JP2014055101A - ガラス基板 - Google Patents

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宏師 小森
Nobuyoshi Miwa
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Abstract

【課題】基板寸法が1100mm×1250mm以上、特に2000mm×2000mm以上である場合に、ガラス基板の全面に亘って、溶融欠陥検査を適正に行うことにより、溶融欠陥がない大型のガラス基板を得ること。
【解決手段】本発明のガラス基板は、(1)基板寸法が1100mm×1250mm以上、(2)経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、(3)経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、各種電子放出素子を有する各種形式のフィールドエミッションディスプレイ(FED)等のフラットパネルディスプレイ用基板に好適なガラス基板に関するものである。
薄膜トランジスタ型アクティブマトリクスLCD(TFT−LCD)等の電子デバイスは、薄型で消費電力も少ないことから、カーナビゲーション、デジタルカメラのファインダー、更にはパソコンのモニター、テレビ等の様々な用途に使用されている。一般的に、TFT−LCD用ガラス基板の材質として、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないアルミノホウ珪酸ガラスが使用されており、これまでに種々のガラス組成が提案されている(特許文献1〜3参照)。
ところで、TFT−LCDパネルメーカーでは、ガラスメーカーで成形されたガラス基板(素板)の上に複数個分のデバイスを作製した後、デバイス毎に分割切断し、製品を採取することにより、生産性の向上、コストダウンを図っている。近年、パソコンのモニター、テレビ等は、画面サイズが大型化してきており、これらのデバイスを多面取りするために、大型のガラス基板が要求されている。
特許第2990379号公報 特許第3465238号公報 特開2002−29775号公報
既述の通り、近年、ガラス基板の基板寸法は大きくなる傾向にあり、現在では、基板寸法が2000mm×2000mm以上のガラス基板が用いられつつある。しかし、ガラス基板の基板寸法が大きくなると、溶融欠陥検査を適正に行うことが困難になり、溶融欠陥がないガラス基板を得にくくなる。
具体的に説明すると、ガラス基板の溶融欠陥検査は、ガラス基板の一方の基板端面から光を入射し、他方の基板端面側(非入射側)まで透過した光を検出することで行われている。この方法では、溶融欠陥がガラス基板に存在している場合、一方の基板端面から入射した光が溶融欠陥に当たって散乱するため、この散乱光をガラス基板の表面から目視、或いはCCDカメラ等で観察、測定することにより、溶融欠陥の有無を検出することができる。端面方向に限定して入射光を導入すれば、光源の光が検出精度に影響を与え難くなり、その結果、溶融欠陥検査を高精度化することができる。しかし、ガラス基板の基板寸法が大きくなると、他方の基板端面側(非入射側)に到達するための経路長が長くなり、入射した光がガラスに吸収される割合が大きくなるため、ガラス基板を透過する光量が低下し、その結果、溶融欠陥がガラス基板に存在していても、他方の基板端面側(非入射側)で十分な照度を得ることができず、溶融欠陥を検出し難くなる。この問題は、ガラス基板の基板寸法が1100mm×1250mm以上、特に2000mm×2000mm以上になると顕著になる。
基板寸法が大きいガラス基板において、溶融欠陥の検出精度を向上させるために、光源側の照度を上げる方策も想定されるが、光源側の照度を上げ過ぎると、逆に光を入射する基板端面近傍が明るくなり過ぎて、微細な溶融欠陥を検出し難くなり、結局のところ、有効な解決策にはならない。
そこで、本発明は、基板寸法が1100mm×1250mm以上、特に2000mm×2000mm以上である場合に、ガラス基板の全面に亘って、溶融欠陥検査を適正に行うことにより、溶融欠陥がない大型のガラス基板を得ることを技術的課題とする。
本発明者等は、鋭意努力の結果、経路長(厚み)50mmにおける波長550nmの透過率および経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス基板は、(1)基板寸法が1100mm×1250mm以上、(2)経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、(3)経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下であることを特徴とする。ここで、「基板寸法」とは、ガラス基板の表裏面の内、一方の面の面積を指す。
ガラス基板の基板寸法が1100mm×1250mm以上の場合に、経路長50mmにおける波長550nmの透過率を85%以上に規制すれば、ガラス基板の一方の基板端面に入射した光がガラスに吸収される割合が小さくなり、他方の基板端面側(非入射側)までの経路長が長くても、ガラス基板を透過する光量の低下を抑制することができ、つまり他方の基板端面側(非入射側)近傍で十分な照度を得ることができ、その結果、ガラス基板全面に渡って、溶融欠陥を適正に検出することができる。
本発明者等は、鋭意努力の結果、ガラス組成中のCr3+がガラス基板の透過率を低下させ、溶融欠陥検査の検査精度に大きな影響を及ぼすことを見出し、Cr3+の影響を評価する指標として、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を規制した。つまり、本発明のガラス基板は、基板寸法が1100mm×1250mm以上の場合に、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を3%以下に規制し、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止している。ここで、Cr3+の吸収が少ない波長550nmの透過率とCr3+の吸収が大きい波長650nmの透過率の差が大きい程、Cr3+の影響が大きいことを意味している。
第二に、本発明のガラス基板は、25μm以上の溶融欠陥を含有しないことに特徴付けられる。このようにすれば、ガラス基板に起因する画像欠陥を低減できるため、ディスプレイの高精細化、高性能化に適切に対応することができる。ここで、「溶融欠陥」には、未溶解原料、耐火物の混入、失透ブツ、気泡等が含まれる。
第三に、本発明のガラス基板は、ガラス組成中にCrを0.0001〜0.002質量%含有することに特徴付けられる。Crの含有量を0.0001〜0.002質量%に規制すれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。
第四に、本発明のガラス基板は、基板端面の平均表面粗さRaが1μm以下であることに特徴付けられる。ここで、「基板端面の平均表面粗さRa」とは、JIS B0601:2001に準拠した方法により測定した値を指し、評価長さ8mm、カットオフ値λc=0.8mm、カットオフ比λc/λs=100の条件で測定した値を指す。
第五に、本発明のガラス基板は、基板表面が無研磨であり、且つうねりが0.1μm以下であることに特徴付けられる。ここで、「基板表面が無研磨」とは、ガラス基板の端面を除き、少なくともガラス基板の表面(優先保証面)、好ましくはガラス基板の表裏両面が無研磨であることを意味する。また、「うねり」とは、触針式の表面形状測定装置を用いて、JIS B−0610に記載のWCA(ろ波中心線うねり)を測定した値であり、この測定は、SEMI STD D15−1296「FPDガラス基板の表面うねりの測定方法」に準拠した方法で測定し、測定時のカットオフは0.8〜8mm、ガラス基板の引き出し方向に対して垂直な方向に300mmの長さで測定したものである。
第六に、本発明のガラス基板は、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることに特徴付けられる。このようにすれば、無研磨で基板表面が平滑なガラス基板を得ることができる。
第七に、本発明のガラス基板は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、SiO 50〜80%、B 0〜20%、MgO 0〜15%、CaO 0〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、NaO 0〜15%、KO 0〜10%、Cr 0.0001〜0.002%含有することに特徴付けられる。
第八に、本発明のガラス基板は、ガラス組成として、Bを3〜20質量%含有し、且つ実質的にアルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)を含有しないことに特徴付けられる。ここで、「実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない」とは、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物の含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
第九に、本発明のガラス基板は、ディスプレイに用いることに特徴付けられる。
第十に、本発明のガラス基板は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイに用いることに特徴付けられる。
本発明のガラス基板において、基板寸法は1100mm×1250mm以上、好ましくは1500mm×1800mm以上、より好ましくは1870mm×2200mm以上、更に好ましくは2350×2500mm以上、特に好ましくは2400×2800mm以上、最も好ましくは2850×3050mm以上である。つまり、ガラス基板の基板寸法が大きい程、本発明がもたらす効果が大きくなる。ガラス基板の基板寸法が大きくなる程、溶融欠陥検査に必要な経路長が長くなるため、溶融欠陥を検査するために必要な照度を得ることが困難になる。しかし、本発明のガラス基板は、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が高く、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さいため、基板寸法が大きくても、ガラス基板中の溶融欠陥を確実に検出することができる。なお、本発明のガラス基板において、基板寸法の上限は特に設定されないが、ガラス基板の生産性を考慮すれば、4000mm×4000mm以下であることが好ましい。
