JP2014055547A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インジェクタの電気的特性が劣化しても所望の燃料噴射量を保持する。
【解決手段】通電開始タイミング(時刻t1)でコンデンサからインジェクタのコイルへの放電が開始され、インジェクタが開弁したら(時刻t2,t3)、放電が停止される。放電停止後は、保持電流により開弁状態が保持されると共に、コンデンサの充電が開始される。そして、通電開始タイミングから所定の通電時間が経過した通電終了タイミング(時刻t4)で保持電流が停止されてインジェクタが閉弁する。通電開始タイミングは設定手段により設定されるが、その設定された通電開始タイミングは、インジェクタの劣化状態に応じて補正される。即ち、通電開始タイミングから開弁までの実際の所要時間(時刻t1〜t3)と、規定開弁所要時間(時刻t1〜t2)との時間差TDが予め検出され、通電開始タイミングは、その開弁所要時間差TDだけ早いタイミングに補正される。
【選択図】図3

Description

本発明は、インジェクタによる内燃機関の気筒への燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置に関する。
従来、例えば車両に搭載された内燃機関の各気筒にそれぞれ燃料を噴射供給するインジェクタ(燃料噴射弁)としては、コイルへの通電により開弁する電磁弁が使用されている。このようなインジェクタを駆動して燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置は、コイルへの通電開始を制御することにより、内燃機関への燃料噴射時期および燃料噴射量を制御している。
また、このような燃料噴射制御装置としては、昇圧回路により電源電圧を昇圧して放電用のコンデンサを充電し、コイルに通電すべき駆動期間の開始時には、そのコンデンサに充電されている高電圧の電気エネルギーをインジェクタのコイルに放電して規定の大電流(いわゆるピーク電流)を流すことによりインジェクタを速やかに開弁させ、その後は、駆動期間が終了するまで、コイルに一定電流を流してインジェクタを開弁状態に保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−113547号公報
ところで、インジェクタのコイルは、経年によりその電気的特性が劣化する。具体的には、コイルの抵抗値が増加する。コイルの抵抗値が増加すると、放電開始後の電流の立ち上がりが鈍くなり、ピーク電流へ上昇していくまでの傾きが緩やかになるため、放電開始からピーク電流に達するまでの時間が長くなる。
インジェクタは、一般に、コイルの電流がピーク電流に達したときに開弁するよう構成されている。そのため、電気的特性の劣化によって放電開始後の電流上昇の傾きが緩やかになると、インジェクタの開弁タイミングに遅れが生じてしまう。このように開弁タイミングに遅れが生じたとしても、放電開始から所定の駆動期間が経過した通電終了(駆動終了)時にはコイルへの通電が停止される。そのため、開弁タイミングが遅れると、その分、インジェクタの開弁時間が短くなって、燃料噴射量が少なくなってしまう。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、インジェクタの電気的特性が劣化しても所望の開弁時間(延いては所望の燃料噴射量)を保持できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明は、インジェクタ駆動制御手段と、設定手段と、開弁所要時間差情報検出手段と、補正手段とを備えることを特徴とする燃料噴射制御装置である。
インジェクタ駆動制御手段は、コイルへ通電されることにより開弁して車両の内燃機関の気筒へ燃料を噴射するよう構成されたインジェクタのコイルに対し、通電開始タイミングでコンデンサからの放電を開始させることによりインジェクタの開弁に必要な所定の電気エネルギーをコンデンサからコイルへ供給させ、その電気エネルギーの供給によりインジェクタを開弁させたら、コンデンサからの放電を停止させてコイルへインジェクタの開弁状態を維持させるための所定の保持電流を供給させると共にコンデンサを規定充電電圧に充電するための充電を開始させ、通電開始タイミングから所定の通電時間が経過した通電終了タイミングで保持電流の供給を停止させることによりインジェクタを閉弁させて燃料噴射を終了させる。
設定手段は、通電開始タイミングおよび通電終了タイミングを設定する。開弁所要時間差情報検出手段は、通電開始タイミングからインジェクタが実際に開弁するまでの実際の時間である実開弁所要時間と規定開弁所要時間との差である開弁所要時間差を直接または間接的に示す開弁所要時間差情報を検出する。補正手段は、設定手段により設定された通電開始タイミングを、開弁所要時間差情報が示す開弁所要時間差だけ早いタイミングに補正する。
通電開始から開弁するまでの本来想定している(例えば設計上の)所要時間である規定開弁所要時間に対し、実際の所要時間(実開弁所要時間)は、インジェクタの電気的特性が劣化すればするほど長くなることが予想される。そこで本発明では、開弁所要時間差を直接又は間接的に検出し、通電開始タイミングを、その検出した開弁所要時間差だけ、本来の通電開始タイミングよりも早める。そのため、インジェクタの電気的特性が劣化しても所望の開弁時間(延いては所望の燃料噴射量)を保持することができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態の燃料噴射制御装置(ECU)の概略構成を表す構成図である。 インジェクタの特性劣化によって燃料噴射量が所望の量よりも低下してしまう現象を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態のECUによる、燃料噴射時の通電開始タイミングを補正する機能を説明するためのタイムチャートである。 ECUのマイコンが実行する噴射タイミング補正メイン処理を表すフローチャートである。 図4におけるS140の補正基準値算出処理の詳細を表すフローチャートである。 図4におけるS160のインジェクタ劣化補正値学習処理の詳細を表すフローチャートである。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の燃料噴射制御装置(以下、ECUという)100は、車両に搭載された多気筒(この例では4気筒)エンジンの各気筒♯1〜♯4に燃料を噴射供給する4個のインジェクタ(電磁弁)101,102,103,104を駆動するものである。より詳しくは、ECU100は、各インジェクタ101〜104のコイル101a,102a,103a,104aへの通電開始タイミング及び通電時間(換言すれば通電終了タイミング)を制御することにより、各気筒♯1〜♯4への燃料噴射時期及び燃料噴射量を制御する。
尚、本実施形態のエンジンはディーゼルエンジンであって、高圧燃料をコモンレール(蓄圧室)に蓄圧してこれを各インジェクタから各気筒に噴射するよう構成された、いわゆるコモンレールシステムが構築されており、このコモンレールシステムがECU100によって制御される。コモンレールシステムはよく知られているため、ここではその詳細についての説明及び図示は省略する。
各インジェクタ101〜104は、常閉式の電磁弁により構成されており、コイル101a〜104aに通電されると開弁して燃料噴射を行う。また、コイル101a〜104aへの通電が遮断されると閉弁して燃料噴射を停止する。
本実施形態では、全4気筒分のインジェクタ101〜104が2気筒分ずつ2つのグループに分けられている。具体的には、気筒♯1及び気筒♯3の各インジェクタ101,103が第1グループとして、それらの各コイル101a,103aの上流側の一端がECU100の第1コモン端子COM1に接続されている。また、気筒♯2及び気筒♯4の各インジェクタ102,104が第2グループとして、それらの各コイル102a,104aの上流側の一端がECU100の第2コモン端子COM2に接続されている。各グループは、同時に駆動されることがないインジェクタ同士で構成している。
各コイル101a〜104aの下流側の端部は、ECU100の端子INJ1,INJ2,INJ3,INJ4を介して気筒選択用のトランジスタ(以下「気筒選択トランジスタ」という)T10,T20,T30,T40の一方の出力端子にそれぞれ接続されている。そして、それら各気筒選択トランジスタT10〜T40の他方の出力端子は、インジェクタのグループ毎に電流検出抵抗R10,R20を介してグランドラインに接続(接地)されている。
