JP2014051061A - 光学フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却ローラ又はタッチローラの表面に付着してスリ傷、押されムラの原因になる有機物の除去を行い、端部割れや横段状の故障、又は破断の発生がない光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を含む溶融樹脂を流延ダイ4から押し出し、冷却ローラ5とタッチローラ6との挟圧部Pに前記溶融樹脂を接触して挟圧しフィルム化する挟圧工程と、前記冷却ローラ5とタッチローラ6の少なくとも一方のローラ表面の当該溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理手段を当該ローラの幅方向に設けて、当該ローラ表面に高エネルギー処理する処理工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記挟圧部のフィルム幅が前記冷却ローラと前記タッチローラの全幅より狭く、かつ前記高エネルギー処理手段Aにより当該フィルム幅の内側部分に相当する当該ローラ表面のみを高エネルギー処理することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は光学フィルムの製造方法及び製造装置に関する。より詳しくは、溶融流延製膜法による光学フィルムの製造であって、冷却ローラ又はタッチローラの表面に付着してスリ傷、押されムラの原因になる有機物を高エネルギー処理によって清浄処理(除去)を行い、フィルムとローラの密着による端部割れや横段状の故障、及び破断の発生がない光学フィルムの製造方法に関する。
溶融流延製膜法による光学フィルムの製造では、光学フィルム用樹脂自体の熱安定性が低いため、添加剤、例えば、可塑剤や紫外線吸収剤、リターデーション制御剤、剥離性向上剤、酸化防止剤、及び熱分解抑制剤等を多量に使用している。
当該光学フィルムの製造では、溶融された樹脂を押圧・冷却することで樹脂フィルムを成型するが、例えば冷却ローラ又はタッチローラに溶融された樹脂が接する際に、冷却ローラ又はタッチローラ表面に付着した樹脂フィルムの極僅かな原料樹脂のモノマー、オリゴマー等の低分子量物、分解物、ブリードアウト物、添加物、及び変性物等で代表される有機物が、新たに成型される樹脂フィルム表面に転写して、擦り傷の原因になったり、押され跡として残り光学フィルムの平面性が劣化するという問題があった。
この問題を解決するため、製造を中断することなくローラを清浄する方法がこれまでに検討されてきた。
例えば、走行するフィルムが接触するローラに、アーク又はプラズマトーチによるプラズマ処理することにより、回転体に付着した有機物を除去する方法が知られている(特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の方法はプラズマをスポット的に処理するため、昨今の表示装置の大型化に伴うフィルムの広幅化に対応したローラの面積の増加、生産効率アップに対する高速化に対応しきれないことが分かった。
また、フィルムの製造に用いられるローラ表面をエキシマUVランプで紫外線照射を行いローラ表面の付着物を除去しながらフィルムを製造する方法が知られている(特許文献2参照。)。特許文献2に記載の方法は、紫外線をローラに照射する際にエキシマUVランプとローラ間の距離のみを規定しているものである。
また、冷却ローラに付着した汚れの清浄のために、走行するフィルムが接触する冷却ローラにプラズマ処理することにより、冷却ローラに付着した有機物を除去する方法が知られている(特許文献3参照。)。特許文献3に開示されている技術は、上記有機物による汚れ防止のため、プラズマ処理によって冷却ローラ全幅に対してオンラインでの清浄処理を行うものである。
当該プラズマ処理では、ローラ全幅に対してプラズマ照射を施しているが、実際に溶融樹脂がローラと接触する範囲はダイスからの流延幅に等しい。ダイスから出た溶融樹脂は高温のため、接触部分は一時的に高温となるが、非接触部分は温度変化が無いためローラ全幅にプラズマ処理を施していてもフィルムの接触部分と非接触部分で表面状態が異なってしまう。この状態で流延ダイから出た樹脂フィルムが、風や装置の振動等の僅かな外乱によってローラに接触する位置が変動した際に、当該表面状態が異なった部分に接触して強く密着することで、ローラとフィルムの剥離性が変化し、端部割れや横段状の故障が発生する場合があり、最悪の場合破断に至ることがある。
この剥離性が変化する現象は、比較的親水性なセルロース系樹脂ではそれほど問題にならなかったが、樹脂が疎水性で金属密着性の高いアクリル系樹脂の場合により顕著になった。溶融製膜では製膜中のオンラインでのローラ清浄が必須であり、上記剥離性の問題は生産性向上の観点から改善が必要である。
特許第4392564号公報 特開2003−89142号公報 国際公開第2010/016456号
