JP2014052559A - トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置 - Google Patents

トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014052559A
JP2014052559A JP2012197906A JP2012197906A JP2014052559A JP 2014052559 A JP2014052559 A JP 2014052559A JP 2012197906 A JP2012197906 A JP 2012197906A JP 2012197906 A JP2012197906 A JP 2012197906A JP 2014052559 A JP2014052559 A JP 2014052559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
acid
parts
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012197906A
Other languages
English (en)
Inventor
Junji Yamamoto
淳史 山本
Shinya Nakayama
慎也 中山
Masakata Shiba
正名 斯波
Yukiko Nakajima
由紀子 中島
Suzuka Amemori
涼香 雨森
Masahide Yamada
雅英 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2012197906A priority Critical patent/JP2014052559A/ja
Publication of JP2014052559A publication Critical patent/JP2014052559A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】内部での顔料分散が均一であり、低温定着性に優れ、出力画像の機械強度が実用上満足できるような結着樹脂を含有するトナーの提供。
【解決手段】(1)少なくとも、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、該トナー中の1級アミノ基の濃度が0.1〜10μmol/gであるトナー。
(2)前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/〔(C)+(A)〕が、0.15以上である(1)に記載のトナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、トナー、及び該トナーを用いた現像剤、画像形成装置に関する。
電子写真方式による画像形成装置を利用するプリンタやMFP(複合機)は、近年環境に配慮したものが求められており、例えば、プリンタやMFPが消費する電力を抑えることによりCO排出量を削減することや、原材料としてバイオマスマテリアルを活用することによりカーボンニュートラルに近づけることなどが試みられている。このような背景下で、電子写真用トナーとしては定着温度を下げることが望まれており、例えばトナーに用いられる結着樹脂として、定着時の加熱により瞬時に溶融するような結晶性ポリエステルに代表される結晶性樹脂を添加することや、結晶性樹脂を主成分として用いることが既に知られている(特許文献1、2)。また、結晶性ポリエステル構造を有する樹脂にウレタン結合を導入して粘弾性設計を行うことにより、ホットオフセット耐性を改善する方法も既に知られている(特許文献3)。
また、定着性向上にはトナー用樹脂の酸価の存在が有利に働くとことも古くから知られている(例えば特許文献4)。
前記従来技術の結晶性樹脂を主成分とするトナーで形成された画像は外力によって剥がれやすく、印刷物としての信頼性に課題があった。また、結晶性ポリエステルを主成分とする樹脂への酸価付与による定着画像強度改善効果は不十分であった。更に、結晶性樹脂を主成分とした場合、顔料がトナー中で凝集したり、トナー表面近傍に偏在したり、トナー表面に露出したりしやすく、画像の色再現範囲が狭いという問題もあった。
そこで、本発明は、内部での顔料分散が均一であり、低温定着性に優れ、出力画像の機械強度が実用上満足できるような結着樹脂を含有するトナーの提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 少なくとも、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、該トナー中の1級アミノ基の濃度が0.1〜10μmol/gであることを特徴とするトナー。
本発明によれば、内部での顔料分散が均一であり、低温定着性に優れ、出力画像の機械強度が実用上満足できるような結着樹脂を含有するトナーを提供できる。
画像形成装置の一例を示す図。 プロセスカートリッジの一例を示す図。 トナー1について測定した蛍光スペクトルを示す図。 X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を示す図。
以下、上記本発明について詳しく説明する。なお、本発明1)の実施の形態には、次の2)〜11)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) 前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/〔(C)+(A)〕が、0.15以上であることを特徴とする1)に記載のトナー。
3) 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のうち、ゲル拡散クロマトグラフィー(GPC)における分子量が100,000以上の成分の割合が5質量%以上であり、かつ質量平均分子量が20,000〜70,000であることを特徴とする1)に記載のトナー。
4) 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(T)(J/g)、前記トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(質量比で50/50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(H)(J/g)としたとき、ΔH(H)/ΔH(T)が0.2〜1.25であることを特徴とする1)に記載のトナー。
5) 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載のトナー。
6) 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンユニットを有するブロック共重合体であることを特徴とする5)に記載のトナー。
7) 前記結晶性ポリエステルユニットが、炭素数6〜12のジオール及び/又は炭素数6〜12のジカルボン酸を構成成分として含むことを特徴とする5)又は6)に記載のトナー。
8) 前記1級アミノ基が、トナー中に1級アミノ基を有する物質を含有させるか、又は前記結着樹脂中に1級アミノ基を形成することにより導入されたものであることを特徴とする1)〜7)のいずれかに記載のトナー。
9) 水系媒体中で溶解懸濁法により作製されたものであることを特徴とする1)〜8)のいずれかに記載のトナー。
10) 1)〜9)のいずれかに記載のトナーとキャリアを含むことを特徴とする二成分現像剤。
11) 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記トナーとして請求項1〜9のいずれかに記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
結着樹脂が結晶性樹脂を含有するトナーの温度に対する粘弾性変化は、ある温度域を境にして俊敏に低下する所謂シャープメルト性を有するため、低温での定着に有利とされている。しかし、低温で定着された画像は外力によってはがれやすく、印刷物としての信頼性に課題があった。この原因の一つに結晶性樹脂の分子構造が考えられる。つまり、低温定着性を有するような結晶性樹脂、例えば結晶性ポリエステル樹脂の融点は40℃〜80℃に設計されるが、そのような結晶性ポリエステルは、飽和ジカルボン酸と飽和ジオールの共縮重合、あるいはε−カプロラクトンの開環重合等で得られるようなアルキレン部分が多い構造であり、従来よく使用されているアモルファスのポリエステルよりも極性が低いため、紙などへの濡れが不十分であり、満足のいく定着状態が得られなかったと考えられる。また、顔料に対しても吸着サイトが少ないため、顔料を樹脂中に内包しにくく、トナー中で凝集したり表面偏在したりしていたと考えられる。
結晶性ポリエステル樹脂に極性を付与するため従来しばしば採用されてきた方法としては、ジカルボン酸のモル比を上げたり、反応末期にトリメリット酸などの多価カルボン酸を分子末端に反応させたりしてカルボキシル基を導入する方法が挙げられる。しかし、結晶性ポリエステル樹脂は、前述のように飽和ジカルボン酸と飽和ジオールの共縮重合、あるいはε−カプロラクトンの開環重合等で得られるようなエステル結合部位の両側がアルキレンで構成されるものが多く、従来のアモルファスポリエステルのようなテレフタル酸やイソフタル酸に由来するフェニレン骨格、あるいはビスフェノール骨格を周辺に有するエステル結合部位よりも結晶性ポリエステルユニットのエステル結合部位の立体障害が少ないため、酸による加水分解が起こり易く、高温高湿下での長期保存性に懸念があった。
そこで本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、分子末端に1級アミノ基を有するような比較的低分子量の樹脂などの物質を共存させることにより、上記の課題を解決できることを見出し本発明に至った。つまり、理由は定かではないが、結晶性ポリエステル樹脂を主体とする結着樹脂においては、従来の方法で導入されるカルボキシル基よりもアミノ基の方が紙等への接着性に優れること、及び顔料がトナー内部に均一に分散されるので、特にトナー表面における顔料粒子の定着阻害が抑制されることが分かった。但し、1級アミノ基を有する物質が水溶性の場合には、高温高湿下でのトナーの保存安定性や帯電環境安定性に悪影響を及ぼすため水溶性で無いものを用いることが好ましい。
1級アミノ基の導入方法としては、アミン化合物を結着樹脂などの他のトナー材料と共に混合してトナーを得る方法、後述する結着樹脂のプレポリマー末端のイソシアネートの一部を加水分解してアミノ基とする方法などが挙げられる。
トナー中の1級アミノ基の濃度は、0.1〜10μmol/L、好ましくは0.1〜1.0μmol/Lとする。0.1μmol/L未満では、1級アミノ基を導入する効果が現れない。また、1級アミノ基の濃度が高くなりすぎると、帯電性が低下し、画像ノイズ発生を引き起こす可能性があるため好ましくない。
なお、本発明でいう上記1級アミノ基の濃度は、次の1級アミンの定量方法により測定されるものである。
<トナー中の1級アミンの定量方法>
本発明のトナー中の1級アミンの定量は、1級アミンの蛍光指示薬であるフルオレスカミンを用いて行う。以下、具体的な定量方法を説明する。
予めトナー1gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて20mLのTHF溶剤で20時間抽出を行う。抽出後のTHF溶液は30mLにメスアップする(トナー抽出液)。実験室環境下(20〜24℃/40〜60%RH)、これを5mLずつ2つのサンプル瓶(それぞれサンプル瓶A、サンプル瓶Bとする)に取り、サンプル瓶Aには0.1g/LのフルオレスカミンTHF溶液2mLとイオン交換水0.1mLを加え、サンプル瓶BにはTHF 2mLとイオン交換水0.1mLを加え、蓋をして均一になるように混合した後、暗所で24時間静置する。
別途、濃度が0.01〜0.4mmol/Lの範囲で6点程度濃度を変えたsec−ブチルアミンのTHF溶液を作製する。このTHF溶液5mLに対し、0.1g/LのフルオレスカミンTHF溶液2mLを添加して蓋をし、均一に混合した後、1時間暗所に静置したものを分光蛍光光度計(島津製作所社製 RF5300−PC)を用いて、励起波長382nmで蛍光測定し、蛍光波長480nmのときの強度に対する1級アミンの濃度(つまり、sec−ブチルアミンの濃度)の検量線を作製する。
次に、静置後のサンプル(サンプル瓶A、B)についても分光蛍光光度計で同じ条件で蛍光強度を測定する。得られた蛍光強度をそれぞれI(A)、I(B)とすると、フルオレスカミンと1級アミノ基との反応によって生成した分子構造に由来する蛍光の強度Iは
I=I(A)−I(B)
となる。そして前述の検量線からIに相当する1級アミノ基の濃度をトナー抽出液の1級アミノ基の濃度A(mmol/L)として算出する。トナー抽出液中の1級アミン量、つまりトナー1gあたりの1級アミノ基の濃度は、トナー抽出液が30mLであることから、A/(30/1000)(mmol/g)と計算することができる。
前記アミン化合物としては、例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン、エイコサニルアミンなどのアルキルアミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどのシクロアルキルアミン、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等のアミノ酸、アニリン、ベンジルアミン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−アミノサリチル酸、m−アミノサリチル酸、p−アミノサリチル酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミノ酸、少なくとも上記アミン化合物のうち一つを単量体とする共重合体(例えばポリウレア、ポリウレア化合物など)が挙げられる。これらのうち、高温高湿下での帯電量低下、トナー造粒を水系媒体中で行う場合における水系媒体への脱出の懸念の少ない非水溶性のアミン化合物、例えば、ステアリルアミン、ベヘニルアミン、エイコサニルアミンなどのアルキルアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、フェニルアラニン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミノ酸、ポリウレア、ポリウレア化合物が好ましい。
また、トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/〔(C)+(A)〕が、0.15以上であることが、定着性と耐熱保存性の両立の観点から好ましく、0.20以上がより好ましく、0.30以上が更に好ましく、0.45以上が特に好ましい。
