JP2014059950A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定砥粒による研削加工を研削レートの低下を伴うことなく可能とし、高品質のガラス基板を低コストで製造可能な磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】潤滑液と、複数の固定砥粒が研削面に配備された定盤とを用いてガラス基板の主表面を研削する研削工程において、研削により研削面の表面に溜まったスラッジの凝集物の排出を促進させるため、上記ガラス基板の研削加工面に供給される潤滑液中にアルミニウムイオンを含む添加剤を含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスクの製造方法に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置に搭載される情報記録媒体の一つとして磁気ディスクがある。磁気ディスクは、基板上に磁性層等の薄膜を形成して構成されたものであり、その基板として従来はアルミ基板が用いられてきた。しかし、最近では、高記録密度化の追求に呼応して、アルミ基板と比べて磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔をより狭くすることが可能なガラス基板の占める比率が次第に高くなってきている。また、ガラス基板表面は磁気ヘッドの浮上高さを極力下げることができるように、高精度に研磨して高記録密度化を実現している。近年、HDDの更なる大記録容量化、低価格化の要求は増すばかりであり、これを実現するためには、磁気ディスク用ガラス基板においても更なる高品質化、低コスト化が必要になってきている。
上述したように高記録密度化にとって必要な低フライングハイト(浮上量)化のために磁気ディスク表面の高い平滑性は必要不可欠である。磁気ディスク表面の高い平滑性を得るためには、結局、高い平滑性の基板表面が求められるため、高精度にガラス基板表面を研磨する必要がある。
このようなガラス基板を作製するために、従来、遊離砥粒を用いていた研削(ラッピング)工程において、ダイヤモンドシートを用いた固定砥粒による研削方法が提案されている(例えば特許文献1等)。ダイヤモンドシートとは、ダイヤモンド砥粒を樹脂(例えばアクリル系樹脂等)などの支持材を用いて固定したペレット(あるいはこのようなペレットをシートに貼り付けたもの)である。従来の遊離砥粒では形状が歪な砥粒が定盤とガラスとの間に介在し不均一に存在するために、砥粒への荷重が一定にならず荷重が集中した場合、定盤表面は鋳鉄による低弾性であるため、ガラスに深いクラックが入り、ガラスの加工表面粗さが大きく、後工程の鏡面研磨工程で多くの除去量が必要であったため、加工コストの削減が困難であった。これに対し、ダイヤモンドシートを用いた固定砥粒による研削では、シート表面に砥粒が均一に存在しているため、荷重が集中することなく、加えて樹脂を用いて砥粒をシートに固定しているため、砥粒に荷重が加わっても砥粒を固定している樹脂の高弾性作用により、加工面のクラックは浅く、加工表面粗さの低下が可能となり、後工程への負荷が低減され、加工コストの削減が可能になる。
この研削(ラッピング)工程の終了後は、高精度な平面を得るための鏡面研磨加工を行っている。
また、現在のHDDにおいては、1平方インチ当り400ギガビット程度の記録密度が実現できるまでに至っており、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスクに250ギガバイト程度の情報を収納することが可能になっているが、更なる高記録密度化、例えば500ギガバイト、1テラバイトを実現するための手段としてたとえば熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この熱アシスト磁気記録方式に適用する磁気ディスクとしては、現状よりも高い耐熱性を要求される。従って、基板においても耐熱性の高いガラス素材を用いることが好適である。
特開2001−191247号公報
上述のように、ダイヤモンドシートを用いた固定砥粒による研削方法によれば、加工面の表面粗さの低下が可能となり、後の鏡面研磨工程への負荷が低減され、ガラス基板の加工コストの削減が可能になるものの、本発明者の検討によれば次のような課題があることが判明した。
すなわち、固定砥粒を用いた研削方法の場合、加工時間の経過とともに、研削レートが低下することが認められた。図1は、加工時間の経過に伴う研削レートの変化を示したものであり、通常ガラス(従来磁気ディスク用ガラス基板に通常使用されているアルミノシリケートガラス)を用いた場合、加工時間の経過とともに研削レートが低下しており、特に耐熱性ガラス(概ねTgが600℃以上)を用いた場合、研削レートが大幅に低下してしまう。これでは、表面品質の向上と加工コストの低減の両立を図ることができない。
本発明はこのような従来の課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、固定砥粒による研削加工を研削レートの低下を伴うことなく可能とし、高品質のガラス基板を低コストで製造可能な磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、およびそれによって得られるガラス基板を利用した磁気ディスクの製造方法を提供することである。
本発明者は、このように固定砥粒を用いた研削方法の場合、加工時間の経過とともに研削レートが低下する理由についても検討した結果、次のように推測した。