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その解決課題は、溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法であって、製造を中断することなく、冷却ローラ又はタッチローラの表面に付着してスリ傷、押されムラの原因になる有機物を高エネルギー処理により清浄処理(除去)を行い、フィルムとローラの密着による端部割れや横段状の故障、及び破断の発生がない光学フィルムの製造方法を提供することである。また、当該製造方法に適した製造装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、冷却ローラやタッチローラへの高エネルギー処理を、ローラ表面の幅方向全面に行うという従来技術に対して、ローラ表面の特定部位に限って高エネルギー処理を行うことで、流延ダイ周りの外乱(風や装置の振動等によるリボンの揺れ)や、押出し機や送風系の異常や電源異常等により、溶融樹脂フィルムの通過経路がローラ幅方向に変動しても、樹脂フィルムとローラとの密着による、端部割れや横段状の故障、又はフィルム破断につながるような重大な欠陥を防げることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.熱可塑性樹脂を含む溶融樹脂を流延ダイから押し出し、冷却ローラとタッチローラとの挟圧部に前記溶融樹脂を接触して挟圧しフィルム化する挟圧工程と、前記冷却ローラとタッチローラの少なくとも一方のローラ表面の当該溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理手段を当該ローラの幅方向に設けて、当該ローラ表面に高エネルギー処理する処理工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記挟圧部のフィルム幅が前記冷却ローラと前記タッチローラの全幅より狭く、かつ前記高エネルギー処理手段により当該フィルム幅の内側部分に相当する当該ローラ表面のみを高エネルギー処理することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記挟圧工程の後にフィルムを前記ローラより剥離し、当該フィルムの幅方向の端部を把持して幅方向に延伸する延伸工程、次いで当該担持したフィルムの端部を連続裁断により除去した後、当該フィルムの端部の内側にナーリングを付与するナーリング工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記挟圧部のフィルム幅Aと、前記延伸工程及びナーリング工程後のフィルム幅に相当する延伸前の前記挟圧部のフィルム幅Bとの間のフィルム幅をフィルム幅Cとしたときに、当該フィルム幅Cの内側部分に相当する前記ローラ表面のみを高エネルギー処理することを特徴とする第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記光学フィルムの膜厚が、10〜60μmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルムの製造方法。
4.前記熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
5.前記高エネルギー処理が、常圧プラズマ処理、エキシマ紫外線照射、及びアーク又はプラズマトーチによるプラズマ処理から選択されることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
6.前記高エネルギー処理が、常圧プラズマ処理であることを特徴とする第5項に記載の光学フィルムの製造方法。
7.熱可塑性樹脂を含む溶融樹脂を流延ダイから押し出し、冷却ローラとタッチローラとの挟圧部に前記溶融樹脂を接触して挟圧しフィルム化する挟圧手段と、前記冷却ローラとタッチローラの少なくとも一方のローラ表面の当該溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理手段を当該ローラの幅方向に設けて、当該ローラ表面に高エネルギー処理する処理手段を有する光学フィルムの製造装置であって、当該高エネルギー処理手段が、当該フィルム幅の内側部分に相当する当該ローラ表面のみを高エネルギー処理する処理手段であることを特徴とする光学フィルムの製造装置。
本発明の上記手段により、溶融流延製膜法による光学フィルムの製造で、製造を中断することなく、冷却ローラ又はタッチローラの表面に付着してスリ傷、押されムラの原因になる有機物を高エネルギー処理により清浄処理(除去)を行い、フィルムとローラの密着による端部割れや横段状の故障、又は破断の発生がない光学フィルムの製造方法を提供することができる。また、当該製造方法に適した光学フィルムの製造装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構及び作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
