JP2014059376A - 中間転写ベルトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抵抗率が安定な弾性体を有する中間転写ベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】周面に基材を巻き付けた円柱状の芯金4を円周方向に回転させながら、熱可塑性エラストマーと導電剤とを溶剤に溶解した弾性体溶液を、芯金4に対する塗布速度10〜20mm/secでディスペンサー塗布により前記基材上に塗布する塗布工程と、前記基材上に塗布された弾性体溶液を、前記芯金を円周方向に回転させながら乾燥させる乾燥工程と、を含み、前記塗布工程は、芯金が前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われ、前記乾燥工程は、芯金を前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われる、中間転写ベルトの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写ベルトの製造方法に関する。より詳しくは、電子写真複写機、プリンター等の画像形成装置において、感光体上に形成されたトナー画像を転写紙等の転写材上に転写するための中間転写ベルトの製造方法に関する。
電子写真複写機、プリンターなどの電子写真方式の画像形成装置は、近年では高画質フルカラー化、高品質化の要求が強い。電子写真方式の画像形成装置は、従来から知られている様に、感光体を一様に帯電する帯電部材、感光体上に静電潜像を形成する露光部材、静電潜像をトナー像で現像する現像部材、転写体に転写する転写部材、トナー像を転写体上に定着させる定着部材、感光体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング部材、感光体上の静電潜像を除去する除電部材等の構成部材を有している。
電子写真方式の画像形成装置は、帯電したトナーを感光体上の静電潜像に接触あるいは非接触で供給し、静電潜像を顕像にする現像過程を経て形成したトナー像を転写工程で中間転写体に一次転写した後、転写材(例えば紙)に二次転写し、さらに定着して最終画像を形成するものである。
中間転写体としては、基体に無端の管状基体を使用し、管状基体の上に各種の機能層を有する管状物として中間転写ベルトが使用されている。
従来、複写機やレーザービームプリンター等の画像形成装置では、中間転写ベルトの材料にPI(ポリイミド)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)が使用されてきた。一方で、より高速、高画質、高耐久性が要求されるPP(プロダクションプリント)領域では、その転写性の観点から中間転写ベルト表面に弾性体からなる弾性層を設ける構造が要求されてきた。しかし、ゴムのような弾性体は一般的に絶縁体でありトナーの転写システムには最適ではない。この弾性体に導電性を付与する場合、金属塩などのイオン導電剤や、カーボンや金属酸化物などの電子導電剤を混合することで達成できるが、手間がかかり、装置も大きくなる。さらに作製した弾性体の抵抗率は、トナーの転写に最適な半導体領域では安定しないものとなる。
そこで、このような弾性体の抵抗率を改善するために、これまでに種々の検討が行われている。例えば、特許文献1には、溶剤に溶解した状態のバインダー成分中に抵抗制御剤を分散した後、該溶剤を除去することにより作製した抵抗制御剤分散物を、押し出し機と環状ダイスを用いて円筒状に溶融押し出しすることにより得られる、電気抵抗が均一な転写搬送シームレスベルトが開示されている。また、特許文献2には、導電性ポリマーと非共役系ポリマーとを含む半導電性組成物により、高抵抗領域においても高誘電率の電子写真機器用導電性部材が得られることが開示されている。
特開2000−344378号公報 特開2009−79131号公報
しかしながら、中間転写ベルトを構成する弾性体の抵抗率安定性としては、いまだ満足するものは得られていないのが現状である。また、上述のような半導電性の弾性体を作製する方法としては、ベースポリマーに架橋(加硫)剤、導電剤、無機フィラー、その他添加物を混合し、ニーダーやバンバリーなどの混練機で練った後、所望の形で成形し、加硫するという手法が一般的である。しかしこの手法では、装置が大掛かりであり、抵抗が安定せず(高抵抗または低抵抗しか得られない)、時間がかかる、などの問題点がある。
そこで、本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、抵抗率が安定な弾性体を有する中間転写ベルトの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、所定の温度に加温された芯金上の基材に弾性体溶液を塗布する工程と、前記塗布された弾性体溶液を所定の温度で乾燥させる工程と、を含む製造方法により、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.周面に基材を巻き付けた円柱状の芯金を円周方向に回転させながら、熱可塑性エラストマーと導電剤とを溶剤に溶解した弾性体溶液を、芯金に対する塗布速度10〜20mm/secでディスペンサー塗布により前記基材上に塗布する塗布工程と、前記基材上に塗布された弾性体溶液を、前記芯金を円周方向に回転させながら乾燥させる乾燥工程と、を含み、前記塗布工程は、芯金が前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われ、前記乾燥工程は、芯金を前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われる、中間転写ベルトの製造方法。
