JP2014051690A - アルミニウム膜の製造方法 - Google Patents

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Kengo Goto
健吾 後藤
Akihisa Hosoe
晃久 細江
Junichi Nishimura
淳一 西村
Kazuki Okuno
一樹 奥野
Kotaro Kimura
弘太郎 木村
Hideaki Sakaida
英彰 境田
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Abstract

【課題】樹脂表面に、尿素化合物を用いたアルミニウムめっき浴により良質なアルミニウム膜を安価に形成することが可能なアルミニウム膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】尿素化合物と塩化アルミニウムを含むめっき浴中で、導電化処理を施した樹脂にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造方法。前記めっき浴において、尿素化合物と塩化アルミニウムとのモル比は1:1.10〜1:1.50の範囲内にあることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は樹脂表面にアルミニウムを電着させることが可能なアルミニウム膜の製造方法に関する。
樹脂表面に金属被膜を形成することで、各種器具、装飾品等に導電性を付与したり、美的な装飾性を高めたりすることが行われている。
例えば、三次元網目構造を有する樹脂製の多孔体に金属めっきを施して作製した金属多孔体は、各種フィルタ、触媒担体、電池用電極など多方面に用いられている。金属多孔体としては、ニッケルからなるセルメット(住友電気工業(株)製:登録商標)が、ニッケル水素電池等の電池の電極材料として使用されている。
セルメットは連通気孔を有する金属多孔体であり、金属不織布など他の多孔体に比べて気孔率が高い(90%以上)という特徴がある。これは発泡ウレタン等の連通気孔を有する多孔体樹脂の骨格表面にニッケル層を形成した後、熱処理して発泡樹脂成形体を分解し、さらにニッケルを還元処理することで得られる。ニッケル層の形成は、発泡樹脂成形体の骨格表面にカーボン粉末等を塗布して導電化処理した後、電気めっきによってニッケルを析出させることで行われる。
上記のような金属多孔体としてアルミニウムからなる多孔体は、リチウムイオン電池の正極の容量を向上させるものとして有望である。アルミニウムは導電性、耐腐食性、軽量などの優れた特徴があるため、現在では、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム等の活物質を塗布したものがリチウムイオン電池の正極として使用されている。この正極をアルミニウムからなる多孔体により形成することで、表面積を大きくし、アルミニウムの内部にも活物質を充填することが可能となる。これにより、電極を厚くしても活物質の利用率が減少することがなくなり、単位面積当たりの活物質の利用率が向上し、正極の容量を向上させることが可能となる。
アルミニウム多孔体の製造方法として、特許第3413662号公報(特許文献1)には、内部連通空間を有する三次元網状のプラスチック基体にアークイオンプレーティング法によりアルミニウムの蒸着処理を施して、2〜20μmの金属アルミニウム層を形成する方法が記載されている。また、特開平08−170126号公報(特許文献2)には、三次元網目状構造を有する発泡樹脂成形体の骨格にアルミニウムの融点以下で共晶合金を形成する金属(銅等)による皮膜を形成した後、アルミニウムペーストを塗布し、非酸化性雰囲気下で550℃以上750℃以下の温度で熱処理をすることで有機成分(発泡樹脂)の消失及びアルミニウム粉末の焼結を行い、金属多孔体を得る方法が記載されている。
上記特許文献1の方法によれば、2〜20μmの厚さのアルミニウム多孔体が得られるとされているが、気相法によるため大面積での製造は困難であり、基体の厚さや気孔率によっては内部まで均一な層の形成が難しい。またアルミニウム層の形成速度が遅い、設備が高価などにより製造コストが増大するなどの問題点がある。さらに、厚膜を形成する場合には膜に亀裂が生じたりアルミニウムの脱落が生じたりするおそれがある。
また、特許文献2の方法によれば、アルミニウムと共晶合金を形成する層が出来てしまい、純度の高いアルミニウム層が形成できない。