冷却ローラ又はタッチローラの表面に付着した有機物にプラズマ等の高エネルギー処理を施すと、有機物が二酸化炭素と水とに分解されることでローラ表面から除去される。当該ローラの表面に付着した有機物を光学フィルムが製造されている間、常に除去し続けることが生産効率を低下させることなく、当該ローラに付着した有機物に伴う故障がない光学フィルムを製造することができる。通常は、特許文献3に開示されているように、当該ローラの全幅にわたって高エネルギー処理を施すことがなされてきた。
しかしながら本発明者は、有機物の付着が少ないか又は付着の無い通常のフィルム通過経路以外のローラ部分にも高エネルギー処理を施すと、当該部分に活性基が付与されることでローラ表面が活性化して樹脂との密着性が高くなり、流延ダイから出たフィルムが、風や装置の振動等の僅かな外乱によってローラに接触する位置が変動した際に、当該密着性が高くなった部分でフィルムがローラに強く密着し、フィルムの端部割れや横段状の故障の発生、更に最悪の場合破断に至ることがあることを見出した。
本発明によれば、高エネルギー処理手段による高エネルギー処理を施すローラ幅を、当該ローラ全幅ではなく、溶融流延して挟圧するフィルム幅よりも内側部分に限定して当該処理を施すことによって、フィルムが通常通過しないローラ端部への活性基の付与を防ぎ、当該フィルムのローラに接触する位置が仮に変動しても、フィルム端部とローラが強く
密着することがなく、端部割れや横段状の故障、又は破断の発生がない光学フィルムの製造方法を提供することができるものと推定している。
前記高エネルギー処理手段による高エネルギー処理を施すローラ幅を、溶融流延して挟圧するフィルム幅の内側部分に限定した場合、当然ローラ端部は未処理部分になって有機物が残存するが、仮にフィルムのローラに接触する位置が変動して当該有機物がフィルム端部に付着したとしても、元来フィルム端部はスリットして除去される部分であることから、光学フィルムとして実際に用いられる領域への影響は小さい。
高エネルギー処理を施すローラ幅を示す概念図 熱可塑性樹脂を使用し溶融押出し機で溶融押出してフィルムを成形する溶融流延方式のフィルム成形装置の模式図 高エネルギー処理手段として常圧プラズマ処理装置が設置される部分の拡大概略図 図3に示される以外の高エネルギー処理手段の拡大概略図
本発明の光学フィルムの製造方法は、溶融樹脂フィルムの挟圧部として機能する冷却ローラとタッチローラの少なくとも一方のローラ表面の溶融樹脂の非接触範囲に、前記ローラの幅方向に高エネルギー処理手段を設け、当該ローラ表面に高エネルギー処理する光学フィルムの製造方法であって、当該挟圧部のフィルム幅が前記冷却ローラとタッチローラの全幅より狭く、かつ当該フィルム幅の内側部分に相当する当該ローラ表面のみを前記高エネルギー処理手段により処理することによって、当該ローラの端部に不要な活性基を付与することなく、したがって活性基によるフィルムとローラとの密着を防ぎ、端部割れや横段状の故障、又は破断の発生がない光学フィルムの製造方法を提供するものである。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記挟圧工程の後にフィルムを前記ローラより剥離し、当該フィルムの幅方向の端部を把持して幅方向に延伸する延伸工程、及び当該担持したフィルム部分を連続裁断により除去した後、フィルム端部の内側にナーリングを付与するナーリング工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記挟圧部のフィルム幅Aと、前記延伸工程及びナーリング工程後のフィルム幅に相当する延伸前の前記挟圧部のフィルム幅Bとの間のフィルム幅をフィルム幅Cとしたときに、当該フィルム幅Cの内側部分に相当する前記ローラ表面のみを高エネルギー処理することが、実際に光学フィルムに使用される領域に必要十分な処理が行え、より密着による端部割れや横段状の故障、又は破断を防ぐことができるため、好ましい。
また、光学フィルムの膜厚が、10〜60μmの範囲内であることが、光学フィルムの柔軟性を増し、ローラから剥離し易くより破断を防ぐ観点から、好ましい。光学フィルムに用いられる熱可塑性樹脂としてはアクリル系樹脂であることが、スリ傷、押されムラがなく、破断の発生がない光学フィルムを製造する観点から、好ましい。
さらに、本発明においては、前記高エネルギー処理が、常圧プラズマ処理、エキシマ紫外線照射、及びアーク又はプラズマトーチによるプラズマ処理から選択される処理であることが、ローラに付着した有機物を清浄する効果が高いため好ましく、中でも常圧プラズマ処理であることが、有機物の清浄除去という本発明の効果をより高める上で、好ましい。
本発明の光学フィルムの製造装置は、前記挟圧部のフィルム幅よりも内側部分に相当す
る前記ローラ表面のみをオンライン高エネルギー処理する高エネルギー処理手段を有する製造装置であることが、好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂を含む溶融樹脂を流延ダイから押し出し、冷却ローラとタッチローラとの挟圧部に前記溶融樹脂を接触して挟圧しフィルム化する挟圧工程と、前記冷却ローラとタッチローラの少なくとも一方のローラ表面の当該溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理手段を当該ローラの幅方向に設けて、当該ローラ表面に高エネルギー処理する処理工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記挟圧部のフィルム幅が前記冷却ローラと前記タッチローラの全幅より狭く、かつ前記高エネルギー処理手段により当該フィルム幅の内側部分に相当する当該ローラ表面のみを高エネルギー処理することを特徴とする。