なお、本発明におけるトナーがワックスを含有する場合、2θ=23.5〜24°の位置にワックス固有の回折ピークが現れることが多い。しかし、トナー全質量に対するワックス含有量が15質量%未満の場合は、ワックス固有の回折ピークの寄与が僅かであることから考慮しなくてもよい。15質量%以上の場合には、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度から、ワックスの結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を差し引いた値を上記の「結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)」と置き換えることとする。
前記比率(C)/〔(C)+(A)〕は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分である結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。本発明におけるX線回折測定は、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定した。なお、従来公知の、結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、この比率がおおよそ0.15未満である。
測定にはキャピラリーとして、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmを使用した。試料はこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定した。また、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とした。
測定の詳細条件を以下に示す。
管電流 : 40mA
管電圧 : 40kV
ゴニオメーター2θ軸 : 20.0000°
ゴニオメーターΩ軸 : 0.0000°
ゴニオメーターφ軸 : 0.0000°
検出器距離 : 15cm(広角測定)
測定範囲 : 3.2≦2θ(゜)≦37.2
測定時間 : 600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いた。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換した。得られたX線回折測定結果を基に、前記比率(C)/〔(C)+(A)〕を算出する方法を、以下に説明する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図4に示す。横軸は2θ、縦軸はX線回折強度であり、両方とも線形軸である。図4におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。ここで、前記主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
この2つの主要なピークとハローは、ガウス関数で、次のように表わされる。ここで、fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)は、それぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数である。
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)/(2cp1)
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)/(2cp2)
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)/(2ch)
この3つの関数の和、f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数とし、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図4の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して、2つの主要ピークとハローがX線回折スペクトルとできる限り一致するようにして得られた値を設定した。フィッティングは例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。
フィッティング後のfp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)のそれぞれに関する積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率(C)/〔(C)+(A)〕を算出することができる。
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、結着樹脂として結晶性樹脂を主成分とするトナーにおいては、従来低温定着性に有効と考えられていた融点以上で急激に粘弾性が低下する性質(シャープメルト性)が、紙種によって定着可能温度領域が大きく異なる原因となることを見出した。そこで、従来の低温定着性に優れるトナーに使用される結着樹脂の分子量としては高めの成分、具体的にはゲル拡散クロマトグラフィ(GPC)におけるポリスチレン換算の分子量が100,000以上の成分を一定量以上含有し、さらに質量平均分子量が一定の範囲内にあることによって、紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着を可能にすることができることを見出した。
分子量100,000以上の成分は5質量%以上含有することが好ましく、7質量%以上含有することがより好ましく、9質量%以上有することが更に好ましい。分子量100,000以上の成分を5質量%以上含有することにより、トナーの溶融後の流動性や粘弾性の温度依存性が小さくなるため、定着時に熱がトナーに伝わりやすい薄紙でも熱が伝わりにくい厚紙でも、トナーの流動性や弾性率に大きな違いを生じにくく、定着装置としては一定温度かつ一定速度で定着することが可能となる。分子量100,000以上の成分が5質量%未満では、トナー溶融後の流動性や粘弾性が温度によって大きく変わるため、例えば薄紙における定着ではトナーの変形性が大きくなり過ぎて定着部材への接着面積が増大し、その結果、定着部材からの離型がうまくできずに紙の巻き付きが発生することがある。
本発明の効果が得られる理由は以下のように考えられる。即ち、結晶性樹脂は前述のとおりシャープメルト性を有しているが、溶融状態におけるトナーの内部凝集力や粘弾性は樹脂の分子量や構造によって大きく異なる。例えば、凝集エネルギーの大きな連結基であるウレタン結合やウレア結合を有する場合、溶融時においても比較的低温であればゴムのような弾性体に近い挙動を示す一方、高温になるのに従い高分子鎖の熱運動エネルギーが増大していくため、徐々に結合間の凝集が解れて粘性体に近づいていく。
このような樹脂をトナー用結着樹脂として用いると、定着温度が低いときには問題なく定着ができたとしても、定着温度が高いときにはトナー溶融時の内部凝集力が小さいため定着時にトナー画像の上側が定着部材に付着してしまう、いわゆるホットオフセット現象が発生することがあり、画像品位が著しく損なわれる。ホットオフセットを回避するためにウレタン結合やウレア結合部位を多くすると、高温での定着は問題なく行うことができる反面、低温で定着を行う場合には画像光沢が低く、紙への溶融含浸が不十分となり画像が紙から離脱しやすい状態となる。特に厚みがあり表面の凹凸が多い紙への定着を行う場合には、定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いため定着状態がさらに悪化したり、凹部においては定着部材によるトナーへの圧力が十分にかからないため、特に弾性的な状態にあるトナーの定着状態は著しく悪くなる。
溶融後の粘弾性を制御する手段として分子量を考えた場合、当然ながら分子量が大きいほど分子鎖の移動に障害が多くなるため粘弾性が大きくなる。更に、分子量が大きい場合には絡まりが発生するため弾性的な挙動を示すようになる。紙への定着性に着目して考えると、分子量が小さい方が溶融時の粘度が低いため好ましい反面、ある程度の弾性がなければホットオフセットが発生してしまう。しかしながら、分子量を全体的に上げてしまうと定着性が損なわれ、特に厚紙においては定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いために定着状態が更に悪化する。そこで、結着樹脂の分子量全体としてはあまり大きくしすぎないようにしつつ、高分子量の結晶性成分を含むようにすることにより、溶融後の粘弾性を好適に制御でき、薄紙や厚紙といった紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着可能なトナーを得ることができる。
なお、質量平均分子量の範囲は20,000〜70,000が好ましく、より好ましくは、30,000〜60,000、特に好ましくは35,000〜50,000である。質量平均分子量が70,000を超えると、結着樹脂全体が高分子量すぎるため定着性が悪化し、光沢が低すぎたり、定着後の画像が外的ストレスで容易に欠落するため好ましくない。また、20,000未満では、いくら高分子量成分が多く存在していたとしても、トナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎ、ホットオフセットや定着部材への紙の巻き付きを引き起こすため好ましくない。
上記のような分子量分布の結着樹脂を含有するトナーを得る方法としては、分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する方法、又は重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する方法がある。
分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する場合、少なくとも相対的に高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の2種類を使用する。高分子量の樹脂としては、あらかじめ分子量の大きな樹脂を使用してもよいし、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂をトナーの製造過程で伸長させて高分子量体を形成させても良い。後者の方が、高分子量体をトナー中に均一に存在させることができ、結着樹脂を有機溶媒中に溶解させる工程があるような製造方法においては、初めから高分子量である樹脂よりも溶解させることが容易であるため好ましい。
高分子量の樹脂(イソシアネート基を有する変性樹脂も含む)と低分子量の樹脂の2種類の結着樹脂で構成される場合の比率としては、高分子量の樹脂/低分子量の樹脂が5/95〜60/40、好ましくは8/92〜50/50、より好ましくは12/88〜35/65、更に好ましくは15/85〜25/75である。5/95よりも高分子量体が少ない場合、あるいは60/40よりも高分子量体が多い場合には、上記の分子量分布を有する結着樹脂を有するトナーを得るのが困難となる。
重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する場合、このような樹脂を得る方法としては、例えば、縮重合や重付加、付加縮合のような重合形態であれば、2官能のモノマーの他に官能基数の異なるモノマーを少量添加することにより分子量分布を広げることができる。官能基数の異なるモノマーとしては、3官能以上のモノマー、単官能のモノマーがあるが、3官能以上のモノマーを使用すると分岐構造が生成するため、結晶性を有する樹脂を使用する場合には結晶構造を形成しにくくなる場合がある。単官能のモノマーを使用すれば、単官能のモノマーにより重合反応が停止することにより、2種類以上の樹脂を用いる場合における低分子量の樹脂を精製しつつ、一部は重合反応が進行し高分子量成分となる。
本発明において、トナーのテトラヒドロフラン可溶分及び樹脂の分子量分布や質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC:東ソー社製)を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm、3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、THF(安定剤含有、和光純薬社製)により0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記のTHF試料溶液を測定装置に100μL注入し、温度40℃の環境下、流速0.35mL/分で測定した。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて計算を行った。該ポリスチレン標準試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズ及びトルエンを用いた。以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成して上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成した。
溶液A:S−7450 2.5mg, S−678 2.5mg, S−46.5
2.5mg, S−2.90 2.5mg, THF 50mL
溶液B:S−3730 2.5mg, S−257 2.5mg, S−19.8
2.5mg, S−0.580 2.5mg, THF 50mL
溶液C:S−1470 2.5mg, S−112 2.5mg, S−6.93
2.5mg, トルエン2.5mg, THF 50mL
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
分子量100,000以上の成分の割合、及び分子量250,000以上の成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量100,000、及び分子量250,000と曲線の交点から調べることができる。
高分子量の成分は、結着樹脂全体と樹脂構造が近いことが必要であり、結着樹脂として結晶性を有するのであれば、高分子量の成分も同様に結晶性を有する必要がある。高分子量成分が他の樹脂成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるため、トナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できない。高分子量の成分と結着樹脂全体との結晶性構造の含有程度の比較としては、例えばTHFと酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量ΔH(H)(j/g)と、トナーのDSCにおける吸熱量ΔH(T)(j/g)の比率ΔH(H)/ΔH(T)が、0.2〜1.25の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.0の範囲がより好ましく、0.4〜0.8の範囲が特に好ましい。