2.前記乾燥工程は、前記溶剤の沸点の70〜90%の温度での加熱が0.5〜1時間行われる、1.に記載の中間転写ベルトの製造方法。
3.前記基材は、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリフェニレンサルファイド、およびポリカーボネートからなる群から選択される、1.または2.に記載の中間転写ベルトの製造方法。
4.前記弾性体溶液の粘度は、0.5〜10Pa・s(25℃)であることを特徴とする1.〜3.のいずれか1つに記載の中間転写ベルトの製造方法。
5.前記乾燥の際の温度を、勾配をかけて昇温させる、1.〜4.のいずれか1つに記載の中間転写ベルトの製造方法。
本発明によれば、抵抗率が安定な弾性体を有する中間転写ベルトの製造方法が提供される。
図1(a)は、本発明の中間転写ベルトの製造方法に用いられる製造装置の構成の一例を示す概略斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の製造装置の概略正面図である。
本発明によれば、周面に基材を巻き付けた円柱状の芯金を円周方向に回転させながら、熱可塑性エラストマーと導電剤とを溶剤に溶解した弾性体溶液を、芯金に対する塗布速度10〜20mm/secでディスペンサー塗布により前記基材上に塗布する塗布工程と、前記基材上に塗布された弾性体溶液を、前記芯金を円周方向に回転させながら乾燥させる乾燥工程と、を含み、前記塗布工程は、芯金が前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われ、前記乾燥工程は、芯金を前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われる、中間転写ベルトの製造方法が提供される。
これまで、PP(プロダクションプリント)領域では、その転写性の観点から、中間転写ベルト表面に、半導電性の弾性層(弾性体)を設ける構造が要求されてきた。このPP領域では、更なる高速、高画質、高耐久が求められており、このような要求を達成するには、凹凸紙への転写性やトナーの転写効率の観点から、弾性転写システムに用いる弾性層(弾性体)の選定が重要であるといえる。
また、半導電性の弾性体を作製する方法としては、ベースポリマーに架橋(加硫)剤、導電剤、無機フィラー、その他添加物を混合し、ニーダーやバンバリーなどの混練り機で練った後、所望の形で成形し、加硫するという手法が一般的である。しかしこの手法では、装置が大掛かりであり、抵抗が安定せず(高抵抗または低抵抗しか得られない)、時間がかかる、などの問題点がある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、短時間にて小スケールで安定した抵抗値(半導体領域である1×1010〜6×1012Ω・cm、1×1010〜6×1012Ω/□)を有する弾性体を作製するプロセスを見出した。すなわち、本発明の中間転写ベルトを構成する弾性体は、熱可塑性エラストマーと導電剤との2成分を溶剤に溶解した弾性体溶液を、迅速に乾燥させることで作製される。具体的には、基材を巻き付けた芯金を予め適正な温度領域で保温した状態にしておき、弾性体溶液を該基材上にディスペンサー塗布し、乾燥する。本発明は、当該製造方法により、平滑な面形状でかつ抵抗率のばらつきを抑制した弾性体を短時間で作製できることを見出したものである。これらのメカニズムは明らかではないが、下記のように推測される。なお、本発明は、下記推測によって限定されるものではない。
通常のベースポリマーに導電剤などを添加、混合する方法では、導電剤が均一に分散できず、結果として、得られる弾性体の抵抗率にばらつきが生じる。これに対し、本発明の中間転写ベルトの製造方法によれば、弾性体は、熱可塑性エラストマーと導電剤と溶剤とを含む弾性体溶液から作製され、当該弾性体溶液を、予め適正な温度領域で保温した状態の芯金に巻き付けられた基材上に、ディスペンサー塗布し、乾燥する。すなわち、上述した手法を用いて迅速に乾燥させることにより、熱可塑性エラストマー内での導電剤のホッピング力(推進力)を維持したまま、導電剤を均一な分布状態にすることができると考えられる。また、塗布および乾燥を、沸点以下の温度で行うことにより、溶剤の突沸を抑制することができ、均一な面形状が得られるものと考える。
以上のようにして、本発明の製造方法によれば、平滑な面形状で、抵抗率のばらつきが低い中間転写ベルトが得られるものと考えられる。なお、本発明において、抵抗率が安定な中間転写ベルトとは、中間転写ベルトを構成する弾性層(弾性体)の表面抵抗率および体積抵抗率のばらつきが少ない中間転写ベルトを意味する。
以下、本発明の中間転写ベルトの製造方法について詳細に説明する。
まず、弾性体溶液を準備する。本発明の製造方法で用いられる弾性体溶液は、購入したものをそのまま用いてもよいし、原料となる熱可塑性エラストマーと導電剤と溶剤とを、それぞれ入手し、公知の方法で混合し、熱可塑性エラストマーと導電剤とを溶剤に溶解して作製してもよい。