本発明の実施の形態を図1から図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムの製造方法は、少なくとも溶融押出し部と、溶融樹脂を冷却引取りして挟圧する挟圧部(又は、冷却引き取り部ともいう。)と、MD(Machine Direction)又はTD(Transverse Direction)方向に延伸する延伸部と、回収部とを有する溶融流延方式のフィルム成形装置を使用した光学フィルムの製造方法であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法の特徴は、冷却ローラ(冷却引き取りローラ、キャストローラともいう。)又は当該冷却ローラと対向して挟圧部を形成するタッチローラ(押圧ローラともいう。)の少なくとも一方のローラ表面の溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理することにより、冷却ローラ又はタッチローラの表面に付着している有機物を除去するものである。なお、冷却ローラ又はタッチローラの表面に付着している有機物とは、光学フィルム表面に存在する極僅かな原料樹脂のモノマー、オリゴマー等の低分子量物、分解物、ブリードアウト物、添加物、及び変性物等の有機物をいう。
本発明でいう当該非接触範囲とは、流延ダイから溶融樹脂が押し出され、冷却ローラ及びタッチローラによって引き取られ、押圧されて冷却ローラからフィルムとして剥離されるまでの、溶融樹脂が接するローラ表面部分の範囲外のローラ表面をいう。具体的には図3及び図4のP1周辺部分をいう。
<高エネルギー処理を施すローラ幅>
図1は、高エネルギー処理するローラ幅をフィルム幅と対比して示した概念図である。以下、冷却ローラと樹脂フィルムの関係を例にとって説明する。
請求項1に係る発明では冷却ローラ5の全幅Lに対して、熱可塑性樹脂を含む溶融樹脂を流延ダイから押し出し、冷却ローラとタッチローラとの挟圧部に前記溶融樹脂を接触して挟圧したフィルムF(以下、未延伸フィルムFともいう。)の全幅をAとしたときに、L>Aの関係を満たすことが特徴である。本発明に係る高エネルギー処理手段は、フィルムFの全幅Aに相当する冷却ローラ部分に対して、その内側部分に相当する当該ローラ表面に高エネルギー処理を施してフィルムに付着している有機物を清浄処理(除去)する。
したがって、冷却ローラの端部、すなわち(L−A)部分は高エネルギー処理手段によ
って、高エネルギー処理がなされないことから、不要な活性基を冷却ローラ端部に付与することがなく、仮にフィルムFの通過経路が外乱によって左右に移動したとしても、その部分でフィルムとローラの密着が強くなることはなく、端部割れや横段状の故障、又は破断の原因とはならない。
本発明の効果を得るには、フィルムFの全幅Aの内側部分に相当する冷却ローラに対して、高エネルギー処理を施せばよく、当該内側の部分には特に制限はないが、少なくとも最終的に光学フィルムとして使用する前記フィルム幅Bの内側部分に相当するローラ表面に高エネルギー処理を施すことが好ましい。
請求項2に係る発明は、溶融樹脂が前記挟圧部で未延伸フィルムFとなった後に、当該未延伸フィルムFは、前記ローラより剥離し、当該フィルムの幅方向の端部を把持して幅方向に延伸する延伸工程によって延伸フィルムFexとした後、当該担持したフィルム部分dを連続裁断により除去し、除去後のフィルム端部の内側にナーリングを付与する工程でナーリングeを形成した後巻き取られる光学フィルムであって、前記フィルム幅Aと、前記延伸工程及びナーリング工程後のフィルム幅に相当する延伸前の前記挟圧部のフィルム幅Bとの間のフィルム幅をフィルム幅Cとしたときに、当該フィルム幅Cの内側部分に相当する前記ローラ表面のみを高エネルギー処理することを特徴とする。当該フィルム幅Bは、したがって延伸処理されて最終的に光学フィルムとして使用される幅に相当する挟圧部のフィルム幅であるから、各々A>C>Bの関係であり、前述したように、フィルム2の通過経路が外乱によって左右に大きく移動した場合でも、前記冷却ローラに対して高エネルギー処理がなされていない部分が請求項1より広いことから、密着による端部割れや横段状の故障、又は破断の危険性を更に減じることができる。
また、冷却ローラの端部、すなわち(L−A)部分又は(L−B)部分は高エネルギー処理されない未処理部分であるため、フィルムFの通過経路が外乱によって移動したときに有機物が付着する可能性があるが、もともとフィルム端部はスリットして除去する部分であるため、仮に僅かに有機物が付着しても光学フィルムとして実際に使用する領域(フィルム幅B)にはスリ傷、押されムラの発生等の影響はない。