テトラヒドロフランと酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は質量比で50:50)に対する不溶分を得る具体的な方法としては、常温(20℃)の上記混合溶媒40gに対してトナー0.4gを添加し20分間振とう混合した後、遠心分離機により不溶成分を沈降させて上澄み液を除去したものを真空乾燥させればよい。
前記吸熱量ΔH(H)(j/g)及びΔH(T)(j/g)は、示差走査熱量計(DSC)〔例えばTA−60WS及びDSC−60(島津製作所製)〕を用いて測定できる。試料5.0mgを、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分間で昇温し、次いで降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定したときの熱流と温度のグラフを描き、ベースラインとの間の面積から吸熱量を算出する。
<結着樹脂>
本発明に用いられる結着樹脂は、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を主成分とすることが好ましい。具体的には、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂は結着樹脂全体の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%、更に好ましくは90質量%以上である。結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂が多いほどトナーの低温定着性に優れるためである。
結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロック共重合体、グラフト共重合体)が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は結晶化度は高いが、樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいエステル結合部位、ウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロック共重合体、グラフト共重合体)が好ましい。
<結晶性ポリエステルユニット>
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
−ポリオール−
ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
鎖炭素数が2〜36の前記分岐型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などが挙げられる。
前記ビスフェノール類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
前記ポリラクトンジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
前記スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要に応じて用いられる前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
−ポリカルボン酸−
前記ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要により用いられる前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
前記ジカルボン酸の中でも、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、前記脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下が好ましい。
−ラクトン開環重合物−
前記ラクトン開環重合物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
前記炭素数3〜12のモノラクトンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。
また、前記ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ダイセル社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
−ポリヒドロキシカルボン酸−
前記ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から前記開環重合する方法が好ましい。
前記環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
<結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂>
結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法としては、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
前記芳香族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4′−及び/又は4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばm−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、前記ジイソシアネートの変性物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。
これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
<結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂>
結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得る方法としては、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法、あるいは結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法があるが、設計意図通りに反応を制御させやすいという点で、一つ目あるいは二つ目の方法が好ましい。
一つ目の方法としては、前述の結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。ポリイソシアネートについても前述のものが使用できる他、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法でも得ることができる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを先に作成する場合、次に作成するポリマーユニットが非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等であれば、結晶性ポリエステルユニットの末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを得るためのモノマーを反応させることにより、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得ることができる。また、次に作製するポリマーユニットがビニル系ポリマーユニットである場合、結晶性ポリエステルユニットにあらかじめビニル重合性の二重結合を導入しておくことにより、後から結晶性ポリエステルユニット存在下ビニルモノマーを重合させることで結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得ることができる。
<非結晶性ポリエステルユニット>
非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えばポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。ポリオール及びポリカルボン酸については前述の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できるが、結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよく、屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
<ポリウレタンユニット>
前記ポリウレタンユニットとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットなどが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
<ポリウレアユニット>
前記ポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット等が挙げられる。これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。
前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、前記前記ジイソシアネート及び前記3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
−ポリアミン−
前記ポリアミンとしては、例えばジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
前記ジアミンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要により、前記3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;前記非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジブロモジフェニルメタン、3,3′−ジクロロベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4′−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4′−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの1級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
前記ジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。
<ビニル系ポリマーユニット>
ビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素:
脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル系炭化水素:モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等。
芳香族ビニル系炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;及びビニルナフタレン。
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー。
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えはビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等。
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びそれらの塩等。
なお、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等。
(6)含窒素ビニル系モノマー:
アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩等。
アミド基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト等。
4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2′−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等。
ビニルケトン、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等。
ビニルスルホン類、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
(9)その他のビニル系モノマー:
イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
(10)フッ素原子元素含有ビニル系モノマー:
4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート及びビニルペルフルオロオクタノエート等。
また、トナーの示差走査熱量計(DSC)における吸熱量は35〜120mJ/mgであることが好ましく、40〜100mJ/mgであることがより好ましく、50〜80mJ/mgであることが更に好ましい。DSCの吸熱量はトナー中の定着時に溶融する結晶性部位の量を示しており、具体的には結晶性ポリエステルユニット部位および離型剤の量を示している。本発明において、この結晶性部位が多いことによりトナー全体がシャープメルト性を有し、低温定着性能を発揮する。一方、吸熱量が多い場合、定着時におけるトナーの溶融に必要な熱量が多いことになるため、低温定着性が逆に悪化してしまう可能性があり、過剰に吸熱量が多いのも好ましくない。
<着色剤>
前記着色剤としては特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の色としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用の着色剤、マゼンダ、シアン、イエロー等のカラー用の着色剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