本発明のガラス基板において、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、好ましくは86%以上、より好ましくは87%以上である。このようにすれば、ガラス基板の基板寸法が大きい場合に溶融欠陥検査を適正に行うことができ、ガラス基板に存在する溶融欠陥を確実に検出することができる。
本発明のガラス基板において、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1%以下である。このようにすれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。
本発明のガラス基板は、25μm以上(好ましくは20μm以上、より好ましくは15μm以上)の溶融欠陥を含有しないことが好ましい。ガラス基板に25μm以上の溶融欠陥が存在すれば、ディスプレイの高精細化、高性能化を図る上で障害になり得る。本発明のガラス基板は、基板寸法が大きくても、溶融欠陥検査を適正に行うことができるため、25μm以上の溶融欠陥を含有するガラス基板を容易に検出することができる。
Crは、不純物としてガラス原料等に含まれる成分である。ガラス組成中において、酸化クロムは、主にCr3+の状態で存在する。Cr3+は波長域400〜550nmと波長域550〜700nmで光の吸収を生じさせる。波長550nmは、これらの二つの波長域の間に存在するCr3+の吸収が比較的小さい波長である。波長650nmは、波長域550〜700nmにおいて、Cr3+の吸収が大きい波長である。したがって、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さい程、Cr3+による吸収の影響が小さいといえる。そしてこの透過率の差を規制すれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率は、ガラス組成中のCrの含有量で一義的に決定されるものではないが、Crの含有量を0.002質量%以下、好ましくは0.0015質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下に規制すると、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を3%以下に規制しやすくなる。
Crの含有量をゼロにすれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。しかし、このような場合、高純度のガラス原料を使用するとともに、ガラス基板の製造工程を厳密に管理し、Crの不純物の含有量をゼロにしなければならないため、ガラス基板の製造コストが不当に上昇し、現実的ではない。よって、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、Crの含有量を0.0001%以上(好ましくは0.0002%以上、より好ましくは0.0003%以上)に規制するのが好ましい。
Cr以外にも可視域で光を吸収、或いは可視域で光の吸収を強める成分、例えば遷移金属酸化物の含有量をできるだけ低減するのが好ましい。例えば、CeOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、Crの場合と同様にして、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、CeOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。また、TiOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、TiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。さらに、NiOの含有量を0.05%以下(好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、NiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。
本発明のガラス基板において、基板表面は無研磨であることが好ましい。基板表面が無研磨であれば、研磨工程が省略されているため、ガラス基板の製造コストを大幅に下げることができる。また、本発明のガラス基板において、うねりは0.1μm以下(好ましくは0.05μm以下、より好ましくは0.03μm以下、更に好ましくは0.01μm以下)であることが好ましい。ガラス基板のうねりが0.1μmより大きいと、LCD等の製造工程において、セルギャップのバラツキの原因になり、表示ムラを引き起こすおそれがある。なお、製造条件を調整した上でオーバーフローダウンドロー法でガラス基板を成形すれば、基板表面が無研磨であり、且つうねりが0.1μm以下のガラス基板を得ることができる。
本発明のガラス基板において、基板端面の平均表面粗さRaは、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。ガラス基板の溶融欠陥検査は、ガラス基板の一方の基板端面に光を入射し、他方の基板端面側(非入射側)に到達する光の照度を測定する。よって、ガラス基板の基板端面の表面状態は溶融欠陥検査に少なからず影響を与える。基板端面の平均表面粗さRaが1μmより大きいと、基板端面で光が散乱し、溶融欠陥検査の検査精度が低下しやすくなる。
LCDまたは有機ELディスプレイに用いられるガラス基板は、以下のような特性も要求される。
(1)フォトエッチング工程において使用される種々の酸、アルカリ等の薬品によって劣化しないような耐薬品性を有すること。
(2)成膜、アニール等の熱処理工程で熱収縮しないこと。そのため高い歪点を有すること。
(3)ガラス基板として好ましくない溶融欠陥が発生しないよう、溶融性や成形性に優れていること。
本発明のガラス基板は、80℃の10%HCl水溶液に3時間浸漬したとき、目視による表面観察で白濁、荒れが認められないことが好ましい。また、本発明のガラス基板は、20℃の63BHF溶液(HF:6質量%,NHF:30質量%)に15分間浸漬したとき、目視による表面観察で白濁、荒れが認められないことが好ましい。TFT−LCD用ガラス基板の表面には、透明導電膜、絶縁膜、半導体膜、金属膜等が成膜され、しかもフォトエッチングにより種々の回路やパターンが形成される。また、これらの成膜工程、或いはフォトエッチング工程において、種々の熱処理や薬品処理がガラス基板に施される。一般的に、TFTアレイプロセスでは、成膜工程→レジストパターン形成工程→エッチング工程→レジスト剥離工程の一連のプロセスが繰り返される。その際、エッチング液として、Al、Mo系膜のエッチングにはリン酸系溶液、ITO系膜のエッチングには王水(HCl+HNO)系溶液、SiNx、SiO膜等のエッチングにはBHF溶液等の多種多様の薬液が使用され、これらは低コスト化を考慮して、使い捨てではなく、循環の液系フローとなっている。ガラス基板の耐薬品性が低いと、エッチングの際、薬液とガラス基板の反応生成物が、循環の液系フローのフィルターを詰まらせたり、不均質エッチングによってガラス基板表面に白濁が生じ、或いはエッチング液の成分が変化することによって、エッチングレートが不安定になる等の様々な問題を引き起こす可能性がある。
本発明のガラス基板において、歪点は、好ましくは630℃以上、より好ましくは635℃以上、更に好ましくは640℃以上、最も好ましくは645℃以上である。TFT−LCDの製造工程において、ガラス基板は、高温の熱処理に供される。ガラス基板の歪点が630℃未満であると、例えば、ガラス基板が400〜600℃で熱処理された場合、熱収縮と呼ばれる微小な寸法収縮が生じ、これがTFTの画素ピッチのずれを惹起して表示不良の原因となるおそれがある。また、ガラス基板の歪点が630℃未満であると、ガラス基板の変形、反り等が生じるおそれがある。ここで、「歪点」は、ASTM C336に準拠した方法により測定した値を指す。
本発明のガラス基板において、液相温度は1200℃以下が好ましく、1150℃以下がより好ましく、1080℃以下が更に好ましく、1050℃以下が特に好ましく、1030℃以下が最も好ましい。一般的に、オーバーフローダウンドロー法は、フロート法等の他の成形方法と比較してガラス成形時の粘度が高いため、ガラスの耐失透性が悪いと、成形中に失透ブツが発生し、ガラス基板に成形し難くなる。具体的には、液相温度が1200℃より高いと、オーバーフローダウンドロー法で成形し難くなり、表面品位が良好なガラス基板を得難くなる。つまり、液相温度が1200℃より高いと、ガラス基板の成形方法に不当な制約が課され、所望の表面品位を有するガラス基板を成形し難くなる。ここで、「液相温度」は、ガラスを粉砕し、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持した後、ガラス中に結晶が析出する温度を指す。
本発明のガラス基板において、102.5dPa・sにおける温度は1575℃以下が好ましく、1560℃以下がより好ましい。ガラスを高温で長時間溶融すれば、ガラス中の泡や異物等の溶融欠陥を低減できるが、高温域での溶融は、ガラス溶融窯への負担を増加させる。例えば、窯に使用されているアルミナやジルコニア等の耐火物は、高温になる程、溶融ガラスにより激しく侵食され、これに付随して窯のライフサイクルも短くなる。また、窯の内部を高温に保つためのランニングコストは、低温で溶融する場合に比べて高くなる。よって、高温域での溶融は、ガラス基板を製造する上で不利である。なお、高温粘度102.5dPa・sにおける溶融ガラスの温度は、溶融温度に相当している。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、既知の白金引き上げ法で測定した値を指す。