本発明の製造方法に係る高エネルギー処理を施すことにより、冷却ローラ及びタッチローラの表面に付着している有機物をオンラインで除去することで、製造を中断することなく、スリ傷、押されムラの発生をなくし、平面性に優れた光学フィルムを製造することができる。
<光学フィルムの製造工程>
図2は熱可塑性樹脂を使用し溶融押出し機で溶融押出してフィルムを成形する溶融流延方式のフィルム成形装置の模式図である。
フィルム成形装置は、溶融押出し部と、挟圧部(冷却引取り部)と、延伸部と、回収部とを有している。
溶融押出し部は、フィルムに成形する熱可塑性樹脂を供給する溶融押出し機1と、フィルター2と溶融された熱可塑性樹脂を押出し部に安定に送るギヤポンプ3と、溶融押出し機より送られてくる溶融した樹脂を先端の狭い隙間から膜状に押出す流延ダイ4とを有している。
溶融押出し機1には、熱可塑性樹脂組成物が投入される。投入される熱可塑性樹脂組成物はあらかじめ乾燥しておくことが好ましい。なお、熱可塑性樹脂組成物とは熱可塑性樹脂及び可塑剤や紫外線吸収剤、リターデーション制御剤、剥離性向上剤、酸化防止剤、熱
分解抑制剤等の添加剤を含めていう。
溶融押出し機1としては、特に限定はなく、熱可塑性樹脂の押出成形に使用される溶融押出し機を使用することが可能である。例えば単軸スクリュー型押出し機、同方向回転2軸スクリュー型押出し機、異方向回転2軸スクリュー型押出し機、タンデム型押出し機等が代表例として挙げられる。
フィルター2としては特に限定はなく、例えばスクリーンメッシュと呼ばれるステンレス等の合金からなる金網の単層体、ステンレス等の合金からなる金網を積層し、各層を焼結した焼結金属フィルター、ステンレス鋼の微細繊維を複雑に編み込んだ金網にて繊維間の接点を焼結した焼結金属ファイバフィルター、金属粉末を焼結した焼結金属フィルター等が挙げられ、これらの中で特に焼結金属ファイバフィルターを使用することが好ましい。
流延ダイ4としては、コートハンガータイプとストレートマニフォールドタイプとに分別されるが、本発明では特に限定はなく、使用する樹脂により適宜選択することが可能となっている。また、単層用でも多層用であっても構わない。
冷却引取り部は、冷却ローラ5と、タッチローラ6とで溶融樹脂の挟圧部を構成し、補助冷却ローラ7、8と、剥離ローラ9と、搬送ローラを有している。タッチローラ6としては、可撓性の金属スリーブの内部に弾性ローラを配した弾性タッチローラを用いることが好ましい。なお、タッチローラ6に関しては後述する。
流延ダイ4で押出され、冷却ローラ5の上に流延され膜状の溶融物はタッチローラ6により冷却ローラ5側に押圧されフィルム状に成形される。フィルム状に成形された溶融物は補助冷却ローラ7、8で冷却固化され未延伸フィルムFとなる。形成された未延伸フィルムFは剥離ローラ9で剥離され、複数の搬送ローラで延伸部に搬送される。本図では冷却ローラの数は第1冷却ローラ5と、補助冷却ローラ7、8との3本の場合を示しているが必要に応じて増減が可能である。
本発明に係る高エネルギー処理工程は、前記冷却ローラ5とタッチローラ6の少なくとも一方のローラ表面の当該溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理手段Aを当該ローラの幅方向に設けて、当該ローラ表面に高エネルギー処理を施して付着した有機物を清浄処理(除去)する。図2では冷却ローラ5及びタッチローラ6の当該溶融樹脂の非接触範囲に向けて、高エネルギー処理手段Aが設置されている。高エネルギー処理手段Aは少なくとも一方のローラに設置されていることが必要であるが、図のように両方のローラに設置されていることも好ましい。高エネルギー処理手段Aの詳細に関しては図3、図4で説明する。
高エネルギー処理手段Aとしては、常圧プラズマ処理装置、エキシマ紫外線照射装置、及びアーク又はプラズマトーチによるプラズマ処理装置から選択される高エネルギー処理装置であることが好ましい。
延伸部は、MD(Machine Direction)延伸部と、TD(Transverse Direction)延伸部とを有している。
MD延伸部は、補助冷却ローラ8から剥離された未延伸フィルムFをMD延伸するMD延伸装置10と、MD延伸された延伸フィルムFexを搬送する複数の搬送ローラを有している。MD延伸装置10としては特に限定はなく、例えば複数の搬送ローラ(不図示)、赤外線ヒーター(不図示)、温風吹出し装置(不図示)等の加熱装置を有し、熱可塑性
樹脂のガラス転移温度Tgからガラス転移温度Tg+100℃の範囲内に加熱し、ローラ間の速度差によって一段又は多段でMD延伸することが可能となっている。MD延伸部での延伸率は製造するフィルムの用途に応じて適宜調整することが可能である。
TD延伸部は、MD延伸部でMD延伸された延伸フィルムFexをTD延伸するTD延伸装置20と、TD延伸された延伸フィルムFex(図1では延伸フィルムFexに相当)を搬送する複数の搬送ローラとを有している。