このため、気筒♯1,気筒♯3に対応した気筒選択トランジスタT10,T30を介して第1グループのインジェクタ101,103のコイル101a,103aに流れる電流が、電流検出抵抗R10に生じる電圧として検出され、気筒♯2,♯4に対応した各気筒選択トランジスタT20,T40を介して第2グループのインジェクタ102,104のコイル102a,104aに流れる電流が、電流検出抵抗R20に生じる電圧として検出される。尚、ECU100内にスイッチング素子として設けられている各トランジスタT00,T10〜T12,T20〜T22,T30,T40は、全てMOSFETである。
また、ECU100は、定電流制御用の2つのトランジスタ(以下「定電流トランジスタ」という)T11,T21と、放電用の2つのトランジスタ(以下「放電用トランジスタ」という)T12,T22と、4つのダイオードD11,D12,D21,D22と、2つのコンデンサC10,C20と、マイコン10と、インジェクタドライバIC20と、昇圧回路40と、充電電圧検出回路50とを備えている。
2つのコンデンサC10,C20のうち一方のコンデンサ(以下「第1のコンデンサ」ともいう)C10は、第1グループのインジェクタ101,103を開弁させるための電気エネルギーを蓄電するためのものであり、他方のコンデンサ(以下「第2のコンデンサ」ともいう)C20は、第2グループのインジェクタ102,104を開弁させるための電気エネルギーを蓄電(充電)するためのものである。
2つの放電用トランジスタT12,T22のうち一方の放電用トランジスタ(以下「第1の放電用トランジスタ」ともいう)T12は、第1のコンデンサC10から第1グループのインジェクタ101,103のコイル101a,103aへ開弁のための大電流を供給するためのものであり、他方の放電用トランジスタ(以下「第2の放電用トランジスタ」ともいう)T22は、第2のコンデンサC20から第2グループのインジェクタ102,104のコイル102a,104aへ開弁のための大電流を供給するためのものである。
2つの定電流トランジスタT11,T21のうち一方の定電流トランジスタ(以下「第1の定電流トランジスタ」ともいう)T11は、第1グループのインジェクタ101,103のコイル101a,103aへ、開弁後にその開弁状態を保持させるための一定の電流(保持電流)を流すためのものであり、他方の定電流トランジスタ(以下「第2の定電流トランジスタ」ともいう)T21は、第2グループのインジェクタ102,104のコイル102a,104aへ、開弁後にその開弁状態を保持させるための保持電流を流すためのものである。
充電電圧検出回路50は、各コンデンサC10,C20の充電電圧VCHGをそれぞれ検出するための回路である。即ち、第1のコンデンサC10の充電電圧VCHGは、2つの分圧抵抗R11,R12にて分圧され、その分圧値が、第1のコンデンサC10の充電電圧VCHGを示す値としてインジェクタドライバIC20へ入力される。第2のコンデンサC20の充電電圧VCHGは、2つの分圧抵抗R21,R22にて分圧され、その分圧値が、第2のコンデンサC20の充電電圧VCHGを示す値としてインジェクタドライバIC20へ入力される。
尚、充電電圧検出回路50からインジェクタドライバIC20に入力される上記各分圧値は、当然ながら、各コンデンサC10,C20の充電電圧VCHGと同値ではないが、充電電圧VCHGを間接的に示す値である。そのため、以下の説明では、説明の便宜上、インジェクタドライバIC20には各コンデンサC10,C20の各充電電圧VCHGの値がそれぞれ入力されるものとして説明する。
昇圧回路40は、直流電源としての車載バッテリ60の直流電圧(バッテリ電圧)VB(本例では例えば12V)を昇圧して、そのバッテリ電圧VBよりも高い電圧を生成して各コンデンサC10,C20を充電する。
より具体的には、昇圧回路40は、インダクタL00と、充電用のトランジスタ(以下「充電用トランジスタ」という)T00とを備えている。インダクタL00は、一端がバッテリ電圧VBの供給される電源ラインLpに接続され、他端が充電用トランジスタT00の一方の出力端子(ドレイン)に接続されている。充電用トランジスタT00の他方の出力端子(ソース)は接地されている。充電用トランジスタT00のゲート端子は、インジェクタドライバIC20内の充電制御部21に接続され、この充電制御部21の出力に応じて充電用トランジスタT00がオン/オフされる。
更に、インダクタL00と充電用トランジスタT00との接続点に、逆流防止用の第1のダイオードD13を介して第1のコンデンサC10の一端(正極側端子)が接続され、同じくその接続点に、逆流防止用の第2のダイオードD23を介して第2のコンデンサC20の一端(正極側端子)が接続されている。そして、各コンデンサC10,C20の他端(負極側端子)は接地されている。
この昇圧回路40においては、充電用トランジスタT00がオン/オフされると、インダクタL00と充電用トランジスタT00との接続点に、バッテリ電圧VBよりも高いフライバック電圧(逆起電圧)が発生し、そのフライバック電圧により、各ダイオードD13,D23を通じて各コンデンサC10,C20が充電される。これにより、各コンデンサC10,C20がバッテリ電圧VBよりも高い電圧に充電される。なお、各コンデンサC10,C20は、後述するように、充電制御部21によって、充電電圧VCHGが予め設定された目標充電電圧Vt(本発明の規定充電電圧の一例に相当)になるように制御される。
第1の放電用トランジスタT12は、第1のコンデンサC10から第1コモン端子COM1に接続されている第1グループのコイル101a,103aへ放電させるために設けられている。この第1の放電用トランジスタT12がオンされると、第1のコンデンサC10の正極側端子(高電圧側の端子)が第1コモン端子COM1に接続される。
同様に、第2の放電用トランジスタT22は、第2のコンデンサC20から第2コモン端子COM2に接続されている第2グループのコイル102a,104aへ放電させるために設けられており、その第2のトランジスタT22がオンされると、第2のコンデンサC20の正極側端子が第2コモン端子COM2に接続される。
また、第1の定電流トランジスタT11は、第1コモン端子COM1に接続された第1グループのコイル101a,103aに保持電流を流すために設けられている。気筒♯1に対応した気筒選択トランジスタT10又は気筒♯3に対応した気筒選択トランジスタT30の何れかがオンされている状態で、第1の定電流トランジスタT11がオンされると、各気筒選択トランジスタT10,T30のうちでオンされている方に接続されているコイル(101a又は103a)に、電源ラインLpから逆流防止用のダイオードD11を介して電流が流れる。尚、ダイオードD12は、コイル101a、103aに対する定電流制御のための帰還ダイオードであり、各気筒選択トランジスタT10,T30の何れかがオンされている状態で第1の定電流トランジスタT11がオンからオフされた時に、コイル101a,103aに電流を還流させるものである。
同様に、第2の定電流トランジスタT21は、第2コモン端子COM2に接続された第2グループのコイル102a,104aに保持電流を流すために設けられている。気筒♯2に対応した気筒選択トランジスタT20又は気筒♯4に対応した気筒選択トランジスタT40の何れかがオンされている状態で、第2の定電流トランジスタT21がオンされると、各気筒選択トランジスタT20,T40のうちでオンされている方に接続されているコイル(102a又は104a)に、電源ラインLpから逆流防止用のダイオードD21を介して電流が流れる。尚、ダイオードD22は、コイル102a、104aに対する定電流制御のための帰還ダイオードであり、各気筒選択トランジスタT20,T40の何れかがオンされている状態で第2の定電流トランジスタT21がオンからオフされた時に、コイル102a,104aに電流を還流させるものである。
尚、各定電流トランジスタT11,T21は、それぞれインジェクタドライバIC20に備えられた定電流制御部23によってオン/オフ制御され、このオン/オフ制御により上記保持電流が流れる。