また、アルミニウムを電気めっきする方法については、アルミニウムは酸素に対する親和力が大きく酸化還元電位が水素より低いため、水溶液系のめっき浴では電気めっきを行うことが困難である。このためアルミニウムを電気めっきする方法としては溶融塩浴を用いる方法が行われている。しかしながら、溶融塩浴は一般に高温にする必要があるため、樹脂成形体表面にアルミニウムを電気めっきしようとすると樹脂が溶解してしまうなどの問題があった。
この問題点については、特開2012−007233号公報(特許文献3)に記載の方法により解決され、現在では樹脂製の多孔体表面へのアルミニウムの電気めっきは可能となっている。即ち、特許文献3には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(EMIC)や、1−ブチルピリジニウムクロリド(BPC)などの有機塩化物塩と塩化アルミニウム(AlCl3)とを混合することで、室温で液体のアルミニウム浴が形成され、樹脂製の多孔体へのアルミニウムの電気めっきが可能となることが記載されている。特に、EMIC−AlCl3系では液の特性が良好であり、アルミめっき液として有用である。
しかしながらEMICやBPCには簡便な合成法が無いため合成するのに時間がかかり、このような有機塩化物塩を用いたアルミめっき液は比較的高価である。このため、樹脂表面にアルミニウムの電気めっきを低コストで行うという観点からはめっき浴の選択に改善の余地があった。
ところで、アセトアミドもしくは尿素と塩化アルミニウムとを、モル比で1:1〜1:1.5の比率で混合することで室温のイオン液体を形成できることが知られている(Hadi M. A. Abood, et al., Chem. Commun. 2011, 47, pp3523-3525(非特許文献1))。
非特許文献1には、アミド系化合物の中でも、尿素、アセトアミド、ジメチル尿素は塩化アルミニウムと室温でイオン液体を形成することができ、尿素又はアセトアミドを用いて形成されたイオン液体の電気化学測定(サイクリックボルタンメトリー)を行ったところ、アルミニウムの電析、溶解に対応するピークが確認されたと記載されている。そして、アセトアミドと塩化アルミニウムとによるイオン液体を用いて銅(Cu)の棒に電気めっきを行ったところ、アルミニウムのめっき被膜が得られたことが記載されている。
しかしながら非特許文献1では比較的高価なアセトアミドを用いたイオン液体によってCu棒にアルミニウムめっきをしたという報告がなされているのみであり、より安価な尿素を利用してアルミニウムめっきをすることは行われておらず実績はない。このことは、アセトアミド浴に比べて尿素浴はイオン伝導性が低いことも関係していると考えられ、尿素を用いて形成されたイオン液体の電気化学測定の結果と、アセトアミドを用いて形成されたイオン液体の電気化学測定の結果とを比較することによってもうかがえる。
特許第3413662号公報 特開平08−170126号公報 特開2012−007233号公報
Hadi M. A. Abood, et al., Chem.Commun. 2011, 47, pp3523-3525
本発明は上記問題点に鑑みて、樹脂表面に、尿素化合物を用いたアルミニウムめっき浴により良質なアルミニウム膜を安価に形成することが可能なアルミニウム膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決すべく以下の構成を採用する。
(1)尿素化合物と塩化アルミニウムを含むめっき浴中で、導電化処理を施した樹脂にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造方法。
上記(1)に記載のアルミニウム膜の製造方法によれば、樹脂表面に、良質なアルミニウム膜を高速かつ安価に形成することができる。
(2)前記めっき浴において、前記尿素化合物と前記塩化アルミニウムとのモル比が1:1.10〜1:1.50の範囲内にある上記(1)に記載のアルミニウム膜の製造方法。
上記(2)に記載の発明によれば、めっき浴中の電流密度を高めて、良質なアルミニウム膜をより高速に効率よく得ることができる。
(3)前記樹脂が三次元網目構造を有する多孔体である上記(1)又は(2)に記載のアルミニウム膜の製造方法。
上記(3)に記載の発明によれば、三次元網目構造を有する多孔体の表面に良質なアルミニウム膜を形成することができる。
