失が発生するため、発電効率のより一層の低下を招くおそれがある。したがって、この種の太陽電池では、受光面電極の面積をできるだけ小さくして発電効率を向上させることが要請されている。
そこで、このような観点から、特許文献1のようにMWT構造を有する太陽電池セルが提案されている。
すなわち、この特許文献1では、図11に示すように、Si系材料からなる半導体基板111と、半導体基板111の一方の主面上に形成された反射防止膜112及び受光面電極(フィンガー電極)113と、半導体基板111の一方の主面から他方の主面に架けて形成された貫通電極114と、半導体基板111の裏面に形成された裏面電極115とを有している。貫通電極114は、半導体基板111を貫通するビア部114aと半導体基板111の貫通孔周囲に形成されたバスバー部114bとを有している。
また、半導体基板111は、p型半導体領域111aと、該p型半導体領域111aを囲むようにp型半導体領域111aの外周域に形成されたn型半導体領域111bと、半導体基板111の下面所定領域に形成されたBSF領域111cとを有している。また、半導体基板111の裏面適所には分離溝116が形成され、該分離溝116によってn型半導体領域111b及びバスバー部114bと裏面電極115とが電気的に絶縁されている。
また、受光面電極113、貫通電極114、裏面電極115は、いずれも導電性ペーストが焼結されてなり、貫通電極114には、導電性粉末100重量部に対し1〜10重量部のP2O5系ガラスフリット(絶縁材料)を含有した導電性ペーストが使用されている。そして、半導体基板111のn型不純物領域111bと貫通電極114とが電気的に接続されないように、これらn型不純物領域111bと貫通電極114との界面にはP2O5系ガラス材料からなる絶縁層(図示せず)が形成されている。
このように特許文献1では、受光面電極のうちバスバー部114bを半導体基板111の裏面側に形成し、これにより太陽光の受光面積を拡大させると共に、受光面側でのキャリアの再結合損失を低減させ、発電効率の向上を図っている。
また、特許文献2には、表面と裏面との間に貫通孔を有し、表面全域及び貫通孔の表面にn層が形成されたp型Si基板を用意し、前記貫通孔に導電性ペーストを充填した後、乾燥し、最高温度700〜900℃で焼成するようにしたMWT構造のSi太陽電池セルの製造方法が提案されている。
この特許文献2では、前記導電性ペーストが、Ag、Cu、Niからなる群から選択された少なくとも一種の金属及び有機ビヒクルを含有し、さらにガラスフリットとして11〜33重量%のSiO2、0〜7重量%のAl2O3、2〜10重量%のB2O3、40〜73重量%のBi2O3を含有した軟化点が550〜611℃の無鉛ガラス、及び53〜57重量%のPbO、25〜29重量%のSiO2、2〜6重量%のAl2O3、6〜9重量%のB2O3を含有した軟化点が571〜636℃の有鉛ガラスを含む点が記載されている。
しかしながら、特許文献1では、半導体基板111と貫通電極114との界面に絶縁層が形成されているものの、大量の導電性粉末が焼成処理時にガラス中に溶解するため、該ガラス中に大量に溶解した導電性材料が半導体基板111側に析出し、これにより絶縁性が破壊され、pn接合も破壊されるおそれがある。
すなわち、特許文献1では、n型半導体領域111bは、p型半導体領域111aを囲むようにp型半導体領域111aの外周域に形成されている。
しかしながら、n型半導体領域111bの拡散条件等を調整しても、n型半導体領域111bの厚みを均一に形成するのは困難であり、通常、n型半導体領域111bのうち、貫通電極114に接する側面部分111b′の厚みは、p型半導体領域111aの主面部分111b″の厚みよりも薄く形成されてしまう。このためn型半導体領域111bと貫通電極114との界面に絶縁層を形成しても、焼成処理時にはガラス中に大量に溶解した導電性材料がn型半導体領域111bの側面部分111b′を突き破って絶縁性を破壊するおそれがあり、さらにはp型半導体領域111aに析出し、pn接合を破壊してしまうおそれがある。
しかも、P2O5系ガラスフリットは、通常、化学的耐久性に劣ることから、信頼性を損なうおそれがある。
また、特許文献2では、550〜636℃と軟化点の高いガラスフリットを含有した導電性ペーストを使用して貫通電極を形成しているため、ガラスの流動性に劣り、焼成時に貫通電極と半導体基板との界面に十分にガラスが流れず、十分な絶縁性を確保するのが困難と考えられる。
一方、MWT構造の太陽電池セルとしては、n型半導体領域を反射防止膜とp型半導体領域との間にのみ形成し、貫通電極114とp型半導体領域とが接するように形成できれば、構造が簡素となる上、分離溝(図11、符号116)も不要となり生産性向上を図ることができる。
しかしながら、このような構造を採用した場合、特許文献1や特許文献2に記載の導電性ペーストを使用して貫通電極を形成すると、n型半導体領域から貫通電極に流れてきた電子が、貫通電極からp型半導体領域にリークするおそれがある。すなわちこの場合、p型不純物領域とn型不純物領域との間で貫通電極を介した漏れ電流が発生し、このため所望の高い発電効率を得るのが困難となる。