マイコン10は、CPU11、ROM12、RAM13などからなる周知の構成である。マイコン10は、エンジン回転数Ne、アクセル開度ACC、エンジン水温THW、コモンレール内の燃料の圧力であるレール圧Prなど、各種センサにて検出されるエンジンの運転情報に基づいて、各気筒♯1〜♯4毎の駆動信号TQを生成してインジェクタドライバIC20に出力する。なお、駆動信号TQは、気筒毎に生成されてそれぞれ個別にインジェクタドライバIC20へ出力(パラレル伝送)されるものであるが、図1では、マイコン10からインジェクタドライバIC20への駆動信号TQの伝送線を一本の線で簡易的に図示している。
駆動信号TQは、その信号のレベルがハイレベル(Hレベル)の間だけ、対応するインジェクタのコイルに通電する(つまり、対応する気筒のインジェクタを開弁させる)、という意味を持っている。
インジェクタドライバIC20は、充電制御部21と、放電制御部22と、定電流制御部23と、気筒スイッチ制御部24と、電流検出部25とを備えている。
充電制御部21は、充電用トランジスタT00をオン/オフ駆動させることにより各コンデンサC10,C20を充電する。具体的には、充電制御部21は、第1コンデンサC10又は第2コンデンサC20の何れかからの放電が行われる毎に、その放電停止後、次の放電が開始されるまでの間に、充電用トランジスタT00をオン/オフ駆動させて充電を行わせる。その際、充電電圧検出回路50により検出される各コンデンサC10,C20の充電電圧VCHGをそれぞれ充電電圧モニタ部31,32がモニタして、各充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtになると、充電用トランジスタT00をオフのままにすることで各コンデンサC10,C20の充電を止める。
各充電電圧モニタ部31、32は、各コンデンサC10,C20の充電電圧VCHGをモニタする機能を有すると共に、対応するコンデンサが目標充電電圧Vtに充電されているか否かを示す満充電検出信号CHGT(本発明の充電状態検出信号の一例に相当)を生成してマイコン10へ出力する。満充電検出信号CHGTは、図2に示すように、対応するコンデンサの充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtに達しているときはHレベルとなり、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtを下回るとLレベルとなるような信号である。なお、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtを下回ったことを判断するための電圧低下判断基準値VILと、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtに到達したことを判断するための目標到達判断基準値VIHとの間にはヒステリシスが設けられている。即ち、目標到達判断基準値VIHは目標充電電圧Vtと同値であるが、電圧低下判断基準値VILは目標到達判断基準値VIHよりもわずかに低い値に設定されている。
満充電検出信号CHGTは、マイコン10において、例えばダイアグ検出などの種々の用途で用いられるが、本実施形態では特に、後述するように、各インジェクタ101〜104の劣化(主には各コイル101a〜104aの電気的特性の劣化(抵抗値の増加))の状態を検出するためにも用いられる。
電流検出部25は、各電流検出抵抗R10,R20により検出された電流(駆動電流INJ)に基づき、その駆動電流INJを放電制御部22および定電流制御部23へ通知する。
気筒スイッチ制御部24は、マイコン10からの気筒毎の駆動信号TQに基づき、各気筒選択トランジスタT10〜T40のゲートへ、対応する駆動信号TQと同じ論理レベルの気筒選択信号を出力する。例えば、気筒♯1に対応した駆動信号TQがローレベル(Lレベル)の間は、気筒スイッチ制御部24は対応する気筒選択トランジスタT10へLレベルの気筒選択信号を出力してこの気筒選択トランジスタT10をオフさせる。逆にその駆動信号TQがHレベルの間は、気筒スイッチ制御部24は対応する気筒選択トランジスタT10へHレベルの気筒選択信号を出力してこの気筒選択トランジスタT10をオンさせる。
放電制御部22は、マイコン10からの気筒毎の駆動信号TQに基づいて各放電用トランジスタT12,T22をオンさせ、そのオン後、電流検出部25からの駆動電流INJに基づいてそのオンさせている放電用トランジスタをオフさせる。より具体的には、放電制御部22は、第1グループの気筒♯1,♯3の何れかに対応した駆動信号TQがHレベルになったときに第1の放電用トランジスタT12をオンさせる。このとき、駆動信号TQに基づいて対応する気筒選択トランジスタもオンされるため、第1のコンデンサC10から第1グループの各コイル101a,103aの何れか(気筒選択トランジスタがオンされている方)への放電が開始される。そして、そのオン後、電流検出部25により検出される第1グループの駆動電流INJが、予め設定されたピーク電流閾値Ithに達したら、第1の放電用トランジスタT12をオフさせることにより第1のコンデンサC10からの放電を停止させる。
第2グループについても同様であり、第2グループの気筒♯2,♯4の何れかに対応した駆動信号TQがHレベルになったときに第2の放電用トランジスタT22をオンさせる。このとき、駆動信号TQに基づいて対応する気筒選択トランジスタもオンされるため、第2のコンデンサC20から第2グループの各コイル102a,104aの何れか(気筒選択トランジスタがオンされている方)への放電が開始される。そして、そのオン後、電流検出部25により検出される第2グループの駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに達したら、第2の放電用トランジスタT22をオフさせることにより第2のコンデンサC20からの放電を停止させる。
定電流制御部23は、マイコン10からの気筒毎の駆動信号TQに基づいて各定電流トランジスタT11,T21を個別にオン/オフさせることにより、対応するグループのコイルに保持電流を流す。より具体的には、定電流制御部23は、第1グループの気筒♯1,♯3の何れかに対応した駆動信号TQがHレベルになっている期間中、第1グループの駆動電流INJが一定の保持電流となるように、第1の定電流トランジスタT11をオン/オフ駆動(デューティ駆動)する。なお、第1のコンデンサC10から放電が行われることにより駆動電流INJが保持電流を上回っている間は、第1の定電流トランジスタT11はオフされる。第2グループについても同様である。
このように構成されたECU100による各インジェクタ101〜104の制御について、図2を用いてより具体的に説明する。マイコン10は、各気筒♯1〜♯4の各コイル101a〜104aへの通電開始タイミング及び通電時間を個別に制御することにより、各インジェクタ101〜104を所定の順序でそれぞれ所定期間(上記通電時間)開弁させる。
なお、各気筒♯1〜♯4の各インジェクタ101〜104の制御は、通電開始タイミングは個々に異なるものの、噴射1回毎の制御内容は基本的に同じである。そのため、以下、図2および後述する図3〜図6を用いた説明においては、各インジェクタ101〜104のうち代表として気筒♯1のインジェクタ101を対象として説明する。即ち、気筒♯1のインジェクタ101をどのように制御するかについて詳しく説明することとし、他の各気筒♯2〜♯4の制御内容については詳細説明を省略する。
図2に実線で示すように、マイコン10は、気筒♯1のインジェクタ101を開弁させるタイミング(時刻t1)が到来すると、その気筒♯1に対応した駆動信号TQをHレベルにする。なお、駆動信号TQがLレベルの間は、気筒♯1に対応した気筒選択トランジスタT10、第1の放電用トランジスタT12および第1の定電流トランジスタT11は何れもオフされ、インジェクタ101は閉弁状態にある。また、第1のコンデンサC10は、昇圧回路40によって目標充電電圧Vtに充電されているため、インジェクタドライバIC20からマイコン10に入力される満充電検出信号CHGTはLレベルとなっている。
時刻t1で駆動信号TQがHレベルになると、気筒♯1に対応した気筒選択トランジスタT10がオンされると共に、第1の放電用トランジスタT12がオンされ、さらに第1の定電流トランジスタT11のオン/オフ駆動が開始される。そのため、第1のコンデンサC10に充電されている高電圧の電気エネルギーがコイル101aへ放電され、コイル101aへ大電流が流れる。即ち、図2に示すように、コイル101aに流れる駆動電流INJが急上昇していく。