(4)前記樹脂がポリウレタン又はメラミン樹脂である上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
上記(4)に記載の発明によれば、高気孔率で均一な気孔径の三次元網目構造を有する多孔体の表面に良質なアルミニウム膜を形成することができる。
(5)前記尿素化合物が尿素又はジメチル尿素である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
上記(5)に記載の発明によれば、良質なアルミニウム膜をより安価に得ることができる。
(6)前記めっき浴の温度を60℃〜80℃に制御する上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
上記(6)に記載の発明によれば、めっき浴の粘度を充分に低くでき、効率よく良質なアルミニウム膜を得ることができる。
なお、以下では、三次元網目構造を有する多孔体を、単に「多孔体」とも記載する。
本発明により、樹脂表面に、良質なアルミニウム膜を高速かつ安価に形成することが可能となる。
実施例1において得られた尿素めっき液に電流密度2.0A/dm2の電流が流れるようにしたときの電圧値を示すグラフである。 実施例2において得られたジメチル尿素めっき液に電流密度2.0A/dm2の電流が流れるようにしたときの電圧値を示すグラフである。
本発明に係るアルミニウム膜の製造方法は、尿素化合物と塩化アルミニウムとを含むめっき浴中で、導電化処理を施した樹脂にアルミニウムを電着させるものである。
本発明において用いる前記めっき浴は、尿素化合物と塩化アルミニウムとを混合することにより作製することができる。樹脂表面に形成されるアルミニウム膜の品質を損なわない限り、前記めっき浴には尿素化合物、塩化アルミニウム以外の成分が含まれていても構わない。具体的には、キシレン、ベンゼン、トルエン、1,10−フェナントロリン等の有機化合物を含んでいても構わない。
前記尿素化合物は、尿素及びその誘導体を意味するものであり、塩化アルミニウムと混合した場合に液体を形成するものであればよい。例えば、下記式(1)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2014051690
但し、式(1)においてRは、水素原子、炭素原子数が1個〜6個のアルキル基、又はフェニル基であり、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
前記尿素化合物は上記の中でも、尿素、ジメチル尿素を特に好ましく用いることができる。
前記尿素化合物と前記塩化アルミニウムの混合比は、モル比で、尿素化合物:塩化アルミニウム=1:1.10〜1:1.50であることが好ましい。塩化アルミニウムの混合比が1.10未満であると、形成されるイオン液体の粘度が高くなり、充分な電流密度が得られずにめっき効率が低くなるため好ましくない。塩化アルミニウムの混合比が1.50を超えると、樹脂表面に形成されるアルミニウム膜に塩化物等の不純物が混合しやすくなり、良質なアルミニウム膜を得難くなるため好ましくない。また、めっき効率を考慮すれば塩化アルミニウムの配合量が多い方が好ましいが、塩化アルミニウムは腐食性が高いため、多量に使用し過ぎることは好ましくない。
また、前記尿素化合物と塩化アルミニウムの混合比は、モル比で、尿素化合物:塩化アルミニウム=1:1.10〜1:1.20であることがより好ましく、1:1.13〜1:1.17であることが最も好ましい。
塩化アルミニウムの混合比が1.13〜1.17、特に1.15であることにより、めっき浴の電気抵抗が格段に小さくなることが見出された。塩化アルミニウムの混合比をこの範囲にすることにより、アルミニウムの電着に必要な電圧を低くすることができ、省エネルギー化、低コスト化に資することができ好ましい。また、操業時のめっき液の温度上昇も少なくなるため、液温を一定に保つ際にも有利である。
本発明のアルミニウム膜の製造方法においては、前記めっき浴の温度が60℃〜80℃となるように制御しながら電着を行うことが好ましい。めっき浴の温度を60℃以上にすることによりめっき浴の粘度を充分に低くすることができ、めっき効率を向上させることができる。また、めっき浴の温度を80℃以下にすることで、樹脂の溶解を抑制することができる。前記めっき浴の温度は60℃〜70℃であることがより好ましく、60℃〜65℃であることが更に好ましい。