以下に弾性体溶液を構成する成分について述べる。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーとしては、可塑性を有するハードセグメントと、弾性を有するソフトセグメントと、を含んでいれば特に限定されるものではなく、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ナイロン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ナイロン系などの重合体もしくは共重合体が挙げられる。また、ハードセグメントを有する重合体と、ソフトセグメントを有する重合体とを、混合したものを熱可塑性エラストマーとして用いてもよい。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体(例えば、ポリスチレン−ブタジエントリブロック系共重合体)、ポリスチレン−水添ポリブタジエン共重合体、ポリスチレン−水添ポリイソプレン共重合体等のポリスチレン−ジエン共重合体が挙げられる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンと、EPM(エチレン−プロピレンゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などの共重合体とのブレンド、またはポリプロピレンと、ポリエチレン等の共重合体との共重合体が挙げられる。塩ビ系としてはポリ塩化ビニル、ポリエステル系としては芳香族エステル−アルキレンエーテル共重合体、ポリウレタン系としてはポリウレタンと、ポリエーテル−ポリエステル共重合体との共重合体、ナイロンとしてはポリアミドと、ポリエーテル−ポリエステル共重合体との共重合体、が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、ポリスチレン−水添ポリブタジエン共重合体、ポリスチレン−水添ポリイソプレン共重合体等のポリスチレン−ジエン共重合体のスチレン系、ポリエステルとポリエーテルとの共重合体(例えば、芳香族アルキル−エステル共重合体)のポリエステル系が好ましく、ポリスチレン−ジエン共重合体のスチレン系がより好ましい。
熱可塑性エラストマーは、形成される弾性体中、好ましくは45〜75質量%、より好ましくは50〜70質量%、さらに好ましくは55〜65質量%含まれる。
本発明で用いられる導電剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質:アルミニウム、銅合金等の金属または合金:さらには酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物;過塩素酸リチウム、有機ホウ素錯体リチウム塩、第4級アンモニウム塩、イオン液体等のイオン導電性化合物;等の少なくとも1種の微粉末が用いられる。これらのうち、イオン導電性化合物が好ましく、より好ましく過塩素酸リチウム、有機ホウ素錯体リチウム塩、第4級アンモニウム塩等である。
導電剤は、形成される弾性体中に、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.2〜20質量%、さらに好ましくは0.3〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%含まれる。また、導電剤は、熱可塑性エラストマーに対して、好ましくは0.4〜24質量%、より好ましくは0.6〜16質量%、さらに好ましくは0.8〜8質量%含有される。
弾性体溶液を構成する溶剤としては、熱可塑性エラストマーおよび導電剤を溶解すれば特に制限されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系有機溶剤;ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、二硫化炭素等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;が好ましく、トルエン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランがより好ましい。また、溶剤として、沸点が35〜66℃であるものであると、加熱する必要がなく、室温での硬化も可能となるため好ましい。
弾性体溶液に用いる溶剤の量は、特に制限されないが、溶解性と塗布性との観点から、弾性体溶液の固形分(すなわち、熱可塑性エラストマー、導電剤および相溶化剤等)の合計質量に対して、0.5〜20質量倍の溶剤を用いるのが好ましい。より好ましくは1〜15質量倍、さらに好ましくは2〜10質量倍である。
弾性体溶液を調製する方法としては、特に制限されず、好ましくは40℃以下で、より好ましくは35℃以下で撹拌し、熱可塑性エラストマーと導電剤とを溶解または分散させる。
なお、本発明の弾性体溶液において、熱可塑性エラストマーおよび/または導電剤は、溶剤に溶解していることが好ましく、熱可塑性エラストマーおよび導電剤は溶解していることがより好ましい。
導電剤は、熱可塑性エラストマーと同時に溶剤に溶解させて弾性体溶液を得てもよいが、予め、相溶化剤および/または溶剤を用いて溶解または分散させた導電剤溶液を調製し、当該導電剤溶液を、熱可塑性エラストマーと溶剤と混合させることで、導電剤の溶解を速やかに行うことができる。この際、相溶化剤としては、導電剤と溶剤との親和性を向上させるものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの共重合体が挙げられ、ポリエチレン−ポリプロピレンブッロク共重合体が好ましい。溶剤としては、特に制限されず、上述の弾性体溶液の溶剤と同様のものが用いられうる。また、導電剤を溶解するために相溶化剤を用いる場合、弾性体溶液の溶剤としては、熱可塑性エラストマーの基本骨格(例えば、芳香族)と、導電剤の相溶化剤であるポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの共重合体のエーテル結合に対して親和性の高いものが好ましい。なお、本発明で、「導電剤を溶剤に溶解する」とは、導電剤が溶剤に溶解した弾性体溶液が得られればよく、相溶化剤に溶解した導電剤を溶剤に溶解することも包含する。
