JP2013060609A - アルミニウム構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法において、グローブボックス等の複雑な設備を必要とせず、簡便な設備で低コストで製造可能なアルミニウム構造体の製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも表面が導電化された成形体に、アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法であって、
前記溶融塩の液面に、前記溶融塩よりも比重が小さく前記溶融塩と相溶しない有機溶剤からなる液層を有することを特徴とする、アルミニウム構造体の製造方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、アルミニウムめっきによりアルミニウム構造体を形成する方法に関し、特に低コストで製造可能なアルミニウム構造体の製造方法に関する。
三次元網目構造を有する金属多孔体は、各種フィルタ、触媒担体、電池用電極など多方面に用いられている。例えばニッケルからなるセルメット(住友電気工業(株)製:登録商標)がニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の電池の電極材料として使用されている。セルメットは連通気孔を有する金属多孔体であり、金属不織布など他の多孔体に比べて気孔率が高い(90%以上)という特徴がある。これは発泡ウレタン等の連通気孔を有する多孔体樹脂の骨格表面にニッケル層を形成した後、熱処理して発泡樹脂成形体を分解し、さらにニッケルを還元処理することで得られる。ニッケル層の形成は、発泡樹脂成形体の骨格表面にカーボン粉末等を塗布して導電化処理した後、電気めっきによってニッケルを析出させることで行われる。
アルミニウムは導電性、耐腐食性、軽量などの優れた特徴がある。電池用途では例えばリチウムイオン電池の正極として、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム等の活物質を塗布したものが使用されている。正極の容量を向上するためには、アルミニウムを多孔体にして表面積を大きくし、アルミニウム内部にも活物質を充填することが考えられる。そうすると電極を厚くしても活物質を利用でき、単位面積当たりの活物質利用率が向上するからである。
アルミニウム多孔体の製造方法として、特許文献1には、内部連通空間を有する三次元網状のプラスチック基体にアークイオンプレーティング法によりアルミニウムの蒸着処理を施して、2〜20μmの金属アルミニウム層を形成する方法が記載されている。また、特許文献2には、三次元網目状構造を有する発泡樹脂成形体の骨格にアルミニウムの融点以下で共晶合金を形成する金属(銅等)による皮膜を形成した後、アルミニウムペーストを塗布し、非酸化性雰囲気下で550℃以上750℃以下の温度で熱処理をすることで有機成分(発泡樹脂)の消失及びアルミニウム粉末の焼結を行い、金属多孔体を得る方法が記載されている。
一方、アルミニウムのめっきは、アルミニウムの酸素に対する親和力が大きく電位が水素より低いために水溶液系のめっき浴で電気めっきを行うことが困難である。このため、従来よりアルミニウムの電気めっきは非水溶液系のめっき浴で検討が行われている。例えば、金属の表面の酸化防止などの目的でアルミニウムをめっきする技術として、特許文献3にはオニウムハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物とを混合溶融した低融点組成物をめっき浴として用い、浴中の水分量を2wt%以下に維持しながら陰極にアルミニウムを析出させることを特徴とする電気アルミニウムめっき方法が開示されている。
特許第3413662号公報 特開平8−170126号公報 特許第3202072号公報
上記特許文献1の方法によれば、2〜20μmの厚さのアルミニウム多孔体が得られるとされているが、気相法によるため大面積での製造は困難であり、基体の厚さや気孔率によっては内部まで均一な層の形成が難しい。またアルミニウム層の形成速度が遅い、設備が高価などにより製造コストが増大するなどの問題点がある。さらに、厚膜を形成する場合には、膜に亀裂が生じたりアルミニウムの脱落が生じるおそれがある。特許文献2の方法によればアルミニウムと共晶合金を形成する層が出来てしまい、純度の高いアルミニウム層が形成できない。一方アルミニウムの電気めっき方法自体は知られているものの、金属表面へのめっきが可能であるのみで、樹脂成形体表面への電気めっき、とりわけ三次元網目構造を有する多孔質樹脂成形体の表面に電気めっきする方法は知られていなかった。
