JP2014052434A - 光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】逆ハイブリッド配向固有の表示ムラ(低レタデーション領域)の発生を低減させた逆ハイブリッド配向の光学異方性層を有する光学補償シートを提供する。該光学補償シートを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】透明支持体上に、配向膜を有し、その上に少なくとも液晶性化合物を含む組成物からなる光学異方性層を有する光学補償シートであって、前記液晶性化合物が逆ハイブリッド配向し、前記配向膜中に、pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を少なくとも1種含有する、光学補償シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に適用される光学補償シート、並びに該光学補償シートを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)は、液晶セル及びそのセルを挟持する1対の偏光板を有する。
一方、偏光が液晶セルを通り抜ける際に、液晶セルが持つ位相差が原因となり、様々な視野角から見た際に、表示特性が悪化する場合があることが知られている。表示特性を改善するために1対の偏光板の内側に一枚以上の光学補償シートを配置することがあり、その光学補償シートの一つの態様として、透明支持体上に配向膜を設け、更にその上に液晶性化合物を、所定の配向状態に固定した光学異方性層を設けた構成が知られている。このような構成において、透明支持体と配向膜との間には密着性が要求されるが、透明支持体が疎水性である場合、水溶性樹脂硬化膜とは親和性が悪いため、密着性が悪化する場合がある。これを解消するために、透明支持体表面をアルカリ鹸化処理して、支持体表面に密着性を付与して配向膜を設ける等の方法が行われている。
そのような光学補償シートとして、例えば、特許文献1には、支持体と配向膜との密着性、白抜け等のムラの低減の観点から、配向膜に、少なくとも1つの極性基を有する有機カルボン酸化合物を少なくとも1種含有させた光学補償シートが開示されている。
特許文献1には、配向膜に、前記少なくとも1つの極性基を有する有機カルボン酸化合物を含有させることにより配向膜表面のpH等を安定化し白抜け等のムラを低減する旨が記載されている。また、特許文献1には、光学異方性層において液晶性化合物の分子における物理的な対称軸と支持体面とが形成する角度が、該支持体面と該液晶性化合物の分子との距離に従って変化しているハイブリッド配向を形成していることが記載されている。
また、近年の液晶表示装置の表示特性は、表示ムラ低減などユーザーの要求が高く、日進月歩の勢いで各パネルメーカーが改良を積み重ねている。
特許第4288150号公報
本発明者らは、ハイブリッド配向のうち、特許文献1に記載されている順ハイブリッド配向よりも、逆ハイブリッド配向の光学異方性層を有する光学補償シートが、それを適用する液晶表示装置の光漏れを低減し得ることを見出している。
ここで、順ハイブリット配向が配向膜界面から空気界面に向けて、液晶性化合物における物理的な対称軸が光学異方性層の界面となす角度(以下チルト角と呼ぶことがある。)が大きくなっていく配向状態を指すのに対し、前記逆ハイブリッド配向は、配向膜界面から空気界面に向けてチルト角が小さくなっていく配向状態を指し、光学異方性層における液晶性化合物の配向を制御する配向剤等によって達成され得る。
しかしながら、逆ハイブリット配向は配向膜界面において大きなチルト角を持つが、この時配向膜表面の影響を大きく受ける現象が生じ、数十cm四方の表示ムラ(低レタデーション領域)が発生してしまう場合があることを本発明者らは見出している。そして、逆ハイブリッド配向における上記表示ムラ(低レタデーション領域)は、特許文献1に記載の前記ハイブリット配向における白抜け等のムラとは異なり、前記少なくとも1つの極性基を有する有機カルボン酸化合物による配向膜表面のpH等の安定化では解消し得ないことを見出している。
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、逆ハイブリッド配向固有の表示ムラ(低レタデーション領域)の発生を低減させた逆ハイブリッド配向の光学異方性層を有する光学補償シートを提供することを目的とする。また他の目的として、該光学補償シートを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、鹸化処理後の残存物が支持体表面ないし配向膜に局在的に残存すると、光学異方性層の配向膜界面近傍における液晶性化合物の平均チルト角が低下してしまい上記表示ムラが発生し得ること、配向膜に特定のカルボン酸化合物を含有させることで上記表示ムラが低減できることを見出した。本発明は上記知見に基づき達成されるに至ったものである。
上記課題は、以下の解決手段により達成される。
[1]
透明支持体上に、配向膜を有し、その上に少なくとも液晶性化合物を含む組成物からなる光学異方性層を有する光学補償シートであって、上記液晶性化合物が逆ハイブリッド配向し、上記配向膜中に、pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を少なくとも1種含有する、光学補償シート。
[2]
上記カルボン酸化合物のpKaが2.5〜5.5である、[1]に記載の光学補償シート。
[3]
上記カルボン酸化合物の分子量が50〜190である、[1]又は[2]に記載の光学補償シート。
[4]
上記カルボン酸化合物がカルボキシル基以外の極性基を有しない、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学補償シート。
[5]
上記液晶性化合物がディスコティック液晶性化合物である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学補償シート。
[6]
上記透明支持体が、表面を鹸化処理された透明支持体である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学補償シート。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する偏光板。
[8]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学補償シート、又は[7]に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
[9]
pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を少なくとも1種含有する配向膜形成用組成物。
[10]
上記カルボン酸化合物がカルボキシル基以外の極性基を有しない、[9]に記載の配向膜形成用組成物。
本発明によれば、逆ハイブリッド配向固有の表示ムラ(低レタデーション領域)の発生を低減させた逆ハイブリッド配向の光学異方性層を有する光学補償シート、並びに該光学補償シートを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の光学補償シートの一例の断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」及び「(数値1)乃至(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、更に屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、λ=550nmでの値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
(平均チルト角の測定)
ディスコティック液晶性化合物等の液晶性化合物を配向させた光学異方性層において、光学異方性層の一方の面におけるチルト角(ディスコティック液晶性化合物等の液晶性化合物における物理的な対称軸が光学異方性層の界面となす角度をチルト角とする)θ1及び他方の面のチルト角θ2を、直接的にかつ正確に測定することは困難である。そこで本明細書においては、θ1及びθ2は、以下の手法で算出する。本手法は本発明の実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
本手法では算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面における平均チルト角とする。