また、時刻t1で第1のコンデンサC10からの放電が開始されると、図2に示すように、第1のコンデンサC10の充電電圧VCHGは徐々に低下していく。そのため、満充電検出信号CHGTは時刻t1でHレベルになる。なお、満充電検出信号CHGTがHレベルになるタイミングは、厳密には、時刻t1で放電が開始された後、充電電圧VCHGが電圧低下判断基準値VIL以下になったときであるが、時刻t1との時間差は、無視し得る程度の微小な時間である。そのため、本実施形態では、放電が開始された時刻t1で満充電検出信号CHGTがHレベルになるものとして説明する。
時刻t1で第1のコンデンサC10からコイル101aへの放電が開始された後、コイル101aの駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに到達すると(時刻t2)、インジェクタ101が開弁し、気筒♯1への燃料噴射が開始される。
また、時刻t2で駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに到達すると、第1の放電用トランジスタT12がオフされ、これにより第1のコンデンサC10からの放電が停止される。そのため、時刻t2以後、駆動電流INJはピーク電流閾値Ithから低下していき、一定の保持電流に保持される。
また、時刻t2で第1の放電用トランジスタT12がオフされると、昇圧回路40が動作して、第1のコンデンサC10の充電を開始し、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtに達するまで充電が行われる。そして、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtに達すると(時刻t5)、満充電検出信号CHGTはLレベルになる。
時刻t1から所定の通電時間が経過したことにより、マイコン10からの駆動信号TQがLレベルになると(時刻t4)、第1の定電流トランジスタT11および気筒選択トランジスタT10が共にオフされ、これによりコイル101aへの通電が停止される。これにより、インジェクタ101aは閉弁し、気筒♯1への燃料噴射が停止される。
つまり、1回の噴射動作で、時刻t2〜時刻t4の期間中にインジェクタ101が開弁して燃料噴射が行われる。マイコン10は、1回の噴射毎に、放電開始(時刻t1)から実際に開弁する(時刻t2)までの時間を考慮した上で、所望の量の燃料が噴射されるよう、通電開始タイミング(時刻t1)および通電時間(即ち通電終了タイミング(時刻t4))を演算して、駆動信号TQを出力する。
また、放電開始から駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに到達するまでの、時刻t1〜時刻t2の時間(以下「放電時間」ともいう。本発明の規定開弁所要時間の一例に相当。)は、設計段階等において、コイル101aの電気的特性(例えばインダクタンス値や抵抗値など)に基づいて、あるいは実験的に、予め得られるものである。そのため、マイコン10は、基本的には、その予め得られた放電時間を考慮して、駆動信号TQを生成する。
ところが、インジェクタ101は、経年により、あるいは他の種々の要因により、電気的特性が劣化し、これにより上記放電時間は、初期(例えば車両完成時)の放電時間よりも長くなる。そのため、図2に一点鎖線で示すように、放電時の駆動電流INJの上昇傾きが鈍く(緩やかに)なる。なお、図2に実線で示した各動作波形は、電気的特性の劣化がない初期の動作波形例を示している。
このように放電時の駆動電流INJの上昇傾きが鈍くなるようなインジェクタ101の劣化(特に電気的特性の劣化)の具体的態様は種々考えられるが、そのうち主なものは、コイル101aの抵抗値の増加である。コイル101aの抵抗値が増加すると、その分、駆動電流INJの上昇傾きは鈍くなる。
コイル101aの電気的特性の劣化により放電時の駆動電流INJの上昇傾きが鈍くなると、当然ながら、駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに到達するまでの時間、即ち放電開始からインジェクタ101が開弁するまでの所要時間も長くなる。即ち、図2に示すように、劣化のない状態では時刻t2でインジェクタ101が開弁するのに対し、劣化が進むと、時刻t2よりも応答遅れ時間TDだけ遅い時刻t3で、駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに到達してインジェクタ101が開弁する。つまり、開弁タイミングが応答遅れ時間TD(本発明の開弁所要時間差の一例に相当)だけ遅れてしまう。
そのため、インジェクタ101の開弁時間は、劣化のないときは時刻t2〜t4までの時間であり、本来この時刻t2〜t4の時間インジェクタ101を開弁することで所望の量の燃料を噴射できるのに対し、劣化により開弁タイミングが上記応答遅れ時間TDだけ遅れると、開弁タイミングが本来のタイミングよりも遅れてしまうのに加え、開弁時間も時刻t3〜t4と短くなる。即ち、開弁時間が所望の開弁時間よりも応答遅れ時間TDだけ短くなってしまい、その分、燃料噴射量も所望の量より少なくなってしまう。
そこで本実施形態では、ECU100において、マイコン10が応答遅れ時間TDを検出することによってインジェクタ101の劣化状態を間接的に検出し、その検出した応答遅れ時間TDだけ通電開始タイミングを早めることで、結果的に燃料噴射量が劣化のない場合と同じ量になるようにしている。
インジェクタ101の劣化状態、即ち応答遅れ時間TDを検出する方法として、例えば、通電開始タイミングから駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに到達するまでの時間を計測し、その計測した時間を劣化のないときの時間と比較する方法が考えられる。
しかし、この方法を採用するためには、別途、電流検出抵抗R10の検出値をマイコン10に取り込むための配線や、その取り込んだ検出値をマイコン10内でAD変換するための配線や各種回路(差動増幅回路等)を追加する必要がある。ECU100のコストやマイコン10のコストを考慮すると、このように新たな配線や回路等が必要となるような方法を採用するのはできる限り避けることが望ましい。
一方、駆動電流INJがピーク電流閾値Ithに達して第1のコンデンサC10からの放電が停止されると、既述の通り、第1のコンデンサC10への充電が開始されるわけだが、充電が開始されてから目標充電電圧Vtに充電されるまでの充電電圧VCHGの上昇傾きは、インジェクタ101の劣化とは基本的には無関係であり、インジェクタ101の劣化があってもなくても同じである。そのため、放電時の電流上昇傾きの鈍化により生じる応答遅れ時間TDは、そのまま、放電終了後に第1のコンデンサC10が充電される際の、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtに到達する時間の差となって現れる。
即ち、図2に示すように、放電終了後の第1のコンデンサC10の充電は、劣化のない場合には時刻t2で開始されるのに対し、劣化のある場合は時刻t3で開始され、両者の差は応答遅れ時間TDである。一方、充電開始後の充電電圧VCHGの上昇傾きは、劣化の有無にかかわらず同じである。
そのため、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtに到達するタイミングは、劣化のない場合は時刻t5であってこの時刻t5で満充電検出信号CHGTがLレベルになるのに対し、劣化のある場合は、時刻t5よりも応答遅れ時間TDだけ遅い時刻t6となり、満充電検出信号CHGTもこの時刻t6でLレベルになる。つまり、満充電検出信号CHGTがHレベルからLレベルに立ち下がるタイミングが、応答遅れ時間TDだけ遅れることになる。そのため、満充電検出信号CHGTを用いることによっても、応答遅れ時間TDを検出することができる。なお、時刻t5〜時刻t6の間の応答遅れ時間TDは本発明の充電遅れ時間の一例に相当する。
そして、満充電検出信号CHGTは、図1および上記説明から明らかなように、ECU100において、インジェクタドライバIC20からマイコン10へ入力されるよう構成されている。つまり、ECU10はもともと、充電制御部21にて満充電検出信号CHGTを生成してそれをマイコン10へ出力する機能を備えている。