従来の遊離砥粒を用いた研削加工の場合、砥粒が遊離のために、研削加工の進行に伴って発生する研削屑が砥粒に付着しても、転回を繰り返し定盤及びガラスとの摩擦により、砥粒表面に研削屑が堆積することなく排出される。一方、固定砥粒を用いた研削加工では、砥粒が固定されているために、研削屑が付着すると砥粒が転回しないので砥粒表面に研削屑が堆積固化し、研削屑による固定砥粒の目詰まりが生じ、加工阻害による研削レートの低下が起こる。この場合、加工面に供給される潤滑液(クーラントともいう)の作用で、砥粒表面に一旦堆積した研削屑を洗い出す(取り除く)ことは困難である。固定砥粒による研削加工は、遊離砥粒を用いた研削加工と比べて、研削量が小さく、高精細の加工を行えるので、加工に伴って排出される研削屑等は微細な粒径のものが多く含まれているため、砥粒表面に付着し易いという要因もある。
また、特に耐熱性ガラスにおいて加工レートの大幅な低下が起こる理由については次のように推測した。
ガラス主成分のシリカとアルミナはケイ素とアルミニウムが酸素を介し結合した構造であるが、シリカとアルミナの比率を変えることで耐熱性などの特性をコントロールすることが可能である。例えばケイ素が多い(アルミニウムが相対的に少ない)ハイシリカは、結晶構造が均一のため、熱等に強く安定であり耐熱性を備えている。本発明者の検討によると、このようなアルミニウムの含有量の少ない耐熱性ガラスから加工に伴って排出される研削屑は、研削加工のように砥石とガラス基板表面との接触部が局所的に高温・高圧の環境下となりうる環境下において凝集し易く、砥粒表面への堆積固化を促進させる。そのため、通常ガラスと比べてアルミニウム含有量の少ない又はアルミニウムを含まない耐熱性ガラスでは、研削屑による固定砥粒の目詰まりがより生じ易く、加工阻害による研削レートの大幅な低下が起こる。換言すれば、ガラスの研削加工において加工レートの大幅な低下が起こる原因は、ガラスに含まれるアルミナの含有量が少ないためと考えられる。
そこで、本発明者は、上記課題を解決すべく、従来は検討されていなかった潤滑液に着目し、鋭意検討した結果、潤滑液中にAl等を添加することでAl3+を含有させることにより、研削屑の堆積固化を抑制でき、固定砥粒による研削加工を阻害する研削屑による固定砥粒の目詰まりを防止して、研削レートの低下を改善できることを見い出した。また、特に耐熱性ガラスの研削加工において、その効果が顕著であることも見い出した。すなわち、アルミナの含有量が少ないガラスの研削加工において、その効果が顕著であることも見い出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
潤滑液と、ダイヤモンド粒子を含む固定砥粒が研削面に配備された定盤とを用いてガラス基板の主表面を研削する研削工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板の研削加工面に供給される前記潤滑液中に、Al3+を含有させることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成2)
前記潤滑液中に、Alを添加することを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成3)
前記潤滑液中のAl3+の含有量は、0.05g/L〜1.0g/Lの範囲内であることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成4)
前記ガラス基板は、モル%表示にて、
SiOを50〜75%、
Alを0〜5%、
BaOを0〜2%、
LiOを0〜3%、
ZnOを0〜5%、
NaOおよびKOを合計で3〜15%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、
ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、
モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスからなることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成5)
構成1乃至4のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
(構成6)
潤滑液と、複数の固定砥粒が研削面に配備された定盤とを用いてガラス基板の主表面を研削する研削工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、研削により研削面の表面に溜まったスラッジの凝集物の排出を促進させるための添加剤を、前記ガラス基板の研削加工面に供給される前記潤滑液中に含有させることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成7)
前記ガラス基板は、SiOを主成分とし、Alを0〜15重量%含むガラスからなることを特徴とする構成6に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成8)
前記潤滑液は、アミン、鉱油、灯油、ミネラルスピリット、水溶性油エマルジョン、ポリエチレンイミン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、アミンボレート、ホウ酸、アミンカルボキシレート、パイン油、インドール、チオアミン塩、アミド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチルトリアジン、カルボン酸、ナトリウム2−メルカプトベンゾチアゾール、イソプロパノールアミン、トリエチレンジアミン四酢酸、プロピレングリコールメチルエーテル、ベンゾトリアゾール、ナトリウム2−ピリジンエチオール−1−オキシド、ヘキシレングリコールの1つ以上を含む水性溶液からなることを特徴とする構成6又は7に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成9)