しかも、太陽電池モジュールを構成する太陽電池セルの一部が、日陰に入った場合、当該太陽電池セルには、通常、−10〜−12Vの逆バイアス電圧が印加された状態となる。そしてこの場合、逆バイアス電圧が印加された太陽電池セルは単なる抵抗体となることから、該太陽電池セルに流れる電流が原因で発熱し、太陽電池モジュールの劣化を招くおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、絶縁性が良好で、太陽電池セルが日陰に入った場合であっても、発熱を抑制でき、太陽電池モジュールの劣化を抑制できる太陽電池セル用の導電性ペースト、及びこの導電性ペーストを使用した太陽電池セルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、MWT構造の太陽電池において、貫通電極の形成に適した導電性ペーストを得るべく鋭意研究を行ったところ、V酸化物を主成分とするV酸化物系ガラス材(以下、「V系ガラス材」という。)は、軟化点が低く、しかも電気伝導性が良好であることから、絶縁性を改善することが可能であり、また、はんだ付け性が良好な機械的強度を得ることも可能である。
そこで、本発明者は、V系ガラス材を含有した導電性ペーストについて、更に鋭意研究を重ねたところ、V系ガラス材に加えZn酸化物を導電性ペースト中に含有させることにより、太陽電池セルが日陰に入って逆バイアス電圧が印加された場合であっても、太陽電池セルに流れる電流を抑制でき、良好な絶縁性を確保できる太陽電池セルを得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであり、本発明に係る導電性ペーストは、太陽電池の電極を形成するための導電性ペーストであって、導電性粉末と、V酸化物を主成分としたV系ガラス材と、Zn酸化物と、有機ビヒクルとを含有していることを特徴としている。
また、本発明の導電性ペーストは、前記V系ガラス材及び前記Zn酸化物の各含有量の総計に対するZn酸化物の含有量が、重量比率で0.2〜0.8であるのが好ましい。
これにより逆バイアス電圧が太陽電池セルに印加された場合であっても電流値をより確実に低減することが可能となる。
さらに、本発明の導電性ペーストは、前記V系ガラス材及び前記Zn酸化物の各含有量の総計は、前記導電性粉末100重量部に対し、6〜17重量部であるのが好ましい。
これにより逆バイアス電圧が太陽電池セルに印加された場合であっても、太陽電池セルに流れる電流値をより確実に低減することが可能となる。
また、本発明の導電性ペーストは、前記V系ガラス材が、Baを含有しているのが好ましい。
また、本発明の導電性ペーストは、前記導電性粉末が、Agを主成分としているのが好ましい。
また、本発明に係る太陽電池セルの製造方法は、半導体基板の一方の主面に反射防止膜を形成し、該反射防止膜が形成された前記半導体基板に貫通孔を形成した後、上記いずれかに記載の導電性ペーストを前記貫通孔に充填して貫通導体を形成し、その後焼成処理を行って前記半導体基板に貫通電極を形成することを特徴としている。
これにより絶縁性が良好で、逆バイアス電圧が印加された場合であっても、太陽電池セルに流れる電流を低減することができ、熱劣化が抑制された太陽電池セルを得ることができる。
また、本発明は、MWT構造の太陽電池セルの中でもp型半導体とn型半導体の双方が貫通電極と接する構造の製造方法に、特に好適である。
すなわち、本発明の太陽電池セルの製造方法は、前記半導体基板は、p型半導体層の一方の主面にn型半導体層が形成され、前記p型半導体層及び前記n型半導体層を前記貫通電極に接合させるのが好ましい。
これにより貫通電極を介してn型半導体層からp型半導体層に電流がリークするのを抑制することができる。したがって、厚みの均一性に欠けるn型半導体層をp型半導体層を囲むように該p型半導体層の外周域に形成する必要がなく、また、特許文献1のような分離溝(図11、符号116参照)を形成する必要もなく、構造や製法が簡素な太陽電池セルを得ることができる。
また、本発明の太陽電池セルの製造方法は、前記半導体基板の一方の主面の反対側に位置する他方の主面の前記貫通孔周囲に前記導電性ペーストを塗布して塗布膜を形成し、さらに前記半導体基板の両主面に所定の電極パターンを形成し、前記焼成処理で前記貫通導体、前記塗布膜、及び前記電極パターンを同時焼成するのが好ましい。
これにより所望の高い発電効率を有する太陽電池セルを効率良く得ることができる。
本発明の導電性ペーストによれば、導電性粉末と、V酸化物を主成分としたV系ガラス材と、Zn酸化物と、有機ビヒクルとを含有しているので、絶縁性が良好で、しかも太陽電池セルに逆バイアス電圧が印加された場合であっても、該太陽電池セルに流れる電流を低減することができ、これにより太陽電池セルが日陰に入った場合であっても、逆バイアス電圧の印加により通電される電流値を抑制でき、絶縁性が良好な太陽電池セルを得ることができ、太陽電池モジュールの劣化を抑制することが可能となる。