本発明のアルミニウム膜の製造方法において使用する樹脂は特に限定されず、導電化処理を施した樹脂であればどのような樹脂でも用いることができる。アルミニウムをめっきして使用する用途のある樹脂であればどのようなものでも使用することが可能である。例えば、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等に導電化処理を施したものを好ましく用いることができる。
また、前記樹脂はアルミニウムをめっきして使用する用途のある樹脂であればどのような形状のものでも構わない。例えば、電池やキャパシタ等の集電タブリードを作製する場合には、細長い平板状の樹脂を導電化処理してアルミニウムを電着させればよい。これにより充分な強度を有する集電タブリードを得ることができる。また、本発明によれば、合成樹脂製模型及びその組み立て用部品等にも簡易にアルミニウムめっきを施すことができるため、模型おもちゃ等の美観性を高めることもできる。
なお、本発明のアルミニウム膜の製造方法により樹脂表面に形成されるアルミニウム膜は、光沢のないものであるが、その後にプレスすることによりアルミニウム表面を平滑にし、光沢を有するようにすることもできる。
また、前記樹脂として、三次元網目状構造を有する多孔体を用いることにより、各種フィルタ、触媒担体、電池用電極などの用途に優れた特性を発揮する三次元網目状構造を有するアルミニウム多孔体を作製することができ、好ましい。また、不織布形状を有する樹脂を用いることによっても多孔質構造を有する金属多孔体を作製することができる。このようにして作製された不織布形状を有する金属多孔体も、各種フィルタ、触媒担体、電池用電極などの用途に好ましく用いることができる。
なお、樹脂にアルミニウムを電着させて金属多孔体を作製した後に、加温して樹脂を熱分解することにより除去してもよいし、そのまま樹脂とアルミニウムとの複合体として用いてもよい。樹脂を除去する際には、アルミニウムを溶融させないようにアルミニウムの融点(660℃)以下の温度で処理する必要がある。好ましい温度範囲は400℃以上600℃以下である。
前記多孔体の素材は任意の樹脂を選択できる。例えば、ポリウレタン、メラミン等を用いて作製された発泡樹脂成形体が素材として例示できる。発泡樹脂成形体と表記したが、連続した気孔(連通気孔)を有するものであれば任意の形状の樹脂成形体を選択できる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の繊維状の樹脂を絡めて不織布のような形状を有するものも発泡樹脂成形体に代えて使用可能である。
前記多孔体の気孔率は80%〜98%、気孔径は50μm〜500μmとするのが好ましい。発泡ウレタン及び発泡メラミンは気孔率が高く、また気孔の連通性があるとともに熱分解性にも優れているため発泡樹脂成形体として好ましく使用できる。発泡ウレタンは気孔の均一性や入手の容易さ等の点で好ましく、発泡ウレタンは気孔径の小さなものが得られる点で好ましい。なお、発泡ウレタンや発泡メラミン等の発泡樹脂成形体には発泡過程での製泡剤や未反応モノマーなどの残留物があることが多いため、洗浄処理を行っておくことが好ましい。
前記多孔体の気孔率は、次式で定義される。
気孔率=(1−(多孔質材の重量[g]/(多孔質材の体積[cm3]×素材密度)))×100[%]
また、気孔径は、樹脂成形体表面を顕微鏡写真等で拡大し、1インチ(25.4mm)あたりの気孔数をセル数として計数して、平均孔径=25.4mm/セル数として平均的な値を求める。
本発明において前記樹脂は導電化処理を施したものを用いる。樹脂表面の導電化処理は既知の方法を含めて選択可能である。無電解めっきや気相法によるニッケル等の金属層の形成や、導電性塗料による金属やカーボン層の形成による方法が利用可能である。
無電解めっきや気相法により樹脂表面に金属層を形成することにより、樹脂表面の導電率を高くすることができる。一方、導電率の観点からは多少劣るが、カーボン塗布による樹脂表面の導電化は、めっき後のアルミニウム構造体にアルミニウム以外の金属を混入することなくできることから、金属として実質的にアルミニウムのみからなる構造体を製造することが可能となる。また安価に導電化できる利点もある。
導電化処理をカーボン塗布により行う場合には、まず導電性塗料としてのカーボン塗料を準備する。カーボン塗料としての懸濁液は、カーボン粒子の他に、粘結剤、分散剤および分散媒を含むことが好ましい。