前記潤滑液中に添加される前記添加剤は、Al、硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムから選択されることを特徴とする構成6乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成10)
前記潤滑液中に添加される前記添加剤の含有量は、0.05g/L〜1.0g/Lの範囲内であることを特徴とする構成6乃至9のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
本発明によれば、従来の固定砥粒を用いた研削加工における研削レートの低下を改善することができる。すなわち、固定砥粒による研削加工を研削レートの低下を伴うことなく可能とし、高品質のガラス基板を低コストで製造することが可能である。特に耐熱性ガラス(換言すればアルミナ含有量の少ないガラス)の研削加工において、その効果が顕著である。また、それによって得られるガラス基板を利用し、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
従来の固定砥粒を用いたガラス基板の研削工程における加工時間に対する研削レートの変化を示す図である。 実施例1−1および比較例(従来)における加工バッチ数に対する研削レートの変化を示す図である。 実施例2−1および比較例(従来)における加工バッチ数に対する研削レートの変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
本発明は、上記構成1にあるように、潤滑液と、ダイヤモンド粒子を含む固定砥粒が研削面に配備された定盤とを用いてガラス基板の主表面を研削する研削工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板の研削加工面に供給される前記潤滑液中に、Al3+を含有させることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、粗研削工程(粗ラッピング工程)、形状加工工程、精研削工程(精ラッピング工程)、端面研磨工程、主表面研磨工程、化学強化工程、を経て製造される。
この磁気ディスク用ガラス基板の製造は、まず、溶融ガラスからダイレクトプレスにより円盤状のガラス基板(ガラスディスク)を成型する。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板(ガラスディスク)を得てもよい。次に、この成型したガラス基板(ガラスディスク)に寸法精度及び形状精度を向上させるための研削(ラッピング)を行う。この研削工程は、通常両面ラッピング装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
本発明は、この研削工程の改善に関わるものである。本発明における研削工程は、ダイヤモンド粒子を含む固定砥粒を用いた研削工程であり、たとえば、両面ラッピング装置において、ダイヤモンド砥粒の硬質砥粒を樹脂(例えばアクリル系樹脂等)などの支持材を用いて固定したペレット(あるいはこのようなペレットをシートに貼り付けたもの(ダイヤモンドシートなどと呼ばれる)が貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、さらに前記ガラス基板を上下定盤によって所定圧で挟圧しながら、ガラス基板と上下定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面を同時に研削する。この際、加工作用面を冷却したり、加工を促進するために潤滑液(クーラント)が供給される。この潤滑液は、使用後に再度ラッピング装置に供給され、循環使用される。
本発明では、この潤滑液中にAl3+を含有させたものを用いて研削工程を実施する。潤滑液中にAl3+を含有させるためには、例えばAl等のAlを含み水溶液中でイオン化する物質を潤滑液に添加する方法が簡易である。添加する物質は、固体でも液体でもよいが、予め水等に溶解させてAl3+を含む液体として添加すると簡便である。このAlを含み水溶液中でイオン化する物質の他の例としては、硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。
なお、Alについては通常は水に難溶性であるが、研削加工のような高荷重の条件下では局所的に高温・高圧環境下となるため一部が溶出してAlイオンを供給する。また、Alを潤滑液に添加する場合は、1μm以下の小さい粒径のものを使用することで、ガラス基板の主表面にスクラッチが発生することを防止することができる。
このように潤滑液中にAl3+を含有させることにより、研削加工に伴って排出される研削屑の固定砥粒表面への堆積固化を抑制でき、固定砥粒による研削加工を阻害する研削屑による目詰まりを防止できるので、従来の固定砥粒を用いた研削加工の課題となっていた研削レートの低下を改善することができる。また、特にガラスに元々組成物として溶融されるAlの組成率の低い耐熱性ガラスの研削加工において、潤滑液中にAl3+を含有させることによる研削レートの低下を改善する効果が顕著に発揮される。
本発明に使用する潤滑液としては、特に制約はないが、冷却効果が高く、生産現場において安全性の高い水溶性の潤滑液が特に好適である。例えば、アミン、鉱油、灯油、ミネラルスピリット、水溶性油エマルジョン、ポリエチレンイミン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、アミンボレート、ホウ酸、アミンカルボキシレート、パイン油、インドール、チオアミン塩、アミド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチルトリアジン、カルボン酸、ナトリウム2−メルカプトベンゾチアゾール、イソプロパノールアミン、トリエチレンジアミン四酢酸、プロピレングリコールメチルエーテル、ベンゾトリアゾール、ナトリウム2−ピリジンエチオール−1−オキシド、ヘキシレングリコールの1つ以上を含む水性溶液が好適である。潤滑液の使用時の温度(液温)に関しても特に制約はないが、通常は40℃前後の温度が好適である。