マゼンタ用着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用の着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記着色剤のトナー中の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−p−クロロスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
また、これらのマスターバッチ用樹脂は、本発明における結晶性樹脂であっても何ら問題ない。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合乃至混練させて調製することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。
前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤と共に混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。
前記混合乃至混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
なお、本発明のトナーは、画像の光沢や質感の均一化、すかし画像などの意匠用、その他の目的のため、顔料を含まないクリアトナーとして用いても良い。
<帯電制御剤>
本発明のトナーは必要に応じて帯電制御剤を含有しても良い。帯電制御剤としては特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましい。そのような帯電制御剤としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は市販品を使用してもよく、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製);キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいはトナーの各成分と共に、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子作製後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤のトナー中の含有量は、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
<外添剤>
本発明のトナーは必要に応じて外添剤を使用しても良い。前記外添剤としては特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等);金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、疎水化された金属酸化物微粒子、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、例えば、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル社製)などが挙げられる。また、前記酸化チタン微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業社製)、TAF−140(富士チタン工業社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ社製)などが挙げられる。前記疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ社製)、IT−S(石原産業社製)などが挙げられる。
前記疎水化されたシリカ微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子は、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子等の親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。
また、前記外添剤として、シリコーンオイルで(必要ならば熱を加えて)無機微粒子を処理したシリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが使用できる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記外添剤の添加量は、トナーに対し0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の質量平均粒径は、3〜70nmが好ましい。前記質量平均粒径が3nm未満では、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。また、70nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
前記外添剤としては、前記無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径は、1〜100nmが好ましく、中でも、5〜70nmの無機微粒子を2種類以上含むことがより好ましい。更に、疎水化処理された一次粒子の個数平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ、30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。該樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系重合体粒子;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、トナーに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
<流動性向上剤>
流動性向上剤は、トナーの表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においてもトナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
<クリーニング性向上剤>
本発明のトナーは必要に応じてクリーニング性向上剤を使用しても良い。クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される。その例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により作製されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、質量平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
<磁性材料>
本発明のトナーは非磁性の一成分現像剤として又はキャリアと混合することにより二成分現像剤として使用できるほか、磁性材料を含有させた磁性トナーとしても使用することができる。前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
−芯材−
前記芯材の材料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、50〜90emu/gのマンガン−マグネシウム系材料などが挙げられる。また、画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75〜120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30〜80emu/gの銅−亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の体積平均粒子径は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。体積平均粒子径が10μm未満であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特に、ベタ部の再現が悪くなることがある。
トナーを二成分系現像剤に用いる場合には、前記キャリアと混合して用いればよい。前記二成分現像剤中の前記キャリアの含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記二成分現像剤100質量部に対して、90〜98質量部が好ましく、93〜97質量部がより好ましい。
本発明のトナーは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置や画像形成方法に好適に用いることができる。
また、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジのトナーとして用いることができる。
(トナーの作製方法)
本発明のトナーの作製方法としては、水系媒体中でトナー材料液を粒子化することによって得る方法(溶解懸濁法)、水系媒体中で少なくとも結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を分散させたものを凝集・融着させることにより得る方法(凝集法)が挙げられるが、前者の方法が樹脂均一性の観点から好ましい。
溶解懸濁法でトナーを作製する場合は、上記結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を含む結着樹脂、着色剤、離型剤等のトナー材料を有機溶媒中に分散又は溶解させてトナー材料液を作る。着色剤、結着樹脂、離型剤等は、予め有機溶媒に分散又は溶解させておいたものを混合しても良い。アミン化合物を添加する場合は、着色剤、結着樹脂、離型剤等と一緒に有機溶媒に分散又は溶解させる。また、結着樹脂として前述したプレポリマーを含む場合には、プレポリマー末端のイソシアネートの一部を加水分解してアミノ基とし、かつ生成したアミノ基が残存するイソシアネート基と反応しないようにトナーの作製条件を適宜制御すれば、トナー中に1級アミノ基を導入することができる。
(有機溶媒)
有機溶媒は、常圧又は減圧下での沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独で又は2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、メチルエチルケトン、酢酸エチルが好ましい。更に、イソシアネート基と反応する活性水素基を有しないか又は発生することの無い溶媒を用いた方が、効率よくイソシアネート基の伸長反応や加水分解によるアミノ基の生成を行うことができるので好ましく、具体的には、トルエン、キシレン、四塩化炭素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。酢酸エチルなどのエステル溶媒は、水系媒体中で加水分解して生成したアルコールやカルボン酸がイソシアネート基と反応する可能性があるため、イソシアネート基の制御においては好ましくない。
有機溶媒の使用量は、前記トナー材料100質量部に対し、通常0〜300質量部、好ましくは0〜100質量部、更に好ましくは25〜70質量部である。
次に、トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
(水系媒体)
水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。また、2000質量部を超えると経済的でない。
(界面活性剤、樹脂微粒子)
水系媒体中に界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加えるのは、着色剤、結着樹脂、離型剤等の分散を良好にするためである。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。
好ましいフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級又は3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩が挙げられる。また市販品としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
(樹脂微粒子)
樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。その例としては、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を2種以上併用しても差し支えない。
これらのうち、微細球状樹脂粒子の水性分散体を得やすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル系樹脂としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂が挙げられる。
樹脂微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは20〜300nmである。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤を添加してもよい。
(分散剤)
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
(分散の方法)
分散の方法は特に限定されないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の方法が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定されないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。トナー材料中にプレポリマーを含む場合、分散により水分子がトナー材料中に進入してくると徐々にイソシアネートが加水分解し、生成したアミノ基が残存しているイソシアネート基と反応して伸長していく。分散時の温度は40〜150℃(加圧下)、好ましくは50〜98℃である。40℃未満では、結着樹脂中の結晶性ポリエステルユニットが結晶化し、分散質の分散粒径が粗大になったり分散粒子が不均一になったりする可能性がある。
分散後、樹脂分散体の温度を下げることにより、結着樹脂中の結晶性ポリエステルユニットの少なくとも一部を結晶化させてポリマー分子鎖のモビリティを低下させ、プレポリマー末端同士の衝突確率を下げて伸長反応を抑えるとともに、プレポリマーの未反応イソシアネート基を加水分解させてアミノ基を効率よく生成させることができる。
