[位置情報管理システム]
はじめに、本実施形態に係る電話システムは、位置情報を用いることから、当該位置情報を取得、管理するための位置情報管理システムについて、まず先に説明を行う。
(システム)
図1Aは、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1を表す。図1Aは、通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140、管理サーバ160、通信装置と無線端末と管理装置とから構成されるネットワーク180及びネットワーク190を有する。ここで、ネットワーク180は、管理装置140によって管理される無線ネットワークである。図1Bは、図1Aにおいて無線ネットワークを構成する通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140を抜き出して示したものである。
通信装置100、102、104、106は、例えば部屋の天井等に固定され、固定された位置に係る、経緯情報、建物の階数及び棟番号のような位置情報(以下「位置情報」とする)そのものを連続的又は断続的に無線送信する。通信装置は、それぞれ独立した筐体を有し、予め設置された電源から給電されて動作するか、あるいはLED蛍光管のような照明器具に組み込まれ、該照明器具から給電されて動作する。通信装置100、102、104、106は、それぞれが保持する位置情報を、無線信号により所定の範囲に送信する。所定の範囲は、用いられる無線信号の信号強度によって定められる。通信装置は、位置の管理対象となる領域をカバーするように配置され、それぞれの領域が重複しないように構成される。あるいは、重複する場合であっても、位置情報を受信する側において、受信電波の強度に基づいて、何れか一つの通信装置が決定できるよう構成される。図1Aの例では、それぞれの通信装置の下方に示される円錐型の点線が、所定の範囲を表している。位置情報を送信する通信方式として、例えば地上補完信号(Indoor Messaging System;IMES)を用いることができる。
無線端末120、122、124は、通信装置100、102、104、106のうち、最寄の通信装置が送信する無線信号を受信することができる。図1Aの例では、それぞれの無線端末は、位置を管理する対象である直方体の管理対象物に付されている。無線端末120、122、124は、自らも電波を送信可能な、例えばアクティブタグのような端末である。以下、無線端末120について説明する。
無線端末120は、通信装置100からの無線信号を受信できる範囲にあり、通信装置100の位置情報を受信する。通信装置100の位置情報の受信は、例えばIMESを用いて行われる。無線端末120は、受信した位置情報と共に、例えばネットワークアドレスのような自らの識別情報を含む情報を通信装置100へ送信する。該送信は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)のような近距離無線通信によるネットワーク180を通じて行われる。この場合には、無線端末120の識別情報として、IEEE802.15.4の短縮アドレスまたはIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。通信装置100へ送信された識別情報と位置情報は、次に、隣接する通信装置102を経由して、管理装置140に送信される。なお、無線端末120における送受信の動作は、当該無線端末120において予め定められたタイミングか、あるいは、当該無線端末120の備える加速度センサによる加速度の変化が検出されたタイミングで行われる。
管理装置140は、ネットワーク180とネットワーク190とを相互に接続し、ネットワーク180側から送信されたデータをネットワーク190にブリッジする。管理装置140は、例えば建物のフロア毎、または壁などで仕切られた部屋毎に設置される。ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)によるPAN(Personal Area Network)であり、ネットワーク190がIEEE802.3規格に基づくLANである場合には、それらの間での通信方式の変換を行う。また、無線端末120の識別情報がIEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づきIEEE拡張アドレスに変換し、管理サーバ160に送信する。
管理サーバ160は、管理装置140を経由して受信された識別情報と位置情報とを、受信日時と共に記録し、通信装置の位置を管理する。管理サーバ160では、無線端末に係る管理対象物が予め記録されている。よって、これらの情報を用いて、管理対象物の所在を探索することができる。
ネットワーク180は、それぞれの通信装置100、102、104、106と、無線端末120、122、124と、管理装置140とを接続する、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格によって構成されるPANである。PANがIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格で構成される場合は、無線端末、通信装置、管理装置は、それぞれZigBee(登録商標)規格で定められるエンドデバイス機能、ルータ機能及びコーディネータ機能を有する。そして、それぞれの通信装置及び無線端末は、起動時に管理装置の管理下に入り、PANを構成し、管理装置への最小経路が決定される。
ネットワーク190は、管理装置140と管理サーバ160とを接続するネットワークであり、例えばIEEE802.3規格で定められるLANである。
上記の通り、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1において、無線端末は、最寄の通信装置と通信できるだけの電力を用いて、識別情報と位置情報とを管理サーバへ送信することができる。また、通信装置を設置するための新たなインフラの敷設が不要であり、導入コストを低減することができる。
なお、通信装置の位置情報は、ネットワーク180を通じて提供されてもよい。これにより、IMESのような位置情報を送信するための送信手段が不要となる。
また、無線端末は、位置情報を送信した通信装置よりさらに近傍に管理装置が存在する場合には、識別情報と位置情報とを管理装置140に送信してもよい。これにより、最短経路で識別情報と位置情報が管理サーバに送信できる。