また、本発明の太陽電池セルの製造方法によれば、半導体基板の一方の主面に反射防止膜を形成し、該反射防止膜が形成された前記半導体基板に貫通孔を形成した後、上記いずれかに記載の導電性ペーストを前記貫通孔に充填して貫通導体を形成し、その後焼成処理を行って前記半導体基板に貫通電極を形成するので、絶縁性が良好で、逆バイアス電圧が印加された場合であっても、負方向に流れる電流を抑制することができ、太陽電池セルからの発熱が抑えられることから、太陽電池モジュールが熱劣化するのを抑制することができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の一実施の形態としての導電性ペーストは、導電性粉末と、V酸化物を主成分としたV系ガラス材と、Zn酸化物と、有機ビヒクルとを含有している。そして、これにより太陽電池の電極、特にMWT構造の太陽電池の貫通電極形成に好適な導電性ペーストを得ることができる。
すなわち、V2O5に代表されるV酸化物を主成分としたV系ガラス材は、軟化点が300〜450℃と低く、極めて短時間の焼成処理で容易に流動する。したがって、このV系ガラス材を含有した導電性ペーストを半導体基板に形成された貫通孔に充填し、焼成すると、ガラス材が貫通孔内を容易に流動し、その結果、半導体基板との界面に絶縁層が形成され易くなる。
また、V系ガラス材は、他のガラス材に比べて電気伝導性に優れており、このため貫通電極から半導体基板側に漏れる漏れ電流を効果的に抑制することができる。すなわち、通常のガラス材料の電気伝導度は10-12S/cm以下であり、ほぼ絶縁体であるのに対し、V系ガラス材の電気伝導度は10-2〜10-7S/cmと高く、半導体並みの電気伝導性を有する。
したがって、このV系ガラス材を含有した導電性ペーストを使用して貫通電極を形成すると、p型半導体層の一方の主面上にn型半導体層を形成し、かつ、貫通電極をp型半導体層と接するような構造にした場合であっても、n型半導体層から貫通電極の電極材料に流れてきた電子は、電極材料を経由してp型半導体層にリークせずに、電極材料とp型半導体層との間に形成された半導体程度の電気伝導性を有するV系ガラス材からなる層を経由し、再び電極材料側に移動する。したがって、貫通電極からp型半導体層に電流がリークするのを阻止することができ、漏れ電流の発生を抑制することが可能となる。
さらに、本導電性ペーストは、ZnOに代表されるZn酸化物が含有されており、これにより太陽電池セルに逆バイアス電圧が印加された場合であっても、太陽電池セルに流れる電流値を低減することができ、太陽電池セルの熱劣化を抑制することができる。
すなわち、太陽光発電システムでは、所定個数の太陽電池セルを封止材で封入した太陽電池モジュールの形態で使用され、通常の動作では、各太陽電池セルには順バイアス電圧が印加される。
そして、上述したように導電性ペースト中にV系ガラス材を含有させることにより、貫通電極と半導体基板との間の絶縁性が改善され、しかもはんだ付け性や機械的強度を確保することが可能である。
しかしながら、〔発明が解決しようとする課題〕の項でも述べたように、例えば、太陽電池セルのうちの一部が日陰に入った場合、太陽電池セルには光が照射されずに逆バイアス電圧(例えば、−10〜−12V)が印加されることになる。このように逆バイアスが印加されると、負方向に電流が流れるが、日陰に入った太陽電池セルは、単なる抵抗体となり、流れる電流が原因で発熱を生じ、太陽電池モジュールの熱劣化を招くおそれがある。
すなわち、導電性ペースト中にガラス成分としてV系ガラス材を含有させただけでは、太陽電池セルに逆バイアス電圧が印加された場合に十分に対処することができない。
そこで、本実施の形態では、V系ガラス材に加え、Zn酸化物を導電性ペースト中に含有させ、これにより逆バイアス電圧印加時に太陽電池セルに流れる負方向の電流を低減させ、これにより太陽電池モジュールの熱劣化を抑制している。
このようにZn酸化物を導電性ペースト中に含有させることにより、逆バイアス電圧印加時に流れる電流値を抑制できたのは、Zn酸化物粉末も半導体程度の導電率を有するため、V系ガラスと同様の機能を発揮していると考えられる。
そして、導電性ペースト中のV系ガラス材及びZn酸化物の各含有量等は特に限定されるものではないが、逆バイアス電圧が印加された場合であっても負方向への電流を効果的に抑制するためには、Zn酸化物の含有量は、V系ガラス材及びZn酸化物の各含有量の総計に対し、重量比率で0.2〜0.8が好ましい。
また、V系ガラス材及びZn酸化物の含有量の総計は、導電性粉末100重量部に対し6〜17重量部が好ましく、斯かる範囲となるようにV系ガラス材及びZn酸化物の含有量を調整することにより、逆バイアス電圧が印加された場合であっても負方向への電流を効果的に抑制することができる。