本発明のガラス基板は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、SiO 50〜80%、B 0〜20%、MgO 0〜15%、CaO 0〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、NaO 0〜15%、KO 0〜10%、Cr 0.0001〜0.002%含有することが好ましく、LCDまたは有機ELディスプレイに用いる場合には、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、SiO 50〜80%、B 3〜20%、MgO 0〜15%、CaO 3〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、Cr 0.0001〜0.002%含有し、且つ実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないことが好ましい。
本発明のガラス基板のガラス組成範囲を上記のように限定した理由を下記に示す。なお、以下の%表示は、特に断りがある場合を除き、質量%を指す。
SiOは、ガラスのネットワークフォーマーであり、ガラスの耐熱性を向上させる成分であり、具体的には歪点を高くしてガラス基板の熱収縮を小さくする効果がある成分であり、その含有量は50〜80%、好ましくは52〜70%、より好ましくは54〜68%である。SiOの含有量が多いと、ガラスの高温粘性が高くなり過ぎ、ガラスの溶融性が低下することに加えて、クリストバライトの失透ブツが析出しやすくなる。一方、SiOの含有量が少ないと、ガラスの耐酸性や歪点が低下する傾向にある。
Alは、ガラスの歪点を上昇させ、クリストバライトの失透ブツの析出を抑制し、ガラスの液相温度を低下させる成分であり、その含有量は5〜25%、好ましくは7〜22%、より好ましくは9〜20%である。Alの含有量が多いと、ガラスの耐バッファードフッ酸性(耐BHF性)が低下したり、ガラスの液相温度が上昇してガラス基板を成形し難くなる傾向にある。一方、Alの含有量が少ないと、ガラスの歪点が低下する傾向にある。
は、融剤として作用し、ガラスの粘性を下げ、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は0〜20%、好ましくは3〜20%、より好ましくは5〜15%、更に好ましくは6〜14%、特に好ましくは7〜13%である。ガラス組成中に実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない無アルカリガラスの場合、Bは必須成分であり、ガラス組成中にBを3%以上、好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上含有させる必要がある。Bの含有量が多いと、ガラスの歪点が低下したり、ガラスの耐酸性が低下する傾向にある。一方、Bの含有量が少ないと、融剤としての効果を得難くなる。
MgOは、ガラスの歪点を低下させずに高温粘性のみを低下させて、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜7%、更に好ましくは0〜0.5%である。MgOの含有量が多いと、クリストバライトやエンスタタイトの失透ブツが発生しやすくなる。また、MgOの含有量が多いと、耐BHF性が低下し、フォトエッチング工程でガラス基板が侵食され、その反応生成物がガラス基板の表面に付着し、ガラス基板が白濁しやすくなる。
CaOは、ガラスの歪点を低下させずに高温粘性のみを低下させて、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜12%、より好ましくは3〜10%である。無アルカリガラスの場合、CaOは必須成分であり、ガラス組成中にCaOを3%以上含有させる必要がある。CaOの含有量が多いと、耐BHF性が低下することに加えて、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する傾向にある。
SrOは、ガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜12%、より好ましくは1〜10%である。SrOの含有量が多いと、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する傾向にある。
BaOは、ガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜12%、より好ましくは0〜10%である。BaOの含有量が多いと、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する傾向にある。
アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO)は、混合して含有させると、ガラスの溶融性と耐失透性を向上させることができるが、これらの成分が多いと、ガラスの密度が上昇する傾向にあり、ガラス基板の軽量化が困難になる。アルカリ土類酸化物の含有量は、合量で0〜25%、好ましくは1〜22%、より好ましくは5〜20%、更に好ましくは7〜18%である。
NaOは、ガラスの熱膨張係数を制御したり、ガラスの溶融性を高めたりする成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜10%である。NaOの含有量が多いと、ガラスの歪点が低下する傾向にある。KOは、ガラスの熱膨張係数を制御したり、ガラスの溶融性を高めたりする成分であり、その含有量は0〜10%である。KOの含有量が多いと、ガラスの歪点が低下する傾向にある。また、LCDまたは有機ELディスプレイに用いる場合、アルカリ金属酸化物(NaO、KO、LiO)を実質的に含有しないことが好ましい。このようにすれば、TFTの製造工程において、熱処理中にアルカリ金属イオンが成膜された半導体物質中に拡散し、膜特性が劣化するおそれがなく、TFTの信頼性を損なうことがない。
Crは、ガラスの透過率に影響を与える成分であり、その含有量は0.0001〜0.002%、好ましくは0.0002〜0.0015%、より好ましくは0.0003〜0.001%である。Crの含有量が0.002%より多いと、溶融欠陥検査の検査精度が低下しやすくなる。一方、Crの含有量が0.0001%より少ないと、高純度のガラス原料を使用するとともに、ガラス基板の製造工程を厳密に管理する必要があるため、ガラス基板の製造コストが不当に上昇する。
本発明のガラス基板は、ガラス組成中に上記成分以外にも下記の成分を15%まで含有させることができる。
ZnOは、ガラスの耐BHF性を改善するとともに、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。ZnOの含有量が多いと、ガラスが失透しやすくなったり、歪点が低下しやすくなる。
ZrOは、ガラスの耐薬品性、特に耐酸性を改善し、ヤング率を向上させる成分であり、その含有量は0〜10%であり、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。ZrOの含有量が多いと、ガラスの液相温度が上昇し、ジルコンの失透ブツが出やすくなる。
As、Sb、SnO、Cl、Fは、清澄剤として作用する成分であり、その含有量は合量で0〜2%、好ましくは0〜1.5%、より好ましくは0.01〜1%である。また、清澄剤として、C、SOもガラス基板の透過率に影響を与えない範囲で含有させることができる。ただし、環境保護の観点から、清澄剤として、実質的にAsを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にAsを含有しない」とは、ガラス組成中のAsの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。また、環境保護の観点から、清澄剤として、実質的にSbを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にSbを含有しない」とは、ガラス組成中のSbの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
Asは、透過率に影響を与える成分であり、ガラス組成中に含有させると、ガラス基板の透過率が低下しやすくなる。一方、SnOは、ガラス組成中に0.01〜2%、0.05〜1%、特に0.1〜0.5%含有させると、SnOの還元効果によって、ガラスの透過率を高めることができる。また、上記の通り、As、Sbは、環境保護の観点から、実質的に含有しないことが好ましい。以上の点を考慮すれば、清澄剤として、SnOを必須成分として含有し、実質的にAs、Sbを含有しないことが好ましい。
Feは、ガラスの透過率に影響を与える成分であり、その含有量は0.001〜0.03%、好ましくは0.001〜0.025%、より好ましくは0.005〜0.02%、更に好ましくは0.006〜0.02%、特に好ましくは0.007〜0.02%である。Feの含有量が0.03%より多いと、ガラス基板の透過率が低下しやすくなる。一方、Feの含有量が0.001%より少ないと、高純度のガラス原料を使用するとともに、ガラス基板の製造工程を厳密に管理する必要があるため、ガラス基板の製造コストが不当に上昇する。
なお、既述の通り、可視域で光を吸収、或いは可視域で光の吸収を強める成分、例えば遷移金属酸化物の含有量をできるだけ低減するのが好ましい。例えば、CeOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、CeOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。また、TiOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、TiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。さらに、NiOの含有量を0.05%以下(好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、NiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。