また、管理サーバに、管理装置の機能を統合してもよい。これにより、個別の管理装置が不要となる。
また、無線端末は、スマートフォン、PDA、PC又はスマートメータのような、アクティブタグと同等の機能を有する無線端末であってもよい。これにより、タグを付することなく、既存の無線端末の位置情報の管理が可能となる。
また、上述の位置情報に加えて、例えば部屋の中の区画を表す情報のような、より細かな位置を特定する情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
また、位置管理対象が人であってもよい。これにより、当該システム1によって人の所在を管理することができる。
また、ネットワーク180は、例えばBluetooth LE、ANT、Z-Wave等の近距離無線通信を用いて構成されてもよい。これにより、多様な無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
また、ネットワーク190は、例えばインターネットのような、複数の種類のネットワークを含んでもよい。これにより、ネットワーク180と管理サーバ160との間の物理的な位置に関係なく、無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
(ハードウェア構成例)
次に、図2A、2B、2C、2Dを用いて、位置情報管理システム1に含まれる通信装置100、無線端末120、管理装置140、管理サーバ160のハードウェア構成について説明する。
図2Aは、本発明の一実施形態における通信装置100のハードウェア構成を表す。通信装置100は、CPU200、RAM202、ROM204、位置信号送信制御部206、位置信号送信部208、無線通信制御部210、無線通信部212及びバス214を有する。
CPU200は、当該通信装置100の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM202は、CPU200のワークエリア等を構成する。ROM204は、CPU200が実行するプログラムに加えて、当該通信装置100の位置情報を記憶する。位置信号送信制御部206は、位置信号送信部208を介して当該通信装置100の位置情報を表す測位信号を送信するための処理を実行する。位置信号送信部208は、例えばIMESのような測位信号を送出するアンテナを含む装置である。無線通信制御部210は、無線通信部212を介して無線通信処理を実行する。無線通信部212は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。バス214は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、無線端末120に対して位置情報を送信し、無線端末120から識別情報と位置情報を受信し、これらの情報を管理装置を介して管理サーバへ送信することができる。
なお、上述したように、位置情報を無線通信によって送信する場合には、位置信号送信制御部206と位置信号送信部208は不要となる。
図2Bは、本発明の一実施形態における無線端末120のハードウェア構成を表す。無線端末120は、CPU220、RAM222、ROM224、位置信号受信制御部226、位置信号受信部228、無線通信制御部230、無線通信部232、加速度検出制御部234、加速度検出部236及びバス238を有する。
CPU220は、当該無線端末120の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM222は、CPU220のワークエリア等を構成する。ROM224は、CPU220が実行するプログラムに加えて、当該無線端末120の識別情報や、通信装置100から受信した位置情報を記憶する。位置信号受信制御部226は、位置信号受信部228を介して、位置情報を表す測位信号を受信するための処理を実行する。位置信号受信部228は、例えばIMESのような測位信号を受信するアンテナを含む装置である。無線通信制御部230は、無線通信部232を介して無線通信処理を実行する。無線通信部232は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。加速度検出制御部234は、加速度検出部236を介して加速度の変化を検出する。加速度検出部236は、例えば加速度センサ又は慣性力や磁気を用いたモーションセンサである。バス238は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置100から位置情報を受信し、前記位置情報と共に自らの識別情報を通信装置100へ送信することができる。特に、無線端末が動かされたタイミングで送信又は受信の動作を行うことにより、効率的に識別情報及び位置情報を送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける、例えばタッチパネル、ダイヤルキー、キーボード、マウスのような入力装置及び対応する入力制御部を備えてもよい。さらに、スクリーンのような表示装置及び対応する表示制御部を備えてもよい。
また、無線端末120がGPSアンテナ及び対応する制御部を備える場合には、前記アンテナを用いてIMESによる測位信号を受信でき、ソフトウェアの改修のみによって当該位置情報管理システム1に対応させることができる。
また、加速度検出制御部234及び加速度検出部236は任意の構成要素である。加速度検出制御部234及び加速度検出部236を備えない場合には、当該無線端末120の送信又は受信の動作は、予め定められた間隔又は時刻においてなされる。
また、上述したように、位置情報が無線通信によって受信される場合には、位置信号受信制御部226と位置信号受信部228は不要となる。
図2Cは、本発明の一実施形態における管理装置140のハードウェア構成を表す。管理装置140は、CPU240、RAM242、ROM244、無線通信制御部246、無線通信装置248、有線通信制御部250、有線通信装置252及びバス254を有する。