ただし、V系ガラス材は、Zn酸化物に比べて高価であり、したがって、経済的な観点からは、V系ガラス材はZn酸化物に対し相対的に少ないのが好ましい。
尚、V系ガラス材としては、V酸化物を主成分とするのであれば、特に限定されるものではないが、熱処理により容易に結晶化するV2O5−BaO−ZnO系やV2O5−Fe2O3−BaO系のガラス成分を使用するのが好ましい。すなわち、熱処理により結晶化させることにより、非晶質状態のガラス成分よりも電気伝導度がより高くなり、漏れ電流をより一層効果的に抑制することが可能となる。また、熱処理で結晶化させることにより、結晶化後はガラス成分の流動性が低下することから、貫通電極の電極表面にガラスが浮き上がり難くなり、はんだ付け性の向上を図ることができる。
また、導電性粉末としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、通常はAg、又はAgを主成分としたAg合金が好んで使用される。
また、このような導電性粉末の製法としては、特に限定されるものではなく、アトマイズ法や湿式還元法を使用して得ることができ、或いは両者の混合粉(アトマイズ粉、湿式還元粉)を使用してもよい。ここで、アトマイズ法は、加熱処理して溶湯化させた導電性材料に高圧水等を噴霧して液滴化し、液滴となった導電性材料を落下させながら凝固させ、これにより導電性粉末を生成する方法である。一方、湿式還元法は、金属塩を含有した水溶液にアルカリを添加して金属酸化物を含有したスラリーを作製し、このスラリーに還元剤を添加して金属粉末を還元析出させ、これにより導電性粉末を生成する方法である。
そして、この導電性ペーストは、以下のようにして容易に製造することができる。
すなわち、V系ガラス材とZn酸化物との総含有量に対するZn酸化物の含有量が、好ましくは重量比率で0.2〜0.8であり、更には導電性粉末100重量部に対し、前記総含有量が6〜17重量部となるように、導電性粉末、V系ガラス材、及びZn酸化物をそれぞれ秤量し、三本ロールミル等を使用して有機ビヒクル中で分散・混練し、これにより上記導電性ペーストを容易に製造することができる。
尚、有機ビヒクルは、バインダ樹脂と有機溶剤とを、例えば体積比率で、1〜3:7〜9となるように調製することにより作製される。ここで、バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
また、上記実施の形態では、導電性ペーストは、導電性粉末、V2O5系ガラス成分、及び有機ビヒクルで形成されているが、有機ビヒクルの含有量を若干減少させ、その代わりに少量のフタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジブチル等の可塑剤を1種又はこれらの組み合わせを添加したり、脂肪酸アマイドや脂肪酸等のレオロジー調整剤を添加するのも好ましく、さらにはチクソトロピック剤、増粘剤、分散剤などを必要に応じて添加してもよい。
次に、上記導電性ペーストを使用して製造された太陽電池セルについて詳述する。
図1は、太陽電池セルの一実施の形態を示す要部断面図であり、図2は、図1の平面図である。
この太陽電池セルは、Siを主成分とした半導体基板1の一方の主面に反射防止膜2及び受光面電極3が形成されると共に、該半導体基板1の他方の主面に裏面電極4が形成されている。
半導体基板1は、p型半導体層1aの上面にn型半導体層1bが形成され、p型半導体層1aの下面所定領域にBSF層1cが形成されている。n型半導体層1aは、例えば、単結晶又は多結晶のp型半導体層1bの一方の主面にドナー不純物を拡散させることにより得ることができるが、p型半導体層1aの上面に、高濃度でn+層化された薄層のn型半導体層1bが形成されるのであれば、その製法は特に限定されるものではない。
また、BSF層1cは、焼成時に集電電極4aを形成するAlがアクセプタ不純物として作用して拡散し、p型半導体層1cの集電電極4aの対向面にp+層化されて形成される。
さらに、半導体基板1には、一方の主面から他方の主面に架けて多数の貫通電極6が形成されている。この貫通電極6は、半導体基板1内を貫通するビア部6aと、ビア部6aに連接されて半導体基板1の裏面に形成されたバスバー部6bとを有している。そして、半導体基板1で発生した電力は、受光面電極3(フィンガー電極5a〜5n)によって集電され、貫通電極6のビア部6aを経てバスバー部6bによって外部に取り出される。
尚、図1では、半導体基板1の表面はフラット状に記載しているが、太陽光を半導体基板1に効果的に閉じ込めるために、表面は微小凹凸構造(テクスチャ)を有するように形成されている。
反射防止膜2は、窒化ケイ素(SiNx)等の絶縁性材料で形成され、矢印Aに示す太陽光の受光面への光の反射を抑制し、太陽光を半導体基板1に迅速かつ効率よく導く。この反射防止膜2を構成する材料としては、上述した窒化ケイ素に限定されるものではなく、他の絶縁性材料、例えば酸化ケイ素(SiO2)や酸化チタン(TiO2)等を使用してもよく、2種類以上の絶縁性材料を併用してもよい。また、結晶Si系であれば単結晶Si及び多結晶Siのいずれを使用してもよい。