本発明者らは、三次元網目構造を有する多孔質樹脂成形体であってもその表面へのアルミニウムのめっきを可能とし、厚膜を均一に形成することで純度の高いアルミニウム多孔体を形成することが可能な方法として、ポリウレタンやメラミンなどの三次元網目構造を有する樹脂成形体の表面を導電化した後、溶融塩浴中でアルミニウムをめっきするアルミニウム多孔体の製造方法に想到し、既に出願済みである。溶融塩としては塩化アルミニウムとアルカリ金属塩との混合物や塩化アルミニウムとイミダゾリウム塩との混合物、塩化アルミニウムとイミダゾリウム塩との混合物に有機溶媒を添加したもの等が例示される。
しかし溶融塩浴に水分や酸素が混入すると溶融塩が劣化して電流効率が低下するため、溶融塩浴中でアルミニウムをめっきする際には、低水分量で不活性ガス雰囲気とした密閉した環境で作業する必要がある。例えばアルゴン雰囲気かつ低水分としたグローブボックス内に溶融塩浴を入れて作業をすることが考えられる。このような作業は操作性が悪く、また大面積のアルミニウム多孔体を製造する場合には製造設備が複雑となり製造コストが高くなる。これは金属表面へのアルミニウムめっき等、三次元網目構造を有する多孔質樹脂成形体以外の成形体にアルミニウムをめっきする場合でも同様である。
そこで本発明は、アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法において、グローブボックス等の複雑な設備を必要とせず、簡便な設備で低コストで製造可能なアルミニウム構造体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、少なくとも表面が導電化された成形体に、アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法であって、前記溶融塩の液面に、前記溶融塩よりも比重が小さく前記溶融塩と相溶しない有機溶剤からなる液層を有することを特徴とする、アルミニウム構造体の製造方法である(請求項1)。
溶融塩よりも比重が小さく溶融塩と相溶しない有機溶剤が溶融塩の液面に存在することで、溶融塩の液面が外気と接触することを防ぐことができ、溶融塩中に侵入する酸素や水分の量を低減することができる。そのため作業雰囲気中に水分や酸素があっても溶融塩浴への影響が少なくなるので、簡便な設備でのアルミニウムめっきが可能となる。
前記有機溶剤は誘電率が2.2以下の非極性溶剤であると好ましい(請求項2)。極性の高い有機溶剤は吸水性が高いので有機溶剤の液層を通して溶融塩中に水分が侵入するおそれがある。誘電率が2.2以下の非極性溶剤であれば吸水性が低く溶融塩中の水分の侵入を防ぐ効果が高くなる。
前記溶融塩は、イミダゾリウム塩と塩化アルミニウムとの混合塩であると好ましい(請求項3)。イミダゾリウム塩と塩化アルミニウムとの混合塩は比較的低い温度で溶融し、また導電率が高いため溶融塩浴として好ましい。イミダゾリウム塩として、1,3位にアルキル基を持つイミダゾリウムカチオンを含む塩が好ましく用いられ、特に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドと塩化アルミニウムとの混合塩(AlCl−EMIC)は安定性が高く分解し難いことから最も好ましく用いられる。
前記成形体としては、表面が導電化された樹脂成形体や、導電性を有する金属などを使用することができる。特に三次元網目構造を有する樹脂多孔体のように複雑な骨格構造を有する樹脂成形体を用いると気孔率が高いアルミニウム構造体を得ることができ、電極用途などに好適に用いることができる(請求項4)。気孔率が高い樹脂多孔体を得ることができると共に、熱分解性に優れているウレタンまたはメラミンが樹脂多孔体の材料として好ましい(請求項5)。
樹脂成形体表面の導電化の手法は種々のものを選択可能である。無電解めっきや気相法によるアルミニウム、ニッケル等の金属層の形成や、導電性塗料による金属やカーボン層の形成が導電化方法として挙げられる。気相法によるアルミニウム層の形成やカーボンによる導電化を行うと、めっき後のアルミニウム構造体にアルミニウム以外の金属を混入することなくでき、金属として実質的にアルミニウムのみからなる構造体を得ることができる。