CPU240は、当該管理装置140の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM242は、CPU240のワークエリア等を構成する。ROM244は、CPU240が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。無線通信制御部246は、無線通信装置248を介して無線通信処理を実行する。無線通信装置248は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。有線通信制御部250は、有線通信装置252を介して有線による通信処理を実行する。有線通信装置252は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。バス254は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120を含むネットワーク180からの信号を、管理サーバ160を含むネットワーク190へと変換することができる。また、PANを構成するネットワーク180がZigBee(登録商標)である場合には、PANに参加するデバイスを管理するコーディネータの機能を有することができる。
図2Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160のハードウェア構成を表す。管理サーバ160は、CPU260、RAM262、ROM264、HDD266、通信制御部268、通信部270、表示制御部272、表示部274、入力制御部276、入力部278及びバス280を有する。
CPU260は、当該管理サーバ160の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM262は、CPU260のワークエリア等を構成する。ROM264は、CPU260が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。HDD266は、当該位置情報管理システム1で用いられる無線端末120の位置を管理するための情報を記憶する。通信制御部268は、通信部270を介して通信処理を実行する。通信部270は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。表示制御部272は、当該管理サーバ160上で実行される、位置管理に係るプログラムの処理内容に合わせて、表示部274に表示される内容を制御する。表示部274は、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイのようなディスプレイが含まれる。入力制御部276は、ユーザからの入力を受け付ける、キーボード、マウス等の入力部278からの信号を処理する。バス280は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末120の位置を管理し、該無線端末120の所在を探索することができる。
なお、HDD266は、テープドライブを含むあらゆる記憶装置であってもよく、あるいは、ネットワークを介してアクセス可能なストレージ領域であってもよい。
また、管理サーバ160は、上述した管理装置140が備える無線通信制御部及び無線通信装置を備え、管理装置140に代えて、その処理を行ってもよい。これにより、管理装置140を別途設ける必要がなくなる。
(機能)
図3Aは、本発明の一実施形態における通信装置100の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における通信装置100は、記憶手段300、通信手段304及び制御手段312を有する。
記憶手段300は、当該通信装置100の位置情報302を記憶する。位置情報302を記憶するためのテーブルの例を図4に示す。図4は、階数、緯度、経度、棟番号の項目を含む。階数は、当該通信装置100が設置される建物の階数を表す。緯度及び経度は、当該通信装置100の所在する位置の緯度及び経度を表す。棟番号は、当該通信装置100が設置される建物の棟番号を表す。図4の例では、通信装置100は、ある建物のC棟の16階に所在し、緯度が35.459555、経度が139.387110の地点に所在する。
通信手段304は、位置情報送信手段306、端末情報受信手段308及び端末情報送信手段310を有する。
位置情報送信手段306は、経緯情報、建物の階数、棟番号のような情報を含む位置情報302を、所定の範囲にある無線端末120に対して連続的又は断続的に無線送信する。位置情報302は、例えばIMESに規定されるフォーマットを用いて送信される。
端末情報受信手段308は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを受信する。
端末情報送信手段310は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを、管理装置140を介して管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180がZigBee(登録商標)規格を用いてなされる場合には、前記送信は、当該通信装置100が保持するルーティング情報を用いて行われる。
制御手段312は、当該通信装置100の動作を制御する。当該通信装置100が無線端末120及び管理装置140とZigBee(登録商標)を用いてPANを構成する場合には、当該通信装置100がルータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、位置情報302を保持し、位置情報302を無線端末120に送信し、該無線端末120の識別情報と位置情報を受信して、該識別情報を管理装置140を通じて管理サーバへ送信することができる。
なお、位置情報302は、通信装置100が設置される建物名や、部屋の中の区画を表す情報のような追加の情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
図3Bは、本発明の一実施形態における無線端末120の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における無線端末120は、記憶手段320、通信手段326、加速度検出手段332及び制御手段334を有する。
記憶手段320は、識別情報322と位置情報324を有する。識別情報322は、当該無線端末120のネットワークアドレスのような、当該位置情報管理システム1上で無線端末120を特定可能な情報を含む。例えば、ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づく場合には、IEEE802.15.4の短縮アドレス又はIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。位置情報324は、通信装置100から送信された位置情報302である。位置情報324を記憶するためのテーブルの例を図5に示す。構成は図4と同様である。