受光面電極3は、図2に示すように、多数のフィンガー電極5a、5b、…5nが櫛歯状に並設されており、受光面電極3が設けられている部分を除く残りの領域に、反射防止膜2が形成されている。この受光面電極3は、スクリーン印刷等を使用し、別途用意した導電性ペーストを半導体基板1上に塗布して導電膜を作製し、焼成することによって形成される。すなわち、受光面電極3を形成する焼成過程で、導電膜下層の反射防止膜2が分解・除去されてファイヤースルーされ、これにより反射防止膜2を貫通する形態で半導体基板1上に受光面電極3が形成される。このようにして半導体基板1で発生した電力をフィンガー電極5a〜5nによって集電すると共に、該フィンガー電極5a〜5nは、上述したように貫通電極6に接続され、貫通電極6のバスバー部6bから電力を外部に取り出している。
裏面電極4は、半導体基板1の裏面に形成されたAlからなる集電電極4aと、該集電電極4aの裏面に形成されて該集電電極4aと電気的に接続されたAg等からなる取出電極4bとで構成されている。そして、半導体基板1で発生した電力は集電電極4aに集電され、取出電極4bによって電力を取り出している。
図3及び図4は、太陽電池セルの製造方法の一実施の形態を示す製造工程図である。
まず、図3(a)に示すように、単結晶又は多結晶のSi等からなる厚みが200mm程度のp型の半導体基板1を用意する。この半導体基板1は、例えば、Si等の半導体原料を坩堝で溶解・再固化させて形成されたインゴットをブロック毎に切断し、ワイヤーソー等で薄片状にスライスすることによって得られる。このとき、アルカリ性溶液及び/又は酸性溶液を使用してエッチング処理を行い、入射する太陽光を有効に半導体基板1内に閉じ込めるべく、表面に微小凹凸構造(テクスチャ)を形成する。
次いで、図3(b)に示すように、半導体基板1の表面にドナー不純物を拡散させ、p型半導体層1aの表面にn型半導体層1bを形成する。具体的には、拡散させるべきドナー不純物を含有した塗布液をスピンコート法等により膜状に塗布して塗布膜を形成し、熱処理を行って前記ドナー不純物を半導体基板1の表面に拡散させ、厚みが300〜500nmのn型半導体層1bを形成する。そしてこれにより、半導体基板1はpn接合を形成する。
尚、ドナー不純物としては、高濃度にn+層化されたn型半導体層1bを形成するものであれば特に限定されないが、通常はPが好んで使用され、塗布液としてはオキシ塩化リン(POCl3)が好んで使用される。
そして、酸性溶液を使用してエッチングを行い、半導体基板1の端部や裏面に拡散したドナー不純物や表面に形成されたリンケイ酸ガラス等の不純物を除去する。
次に、プラズマ化学気相成長法(PECVD)等の薄膜形成法を使用し、図3(c)に示すように、窒化ケイ素(SiNx)等の絶縁性材料からなる膜厚が70〜80nmの反射防止膜2を形成する。
次に、半導体基板1の所定位置にレーザ光を照射し、図3(d)に示すように、内径が50μm〜500μm程度の貫通孔7を多数形成する。尚、貫通孔7の形成方法は、レーザ光照射に限定されるものではなく、例えば、ドリル等を使用した機械的方法、エッチング等を使用した化学的方法等、任意の方法で形成することができる。
次に、図4(e)に示すように、上述した本発明の導電性ペーストを貫通孔7に充填して貫通導体8aを形成し、さらに貫通孔7の周囲にも導電性ペーストを塗布して塗布膜8bを形成する。
次に、平均粒径が5μmのAl粉末を含有したAlペーストを用意し、更に平均粒径1.5μmのAg粉末を含有したAgペーストを用意する。そして、該Alペーストを前記半導体基板1の裏面全面に塗布し、さらにAgペーストをスクリーン印刷して乾燥させ、図4(f)に示すように、裏面電極用のAl膜9及びAg膜10からなる第1の導電膜(電極パターン)11を形成する。
次に、上記Agペーストを使用してスクリーン印刷し、図4(g)に示すように、受光面上に所定パターンの第2の導電膜(電極パターン)12を形成する。
そしてこの後、入口から出口まで1〜3分で搬送されるベルト式焼成炉を使用し、Alが500℃で焼結し、焼成最高温度が760℃となるような焼成プロファイルで貫通導体8a、塗布膜8b、第1及び第2の導電膜11、12を焼結させる。すると、Al膜9が溶融してp型半導体層1aと合金化してAl−Si層が形成されると共に(図示せず)、Alがアクセプタ不純物としてp型半導体層1a中を拡散し、図4(h)に示すように、高濃度にp+層化されたBSF層1cが形成される。そしてこれと同時に、フィンガー電極5a〜5nは反射防止膜2をファイヤースルーしてn型半導体層1bと接合され、多数のフィンガー電極5a〜5nが並設された受光面電極3、ビア部6a及びバスバー部6bからなる貫通電極6、集電電極4a及び取出電極4bからなる裏面電極4が作製され、これにより太陽電池セルが形成される。