上記成分以外にも、可視域で顕著な吸収を有しない成分を添加することができ、例えばY、Nb、Laを5%まで含有させることができる。これらの成分は、ガラスの歪点、ヤング率等を高める働きがあるが、その含有量が多いと、密度が増大する傾向にある。
本発明のガラス基板は、所望のガラス組成となるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を1450〜1650℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。また、経路長50mmにおける波長550nmの透過率を85%以上にするとともに、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を3%以下にする方法として、(1)透過率を低下させる不純物が少ないガラス原料、特にCrが少ないガラス原料を使用する、(2)ガラス基板の製造工程でCr等が混入しないようにする、(3)ガラスの溶融条件、例えば溶融温度、溶融雰囲気、溶融時間を調整する等の方法が挙げられる。
溶融槽の材質として、アルミナ質電鋳煉瓦等のアルミナ耐火物、ジルコニア耐火物、ジルコン耐火物、シリカブロック等の石英耐火物等を用いることが好ましい。これらの耐火物は、溶融ガラスに侵食され難く、ガラスへの成分溶出が少ないため、好適である。
本発明のガラス基板は、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。オーバーフローダウンドロー法でガラス基板を成形すれば、無研磨で表面品位が良好なガラス基板を製造することができる。その理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、ガラス基板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されるからである。ここで、オーバーフローダウンドロー法は、溶融ガラスを耐熱性を有する樋状耐火物の両側から溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状耐火物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス基板を製造する方法である。樋状耐火物の構造や材質は、ガラス基板の寸法や表面精度を所望の状態とし、ガラス基板に使用できる品位を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行うためにガラス基板に対してどのような方法で力を印加するものであってもよい。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラス基板に接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラス基板の端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。なお、液相温度が1200℃以下、液相粘度が104.0dPa・s以上であれば、オーバーフローダウンドロー法でガラス基板を製造することができる。
本発明のガラス基板の成形方法として、オーバーフローダウンドロー法以外にも、種々の方法を採用することができる。例えば、フロート法、スロットダウンドロー法、ロールアウト法等の成形方法を採用することができる。
本発明のガラス基板は、ディスプレイに用いることが好ましい。本発明のガラス基板は、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が高く、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さいため、溶融欠陥を容易に検出でき、近年のディスプレイの高精細化、高機能化の要請を満たすことができる。また、本発明のガラス基板は、LCDまたは有機ELディスプレイに用いることが好ましい。本発明のガラス基板は、基板寸法が大きく、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率が高く、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さいため、LCDまたは有機ELディスプレイの生産性の向上、コストダウンを容易に図ることができる。更には、本発明のガラス基板は、LCDまたは有機ELディスプレイに求められる種々の特性を満足できるため、本用途に好適である。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
表1、2は、本発明の実施例(試料No.1〜15)、表3は、本発明の比較例(試料No.16、17)を示している。
表中の各試料は次のようにして作製した。
まず表中のガラス組成となるようにガラス原料を調合したバッチを白金坩堝に入れ、1600℃で23.5時間溶融した後、カーボン板上に流し出して板状に成形した。次に、成形したガラスを750℃に保持したアニール炉に入れて、徐冷し、各試料を得た。
密度は、周知のアルキメデス法によって測定した。
熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、30〜380℃の温度範囲で測定した。
歪点は、ASTM C336に準拠した方法により測定した。
軟化点は、ASTM C338に準拠した方法により測定した。
高温粘度102.5dPa・sにおける温度は、周知の白金球引き上げ法で測定した。
ヤング率は、共振法により測定した。
耐BHF性は、63BHF溶液を用いて、20℃、15分間の条件で各試料を処理し、各試料の表面を目視で観察することで評価した。具体的には、試料の表面に白濁、荒れおよびクラックが発生していないものを「○」、試料の表面が白濁しているが、試料の表面に荒れおよびクラックが発生していないものを「△」、試料の表面が白濁し、且つ試料の表面に荒れまたはクラックが発生しているものを「×」とした。
耐酸性は、10%塩酸水溶液を用いて、80℃、3時間の条件で各試料を処理し、各試料の表面を目視で観察することで評価した。具体的には、試料の表面に白濁、荒れおよびクラックが発生していないものを「○」、試料の表面が白濁しているが、試料の表面に荒れおよびクラックが発生していないものを「△」、試料の表面が白濁し、且つ試料の表面に荒れまたはクラックが発生しているものを「×」とした。
経路長50mmにおける波長550nmおよび650nmの透過率は、次のようにして測定した。まず各試料を50mm厚に切断した後、切断面を鏡面研磨し、50mm厚の測定試料を作製した。次に、分光光度計を用いて、この測定試料の波長550nmおよび650nmの透過率を測定した。
経路長2000mmにおける溶融欠陥検査は、次のようにして行った。まず各試料をブルバーナー加工し、長さ2000mmのムク棒を作製し、両端面を鏡面研磨した。次に、一方の端面から光を入射させて、他方の端面(非入射側)で照度を測定した。照度の測定値から、25μmの溶融欠陥を検出できるものを「○」、25μmの溶融欠陥を検出できないものを「×」として評価した。
表1、2から明らかなように、試料No.1〜15は、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上であり、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下であるため、経路長2000mmにおける溶融欠陥検査の評価が良好であった。
一方、表3から明らかなように、試料No.16は、Crの含有量が0.0025%であるため、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%より大きく、経路長2000mmにおける溶融欠陥検査の評価が不良であった。また、試料No.17は、Crの含有量が0.0040%であるため、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%より小さいことに加えて、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%より大きく、経路長2000mmにおける溶融欠陥検査の評価が不良であった。
さらに、試料No.1〜15について、試験溶融炉で溶融し、オーバーフローダウンドロー法で成形することにより、基板表面が無研磨、うねりが0.1μm以下、且つ基板寸法が2000mm×2000mm×0.5mm厚のガラス基板を作製したところ、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下であり、且つ経路長2000mmにおける溶融欠陥検査で25μmの溶融欠陥を検出することができた。ここで、経路長50mmにおける波長550nmの透過率および経路長50mmにおける650nmの透過率は、50mmのガラス製セルにガラス基板を積層させた上で測定した。なお、測定に際し、表面反射率の影響を考慮して、ガラス基板間に浸液(ベンジルアルコール)を浸透させた。また、測定に際し、基板端面の平均表面粗さRaを1μm以下に規制した。
以上の説明から明らかなように、本発明のガラス基板は、LCD、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、PDP、FED等のフラットパネルディスプレイ用基板に好適である。また、本発明のガラス基板は、電荷結合素子(CCD)や等倍近接型固体撮像素子(CIS)等のイメージセンサー用カバーガラスおよび太陽電池用基板にも好適である。
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、各種電子放出素子を有する各種形式のフィールドエミッションディスプレイ(FED)等のフラットパネルディスプレイ用基板に好適なガラス基板に関するものである。
薄膜トランジスタ型アクティブマトリクスLCD(TFT−LCD)等の電子デバイスは、薄型で消費電力も少ないことから、カーナビゲーション、デジタルカメラのファインダー、更にはパソコンのモニター、テレビ等の様々な用途に使用されている。一般的に、TFT−LCD用ガラス基板の材質として、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないアルミノホウ珪酸ガラスが使用されており、これまでに種々のガラス組成が提案されている(特許文献1〜3参照)。