本発明において、前記潤滑液中のAlを含み水溶液中でイオン化する物質、すなわちAl3+イオンを供給しうる物質の含有量は、0.05g/L〜1.0g/Lの範囲内であることが好ましい。
潤滑液中のAl3+イオンを供給しうる物質の含有量が、0.05g/L未満であると、従来の固定砥粒を用いた研削加工における課題となっていた研削レートの低下を改善する効果が十分に得られない。特に耐熱性ガラスの研削加工においては研削レートの低下が大きいため、この研削レートの低下を改善することができない。一方、潤滑液中のAl3+イオンを供給しうる物質の含有量が、1.0g/Lを超えても、研削レートの低下を改善する効果は変わらない。
本発明においては、ガラス基板を構成するガラス(の硝種)は、アモルファスのアルミノシリケートガラスとすることが好ましい。このようなガラス基板は表面を鏡面研磨することにより平滑な鏡面に仕上げることができ、また加工後の強度が良好である。このようなアルミノシリケートガラスとしては、例えば、SiO2 を主成分としてAl23 を20重量%以下含むガラスが好ましい。さらに、SiO2を主成分としてAl23を15重量%以下含むガラスとするとより好ましい。具体的には、SiO2を62重量%以上75重量%以下、Al23 を5重量%以上15重量%以下、Li2 Oを4重量%以上10重量%以下、Na2Oを4重量%以上12重量%以下、ZrO2 を5.5重量%以上15重量%以下、主成分として含有するとともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5以上2.0以下、Al23 /ZrO2 の重量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスを用いることができる。なお、CaOやMgOといったアルカリ土類金属酸化物を含まないガラスであることが望ましい。このようなガラスとしては、例えばHOYA株式会社製のN5ガラス(商品名)を挙げることができる。
また、前記の耐熱性ガラスとしては、例えば、モル%表示にて、SiOを50〜75%、Alを0〜5%、BaOを0〜2%、LiOを0〜3%、ZnOを0〜5%、NaOおよびKOを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスを好ましく用いることができる。
また、SiOを56〜75モル%、Alを1〜9モル%、LiO、NaOおよびKOからなる群から選ばれるアルカリ金属酸化物を合計で6〜15モル%、MgO、CaOおよびSrOからなる群から選ばれるアルカリ土類金属酸化物を合計で10〜30モル%、ZrO、TiO、Y、La、Gd、NbおよびTaからなる群から選ばれる酸化物を合計で0%超かつ10モル%以下、含むガラスであってもよい。
本発明において、ガラス組成におけるAlの含有量が15重量%以下であると好ましい。さらには、Alの含有量が5モル%以下であるとなお好ましい。
なお、通常、研削工程は、前記のように粗研削工程(第1の研削工程)と精研削工程(第2の研削工程)の2段階を経て行われることが一般的であるが、この場合、少なくとも後段の精研削工程は、本発明によるダイヤモンド粒子を含む固定砥粒と潤滑液を用いた研削工程を適用することが望ましい。前段の粗研削工程に関しては、ガラスディスクの成型法によっては、従来の鋳鉄等からなる定盤を用いた研削工程を実施してもよいが、前段についても本発明によるダイヤモンド粒子を含む固定砥粒と潤滑液を用いた研削工程を適用してもよい。なお、上記固定砥粒はダイヤモンド粒子には限定されず、他の材質の砥粒を用いてもよい。
この研削工程の終了後は、高精度な平面を得るための鏡面研磨加工を行う。本発明においては、研削工程において、従来の遊離砥粒方式に対し、本発明による固定砥粒方式を適用したことにより、加工表面粗さの低下が可能となったため、後の鏡面研磨加工工程での除去量が少なくて済み、加工負荷が低減され、加工コストの削減が可能になる。
ガラス基板の鏡面研磨方法としては、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等のポリシャの研磨パッドを用いて行うのが好適である。高い平滑性を有するガラス基板は、たとえば酸化セリウム系研磨材を用いて研磨した後(第1研磨加工)、さらにコロイダルシリカ砥粒を用いた仕上げ研磨(鏡面研磨)(第2研磨加工)によって得ることが可能である。
本発明においては、上記研削加工、鏡面研磨加工後のガラス基板の表面は、算術平均表面粗さRaが0.2nm以下である鏡面とされることが好ましい。なお、本発明においてRa、Rmaxというときは、日本工業規格(JIS)B0601に準拠して算出される粗さのことである。
また、本発明において表面粗さ(例えば、最大粗さRmax、算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
本発明においては、第1研磨加工後、第2研磨加工前に、化学強化処理を施すことが好ましい。化学強化処理の方法としては、例えば、ガラス転移点の温度を超えない温度領域、例えば摂氏300度以上400度以下の温度で、イオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化処理とは、溶融させた化学強化塩とガラス基板とを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径のアルカリ金属元素と、ガラス基板中の相対的に小さな原子半径のアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラス基板の表層に該イオン半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラス基板の表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。化学強化処理されたガラス基板は耐衝撃性に優れているので、例えばモバイル用途のHDDに搭載するのに特に好ましい。化学強化塩としては、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属硝酸塩を好ましく用いることができる。