1.光学異方性層はディスコティック液晶性化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(ディスコティック液晶性化合物の平均チルト角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層の平均チルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層の平均チルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定及び計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRA−21ADH及びKOBRA−WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメータAEP−100((株)島津製作所製)、M150及びM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)、M2000(ジェー・エー・ウーラム(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、及び多層体全体の厚みをdとする。さらに各層における平均チルト方向とその層の円盤面の方向一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面における平均チルト角θ1及び他方の面の平均チルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1及びθ2を算出する。
ここで、no及びneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定することができる。
なお、本明細書で「チルト角」という場合は、上記方法で算出される、1つの界面における全ての液晶性化合物のチルト角の平均の「平均チルト角」をいうものとする。
[光学補償シート]
本発明の光学補償シートは、透明支持体上に、配向膜を有し、その上に少なくとも液晶性化合物を含む塗布液を含む組成物からなる光学異方性層を有する光学補償シートであって、前記液晶性化合物が逆ハイブリッド配向し、前記配向膜中に、pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を少なくとも1種含有する。
本発明の光学補償シートは、例えば、図1に示すように、透明支持体上に、液晶性化合物(例えば、ディスコティック液晶性化合物)の配向を制御する配向膜を設け、該配向膜上に光学異方性層を設けてなる。
また、本発明は、下記工程を有する前記光学補償シートの製造方法に関するものでもある。
透明支持体を鹸化処理する工程、
前記鹸化処理後の透明支持体上に、pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を少なくとも1種含有する配向膜形成用組成物を適用して配向膜を形成する工程、及び
前記配向膜上に液晶性化合物を含む組成物を適用した後UV硬化して光学異方性層を形成する工程。
本発明において、光学異方性層中の液晶性化合物(例えば、ディスコティック液晶性化合物)の液晶分子の配向状態は逆ハイブリッド配向しており、支持体側界面近傍(すなわち、配向膜界面近傍)において大きい平均チルト角の傾斜配向状態又は垂直配向状態を達成し、空気界面方向に向かって平均チルト角が減少する逆ハイブリッド配向状態を形成している。
液晶性化合物が、配向膜界面近傍において大きい平均チルト角の傾斜配向又は垂直配向状態にあり、空気界面方向にそのチルト角が減少する逆ハイブリッド配向状態であることにより、本発明の光学補償シートを適用した液晶表示装置の光漏れが低減する。特に、本発明の光学補償シートは、TNモード液晶表示装置の光学補償シートとして適する。
また、ディスコティック液晶分子を逆ハイブリッド配向させた時、ディスコティック液晶分子の配向は、その円盤面と配向膜をラビング処理した方向が平行になるように配向(以下「平行配向」ともいう)する場合と、円盤面の法線方向とラビング方向が平行になるように配向(以下「直交配向」ともいう)する場合が考えられるが、「平行配向」になることがほとんどである。また実際の生産では連続生産が用いられるためにフィルム長尺方向に沿ってラビング処理が施されるのが一般的である。従って、長尺状の偏光膜と長尺方向を一致させて貼り合わせることを考えた場合、「平行配向」ではなく、「直交配向」が望まれる。
〔pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物〕
本発明における配向膜形成用組成物は、pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を含有する。
本発明は、前記配向膜形成用組成物に関するものでもある。
本発明におけるカルボン酸化合物のlogPは−1.8〜2.0であり、−1.0〜1.0であることが好ましく、−0.8〜0.5であることが更に好ましい。
logPは疎水性の程度を示す値として知られているオクタノール−水分配係数である。
光学異方性層は比較的に疎水的であり得るのに対し、鹸化処理後の透明支持体は比較的に親水的であり得る。本発明において、前記カルボン酸化合物のlogP値を上記範囲とすることにより、配向膜において、前記カルボン酸化合物を透明支持体側に偏在させることができるものと推定される。
本願においてオクタノール−水分配係数(logP)はCrippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により算出する。
本発明におけるカルボン酸化合物のpKaは2.5以上であり、2.5〜5.5であることが好ましい。
前記カルボン酸化合物のpKaを上記範囲とすることにより、配向膜において、鹸化処理後の残存物などの中和に機能し得、ムラを低減し得るものと推定される。
ここで、pKaは25℃における水溶液中の酸解離定数の逆数の対数値を表し、イオン強度0.1、25℃で算出された値である。
本発明におけるカルボン酸化合物の分子量は190以下であり、50〜190であることが好ましい。
上記範囲とすることにより、比較的に親水的な配向膜形成用組成物中に前記カルボン酸化合物を溶解させることができ、また乾燥過程での析出もなく、鹸化による残存物の中和に機能し得、ムラを低減し得るものと推定される。
本発明におけるpKa2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物としては、一塩基性酸であっても多塩基性酸であってもよい。脂肪族化合物、芳香族化合物、或は複素環化合物の何れでもよい。
具体的には、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、複素環カルボン酸等が挙げられ、脂肪族カルボン酸であることが好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、炭素数1〜6(カルボン酸の炭素原子を除く)の脂肪族カルボン酸であることが好ましい。
芳香族カルボン酸としては、炭素数6〜10(カルボン酸の炭素原子を除く)の芳香族カルボン酸であることが好ましい。
複素環カルボン酸としては、炭素数6〜10(カルボン酸の炭素原子を除く)の複素環カルボン酸であることが好ましい。
本発明における前記カルボン酸化合物は、逆ハイブリッド配向固有の表示ムラを低減する観点から、カルボキシル基以外の極性基を有しないことが好ましい。前記極性基としては、−OH、−SH、−NHR、−CONHR、−SONHR、−HNCONHR、−NHSONHR、―NHCOR、―NHSOが挙げられる。但し、Rは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又は複素環基を表す。Rは、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。
本発明におけるpKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物として具体的には、アジピン酸、フマル酸、コハク酸、酢酸、マロン酸、乳酸等が挙げられるが、本発明におけるカルボン酸化合物はこれらに限定されるものではない。
本発明における前記カルボン酸化合物は、配向膜形成用組成物全固形分中、0.01〜30質量%の割合で含有させることが好ましい。更には、0.01〜25.0質量%がより好ましく、0.01〜20.0質量%が更に好ましい。
この範囲において、表示ムラの無い光学補償シートが得られる。更には、長尺フィルムを連続して製造しても、極めて安定な性能で製造することが出来る。
〈透明支持体〉