ところで、TFT−LCDパネルメーカーでは、ガラスメーカーで成形されたガラス基板(素板)の上に複数個分のデバイスを作製した後、デバイス毎に分割切断し、製品を採取することにより、生産性の向上、コストダウンを図っている。近年、パソコンのモニター、テレビ等は、画面サイズが大型化してきており、これらのデバイスを多面取りするために、大型のガラス基板が要求されている。
特許第2990379号公報 特許第3465238号公報 特開2002−29775号公報
既述の通り、近年、ガラス基板の基板寸法は大きくなる傾向にあり、現在では、基板寸法が2000mm×2000mm以上のガラス基板が用いられつつある。しかし、ガラス基板の基板寸法が大きくなると、溶融欠陥検査を適正に行うことが困難になり、溶融欠陥がないガラス基板を得にくくなる。
具体的に説明すると、ガラス基板の溶融欠陥検査は、ガラス基板の一方の基板端面から光を入射し、他方の基板端面側(非入射側)まで透過した光を検出することで行われている。この方法では、溶融欠陥がガラス基板に存在している場合、一方の基板端面から入射した光が溶融欠陥に当たって散乱するため、この散乱光をガラス基板の表面から目視、或いはCCDカメラ等で観察、測定することにより、溶融欠陥の有無を検出することができる。端面方向に限定して入射光を導入すれば、光源の光が検出精度に影響を与え難くなり、その結果、溶融欠陥検査を高精度化することができる。しかし、ガラス基板の基板寸法が大きくなると、他方の基板端面側(非入射側)に到達するための経路長が長くなり、入射した光がガラスに吸収される割合が大きくなるため、ガラス基板を透過する光量が低下し、その結果、溶融欠陥がガラス基板に存在していても、他方の基板端面側(非入射側)で十分な照度を得ることができず、溶融欠陥を検出し難くなる。この問題は、ガラス基板の基板寸法が1100mm×1250mm以上、特に2000mm×2000mm以上になると顕著になる。
基板寸法が大きいガラス基板において、溶融欠陥の検出精度を向上させるために、光源側の照度を上げる方策も想定されるが、光源側の照度を上げ過ぎると、逆に光を入射する基板端面近傍が明るくなり過ぎて、微細な溶融欠陥を検出し難くなり、結局のところ、有効な解決策にはならない。
そこで、本発明は、基板寸法が1100mm×1250mm以上、特に2000mm×2000mm以上である場合に、ガラス基板の全面に亘って、溶融欠陥検査を適正に行うことにより、溶融欠陥がない大型のガラス基板を得ることを技術的課題とする。
本発明者等は、鋭意努力の結果、経路長(厚み)50mmにおける波長550nmの透過率および経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス基板は、(1)基板寸法が1100mm×1250mm以上、(2)経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、(3)経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下、(4)ガラス組成中にCaOを3〜15質量%含有することを特徴とする。ここで、「基板寸法」とは、ガラス基板の表裏面の内、一方の面の面積を指す。
ガラス基板の基板寸法が1100mm×1250mm以上の場合に、経路長50mmにおける波長550nmの透過率を85%以上に規制すれば、ガラス基板の一方の基板端面に入射した光がガラスに吸収される割合が小さくなり、他方の基板端面側(非入射側)までの経路長が長くても、ガラス基板を透過する光量の低下を抑制することができ、つまり他方の基板端面側(非入射側)近傍で十分な照度を得ることができ、その結果、ガラス基板全面に渡って、溶融欠陥を適正に検出することができる。
本発明者等は、鋭意努力の結果、ガラス組成中のCr3+がガラス基板の透過率を低下させ、溶融欠陥検査の検査精度に大きな影響を及ぼすことを見出し、Cr3+の影響を評価する指標として、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を規制した。つまり、本発明のガラス基板は、基板寸法が1100mm×1250mm以上の場合に、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を3%以下に規制し、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止している。ここで、Cr3+の吸収が少ない波長550nmの透過率とCr3+の吸収が大きい波長650nmの透過率の差が大きい程、Cr3+の影響が大きいことを意味している。
発明のガラス基板は、25μm以上の溶融欠陥を含有しないことが好ましい。このようにすれば、ガラス基板に起因する画像欠陥を低減できるため、ディスプレイの高精細化、高性能化に適切に対応することができる。ここで、「溶融欠陥」には、未溶解原料、耐火物の混入、失透ブツ、気泡等が含まれる。
発明のガラス基板は、ガラス組成中にCrを0.0001〜0.002質量%含有することが好ましい。Crの含有量を0.0001〜0.002質量%に規制すれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。
発明のガラス基板は、基板端面の平均表面粗さRaが1μm以下であることが好ましい。ここで、「基板端面の平均表面粗さRa」とは、JIS B0601:2001に準拠した方法により測定した値を指し、評価長さ8mm、カットオフ値λc=0.8mm、カットオフ比λc/λs=100の条件で測定した値を指す。
発明のガラス基板は、基板表面が無研磨であり、且つうねりが0.1μm以下であることが好ましい。ここで、「基板表面が無研磨」とは、ガラス基板の端面を除き、少なくともガラス基板の表面(優先保証面)、好ましくはガラス基板の表裏両面が無研磨であることを意味する。また、「うねり」とは、触針式の表面形状測定装置を用いて、JIS B−0610に記載のWCA(ろ波中心線うねり)を測定した値であり、この測定は、SEMI STD D15−1296「FPDガラス基板の表面うねりの測定方法」に準拠した方法で測定し、測定時のカットオフは0.8〜8mm、ガラス基板の引き出し方向に対して垂直な方向に300mmの長さで測定したものである。
発明のガラス基板は、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。このようにすれば、無研磨で基板表面が平滑なガラス基板を得ることができる。
発明のガラス基板は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、SiO 50〜80%、B 0〜20%、MgO 0〜15%、CaO 〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、NaO 0〜15%、KO 0〜10%、Cr 0.0001〜0.002%含有することが好ましい
発明のガラス基板は、ガラス組成として、Bを3〜20質量%含有し、且つ実質的にアルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない」とは、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物の含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
発明のガラス基板は、ディスプレイに用いることが好ましい
発明のガラス基板は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイに用いることが好ましい
本発明のガラス基板において、基板寸法は1100mm×1250mm以上、好ましくは1500mm×1800mm以上、より好ましくは1870mm×2200mm以上、更に好ましくは2350×2500mm以上、特に好ましくは2400×2800mm以上、最も好ましくは2850×3050mm以上である。つまり、ガラス基板の基板寸法が大きい程、本発明がもたらす効果が大きくなる。ガラス基板の基板寸法が大きくなる程、溶融欠陥検査に必要な経路長が長くなるため、溶融欠陥を検査するために必要な照度を得ることが困難になる。しかし、本発明のガラス基板は、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が高く、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さいため、基板寸法が大きくても、ガラス基板中の溶融欠陥を確実に検出することができる。なお、本発明のガラス基板において、基板寸法の上限は特に設定されないが、ガラス基板の生産性を考慮すれば、4000mm×4000mm以下であることが好ましい。
本発明のガラス基板において、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、好ましくは86%以上、より好ましくは87%以上である。このようにすれば、ガラス基板の基板寸法が大きい場合に溶融欠陥検査を適正に行うことができ、ガラス基板に存在する溶融欠陥を確実に検出することができる。
本発明のガラス基板において、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1%以下である。このようにすれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。
本発明のガラス基板は、25μm以上(好ましくは20μm以上、より好ましくは15μm以上)の溶融欠陥を含有しないことが好ましい。ガラス基板に25μm以上の溶融欠陥が存在すれば、ディスプレイの高精細化、高性能化を図る上で障害になり得る。本発明のガラス基板は、基板寸法が大きくても、溶融欠陥検査を適正に行うことができるため、25μm以上の溶融欠陥を含有するガラス基板を容易に検出することができる。