以上の工程により金属層を表面に備えた樹脂成形体を有するアルミニウム構造体が得られる。各種フィルタや触媒担体などの用途によっては、このまま樹脂と金属の複合体として使用しても良い。使用環境の制約などから樹脂が無い金属構造体として用いる場合には、前記めっきする工程の後に、さらに前記樹脂多孔体を除去する工程を有する製造方法とする(請求項6)。
本発明によれば、グローブボックス等の複雑な設備を必要とせず、簡便な設備でアルミニウムのめっきを行うことができる。そのため、アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法を低コストで提供することができる。
本発明によるアルミニウム構造体の製造工程を説明する断面模式図である。 樹脂多孔体の一例としての発泡ウレタン樹脂の構造を示す表面拡大写真である。 導電性塗料による樹脂成形体表面の導電化工程の一例を説明する図である。 溶融塩めっきによるアルミニウムめっき工程の一例を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態をアルミニウム多孔体を製造するプロセスを代表例として適宜図を参照して説明する。以下で参照する図面で同じ番号が付されている部分は同一またはそれに相当する部分である。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(アルミニウム構造体の製造工程)
図1はアルミニウム多孔体の製造工程の一例を説明するものであり、樹脂多孔体を芯材としてアルミニウム多孔体を形成する様子を示した断面模式図である。図1(a)は、基体樹脂成形体の例として、三次元網目構造を有する樹脂多孔体(発泡樹脂成形体)の表面を拡大視した拡大模式図である。樹脂多孔体1を骨格として気孔が形成されている。次に樹脂多孔体表面の導電化を行う。この工程により、図1(b)に示すように樹脂多孔体1の表面には薄く導電体による導電層2が形成される。続いて溶融塩中でのアルミニウムめっきを行い、導電層が形成された樹脂多孔体の表面にアルミニウムめっき層3を形成する(図1(c))。これで樹脂多孔体を基材として表面にアルミニウムめっき層3が形成されたアルミニウム多孔体が得られる。さらに樹脂多孔体の除去を行う。樹脂多孔体1を分解等して消失させることにより金属層のみが残ったアルミニウム多孔体を得ることができる(図1(d))。以下各工程について順を追って説明する。
(樹脂多孔体の準備)
三次元網目構造を有する樹脂多孔体を準備する。樹脂多孔体の素材は任意の樹脂を選択できる。ポリウレタン、メラミン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の発泡樹脂成形体が素材として例示できる。連続した気孔(連通気孔)を有するものであれば任意の形状の樹脂多孔体を選択できる。樹脂多孔体の気孔率は80%〜98%、気孔径は50μm〜500μmとするのが好ましい。発泡ウレタン及び発泡メラミンは気孔率が高く、また気孔の連通性があるとともに熱分解性にも優れているため樹脂多孔体として好ましく使用できる。発泡ウレタンは気孔の均一性や入手の容易さ等の点で好ましく、発泡メラミンは気孔径の小さなものが得られる点で好ましい。
樹脂多孔体には発泡体製造過程での製泡剤や未反応モノマーなどの残留物があることが多く、洗浄処理を行うことが後の工程のために好ましい。樹脂多孔体の例として、発泡ウレタンを前処理として洗浄処理したものを図2に示す。樹脂成形体が骨格として三次元的に網目を構成することで、全体として連続した気孔を構成している。発泡ウレタンの骨格はその延在方向に垂直な断面において略三角形状をなしている。ここで気孔率は、次式で定義される。
気孔率=(1−(多孔質材の重量[g]/(多孔質材の体積[cm]×素材密度)))×100[%]
また、気孔径は、樹脂成形体表面を顕微鏡写真等で拡大し、1インチ(25.4mm)あたりの気孔数をセル数として計数して、平均孔径=25.4mm/セル数として平均的な値を求める。
(樹脂多孔体表面の導電化:カーボン塗布)