本発明において、透明支持体については特に制限はない。種々のポリマーフィルムを用いることができる。一例は、透明で、光学異方性が小さいポリマーフィルムであるが、これに限定されるものではない。ここで支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。また、光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることを意味し、10nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体は、長尺状であってロール形態に巻き上げられた形状であっても、最終製品の大きさである、例えば、長方形のシート状であってもよい。ロール状に巻き上げられた長尺のポリマーフィルムを、支持体として用い、配向膜及び光学異方性層を連続的に形成してから、必要な大きさに切断することが好ましい。
透明支持体として用いられるポリマーフィルム厚みについては特に制限はないが、一般的には、20〜500μmであることが好ましく、30〜200μmであることがさらに好ましい。
前記透明支持体は、セルロースアシレート、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートなどいずれの材料からなるフィルムでもよいが、本発明では、コスト、製造の簡便性から、セルロースアシレートフィルムを用いるのが好ましい。
以下、透明支持体として利用可能なセルロースアシレートフィルムについて詳細に説明する。
[セルロースアシレートフィルムの製造方法]
本発明に利用可能なセルロースアシレートフィルムは、数平均分子量が200〜10000である可塑剤とセルロースアシレートとを含有するポリマー溶液を流延してウェブを形成する流延工程と、前記流延工程において形成された前記ウェブを残留溶媒量が100〜300質量%の状態で−30℃〜30℃で一方向に延伸する延伸工程と、前記延伸工程開始後から乾燥工程開始前までの間に残留溶媒量を100質量%以下に減少させる工程と、前記延伸工程後のウェブを膜面温度が200℃以上にならないように制御しながら残留溶媒量を10%以下に減少させる工程を含む製造方法により製造するものが好ましい。
〈流延工程〉
前記製造方法では、流延工程においてセルロースアシレートを含有するポリマー溶液(以下、ドープとも言う)を流延してウェブを形成する。
[セルロースアシレート]
前記製造方法で製造されるセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成する主成分としてのポリマーがセルロースアシレートであるフィルムである。ここで、「主成分としてのポリマー」とは、フィルムが単一のポリマーからなる場合には、そのポリマーのことを示し、複数のポリマーからなる場合には、構成するポリマーのうち最も質量分率の高いポリマーのことを示す。
前記セルロースアシレートフィルムの材料として用いられるセルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いてもよい。セルロースアシレートは、負の固有複屈折性を付与するために全置換度が2.7〜3.0であるものが好ましい。ここでいう負の固有複屈折とは、ポリマーフィルムを延伸した際に、延伸方向と直交方向に屈折率の最大値を持つ方向を持つ性質をいう
本発明においては各種公知のセルロースアシレートフィルムを用いることができるが、具体的には、特開2011−128584号公報段落0041〜0099に記載のセルロースアシレートフィルム、及びその製造方法を用いることが好ましい。
[鹸化処理]
鹸化処理(アルカリ鹸化処理)は、アルカリ溶液を透明支持体に浸漬、噴射若しくは塗布することで行う。好ましくは、塗布で鹸化処理することが好ましく、塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。
[アルカリ溶液]
本発明のアルカリ溶液はpH11以上のアルカリ溶液が好ましい。より好ましくはpH12〜14である。
アルカリ溶液に用いられるアルカリ剤の例として、水酸化ナトリウム、同カリウム、同リチウム等の無機アルカリ剤、又、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルブチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて併用することもでき、一部を例えばハロゲン化したような塩の形で添加してもよい。
これらのアルカリ剤の中でも、水酸化ナトリウム或は水酸化カリウムが、これらの量を調整することにより広いpH領域でのpH調整が可能となるため好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、使用するアルカリ剤の種類、反応温度および反応時間に応じて決定されるが、アルカリ剤の含有量は、アルカリ溶液中の0.1〜5mol/Kgが好ましく、0.5〜3mol/Kgがより好ましい。
本発明のアルカリ溶液の溶媒は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶液を含有することからなることが好ましい。有機溶媒としては、水と混和可能な有機溶媒であればいずれも用いることができるが沸点120℃以下、より好ましくは100℃以下のものが好ましい。
その中でも好ましい有機溶媒は、無機性/有機性値(I/O値)が0.5以上、且つ溶解度パラメーターが16〜40[mJ/m1/2の範囲のものが好ましい。より好ましくは、I/O値が0.6〜10、且つ溶解度パラメーターが18〜31[mJ/m1/2である。I/O値がこの範囲よりも無機性が強いか、又は溶解度パラメーターが低いと、アルカリ鹸化速度が低下し、また鹸化度の全面均一性も不満足となる。一方、I/O値が上記範囲よりも有機性の側であるか、又は溶解度パラメーターが高溶解性の側では、鹸化速度は速いが、ヘイズを生じ易く、したがって全面均一性の点では同様に不満足となる。
また、有機溶媒、とりわけ上記有機性と溶解性の各範囲の有機溶媒を後述する界面活性剤、相溶化剤等と組み合わせて用いると高い鹸化速度が維持されて、かつ全面に亘る鹸化度の均一性が向上する。
好ましい特性値を有する有機溶媒は、例えば、有機合成化学協会編、「新版溶剤ポケットブック」((株)オーム社、1994年刊)等に記載のものが挙げられている。(また、有機溶媒の無機性/有機性値(I/O値)については、例えば、田中善生著有機概念図)三共出版社1983年刊、1〜31頁に解説されている)。
具体的には、一価脂肪族アルコール類(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等)、脂環式アルカノール(例、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、メトキシシクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール等)、フェニルアルカノール(例、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、メトキシベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等)、複素環式アルカノール類(フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等)、グリコール化合物のモノエーテル類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、メトキシメトキシエタノール、ブチルセルソルブ、ヘキシルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等)ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3ジメチルイミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル類(例、テトラヒドロフラン、ピラン、ジオキサン、トリオキサン、ジメチルセルソルブ、ジエチルセルソルブ、ジプロピルセルソルブ、メチルエチルセルソルブ、ジメチルカルビトール、ジメチルカルビトール、メチルエチルカルビトール等)等が挙げられる。用いる有機溶媒は、単独若しくは2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒を単独或いは2種以上を混合する場合の少なくとも一種の有機溶媒は、水への溶解性が大きなものが好ましい。有機溶媒の水の溶解度は、50質量%以上が好ましく、水と自由に混合するものがより好ましい。これによりアルカリ剤、鹸化処理で副生する脂肪酸の塩、空気中の二酸化炭素を吸収して生じた炭酸の塩等への溶解性が充分なアルカリ溶液を調製できる。
