JP5185762B2 - ガスタービン及びその起動時運転方法 - Google Patents
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Description
一般に、チップクリアランスを制御しないガスタービンにおいては、チップクリアランスが最小となる位置は定格運転時ではなく起動時となる。そこで、ACCシステムでは、ガスタービンを起動する前の段階でチップクリアランスに影響を及ぼす静止系部品を暖めることによって、チップクリアランスが最小となる運転状態を定格運転時に設定する。すなわち、ACCシステムは、図12に示すように、ガスタービンを起動する前にタービン静止部を暖めてクリアランスを予め広げておき、定格運転時にはタービン静止部の温度を調整することによって、定格運転時に最小のクリアランスを実現して運転効率を確保する手法である。
(1)起動直前
ACCシステムを行うため、タービン静翼側の静止系部品に加熱媒体を流して暖め、伸びを大きくして翼環等の静止部と回転部である動翼との間にあるクリアランスを広げる。
(2)起動中(負荷を上げている途中)
起動中にクリアランスがなくならないよう(静止部と回転部とが接触しないよう)に、起動直前と同様に静止系部品を暖め続ける。
(3)定格運転時
静止系部品を流れる加熱媒体の状態(温度等)を変えることにより、静止部と回転部との間のクリアランスを最小とする。
(4)停止中(負荷を下げている途中)
停止時にクリアランスがなくならないよう(静止部と回転部とが接触しないよう)に、起動直前と同様に静止系部品を暖め続ける。
(5)停止時
キャットバックを防止するために、ガスタービン内部に残った高温のガスをガスタービン外部に排出する。また、キャットバックを防止するため、静止系部品に加熱媒体を流してガスタービン内部に残ったガスの分布をなくす。
(1)タービン翼内部に流す冷却媒体の状態を変化させて制御する方法
タービン内部を流れる冷却媒体の温度について、冷却媒体の冷却方法を変更する(たとえば無冷却から空気冷却や蒸気冷却にする)などして変化させ、タービン翼自体の伸び量を変化させてクリアランスを調整する制御方法であり、冷却媒体の冷却方法を変える機構が必要となる。
(2)静止系部品を蒸気または空気で温度調整して制御する方法
排ガスボイラで発生した蒸気等をバルブなどで調整した後、静止系部品に流してクリアランスを制御する方式であり、一般に空気を用いる場合、回収せずにガスパス側に捨てることになるため、サイクル効率が減少する。
また、蒸気を用いる場合、シンプルサイクルでは運転できず、ボイラ暖機が必要となるため起動時間が長い。なお、蒸気を用いる場合には、起動のための補助ボイラ、排ガスボイラからの蒸気配管など付帯設備が必要となる。
(3)機械的な機構により翼またはケーシングを動かして制御する方法
アクチュエーターのような機械的な機構を設け、翼やケーシングを動かすことでクリアランスを調整する制御方法である。
また、蒸気タービンで用いる蒸気の一部を取り出し、バルブで調整した後に分割環を冷却して蒸気タービン系統に戻すものがある。(たとえば、特許文献2参照)
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスタービン起動時におけるACCシステムの速やかな運転制御を行い、ガスタービン起動の高速化を達成できるガスタービン及びその起動時運転方法を提供することにある。
本発明に係るガスタービンは、圧縮機により圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンにおいて、前記圧縮機の吐出側から分岐した分岐流路に接続され、加熱媒体を導入して昇圧する前記圧縮機から独立した運転が可能な昇圧手段と、該昇圧手段で昇圧された昇圧加熱媒体を前記タービンの静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路へ導く加熱媒体供給流路と、前記タービン冷却媒体流路を通過した前記昇圧加熱媒体を前記圧縮機の吐出側へ導いて合流させる加熱媒体戻し流路とを備え、ガスタービン起動時及びその起動直前準備として前記昇圧手段を運転し、前記タービン冷却媒体流路内に前記昇圧加熱媒体を流して昇温させることを特徴とするものである。
<第1の実施形態>
図1は本実施形態に係るガスタービンを示す概略図、図2はガスタービンの概略構成を示す断面図、図3はガスタービンのタービン部を示す概略構成図である。なお、図示の実施形態では、発電機を駆動して発電するガスタービンについて説明するが、これに限定されるものではない。
燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、バーナで点火することで燃焼可能となっている。
タービン13は、タービン車室20内に複数の静翼21と動翼22とが交互に配設されている。