そこで本実施形態では、マイコン10が、満充電検出信号CHGTを用いて応答遅れ時間TDを検出し、その応答遅れ時間TDだけ、通電開始タイミング(即ち駆動信号TQをHレベルに立ち上げるタイミング)を早めるよう補正するようにしている。
図3を用いて、通電開始タイミングの補正の概要を説明する。図3(a)は、インジェクタ101の劣化がなく通電開始タイミングの補正を行わない(行う必要のない)場合のECU100の動作例を示すものであり、図2に実線で示した各波形例と同じである。また、図3(b)は、インジェクタ101に経年劣化(電気的特性の劣化)が生じた場合のECU100の動作例を示すものであり、このうち一点鎖線で示した各波形例は、劣化が生じているものの補正を行っていない場合の波形例であり、図2に一点鎖線で示した各波形と同じである。これに対し、図3(b)に実線で示した各波形例は、通電開始タイミングの補正を行った場合の波形例である。
図3(b)に示すように、インジェクタ101の劣化によって開弁タイミングが応答遅れ時間TDだけ遅れるようになると、充電電圧VCHGが目標充電電圧Vtに到達するタイミング、即ち満充電検出信号CHGTがHレベルからLレベルに立ち下がるタイミングも、応答遅れ時間TDだけ遅れる。
そこでマイコン10は、満充電検出信号CHGTに基づいてその応答遅れ時間TDを算出する。そして、図3(b)に示すように、その算出した応答遅れ時間TDを、インジェクタ劣化補正値THとして、通電開始タイミングを、正規のタイミング(時刻t1)よりもそのインジェクタ劣化補正値THだけ早いタイミング(時刻t0)に補正する。
このように通電開始タイミングを補正することで、時刻t0での通電開始後、駆動電流INJは劣化なしの場合よりも緩やかに上昇していくものの、所望の開弁タイミングである時刻t2でピーク電流閾値Ithに到達してインジェクタ101が開弁する。そのため、開弁タイミングおよび開弁時間を、いずれも劣化のない場合と同じタイミング、時間にすることができ、これにより燃料噴射開始時期および燃料噴射量を、いずれも劣化のない場合と同じ噴射開始時期、噴射量にすることができる。
次に、上記補正を実現するためにマイコン10が実行する噴射タイミング補正メイン処理について、図4を用いて説明する。マイコン10のCPU11は、自身に動作用電源が供給されてその動作を開始すると、図4の噴射タイミング補正メイン処理を実行する。なお、図4の噴射タイミング補正メイン処理による各種補正演算は、4つのインジェクタ101〜104それぞれについて個別に行われ、インジェクタ毎に個別にインジェクタ劣化補正値THが算出されるのであるが、ここでも、代表として気筒♯1のインジェクタ101についてインジェクタ劣化補正値THを算出して燃料噴射を行うことに絞って説明する。
マイコン10のCPU11は、この噴射タイミング補正メイン処理を開始すると、まずS110で、完成後(出荷後)の車両の総走行距離が補正開始距離以上であるか否か判断する。補正開始距離は、本発明の初期設定タイミングの一例に相当するものであって、インジェクタ101の劣化がまだ生じていない(あるいはほとんど生じていない)と見なせる比較的短い距離を適宜設定することができ、本例では例えば10kmである。
総走行距離が補正開始距離未満である場合は(S110:NO)、S120で、噴射制御を「インジェクタ劣化補正なし通常噴射」に設定して、S110に戻る。つまり、通電開始タイミングを補正せずに正規の通電開始タイミングで通電を開始させる(駆動信号TQを立ち上げる)ように設定する。これを受け、この噴射タイミング補正メイン処理とは別に並行して実行されている燃料噴射制御処理においては、インジェクタ101を、通電開始タイミングを補正することなく通常噴射制御にて制御・駆動する。図3の例でいえば、時刻t1で通電を開始させる。
総走行距離が補正開始距離以上になった場合は(S110:YES)、S130で、補正基準値Trefはすでにメモリ(RAM13)に保存されているか否か判断する。この補正基準値Trefは、後述する図5のS330でメモリに保存されるものである。そのため、CPU11が動作開始に初めてS130の判断処理を行う際は、通常は補正基準値Trefはまだメモリに保存されていない。
S130で、補正基準値Trefがすでにメモリに保存されている場合は、S150に進むが、まだメモリに保存されていない場合は、S140に進み、補正基準値算出処理を行う。この補正基準値算出処理は、噴射が安定状態のときに満充電検出信号CHGTのオン時間(Hレベルの時間)を計測し、その計測値を補正基準値Trefとしてメモリに保存する処理である。
S140の補正基準値算出処理の詳細は図5に示す通りであり、まずS210にて、変数nを1にセットする。そしてS220で、インジェクタ101からの噴射が安定状態であるか否か判断する。ここで、噴射が安定状態とは、例えば、車両が減速中あること、アイドル中であること、あるいはそれらに加えて車両の電気負荷が無負荷状態か負荷があってもその変動がない安定した状態であること、などの、噴射量の変動が生じない状態を示すものである。本実施形態では、上記例示したような、噴射が安定状態であると判断できる一又は複数の条件(本発明の噴射安定条件の一例に相当)が予め設定されており、CPU11は、それら条件のいずれかを満たした場合に、噴射が安定状態であると判断する。
S220で噴射が安定状態ではないと判断した場合は、S230で、安定状態継続フラグをクリアする。そして、S240で、噴射制御を「インジェクタ劣化補正なし通常噴射」に設定して、S220に戻る。
S220で噴射が安定状態であると判断した場合は、S250で、安定状態継続フラグがセット中であるか否か判断する。即ち、前回の安定状態がそのまま継続中であるか否かを判断する。安定状態継続フラグは、S260でセットされるものであるため、CPU11の動作開始後初めてこのS250の判断処理を行う際、またはS230で安定状態継続フラグがクリアされた状態のときは、安定状態継続フラグはまだセットされていないことになる。
S250で、安定状態継続フラグがまだセットされていない場合は(S250:NO)、S260で、安定状態継続フラグをセットして、S270に進む。即ち、満充電検出信号CHGTのオン時間Tnの計測に進む。一方、S250で、安定状態継続フラグがセット中ならば(S250:YES)、S240で噴射制御を「インジェクタ劣化補正なし通常噴射」に設定して、S220に戻る。
安定状態継続フラグがセット中ということは、前回のS220の判断処理においても噴射が安定状態と判断されており(つまりあるタイミングで安定状態と判断されてからその状態が継続しており)、その安定状態と判断されたときにすでに1回、S270以降に進んでオン時間Tnを計測済みであるということである。
本実施形態では、後述するように、S270以降の処理を複数回(N回。例えばN=10。)行うことで、オン時間TnをN回計測し、そのN回分のオン時間Tn(T1〜TN)の平均値を、補正基準値Trefとして算出する。このN回は、本発明の演算用噴射回数の一例に相当するものである。オン時間TnをN回計測するにあたり、例えば、噴射が安定状態になっている期間中に連続してオン時間Tnを計測するようにしてもよい。しかし、同じ安定状態が継続している間(本発明の安定状態継続期間の一例に相当)にN回計測してその平均をとるよりも、異なる安定状態毎に1回または複数回計測してその平均をとった方が、より精度の高い補正基準値Trefを算出することができる。
そこで本実施形態では、噴射が安定状態と判断されてオン時間Tnを一度計測したら、同じ安定状態が継続している間はオン時間Tnを再度計測しない(S270以降に進まない)ようにしている。つまり、同じ安定状態1回につきオン時間Tnの計測は1回(本発明の制限回数の一例に相当)だけ行うようにしている。そのため、S250で、安定状態継続フラグがセット中の場合は、オン時間Tnの計測(S270以降)に進むことなく、S240を経てS220に戻るようにしている。