Crは、不純物としてガラス原料等に含まれる成分である。ガラス組成中において、酸化クロムは、主にCr3+の状態で存在する。Cr3+は波長域400〜550nmと波長域550〜700nmで光の吸収を生じさせる。波長550nmは、これらの二つの波長域の間に存在するCr3+の吸収が比較的小さい波長である。波長650nmは、波長域550〜700nmにおいて、Cr3+の吸収が大きい波長である。したがって、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さい程、Cr3+による吸収の影響が小さいといえる。そしてこの透過率の差を規制すれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率は、ガラス組成中のCrの含有量で一義的に決定されるものではないが、Crの含有量を0.002質量%以下、好ましくは0.0015質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下に規制すると、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を3%以下に規制しやすくなる。
Crの含有量をゼロにすれば、Cr3+に起因して、溶融欠陥検査の検査精度が低下する事態を防止しやすくなる。しかし、このような場合、高純度のガラス原料を使用するとともに、ガラス基板の製造工程を厳密に管理し、Crの不純物の含有量をゼロにしなければならないため、ガラス基板の製造コストが不当に上昇し、現実的ではない。よって、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、Crの含有量を0.0001%以上(好ましくは0.0002%以上、より好ましくは0.0003%以上)に規制するのが好ましい。
Cr以外にも可視域で光を吸収、或いは可視域で光の吸収を強める成分、例えば遷移金属酸化物の含有量をできるだけ低減するのが好ましい。例えば、CeOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、Crの場合と同様にして、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、CeOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。また、TiOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、TiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。さらに、NiOの含有量を0.05%以下(好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、NiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。
本発明のガラス基板において、基板表面は無研磨であることが好ましい。基板表面が無研磨であれば、研磨工程が省略されているため、ガラス基板の製造コストを大幅に下げることができる。また、本発明のガラス基板において、うねりは0.1μm以下(好ましくは0.05μm以下、より好ましくは0.03μm以下、更に好ましくは0.01μm以下)であることが好ましい。ガラス基板のうねりが0.1μmより大きいと、LCD等の製造工程において、セルギャップのバラツキの原因になり、表示ムラを引き起こすおそれがある。なお、製造条件を調整した上でオーバーフローダウンドロー法でガラス基板を成形すれば、基板表面が無研磨であり、且つうねりが0.1μm以下のガラス基板を得ることができる。
本発明のガラス基板において、基板端面の平均表面粗さRaは、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。ガラス基板の溶融欠陥検査は、ガラス基板の一方の基板端面に光を入射し、他方の基板端面側(非入射側)に到達する光の照度を測定する。よって、ガラス基板の基板端面の表面状態は溶融欠陥検査に少なからず影響を与える。基板端面の平均表面粗さRaが1μmより大きいと、基板端面で光が散乱し、溶融欠陥検査の検査精度が低下しやすくなる。
LCDまたは有機ELディスプレイに用いられるガラス基板は、以下のような特性も要求される。
(1)フォトエッチング工程において使用される種々の酸、アルカリ等の薬品によって劣化しないような耐薬品性を有すること。
(2)成膜、アニール等の熱処理工程で熱収縮しないこと。そのため高い歪点を有すること。
(3)ガラス基板として好ましくない溶融欠陥が発生しないよう、溶融性や成形性に優れていること。
本発明のガラス基板は、80℃の10%HCl水溶液に3時間浸漬したとき、目視による表面観察で白濁、荒れが認められないことが好ましい。また、本発明のガラス基板は、20℃の63BHF溶液(HF:6質量%,NHF:30質量%)に15分間浸漬したとき、目視による表面観察で白濁、荒れが認められないことが好ましい。TFT−LCD用ガラス基板の表面には、透明導電膜、絶縁膜、半導体膜、金属膜等が成膜され、しかもフォトエッチングにより種々の回路やパターンが形成される。また、これらの成膜工程、或いはフォトエッチング工程において、種々の熱処理や薬品処理がガラス基板に施される。一般的に、TFTアレイプロセスでは、成膜工程→レジストパターン形成工程→エッチング工程→レジスト剥離工程の一連のプロセスが繰り返される。その際、エッチング液として、Al、Mo系膜のエッチングにはリン酸系溶液、ITO系膜のエッチングには王水(HCl+HNO)系溶液、SiNx、SiO膜等のエッチングにはBHF溶液等の多種多様の薬液が使用され、これらは低コスト化を考慮して、使い捨てではなく、循環の液系フローとなっている。ガラス基板の耐薬品性が低いと、エッチングの際、薬液とガラス基板の反応生成物が、循環の液系フローのフィルターを詰まらせたり、不均質エッチングによってガラス基板表面に白濁が生じ、或いはエッチング液の成分が変化することによって、エッチングレートが不安定になる等の様々な問題を引き起こす可能性がある。
本発明のガラス基板において、歪点は、好ましくは630℃以上、より好ましくは635℃以上、更に好ましくは640℃以上、最も好ましくは645℃以上である。TFT−LCDの製造工程において、ガラス基板は、高温の熱処理に供される。ガラス基板の歪点が630℃未満であると、例えば、ガラス基板が400〜600℃で熱処理された場合、熱収縮と呼ばれる微小な寸法収縮が生じ、これがTFTの画素ピッチのずれを惹起して表示不良の原因となるおそれがある。また、ガラス基板の歪点が630℃未満であると、ガラス基板の変形、反り等が生じるおそれがある。ここで、「歪点」は、ASTM C336に準拠した方法により測定した値を指す。
本発明のガラス基板において、液相温度は1200℃以下が好ましく、1150℃以下がより好ましく、1080℃以下が更に好ましく、1050℃以下が特に好ましく、1030℃以下が最も好ましい。一般的に、オーバーフローダウンドロー法は、フロート法等の他の成形方法と比較してガラス成形時の粘度が高いため、ガラスの耐失透性が悪いと、成形中に失透ブツが発生し、ガラス基板に成形し難くなる。具体的には、液相温度が1200℃より高いと、オーバーフローダウンドロー法で成形し難くなり、表面品位が良好なガラス基板を得難くなる。つまり、液相温度が1200℃より高いと、ガラス基板の成形方法に不当な制約が課され、所望の表面品位を有するガラス基板を成形し難くなる。ここで、「液相温度」は、ガラスを粉砕し、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に24時間保持した後、ガラス中に結晶が析出する温度を指す。
本発明のガラス基板において、102.5dPa・sにおける温度は1575℃以下が好ましく、1560℃以下がより好ましい。ガラスを高温で長時間溶融すれば、ガラス中の泡や異物等の溶融欠陥を低減できるが、高温域での溶融は、ガラス溶融窯への負担を増加させる。例えば、窯に使用されているアルミナやジルコニア等の耐火物は、高温になる程、溶融ガラスにより激しく侵食され、これに付随して窯のライフサイクルも短くなる。また、窯の内部を高温に保つためのランニングコストは、低温で溶融する場合に比べて高くなる。よって、高温域での溶融は、ガラス基板を製造する上で不利である。なお、高温粘度102.5dPa・sにおける溶融ガラスの温度は、溶融温度に相当している。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、既知の白金引き上げ法で測定した値を指す。
本発明のガラス基板は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、SiO 50〜80%、B 0〜20%、MgO 0〜15%、CaO 〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、NaO 0〜15%、KO 0〜10%、Cr 0.0001〜0.002%含有することが好ましく、LCDまたは有機ELディスプレイに用いる場合には、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、SiO 50〜80%、B 3〜20%、MgO 0〜15%、CaO 3〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、Cr 0.0001〜0.002%含有し、且つ実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないことが好ましい。
本発明のガラス基板のガラス組成範囲を上記のように限定した理由を下記に示す。なお、以下の%表示は、特に断りがある場合を除き、質量%を指す。
SiOは、ガラスのネットワークフォーマーであり、ガラスの耐熱性を向上させる成分であり、具体的には歪点を高くしてガラス基板の熱収縮を小さくする効果がある成分であり、その含有量は50〜80%、好ましくは52〜70%、より好ましくは54〜68%である。SiOの含有量が多いと、ガラスの高温粘性が高くなり過ぎ、ガラスの溶融性が低下することに加えて、クリストバライトの失透ブツが析出しやすくなる。一方、SiOの含有量が少ないと、ガラスの耐酸性や歪点が低下する傾向にある。