TD延伸装置20としてはテンター延伸装置(不図示)、赤外線ヒーター(不図示)、温風吹出し装置(不図示)等の加熱装置を有し、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgからガラス転移温度Tg+100℃の範囲内に加熱し、TD延伸することが可能となっている。テンター延伸装置としては特に限定はなく、例えばクリップテンター、ピンテンター等が挙げられ、必要に応じて選択し使用することが可能である。
TD延伸部で必要とする幅、厚さに延伸した後、テンター工程内の熱固定工程(不図示)に搬送され延伸した状態が固定される。TD延伸部での延伸率は製造するフィルムの用途に応じて適宜調整することが可能である。
回収部は、TD延伸部でTD延伸された延伸フィルムFexが巻き芯に巻き取られる。回収部は、巻取り装置60を有している。
なお、回収部で巻き取られる前に延伸フィルムFexの両端の担持部を切除する装置(スリッター19)、両端を切除した延伸フィルムFexの両端に巻き取り安定性、擦り傷防止等のために凸凹のパターンを設ける(ナーリング加工)装置(バックローラ52、及びエンボスリング53)を配設し加工することが好ましい。
回収部で巻き取られる光学フィルムの膜厚は、液晶表示装置の薄型化とフィルム強度の観点から、10〜200μmの範囲内が好ましく、10〜100μmの範囲内がさらに好ましく、10〜60μmの範囲内であることが特に好ましい。本発明の光学フィルムの製造方法は特に10〜60μmの範囲内の薄膜の光学フィルムの製造時に好適に用いられる。
光学フィルムの幅は、1.4〜4mの範囲内であることが好ましく、1.6〜3mの範囲内であることがより好ましい。
次に挟圧部で使用する冷却ローラ5とタッチローラ6に付き説明する。
冷却ローラ5は、肉厚が20〜30mm程度のシームレスな鋼管製で、表面が鏡面に仕上げられている。その内部には、冷却液を流す配管が配置されており、配管を流れる冷却液によってローラ上のフィルムから熱を吸収できるように構成されている。冷却ローラ5に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。冷却ローラ5の直径は特に制限はないが、後述するタッチローラ6の直径より1.1倍以上大きいことが、溶融樹脂を効率よく冷却し、挟圧することでムラのない光学フィルムを得る観点から好ましく、110〜1000mmの範囲内であることが好ましく、200〜1000mmの範囲内であることがより好ましい。
冷却ローラ5の温度は、樹脂混合物のガラス転移温度(Tg)以下、添加剤の融点以上に設定するのが、好ましい。フィルムの冷却ローラ5表面に接触した後のフィルムの温度低下は20〜50℃の範囲内が望ましい。冷却ローラ5でのフィルムの温度低下が大きすぎると、不均一な収縮により膜厚ムラが大きくなってしまう。冷却ローラ5に続いて補助
冷却ローラ7及び補助冷却ローラ8を設置することはフィルムの平面性を向上する上で好ましく、それぞれ5〜30℃の範囲内で段階的に温度低下することが好ましい。
タッチローラ6としては、可撓性の金属スリーブの内部に弾性ローラを配した弾性タッチローラを用いることが好ましい。
本発明で好適に用いることができる弾性タッチローラとしては、例えば、金属製外筒と内筒との二重構造になっており、その間に冷却流体を流せるように空間を有しているものが好ましい。更に、金属製外筒は弾性を有していることにより、弾性タッチローラ表面の温度を精度よく制御でき、且つ適度に弾性変形する性質を利用して、長手方向に膜状の溶融物を押圧する距離が稼げるとの効果を有することにより、液晶表示装置で画像を表示したときに、明暗のスジや斑点むらがないという効果が得られるのである。
タッチローラ6の表面は金属であることが好ましく、厚さは0.1〜10.0mmの範囲である。好ましくは0.2〜6.0mmの範囲である。タッチローラの表面は、クロムメッキなどの処理が施されており、表面粗さは、最大高さRyで0.1μm以下とすることが好ましく、更に0.05μm以下とすることが好ましい。ローラ表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできる。
弾性タッチローラの直径は100〜600mmの範囲が好ましい。金属製外筒の肉厚が0.1以上では、強度が十分であり、破損の懸念がなく好ましい。一方、5mm以下であると、弾性タッチローラ質量が適当であり、回転むらの懸念がなく好ましい。従って、金属外筒の肉厚は、0.1mmから5mmの範囲内であることが好ましい。
金属外筒の材質は、平滑で、適度な弾性があり、耐久性があることが求められる。炭素鋼、ステンレス、チタン、電鋳法で製造されたニッケルなどが好ましく用いることができる。更にその表面の硬度をあげたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。表面加工した表面は更に研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
内筒は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの軽量で剛性のある金属製内筒であることが好ましい。内筒に剛性をもたせることで、弾性タッチローラの回転ぶれを抑えることができる。内筒の肉厚は、外筒の2倍から10倍とすることで十分な剛性が得られる。内筒には更にシリコーン、フッ素ゴムなどの樹脂製弾性材料が被覆されていてもよい。