通信手段326は、位置情報受信手段328と識別情報送信手段330を有する。
位置情報受信手段328は、通信装置100から送信された位置情報302を受信する。受信された位置情報302は、当該無線端末120の記憶手段320に保持される。
識別情報送信手段330は、当該無線端末120の識別情報322と共に位置情報324を通信装置100に送信する。位置情報322は、例えば図6のようなフォーマットにより無線端末120に送信される。図5のフォーマットでは、階数、緯度、経度、棟番号の各フィールドが、それぞれ9ビット、21ビット、21ビット、8ビットで表現され、IMES規格によって受信したメッセージの該当フィールドを繋げた形とする。各フィールドの表現形式はIMES規格に準ずる。実際には、このフォーマットに加えて、通信方式によって規定されるヘッダやチェックサム情報が付加されて送信される。通信方式として、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格が用いられる。
加速度検出手段332は、当該無線端末120の加速度の変化を検出する。加速度の変化は、例えば当該無線端末120が移動を開始した時、該移動が停止した時、又は傾きを検出した時等に検出される。検出された加速度の変化は、当該無線端末120の送信又は受信の動作のタイミングを決定するために用いられる。なお、当該加速度検出手段332は任意の構成要素である。
制御手段334は、位置情報受信手段238による位置情報の受信のタイミングと、識別情報送信手段330による識別情報322と位置情報324との送信のタイミングを制御する。送受信のタイミングは、加速度検出手段332による加速度の変化の検出に基づいて決定される。あるいは、当該無線端末120に予め設定された間隔あるいは時刻に基づいて決定されてもよい。また、送信と受信のタイミングは、それぞれ独立して決定されてもよい。さらに、制御手段334は、当該無線端末120が通信装置100及び管理装置140と共にZigBee(登録商標)によりPANを構成する場合には、当該無線端末120がエンドポイント機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置から位置情報を効率的に受信し、該位置情報と共に識別情報通信装置へ効率的に送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける入力手段や、ユーザに情報を提示する表示手段を備えてもよい。これにより、ユーザへの識別情報又は位置情報の提示や、ユーザからの識別情報又は位置情報の入力又は修正が可能となる。
図3Cは、本発明の一実施形態における管理装置140の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理装置140は、通信手段340、変換手段346及び制御手段348を有する。
通信手段340は、受信手段342と送信手段344を有する。受信手段342は、ネットワーク180に属する通信装置又は無線端末から送信されたデータを受信する。送信手段344は、当該管理装置140で変換された前記データを、ネットワーク190に属する管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づくPANである。また、ネットワーク190は、例えばIEEE802.3規格に基づくLANである。
変換手段346は、受信手段342がネットワーク180から受信したデータを、ネットワーク190に適合する形式に変換する。変換されたデータは、送信手段344によって、ネットワーク190を介して管理サーバ160へ送信される。ここで、前記データに含まれる、無線端末120の識別情報が、IEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づき、IEEE拡張アドレスに変換される。
制御手段348は、当該管理装置140の動作を制御する。当該管理装置140が通信装置100と無線端末120と共にZigBee(登録商標)規格によりPANを構成する場合には、当該管理装置140がコーディネータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120が属するネットワーク180と、管理サーバが属するネットワーク190との間の通信をブリッジすることができる。
図3Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理サーバ160は、通信手段360、記憶手段366、入力手段370、表示手段372及び制御手段374を有する。
通信手段360は、受信手段362と送信手段364を有する。受信手段362は、管理装置140を通じて無線端末から送信された識別情報と位置情報とを受信する。受信された識別情報と位置情報は、記憶手段366に記憶される。送信手段364は、外部サーバ等に対して位置情報の提供を求められた場合に、該位置情報を前記外部サーバ等に送信する。
記憶手段366は、位置管理情報368を有する。位置管理情報368は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報に、受信時刻等の管理情報を付加した情報である。該情報を記憶するテーブルの例を図7に示す。図7は、識別情報、機器名、所有部署、緯度、経度、階数、棟、受信日時の項目を有する。識別情報は、当該識別情報を送信した無線端末120の、例えばIEEE拡張アドレスのような情報である。緯度、経度、階数、棟は、識別情報と共に受信された位置情報に対応する。受信日時は、管理サーバ160が当該情報を受信した日時である。機器名は、当該情報を送信した無線端末120が付される管理対象の名前又は無線端末120の機器名である。所有部署は、当該情報を送信した無線端末120を所有する部署名である。機器名及び所有部署の情報は、予め当該管理サーバ160によって、識別情報と関連付けられている。
入力手段370は、ユーザが位置情報を探索するために、ユーザからの入力を受け付ける。