Alは、ガラスの歪点を上昇させ、クリストバライトの失透ブツの析出を抑制し、ガラスの液相温度を低下させる成分であり、その含有量は5〜25%、好ましくは7〜22%、より好ましくは9〜20%である。Alの含有量が多いと、ガラスの耐バッファードフッ酸性(耐BHF性)が低下したり、ガラスの液相温度が上昇してガラス基板を成形し難くなる傾向にある。一方、Alの含有量が少ないと、ガラスの歪点が低下する傾向にある。
は、融剤として作用し、ガラスの粘性を下げ、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は0〜20%、好ましくは3〜20%、より好ましくは5〜15%、更に好ましくは6〜14%、特に好ましくは7〜13%である。ガラス組成中に実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない無アルカリガラスの場合、Bは必須成分であり、ガラス組成中にBを3%以上、好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上含有させる必要がある。Bの含有量が多いと、ガラスの歪点が低下したり、ガラスの耐酸性が低下する傾向にある。一方、Bの含有量が少ないと、融剤としての効果を得難くなる。
MgOは、ガラスの歪点を低下させずに高温粘性のみを低下させて、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜7%、更に好ましくは0〜0.5%である。MgOの含有量が多いと、クリストバライトやエンスタタイトの失透ブツが発生しやすくなる。また、MgOの含有量が多いと、耐BHF性が低下し、フォトエッチング工程でガラス基板が侵食され、その反応生成物がガラス基板の表面に付着し、ガラス基板が白濁しやすくなる。
CaOは、ガラスの歪点を低下させずに高温粘性のみを低下させて、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は〜15%、好ましくは〜12%、より好ましくは3〜10%である。無アルカリガラスの場合、CaOは必須成分であり、ガラス組成中にCaOを3%以上含有させる必要がある。CaOの含有量が多いと、耐BHF性が低下することに加えて、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する傾向にある。
SrOは、ガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜12%、より好ましくは1〜10%である。SrOの含有量が多いと、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する傾向にある。
BaOは、ガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜12%、より好ましくは0〜10%である。BaOの含有量が多いと、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する傾向にある。
アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO)は、混合して含有させると、ガラスの溶融性と耐失透性を向上させることができるが、これらの成分が多いと、ガラスの密度が上昇する傾向にあり、ガラス基板の軽量化が困難になる。アルカリ土類酸化物の含有量は、合量で0〜25%、好ましくは1〜22%、より好ましくは5〜20%、更に好ましくは7〜18%である。
NaOは、ガラスの熱膨張係数を制御したり、ガラスの溶融性を高めたりする成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜10%である。NaOの含有量が多いと、ガラスの歪点が低下する傾向にある。KOは、ガラスの熱膨張係数を制御したり、ガラスの溶融性を高めたりする成分であり、その含有量は0〜10%である。KOの含有量が多いと、ガラスの歪点が低下する傾向にある。また、LCDまたは有機ELディスプレイに用いる場合、アルカリ金属酸化物(NaO、KO、LiO)を実質的に含有しないことが好ましい。このようにすれば、TFTの製造工程において、熱処理中にアルカリ金属イオンが成膜された半導体物質中に拡散し、膜特性が劣化するおそれがなく、TFTの信頼性を損なうことがない。
Crは、ガラスの透過率に影響を与える成分であり、その含有量は0.0001〜0.002%、好ましくは0.0002〜0.0015%、より好ましくは0.0003〜0.001%である。Crの含有量が0.002%より多いと、溶融欠陥検査の検査精度が低下しやすくなる。一方、Crの含有量が0.0001%より少ないと、高純度のガラス原料を使用するとともに、ガラス基板の製造工程を厳密に管理する必要があるため、ガラス基板の製造コストが不当に上昇する。
本発明のガラス基板は、ガラス組成中に上記成分以外にも下記の成分を15%まで含有させることができる。
ZnOは、ガラスの耐BHF性を改善するとともに、ガラスの溶融性を改善する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。ZnOの含有量が多いと、ガラスが失透しやすくなったり、歪点が低下しやすくなる。
ZrOは、ガラスの耐薬品性、特に耐酸性を改善し、ヤング率を向上させる成分であり、その含有量は0〜10%であり、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。ZrOの含有量が多いと、ガラスの液相温度が上昇し、ジルコンの失透ブツが出やすくなる。
As、Sb、SnO、Cl、Fは、清澄剤として作用する成分であり、その含有量は合量で0〜2%、好ましくは0〜1.5%、より好ましくは0.01〜1%である。また、清澄剤として、C、SOもガラス基板の透過率に影響を与えない範囲で含有させることができる。ただし、環境保護の観点から、清澄剤として、実質的にAsを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にAsを含有しない」とは、ガラス組成中のAsの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。また、環境保護の観点から、清澄剤として、実質的にSbを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にSbを含有しない」とは、ガラス組成中のSbの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
Asは、透過率に影響を与える成分であり、ガラス組成中に含有させると、ガラス基板の透過率が低下しやすくなる。一方、SnOは、ガラス組成中に0.01〜2%、0.05〜1%、特に0.1〜0.5%含有させると、SnOの還元効果によって、ガラスの透過率を高めることができる。また、上記の通り、As、Sbは、環境保護の観点から、実質的に含有しないことが好ましい。以上の点を考慮すれば、清澄剤として、SnOを必須成分として含有し、実質的にAs、Sbを含有しないことが好ましい。
Feは、ガラスの透過率に影響を与える成分であり、その含有量は0.001〜0.03%が好ましい。
なお、既述の通り、可視域で光を吸収、或いは可視域で光の吸収を強める成分、例えば遷移金属酸化物の含有量をできるだけ低減するのが好ましい。例えば、CeOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、CeOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。また、TiOの含有量を0.1%以下(好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.01%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、TiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。さらに、NiOの含有量を0.05%以下(好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下)に規制するのが好ましい。ただし、ガラス基板の製造コストを考慮すれば、NiOの含有量を0.001%以上に規制するのが好ましい。
上記成分以外にも、可視域で顕著な吸収を有しない成分を添加することができ、例えばY、Nb、Laを5%まで含有させることができる。これらの成分は、ガラスの歪点、ヤング率等を高める働きがあるが、その含有量が多いと、密度が増大する傾向にある。
本発明のガラス基板は、所望のガラス組成となるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を1450〜1650℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。また、経路長50mmにおける波長550nmの透過率を85%以上にするとともに、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差を3%以下にする方法として、(1)透過率を低下させる不純物が少ないガラス原料、特にCrが少ないガラス原料を使用する、(2)ガラス基板の製造工程でCr等が混入しないようにする、(3)ガラスの溶融条件、例えば溶融温度、溶融雰囲気、溶融時間を調整する等の方法が挙げられる。
溶融槽の材質として、アルミナ質電鋳煉瓦等のアルミナ耐火物、ジルコニア耐火物、ジルコン耐火物、シリカブロック等の石英耐火物等を用いることが好ましい。これらの耐火物は、溶融ガラスに侵食され難く、ガラスへの成分溶出が少ないため、好適である。