冷却流体を流す空間の構造は、弾性タッチローラ表面の温度を均一に制御できるものであればよく、例えば、幅方向に行きと戻りが交互に流れるようにしたり、スパイラル状に流れるようにすることでローラ表面の温度分布の小さい温度制御ができる。
冷却流体は、特に制限はなく、使用する温度域に合わせて、水やオイルを使用できる。
弾性タッチローラの表面温度は、膜状の溶融物のガラス転移温度(Tg)より低いことが好ましい。Tgより高いと、膜状の溶融物と弾性タッチローラとの剥離性が劣る場合がある。Tg−50℃からTgであることが更に好ましい。
本発明で用いる弾性タッチローラは、幅方向の中央部が端部より径が大きいいわゆるクラウンローラの形状とすることが好ましい。
弾性タッチローラは、その両端部を加圧手段でフィルムに押圧するのが一般的であるが、この場合、弾性タッチローラが撓むため、端部にいくほど強く押圧されてしまう現象がある。弾性タッチローラをクラウン形状にすることで高度に均一な押圧が可能となるのである。
本発明で用いる弾性タッチローラの幅は、膜状の溶融物の幅よりも広くすることで、膜状の溶融物全体を冷却ローラに密着できるので好ましい。
次に本図に示す溶融流延方式のフィルム成形装置1を使用し、光学フィルムを製造する時の一般的条件を示す。
冷却ローラ5での引取り速度は、分子配向性、複屈折性を考慮し5m/分から100m/分で行うことが好ましい。
溶融押出し機1での熱可塑性樹脂の溶融温度は使用する熱可塑性樹脂により適宜選択すればよく、その中でも溶融樹脂の熱分解による光学フィルムの外観性の悪化を避けるため、樹脂を溶融させた後Tダイから吐出されるまでの間を300℃以下に維持することが好ましく、290℃以下であることが特に好ましい。
溶融押出し機1は、使用する熱可塑性樹脂、添加物等に水等の揮発性成分が含まれていると、光学フィルムの外観性が悪化するため、揮発性成分を除去するための真空ベント、ホッパードライヤー等が具備されたものが適宜使用される。
溶融押出し機1のシリンダー径、L/D、圧縮比、スクリューデザインは一般的に生産速度、光学フィルムの寸法などに応じて最適化すればよく、特に光学フィルムの製造の際には、吐出速度を安定化させると共に、摩擦発熱の抑制や樹脂温度を分解温度以下に維持することを目的に最適化すればよい。
溶融押出し機1のスクリュー回転数、流延ダイ4からの吐出量は、製造するフィルムの厚みや引取り速度等に応じて適宜選択することが可能である。また、溶融樹脂の酸化による熱分解や黄変を抑制するため、ホッパー、押出し機シリンダー内部等を窒素、アルゴン等の不活性ガスでパージあるいは真空にすることが好ましい。
冷却ローラ5の温度設定は、得られる光学フィルムの外観性や特性に与える影響の大きい重要な製造条件の1つであり、流延ダイから流下する膜状の溶融物の冷却ローラへの密着性及び離型性のバランスを考慮して最適化されるものであり、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対して−40℃から+20℃とすることが好ましく、特に−35℃から+10℃とすることが好ましい。
溶融押出し時の溶融物の温度は、通常150℃から300℃の範囲、好ましくは180℃から270℃、更に好ましくは200℃から250℃の範囲である。溶融物の温度は、接触式温度計を使用して測定した値である。
タッチローラ6である弾性タッチローラで冷却ローラ上に流延された膜状の溶融物を押圧する際の膜状の溶融物の温度は、高いほど、ダイラインに起因する明暗のスジが改良されるのだが、余り高すぎると、斑点状むらが劣化する。これは、膜状の溶融物中から揮発成分が揮発し、弾性タッチローラで押圧する際に均一に押圧されないためと予想している。低すぎるとダイラインに起因する明暗のスジが改善されない。
押圧時の膜状の溶融物の温度を上記範囲にする方法は特に限定はないが、例えば、流延
ダイ4と冷却ローラ5との間の距離を近づけて、流延ダイ4と冷却ローラ5との間での冷却を抑制する方法や、流延ダイと冷却ローラ6との間を断熱材で囲って保温したり、あるいは熱風や赤外線ヒーターやマイクロ波加熱等により加温する方法が挙げられる。
膜状の溶融物の表面温度及び弾性タッチローラ表面温度は非接触式の赤外温度計で測定することができる。具体的には、非接触ハンディ温度計(IT2−80、(株)キーエンス製)を用いて膜状の溶融物の幅手方向に10箇所を被測定物から0.5mの距離で測定する。
弾性タッチローラ側の膜状の溶融物の表面温度は、搬送されている膜状の溶融物を弾性タッチローラを外した状態で弾性タッチローラ側から非接触式の赤外温度計で測定した温度をさす。
弾性タッチローラの表面温度を更に均一にするため、弾性タッチローラに温調ローラを接触させたり、温度制御された空気を吹き付けたり、液体などの熱媒体を接触させてもよい。
本発明では、更に弾性タッチローラの押圧時の弾性タッチローラの線圧を9.8N/cm以上、490N/cm以下、弾性タッチローラ側の膜状の溶融物の表面温度Ttを、Tg<Tt<Tg+110℃とすることが好ましい。弾性タッチローラの線圧をこの範囲とすることで液晶表示装置で画像を表示した際の明暗のスジや斑点状むらのない光学フィルムが得られる。