有機溶媒の溶媒中の使用割合は、溶媒の種類、水との混和性(溶解性)、反応温度および反応時間に応じて決定する。
水と有機溶媒の混合比は、3/97〜85/15質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜60/40質量比であり、更に好ましくは15/85〜40/60質量比である。この範囲において、アシレートフィルムの光学特性を損なうことなく容易にフィルム全面が均一に鹸化処理される。
本発明に用いるアルカリ溶液が含有する有機溶媒として、上記した好ましいI/O値を有する有機溶媒とは異なる有機溶媒(例えばフッ化アルコール等)を、後述の界面活性剤、相溶化剤の溶解助剤として併用してもよい。その含有量は使用液の総重量に対して0.1〜5%が好ましい。
本発明に用いるアルカリ溶液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を添加することによって表面張力を下げて塗布を容易にしたり、塗膜の均一性を上げてハジキ故障を防止し、かつ有機溶媒が存在すると起こり易いヘイズを抑止し、さらに鹸化反応が均一に進行する。その効果は、後述する相溶化剤の共存によって特に顕著となる。用いられる界面活性剤には特に制限はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のいずれであってもよい。
具体的には、例えば、吉田時行著「界面活性剤ハンドブック(新版)」(工学図書、1987年刊行)、「界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」第1編(技術教育出版、2000年刊行)等記載の公知の化合物が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、カチオン性界面活性剤としての4級アンモニウム塩類、ノニオン性界面活性剤としての各種のポリアルキレンレングリコール誘導体類、各種のポリエチレンオキサイド付加物類等のポリエチレンオキサイド誘導体類、両性界面活性剤としてのベタイン型化合物類が好ましい。
アルカリ溶液には、ノニオン活性剤とアニオン活性剤又はノニオン活性剤とカチオン活性剤を共存させて用いることも本発明の効果が高められて好ましい。
これらの界面活性剤のアルカリ溶液に対する添加量は、好ましくは、0.001〜10質量%であり、より好ましくは、0.01〜5質量%である。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、相溶化剤を含有させることも好ましい。本発明において、「相溶化剤」とは、温度25℃において、相溶化剤100gに対して水の溶解度が50g以上となる親水性化合物をいう。相溶化剤の水の溶解度は、相溶化剤100gに対して、80g以上であるのが好ましく、100g以上であるのがより好ましい。また、相溶化剤が液状化合物である場合は、沸点が100℃以上であるのが好ましく、120℃以上であるのがより好ましい。
相溶化剤は、アルカリ溶液を貯留する浴等の壁面に付着したアルカリ溶液の乾燥を防止し、固着を抑制し、アルカリ溶液を安定に保持させる作用を有する。また、透明支持体の表面にアルカリ溶液を塗布して一定時間保持した後、鹸化処理を停止するまでの間に、塗布されたアルカリ溶液の薄膜が乾燥し、固形物の析出を生じ、水洗工程での固形物の洗い出しを困難にすることを防止する作用を有する。さらには、溶媒となる水と有機溶剤との相分離を防止する。特に、界面活性剤と有機溶剤と上述した相溶化剤との共存によって、処理された透明支持体は、ヘイズが少なく、かつ、長尺の連続鹸化処理の場合であっても安定して全面均一な鹸化度となる。
相溶化剤は、上記の条件を満たす材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリオール化合物、糖類等のヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を含む水溶性重合体が好適に挙げられる。
ポリオール化合物は、低分子化合物、オリゴマー化合物および高分子化合物のいずれも用いることができる。
脂肪族ポリオール類としては、例えば、炭素数2〜8のアルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ヒドロキシル基を3個以上含有する炭素数3〜18のアルカン類(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、イノシットール等)が挙げられる。
ポリアルキレンオキシポリオール類としては、上記のような同じアルキレンジオール同士が結合していてもよく、異なるアルキレンジオールが互いに結合していてもよいが、同じアルキレンジオール同士が結合したポリアルキレンポリオールがより好ましい。いずれの場合もの結合数は3〜100であるのが好ましく、3〜50であるのがより好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)が挙げられる。
糖類としては、例えば、高分子学会高分子実験学編集委員会編「天然高分子」第二章(共立出版(株)、1984年刊)、小田良平等編「近代工業化学22、天然物工業化学II」((株)朝倉書店、1967年刊)等に記載されている水溶性化合物が挙げられる。中でも、遊離のアルデヒド基およびケトン基を持たない、還元性を示さない糖類が好ましい。
糖類は、一般に、グルコース、スクロース、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類されるが、いずれも本発明に好適に用いられる。
例えば、サッカロース、トレハロース、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット、還元水あめが挙げられる。これらの糖類は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を有する水溶性重合体としては、例えば、天然ガム類(例えば、アラビアガム、グアーガム、トラガンドガム等)、ポリビニルピロリドン、ジヒドキシプロピルアクリレート重合体、セルロース類またはキトサン類とエポキシ化合物(エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド)との付加反応体が挙げられる。
中でも、アルキレンポリオール、ポリアルキレンオキシポリオール、糖アルコール等のポリオール化合物が好ましい。
相溶化剤の含有量は、アルカリ溶液に対して、0.5〜25質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、消泡剤、アルカリ溶液安定化剤、pH緩衝剤、防腐剤、防菌剤等の公知のものが挙げられる。
[アルカリ鹸化方法]
上記のアルカリ溶液を用いた透明支持体(例えば、セルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム)の表面処理方法は従来公知のいずれの方法でもよいが、特に、フィルムの片面のみをムラ無く均一に鹸化処理する場合は、塗布方式が好ましい。塗布の方法としては、従来公知の塗布方法[例えば、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーター、ブレードコーター等]が好ましく利用できる。
鹸化処理は、処理するフィルムの変形、処理液の変質等が生じない温度120℃を越えない範囲の処理温度で行うことが好ましい。更に温度10℃以上であり100℃以下の範囲が好ましい。特に、温度20〜80度が好ましい。
又、鹸化処理の時間は、アルカリ溶液、処理温度により適宜調整して決定するが、1秒から60秒の範囲で行われるのが好ましい。
更に、透明支持体(例えば、セルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム)をその表面が少なくとも10℃以上の温度でアルカリ溶液で鹸化処理する工程、透明支持体の温度を少なくとも10℃以上に維持する工程、そして、アルカリ溶液を透明支持体から洗い落とす工程によりアルカリ鹸化処理を実施することが好ましい。
透明支持体をその表面が所定の温度でアルカリ溶液で鹸化処理には、塗布する前に予め所定の温度に調整する工程、アルカリ液を予め所定の温度に調整しておく工程、或いはこれらを組み合わせた工程等が挙げられる。塗布する前に予め所定の温度に調整する工程と組み合わせることが好ましい。
鹸化反応後は、水洗、中和し水洗等でフィルム表面からアルカリ溶液及び鹸化処理反応物とを洗浄し除去することが好ましい。