相溶化剤は、形成される弾性体中に、好ましくは22.5〜49.5質量%、より好ましくは27〜45質量%、さらに好ましくは31.5〜40.5質量%含まれる。また、相溶化剤は、導電剤の質量に対して、0.5〜20質量倍の溶剤を用いるのが好ましい。より好ましくは1〜15質量倍、さらに好ましくは2〜10質量倍である。
弾性体溶液の粘度としては、レベリング性、脱泡等のハンドリング性等を考慮すると、好ましくは0.1〜30Pa・s、より好ましくは0.2〜20Pa・s、さらに好ましくは0.5〜10Pa・sである。なお、粘度は、ビスコテック(株)デジタル回転式粘度計で、温度25℃で測定した値を示す。
以上のようにして、弾性体溶液を調製した後、当該弾性体溶液を、回転する円柱状の芯金の周面に巻き付けた基材上に塗布する。
すなわち、本発明の中間転写ベルトの製造方法は、周面に基材を巻き付けた円柱状の芯金を、前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱し、前記芯金を円周方向に回転させながら、前記弾性体溶液を、10〜20mm/secでディスペンサー塗布により前記基材上に塗布する工程(以下、「塗布工程」とも称する。)を有する。
ここで、回転する円柱状の芯金とは、本発明の中間転写ベルトを製造する際に用いられる型である。当該芯金の周面に基材を巻き付け、基材上に弾性体溶液を塗布、乾燥することで、本発明の中間転写ベルトが製造されるのである。
まず、基材を準備する。本発明の中間転写ベルトの基材としては、クリーニング部材であるクリーニングブレードから中間転写ベルトに加わる負荷で中間転写体が変形することを回避し、転写部への影響を低減させる剛性を有するものである。樹脂基体は、ナノインデンテーション法により測定したヤング率が5.0〜15.0GPaの範囲内の材料を用いて形成することが好ましく、8.0〜15.0GPaの範囲内の材料がより好ましい。
このような性能を発現する材料としては、例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテル、エーテルケトン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体およびポリアミド等のいわゆるエンジニアリングプラスチック材料を用いることができる。これらの中では、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートが好ましく、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートがより好ましい。これらの樹脂材料のナノインデンテーション法により測定したヤング率は、5.0GPaを超えるものであり、厚み50〜200μmで、樹脂基体としての機械特性を満足する。さらに、上記の樹脂材料と弾性材料とをブレンドした材料を使用することも可能である。弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR(ニトリル−ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の基材としては、ポリイミド樹脂またはポリフェニレンサルファイドを含有することがさらに好ましい。ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸の加熱により形成される。また、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物や、その誘導体とジアミンのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることにより得られる。
なお、本発明では、基材にポリイミド系樹脂を使用する場合、基材におけるポリイミド系樹脂の含有率が51質量%以上であることが好ましい。
また、本発明で用いられる基材の形状は、芯金に巻き付けることができる無端ベルト状であれば特に制限されないが、シームレスベルトやドラムが好ましい。
本発明に用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により作製することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状の無端ベルト状の基材を作製することができる。または、後述する弾性層の作製の前に、基材の塗布液芯金に基材用の溶液を、芯金に塗布、乾燥して、芯金に巻き付けられた基材を得てもよい。
次に、基材を、円柱状の芯金の周面に巻き付けた後、弾性体溶液を基材上に塗布する。以下、この工程で用いられる製造装置について述べる。
図1は、円柱状の芯金の周面にノズルを使用した塗布方法で弾性層を形成し、中間転写ベルトを製造する製造装置の概略図である。図1(a)は、円柱状の芯金の周面にノズルを使用した塗布方法(ディスペンサー塗布)で基材上に弾性層を形成し、管状物を製造する製造装置の概略斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示される製造装置の概略正面図である。