図1において、圧縮機11により圧縮された圧縮空気は、ガスタービン10の負荷を定格運転まで上げていく起動中、定格運転時及び停止するまで負荷を下げていく停止中には圧縮機11により圧縮された圧縮空気が圧縮空気供給流路28を通って燃焼器12へ供給され、燃焼器12で発生した燃焼ガスは、ケーシング内の排出流路29を通ってタービン13へ供給される。なお、図中の符号30は燃料供給流路である。
昇圧装置40の吸込側は、車室内に形成される圧縮空気供給流路28から分岐した分岐流路42に接続され、吐出側は加熱媒体供給流路43に接続されている。この加熱媒体供給流路43は、タービン13の静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路50へ圧縮空気(昇圧加熱媒体)を導く流路である。
タービン冷却媒体流路50を通過した圧縮空気は、加熱媒体戻し流路44を通って圧縮空気供給流路28へ合流した後、この圧縮空気供給流路28を通って燃焼器12へ流入する。
すなわち、ガスタービン10の起動前準備として昇圧装置40を運転する場合には、圧縮機11の空気取入口15から加熱媒体の空気が吸い込まれ、圧縮機11の内部、圧縮空気吸入流路28及び分岐流路42を通って昇圧装置40に吸入される。この空気は、昇圧装置40で昇圧されることにより、温度上昇した昇圧加熱媒体の圧縮空気となって加熱媒体供給流路43へ吐出される。
こうして静止系部品を加熱した圧縮空気は、加熱媒体戻し流路44を通って圧縮空気供給流路28へ戻され、以下、燃焼器12及びタービン13の燃焼ガス流路を通って大気へ放出される。
しかし、昇圧装置40の運転により、圧縮空気主流の一部は、分岐流路42を通って昇圧装置40に吸入される。こうして昇圧装置40に吸入された圧縮空気は、昇圧装置40の昇圧を受けることにより温度上昇し、昇圧加熱媒体の圧縮空気となって加熱媒体供給流路43へ吐出される。
続いて、本実施形態に係るガスタービンを図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10には、加熱媒体供給流路43の途中から分岐し、圧縮機11の吐出側流路である圧縮空気供給流路28に接続されるバイパス流路45が設けられている。また、バイパス流路45の適所には、流路開閉手段となる開閉弁46を備えている。
従って、昇圧装置30により昇圧されてタービン冷却媒体流路50へ供給される圧縮空気の温度は、一部が再度昇圧されて再加熱されるためより一層高くなり、その分だけガスタービン10の始動に必要な時間を短縮することができる。
続いて、本実施形態に係るガスタービンを図5に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10には、加熱媒体である圧縮空気と熱交換して昇温させる熱交換器(加熱手段)60が分岐流路42に設けられている。この熱交換器60は、分岐流路42を流れる昇圧前の空気と、加熱用媒体流路61を流れる加熱媒体との間で熱交換させるものであり、たとえば排ガスボイラから導入した高温の蒸気等を加熱媒体として圧縮空気を加熱するものである。
従って、上述した熱交換器60を備えたガスタービン10は、タービン冷却加熱媒体通路50を通る圧縮空気の温度をより一層高めることができるので、その分だけガスタービン10の始動に必要な時間を短縮することができる。
続いて、本実施形態に係るガスタービンを図7及び図8に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10には、加熱媒体供給流路43から分岐して圧縮機11内の圧縮機冷却媒体流路51に接続される加熱媒体分岐供給流路47と、圧縮機冷却媒体流路51を通過した圧縮空気を圧縮空気供給流路28へ導いて合流させる加熱媒体分岐戻し流路48とが設けられている。
この実施形態では、ガスタービン起動時に上述した圧縮機冷却媒体流路51を利用し、圧縮機11側のクリアランス制御を行うことができる。従って、ガスタービン10の静止系部品とともに、圧縮機11側の静止部も昇温させることができるので、タービン13及び圧縮機11のクリアランス制御が可能になる。
続いて、本実施形態に係るガスタービンを図9に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10には、昇圧装置40の吸入側に加熱媒体の選択切換手段が設けられている。図示の例では、昇圧装置40が直接大気から空気を吸い込む大気吸入流路70と、温度の高い加熱媒体の供給を受ける加熱媒体受入流路71とを備え、両流路に選択切換手段として開閉弁72,73の開閉操作により、いずれか一方の流路を選択できるようになっている。なお、温度の高い加熱媒体としては、たとえば排熱ボイラ等から温度の高い空気や蒸気等を導入して使用すればよい。
本実施形態に係るガスタービンを図10及び図11に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10には、昇圧装置40で昇圧された圧縮空気が、タービン冷却媒体流路50と直列または並列に接続される燃焼器冷却流路80を備えている。すなわち、タービン13の静止系部品を加熱した圧縮空気は、直列または並列に接続された燃焼器冷却流路80を通過することにより、燃焼器12内の必要箇所を冷却した後、圧縮空気供給流路28へ導かれて合流するようになっている。