具体的には、例えば国際公開第02/46809号パンフレット等に記載の内容が挙げられる。
〈配向膜〉
本発明では、配向膜の材料として、特に制限はないが、変性又は未変性のポリビニルアルコール、変性又は未変性のポリイミド、(メタ)アクリレートモノマー、ポリスチレン等が挙げられ、変性又は未変性のポリビニルアルコールからなる配向膜を使用することが好ましい。変性ポリビニルアルコールの中でも、重合性基を有する単位を含む変性ポリビニルアルコールを含有する配向膜を用いると、光学異方性層との密着性をさらに改善できるので好ましい。ビニル部分、オキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基で、少なくとも一個のヒドロキシル基が置換されたポリビニルアルコールが好ましく、例えば、特許第3907735号公報の段落番号[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコールが好ましい。
本発明で使用可能な配向膜は、ラビング処理を施されたラビング処理面を有する。本発明では、一般的なラビング処理方法を利用することができる。例えば、配向膜の表面を、ラビングロールで摺ることによって実施できる。長尺状のポリマーフィルムからなる支持体上に連続的に配向膜を形成する態様では、製造適性の観点では、ラビング処理の方向(ラビング方向)は、ポリマーフィルムの長手方向と一致しているのが好ましい。
配向膜は、配向膜形成用組成物である前記カルボン酸化合物、及び前記ポリマーを含む塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、配向処理することにより形成することができる硬化膜であることが好ましい。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成用組成物として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。
配向膜は、透明支持体上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理し作成することが好ましい。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
又、光照射で光配向する場合には、光照射装置としての光源は、超高圧水銀灯、キセノン灯、蛍光灯、レーザ等を用いることが出来、光二量化化合物を光配向をするには上記光源と偏光膜を組み合わせて(偏光膜を通して)紫外線を直線偏光とし、光配向膜に照射する。偏光膜としては、主に使用されているものとして延伸染色PVAがある。この直線偏光紫外線照射装置としては、例えば、特開平10−90684号公報に開示されているものを用いることが出来る。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
〈光学異方性層〉
本発明において、前記光学異方性層に含有される液晶性化合物はディスコティック液晶性化合物であることが好ましい。本発明における光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物を含む組成物において、ディスコティック液晶性化合物を配向させたのちに固定化して形成した層であることが好ましい。
〈ディスコティック液晶性化合物〉
本発明に使用されるディスコティック液晶性化合物としては、トリフェニレン化合物、及びベンゼンの1、3及び5位が置換された3置換ベンゼン化合物が好ましく、特に、例えば、以下の一般式(X)を円盤状コアとして有する3置換ベンゼン化合物が好ましい。
一般式(X)中、Rはそれぞれ一般式(X)で表される化合物が液晶性を示すために必要な有機置換基を表し、後述の一般式(II)のR、R及びRと同義である。
一般式(X)で表されるディスコティック液晶性化合物は、高いΔn(複屈折)及び低い波長分散性を示すので、当該化合物の分子の配向を固定して形成された光学異方性層を有する光学フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとしての有用性が高い。
本発明は、一般式(X)のディスコティック液晶性化合物の分子を、「逆ハイブリッド配向」に固定して形成された光学異方性層を有する光学フィルムであり、液晶表示装置の光学補償フィルムとしての有用性が特に高い。
一般式(X)の化合物については、特開2002−90545号公報、特開2006−276203号公報、及び特願2009−68293号の明細書に詳細な記載があり、具体例についても同様である。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有することが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(II)中、Y11、Y12及びY13は、それぞれ独立に置換されていてもよいメチン又は窒素原子を表し;L、L及びLは、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表し;H、H及びHは、それぞれ独立に一般式(I−A)又は(I−B)の基を表し;R、R及びRは、それぞれ独立に下記一般式(I−R)を表す;
一般式(I−A)中、YA及びYAは、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;*は上記一般式(II)におけるL〜L側と結合する位置を表し;**は上記一般式(II)におけるR〜R側と結合する位置を表す;
一般式(I−B)中、YB及びYBは、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;*は上記一般式(II)におけるL〜L側と結合する位置を表し;**は上記一般式(II)におけるR〜R側と結合する位置を表す;
一般式(I−R)
*−(−L21−Qn1−L22−L23−Q
一般式(I−R)中、*は、一般式(II)におけるH〜H側と結合する位置を表す;L21は単結合又は二価の連結基を表す;Qは少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す;n1は、0〜4の整数を表す;L22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−NH−、**−SO−、**−CH−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表す;L23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−及び−C≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す;Qは重合性基又は水素原子を表す。
一般式(II)で表される3置換ベンゼン系ディスコティック液晶性化合物の各記号で表される基の好ましい範囲、及び前記式(II)の化合物の具体例については、特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0077]、特開2006−76992号公報の[0052]の[化13]〜[化43]、特開2007−2220号公報の[0040]の[化13]〜[0063]の[化36]の記載を参照することができる。但し、本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物は、一般式(II)の3置換ベンゼン系ディスコティック液晶性化合物に限定されるものではない。
また、ディスコティック液晶性化合物の例にはトリフェニレン化合物が含まれ、トリフェニレン化合物としては、特開2007−108732号公報の段落[0062]〜[0067]に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、ディスコティック液晶性化合物の例にはベンゼンの1、3位が置換された2置換ベンゼン化合物が含まれ、2置換ベンゼン化合物としては、特願2009−68293号の段落[0020]〜[0064]に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
その他、本発明に利用可能なディスコティック化合物の例には、ベンゼン誘導体(C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載)、トルキセン誘導体(C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁
(1990)に記載)、シクロヘキサン誘導体(B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載)及びアザクラウン系又はフェニルアセチレン系のマクロサイクル(J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)記載)が含まれる。
2種類以上のディスコティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性のディスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック液晶性分子とを併用することができる。
非重合性ディスコティック液晶性分子は、前述した重合性のディスコティック液晶性分子の重合性基を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、例えば特許第2640083号公報記載の化合物等が挙げられる。
光学異方性層中のディスコティック液晶性化合物等の液晶分子の配向状態については、少なくとも配向膜界面は、大きい平均チルト角の傾斜配向状態、又は垂直配向状態を達成していて、空気界面方向に向かって平均チルト角が減少する逆ハイブリッド配向状態を形成している。特に、ディスコティック液晶分子が、配向膜界面において大きい平均チルト角の傾斜配向状態にあり、空気界面方向にそのチルト角が減少する逆ハイブリッド配向状態であり、TNモード液晶表示装置の光学補償フィルムとして適する。また、ディスコティック液晶分子を逆ハイブリッド配向させた時、ディスコティック液晶分子の配向は、その円盤面と配向膜をラビング処理した方向が平行になるように配向(以下「平行配向」ともいう)する場合と、円盤面の法線方向とラビング方向が平行になるように配向(以下「直交配向」ともいう)する場合が考えられるが、「平行配向」になることがほとんどである。また実際の生産では連続生産が用いられるためにフィルム長尺方向に沿ってラビング処理が施されるのが一般的である。従って、長尺状の偏光膜と長尺方向を一致させて貼り合わせることを考えた場合、「平行配向」ではなく、「直交配向」が望まれる。
また特開2006−113500号公報の段落番号[0010]〜[0016]、[0042]〜[0063]に記載の例示化合物、並びに特開2006−195140号公報の段落番号[0209]〜[0238]に記載の例示化合物や以下説明するボロン酸化合物を含有させることで配向膜側のチルト角を調整することができる。
(ボロン酸化合物)
本発明の光学補償シートの光学異方性層には配向膜側の界面における垂直配向促進剤として少なくとも一種の、ボロン酸化合物が用いられる。本発明においてボロン酸化合物は、配向膜との界面においてディスコティック液晶性化合物を垂直配向させるのに寄与する。
本発明に用いられるボロン酸化合物としては、例えば、少なくとも一つのボロン酸基、もしくは、ボロン酸エステル基を有する化合物を表し、且つ、それらを配位子とした金属錯体や、4配位の硼素原子を有するボロニウムイオンも同時に表す。
また、本発明に用いられるボロン酸化合物として好ましくは、下記一般式(I)で表され、以下一般式(I)で表される化合物に付いて詳細に説明する。
一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の、脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の置換もしくは無置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基等)、炭素数3〜20の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えば、シクロヘキシル基等)、炭素数2〜20のアルケニル基(例えば、ビニル基等)が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20の置換若しくは無置換のフェニル基(例えば、フェニル基、トリル基など)、炭素数10〜20の置換若しくは無置換のナフチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては例えば、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を含む、置換若しくは無置換の5員もしくは6員環の基であり、例えば、ピリジル基、イミダゾリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等が挙げられる。
及びRは互いに連結して環を形成しても良く、例えば、R及びRのイソプロピル基が連結して、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン環を形成しても良い。
一般式(I)中、R及びRとして好ましくは、水素原子、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐のアルキル基、R及びRが連結して環を形成した場合であり、最も好ましくは、水素原子である。
一般式(I)中、Rは、置換若しくは無置換の、脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−メチルヘキシル基等)、炭素数3〜20の置換若しくは無置換の環状アルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等)、炭素数2〜20のアルケニル基(例えば、ビニル基ビ、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基等)が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜50の置換若しくは無置換のフェニル基(例えば、フェニル基、トリル基、スチリル基、4−ベンゾイルオキシフェニル基、4−フェノキシカルボニルフェニル基、4−ビフェニル基、4−(4−オクチルオキシベンゾイルオキシ)フェノキシカルボニルフェニル基等)、炭素数10〜50の置換若しくは無置換のナフチル基等(例えば、無置換ナフチル基等)が挙げられる。
ヘテロ環基としては例えば、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を含む、置換もしくは無置換の5員もしくは6員環の基であり、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン、モルホリン、ピペリジン等の基が挙げられる。
更に、これらの脂肪族炭化水素基、アリール基、およびヘテロ環基含まれる炭化水素基は任意の置換基によって1個以上置換されていてもよい。置換基としては水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。また、これらの置換基は、可能であるならば置換基同士、または置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよい。
一般式(I)中のRとして好ましくは、炭素数6〜40の置換若しくは無置換アリール基であり、より好ましくは、少なくとも一つ以上のアリール基若しくはヘテロ環基を含む置換基を有するフェニル基であり、更に好ましくは、2〜4個のフェニル基を含む置換基が4位に置換したフェニル基である。
また、一般式(I)で表されるボロン酸化合物が、架橋性基で置換されていると、支持体と光学異方性層との密着性が改善されるので好ましい。R中に架橋性基が含まれるのが好ましい。架橋性基は一般的には重合性基であり、例えば、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、スチリル基、ビニルケトン基、ブタジエン基、ビニルエーテル基、オキシラニル基、アジリジニル基、オキセタン基等の重合性基が挙げられ、好ましくはビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、スチリル基、オキシラニル基もしくはオキセタン基であり、最も好ましくはビニル基、アクリレート基、アクリルアミド基、スチリル基である。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
ボロン酸化合物は、一般に市販のボロン酸化合物をそのまま用いたり、置換基を有するボロン酸化合物を原料として、エステル化、アミド化、アルキル化など一般的な合成反応を施す事によって容易に合成する事が出来る。また、市販のボロン酸化合物を用いない場合には、例えば、ハロゲン化物(例えばアリールブロマイド等)からn−ブチルリチウムとトリアルコキシボラン(例えばトリメトキシボラン等)によって合成したり、金属マグネシウムを用いたWittig反応を施す事で合成することができる。