図1において、製造装置3は、保持装置3aと塗布装置3bと加熱装置5とを有している。保持装置3aは、第1保持台3a1と、第2保持台3a2と、駆動用モーター3a3と、を有している。駆動用モーター3a3は、第1保持台3a1上に配設されており、円柱状の芯金4の保持部材4aと接続部材を介して駆動用モーター3a3の回転軸に接続されている。第2保持台3a2には円柱状の芯金4の他方の保持部材4bを受ける受け部3a21が配設されており、これにより、駆動用モーター3a3の回転により円柱状の芯金4を回転及び停止が可能に保持することが可能となっている。
なお、保持装置3aは、弾性層形成用塗膜を芯金の周面の基材上全面に形成した後、弾性層形成用塗膜を有する芯金を連続して回転させる平坦化処理を行う装置を兼ねることもできる。
塗布装置3bは、塗布手段3b1と、駆動部3b2と、を有している。3b11は、塗布手段3b1に弾性体溶液を供給する塗布液供給管を示す。塗布手段3b1は取り付け部材3b12によりガイドレール3b4に円柱状の芯金4の回転軸に沿って平行に移動可能に取り付けられている。塗布手段3b1としては、ノズルが挙げられる。ノズルの弾性体溶液の吐出口の形状は特に限定はなく、例えば、円形、矩形等が挙げられる。ノズルの弾性体溶液の吐出口と円柱状の芯金4の周面までの距離は、塗布液の粘度、膜厚等を考慮し、1mmから100mmが好ましい。尚、本図では塗布手段3b1への弾性体溶液供給部、制御部は省略してある。
駆動部3b2はモーター3b21とガイドレール取り付け板3b3とを有している。ガイドレール取り付け板3b3には、取り付け部材3b12を取り付け、保持装置3aに保持された円柱状の芯金4の回転軸と平行に塗布手段3b1を回転軸方向に往復移動(図中の矢印方向)させるための2本のガイドレール3b4が配設されている。
モーター3b21は、取り付け部材3b12の上に取り付けられたスライド用ネジ3b13と螺合し、取り付け部材3b12を保持装置3aに保持された円柱状の芯金4の幅よりも長く移動させる長さの雌ネジ3b22を有している。
モーター3b21を駆動させることで、スライド用ネジ3b13の回転に伴い、取り付け部材3b12に取り付けられた塗布手段3b1が円柱状の芯金4の回転軸と平行に回転軸方向に往復移動(図中の矢印方向)することが可能となっている。
加熱装置5は、円柱状の芯金4、および円柱状の芯金4の周面に形成された弾性層形成塗膜を加熱させるために円柱状の芯金4の下に配設されている。加熱装置5としては、赤外線ランプ、ニクロム線、熱風等の熱源が挙げられるが、これに制限されない。
なお、図1に示す製造装置では、円柱状の芯金4、および円柱状の芯金4の周面に形成された弾性層形成塗膜の加熱を1つの製造装置に組み込んだ場合を示したが、保持装置3aを可動式として別工程で加熱処理を行う方式であってもよい。
図1は、円柱状の芯金4の位置を固定した状態で回転させ、塗布手段3b1としてのノズルを円筒状の芯金4の回転軸方向に移動させる装置を示しているが、塗布手段3b1としてのノズルの位置を固定し、円柱状の芯金4を回転させながら、円柱状の芯金4の回転転軸方向に移動させる装置であってもよい。
以下、図1を参照しながら、中間転写ベルトを製造する方法について述べる。
まず、基材を、円柱状の芯金に巻き付ける方法としては、特に制限されず、後述する弾性層の作製の前に、基材の塗布液芯金に基材用の溶液を、芯金に塗布、乾燥して、芯金に巻き付けられた基材を得てもよい。
次に、芯金を円周方向に回転させながら、上述で得られた弾性体溶液を、芯金に対する塗布速度10〜20mm/secでディスペンサー塗布により基材上に塗布する。具体的には、保持装置3aに保持した円柱状の芯金4を回転した状態で、塗布手段3b1としてのノズルを芯金の回転軸に平行に、すなわち、芯金の回転軸方向に移動させながら、芯金の塗布領域に弾性体溶液をノズルより吐出し、芯金の周面に螺旋状に塗布し弾性層形成用塗膜を形成する。
なお、本明細書中、弾性体溶液の芯金に対する塗布速度とは、芯金に塗布する溶液の塗布速度を意味する。
本発明で用いられる円柱状の芯金4の径としては、400〜700mmであるのが好ましく、500〜650mmであるのがより好ましい。また、円柱状の芯金4の幅としては、300〜450mmであるのが好ましく、350〜400mmであるのがより好ましい。
本発明の中間転写ベルトの製造方法は、弾性体溶液が芯金上の基材に塗布される際、芯金が、弾性体溶液を構成する溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱されることを特徴とする。この際、芯金は、加熱装置5により加熱される。芯金は、好ましくは溶剤の沸点の72〜88%の温度、より好ましくは溶剤の沸点の73〜86%の温度で加熱される。芯金の温度が、溶剤の沸点の70%未満である場合、弾性層形成用塗膜の乾燥に時間を要し、弾性層形成用塗膜中で導電剤が局在化し、抵抗率にばらつきが生じるおそれがある。また、芯金の温度が、溶剤の沸点の90%を超える場合、急激な溶剤の揮発により弾性層形成用塗膜の表面の平滑性が悪化し、抵抗率がばらつくおそれがある。なお、本明細書中、溶剤の沸点の70〜90%とは、溶剤の沸点を摂氏温度で表した場合の沸点に対して、70〜90%のことを意味する。具体的には、例えば、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた場合、溶剤の沸点が66℃であるため、溶剤の沸点の70%とは46.2℃であり、溶剤の沸点の90%とは59.4℃である。よって、溶剤としてTHFを用いた場合の溶剤の沸点70〜90%とは、46.2〜59.4℃である。