また、図10の変形例として図11に示す構成例では、燃焼器冷却流路80がタービン冷却媒体流路50と直列に設けられている。
すなわち、ガスタービン起動時及びその起動直前準備として、圧縮機11の吐出側から分岐した分岐流路42に接続され、圧縮機から独立して運転可能な昇圧装置40が加熱媒体となる空気を導入して昇圧する過程と、昇圧装置40で昇圧された圧縮空気がタービン13の静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路50に供給され、タービン冷却媒体流路50内を通過する圧縮空気により静止系部品を昇温させる過程と、圧縮空気をタービン冷却媒体流路50から圧縮空気供給流路28へ導いて合流させる過程を備えている。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば圧縮機とタービンとの接続形態等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 圧縮機
12 燃焼器
13 タービン
20 タービン車室
21 静翼
22 動翼
28 圧縮空気供給流路
29 排出流路
31 翼環
40 昇圧装置
42 分岐流路
43 加熱媒体供給流路
44 加熱媒体戻し流路
45 バイパス流路
47 加熱媒体分岐供給流路
48 加熱媒体分岐戻し流路
50 タービン冷却媒体流路
51 圧縮機冷却媒体流路
60,62 熱交換器
70 大気吸入流路
71 加熱媒体受入流路
80 燃焼器冷却流路
Claims (7)
- 圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンにおいて、
前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、加熱媒体を導入して昇圧する前記圧縮機から独立した運転が可能な昇圧手段と、該昇圧手段で昇圧された昇圧加熱媒体を前記タービンの静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路へ導く加熱媒体供給流路と、前記タービン冷却媒体流路を通過した前記昇圧加熱媒体を前記吐出側流路へ導いて合流させる加熱媒体戻し流路とを備え、
ガスタービン起動時及びその起動直前準備として前記昇圧手段を運転し、前記タービン冷却媒体流路内に前記昇圧加熱媒体を流して昇温させることを特徴とするガスタービン。 - 前記加熱媒体供給流路の途中から分岐して前記吐出側流路へ接続されるとともに流路開閉手段を備えているバイパス流路を設けたことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
- 前記分岐流路または前記加熱媒体供給流路に、前記加熱媒体または前記昇圧加熱媒体と熱交換して昇温させる加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン。
- 前記加熱媒体供給流路から分岐して前記圧縮機内の圧縮機冷却媒体流路に接続される加熱媒体分岐供給流路と、前記圧縮機冷却媒体流路を通過した前記昇圧加熱媒体を前記吐出側流路へ導いて合流させる加熱媒体分岐戻し流路とを設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスタービン。
- 前記昇圧手段の吸入側に前記加熱媒体の選択切換手段が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガスタービン。
- 前記昇圧手段で昇圧された昇圧加熱媒体が、前記タービン冷却媒体流路と直列または並列に接続されて前記燃焼器内の冷却を行った後に前記吐出側流路へ導かれて合流することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のガスタービン。
- 圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンの起動時運転方法であって、
ガスタービン起動時及びその起動直前準備として、
前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、前記圧縮機から独立して運転可能な昇圧手段が加熱媒体を導入して昇圧する過程と、
前記昇圧手段で昇圧された昇圧加熱媒体が前記タービンの静止系部品内に設けられているタービン冷却媒体流路に供給され、該タービン冷却媒体流路内を通過する前記昇圧加熱媒体により前記静止系部品を昇温させる過程と、
前記昇圧加熱媒体を前記タービン冷媒流路から前記吐出側流路へ導いて合流させる過程と、を備えていることを特徴とするガスタービンの起動時運転方法。
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