分散時間は0.1〜5分、好ましくは0.2〜2分、より好ましくは0.2〜0.5分である。0.1分未満では分散が不十分で、分散質の粒度分布が広く粗大化する、また、5分を超えるとプレポリマーの反応を制御するのが困難になる。
<脱溶剤工程>
得られた樹脂分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
また、得られた樹脂分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶媒を完全に除去することも可能である。
また、樹脂分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去しても良い。
後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱した各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
<熟成工程>
末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを添加している場合は、イソシアネートの加水分解、伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行っても良い。
熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常0〜60℃である。なお、トナー中のアミノ基を多くしたいときには反応温度を低めに(0〜40℃)、伸長反応を進行させたいときには高めに(30〜60℃)するのが良い。
<洗浄工程>
上記の方法で得られた樹脂粒子の分散液は、界面活性剤などの副材料の除去はもちろんのこと、樹脂粒子表面に存在する高極性の物質を取り除くために洗浄を行う。これにより、トナーのメタノール濡れ性を抑えることができる。
高極性の物質としては、界面活性剤、樹脂微粒子、分散剤などがあり、一部は樹脂粒子の表面に付着又は吸着しているか、あるいは一部が樹脂粒子の内部に侵入しているものと考えられる。これらの除去には酸又はアルカリ環境下で加熱を行うことが効果的である。特に高極性の物質がイオン性のものである場合には、そのイオン解離が起きやすい条件を選択するのが良く、アニオン性界面活性剤や、カルボキシル基やスルホン酸基などを有する樹脂微粒子の除去にはアルカリ環境が、リン酸カルシウムのような分散剤を有する樹脂微粒子の除去には酸環境がよい。アルカリ環境としてはpH9〜13、好ましくは9.5〜12、更に好ましくは10〜11である。9未満では洗浄効果が小さく、13を超えるとアルカリによる加水分解などの懸念が出てくる。
樹脂粒子の洗浄方法としては、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などの方法があるが、本発明では特に限定されない。いずれの方法によっても樹脂粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにし、上記のいずれかの方法で樹脂粒子を取り出す工程を繰り返しても良いし、減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行うのであれば、水系溶媒をケーキに貫通させて樹脂粒子が抱き込んだ副材料を洗い流す方法を採っても良い。この洗浄に用いる水系溶媒は、水又は水にメタノール、エタノールなどのアルコールを混合した混合溶媒を用いるが、コストや排水処理などによる環境負荷を考えると、水を用いるのが好ましい。
<乾燥工程>
洗浄された樹脂粒子は水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥して水系媒体を除去することにより樹脂粒子のみを得ることができる。乾燥方法としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などの乾燥機を使用することができる。
乾燥された樹脂粒子は最終的に水分が1質量%未満になるまで乾燥するのが好ましい。また、乾燥後の樹脂粒子は軟凝集しており、使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を用いて解砕し、軟凝集をほぐしても良い。
得られた乾燥後の樹脂粒子を他の異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。
装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
凝集法でトナーを作製する場合は、少なくとも結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂、必要に応じて着色剤、離型剤、アミン化合物を水系媒体中に分散させたものを凝集・融着させる。アミン化合物は単独で水系媒体中に分散させても良いが、予め結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂、着色剤、離型剤、その他の分散質中に混合した状態とすることにより、トナー中に均一にアミン化合物を存在させることができるので好ましい。
(現像剤)
本発明の現像剤は、前記本発明のトナーを含み、更に必要に応じて適宜選択したキャリアなどのその他の成分を含む。
現像剤としては、一成分現像剤でも二成分現像剤でもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で二成分現像剤が好ましい。
一成分現像剤の場合、トナーの収支、即ち、現像剤へのトナー供給と現像によるトナー消費とが行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径は、平均粒径〔質量平均粒径(D50)〕で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。平均粒径が10μm未満では、キャリア粒子の分布において微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
前記シリコーン樹脂としては特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂などが挙げられる。
シリコーン樹脂としては市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂として、例えば、信越化学工業社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。また、変性シリコーン樹脂として、例えば、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層には必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径は1μm以下が好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶媒に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。
前記溶媒としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテートなどが挙げられる。
前記焼付としては特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法などが挙げられる。
前記キャリアにおける樹脂層の割合は、0.01〜5.0質量%が好ましい。割合が、0.01質量%未満では、芯材の表面に均一な樹脂層を形成できないことがあり、5.0質量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、該二成分現像剤におけるキャリアの含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1.0〜10.0質量部が好ましい。
(画像形成方法)
本発明のトナーを用いた画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程を少なくとも含み、前記現像工程が、内部に固定された磁界発生手段を有し、表面上に磁性キャリアとトナーとからなる現像剤を担持して回転する現像剤担持体を有する現像手段を用いて行われるものであり、前記現像剤として、本発明の二成分現像剤を用いる。これにより、低温定着性にすぐれ、かつ省エネルギーの画像形成方法となる。
また、本発明の二成分現像剤を用いて、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段を少なくとも有する、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを作製してもよい。
(画像形成装置)
本発明のトナーを用いた画像形成方法に用いる画像形成装置は、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜その他の手段を有する。
前記現像手段は、トナーを用いて静電潜像を現像して可視像を形成する手段である。
図1は、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いた二成分現像装置の一例を示す概略図である。この画像形成装置は、複写装置本体と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体100には、無端ベルト状の中間転写体10が中央部に設けられている。そして、中間転写体10は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図1中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体10上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体10には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器20が配置されている。タンデム型現像器20の近傍には、露光手段21が配置されている。中間転写体10における、タンデム型現像器20が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体10とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着手段25が配置されている。
なお、画像形成装置においては、二次転写手段22及び定着手段25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器20を用いたフルカラー画像の形成について説明する。
即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台30上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき第1走行体33により光源からの光が照射されると共に、原稿面からの反射光が第2走行体34におけるミラーで反射され、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器20における各画像形成手段18にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。
即ち、タンデム型現像器20における各画像形成手段18は、図1に示すように、それぞれ、静電潜像担持体40(感光体)と、該静電潜像担持体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体10上に転写させるための一次転写装置62と、クリーニング手段63と、除電装置64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体10上にそれぞれの色の感光体40上に形成された画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体10上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ42の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に送出し、搬送ローラ47で搬送して複写機本体内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体10上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体10と2次転写装置22との間に記録媒体を送出させ、2次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該記録媒体上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体10上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記記録媒体は、2次転写手段22により搬送されて、定着手段25へと送出され、定着手段25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該記録媒体上に定着される。その後、該記録媒体は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。なお、図1中の符号26及び27は、それぞれ定着ベルト及び加圧ローラを示す。
図2は本発明のトナーを用いたプロセスカートリッジの一例を示す図である。
このプロセスカートリッジ1は、キャリアを使用し、感光体2、近接型のブラシ状接触帯電手段3、本発明の現像剤を収納する現像手段4、クリーニング手段としてのクリーニングブレード5を少なくとも有するクリーニング手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在のものである。本発明においては、上述の各構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。例中の「部」は「質量部」であり、「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<<樹脂の作製方法>>
<樹脂D1の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ドデカン二酸322部、1,6−ヘキサンジオール215部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら、8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しつつ4時間反応させ、更に、5〜20mmHgの減圧下で、数平均分子量(Mn)がおよそ5,000に達するまで反応させた。