表示手段372は、ユーザが位置情報を探索するための検索画面に係るGUIを画面上に表示する。検索画面の例を図9Aに示す。図9Aに示された「所在検索システム」では、記憶手段366に記憶された情報を元に、無線端末に係る所有部署と機器名を画面に一覧表示する。ユーザが、検索したい機器のチェックボックスを入力手段370を通じて選択すると、チェックマークが付される。検索したい機器に全てチェックマークを付けた後に「検索実行」ボタンを選択すると、検索が実行され、結果を表示する画面に切り替わる。図9Aの例では、ユーザが「営業1課」が所有する「UCS P3000」という機器を対象として検索を実行する例を示している。図9Bは、その検索結果の画面の例である。「検索実行」ボタンが選択されると、表示手段372は、記憶手段366に記憶されたデータを元に、「UCS P3000」が所在する「A棟4階」のフロア図と、その機器名及び受信日時を表示する。
制御手段374は、当該管理サーバの動作を制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末の位置を管理し、その所在を検索することができる。特に、無線端末の位置そのものを表す情報そのものを直接受信して管理することができ、位置の探索にかかる計算量を低減することができる。
なお、管理サーバ160は、管理装置160の有する変換手段346、制御手段348及び受信手段342と同様の機能を有し、管理装置160と同様の機能を有してもよい。これにより、管理装置160を個別に設ける必要がなくなる。
また、管理サーバ160によって記憶される位置管理情報368は、図7に示された情報と共に、あるいは該情報に代えて、無線端末が情報を送信した日時、経由した通信装置又は管理装置の識別子、情報の到着までにかかった時間又は電界強度を含む情報を記憶してもよい。これにより、より詳細な条件で位置情報を管理することができる。
また、管理サーバ160は、無線端末の過去の位置情報を記録してもよい。これにより、無線端末の移動を追跡することができる。
(動作シーケンス)
図8は、図1の構成における本発明の一実施形態における位置情報管理システム1の動作シーケンスを表す図である。図8では、加速度の変化を検知すると位置情報を受信し、識別情報を送信する通信装置100と、該通信装置100の属する領域に位置情報を送信する無線端末120と、PAN(IEEE802.15.4及びZigBee(登録商標))とLAN(IEEE802.3)とをブリッジする管理装置140と、管理サーバ160とで構成される例について説明する。通信装置100と、無線端末120と、管理装置140との間のPANは既に確立されているものとする。
ステップS800において、通信装置100は、IMES等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する。
ステップS802において、無線端末120は、加速度の変化を検知する。
ステップS804において、無線端末120は、通信装置100から送信される位置情報を受信する。
ステップS806において、無線端末120は、受信された位置情報を記憶する。
ステップS808において、無線端末120は、識別情報と位置情報を通信装置100へ送信する。
ステップS810において、通信装置100は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報とを最小経路を通じて管理装置へ送信する。
ステップS812において、管理装置140は、通信装置100から受信した識別情報と位置情報を含む、ネットワーク180から送信されたデータをネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS814において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された識別情報と位置情報を管理サーバ160へ送信する。
ステップS816において、管理サーバ160は、管理装置から受信した識別情報と位置情報を、識別情報に対応する無線端末の情報と共に登録する。
以上の手順により、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1は、無線端末が最寄の通信装置に対して効率よく識別情報と位置情報とを送信することにより、無線端末の消費電力を抑えることができる。
なお、既に述べたように、管理サーバ160が管理装置140の機能を統合して実行してもよい。この場合には、別個の管理装置140を設置する必要がなくなる。
また、無線端末が加速度検出手段332を備えていない場合には、ステップS802は実行されず、ステップS804における位置情報の受信は、所定の時刻又は所定の間隔で行われ得る。その後の処理は、ステップS806〜S816と同様である。
[電話システム]
次に、本実施形態に係る電話システム2について説明する。
(システム)
図10は、本発明の一実施形態における電話システム2を表す。本実施形態に係る電話システム2は、上述の位置情報管理システム1を含み構成される。図10の場合、具体的に、位置情報管理システム1を構成するものとして、通信装置100、102、104、106、無線端末120、管理装置140、141、管理サーバ160、ネットワーク180及びネットワーク190を有する。また、ネットワーク190に接続される形で、PHS子機130、131、電話交換機150、PHS親機170、171を有する。
本実施形態において、各ユーザは、それぞれ、自身の無線端末及びPHS子機を有している。例えば、userA(Aさん)は、無線端末120及びPHS子機130を有する。また、userB(Bさん)は、無線端末122及びPHS子機131を有する。
なお、本実施形態においては、例えば、社員証に無線端末を内蔵又は付加させるなどの工夫により、常にユーザが自身の無線端末を携帯させるようにしておく。このため、上述の位置情報管理システム1(管理サーバ160)は、無線端末の位置を管理することを通じて、各ユーザの現在位置を把握、管理することが可能となっている。
PHS子機130、131は、例えば、各ユーザ用に、オフィスの内線電話として用いられる電話端末である。各ユーザは、自身が保有するPHS子機を用いて、他のPHS子機と通話を行うことができる。また、PHS子機130、131は、マナーモード(又は留守番電話サービスモード)の機能を有する。このため、ユーザは、自身が電話に出られない状態にあるときには、例えば、PHS子機に対し、マナーモードの設定操作を予め行っておく。具体的な設定操作は、PHS子機のマナーモードボタンを押すだけでよい。これにより、PHS子機はマナーモード有効状態となる。