このように本実施の形態では、半導体基板1の一方の主面に反射防止膜2を形成し、反射防止膜2が形成された半導体基板1に貫通孔7を形成した後、上述した導電性ペーストを貫通孔7に充填して貫通導体8aを形成し、その後焼成処理を行なって半導体基板1に貫通電極6を形成するので、貫通電極6と半導体基板1との界面の絶縁性が良好で貫通電極6のバスバー部6bにインターコネクタ等をはんだ付けしてもはんだ付け性が良好で引張強度等の機械的強度の良好な太陽電池セルを製造することができる。
しかも、半導体基板1は、p型半導体層1aの一方の主面にn型半導体層1bが形成されており、反射防止膜2をn型半導体層1bの表面に形成すると共に、p型半導体層1aと貫通電極6とを接合させることにより、貫通孔7とp型半導体層1aとの間にn型半導体層を形成しなくても、貫通電極6を介してn型半導体層1bからp型半導体層1aに電流がリークするのを抑制することができる。したがって、厚みの均一性に欠けるn型半導体層をp型半導体層を囲むように形成する必要もなく、また特許文献1のような分離溝(図11、符号116参照)を形成する必要もなく、簡素な構造及び製法で所望の高い発電効率を有する太陽電池を得ることができる。
また、半導体基板1の他方の主面の貫通孔7の周囲に導電性ペーストを塗布して塗布膜8bを形成し、前記半導体基板1の両主面に第1及び第2の導電膜11、12を形成し、焼成処理で貫通導体8a、塗布膜8b、第1及び第2の導電膜11、12を同時焼成することにより、所望の高い発電効率を有する太陽電池セルを効率良く得ることができる。
さらに、上述したように導電性ペースト中にはZnO酸化物が含有されているので、太陽電池セルが日陰に入って逆バイアス電圧が印加された場合であっても、太陽電池セルに流れる電流値を低減することができ、太陽電池モジュールの熱劣化が抑制された良好な耐久性を有する太陽電池セルを得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の導電性ペーストは、貫通孔7とp型半導体層1aとが接触し、分離溝(図11、符号116参照)を不要とする太陽電池について、構造及び製法を簡素化できることから特に有用であるが、特許文献1のようにp型半導体層を囲むようにn型半導体層を形成し、貫通電極とp型半導体層とが接触しないタイプの太陽電池にも適用できる。
また、本発明の導電性ペーストは、特に貫通電極形成に好適であるが、裏面電極の取出電極の形成に使用することも可能である。
さらに、上記実施の形態では、半導体基板1は、p型半導体層1a上に薄層のn型半導体層1bが形成されているが、n型半導体層上に薄層のp型半導体層が形成されている場合も、同様に適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔実施例試料の作製〕
平均粒径D50が5μmの球形アトマイズAg粉、V系ガラス材としてV2O5−BaO−ZnO系ガラス材、比表面積が8m2/gのZnO粉、及び有機ビヒクル、レオロジー調整剤としての脂肪酸アマイド及び脂肪酸(以下、有機ビヒクル及びレオロジー調整剤を総じて「有機ビヒクル等」という。)を用意した。尚、有機ビヒクルは、エチルセルロースとテキサノールとをエチルセルロース:テキサノール=1:9に配合して調製した。
平均粒径D50が5μmの球形アトマイズAg粉、V系ガラス材としてV2O5−BaO−ZnO系ガラス材、比表面積が8m2/gのZnO粉、及び有機ビヒクル、レオロジー調整剤としての脂肪酸アマイド及び脂肪酸(以下、有機ビヒクル及びレオロジー調整剤を総じて「有機ビヒクル等」という。)を用意した。尚、有機ビヒクルは、エチルセルロースとテキサノールとをエチルセルロース:テキサノール=1:9に配合して調製した。
尚、V2O5−BaO−ZnOの組成比は、V2O5:76.6重量%、BaO:18.5重量%、ZnO:4.9重量%となるように配合したものを使用した。
次いで、球形アトマイズAg粉100重量部に対し、V2O5−BaO−ZnO系ガラス材9.0重量部、ZnO粉4.5重量部となるように、これら原料を秤量し、プラネタリーミキサーで混合した後、三本ロールミルで混練し、これにより実施例試料の導電性ペーストを作製した。
〔比較例試料の作製〕
球形アトマイズAg粉100重量部に対し、V2O5−BaO−ZnO系ガラス材:13.5重量部を添加し、ZnO粉を添加しなかった以外は、実施例試料と同様の方法・手順で比較例試料の導電性ペーストを作製した。
球形アトマイズAg粉100重量部に対し、V2O5−BaO−ZnO系ガラス材:13.5重量部を添加し、ZnO粉を添加しなかった以外は、実施例試料と同様の方法・手順で比較例試料の導電性ペーストを作製した。
〔特性評価〕