また、本発明の中間転写ベルトの製造方法は、芯金(基材)を回転させながら、基材層上に弾性体溶液が塗布される。芯金の回転速度は、20〜40rpmであるのが好ましく、25〜35rpmであるのが好ましい。なお、周速度としては、600〜1300mm/secであるのが好ましく、750〜1200mm/secであるのがより好ましい。芯金の回転速度が上記範囲内であれば、弾性体溶液を塗布して得られる弾性層形成用塗膜の膜厚が均一になるため好ましい。なお、回転速度は、小野測器製HT−4200で測定した値を示す。
また、弾性体溶液は、ディスペンサー塗布により、芯金に対する塗布速度(芯金に塗布する溶液の塗布速度)10〜20mm/secで塗布される。弾性体溶液の芯金に対する塗布速度は、好ましくは11〜19mm/sec、より好ましくは12〜18mm/secである。弾性体溶液の芯金に対する塗布速度が10mm/sec未満の場合は、弾性層形成用塗膜中で導電剤が局在化し、抵抗率にばらつきが生じるおそれがある。また、弾性体溶液の芯金に対する塗布速度が、20mm/secを超える場合、塗膜できない箇所が発生し、所望の成膜ができない可能性がある。
また、ディスペンサーが、芯金の回転軸に平行に、すなわち、芯金の回転軸方向に移動する速度としては、好ましくは1〜50mm/sec、より好ましくは5〜25mm/secである。
弾性体溶液の塗布量としては、特に制限されないが、乾燥後の弾性体が、芯金1本に対して、好ましくは100〜150g、より好ましくは110〜140g、さらに好ましくは120〜130gである。
ディスペンサー塗布において、ノズルより吐出される弾性体溶液の吐出量としては、好ましくは5〜25mL/sec、より好ましくは7〜23mL/sec、さらに好ましくは10〜20mL/secである。また、ノズルの吐出口と芯金の周面までの距離としては、10〜20mmであるのが好ましい。
本発明の中間転写ベルトの製造方法は、基材層上に弾性体溶液を塗布して、弾性層形成塗膜を得た後、芯金を円周方向に回転させながら、前記溶剤の沸点の70〜90%の温度範囲で加熱して乾燥させる工程(以下、「乾燥工程」とも称する。)を有する。当該乾燥工程は、溶剤の沸点の70〜90%の温度での加熱が0.5〜1時間行われるのが好ましい。
乾燥工程において、芯金は、好ましくは溶剤の沸点の72〜88%の温度、より好ましくは溶剤の沸点の73〜86%の温度で加熱される。芯金の温度が、溶剤の沸点の70%未満である場合、弾性層形成用塗膜の乾燥に時間を要し、弾性層形成用塗膜中で導電剤が局在化し、抵抗率にばらつきが生じるおそれがある。また、芯金の温度が、溶剤の沸点の90%を超える場合、急激な溶剤の揮発により弾性層形成用塗膜の表面の平滑性が悪化し、抵抗率がばらつくおそれがある。この際、芯金は、加熱装置5により加熱される。
また、本発明の乾燥工程では、乾燥の際の温度を、勾配をかけて昇温させるのが好ましい。勾配をかける場合の芯金の温度としては、例えば、溶剤の沸点の70%以上80%未満の温度範囲で乾燥した後、溶剤の沸点の80〜90%の温度範囲で乾燥を行う。
また、乾燥工程は、芯金(基材)を回転させながら行う。芯金の回転速度は、20〜40rpmであるのが好ましく、25〜35rpmであるのが好ましい。なお、周速度としては、600〜1300mm/secであるのが好ましく、750〜1200mm/secであるのがより好ましい。芯金の回転速度が上記範囲内であれば、弾性体溶液を塗布して得られる弾性層形成用塗膜の膜厚が均一になるため好ましい。
本発明の中間転写ベルトは、乾燥工程の前または後に、得られた弾性層に平坦化処理を行ってもよい。平坦化処理は、保持装置3aを使用して、弾性層を平坦化することができる。
平坦化処理の条件としては、弾性層を有する芯金の回転時の振れが、好ましくは30μm未満、より好ましくは20μm以下である。芯金の回転時の振れが上記範囲であれば、塗膜の偏りがなく、膜厚の均一な塗膜が得られるため好ましい。なお、振れは、(株)キーエンス製LK−G5000で測定した値を示す。
また、本発明の中間転写ベルトは、弾性体から構成される弾性層を形成した後、弾性層上に、さらに表面層を積層してもよい。表面層としては、上記弾性層よりも高い弾性率を有する樹脂であれば特に限定はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アルコール可溶性ナイロン、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノール、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリホスファゼン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラバン酸、ポリアリルフェノール、アクリル系、フッ素、ポリ尿素、アイオノマー、シリコーン等の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂、及びこれら2種以上からなる混合物または共重合体等を挙げることができる。特にフッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が好ましい。
なお、弾性層の上に表面層を積層する場合は、弾性層が形成された後、弾性層の上に表面層形成用塗布液を使用し、弾性層を形成する場合と同じ操作を行って表面層を形成することで、弾性層の上に表面層を積層した中間転写ベルトを製造することが可能である。さらに複数の他の層(例えば、機能層)を積層する場合も、層形成用塗布液を用いて、同様の操作を行うことで、複数の層を積層することができる。