導電性塗料としてのカーボン塗料を準備する。導電性塗料としての懸濁液は、好ましくは、カーボン粒子、粘結剤、分散剤および分散媒を含む。導電性粒子の塗布を均一に行うには、懸濁液が均一な懸濁状態を維持している必要がある。このため、懸濁液は、20℃〜40℃に維持されていることが好ましい。その理由は、懸濁液の温度が20℃未満になった場合、均一な懸濁状態が崩れ、樹脂多孔体の網状構造をなす骨格の表面に粘結剤のみが集中して層を形成するからである。この場合、塗布されたカーボン粒子の層は剥離し易く、強固に密着した金属めっきを形成し難い。一方、懸濁液の温度が40℃を越えた場合は、分散剤の蒸発量が大きく、塗布処理時間の経過とともに懸濁液が濃縮されてカーボンの塗布量が変動しやすい。また、カーボン粒子の粒径は、0.01〜5μmで、好ましくは0.01〜0.5μmである。粒径が大きいと多孔質樹脂多孔体の空孔を詰まらせたり、平滑なめっきを阻害する要因となり、小さすぎると十分な導電性を確保することが難しくなる。
樹脂多孔体へのカーボン粒子の塗布は、上記懸濁液に対象となる樹脂多孔体を浸漬し、絞りと乾燥を行うことで可能である。図3は実用上の製造工程の一例として、骨格となる帯状の樹脂多孔体を導電化する処理装置の構成例を模式的に示す図である。図示の如くこの装置は、帯状樹脂11を供給するサプライボビン12と、導電性塗料の懸濁液14を収容した槽15と、槽15の上方に配置された1対の絞りロール17と、走行する帯状樹脂11の側方に対向して設けられた複数の熱風ノズル16と、処理後の帯状樹脂11を巻き取る巻取りボビン18とを備えている。また、帯状樹脂11を案内するためのデフレクタロール13が適宜配置されている。以上のように構成された装置において、帯状樹脂11はサプライボビン12から巻き戻され、デフレクタロール13により案内されて、槽15内の懸濁液14内に浸漬される。槽15内で懸濁液14に浸漬された帯状樹脂11は、上方に向きを変え、懸濁液14の液面上方の絞りロール17の間を走行する。このとき、絞りロール17の間隔は、帯状樹脂11の厚さよりも小さくなっており、帯状樹脂11は圧縮される。従って、帯状樹脂11に含浸された過剰な懸濁液は、絞り出されて槽15内に戻る。
続いて、帯状樹脂11は、再び走行方向を変える。ここで、複数のノズルから構成された熱風ノズル16が噴射する熱風により懸濁液の分散媒等が除去され、充分に乾燥された上で帯状樹脂11は巻取りボビン18に巻き取られる。尚、熱風ノズル16の噴出する熱風の温度は40℃から80℃の範囲であることが好ましい。以上のような装置を用いると、自動的かつ連続的に導電化処理を実施することができ、目詰まりのない網目構造を有し、且つ、均一な導電層を具備した骨格が形成されるので、次工程のアルミニウムめっきを円滑に行うことができる。なお導電化はこの方法に限らず、蒸着、スパッタ、プラズマCVD等の気相法でアルミニウムを表面に付着しても良い。
(アルミニウム層の形成:溶融塩浴中でのめっき)
次に溶融塩中で電解めっきを行い樹脂多孔体表面にアルミニウムめっき層を形成する。図4は前述の帯状樹脂に対してアルミニウムめっき処理を連続的に行うための装置の構成を模式的に示す図である。表面が導電化された帯状樹脂21は図の左から右に送られる。
めっき漕28内に溶融塩23が入っており、有機溶剤層22が溶融塩23の液面を覆っていることで溶融塩23と外気との接触を防いでいる。溶融塩23中の酸素を低減するため、溶融塩23内に乾燥窒素等の不活性ガスをバブリングしても良い。帯状樹脂21はデフレクタロール29により案内されて溶融塩23に浸漬される。漕内には一対の絞りロール25を設けており、絞りロール25内を通過することにより帯状樹脂21内に浸漬した有機溶剤が絞り出される。なお有機溶剤層は溶融塩の液面全体を覆っていなくても良い。例えば入口部分での帯状樹脂21と有機溶剤層22との接触を防ぐために、帯状樹脂21が溶融塩23に入る入口部分の液面には有機溶剤層を存在させないような治具を設けても良い。この場合、入口部分の液面には乾燥窒素ガス等を流すことが好ましい。
帯状樹脂21はガイドロール24に沿って溶融塩23の中を通過する。漕外に設けた電極ロール26から帯状樹脂21に電流を供給し、漕内に純度99.99%のアルミニウム板27を設ける。表面が導電化された帯状樹脂21を陰極、アルミニウム板27を陽極として溶融塩中で直流電流を印加することで樹脂多孔体全体に均一に電流が流れ、樹脂多孔体の両面に均一なめっきを形成することができる。めっきを厚く均一につけるため、このような漕を複数設けても良い。