このような設定がなされたPHS子機130、131に対し、外部から着呼(着信)があると、例えば、「只今、会議中のため、電話に出られません。」、「只今、食事中のため、電話に出られません。」、「只今、接客中のため、電話に出られません。」など、現在のユーザ状況に応じた内容の自動応答メッセージが発呼側に対し再生される(詳細後述)。
なお、本実施形態において、マナーモードとは、PHS子機に対し外部から着呼(着信)があると、着呼を受けて、発呼側に対し何らかの自動応答メッセージが応答されるモードをいう。このとき、発呼側には自動応答メッセージが流れることになる。
電話交換機150、PHS親機170、171は、PHS子機間の通話を可能にするための設備である。電話交換機150は、発呼側と着呼側との呼を接続し、PHS子機間の通話を可能にする制御機器(PBX)である。PBX(Private Branch Exchange)とは、企業などで内線電話同士の接続や、加入者電話網やISDN回線などの公衆回線への接続を行う機器という。PHS親機170、171は、内線電話用の無線基地局であり、自エリアに存在するPHS子機を管理する。本実施形態では、全オフィス内に無線エリアがカバーされるよう、PHS親機170、171の計2台のPHS親機が設置される。
通常、例えば、PHS子機130が、PHS子機131に電話をかける場合、次の動作により、通話が実現される(但し、通常通話モード時/非マナーモード時)。
(1) PHS子機130は、PHS子機131の内線番号をダイヤルする。
(2) 現在エリアを管轄するPHS親機170は、PHS子機130がダイヤルした内線番号を電話交換機150に対し転送する。
(3) 電話交換機150は、転送された内線番号を基に、PHS子機131の所在エリアを管轄するPHS親機171などに対し、呼び出し要求を行う。
(4) PHS親機171は、自エリアに存在する全PHS子機に対し、一斉に呼び出しを行う。
(5) このうち、PHS子機131は、呼び出しに応答する。
(6) PHS親機171は、PHS子機131の応答を電話交換機150に転送する。
(7) 電話交換機150は、PHS子機131の認証手続きを経た後、PHS子機130からPHS子機131までの回線を接続し、PHS子機130に相手呼び出し音(リングバックトーン)を流し、PHS子機131に着呼音を鳴らさせる。
(8) PHS子機131が応答する(通話開始ボタンを押す)と通信が開始される。
以上により、両PHS子機間の通話が実現される。
(機能)
次に、本実施形態に係る電話交換機150の機能について説明する。
図11は、本発明の一実施形態における電話交換機150の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における電話交換機150は、通話制御手段151、位置情報取得手段152、自動応答手段153、記憶手段154を有する。
通話制御手段151は、PHS子機間の通話を可能にするため、電話交換機150は、発呼側と着呼側との呼を接続し、PHS子機間の通話を制御する。
位置情報取得手段152は、着呼側のPHS子機が、マナーモードに設定されている場合、位置情報管理システム1の管理サーバ160に対し、着呼側のPHS子機を所有するユーザの現在位置を示す位置情報を問い合わせ、当該位置情報を取得する。なお、問い合わせ時は、記憶手段154の内線番号対応表を参照し、PHS子機の内線番号(電話番号)に対応する識別情報を特定する。識別情報は、着呼側のPHS子機を所有するユーザの無線端末の識別情報である。この識別情報を用いて、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報を問い合わせる。
自動応答手段153は、着呼側のPHS子機が、マナーモードに設定されている場合、発呼側のPHS子機に対し、自動応答メッセージを応答する。自動応答メッセージは、記憶手段154の音声ファイルを再生することにより応答される。
記憶手段154は、「内線番号対応表」、「音声ファイル管理情報」、及び「音声ファイル」を予め記憶する。
内線番号対応表は、PHS子機の内線番号(電話番号)と、PHS子機を所持するユーザの無線端末の識別情報とが対応付けされた対応表である。位置情報取得手段152は、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報を問い合わせる際、記憶手段154の内線番号対応表を用いて、着呼側のPHS子機を所有するユーザの無線端末の識別情報を特定する。
音声ファイル管理情報は、位置情報と音声ファイルとが対応付けされた対応表である。自動応答手段153は、自動応答メッセージを応答する場合、音声ファイル管理情報を参照し、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報に基づいて、再生すべき音声ファイルを決定する。
音声ファイルは、自動応答メッセージの音源ファイルである。発呼側のPHS子機に対し、記憶手段154の音声ファイルが再生されることで、自動応答メッセージが応答される。少なくとも、数パターンの自動応答メッセージがある。
なお、電話交換機150のハードウェア構成については、公知の構成を適用することが可能である。
図12は、本発明の一実施形態における内線番号対応表の一例を表す。内線番号対応表は、PHS子機の内線番号(電話番号)と、PHS子機を所持するユーザの無線端末の識別情報とが対応付けされた対応表である。
上述したように、各ユーザは、それぞれ、自身の無線端末及びPHS子機を有している。例えば、userA(Aさん)は、無線端末120及びPHS子機130を有する。そして、userAが所持するPHS子機130の内線番号は、「0001」であって、userAが所持するユーザの無線端末120の識別情報は、「002673abcdef01」であるとする。このとき、これら情報は内線番号対応表に予め対応付けられて登録される。
図13は、本発明の一実施形態における音声ファイル管理情報の一例を表す。音声ファイル管理情報は、位置情報と音声ファイルとが対応付けされた対応表である。
具体的に、例えば、オフィス中、階数:16、緯度:35.459555、経度:139.387110、棟番号:Cの位置情報で特定される部屋は、会議室である。そして、この位置に対応する音声ファイルは、音声ファイル1である。そして、自動応答手段153は、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報が、階数:16、緯度:35.459555、経度:139.387110、棟番号:Cの位置情報で特定される会議室に位置する場合、再生すべき音声ファイルを音声ファイル1と決定する。