以上のようにして、芯金上で弾性層を形成した後、芯金を抜き取ることで、基材上に弾性層を積層した中間転写ベルトが得られる。
本発明の中間転写ベルトの弾性層(弾性体)の表面抵抗率は、好ましくは1×10〜1×1014Ω/□、より好ましくは1×10〜1×1013Ω/□、さらに好ましくは1×1010〜1×1012Ω/□である。また、本発明の中間転写ベルトの弾性層(弾性体)の体積抵抗率は、好ましくは1×10〜1×1014Ω・cm、より好ましくは1×10〜1×1013Ω・cm、さらに好ましくは1×1010〜1×1012Ω・cmである。
また、本発明の方法により得られた中間転写ベルトの弾性層(弾性体)は、面内の抵抗率が安定しており、面内の表面抵抗率および体積抵抗率の数値のばらつきが小さい。具体的には、中間転写ベルトの弾性層の表面について、表面抵抗率および体積抵抗率をそれぞれ9箇所測定し、測定した9箇所の抵抗率のLogを取った値の最大と最小の差分をばらつきとする場合、その数値が0以上1未満であるのが好ましく、0〜0.9であるのがより好ましく、0以上0.5未満であるのがさらに好ましい。
本発明の中間転写ベルトの弾性層(弾性体)の引張り歪みは、100〜300%であることが好ましく、200〜400%であることがより好ましい。引張り歪みが上記範囲であれば、1次転写性、2次転写性が向上し、ベルト回転方向の応力緩和が向上するため、クラックが減少するため好ましい。また、本発明の中間転写ベルトの弾性層(弾性体)の硬度は、デュロ硬度Aで20〜60°であるのが好ましく、25〜55°であるのがより好ましく、30〜50°であるのがさらに好ましい。なお、引張り歪みはJIS K6251に準拠し、デュロ硬度はJIS K6253に準拠して測定された値である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
以下に示す方法で管状物を製造した。
(円柱状の芯金の準備)
アルミニウム製の、真円度25μm、直径600mm、幅(円周方向に垂直方向の幅、すなわち「円柱の長さ」とも称する。)360mm、両端に保持部材を有した円柱状の芯金を準備した。真円度は、(株)ミツトヨ製RA−2200AHで測定した値を示す。
また、以下の実施例では、図1に示した製造装置を用いて中間転写ベルトを製造した。
(実施例1)
工程1:弾性体溶液の調製
旭化成社製スチレン系熱可塑性エラストマー(タフテックH1221)31.25gと、日本カーリット社製イオン導電剤(PEL−100、イオン導電塩の固形分が10wt%)18.75gと、THF(テトラヒドロフラン)300gを同一カップ内に計量し、熱可塑性エラストマーコンパウンドの塊が無くなるまで1時間撹拌し、弾性体溶液を調製した。得られた弾性体溶液の粘度は、5Pa・secであった。粘度は、ビスコテック(株)デジタル回転式粘度計により測定した。なお、熱可塑性エラストマーと、イオン導電剤(PEL−100)に含まれるイオン導電塩および相溶化剤と、の合計を、弾性体溶液の固形分と考える。また、熱可塑性エラストマー(タフテックH1221)は、ポリスチレン−水添ポリブタジエン共重合体であり、イオン導電剤(PEL−100)に含まれる導電塩は、過塩素酸リチウムであり、相溶化剤はポリエチレン−ポリプロピレンブッロク共重合体である。
基材の作製
無水ジカルボン酸(製品名:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、宇部興産社製)70gとジアミン(製品名:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、SHOWA KAKO社製)47.6gを、N−メチル−2−ピロリドン488gに加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させ溶液605.6gを得た。この溶液450gに、酸性カーボン(pH3.0)21gとN−メチル−2−ピロリドン80gを加えて、ボールミルにて酸性カーボンの均一分散を行い、基材用溶液とした。当該溶液を、円周方向に30rpmで回転する芯金にディスペンサー塗布(15mm/sec)した。基材用溶液を塗布した芯金を、320℃で30分間焼成することで、基材を巻き付けた芯金を作製した。なお、得られた基材の厚みは、85μmになるように調整した。なお、基材の厚みは、電磁誘導式膜厚測定器により測定した。具体的には、株式会社サンコウ電子研究所 電磁誘導式膜厚測定器 SDM−3100を用いて、最初に芯金のみの径を測定し、そこをゼロポイントにして、基材を巻き付けた芯金の径を測定することで膜厚とした。
工程2:塗布工程
基材を巻き付けた芯金を、予め50℃で加熱した状態で、上記弾性体溶液を、芯金を円周方向に30rpmで回転させながら、芯金に対する塗布速度(溶液の塗布速度)15mm/secでディスペンサー塗布した。なお、下記工程3により乾燥させた芯金には、弾性体が122g塗布されていた。
なお、ディスペンサー塗布は、芯金の位置を固定し回転しながらノズルを芯金の回転軸方向に移動し、以下に示す条件で準備した芯金の周面全面に弾性体溶液を、ノズルを使用して螺旋状に塗布した。
塗布条件
弾性体溶液の温度:25℃
ノズルの弾性体溶液吐出口の形状:円錐状ノズル
ノズルの弾性体溶液吐出口と芯金の周面までの距離:15mm
ノズルからの弾性体溶液の吐出量:15mL/sec
ノズルの芯金の回転軸方向への移動速度:15mm/sec
芯金の回転速度:30rpm。
工程3:乾燥工程
基材を巻き付けた芯金を円周方向に30rpmで回転させながら、50℃で45分間乾燥させることで弾性体を有する中間転写ベルト1を得た。
(実施例2〜8)