前記樹脂として多孔体を使用する場合に、多孔体中にカーボン粒子の塗布を均一に行うには、懸濁液が均一な懸濁状態を維持している必要がある。そのためには、懸濁液は20℃〜40℃に維持されていることが好ましい。懸濁液の温度を20℃以上に維持することにより、均一な懸濁状態を保つことができ、多孔体の網目構造をなす骨格の表面に粘結剤のみが集中して層をなすということがなくなり、均一にカーボン粒子の塗布を行うことができる。このようにして均一に塗布されたカーボン粒子の層は剥離し難いため、強固に密着した金属めっきの形成が可能となる。一方、懸濁液の温度が40℃以下であることにより、分散剤の蒸発を抑制することができるため、塗布処理時間の経過とともに懸濁液が濃縮され難くなる。
また、カーボン粒子の粒径は、0.01〜5μmで、好ましくは0.01〜0.5μmである。粒径が大きいと多孔質樹脂成形体の空孔を詰まらせたり、平滑なめっきを阻害したりする要因となり、小さすぎると十分な導電性を確保することが難しくなる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は例示であって、本発明のアルミニウム膜の製造方法はこれらに限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲の範囲によって示され、特許請求の範囲の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
[実施例1]
(尿素めっき浴の作製)
尿素と塩化アルミニウム(AlCl3)とを下記表1のモル比となるようにして混合して液体化した。得られたそれぞれの比のめっき液について電気化学測定を行った。具体的には、電流密度2.0A/dm2を通電するために必要な電圧の値を測定した。それぞれのめっき液の温度は60℃とした。
表1に示す通り、尿素と塩化アルミニウムのモル比が1:1.15のめっき液が一番低い電圧値を示し、高電流密度が得られていることが分かった。そして、塩化アルミニウムの比が1.15よりも増えるに従って、電流密度2.0A/dm2を通電するために必要な電圧値は少しずつ大きくなった。すなわち、尿素と塩化アルミニウムの混合比が1:1.10〜1:1.50の範囲のときに最もめっきがしやすいことが分かった。表1の結果をグラフにしたものを図1に示す。
なお、尿素と塩化アルミニウムの比が1:1.00のめっき液は16.00Vの電圧を印加しても電流密度2.0A/dm2とはならず、ほぼ電流が流れていない状態であった。すなわち、これらのめっき液ではめっき反応が進行しないことが分かった。また、同様に塩化アルミニウムの比が尿素に対して1.00以下の場合にも、液体になることは確認されたが充分な電流を流すことができず、めっき反応を進行させることはできなかった。
塩化アルミニウムのモル比が尿素に対して1.50よりも大きくした場合には、めっき液中に塩化アルミニウムが析出してしまいアルミニウム膜中に混合し、良質な膜が得られなかった。
Figure 2014051690
(多孔体へのアルミニウムめっき)
樹脂製の多孔体として、厚み1mm、気孔率95%、1インチ当たりの気孔数(セル数)約50個の発泡ウレタンを準備し、100mm×30mm角に切断した。
発泡ウレタンをカーボン懸濁液に浸漬し乾燥することで、発泡ウレタンの表面全体にカーボン粒子が付着した導電層を形成した。カーボン懸濁液の成分は、黒鉛+カーボンブラック25%を含み、樹脂バインダー、浸透剤、消泡剤を含むものとした。カーボンブラックの粒径は0.5μmとした。
続いて、下記表2に示すように、尿素と塩化アルミニウムを、モル比で1:1.15、及び1:1.50となるように混合し、2種類のめっき液を作製した。
これらのめっき液を60℃に加温し、上記で用意した導電化処理を施した発泡ウレタンにアルミニウムの電気めっき(電着)を行った。めっき条件は、それぞれのめっき液で電流密度6.0A/dm2とし、めっき液を攪拌しながら行った。攪拌は、テフロン(登録商標)製の回転子を用いて、スターラーにて行った。
これにより、発泡ウレタンの表面全体に短時間でアルミニウム膜が形成された。得られたアルミニウム膜は、白色の金属質で良質なものであった。
なお、上記尿素めっき浴の温度を60℃よりも低くした場合には、流せる電流値が非常に小さくなり、導電化処理をした発泡ウレタンの表面全体をアルミニウム膜で覆うのにとても時間がかかった。
Figure 2014051690
[実施例2]
(ジメチル尿素めっき浴の作製)
ジメチル尿素と塩化アルミニウム(AlCl3)を下記表3のモル比となるように混合して液体化した。得られたそれぞれの比のめっき液について電気化学測定を行った。具体的には、電流密度2.0A/dm2を通電するために必要な電圧の値を測定した。それぞれのめっき液の温度は60℃とした。