得られた結晶性樹脂269部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル280部、トリレンジイソシアネート(TDI)5部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下で酢酸エチルを留去し、数平均分子量(Mn)がおよそ11,000、質量平均分子量(Mw)がおよそ28,000、融点66℃の[樹脂D1](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
<樹脂D2の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ドデカン二酸322部、1,6−ヘキサンジオール205部、1,12−ドデカンジオール20部、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら、8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しつつ4時間反応させ、更に、5〜20mmHgの減圧下で、数平均分子量(Mn)がおよそ6,000に達するまで反応させた。
得られた結晶性樹脂288部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル280部、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)9部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下で酢酸エチルを留去し、数平均分子量(Mn)がおよそ25,000、質量平均分子量(Mw)がおよそ54,000、融点68℃の[樹脂D2](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
<樹脂D3の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283部、1,6−ヘキサンジオール215部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しつつ4時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下で、数平均分子量(Mn)がおよそ6,000に達するまで反応させた。
得られた結晶性樹脂200部を、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル280部、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)92部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物50部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下で酢酸エチルを留去し、数平均分子量(Mn)がおよそ10,000、質量平均分子量(Mw)がおよそ31,000、融点68℃の[樹脂D3](結晶性ポリウレタン樹脂)を得た。
<樹脂D4の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241部、アジピン酸31部、1,4−ブタンジオール164部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しつつ4時間反応させ、更に、5〜20mmHgの減圧下で、Mw(質量平均分子量)がおよそ29,000に達するまで反応させて、融点58℃の[樹脂D4](結晶性ポリエステル樹脂)を得た。
<樹脂P1の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283部、1,6−ヘキサンジオール215部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しつつ3時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下で、数平均分子量(Mn)がおよそ4,800に達するまで反応させた。
得られた結晶性樹脂269部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、メチルエチルケトン250部、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)22部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する[樹脂P1溶液](変性ポリエステル樹脂溶液、固形分濃度50%)を得た。
<樹脂P2の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ドデカン二酸291部、1,6−ヘキサンジオール208部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら、5時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しつつ3時間反応させ、更に、5〜20mmHgの減圧下で、数平均分子量(Mn)がおよそ4,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂272部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、メチルエチルケトン250部、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する[樹脂P2溶液](変性ポリエステル樹脂溶液、固形分濃度50%)を得た。
<樹脂P3の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283部、1,6−ヘキサンジオール215部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しつつ3時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下で、数平均分子量(Mn)がおよそ4,800に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂320部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)18部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する[樹脂P3溶液](変性ポリエステル樹脂溶液、固形分濃度50%)を得た。
<樹脂P4の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283部、1,6−ヘキサンジオール215部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1部を入れ、窒素気流下、180℃で、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しつつ3時間反応させ、更に5〜20mmHgの減圧下で、数平均分子量(Mn)がおよそ4,800に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂330部を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に移し、トルエン250部、トリレンジイソシアネート(TDI)19部を加え、窒素気流下、80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する[樹脂P4溶液](変性ポリエステル樹脂溶液、固形分濃度50%)を得た。
<<顔料マスターバッチの調製方法>>
−シアンマスターバッチ1の調製−
[樹脂D1]100部、顔料C.I.Pigment blue 15:3を100部、及びイオン交換水30部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス/三井鉱山社製)で混練した。混練温度は65℃から始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[シアンマスターバッチ1]を作製した。
−マゼンタマスターバッチ2の調製−
[樹脂D1]100部、顔料C.I.Pigment red269を100部、及びイオン交換水30部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス/三井鉱山社製)で混練した。混練温度は65℃から始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[マゼンタマスターバッチ2]を作製した。
−イエローマスターバッチ3の調製−
[樹脂D1]100部、顔料C.I.Pigment Yellow180を100部、及びイオン交換水30部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス/三井鉱山社製)で混練した。混練温度は65℃から始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[イエローマスターバッチ3]を作製した。
−ブラックマスターバッチ4の調製−
[樹脂D1]100部、顔料カーボンブラックを100部、及びイオン交換水30部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス/三井鉱山社製)で混練した。混練温度は65℃から始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である[ブラックマスターバッチ4]を作製した。
<<離型剤分散液の調製方法>>
<離型剤分散液1の作製>
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス〔HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製〕15部及びメチルエチルケトン85部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間かけて30℃まで冷却した後、更にウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕した。最後に、固形分濃度が15%になるようにメチルエチルケトンを追加して調整し、[離型剤分散液1]を得た。
<離型剤分散液2の作製>
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス〔HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製〕15部及び酢酸エチル85部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間かけて30℃まで冷却した後、更に、ウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕した。最後に固形分濃度が15%になるように酢酸エチルを追加して調整し[離型剤分散液2]を得た。
<離型剤分散液3の作製>
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス〔HNP−9(融点75℃)、日本精蝋社製〕15部及びトルエン85部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間かけて30℃まで冷却した後、更にウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕した。最後に固形分濃度が15%になるようにトルエンを追加して調整し、[離型剤分散液3]を得た。
[実施例1]
ビーカー内に[樹脂D1]24部、[樹脂P1溶液]12部、[離型剤分散液1]14部、[ブラックマスターバッチ4]10部、及びメチルエチルケトン33部を入れ、50℃でTK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液1]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmで撹拌しながら、[トナー材料液1]80部を投入し30秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で35℃まで冷却した。次いで攪拌を30分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、35℃で1時間有機溶媒を留去し、次いで、55℃まで温度を上げ、更に濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体1]を得た。
次いで、洗浄工程として、[樹脂粒子の水性樹脂分散体1]を室温まで冷ました後、濾別し、得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。次いで、得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに1%塩酸300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られたケーキを解砕した後、40℃にて22時間乾燥し、体積平均粒径が5.4μmの[樹脂粒子1]を得た。
得られた[樹脂粒子1]を100部と、外添剤の疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)により、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー1を作製した。
上記トナー1について、前述した<トナー中の1級アミンの定量方法>により測定した蛍光スペクトル(励起光382nm)を図3に示す。(A)はサンプル瓶Aの場合、(B)はサンプル瓶(B)の場合である。
[実施例2]
ビーカー内に[樹脂D1]24部、[樹脂P1溶液]12部、[離型剤分散液1]14部、[シアンマスターバッチ1]10部、及びメチルエチルケトン33部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液2]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、55℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液2]80部を投入し、120秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で45℃まで冷却した。次いで攪拌を30分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、45℃で1時間有機溶媒を留去し、次いで55℃まで温度を上げ、更に濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体2]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー2を作製した。