光学異方性層中におけるボロン酸化合物の含有量の好ましい範囲は、光学異方性層中(層形成前の組成物においては、組成物の溶媒を除く全固形分中)、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
〈フルオロ脂肪族基を有する繰り返し単位を含む共重合体〉
本発明の光学補償シートの光学異方性層を形成する液晶組成物には、フルオロ脂肪族基を有する繰り返し単位を含む共重合体を含んでいてもよい。主にディスコティック液晶性化合物の空気界面における配向を制御することを目的として添加され、ディスコティック液晶性化合物の分子の空気界面近傍におけるチルト角を減少させる作用がある。
フルオロ脂肪族基を有する繰り返し単位を含む共重合体は特開2008−257205号公報の[0051]〜[0052]に記載のフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位と[0055]〜[0056]に記載のモノマーより誘導される構成単位とからなる共重合体(好ましい例[0054])、特開2008−257205号、特開2008−111110号、特開2007−272185号、及び特開2007−217656号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
フルオロ脂肪族基を有する繰り返し単位を含む共重合体を含む化合物の添加量は、液晶性化合物100質量部に対し、0.2〜2.0質量部であるのが好ましく、0.3〜1.0質量部であるのがより好ましい。
前記フルオロ脂肪族基を有する繰り返し単位を含む共重合体の添加量が、0.2質量部未満であると、熟成温度に対するチルト角の変動が大きくなり製造適性上好ましくないことがあり、また、乾燥時の風ムラにより面状が悪化することがある。2.0質量部を超えると、液晶性化合物が配向不良を引き起こしやすくなることがある。
前記組成物は塗布液として調製することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれ、アルキルハライド及びケトンが好ましい。前記有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種類を併用してもよい。塗布液の表面張力が25mN/m以下(より好ましくは22mN/m以下)であると、均一性の高い光学異方性層を形成できるので好ましい。
また、前記組成物は、硬化性であるのが好ましく、当該態様では、重合開始剤を含有しているのが好ましい。前記重合開始剤は、熱重合開始剤であっても光重合開始剤であってもよいが、制御が容易である等の観点から、光重合開始剤が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
前記組成物は、重合性液晶性化合物とは別に、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶性化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
〈光学異方性層の形成〉
前記光学異方性層の形成方法の一例は、以下の通りである。
配向膜のラビング処理面に、塗布液として調製された、ディスコティック液晶性化合物を少なくとも含有する組成物を塗布する。塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
前記組成物の塗膜を乾燥して、液晶性化合物の分子を所望の配向状態にする。この際に、加熱することが好ましい。特に、50〜120℃で加熱すると、例えば、ディスコティック液晶性化合物の分子を、逆ハイブリッド配向状態であって、しかも遅相軸をラビング方向に対して直交方向に発現させることができ、配向状態を安定的に形成することができる。50℃未満で加熱すると、配向に乱れが多くなり、一方、120℃を超えて加熱すると、逆ハイブリッド配向は得られても、遅相軸はラビング方向に対して平行に発現する配向状態になる傾向がある。70〜100℃で加温するのがさらに好ましい。また、加温する時間は、60〜300秒程度であるのが好ましく、90〜300秒程度であるのがより好ましい。
液晶性化合物の分子を所望の配向状態とした後、重合により硬化させ、その配向状態を固定して、光学異方性層を形成する。照射する光は、X線、電子線、紫外線、可視光線または赤外線(熱線)を用いることができる。中でも、紫外線を利用するのが好ましい。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)あるいはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)が好ましく用いられる。露光量は、50〜6000mJ/cm程度であることが好ましく、100〜2000mJ/cm程度であることがさらに好ましい。短時間で配向を制御するためには、加熱しながら光を照射することが好ましい。加熱温度は、40〜140℃程度であることが好ましい。
この様にして形成する光学異方性層の厚みについては特に制限されないが、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
[偏光板]
本発明は、偏光膜と、本発明の光学補償シートとを少なくとも有する偏光板にも関する。本発明の偏光板の一態様は、偏光膜の一方の表面に本発明の光学補償シートが積層され、他方の表面に保護フィルムが積層された偏光板である。本態様では、本発明の光学補償シートの支持体の裏面(配向膜及び光学異方性層が形成されていない側の面)が、偏光膜の一方の表面に貼合されているのが好ましい。他方の表面に貼合される保護フィルムについては特に制限はなく、上記支持体として利用可能なポリマーフィルムの例から選択するのが好ましい。保護フィルムの好ましい一例は、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロースアシレートフィルムである。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
長尺状の偏光膜と、長尺状の本発明の光学補償シートとを、連続的に貼合して、偏光板を作製することができる。光学フィルムの製造において、支持体の長手方向に沿ってラビング処理をすることが製造適性の観点では好ましいことは上記した通りである。本発明の光学フィルムでは、光学異方性層の遅相軸はラビング方向に直交する方向にあり、即ち、長手方向に対して直交した方向にある。よって、長尺状の偏光膜と貼り合せる際に、長手方向を一致させて本発明の光学フィルムを積層することで、光学異方性層の遅相軸と、偏光膜の吸収軸とが直交した偏光板を、容易に連続的に作製することができる。
[液晶表示装置]
本発明は、本発明の光学補償シート又は偏光板を有する液晶表示装置にも関する。
本発明の光学フィルムは、特にTN型液晶表示装置の光学補償に適している。従って、本発明の液晶表示装置の好ましい態様は、TN型液晶表示装置である。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置とについては、従来からよく知られている。液晶セルのΔn・dは300〜500nm程度である。本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムを、液晶セル側にして配置されることが好ましい。
なお、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、前述の光学異方性層中のディスコティック液晶分子の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(III)よりRthを算出することもできる。
式(A)
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは測定フィルムの厚みを示す。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・・式(III)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、屈折率の測定波長は、特に断らない限り、可視光域のλ=550nmでの値であり、Re及びRthの測定波長については、特に断らない限り、550nmとする。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<実施例1>
<光学補償シートの作製>
(支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、内層用及び外層用セルロースアセテート溶液(ドープ)を調製した。