また、本発明は、以上の磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法についても提供する。本発明において磁気ディスクは、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の上に少なくとも磁性層を形成して製造される。磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoCrPt系やCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることが好適である。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。例えば,Cr系合金など立方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面に沿って配向させることができる。この場合、面内磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。また、例えば、RuやTiを含む六方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面の法線に沿って配向させることができる。この場合、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。下地層は磁性層同様にスパッタリング法により形成することができる。
また、磁性層の上に、保護層、潤滑層をこの順に形成するとよい。保護層としてはアモルファスの水素化炭素系保護層が好適である。例えばプラズマCVD法により保護層を形成することができる。また、潤滑層としては、パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の末端に官能基を有する潤滑剤を用いることができる。取り分け、極性官能基として水酸基を末端に備えるパーフルオロポリエーテル化合物を主成分とすることが好ましい。潤滑層はディップ法により塗布形成することができる。
本発明によって得られるガラス基板を利用することにより、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)、(6)化学強化工程、(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:62〜75重量%、ZrO:5.5〜15重量%、Al:5〜15重量%、LiO:4〜10重量%、NaO:4〜12重量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。
次いで、このガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#400の砥粒を用いて行った。具体的には、上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、荷重を100kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)精ラッピング工程
この精ラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#1000のダイヤモンド砥粒(砥粒径約2〜10μm)をアクリル樹脂で固定したペレットが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させて行なった。また、潤滑液としてはクーラント(温度40℃)中にAl(粒径約1μm)を0.06g/Lの含有量で添加したものを使用した。
具体的には、荷重を400kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を、表面粗さRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度にラッピングした。
上記ラッピング工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
この精ラッピング工程は、1バッチ当たり100枚とし、10バッチ分の加工を行なった。バッチ進行による研削レートの変化を図2に示した(同図中の■で示すプロットを参照)。なお、比較例として、潤滑液(クーラント)中にAlを添加しないこと以外は上記実施例と同様に精ラッピング工程を行った場合におけるバッチ進行による研削レートの変化についても図2に示した(同図中の□で示すプロットを参照)。本実施例のように、潤滑液(クーラント)中にAlを添加することでAl3+を含有させることにより、バッチ進行による研削レートの低下傾向はほとんど確認されず、従来(比較例)の潤滑液のみで加工を行った場合のバッチ進行による研削レートの低下を改善できることが図2の結果からわかる。
(4)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面の粗さを、Raで0.3nm程度に研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したRO水とし、荷重100g/cm、研磨時間15分とした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