例えば車両が信号待ち等で停車してアイドル状態になったことにより噴射が安定状態になると(S220:YES)、安定状態継続フラグがセットされて(S260)、オン時間Tnの計測が一度行われる(S280)。そして、その安定状態がしばらく継続した後に車両が再び動き出すと、噴射の安定状態が解除され(S220:NO)、安定状態継続フラグがクリアされる(S230)。その後、例えば車両が下り坂を下り始め、これにより減速走行が開始されると、再び噴射が安定状態となる(S220:YES)。すると、その再度安定状態となってから初めてのS250の処理で否定判定されてS260に進み、安定状態継続フラグをセットした上で、再びオン時間Tnの計測が行われる(S280)。
S270以降の処理についてより詳しく説明する。S270では、噴射制御を「一定量噴射」に設定する。これは即ち、既述の通常噴射とは異なり、オン時間Tnを計測することを目的としたごくわずかな一定量の噴射を行わせるための設定である。S270で噴射制御を「一定量噴射」に設定すると、別途実行されている燃料噴射制御処理において一定量の噴射が行われる。S280では、その一定量噴射が行われた際の満充電検出信号CHGTのオン時間Tnを計測する。そして、S290で、その計測したオン時間Tnをメモリに保存する。ここで保存したオン時間Tnは、インジェクタ101の劣化がない状態のオン時間Tnであって、本発明の規定充放電所要時間の一例に相当するものであり、図2,図3においては時刻t1〜時刻t5の間の時間に相当する。
S300では、変数nがN以上であるか否か判断する。即ち、オン時間Tnの計測をすでにN回行ってN個の計測値がメモリに保存されているか否か判断する。変数nがまだN以上でなければ、S310でnに1を加算してS220に戻るが、変数nがN以上の場合は、S320で、計測したN回分のオン時間Tnを平均化処理して補正基準値Trefを算出する。本実施形態では、次式(1)に示すように相加平均を演算する。
Tref=(ΣTn)/N ・・・(1)
そして、S330で、上記算出した補正基準値Trefをメモリに保存する。さらに、現時点(総走行距離が補正開始距離(本例では10km)のとき)はまだ劣化が生じておらず、しばらくの間はまだ通電開始タイミングを早める補正をする必要はないとして、S340で、インジェクタ劣化補正値THを初期値0としてメモリに保存する。そして、S350で、現時点での総走行距離をメモリに保存(既に保存されている場合は新たに書き換え)し、この補正基準値算出処理を終了する。
この図5の補正基準値算出処理を行った後は、S150(図4)に進み、前回学習後の走行距離が補正値学習距離以上であるか否か判断する。なお、前回学習後とは、前回のS160の処理でインジェクタ劣化補正値THを算出した後という意味であるが、S140で補正基準値Trefを算出した後に初めてS150の判断処理に進んできた場合は、そのS150で補正基準値Trefを算出した後という意味である。
インジェクタ101の経年劣化は、通常、短時間(短い走行距離)でどんどん進んでいくわけではなく、比較的長い時間をかけて徐々に進んでいくものである。そのため、例えば1km走行毎に劣化状態を検出する(即ちインジェクタ劣化補正値THを算出する)ようにしても、そのようなごく短い走行距離では劣化状態はほとんど変わらない。つまり、短い間隔でインジェクタ劣化補正値THを算出・更新するのは、非効率的であって無駄が多い。
そこで本実施形態では、インジェクタ101の劣化がある程度進む可能性がある十分長い距離(即ち上記の補正値学習距離。例えば1000km。)走行する毎に、S160のインジェクタ劣化補正値学習処理を行ってインジェクタ劣化補正値THを算出・更新するようにしている。なお、補正値学習距離は本発明の更新用走行距離の一例に相当するものであり、S150で肯定判定されるタイミングが、本発明の更新タイミングの一例に相当するものである。
S150で、前回学習後の走行距離がまだ補正値学習距離以上でない場合は、S170に進み、噴射制御を「インジェクタ劣化補正あり通常噴射」に設定して、S150に戻る。「インジェクタ劣化補正あり通常噴射」とは、図3(b)で説明したように、通電開始タイミングを、本来通電開始させるべき正規のタイミング(図3(b)の時刻t1)よりもインジェクタ劣化補正値THだけ早いタイミング(図3(b)の時刻t0)に補正してインジェクタ101への通電を行わせるための設定である。噴射制御を「インジェクタ劣化補正あり通常噴射」に設定することで、インジェクタ101への燃料噴射は、図3(b)に実線で例示したように、通電開始タイミングがインジェクタ劣化補正値THだけ早いタイミングから実行されることになる。
ただし、S140で補正基準値算出処理を行った後、最初に補正値学習距離以上走行するまでの間は、インジェクタ劣化補正値THは、図5のS340でメモリに保存した初期値0である。そのため、この間は実質的には補正は行われないことになる。
そして、車両の走行距離が延びていって、S150で、前回学習後の走行距離が補正値学習距離以上と判断された場合は、S160に進み、インジェクタ劣化補正値学習処理を行う。このインジェクタ劣化補正値学習処理は、噴射が安定状態のときに満充電検出信号CHGTのオン時間を計測し、その計測値と補正基準値Trefの差分からインジェクタ劣化補正値THを算出してメモリに保存(書き換え)する処理である。
S160のインジェクタ劣化補正値学習処理の詳細は図6に示す通りである。図6と図5を比較して明らかなように、図6のインジェクタ劣化補正値学習処理におけるS410〜S460の処理は、図5の補正基準値算出処理におけるS210〜S260の処理と比較して、S440以外は全く同じである。そのため、図6について、S410〜S430、S450およびS460の処理の詳細説明は省略する。つまり、インジェクタ劣化補正値THの算出は、後述するように応答遅れ時間TDをN回算出してその平均値をとることにより行うのであるが、その応答遅れ時間TDの算出を、噴射が安定した状態で、且つ同じ安定状態1回につき1回だけ行うのであり、それを実現するためにS410〜S460の処理を行うようにしている。
なお、S430で安定状態継続フラグをクリアした後、およびS450で安定状態継続フラグがセット中と判断した場合は、S440で、噴射制御を「インジェクタ劣化補正あり通常噴射」に設定する。つまり、現時点でメモリに保存されている最新のインジェクタ劣化補正値THを用いて通電開始タイミングを補正する。
図6のインジェクタ劣化補正値学習処理において、CPU11は、S450で安定状態継続フラグがセット中ではないと判断すると、S460で安定状態継続フラグをセットして、S470に進む。S470では、図5のS270と同じように、噴射制御を「一定量噴射」に設定する。つまり、オン時間Tnを計測することを目的としたごくわずかな一定量の噴射を行わせる。
S480では、その一定量噴射が行われた際の満充電検出信号CHGTのオン時間Tnを計測する。ここで計測したオン時間Tnは、インジェクタ101に劣化が生じている場合のオン時間Tnであって、本発明の実充放電所要時間に相当するものであり、図2,図3においては時刻t1〜時刻t6の間の時間に相当する。
そして、S490で、次式(2)により、計測したオン時間Tnと補正基準値Trefとの差分、即ち応答遅れ時間TDnを算出する。この応答遅れ時間TDnは、図2,図3における時刻t5〜時刻t6の間の時間に相当する。
TDn=Tn−Tref ・・・(2)
そして、S500で、その算出した応答遅れ時間TDnが妥当な値であるか否か判断する。算出した応答遅れ時間TDnが妥当な値であるか否かの判断基準は種々考えられるが、本実施形態では、前回算出してメモリに保存されている最新のインジェクタ劣化補正値THに対して今回算出した応答遅れ時間TDnの方が長くなっているか若しくは同じ値である場合(本発明の妥当条件の一例に相当)は妥当と判断し、逆に今回算出した応答遅れ時間TDnの方が短くなっている場合は妥当ではないと判断する。
即ち、前回インジェクタ劣化補正値THを算出し、その後車両が補正値学習距離(本例では1000km)以上走行した状態では、通常、多少なりともインジェクタ101は劣化していることが予想される。そのため、応答遅れ時間TDnは、前回算出したインジェクタ劣化補正値THよりも長くなっているはずである。そのため、今回算出した応答遅れ時間TDnが前回算出したインジェクタ劣化補正値TH以上ならばその応答遅れ時間TDnは妥当と判断し、前回算出したインジェクタ劣化補正値THより短くなっていたら妥当ではないと判断するようにしているのである。なお勿論、妥当な値であるか否かの判断基準は上記例に限定されるものではなく、適宜決めることができる。