また例えば、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報が、階数:10、緯度:35.459555、経度:139.387110、棟番号:Cの位置情報で特定される位置であったとする。この場合、自動応答手段153は、音声ファイル管理情報を参照しても、この位置情報に該当は存在しない(階数:10である)。よって、自動応答手段153は、再生すべき音声ファイルを、位置情報:上記以外に対応付けられている音声ファイル4と決定する。
また例えば、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報が、階数:取得不可、緯度:取得不可、経度:取得不可、棟番号:取得不可の位置情報で特定される位置であったとする。即ち、位置情報が取得できなかったとする。この場合、自動応答手段153は、音声ファイル管理情報を参照し、再生すべき音声ファイルを、位置情報:取得不可に対応付けられている音声ファイル5と決定する。
図14は、本発明の一実施形態における音声ファイルの音声メッセージ内容を表す。本実施形態に係る記憶手段154には、音声ファイル1〜5という5つの音声ファイルが記憶されている(例えば、図11)。
例えばこのうち、音声ファイル1は、図に示されるように、「只今、会議中のため、電話に出られません。」という音声メッセージ内容を有する。このため、自動応答手段153が、例えば、音声ファイル1を再生すると、着呼側のPHS子機に対し、「只今、会議中のため、電話に出られません。」という自動応答メッセージが応答されることとなる。
また例えば、音声ファイル4は、図に示されるように、「只今、電話に出られません。」という音声メッセージ内容を有する。上述したように、音声ファイル4は、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報(例えば、所在の部屋)が、特定の部屋等など、具体的に特定されない又は具体的に特定しない場合に、再生される音声ファイルである。よって、音声ファイル4は、発呼側のPHS子機に対し、着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報を含まない汎用的な音声メッセージ内容となっている。
また例えば、音声ファイル5は、図に示されるように、「本日は、既に退社しました。このため電話に出られません。」という音声メッセージ内容を有する。上述したように、音声ファイル5は、着呼側のPHS子機の位置情報(例えば、所在の部屋)が全く取得できなかった場合に、再生される音声ファイルである。着呼側のPHS子機を所有するユーザの位置情報が全く取得できないとき、オフィス内は位置情報管理システム1の管理下にあることを前提とすると、着呼側のPHS子機を所有するユーザがオフィスに存在しないことを示す。よって、音声ファイル5は、発呼側のPHS子機に対し、着呼側のPHS子機を所有するユーザがオフィスに存在しないことを示す音声メッセージ内容となっている。なお、音声ファイル5は、他にも例えば、「只今、社外に外出中です。このため電話に出られません。」などの音声メッセージ内容もありうる。
(動作シーケンス)
図15は、図10の構成における本発明の一実施形態における電話システム2の動作シーケンスを表す図である。本動作シーケンスでは、以下のシナリオを想定の下、ステップ毎に説明するものとする。
・ userA(Aさん)は、無線端末120及びPHS子機130を有する。userB(Bさん)は、無線端末122及びPHS子機131を有する。
・ userB(Bさん)は、自身が電話に出られない状態にあるため(会議中)、PHS子機131でマナーモードの設定操作を予め行っている(マナーモード有効状態)。
・ userA(Aさん)がPHS子機130を用いて、userBのPHS子機131に対し電話をかける。しかしながら、userBのPHS子機131は、マナーモードにあるため、userAは、userBと通話を行うことができない。
・ 代わりに、PHS子機130には「只今、会議中のため、電話に出られません。」との自動音声メッセージが流れるので、userAは、userBが現在会議中のため、電話に出られないことを認識する。
以下、詳しく説明する。
S1500において、PHS子機131は、マナーモードに設定する。具体的な設定操作は、userBがPHS子機131のマナーモードボタンを押すだけでよい。
S1501において、PHS子機130は、PHS子機131の内線番号をダイヤルする。これにより、電話交換機150の通話制御手段151などを介し、PHS子機131側に着呼(呼び出し)が転送される。なおこのとき、PHS子機130が電話をかける側のであるので発呼側電話端末となり、PHS子機131が電話を受ける側であるので着呼側電話端末となる。
S1502において、PHS子機131は、着呼を受けるものの、マナーモード有効状態にあるため、マナーモードにある旨(通話不可状態を示す情報)を、電話交換機150の通話制御手段151に応答する。
S1503において、電話交換機150の通話制御手段151は、位置情報取得手段152に対し、位置情報取得命令を行う。このとき併せて、PHS子機131の内線番号(例えば、「0001」)を伝達する。
S1504において、位置情報取得手段152は、位置情報取得命令を受けると、まず、着呼側のPHS子機131を所有するユーザの無線端末120の識別情報を特定する。
具体的に、位置情報取得手段152は、記憶手段154の内線番号対応表を参照する。そして、PHS子機131の内線番号「0001」に対応する識別情報「002673abcdef01」を取得する(例えば、図12)。
S1505において、位置情報取得手段152は、位置情報管理システム1の管理サーバ160に対し、識別情報(例えば、「002673abcdef01」)で特定される無線端末120の位置情報を問い合わせる。無線端末120は、userAにより所持されているため、無線端末120の位置情報は、userAの現在位置情報を示すものである。
S1506において、管理サーバ160は、識別情報に基づいて、識別情報で特定される無線端末120の位置情報を検索する。管理サーバ160は、各無線端末の位置情報を、位置管理情報368で管理している(例えば、図3D、図7)。このため、位置管理情報368の中から、無線端末の識別情報をキーとして、その無線端末の現在位置する位置情報を検索できる。