(6)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(アスカーC硬度で72の発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカ(平均粒径0.8μm)を分散したRO水とし、荷重100g/cm、研磨時間5分とした。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
また、上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=2.13nm、Ra=0.20nmと超平滑な表面を持つガラス基板を得た。また、そのガラス基板の表面を原子間力顕微鏡(AFM)及び電子顕微鏡で分析したところ、鏡面状であり、突起や傷等の表面欠陥は観察されなかった。
また、得られたガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
こうして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
(実施例1−2)
上記実施例1−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中にAlの含有量を1.0g/Lとしたこと以外は実施例1−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例1−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
本実施例の精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化を下記表1に示した。
(実施例1−3)
上記実施例1−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中にAlの含有量を0.03g/Lとしたこと以外は実施例1−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例1−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
本実施例の精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化を下記表1に示した。
(実施例1−4)
上記実施例1−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中にAlの含有量を1.5g/Lとしたこと以外は実施例1−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例1−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
本実施例の精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化を下記表1に示した。
Figure 2014059950
表1の結果から、潤滑液中にAlを添加することにより、従来のクーラントのみで加工を行った場合のバッチ進行による研削レートの低下を改善できることがわかる。但し、潤滑液中のAlの含有量が好ましい範囲よりも少ない実施例1−3においては、従来の潤滑液のみで加工を行った場合のバッチ進行による研削レートの低下を改善する効果が小さい。また、潤滑液中のAlの含有量が好ましい範囲よりも多い実施例1−4においては、一定量以上添加しても効果が変わらないことが分かる。
さらに、実施例1−5として、上記実施例1−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中に硫酸アンモニウムアルミニウムを0.06g/L添加したこと以外は実施例1−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例1−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得たところ、精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化は、実施例1−1と同等であった。
(実施例2−1)
本実施例では、ガラス基板の硝種として、モル%表示にて、SiOを50〜75%、Alを0〜5%、BaOを0〜2%、LiOを0〜3%、ZnOを0〜5%、NaOおよびKOを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲である耐熱性ガラス(Tg:650℃以上)を使用した。
この耐熱性ガラスからなるガラス基板に対して上記実施例1−1と同様の工程を施して磁気ディスク用ガラス基板を製造した。但し、精ラッピング工程において、潤滑液としてはクーラント(温度40℃)中にAlを0.06g/L添加したものを使用した。
本実施例においても、精ラッピング工程は、1バッチ当たり100枚とし、10バッチ分の加工を行なった。バッチ進行による研削レートの変化を図3に示した(同図中の●で示すプロットを参照)。なお、比較例として、潤滑液(クーラント)中にAlを添加しないこと以外は上記実施例と同様に精ラッピング工程を行った場合におけるバッチ進行による研削レートの変化についても図3に示した(同図中の○で示すプロットを参照)。本実施例のように、潤滑液(クーラント)中にAlを添加することでAl3+を含有させることにより、バッチ進行による研削レートの低下傾向はほとんど確認されず、耐熱性ガラス基板に対して従来(比較例)の潤滑液のみで加工を行った場合のバッチ進行による研削レートの大幅な低下を著しく改善できることが図3の結果からわかる。
(実施例2−2)