図5に示すように、横:156mm、縦:156mm、厚み:0.2mmの多結晶のp型Si系半導体基板(以下、「p−Si基板」という。)15を用意した。そして、このp−Si基板15の一方の主面にフィンガー電極及びバスバー電極が形成されるように実施例試料又は比較例試料の各導電性ペーストをスクリーン印刷して乾燥した。次いで、該p−Si基板15の他方の主面全域にAlペーストをスクリーン印刷し、乾燥させた。その後、ベルト式近赤外炉(デスパッチ社製、CDF7210)を使用し、試料が入口〜出口間を約1分で搬送するように搬送速度を調整し、大気雰囲気下、最高温度760℃で焼成し、p−Si基板15の一方の主面に表面電極16を形成し、かつ該p−Si基板15の他方の主面に裏面電極17を形成し、これにより実施例及び比較例の評価試料を作製した。
図5に示すように、横:156mm、縦:156mm、厚み:0.2mmの多結晶のp型Si系半導体基板(以下、「p−Si基板」という。)15を用意した。そして、このp−Si基板15の一方の主面にフィンガー電極及びバスバー電極が形成されるように実施例試料又は比較例試料の各導電性ペーストをスクリーン印刷して乾燥した。次いで、該p−Si基板15の他方の主面全域にAlペーストをスクリーン印刷し、乾燥させた。その後、ベルト式近赤外炉(デスパッチ社製、CDF7210)を使用し、試料が入口〜出口間を約1分で搬送するように搬送速度を調整し、大気雰囲気下、最高温度760℃で焼成し、p−Si基板15の一方の主面に表面電極16を形成し、かつ該p−Si基板15の他方の主面に裏面電極17を形成し、これにより実施例及び比較例の評価試料を作製した。
次に、これら各評価試料について、セルテスター(NPC社製、NCT−180AA−M)を使用し、表面電極16と裏面電極17との間に−10〜+10Vの電圧を印加して電流値を測定し、電流−電圧曲線(以下、「I−V曲線」という。)を作製した。
図6は、I−V曲線の一例を示す図であり、横軸が電圧V(V)、縦軸が電流I(A)である。
図中、第1象限の曲線は、順バイアス、すなわち、p−Si基板15に正電圧を印加した場合の電流特性であり、p−Si基板15から表面電極16に流れる電流を示している。
一方、第3象限の曲線は、逆バイアス、すなわち、表面電極16に正電圧を印加した場合の電流特性であり、表面電極16からp−Si基板15に流れる電流を示している。
そして、逆バイアスを示す第3象限において、表面電極16からp−Si基板15への電流が流れ難い程、表面電極16(貫通電極)からp−Si基板15への漏れ電流が小さいことを表す。
本実施例では、−6Vの逆バイアス電圧印加時の電流値で特性を評価した。
すなわち、太陽電池セルが日陰に入った場合、通常、−10〜−12V程度の逆バイアス電圧が印加されることから、斯かる逆バイアス電圧を印加した状態で特性評価を行うのが望ましいと考えられる。
しかしながら、本実施例で作製した評価試料は、表面電極16とp−Si基板15との接触面積が、実際のMWT構造型の太陽電池セルにおける貫通電極とp−Si基板との接触面積に比べ、遥かに大きい。また、−10〜−12Vの大きな逆バイアス電圧を印加すると、セルテスターの測定可能範囲を超えてしまい、正確な特性評価を行うことができない。このため、本実施例では、−6Vの逆バイアス電圧を印加して特性を評価した。
すなわち、評価試料の各表面電極16に6Vの正電圧を印加したところ、比較例試料では、−4.5Aとなって負方向の電流値が大きくなったのに対し、実施例試料では、−0.7Aであり、負方向の電流値が低減し、絶縁性が向上して評価試料からの発熱が抑制されることが分かった。
また、実施例試料及び比較例試料について、引張試験を行ったところ、比較例試料では、引張強度は4.6Nであったのに対し、実施例試料は4.2Nであり、実施例試料においても、十分な機械的強度を確保できることが分かった。
尚、引張試験は、コテ先温度を400℃に設定したはんだコテを使用し、Sn−Ag−Cuはんだめっき線(日立電線ファインテック(株)製SSA-TPS 0.16×2.0)を前記電極にはんだ付けし、前記はんだめっき線を45°の角度で引っ張って引張試験を行った。
〔導電性ペーストの作製〕
平均粒径D50が5μmの球形アトマイズAg粉、比表面積が8m2/gのZnO粉、及び有機ビヒクル等を用意し、さらにV系ガラス材としてV2O5−BaO−ZnO系及びV2O5−BaO−Fe2O3系の2種類を用意した。
平均粒径D50が5μmの球形アトマイズAg粉、比表面積が8m2/gのZnO粉、及び有機ビヒクル等を用意し、さらにV系ガラス材としてV2O5−BaO−ZnO系及びV2O5−BaO−Fe2O3系の2種類を用意した。
尚、V2O5−BaO−ZnO系ガラス材については、実施例1と同様の組成比を有するものを使用し、V2O5−BaO−Fe2O3系ガラス材については、組成比がV2O5:73.0重量%、BaO:17.6重量%Fe2O3:9.2重量%に配合されたものを使用した。
また、有機ビヒクルは、実施例1と同様、エチルセルロースとテキサノールとをエチルセルロース:テキサノール=1:9に配合して調製した。
次いで、これら原料が表1の組成比となるように秤量し、プラネタリーミキサーで混合した後、三本ロールミルで混練し、これにより試料番号1〜17の導電性ペーストを作製した。
〔特性評価〕
