JP2014058979A - ガスタービン及びその定格時運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧縮機11の吐出側から分岐した分岐流路42に接続され、空気を導入して昇圧する圧縮機11から独立した運転が可能な昇圧装置40と、昇圧装置40で昇圧された圧縮空気をタービン13の静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路50へ導く温度調整媒体供給流路43と、タービン冷却媒体流路50を通過した圧縮空気を吐出側へ導いて合流させる温度調整媒体戻し流路44とを備え、ガスタービン定格運転時に昇圧装置40を運転し、タービン冷却媒体流路50内を介してタービン13の翼環内に圧縮空気を流して冷却する。
【選択図】図1
Description
一般に、チップクリアランスを制御しないガスタービンにおいては、チップクリアランスが最小となる位置は定格運転時ではなく起動時となる。そこで、ACCシステムでは、ガスタービンを起動する前の段階でチップクリアランスに影響を及ぼす静止系部品を暖めることによって、チップクリアランスが最小となる運転状態を定格運転時に設定する。すなわち、ACCシステムは、図10に示すように、ガスタービンを起動する前にタービン静止部を暖めてクリアランスを予め広げておき、定格運転時にはタービン静止部の温度を調整することによって、定格運転時に最小のクリアランスを実現して運転効率を確保する手法である。
(1)起動直前
ACCシステムを行うため、タービン静翼側の静止系部品に温度調整媒体を流して暖め、伸びを大きくして翼環等の静止部と回転部である動翼との間にあるクリアランスを広げる。
(2)起動中(負荷を上げている途中)
起動中にクリアランスがなくならないよう(静止部と回転部とが接触しないよう)に、起動直前と同様に静止系部品を暖め続ける。
(3)定格運転時
静止系部品を流れる温度調整媒体の状態(温度等)を変えることにより、静止部と回転部との間のクリアランスを最小とする。
(4)停止中(負荷を下げている途中)
停止時にクリアランスがなくならないよう(静止部と回転部とが接触しないよう)に、起動直前と同様に静止系部品を暖め続ける。
(5)停止時
キャットバックを防止するために、ガスタービン内部に残った高温のガスをガスタービン外部に排出する。また、キャットバックを防止するため、静止系部品に温度調整媒体を流してガスタービン内部に残ったガスの分布をなくす。
(1)タービン翼内部に流す冷却媒体の状態を変化させて制御する方法
タービン内部を流れる冷却媒体の温度について、冷却媒体の冷却方法を変更する(たとえば無冷却から空気冷却や蒸気冷却にする)などして変化させ、タービン翼自体の伸び量を変化させてクリアランスを調整する制御方法であり、冷却媒体の冷却方法を変える機構が必要となる。
(2)静止系部品を蒸気または空気で温度調整して制御する方法
排ガスボイラで発生した蒸気等をバルブなどで調整した後、静止系部品に流してクリアランスを制御する方式であり、一般に空気を用いる場合、回収せずにガスパス側に捨てることになるため、サイクル効率が減少する。
また、蒸気を用いる場合、シンプルサイクルでは運転できず、ボイラ暖機が必要となるため起動時間が長い。なお、蒸気を用いる場合には、起動のための補助ボイラ、排ガスボイラからの蒸気配管など付帯設備が必要となる。
(3)機械的な機構により翼またはケーシングを動かして制御する方法
アクチュエーターのような機械的な機構を設け、翼やケーシングを動かすことでクリアランスを調整する制御方法である。
また、蒸気タービンで用いる蒸気の一部を取り出し、バルブで調整した後に分割環を冷却して蒸気タービン系統に戻すものがある。(たとえば、特許文献2参照)
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスタービン定格運転時のACCシステムにおいて、タービン静止系部品の冷却効率向上を達成できるガスタービン及びその定格時運転方法を提供することにある。
本発明に係るガスタービンは、圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンにおいて、前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、温度調整媒体を導入して昇圧する前記圧縮機から独立した運転が可能な昇圧手段と、該昇圧手段で昇圧された昇圧温度調整媒体を前記タービンの静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路へ導く温度調整媒体供給流路と、前記タービン冷却媒体流路を通過した前記昇圧温度調整媒体を前記吐出側流路へ導いて合流させる温度調整媒体戻し流路とを備え、ガスタービン定格運転時に前記昇圧手段を運転し、前記タービン冷却媒体流路内を介して前記タービンの翼環内に前記昇圧温度調整媒体を流して冷却することを特徴とするものである。
本発明のガスタービンは、アクティブクリアランスコントロールシステムを備えていることが望ましい。
また、上記の発明において、ガスタービンの起動直前準備、起動中及び停止中には、相対的に温度の高い前記昇圧温度調整媒体を流して加熱することが好ましい。
この場合、前記温度制御手段は、前記温度調整媒体供給流路に冷却剤を添加する冷却剤供給流路であることが好ましく、これにより、昇圧手段により昇圧されて温度上昇した昇圧温度調整媒体の温度を冷却剤の添加により低下させることができる。この場合の冷却剤としては、液体または気体のいずれであってもよい。