上記実施例2−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中にAlの含有量を1.0g/Lとしたこと以外は実施例2−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例2−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
本実施例の精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化を下記表2に示した。
(実施例2−3)
上記実施例2−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中にAlの含有量を0.03g/Lとしたこと以外は実施例2−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例2−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
本実施例の精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化を下記表2に示した。
(実施例2−4)
上記実施例2−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中にAlの含有量を1.5g/Lとしたこと以外は実施例2−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例2−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
本実施例の精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化を下記表2に示した。
Figure 2014059950
表2の結果から、潤滑液中にAlを添加することにより、耐熱性ガラス基板に対して従来の潤滑液のみで加工を行った場合のバッチ進行による研削レートの大幅な低下を著しく改善できることがわかる。但し、潤滑液中のAlの含有量が好ましい範囲よりも少ない実施例2−3においては、従来の潤滑液のみで加工を行った場合のバッチ進行による研削レートの低下を改善する効果が小さい。また、潤滑液中のAlの含有量が好ましい範囲よりも多い実施例2−4においては、一定量以上添加しても効果が変わらないことが分かる。
さらに、実施例2−5として、上記実施例2−1の精ラッピング工程において、潤滑液としてクーラント(温度40℃)中に硫酸アンモニウムアルミニウムを0.06g/L添加したこと以外は実施例2−1と同様にして精ラッピング工程を実施した。そして、精ラッピング工程以外は実施例2−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得たところ、精ラッピング工程におけるバッチ進行による研削レートの変化は、実施例2−1と同等であった。
(実施例3)
上記実施例1−1で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、所定のグライド特性試験を行ったが、特に障害も無く、良好な結果が得られた。
また、上記実施例2−1で得られた磁気ディスク用ガラス基板についても、上記と同様に成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
得られた磁気ディスクについて、所定のグライド特性試験を行ったが、特に障害も無く、良好な結果が得られた。

Claims (6)

  1. 潤滑液と、複数の固定砥粒が研削面に配備された定盤とを用いてガラス基板の主表面を研削する研削工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    研削により研削面の表面に溜まったスラッジの凝集物の排出を促進させるため、アルミニウムイオンを含む添加剤を、前記ガラス基板の研削加工面に供給される前記潤滑液中に含有させることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラス基板は、SiOを主成分とし、Alを含むガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記潤滑液は、アミン、鉱油、灯油、ミネラルスピリット、水溶性油エマルジョン、ポリエチレンイミン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、アミンボレート、ホウ酸、アミンカルボキシレート、パイン油、インドール、チオアミン塩、アミド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチルトリアジン、カルボン酸、ナトリウム2−メルカプトベンゾチアゾール、イソプロパノールアミン、トリエチレンジアミン四酢酸、プロピレングリコールメチルエーテル、ベンゾトリアゾール、ナトリウム2−ピリジンエチオール−1−オキシド、ヘキシレングリコールの1つ以上を含む水性溶液からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記潤滑液中に添加される前記添加剤は、Al、硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムから選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記潤滑液中に添加される前記添加剤の含有量は、0.05g/L〜1.0g/Lの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。

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