試料番号1〜17の導電性ペーストを使用し、実施例1と同様の方法・手順で評価試料を作製した。
試料番号1〜17の導電性ペーストを使用し、実施例1と同様の方法・手順で評価試料を作製した。
そして、試料番号1〜17の各評価試料について、実施例1と同様、表面電極16に6Vの電圧を印加し、逆バイアス電圧印加時の電流値を測定した。
表1は、試料番号1〜17の各試料のペースト組成、及び逆バイアス電圧印加時の電流値を示している。
この表1から明らかなように、試料番号11〜17は、導電性ペースト中にZnOが全く含まれていないため、電流値が−4.2〜−9.1Aとなって負方向の電流値が大きく、絶縁性に劣ることが分かった。
これに対し試料番号1〜10は、導電性ペースト中にZnOが含有されているため、電流値が−0.5〜−3.6Aとなって負方向の電流値が低減することができ、絶縁性が向上することが確認された。
図7は、V2O5系ガラス成分及びZnOの含有量総計に対するZnOの含有量と電流値との関係を示す図である。横軸がZnO/(V系ガラス材+ZnO)(重量比率)を示し、縦軸が−6Vの逆バイアス電圧印加時の電流(A)を示している。図中、〇印が本発明試料(試料番号1〜10)、△印が本発明範囲外試料(試料11〜17)である。
この図7から明らかなように、本発明範囲外試料は負方向の電流値が大きいのに対し、本発明試料は、負方向の電流値が小さいことが分かる。そして、V系ガラス材及びZnOの各含有量の総計に対するZnOの含有量が、重量比率で0.2〜0.8の範囲で良好な結果が得られている。
図8は、V系ガラス材及びZnOの各含有量の総計と電流値との関係を示す図である。横軸がAg100重量部に対するV系ガラス材とZnOの含有量の総計を示し、縦軸が−6Vの逆バイアス電圧印加時の電流(A)を示している。図中、〇印が本発明試料(試料番号1〜10)、△印が本発明範囲外試料(試料11〜17)である。
この図8から明らかなように、本発明範囲外試料は負方向の電流値が大きいのに対し、本発明試料は、負方向の電流値が小さいことが分かる。そして、Ag100重量部に対しV2O5系ガラス成分及びZnOの含有量総計が6〜17重量部の範囲で良好な結果が得られている。
太陽電池セルに逆バイアス電圧が印加されても、太陽電池を流れる負方向の電流を小さくすることができ、発熱量が低減でき、太陽電池モジュールの熱劣化を抑制する。
1 半導体基板
1a p型半導体層
1b n型半導体層
6 貫通電極
7 貫通孔
8a 貫通導体
1a p型半導体層
1b n型半導体層
6 貫通電極
7 貫通孔
8a 貫通導体
Claims (8)
- 太陽電池の電極を形成するための導電性ペーストであって、
導電性粉末と、V酸化物を主成分としたV酸化物系ガラス材と、Zn酸化物と、有機ビヒクルとを含有していることを特徴とする導電性ペースト。 - 前記V酸化物系ガラス材及び前記Zn酸化物の各含有量の総計に対するZn酸化物の含有量が、重量比率で0.2〜0.8であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
- 前記V酸化物系ガラス材及び前記Zn酸化物の各含有量の総計は、前記導電性粉末100重量部に対し6〜17重量部であることを特徴とする請求項1又は請求項2載の導電性ペースト。
- 前記V酸化物系ガラス材は、Baを含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに載の導電性ペースト。
在留王全いい前儒 - 前記導電性粉末が、Agを主成分としていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 半導体基板の一方の主面に反射防止膜を形成し、該反射防止膜が形成された前記半導体基板に貫通孔を形成した後、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の導電性ペーストを前記貫通孔に充填して貫通導体を形成し、その後焼成処理を行って前記半導体基板に貫通電極を形成することを特徴とする太陽電池セルの製造方法。
- 前記半導体基板は、p型半導体層の一方の主面にn型半導体層が形成され、
前記p型半導体層及び前記n型半導体層を前記貫通電極に接合させることを特徴とする請求項6記載の太陽電池セルの製造方法。 - 前記半導体基板の一方の主面の反対側に位置する他方の主面の前記貫通孔周囲に前記導電性ペーストを塗布して塗布膜を形成し、さらに前記半導体基板の両主面に所定の電極パターンを形成し、前記焼成処理で前記貫通導体、前記塗布膜、及び前記電極パターンを同時焼成することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の太陽電池セルの製造方法。
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2013
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