S500で、応答遅れ時間TDnが妥当な値ではないと判断した場合は、その応答遅れ時間TDnをメモリに保存することなくS420に戻るが、妥当な値であると判断した場合は、S510で、その応答遅れ時間TDnをメモリに保存する。そしてS520で、変数nがN以上であるか否か判断する。即ち、妥当な値の応答遅れ時間TDnがN個メモリに保存されているか否か判断する。
変数nがまだN以上でなければ、S530でnに1を加算してS420に戻るが、変数nがN以上の場合は、S540で、メモリに保存されているN個の応答遅れ時間TDnを平均化処理してインジェクタ劣化補正値THを算出する。本実施形態では、次式(3)に示すように相加平均を演算する。
TH=(ΣTDn)/N ・・・(3)
なお、図6では図示を省略したが、妥当な値の応答遅れ時間TDnがメモリにN個保存される前に、S500で妥当な値ではないと判断された回数の累積値が所定回数に達した場合、或いは妥当な値ではないとの判断が連続して所定回数続いた場合は、今回のインジェクタ劣化補正値学習処理をキャンセル(終了)して、S170(図4)に進む。
S540でインジェクタ劣化補正値THを算出したら、S550で、その算出したインジェクタ劣化補正値THをメモリに保存(書き換え)する。つまり、S540で算出された、応答遅れ時間TDnの平均値を、新たなインジェクタ劣化補正値THとしてメモリに保存(メモリの保存値を更新)するのである。そして、S560で、現時点での総走行距離をメモリに保存(書き換え)して、このインジェクタ劣化補正値学習処理を終了し、S170に進む。
このように、本実施形態の噴射タイミング補正メイン処理では、車両の出荷後、総走行距離が補正開始距離(本例では10km)に到達すると、S140の補正基準値算出処理によって補正基準値Trefを算出する。そして、S140で補正基準値Trefを算出した後は、車両が補正値学習距離(本例では1000km)走行する毎に、S160のインジェクタ補正値学習処理によってインジェクタ劣化補正値THを算出・更新する。S140で補正基準値Trefを算出した後は、噴射制御は、基本的には「インジェクタ劣化補正あり通常噴射」に設定される(但し、インジェクタ劣化補正値THを算出する際には一時的に「インジェクタ劣化補正なし一定量噴射」に設定される。図6のS470参照。)。
そのため、S140で補正基準値Trefを算出した以後の通常噴射は、その時点での最新のインジェクタ劣化補正値THで通電開始タイミングが補正されて行われる。即ち、噴射が行われる毎に、その1回の噴射における通電開始タイミングが、インジェクタ101の劣化を考慮しない正規の通電開始タイミングよりも、その最新のインジェクタ劣化補正値THだけ早いタイミングに補正される。
したがって、本実施形態のECU100によれば、インジェクタ101の劣化状態によらず、同じ駆動信号TQに対するインジェクタ101の開弁時間(即ち噴射時間)を一定に保つことができ、これにより、インジェクタ101の劣化状態にかかわらず燃料噴射量を一定に保つことができる。
また、既述の通り、インジェクタ劣化補正値THの算出・更新は、気筒♯1のインジェクタ101だけでなく、他の各気筒♯2〜♯4の各インジェクタ102〜104についてもそれぞれ同様に行われる。そして、他の各気筒♯2〜♯4のいずれも、それぞれ対応する最新のインジェクタ劣化補正値THによって、噴射時の通電開始タイミングが補正される。
そのため、各インジェクタ101〜104の特性に個体差があっても、気筒毎に算出されるインジェクタ劣化補正値THによってその個体差をキャンセルすることができる。これにより、特性の個体差により生じる噴射量のバラツキを抑制することができ,安定した燃料噴射制御が可能となる。
また、上記実施形態では、インジェクタの劣化状態の検出、即ち開弁タイミングの遅れ時間TDの算出を、駆動電流INJに基づく演算ではなく、満充電検出信号CHGTのオン時間Tnに基づく演算により実現している。満充電検出信号CHGTは、既述の通り、インジェクタの劣化状態を検出するための専用の信号ではなく、別の目的でもともとインジェクタドライバIC20からマイコン10へ出力されるように構成されたものである。そのため、このようにもともと用意されている満充電検出信号CHGTを用いてインジェクタの劣化状態を検出することで、ECU100のコストアップを招くことなく劣化状態を検出して通電開始タイミングを補正することが可能となる。
また、上記実施形態では、インジェクタ劣化補正値THの算出・更新を、短い周期で行うのではなく、比較的長い補正値学習距離(本例では1000km)走行する毎に行っている。つまり、インジェクタの劣化状態を補正すべき必要十分な頻度で、且つできるかぎり低い頻度で、インジェクタの劣化状態の補正(インジェクタ劣化補正値THの更新)を行っている。そのため、CPU11が実行する他の各種演算処理に与える影響はほとんどない。
また、上記実施形態では、補正基準値Trefを算出するために必要な満充電検出信号CHGTのオン時間Tnの計測(図5のS280)、およびインジェクタ劣化補正値THを算出するために必要な満充電検出信号CHGTのオン時間Tnの計測(図6のS480)を、いずれも、噴射が安定状態のときに行うようにしている。そのため、オン時間Tnを高精度で計測することができ、ひいては補正基準値Trefやインジェクタ劣化補正値THを高精度で算出することができる。
加えて、噴射が安定状態のときに、インジェクタ劣化補正値THを考慮せず、且つ通常ユーザが気づくことのない一定量(例えば、アイドル時においては1mm3/ストロークというごく微量)の燃料を噴射させてオン時間Tnを計測することから、車両の運転者のドライバビリティに与える影響も皆無である。
さらに、上記実施形態では、補正基準値Trefを算出するために必要な満充電検出信号CHGTのオン時間Tnの計測(図5のS280)、およびインジェクタ劣化補正値THを算出するために必要な満充電検出信号CHGTのオン時間Tnの計測(図6のS480)を、いずれも、同じ安定状態の中では1回だけ行うようにしている。そのため、補正基準値Trefおよびインジェクタ劣化補正値THを高精度で算出することができる。
しかも、インジェクタ劣化補正値THを算出(S540)するために応答遅れ時間TDnをN個保存するにあたっては、応答遅れ時間TDnを算出する度にそれを無条件に保存していくのではなく、その算出した応答遅れ時間TDnが妥当な値であるか否か判断し(S500)、妥当な値である場合にのみその妥当な応答遅れ時間TDnをメモリに保存するようにしている。そのため、インジェクタ劣化補正値THをより高い精度で算出することができる。
[変形例]
本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、補正基準値算出処理(図4のS140)を、車両の総走行距離が補正開始距離(例えば10km)以上になってから行うようにしたが、これは必須ではなく、車両完成時や出荷時(つまりまだ総走行距離が0kmのとき)に行うようにしてもよい。
なお、補正基準値Trefの算出は、上記の補正基準値算出処理によって算出することは必須ではなく、例えば、車両の工場出荷時に工場でツール等を用いてメモリに書き込むことも可能である。しかしそのような方法では、車両の製造工数(工程)が増加してしまい、車両のコストアップを招く。そこで、上記実施形態のように、出荷後に車両がある程度走行した段階(ただしインジェクタの劣化がまだ生じない初期段階)で上記の補正基準値算出処理を行うことによりインジェクタ劣化補正値THを算出するように構成することで、製造時における作業者等によるデータ書き込み等の作業工程が不要となる。
また、上記実施形態では、S140の補正基準値算出処理(詳細は図5)におけるオン時間Tnの計測、およびS160のインジェクタ劣化補正値学習処理(詳細は図6)における応答遅れ時間TDnの算出を、いずれも、同じ安定状態の継続中に1回だけ行うようにしたが、これは必須ではなく、例えば、同じ安定状態1回につき複数回ずつ計測してもよい。或いは、同じ安定状態の継続中にN回全て計測してその平均値をとるようにしてもよい。ただし、補正基準値Trefやインジェクタ劣化補正値THをより高い精度で算出するためには、少なくとも、2回以上の異なる安定状態それぞれで計測して平均値をとるのが好ましい。