さらに、前記温度制御手段は、前記分岐流路または前記温度調整媒体供給流路に設けられ、前記温度調整媒体または前記昇圧温度調整媒体の温度を低下させる熱交換器であることが好ましく、これにより、昇圧手段により昇圧される前の温度調整媒体温度、または昇圧された後の昇圧温度調整媒体温度を熱交換器により低下させることができる。
この場合、昇圧手段等をクローズド冷却に用いたブーストアップ用の昇圧手段と共用して有効利用すれば、付帯設備の付加を最小限に抑えて、すなわち、新たに設備を付加することなくACCシステムのコントロールを実施して安定したガスタービンの定格運転を継続することができる。
<第1の実施形態>
図1は本実施形態に係るガスタービンを示す概略図、図2はガスタービンの概略構成を示す断面図、図3はガスタービンのタービン部を示す概略構成図である。なお、図示の実施形態では、発電機を駆動して発電するガスタービンについて説明するが、これに限定されるものではない。
燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、バーナで点火することで燃焼可能となっている。
タービン13は、タービン車室20内に複数の静翼21と動翼22とが交互に配設されている。
図1において、ガスタービン10の負荷を定格運転まで上げていく起動中、定格運転時及び停止するまで負荷を下げていく停止中には圧縮機11により圧縮された圧縮空気が圧縮空気供給流路28を通って燃焼器12へ供給され、燃焼器12で発生した燃焼ガスは、ケーシング内の排出流路29を通ってタービン13へ供給される。なお、図中の符号30は燃料供給流路である。
昇圧装置40の吸込側は、車室内に形成される圧縮空気供給流路28から分岐した分岐流路42に接続され、吐出側は温度調整媒体供給流路43に接続されている。この温度調整媒体供給流路43は、タービン13の静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路50へ圧縮空気(昇圧温度調整媒体)を導く流路である。
タービン冷却媒体流路50を通過した圧縮空気は、温度調整媒体戻し流路44を通って圧縮空気供給流路28へ合流した後、この圧縮空気供給流路28を通って燃焼器12へ流入する。
すなわち、ガスタービン10の定格運転時に昇圧装置40を運転すると、圧縮機11の空気取入口15から温度調整媒体の空気が吸い込まれ、圧縮機11の内部、圧縮空気吸入流路28及び分岐流路42を通って昇圧装置40に吸入される。この空気は、昇圧装置40で昇圧されることにより、圧縮空気(昇圧温度調整媒体)となって温度調整媒体供給流路43へ吐出される。
特に、チップクリアランスに大きな影響を及ぼす翼環31の翼環内流路31aを通って流れることにより、燃焼ガスの熱影響を受けて温度上昇する翼環31を冷却し、動翼22との間に形成されるチップクリアランスが最小となるように調整する。
こうして静止系部品を冷却した圧縮空気は、温度調整媒体戻し流路44を通り、上述したタービン冷却媒体流路50と直列に接続された燃焼器冷却流路60に導かれる。
このように、本実施形態のガスタービン10は、タービン冷却媒体流路50と直列または並列に接続される燃焼器冷却流路60を備え、タービン13の静止系部品を冷却する圧縮空気が、冷却後または冷却前に分流して燃焼器冷却流路60を通過するので、燃焼器12内の必要箇所を冷却して圧縮空気供給流路28へ合流するようになっている。
また、図1及び図4に示した実施形態及び変形例では、昇圧装置40及びその流路を燃焼器12の冷却と共用しているが、後述する実施形態のように、タービン13のACCシステム専用としてもよい。
また、上述した昇圧装置40は、専用の電動機41により単独運転が可能であるから、ガスタービン10の起動直前準備及び起動時には、ガスタービン10を単体で独立して起動することが可能になるたけでなく、始動にかかる時間も短くなる。すなわち、ガスタービン10を起動する際には、ガスタービン本体から独立して昇圧装置40を運転することで、翼環31に昇圧及び昇温した圧縮空気を流すことにより、翼環31を暖めて速やかにクリアランスコントロールを行うこともできる。
続いて、本実施形態に係るガスタービンを図5から図7に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10では、昇圧温度調整媒体の温度を調整可能とする温度制御手段が設けられている。図5に示すガスタービン10は、温度制御手段として、温度調整媒体供給流路43に冷却剤を添加する冷却剤供給流路70を備えている。この場合の冷却剤は気体または液体のいずれでもよく、たとえば圧縮空気にミスト状の水を添加して冷却すればよい。
なお、冷却剤として水を添加することにより、ガスタービン10のサイクル効率は低下するものの、出力の増加及び低NOx化が可能となる。
このように、熱交換器80設けることにより、昇圧装置40により昇圧される前の空気温度、または昇圧された後の圧縮空気温度を冷却媒体との熱交換により低下させることができるので、定格運転時に静止系部品を冷却する圧縮空気温度が低くなって効率のよい冷却が可能となる。
続いて、本実施形態に係るガスタービンを図8及び図9に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10には、温度調整媒体供給流路43から分岐して圧縮機11内の圧縮機冷却媒体流路51に接続される冷却媒体分岐供給流路47と、圧縮機冷却媒体流路51を通過した圧縮空気を圧縮空気供給流路28へ導いて合流させる冷却媒体分岐戻し流路48とが設けられている。