溶融塩としては、塩化アルミニウムと有機塩との混合塩(共晶塩)を使用する。比較的低温で溶融する有機溶融塩浴を使用すると、基材である樹脂多孔体を分解することなくめっきができ好ましい。有機塩としてはイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩等が使用できる。なかでも1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)、ブチルピリジニウムクロライド(BPC)が好ましい。また溶融塩浴に1,10−フェナントロリンを添加すると表面が平滑となり好ましい。
溶融塩浴の温度は塩が溶解する範囲の温度で任意に設定可能である。溶融塩の粘度を下げるために45℃以上100℃以下とすることが好ましい。温度が45℃よりも低い場合は粘度を充分に低くすることができない。また温度が100℃よりも高い場合は有機塩が分解する可能性がある。さらに好ましい温度は50℃以上80℃以下である。また溶融塩の粘度を下げるため、溶融塩と相溶するキシレン等の有機溶媒を混合しても良い。
有機溶剤としては、上記溶融塩よりも比重が小さく上記溶融塩と相溶しないものを使用する。このような有機溶剤は漕内で液体状の溶融塩と混合しても溶融塩と分離し、溶融塩の上面に浮いた液層を形成する。なお有機溶剤及び溶融塩の比重は、実際にめっきする際の温度の比重で比較する。有機溶剤の比重は溶融塩の比重の90%以下とすることが好ましい。溶融塩の比重は溶融塩の種類に依存するが、3−メチルイミダゾリウムクロライドと塩化アルミニウムとの混合塩(AlCl−EMIC)の場合1.38程度である。これよりも比重が低いものであれば使用可能であるが、好ましくは比重1.24以下、さらに好ましくは比重1.0以下のものを選択する。
有機溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、流動パラフィン等の炭化水素系オイルやポリジメチルシロキサン等のシリコーンオイル等を使用することができる。溶融塩への水分の侵入を防ぐため吸水性の少ない非極性の有機溶剤が好ましい。極性の指標として誘電率を用いる。例えば極性溶剤であるエタノールの誘電率は24、1−ブタノールの誘電率は18である。このような溶剤は吸水率が高く好ましくない。非極性有機溶剤の中でも特に誘電率が2.2以下のものを使用することが好ましい。例えばヘキサンの誘電率は2.0であり、非極性有機溶剤として好ましく使用できる。作業性の観点からは沸点が高い有機溶剤が好ましい。沸点が低いとめっき作業中に有機溶剤が揮発するからである。したがって溶融塩の溶解温度(めっき温度)よりも沸点が高い有機溶剤が好ましい。
以上の工程により骨格の芯として樹脂多孔体を有するアルミニウム構造体(アルミニウム多孔体)が得られる。各種フィルタや触媒担体などの用途によっては、このまま樹脂と金属の複合体として使用しても良い。また使用環境の制約などから樹脂が無い金属構造体として用いる場合には樹脂を除去しても良い。樹脂の除去は、有機溶媒、溶融塩、又は超臨界水による分解(溶解)、加熱分解等任意の方法で行うことができる。アルミニウムはニッケル等と異なり、一旦酸化すると還元処理が困難であるため、たとえば電池等の電極材料として使用する場合には、アルミニウムの酸化が起こりにくい方法で樹脂を除去することが好ましい。例えば以下説明する溶融塩中での熱分解により樹脂を除去する方法が好ましく用いられる。
(樹脂の除去:溶融塩中熱分解)
溶融塩中での熱分解は以下の方法で行う。表面にアルミニウムめっき層を形成した樹脂多孔体を溶融塩に浸漬し、アルミニウム層に負電位を印加しながら加熱して樹脂多孔体を分解する。溶融塩に浸漬した状態で負電位を印加すると、アルミニウムを酸化させることなく樹脂多孔体を分解することができる。加熱温度は樹脂多孔体の種類に合わせて適宜選択できるが、アルミニウムを溶融させないためにはアルミニウムの融点(660℃)以下の温度で処理する必要がある。好ましい温度範囲は500℃以上600℃以下である。また印加する負電位の量は、アルミニウムの還元電位よりマイナス側で、かつ溶融塩中のカチオンの還元電位よりプラス側とする。