表3に示す通り、ジメチル尿素と塩化アルミニウムの混合比がモル比で1:1.15のめっき液が一番低い電圧値を示し、高電流密度が得られていることが分かった。また、塩化アルミニウムの比が1.15よりも増えるに従って、電流密度2.0A/dm2を通電するために必要な電圧値は少しずつ大きくなった。すなわち、ジメチル尿素と塩化アルミニウムの混合比が1:1.10〜1:1.50の範囲のときに最もめっきがしやすいことが分かった。表3の結果をグラフにしたものを図2に示す。
なお、ジメチル尿素と塩化アルミニウムの比が1:1.00のめっき液は16.00Vの電圧を印加しても電流密度2.0A/dm2とはならず、ほぼ電流が流れていない状態であった。すなわち、これらのめっき液ではめっき反応が進行しないことが分かった。また、同様に塩化アルミニウムの比がジメチル尿素に対して1.00以下の場合にも、液体になることは確認されたが充分な電流を流すことができず、めっき反応を進行させることはできなかった。
塩化アルミニウムのモル比がジメチル尿素に対して1.50よりも大きくした場合には、めっき液中に塩化アルミニウムが析出してしまいアルミニウム膜中に混合し、良質な膜が得られなかった。
Figure 2014051690
(多孔体へのアルミニウムめっき)
実施例1と同様の発泡ウレタンを用意し、これに実施例1と同様の方法によりカーボン塗布による導電化処理を行った。
続いて、下記表4に示すように、ジメチル尿素と塩化アルミニウムを、モル比で1:1.15、及び1:1.50となるように混合して2種類のめっき液を作製した。
これらのめっき液を60℃に加温し、上記で用意した導電化処理を施した発泡ウレタンにアルミニウムの電気めっき(電着)を行った。めっき条件は、それぞれのめっき液で電流密度6.0A/dm2とし、めっき液を攪拌しながら行った。攪拌は、テフロン(登録商標)製の回転子を用いて、スターラーにて行った。
これにより、発泡ウレタンの表面全体に短時間でアルミニウム膜が形成された。得られたアルミニウム膜は、白色の金属質で良質なものであった。
なお、上記ジメチル尿素めっき浴の温度を60℃よりも低くした場合には、流せる電流値が非常に小さくなり、導電化処理をした発泡ウレタンの表面全体をアルミニウム膜で覆うのにとても時間がかかった。
Figure 2014051690

Claims (6)

  1. 尿素化合物と塩化アルミニウムを含むめっき浴中で、導電化処理を施した樹脂にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造方法。
  2. 前記めっき浴において、前記尿素化合物と前記塩化アルミニウムとのモル比が1:1.10〜1:1.50の範囲内にある請求項1に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  3. 前記樹脂が三次元網目構造を有する多孔体である請求項1又は2に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  4. 前記樹脂がポリウレタン又はメラミン樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  5. 前記尿素化合物が尿素又はジメチル尿素である請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  6. 前記めっき浴の温度を60℃〜80℃に加温する請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
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JP2012007233A (ja) * 2010-04-22 2012-01-12 Sumitomo Electric Ind Ltd アルミニウム構造体の製造方法およびアルミニウム構造体

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JP2012007233A (ja) * 2010-04-22 2012-01-12 Sumitomo Electric Ind Ltd アルミニウム構造体の製造方法およびアルミニウム構造体

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