[実施例3]
ビーカー内に[樹脂D1]24部、[樹脂P1溶液]12部、[離型剤分散液1]14部、[シアンマスターバッチ1]10部、及びメチルエチルケトン33部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより、8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて、[トナー材料液3]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、55℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液3]80部を投入し、60秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で40℃まで冷却した。次いで、攪拌を30分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、40℃で1時間有機溶媒を留去し、次いで55℃まで温度を上げ、更に濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し[樹脂粒子の水性樹脂分散体3]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー3を作製した。
[実施例4]
ビーカー内に[樹脂D1]24部、[樹脂P3溶液]12部、[離型剤分散液2]14部、[シアンマスターバッチ1]10部、及び酢酸エチル33部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液4]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液6部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液4]80部を投入し、30秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で35℃まで冷却した。次いで攪拌を30分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、35℃で1時間有機溶媒を留去し、次いで55℃まで温度を上げ、更に濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体4]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー4を作製した。
[実施例5]
ビーカー内に[樹脂D1]24部、[樹脂P4溶液]12部、[離型剤分散液3]14部、[シアンマスターバッチ1]10部、及びトルエン33部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液5]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液4部、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.8部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)6部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液5]80部を投入し、30秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で35℃まで冷却した。次いで、攪拌を30分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、分散液中に窒素をバブリングさせながら35℃で2時間有機溶媒を留去し、次いで55℃まで温度を上げ、更に濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体5]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー5を作製した。
[実施例6]
ビーカー内に[樹脂D1]24部、[樹脂P1溶液]12部、[離型剤分散液1]14部、[シアンマスターバッチ1]10部、及びメチルエチルケトン33部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液6]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液6]80部を投入し、30秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で35℃まで冷却した。次いで攪拌を5分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、55℃で1時間有機溶媒を留去し、更に55℃で濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体6]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー6を作製した。
[実施例7]
ビーカー内に[樹脂D1]18部、[樹脂P1溶液]24部、[離型剤分散液1]14部、[シアンマスターバッチ1]10部、及びメチルエチルケトン30部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液7]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液7]80部を投入し、30秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で35℃まで冷却した。次いで攪拌を5分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、55℃で1時間有機溶媒を留去し、更に55℃で濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体7]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー7を作製した。
[実施例8]
ビーカー内に[樹脂D1]24部、[樹脂P2溶液]12部、[離型剤分散液1]14部、[シアンマスターバッチ1]10部、及びメチルエチルケトン30部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液8]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液8]80部を投入し、30秒間撹拌して分散させた後、1,600rpmに攪拌速度を下げ、2分間で35℃まで冷却した。次いで攪拌を5分間継続した後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、55℃で1時間有機溶媒を留去し、更に55℃で濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体8]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー8を作製した。
[実施例9]
[シアンマスターバッチ1]を、[マゼンタマスターバッチ2]に変更した点以外は、実施例1と同様にしてトナー9を作製した。
[実施例10]
[シアンマスターバッチ1]を、[イエローマスターバッチ3]に変更した点以外は、実施例1と同様にしてトナー10を作製した。
[実施例11]
[樹脂D1]を[樹脂D3]に変更した点以外は、実施例1と同様にしてトナー11を作製した。
[実施例12]
[樹脂D1]を[樹脂D4]に変更した点以外は、実施例1と同様にしてトナー12を作製した。
[実施例13]
ビーカー内に、[樹脂D1]21.6部、[樹脂D2]8.4部、[離型剤分散液1]14部、[ブラックマスターバッチ4]10部、ステアリルアミン0.1部及びメチルエチルケトン33部を入れ、50℃で、TK式ホモミキサーにより8,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[トナー材料液13]を得た。
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、[トナー材料液13]80部を投入し、110秒間撹拌して分散させた後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、35℃で1時間有機溶媒を留去、次いで、55℃まで温度を上げ、更に濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体13]を得た。
次いで、洗浄工程として、[樹脂粒子の水性樹脂分散体13]を室温まで冷ました後、濾別し、得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。次いで、得られた濾過ケーキに、イオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を3回行い、得られた濾過ケーキに、1%塩酸300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。最後に、得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られたケーキを解砕した後、40℃で22時間乾燥し、体積平均粒径が5.4μmの[樹脂粒子13]を得た。
得られた[樹脂粒子13]を100部と、外添剤の疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー13を作製した。
[実施例14]
ステアリルアミン0.1部を、1,11−ウンデカンジアミン0.13部に変更した点以外は、実施例13と同様にしてトナー14を作製した。
[実施例15]
ステアリルアミン0.1部を、p−アミノ安息香酸0.1部に変更した点以外は、実施例13と同様にしてトナー15を作製した。
[実施例16]
(結晶性樹脂ラテックス1の調製)
[樹脂D1]40gをイオン交換水360gに加え、90℃に加熱した後、4%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7.5に調整し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.8gを加えながら、IKA社製のウルトラタラックスT50を用いて、8000rpmで攪拌し、中心径320nmの結晶性樹脂ラテックス1を作製した。このラテックスの固形分濃度は11%であった。
(結晶性樹脂ラテックス2の調製)
[樹脂D2]40g及びベヘニルアミン3gをイオン交換水360gに加え、90℃に加熱した後、4%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7.5に調整し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.8gを加えながら、IKA社製のウルトラタラックスT50を用いて、8000rpmで攪拌し、中心径320nmの結晶性樹脂ラテックス2を作製した。このラテックスの固形分濃度は11%であった。
(シアン顔料分散液B1の調製)
下記組成の材料を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)と超音波照射により分散し、中心粒径150nmのシアン顔料分散液B1を得た。
・シアン顔料:C.I.Pigment Blue 15:3 50g
(銅フタロシアニン 大日本インキ社製)
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC(第一工業製薬社製) 5g
・イオン交換水 200g
(離型剤分散液C1の調製)
下記組成の材料を混合し、97℃に加熱した後、IKA社製ウルトラタラックスT50で分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(盟和商事社製)で分散処理し、105℃、550kg/cmの条件で20回処理して、中心径190nmの離型剤分散液C1を得た。
・[合成エステルワックス(べヘン酸ベヘニル)] 100g
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC(第一工業製薬社製) 5g
・イオン交換水 300g
(樹脂粒子11の調製)
下記材料を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱し、粒子の凝集を行った。粒径が5.7μmになったことを確認したところで、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整し、攪拌を継続しながら70℃まで加熱した。70℃まで昇温させる間に、系内のpHは、5.6程度まで低下したが、そのまま保持した。円形度が0.972になったところで、冷却し、[樹脂粒子11]を得た。以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー16を作製した。

・結晶性樹脂ラテックス1 288部
・結晶性樹脂ラテックス2 112部
・シアン顔料分散液B1 10部
・離型剤分散液C1 8部
・ポリ塩化アルミニウム 0.15部
・イオン交換水 400部
[比較例1]
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、実施例3で作製した[トナー材料液3]80部を投入し、120秒間撹拌して分散させた後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、60℃で1時間有機溶媒を留去し、更に62℃で濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体101]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー101を作製した。
[比較例2]
ビーカー内に、イオン交換水99部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25%水性分散液6部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(三洋化成工業社製「エレミノールMON−7」)10部を入れ均一に溶解した。