本発明のガラス基板は、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。オーバーフローダウンドロー法でガラス基板を成形すれば、無研磨で表面品位が良好なガラス基板を製造することができる。その理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、ガラス基板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されるからである。ここで、オーバーフローダウンドロー法は、溶融ガラスを耐熱性を有する樋状耐火物の両側から溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状耐火物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス基板を製造する方法である。樋状耐火物の構造や材質は、ガラス基板の寸法や表面精度を所望の状態とし、ガラス基板に使用できる品位を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行うためにガラス基板に対してどのような方法で力を印加するものであってもよい。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラス基板に接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラス基板の端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。なお、液相温度が1200℃以下、液相粘度が104.0dPa・s以上であれば、オーバーフローダウンドロー法でガラス基板を製造することができる。
本発明のガラス基板の成形方法として、オーバーフローダウンドロー法以外にも、種々の方法を採用することができる。例えば、フロート法、スロットダウンドロー法、ロールアウト法等の成形方法を採用することができる。
本発明のガラス基板は、ディスプレイに用いることが好ましい。本発明のガラス基板は、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が高く、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さいため、溶融欠陥を容易に検出でき、近年のディスプレイの高精細化、高機能化の要請を満たすことができる。また、本発明のガラス基板は、LCDまたは有機ELディスプレイに用いることが好ましい。本発明のガラス基板は、基板寸法が大きく、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率が高く、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が小さいため、LCDまたは有機ELディスプレイの生産性の向上、コストダウンを容易に図ることができる。更には、本発明のガラス基板は、LCDまたは有機ELディスプレイに求められる種々の特性を満足できるため、本用途に好適である。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
表1、2は、本発明の実施例(試料No.1〜15)、表3は、本発明の比較例(試料No.16、17)を示している。
表中の各試料は次のようにして作製した。
まず表中のガラス組成となるようにガラス原料を調合したバッチを白金坩堝に入れ、1600℃で23.5時間溶融した後、カーボン板上に流し出して板状に成形した。次に、成形したガラスを750℃に保持したアニール炉に入れて、徐冷し、各試料を得た。
密度は、周知のアルキメデス法によって測定した。
熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、30〜380℃の温度範囲で測定した。
歪点は、ASTM C336に準拠した方法により測定した。
軟化点は、ASTM C338に準拠した方法により測定した。
高温粘度102.5dPa・sにおける温度は、周知の白金球引き上げ法で測定した。
ヤング率は、共振法により測定した。
耐BHF性は、63BHF溶液を用いて、20℃、15分間の条件で各試料を処理し、各試料の表面を目視で観察することで評価した。具体的には、試料の表面に白濁、荒れおよびクラックが発生していないものを「○」、試料の表面が白濁しているが、試料の表面に荒れおよびクラックが発生していないものを「△」、試料の表面が白濁し、且つ試料の表面に荒れまたはクラックが発生しているものを「×」とした。
耐酸性は、10%塩酸水溶液を用いて、80℃、3時間の条件で各試料を処理し、各試料の表面を目視で観察することで評価した。具体的には、試料の表面に白濁、荒れおよびクラックが発生していないものを「○」、試料の表面が白濁しているが、試料の表面に荒れおよびクラックが発生していないものを「△」、試料の表面が白濁し、且つ試料の表面に荒れまたはクラックが発生しているものを「×」とした。
経路長50mmにおける波長550nmおよび650nmの透過率は、次のようにして測定した。まず各試料を50mm厚に切断した後、切断面を鏡面研磨し、50mm厚の測定試料を作製した。次に、分光光度計を用いて、この測定試料の波長550nmおよび650nmの透過率を測定した。
経路長2000mmにおける溶融欠陥検査は、次のようにして行った。まず各試料をブルバーナー加工し、長さ2000mmのムク棒を作製し、両端面を鏡面研磨した。次に、一方の端面から光を入射させて、他方の端面(非入射側)で照度を測定した。照度の測定値から、25μmの溶融欠陥を検出できるものを「○」、25μmの溶融欠陥を検出できないものを「×」として評価した。
表1、2から明らかなように、試料No.1〜15は、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上であり、且つ経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下であるため、経路長2000mmにおける溶融欠陥検査の評価が良好であった。
一方、表3から明らかなように、試料No.16は、Crの含有量が0.0025%であるため、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%より大きく、経路長2000mmにおける溶融欠陥検査の評価が不良であった。また、試料No.17は、Crの含有量が0.0040%であるため、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%より小さいことに加えて、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%より大きく、経路長2000mmにおける溶融欠陥検査の評価が不良であった。
さらに、試料No.1〜15について、試験溶融炉で溶融し、オーバーフローダウンドロー法で成形することにより、基板表面が無研磨、うねりが0.1μm以下、且つ基板寸法が2000mm×2000mm×0.5mm厚のガラス基板を作製したところ、経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下であり、且つ経路長2000mmにおける溶融欠陥検査で25μmの溶融欠陥を検出することができた。ここで、経路長50mmにおける波長550nmの透過率および経路長50mmにおける650nmの透過率は、50mmのガラス製セルにガラス基板を積層させた上で測定した。なお、測定に際し、表面反射率の影響を考慮して、ガラス基板間に浸液(ベンジルアルコール)を浸透させた。また、測定に際し、基板端面の平均表面粗さRaを1μm以下に規制した。
以上の説明から明らかなように、本発明のガラス基板は、LCD、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、PDP、FED等のフラットパネルディスプレイ用基板に好適である。また、本発明のガラス基板は、電荷結合素子(CCD)や等倍近接型固体撮像素子(CIS)等のイメージセンサー用カバーガラスおよび太陽電池用基板にも好適である。

Claims (10)

  1. (1)基板寸法が1100mm×1250mm以上、
    (2)経路長50mmにおける波長550nmの透過率が85%以上、
    (3)経路長50mmにおける波長550nmの透過率と経路長50mmにおける波長650nmの透過率の差が3%以下であることを特徴とするガラス基板。
  2. 25μm以上の溶融欠陥を含有しないことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板。
  3. ガラス組成中にCrを0.0001〜0.002質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板。
  4. 基板端面の平均表面粗さRaが1μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス基板。
  5. 基板表面が無研磨であり、且つうねりが0.1μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス基板。
  6. オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラス基板。
  7. ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、SiO 50〜80%、B 0〜20%、MgO 0〜15%、CaO 0〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、NaO 0〜15%、KO 0〜10%、Cr 0.0001〜0.002%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガラス基板。
  8. ガラス組成として、Bを3〜20質量%含有し、且つ実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のガラス基板。
  9. ディスプレイに用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のガラス基板。
  10. 液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイに用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のガラス基板。
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