この実施形態では、ガスタービン起動時に上述した圧縮機冷却媒体流路51を利用し、圧縮機11側のクリアランス制御を行うことができる。従って、ガスタービン10の静止系部品とともに、圧縮機11側の静止部も昇温させることができるので、タービン13及び圧縮機11のクリアランス制御が可能になる。
すなわち、ガスタービン10の定格運転方法として、圧縮機11の圧縮空気供給流路28から分岐する分岐流路42に接続され、圧縮機11から独立して運転可能な昇圧装置40が空気を導入して昇圧する過程と、昇圧装置で昇圧された圧縮空気がタービン13の静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路50に供給され、タービン冷却媒体流路50内を通過する圧縮空気により静止系部品を冷却する過程と、圧縮空気をタービン冷媒媒体流路50から圧縮空気供給流路28へ導いて合流させる過程と備えている。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば圧縮機とタービンとの接続形態等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 圧縮機
12 燃焼器
13 タービン
20 タービン車室
21 静翼
22 動翼
28 圧縮空気供給流路
29 排出流路
31 翼環
40 昇圧装置
42 分岐流路
43 温度調整媒体供給流路
44 温度調整媒体戻し流路
47 冷却媒体分岐供給流路
48 冷却媒体分岐戻し流路
50 タービン冷却媒体流路
51 圧縮機冷却媒体流路
60 燃焼器冷却流路
70 冷却剤供給流路
80 熱交換器
Claims (9)
- 圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンにおいて、
前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、温度調整媒体を導入して昇圧する前記圧縮機から独立した運転が可能な昇圧手段と、該昇圧手段で昇圧された昇圧温度調整媒体を前記タービンの静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路へ導く温度調整媒体供給流路と、前記タービン冷却媒体流路を通過した前記昇圧温度調整媒体を前記吐出側流路へ導いて合流させる温度調整媒体戻し流路とを備え、
ガスタービン定格運転時に前記昇圧手段を運転し、前記タービン冷却媒体流路内を介して前記タービンの翼環内に前記昇圧温度調整媒体を流して冷却することを特徴とするガスタービン。 - アクティブクリアランスコントロールシステムを備えていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
- ガスタービンの起動直前準備、起動中及び停止中には、相対的に温度の高い前記昇圧温度調整媒体を流して加熱することを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン。
- 前記昇圧手段で昇圧された前記昇圧温度調整媒体が、前記タービン冷却媒体流路と直列または並列に接続されて前記燃焼器内の冷却を行った後に前記吐出側流路へ導かれて合流することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガスタービン。
- 前記昇圧温度調整媒体の温度を調整可能とする温度制御手段を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のガスタービン。
- 前記温度制御手段が、前記温度調整媒体供給流路に冷却剤を添加する冷却剤供給流路であることを特徴とする請求項5に記載のガスタービン。
- 前記温度制御手段が、前記分岐流路または前記温度調整媒体供給流路に設けられ、前記温度調整媒体または前記昇圧温度調整媒体の温度を低下させる熱交換器であることを特徴とする請求項5に記載のガスタービン。
- 前記温度調整媒体供給流路から分岐して前記圧縮機内の圧縮機冷却媒体流路に接続される冷却媒体分岐供給流路と、前記圧縮機冷却媒体流路を通過した前記昇圧温度調整媒体を前記吐出側流路へ導いて合流させる冷却媒体分岐戻し流路とを設けたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のガスタービン。
- 圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンの定格時運転方法であって、
ガスタービンの定格運転時に、
前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、前記圧縮機から独立して運転可能な昇圧手段が温度調整媒体を導入して昇圧する過程と、
前記昇圧手段で昇圧された昇圧温度調整媒体が前記タービンの静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路に供給され、該タービン冷却媒体流路内を通過する前記昇圧温度調整媒体により翼環を冷却する過程と、
前記昇圧温度調整媒体を前記タービン冷却媒体流路から前記吐出側流路へ導いて合流させる過程と、を備えていることを特徴とするガスタービンの定格時運転方法。
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