次いで、50℃で、TK式ホモミキサーにより、10,000rpmに撹拌しながら、実施例4で作製した[トナー材料液4]80部を投入し、120秒間撹拌して分散させた後、撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、減圧下、60℃で1時間有機溶媒を留去し、更に62℃で濃度が0.5%以下となるまで有機溶媒を留去し、[樹脂粒子の水性樹脂分散体102]を得た。
以下、実施例1と同様にして洗浄以降の操作を行ってトナー102を作製した。
[比較例3]
ステアリルアミンを添加しなかった点以外は、実施例13と同様にしてトナー103を作製した。
[比較例4]
(結晶性樹脂ラテックス3の調製)
[樹脂D2]40gをイオン交換水360gに加え、90℃に加熱した後、4%の水酸化ナトリウム水溶液でpH=7.5に調整し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.8gを加えながら、IKA社製のウルトラタラックスT50を用いて、8000rpmで攪拌し、中心径320nmの[結晶性樹脂ラテックス3]を作製した。このラテックスの固形分濃度は11%であった。
実施例16における[結晶性樹脂ラテックス2]を[結晶性樹脂ラテックス3]に変更した点以外は、実施例16と同様の方法でトナー104を作製した。
上記実施例及び比較例の各トナーについて各種特性を測定した。結果を表1に示す。
1級アミノ基濃度(μmol/g)は前述した<トナー中の1級アミンの定量方法>により定量した。
(C)/〔(C)+(A)〕は、前述したように、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定した。
質量平均分子量(Mw)及び分子量が100,000以上の成分の割合(%)は、前述したように、ポリスチレン標準試料を用いたDSCにより測定した。
ΔH(T)(J/g)、ΔH(H)(J/g)、ΔH(H)/ΔH(T)は、示差走査熱量計〔TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製)〕により測定した。
また、各トナーについて、次のようにして評価を行った。結果を表1に示す。

[定着性]
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した電子写真方式の複写機(MF−200、リコー社製)の定着部を改造した装置を用いて、定着ベルトの温度を外部制御で85℃から5℃刻みで上げていき、普通紙及び厚紙の転写紙タイプ6200(リコー社製)に、トナーの付着量が0.85±0.1mg/cmのベタ定着画像を形成した。
定着画像について、目視でベタ画像が欠損無く定着されており、かつ上島製作所製描画試験器AD−401を使用して定着画像の着色部分にサファイヤ針(半径125μm)を針回転直径8mm、荷重1gの条件で当接した状態で走行させ、サファイヤ針尖端部の走行面を目視で観察し、引っかき傷が全く見られない最低温度を定着下限温度とした。
また、各画像の光沢度(60度)を測定し、温度に対して光沢度をプロットしたとき、光沢度の減少が見られる直前の温度を定着上限温度とした。また120℃で定着したときの光沢度を「光沢@120」として表1に示した。
[顔料分散性]
トナーをエポキシ樹脂で包埋し、ミクロトームで作製した薄片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、トナー中における顔料分散状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎……顔料がトナー内部に均一に分散している。
○……顔料の一部に凝集はあるものの、トナー内部に分散している。
△……顔料が表面近傍に偏在気味ではあるが、トナー内部にも分散している。
▲……顔料がトナー表面近傍に偏在している。
×……顔料がトナーから離脱し、トナー表面に付着している。
××…顔料がトナーから遊離し、トナーとは独立して存在している。
[画像ノイズ]
リコー製ipsio SP C810のブラック現像ユニットに収納されている現像剤を取り除き、分解・清掃を行って再度組み立てた。そして、空になった現像ユニットに、各トナー5部とシリコーン樹脂コートキャリア95部を混合攪拌して作成した二成分現像剤を入れた後、転写紙(リコー社製 タイプ6200Y目紙)に印字率5%のテストチャートを印字した。転写紙の印字が意図されていない部分(白地部)の様子を目視観察した。当然ながら白地部にトナーが乗っていれば画像ノイズとみなされ好ましくない。

◎……白地部には全くトナーが見られない。
○……転写紙を斜めにして見るとごくわずかにトナーの付着が見られる。
△……転写紙を斜めにして見るとトナーの付着が見られる。
×……転写紙を斜めにしてみるまでも無く、白地部にトナーの付着が見られる。
Figure 2014052559
なお、表中の(i)はステアリルアミン、(ii)はHN−(CH11−NH、(iii)はp−アミノ安息香酸、(iv)はベヘニルアミンである。
1 プロセスカートリッジ
2 感光体
3 帯電手段
4 現像手段
5 クリーニング手段
10 中間転写体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 タンデム型現像器
21 露光手段
22 2次転写手段
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 静電潜像担持体(感光体)
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 帯電器
61 現像器
62 1次転写装置
63 クリーニング手段
64 除電装置
100 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
特公平4−24702号公報 特公平4−24703号公報 特開2010−77419号公報 特許第2675881号公報

Claims (11)

  1. 少なくとも、結着樹脂として結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、該トナー中の1級アミノ基の濃度が0.1〜10μmol/gであることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、前記結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(C)、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を(A)とした時の比率(C)/〔(C)+(A)〕が、0.15以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のうち、ゲル拡散クロマトグラフィー(GPC)における分子量が100,000以上の成分の割合が5質量%以上であり、かつ質量平均分子量が20,000〜70,000であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  4. 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(T)(J/g)、前記トナーのTHF/酢酸エチルの混合溶媒(質量比で50/50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量をΔH(H)(J/g)としたとき、ΔH(H)/ΔH(T)が0.2〜1.25であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  5. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルユニットとポリウレタンユニットを有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項5に記載のトナー。
  7. 前記結晶性ポリエステルユニットが、炭素数6〜12のジオール及び/又は炭素数6〜12のジカルボン酸を構成成分として含むことを特徴とする請求項5又は6に記載のトナー。
  8. 前記1級アミノ基が、トナー中に1級アミノ基を有する物質を含有させるか、又は前記結着樹脂中に1級アミノ基を形成することにより導入されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のトナー。
  9. 水系媒体中で溶解懸濁法により作製されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトナー。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のトナーとキャリアを含むことを特徴とする二成分現像剤。
  11. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記トナーとして請求項1〜9のいずれかに記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
JP2012197906A 2012-09-07 2012-09-07 トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置 Pending JP2014052559A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012197906A JP2014052559A (ja) 2012-09-07 2012-09-07 トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012197906A JP2014052559A (ja) 2012-09-07 2012-09-07 トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014052559A true JP2014052559A (ja) 2014-03-20

Family

ID=50611074

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012197906A Pending JP2014052559A (ja) 2012-09-07 2012-09-07 トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014052559A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016212160A (ja) * 2015-04-30 2016-12-15 キヤノン株式会社 トナー

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011148963A (ja) * 2009-03-17 2011-08-04 Sanyo Chem Ind Ltd 樹脂粒子
JP2012118466A (ja) * 2010-12-03 2012-06-21 Canon Inc トナーの製造方法
JP2012133332A (ja) * 2010-12-02 2012-07-12 Canon Inc トナーの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011148963A (ja) * 2009-03-17 2011-08-04 Sanyo Chem Ind Ltd 樹脂粒子
JP2012133332A (ja) * 2010-12-02 2012-07-12 Canon Inc トナーの製造方法
JP2012118466A (ja) * 2010-12-03 2012-06-21 Canon Inc トナーの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016212160A (ja) * 2015-04-30 2016-12-15 キヤノン株式会社 トナー

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9720339B2 (en) Toner, developer using the toner, image forming apparatus
JP5240394B1 (ja) 電子写真用トナー、現像剤、画像形成方法、プロセスカートリッジ、画像形成装置、トナー容器
JP5948854B2 (ja) 電子写真用現像剤、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5769016B2 (ja) 電子写真用トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
KR101681821B1 (ko) 토너 및 그의 제조 방법, 및 2 성분 현상제 및 화상 형성 장치
JP5850314B2 (ja) トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置
JP2013218288A (ja) 静電荷像現像用トナー、これを用いた現像剤及び画像形成装置
JP2013080200A (ja) 電子写真用トナー、現像剤、及び画像形成装置
JP2014167602A (ja) 電子写真用トナー、及び該トナーを含む二成分現像剤、画像形成装置
JP2013186219A (ja) 電子写真用トナー、現像剤、及び該トナーの製造方法
JP6330306B2 (ja) トナー、現像剤、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
KR101878086B1 (ko) 토너, 현상제, 및 화상 형성 장치
JP2014092605A (ja) 電子写真用トナー、二成分現像剤、及び画像形成装置
JP5999472B2 (ja) 電子写真用トナー、二成分現像剤及び画像形成装置
JP6028421B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP2014052559A (ja) トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置
JP2014149370A (ja) トナー、現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び定着画像
JP6237019B2 (ja) トナー、現像剤、トナーカートリッジ及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160629

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161004