表1に記載の溶剤を用いて、塗布工程および乾燥工程の条件を表1に記載の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8の中間転写ベルト2〜8を得た。
(実施例9、10)
表1に記載の溶剤を用いて、塗布工程および乾燥工程の条件を表1に記載の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9、10の中間転写ベルト9、10を得た。なお、実施例9、10では、乾燥工程において、当初、溶剤の沸点の70%以上80%未満の温度範囲で乾燥した後、溶剤の沸点の80〜90%の温度範囲で乾燥を行った。沸点の70%以上80%未満の温度から、沸点の80〜90%の温度までの昇温は、30分間かけて行った。
(比較例1〜6)
表2に記載の溶剤を用いて、塗布工程および乾燥工程の条件を表2に記載の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜6の比較中間転写ベルト1〜6を得た。
Figure 2014059376
Figure 2014059376
(抵抗率のばらつきの評価方法)
中間転写ベルトの弾性層の表面抵抗率(Ω/□)および体積抵抗率(Ω・cm)は、
三菱化学(株)製の抵抗測定器であるハイレスタUP・URプローブを用いて23℃、50%RH環境下で測定した。幅方向に長さ360mmのベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3箇所、周方向に3箇所の計9箇所について、印加電圧500V、10秒後に表面抵抗率および体積抵抗率をそれぞれ測定し、測定した9箇所の抵抗率のLogを取った値の最大と最小の差分をばらつきとした。得られた差分について、以下の評価にしたがって、表面抵抗率と体積抵抗率のばらつきを評価した。
判定:0.5未満:◎、0.5以上1未満:○、1以上2未満:△、2以上:×。
実施例1〜10および比較例1〜6で得られた中間転写ベルトの弾性層の表面抵抗率および体積抵抗率のばらつきを、表3および表4に示した。
なお、実施例および比較例の中間転写ベルトの表面抵抗率は、1×10〜1×1013Ω/□の範囲に含まれ、体積抵抗率は1×10〜1×1013Ω・cmの範囲に含まれていた。
Figure 2014059376
Figure 2014059376
以上のように、用いた溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱した芯金に、弾性体溶液を塗布し、0.5〜1時間、溶剤の沸点の70〜90%の温度で乾燥させた中間転写ベルトは、抵抗率のばらつきが小さく、抵抗率が安定な中間転写ベルトが得られることがわかる。
また、実施例1〜8で得られた中間転写ベルト1〜8の引張り歪みは100〜300%であり、硬度は、デュロ硬度Aで30〜35°であった。なお、引張り歪みはJIS K6251に準拠し、デュロ硬度はJIS K6253に準拠して測定を行った。
また、実施例1〜8で得られた中間転写ベルト1〜8を用いて、1次転写性、2次転写性についての評価を以下の手順で行った。
(1次転写性および2次転写性)
・高い引張り歪みを有することで、1次転写性、2次転写性が大幅に向上した。
・高い引張り歪みを有することで、ベルト回転方向の応力緩和が向上し、クラックが大幅に減少した。
3 製造装置
3a 保持装置
3a1 第1保持台
3a2 第2保持台
3a3 駆動用モーター
3b 塗布装置
3b1 塗布手段
3b11 塗布液供給管
3b12 取り付け部材
3b13 スライド用ネジ
3b2 駆動部
3b21 モーター
3b3 ガイドレール取り付け板
3b4 ガイドレール
4 芯金
4a 保持部材
5 加熱装置

Claims (5)

  1. 周面に基材を巻き付けた円柱状の芯金を円周方向に回転させながら、熱可塑性エラストマーと導電剤とを溶剤に溶解した弾性体溶液を、芯金に対する塗布速度10〜20mm/secでディスペンサー塗布により前記基材上に塗布する塗布工程と、
    前記基材上に塗布された弾性体溶液を、前記芯金を円周方向に回転させながら乾燥させる乾燥工程と、
    を含み、
    前記塗布工程は、芯金が前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われ、
    前記乾燥工程は、芯金を前記溶剤の沸点の70〜90%の温度で加熱された状態で行われることを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
  2. 前記乾燥工程は、前記溶剤の沸点の70〜90%の温度での加熱が0.5〜1時間行われることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  3. 前記基材は、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリフェニレンサルファイド、およびポリカーボネートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  4. 前記弾性体溶液の粘度は、0.5〜10Pa・s(25℃)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  5. 前記乾燥の際の温度を、勾配をかけて昇温させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
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