樹脂の熱分解に使用する溶融塩としては、アルミニウムの電極電位が卑となるようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物の塩または硝酸塩が使用できる。具体的には塩化リチウム(LiCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アルミニウム(AlCl)硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸カリウム(KNO)、硝酸ナトリウム(NaNO)、及び亜硝酸ナトリウム(NaNO)からなる群より選択される1種以上を含むと好ましい。このような方法によって、表面の酸化層が薄く酸素量の少ないアルミニウム多孔体を得ることができる。
(実施例1)
アルゴン雰囲気かつ低水分(露点−30℃以下)としたグローブボックス内で、約100mlの溶融塩浴(33mol%EMIC−67mol%AlCl)を作製し、電解精製して溶融塩中の水分を除去した。溶融塩の比重は温度28℃で1.38であった。溶融塩浴中に銅板をセットして整流器の陰極側に接続し、対極のアルミニウム板(純度99.99%)を陽極側に接続した。電流密度1.5ASDの直流電流を印加して銅板表面にアルミニウムをめっきし、めっき前後の質量変化を測定することで電流効率を求めた。電流効率は90〜100%であり、溶融塩中に含まれる水分が少ないことを確認した。
上記の溶融塩が入った容器内に約20mlのヘキサンを入れて溶融塩の液面をヘキサン層で被覆した後、グローブボックスから取り出して大気中に放置した。放置後3時間、6時間、24時間経過後、上記と同様の操作で銅板表面にアルミニウムをめっきして電流効率を求めた。いずれも電流効率は90〜100%であり、溶融塩中に含まれる水分が少ないことを確認した。
(実施例2)
上記の溶融塩が入った容器内に約20mlの流動パラフィンを入れたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、大気中放置後3時間、6時間、24時間電流効率を求めた。いずれも電流効率は90〜100%であり、溶融塩中に含まれる水分が少ないことを確認した。
(比較例)
溶融塩が入った容器内にヘキサンを入れなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、大気中放置後3時間での電流効率を求めた。目視でも銅板表面へのアルミニウムの付着が観察されず、銅板の質量変化もほとんどなかった。有機溶剤層を溶融塩の液面に設けない場合は溶融塩中に水分が混入して溶融塩が劣化したと思われる。
1 樹脂多孔体 2 導電層 3 アルミニウムめっき層
11 帯状樹脂 12 サプライボビン 13 デフレクタロール 14 懸濁液
15 槽 16 熱風ノズル 17 絞りロール 18 巻取りボビン
21 帯状樹脂 22 有機溶剤層 23 溶融塩 24 ガイドロール
25 絞りロール 26 電極ロール 27 アルミニウム板 28 漕
29 デフレクタロール

Claims (6)

  1. 少なくとも表面が導電化された成形体に、アルミニウムを溶融塩浴中でめっきする工程を有するアルミニウム構造体の製造方法であって、
    前記溶融塩の液面に、前記溶融塩よりも比重が小さく前記溶融塩と相溶しない有機溶剤からなる液層を有することを特徴とする、アルミニウム構造体の製造方法。
  2. 前記有機溶剤は誘電率が2.2以下の非極性溶剤である、請求項1に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
  3. 前記溶融塩は、イミダゾリウム塩と塩化アルミニウムとの混合塩である、請求項1又は2に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
  4. 前記成形体は、三次元網目構造を有する樹脂多孔体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
  5. 前記樹脂多孔体はウレタンまたはメラミンからなる、請求項4に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
  6. 前記めっきする工程の後に、さらに前記樹脂多孔体を除去する工程を有する、請求項4又は5に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
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