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10質量%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を作製した。得られたセルロースアセテートフィルムの幅は1340mmであり、厚さは80μmであった。
(鹸化処理)
上記で作成した支持体上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液(S−1)をロッドコーターを用いて塗布量15ml/mで塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に15秒滞留させた後に、同じくロッドコーターを用いて純水を3ml/m塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。
アルカリ溶液(S−1)組成
水酸化カリウム 8.55質量%
水 23.235質量%
イソプロパノール 54.20質量%
界面活性剤(K−1:C1633O(CHCHO)10〜30H)1.0質量%
プロピレングリコール 13.0質量%
(配向膜の作製)
上記で作成した支持体上に鹸化処理を施し、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/mを塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。乾燥後の配向膜の厚みは、1.1μmであった。
(配向膜塗布液組成)
下記構造式(*)に示す変性ポリビニルアルコール 2.31質量%
水 96.94質量%
メタノール 0.66質量%
重合開始剤(イルガキュアー2959、長瀬産業社製) 0.06質量%
下記表に記載のカルボン酸化合物(アジピン酸) 0.35質量%
上記式中の繰り返し比96.3:2:1.7はモル比を表す。化合物Pの重量平均分子量は20000〜40000である。
(配向処理)
配向膜を塗設した支持体に対して、搬送方向に対して平行に配向するように配向膜設置表面にラビング処理を施した。ラビングロールは450rpmで回転させた。
(光学異方性層の塗設)
下記の組成物を、270質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
(光学異方性層形成用組成物)
下記に示す液晶性化合物(1) 80.0質量部
下記に示す液晶性化合物(2) 20.0質量部
下記フルオロ脂肪族基含有ポリマー(1) 0.6質量部
下記フルオロ脂肪族基含有ポリマー(2) 0.2質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3.0質量部
下記に示すチルト角調整剤(1) 0.25質量部
下記に示すチルト角調整剤(2) 1.0質量部
上記ポリマー(1)中、aは32.5、bは67.5であり、質量比である。
上記ポリマー(2)中、aは32.5、bは17、cは50.5、質量比である。nは6である。ポリマー(2)の重量平均分子量は15000〜30000である。
調製した塗布液を、♯2.8ワイヤーバーコーターを用いて前記配向膜の表面に塗布した。塗布量は4.8mL/mであった。その後、120℃の恒温槽中で300秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、80℃で160W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射し架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶性化合物を重合させて固定化、光学異方性層を形成し、実施例1の光学補償シートを作製した。光学異方性層の膜厚は0.8μm、支持体側のチルト角は90°〜50°、空気界面側のチルト角は0°〜40°であった。光学異方性層の液晶性化合物は逆ハイブリッド配向していた。
(偏光膜の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0質量%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20℃で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してよう素系偏光膜(HF−1)を得た。偏光膜は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
(偏光板の作製)
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1の光学異方性層付き光学補償シートを前記支持体の面で偏光膜(HF−1)の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士フイルム(株)製)に実施例1のアルカリケン化処理と同様にして片面をケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。
偏光膜の透過軸と前記支持体の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(HB−1)を作製した。
(TN液晶セルでの評価)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例1で作製した偏光板(HB−1)を、実施例1の光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
(液晶表示装置パネル上でのムラ評価)
実施例1の液晶表示装置の表示パネルを全面中間調に調整し、下記評価基準A〜Dに基づきムラ低減を10mの範囲で評価した。
A:モヤモヤした数センチレベルの黒いムラがない。
B:モヤモヤした数センチレベルの黒いムラが薄く存在し、数は1〜10個レベル。
C:モヤモヤした数センチレベルの黒いムラが濃く存在し、数は1〜10個レベル。
D:モヤモヤした数センチレベルの黒いムラが濃く存在し、数は10個以上のレベル。
<実施例2〜6、及び比較例1〜5>
実施例1の光学補償シートの作製において、配向膜塗布液に含有させたカルボン酸化合物(アジピン酸)の種類を下記表2に示すように変更する以外は、実施例1と同様に光学補償シート及び液晶表示装置を作製した。また、実施例1と同様に、ムラ低減を評価した。評価結果は以下の表2に示す。
カルボン酸化合物(A−6)
表2に示した結果から明らかなように、比較例1〜5はムラが発生していることがわかる。
一方、実施例1〜6はムラの発生が少ないことがわかる。
また、順ハイブリット配向をとる従来のフィルム(特許第4288150号公報の段落0111〜0145に記載の実施例1〜4の光学補償シートKS−1〜KS−4)と比較すると、本発明の実施例1〜6の光学補償シートは、明らかに光漏れが低減していることを確認した。

Claims (10)

  1. 透明支持体上に、配向膜を有し、その上に少なくとも液晶性化合物を含む組成物からなる光学異方性層を有する光学補償シートであって、前記液晶性化合物が逆ハイブリッド配向し、前記配向膜中に、pKaが2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を少なくとも1種含有する、光学補償シート。
  2. 前記カルボン酸化合物のpKaが2.5〜5.5である、請求項1に記載の光学補償シート。
  3. 前記カルボン酸化合物の分子量が50〜190である、請求項1又は2に記載の光学補償シート。
  4. 前記カルボン酸化合物がカルボキシル基以外の極性基を有しない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  5. 前記液晶性化合物がディスコティック液晶性化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  6. 前記透明支持体が、表面を鹸化処理された透明支持体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償シート、又は請求項7に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  9. pKa2.5以上かつLogPが−1.8〜2.0の分子量190以下のカルボン酸化合物を少なくとも1種含有する配向膜形成用組成物。
  10. 前記カルボン酸化合物がカルボキシル基以外の極性基を有しない、請求項9に記載の配向膜形成用組成物。
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