10…マイコン、11…CPU、12…ROM、13…RAM、20…インジェクタドライバIC、21…充電制御部、22…放電制御部、23…定電流制御部、24…気筒スイッチ制御部、25…電流検出部、31,32…充電電圧モニタ部、40…昇圧回路、50…充電電圧検出回路、60…車載バッテリ、100…ECU、101〜104…インジェクタ、101a〜104a…インジェクタ、C10,C20…コンデンサ、D11〜D13,D21〜D23…ダイオード、L00…インダクタ、Lp…電源ライン、R10,R20…電流検出抵抗、R11,R12,R21,R22…分圧抵抗、T00…充電用トランジスタ、T10,T20,T30,T40…気筒選択トランジスタ、T11,T21…定電流トランジスタ、T12,T22…放電用トランジスタ

Claims (8)

  1. コイル(101a)へ通電されることにより開弁して車両の内燃機関の気筒へ燃料を噴射するよう構成されたインジェクタ(101)の前記コイルに対し、通電開始タイミングでコンデンサ(C10)からの放電を開始させることにより前記インジェクタの開弁に必要な所定の電気エネルギーを前記コンデンサから前記コイルへ供給させ、前記電気エネルギーの供給により前記インジェクタを開弁させたら、前記コンデンサからの放電を停止させて前記コイルへ前記インジェクタの開弁状態を維持させるための所定の保持電流を供給させると共に前記コンデンサを規定充電電圧に充電するための充電を開始させ、前記通電開始タイミングから所定の通電時間が経過した通電終了タイミングで前記保持電流の供給を停止させることにより前記インジェクタを閉弁させて燃料噴射を終了させるインジェクタ駆動制御手段(20)と、
    前記通電開始タイミングおよび前記通電終了タイミングを設定する設定手段(10)と、
    前記通電開始タイミングから前記インジェクタが実際に開弁するまでの実際の時間である実開弁所要時間と規定開弁所要時間との差である開弁所要時間差を直接または間接的に示す開弁所要時間差情報を検出する開弁所要時間差情報検出手段(10)と、
    前記設定手段により設定された前記通電開始タイミングを、前記開弁所要時間差情報が示す前記開弁所要時間差だけ早いタイミングに補正する補正手段(10)と、
    を備えることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射制御装置であって、
    前記コンデンサの充電電圧を検出する充電電圧検出手段(50)と、
    前記充電電圧検出手段により検出された充電電圧が前記規定充電電圧以上であるか否かを検出してその検出結果を示す充電状態検出信号を出力する充電状態検出手段(21)と、
    を備え、
    前記開弁所要時間差情報検出手段(S480,S490,S540)は、
    前記通電開始タイミング後に前記コンデンサの充電電圧が前記規定充電電圧を下回ってから再び前記規定充電電圧に充電されるまでの実際の時間である実充放電所要時間を前記充電状態検出信号に基づいて計測する実充放電所要時間計測手段(S480)と、
    前記実充放電所要時間計測手段により計測された前記実充放電所要時間と規定充放電所要時間との差である充電遅れ時間を算出する充電遅れ時間算出手段(S490)と、
    を備え、前記充電遅れ時間算出手段により算出された前記充電遅れ時間を前記開弁所要時間差情報として検出し、
    前記補正手段(S170)は、前記設定手段により設定された前記通電開始タイミングを、前記充電遅れ時間だけ早いタイミングに補正する
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射制御装置であって、
    前記車両の出荷後の所定の初期設定タイミングで、前記設定手段に対して前記燃料を一定量噴射させるための前記通電開始タイミングおよび前記通電終了タイミングを設定させると共に、その設定させた前記各タイミングに基づいて前記補正手段を動作させることなく前記インジェクタ駆動制御手段を動作させることにより前記一定量の燃料を噴射させる第1の一定量噴射制御手段(10,S270)と、
    前記第1の一定量噴射制御手段により前記一定量の燃料の噴射を実行させたときに前記実充放電所要時間計測手段により計測された前記実充放電所要時間を前記規定充放電所要時間として設定する規定充放電所要時間設定手段(S330)と、
    を備えることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  4. 請求項3に記載の燃料噴射制御装置であって、
    所定の更新タイミングが到来する毎に、前記設定手段に対して前記燃料を一定量噴射させるための前記通電開始タイミングおよび前記通電終了タイミングを設定させると共に、その設定させた前記各タイミングに基づいて前記補正手段を動作させることなく前記インジェクタ駆動制御手段を動作させることにより前記一定量の燃料を噴射させる第2の一定量噴射制御手段(10,S470)を備え、
    前記充電遅れ時間算出手段は、前記第2の一定量噴射制御手段により前記一定量の燃料の噴射が実行されたときに前記実充放電所要時間計測手段により計測された前記実充放電所要時間と前記規定充放電所要時間に基づいて前記充電遅れ時間を算出する
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
  5. 請求項4に記載の燃料噴射制御装置であって、
    前記更新タイミングは、前記車両が予め設定した更新用走行距離以上走行する毎のタイミングである
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
  6. 請求項3〜請求項5の何れか1項に記載の燃料噴射制御装置であって、
    前記インジェクタ駆動制御手段による前記インジェクタへの前記燃料の噴射が、所定の噴射安定条件を満たした状態で行われているか否かを判断する安定状態判断手段(S220,S420)を備え、
    前記一定量噴射制御手段は、前記一定量の燃料の噴射を、前記安定状態判断手段により前記噴射安定条件を満たしていると判断されている場合に実行させる
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
  7. 請求項4または請求項5に記載の燃料噴射制御装置であって、
    前記インジェクタ駆動制御手段による前記インジェクタへの前記燃料の噴射が、所定の噴射安定条件を満たした状態で行われているか否かを判断する安定状態判断手段(S420)を備え、
    前記第2の一定量噴射制御手段(S450〜S470,S520,S530)は、前記安定状態判断手段により前記噴射安定条件を満たしていると判断されていない状態から前記噴射安定条件を満たしているとの判断に変わってその後その判断が再び前記噴射安定条件を満たしていないとの判断に変わるまでの期間を安定状態継続期間として、前記一定量の燃料の噴射を、前記安定状態継続期間中に実行させると共に、1つの前記安定状態継続期間中に実行させる前記一定量の燃料の噴射を予め設定した制限回数以下の回数に制限しつつ、前記一定量の燃料の噴射を予め設定した演算用噴射回数実行させ、
    更に、前記第2の一定量噴射制御手段により実行された前記演算用噴射回数の前記一定量の燃料噴射毎の、前記充電遅れ時間算出手段により算出された前記充電遅れ時間を平均化する平均化手段(S540)を備え、
    前記補正手段は、前記設定手段により設定された前記通電開始タイミングを、前記平均化手段による平均化後の前記充電遅れ時間だけ早いタイミングに補正する
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
  8. 請求項7に記載の燃料噴射制御装置であって、
    前記第2の一定量噴射制御手段により前記一定量の燃料噴射が実行される毎に、その一定量の燃料噴射に対して前記充電遅れ時間算出手段が算出した前記充電遅れ時間が予め設定した妥当条件を満たしているか否か判断する妥当性判断手段(S500)を備え、
    前記第2の一定量噴射制御手段は、前記一定量の燃料噴射を実行させたときに、前記妥当性判断手段により前記妥当条件を満たしていると判断されなかった場合は、その実行させた今回の前記一定量の燃料噴射は、前記演算用噴射回数としては計数しない
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
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