なお、ここでは無線端末120の識別情報「002673abcdef01」をキーとして、その無線端末120の位置情報として、階数:16、緯度:35.459555、経度:139.387110、棟番号:Cが取得されたものとする。
S1507において、管理サーバ160は、位置情報取得手段152に対し、無線端末120の位置情報を応答する。
S1508において、位置情報取得手段152は、通話制御手段151に対し、無線端末120の位置情報を応答する。
S1509において、通話制御手段151は、自動応答手段153に対し、自動応答命令を行う。このとき併せて、管理サーバ160から取得された位置情報(例えば、階数:16、緯度:35.459555、経度:139.387110、棟番号:C)を伝達する。
S1510において、自動応答手段153は、位置情報に基づいて、記憶手段154から一の音声ファイルを取得する。
具体的には、自動応答手段153は、記憶手段154の音声ファイル管理情報を参照し、位置情報に対応付けられた音声ファイル名を特定する。例えば、位置情報が階数:16、緯度:35.459555、経度:139.387110、棟番号:Cである場合、同位置情報に対応付けられた音声ファイル名は、「音声ファイル1」と特定される。そしてこのとき、記憶手段154から「音声ファイル1」が取得される(例えば、図13)。
S1511において、自動応答手段153は、発呼側のPHS子機130に対し、自動応答メッセージを応答する。自動応答メッセージは、記憶手段154の音声ファイルを再生することにより応答される。
ここでは、自動応答メッセージとして「音声ファイル1」が再生される。自動応答手段153が、この音声ファイル1を再生すると、着呼側のPHS子機130に対し、「只今、会議中のため、電話に出られません。」という自動応答メッセージが応答される(例えば、図14)。
以上のように、本実施形態に係る電話交換機150は、着呼側のPHS子機131が通話不可状態にある場合、位置情報管理システム1を利用して、まず、PHS子機131を所持するユーザの現在位置を特定する。そして、PHS子機131を所持するユーザの現在位置が特定されると、同位置情報に対応する自動応答メッセージを、発呼側のPHS子機130に応答する。
ここで、同位置情報に対応する自動応答メッセージは、PHS子機131を所持するユーザの現在位置の音声情報を含む。このため、発呼側のユーザは、自動応答メッセージによって、単に着呼側が電話に出られない旨のみならず、その具体的な理由(例えば、会議中)や現在位置(例えば、会議室在中)を認識することができる。
一方、PHS子機131は、マナーモードに設定する場合、具体的な設定操作は、userBがPHS子機131のマナーモードボタンを押すだけでよい。これ以外の、例えば、応答すべき自動応答メッセージの内容を選択するなどの操作は不要である。
(補足)
なお、上述の例では、「只今、会議中のため、電話に出られません。」という自動応答メッセージが応答されるが、これはあくまで一例である。他には、具体的に、管理サーバ160から取得されたユーザの位置情報を、音声情報に含ませることも可能である。この場合、例えば、「只今、会議室にて、会議中のため、電話に出られません。」という自動応答メッセージが応答されうる。
また、応答方法は、音声ファイルを用いた自動応答メッセージを応答する他にも、同内容をテキストデータとして応答する方法もある。この場合、PHS子機130の表示画面上、「只今、会議中のため、電話に出られません。」や、「只今、会議室にて、会議中のため、電話に出られません。」などのテキストデータを表示させることができる。
また、S1500において、PHS子機131がマナーモードに設定したときに、この時点で、PHS子機131がマナーモードにある旨(通話不可状態を示す情報)を電話交換機150の通話制御手段151に通知するようにしてもよい。この場合、1501において、PHS子機131側に着呼(呼び出し)が転送されるまでもなく、通話制御手段151の所で、PHS子機131がマナーモードにあることを認識できる。
また、上述の例では、userB(Bさん)は、無線端末122及びPHS子機131を有するとした。ここで、PHS子機131を所持するユーザであるuserBの現在位置を特定するために、userB(Bさん)は、無線端末122を常に身に着けて携帯する必要がある。しかし、PHS子機131についてはこの限りではない。つまり、PHS子機131をマナーモードに設定しておきさえすれば、userBはPHS子機131を常に身に着け携帯せずともよい。例えば、会議中はPHS子機131をデスクの上に置いたままにしてもよい(しばし見られる光景である)。この場合であっても、無線端末122を常に身に着けている限り、PHS子機131を所持するuserBの現在位置は特定され、該位置に対応した自動応答メッセージは応答されるからである。
(自動応答メッセージ例)
図16は、本発明の一実施形態における自動応答メッセージの一例を表す。
(a):着呼側のPHS子機131を所持するユーザが会議室にいる場合、着呼側のPHS子機130に対し、自動応答メッセージとして「音声ファイル1」が再生される。即ち、着呼側のPHS子機130に対し、「只今、会議中のため、電話に出られません。」という自動応答メッセージが応答される。
(b):着呼側のPHS子機131を所持するユーザが会議室にいる場合、着呼側のPHS子機130に対し、自動応答メッセージとして「音声ファイル1」が通知される。即ち、着呼側のPHS子機130の表示画面上、「只今、会議中のため、電話に出られません。」という自動応答メッセージ(テキストデータ)が表示される。
なお、(a)及び(b)の両方を組み合わせてもよい。この場合、「只今、会議中のため、電話に出られません。」という自動応答メッセージが、音声及びテキストデータで応答される。
以上、本実施形態によれば、着呼側は自動応答メッセージの選択操作を省略できながら、着呼側が電話に出られない場合、発呼側に対し着呼側の状態に応じた自動応答メッセージを応答できる電話システム等を提供することが可能である。なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
上記実施形態は、電話端末として、オフィス内線電話用のPHS端末を適用した。しかしながら、言うまでもなく、内線、外線は問わないし、電話端末は、携帯電話、携帯型情報端末(PDA、スマートフォン)などに適用することも可能である。