線圧とは、弾性タッチローラが膜状の溶融物を押圧する力を押圧時の膜状の溶融物の幅で除した値である。線圧を上記の範囲にする方法は、特に限定はなく、例えば、エアーシリンダーや油圧シリンダーなどで弾性タッチローラ両端を押圧することができる。
サポートローラにより弾性タッチローラを押圧することで、間接的にフィルムを押圧してもよい。
なお、本発明の光学フィルムの製造方法に係る弾性タッチローラとしては、特開平03−124425号公報、特開平08−224772号公報、特開平07−100960号、特開平10−272676号公報、WO97/028950号パンフレット、特開平11−235747号公報、特開2002−36332号公報、特開2005−172940号公報や特開2005−280217号公報に記載されているような表面が薄膜金属スリーブ被覆シリコンゴムローラを使用することができる。
図3は、高エネルギー処理手段が設置される部分の拡大概略図である。
図中、高エネルギー処理手段Aとしての常圧プラズマ処理装置を示す。常圧プラズマ処理装置3aは、冷却ローラ5の前記挟圧部のフィルム幅A又はフィルム幅Cの内側部分に相当する当該ローラ表面にプラズマを照射する様に配設されている。常圧プラズマ処理装置3aは、対向する電極間に、高周波電圧を印加して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、これによって、冷却ローラ5の表面に付着した有機物を二酸化炭素や水等に分解し取り除くものである。常圧プラズマ処理装置は、その処理幅を前記挟圧部のフィルム幅Aやフィルム幅Bのように任意に可変である装置であることも好ましい。
常圧プラズマの方式は、大きくは二つに分けられ、一つはダイレクト方式やプラナー方式と呼ばれるもので、被処理体をはさむように対向配置された電極間に高周波電力を加えて、供給ガスをプラズマ化するものである。もう一つの方式は、リモート方式やダウンス
トリーム方式と呼ばれるもので、反応性ガスを高周波電圧が加えられた電極の間を通して導入しプラズマ化するものである。前記のいずれの方式も、本発明に使うことができる。
3a1、3a2は常圧プラズマ処理装置3aの対向電極を示す。Gは常圧プラズマ処理装置3a内に導入する反応性ガスを示し、Kはプラズマ噴射スリット3a3からプラズマ噴射スリット3a3と対向する冷却ローラ5の表面までの間隙である。
間隙Kは、冷却ローラ5の表面への接触、有機物の除去性、改質性等を考慮し、1mmから30mmが好ましく、さらには、2mmから20mmがより好ましい。
常圧プラズマ処理装置3aの簡単な構造として、高周波電圧が加えられた対向電極3a1、3a2間に、反応性ガスG(原料ガスともいう。)を導入、通過させてプラズマ化し、冷却ローラ5の表面に噴射供給し、冷却ローラ5の表面に付着している有機物の除去を行う。
常圧プラズマ処理装置3aには、高周波電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極を採用する必要がある。
この様な電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、さらに好ましくは、対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては、比誘電率が6から45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等が挙げられる。
原料ガスGには、窒素や酸素、アルゴン、ヘリウムなど種々のものが利用可能であるが、環境面、排気の後処理、ランニングコストの観点から、窒素が好ましい。さらには、窒素に微量の酸素を混合するとより好ましい。酸素の混合比率は、原料ガスの体積に対して5体積%以下が望ましい。
常圧プラズマの原料ガス風量は、プラズマ幅1m当たり、20L/minから5000L/minが望ましい。さらには、40L/minから2500L/minがより好ましい。また、常圧プラズマ処理装置3aの近くに排気装置を設けて、分解ガスの排気を行うのが望ましい。
常温プラズマ処理の処理条件としては電極間に供給する電力は、付着した有機物の除去性、アーク放電などの異常放電等を考慮し、1W/cm以上、50W/cm以下(放電が起こる範囲の面積)であることが好ましい。
常圧プラズマ処理を行う位置P1(反応性ガスGを金属支持体に噴射供給する位置)は、未延伸フィルムFが非接触で通過する領域で、且つ未延伸フィルムFに影響を及ぼすことなく常圧プラズマ処理装置3aを配設できれば特に限定はない。
図4は図3に示される以外の高エネルギー処理手段の拡大概略図である。
図中、3′aは高エネルギー処理手段としてのエキシマ紫外線照射装置を示す。紫外線照射装置3′aは冷却ローラ5の前記挟圧部のフィルム幅A又はフィルム幅Bに対応する幅の内側に紫外線照射する様に配設されている。紫外線照射装置3′aは、紫外線を冷却ローラ5の表面に照射することで、付着した有機物を二酸化炭素や水などに分解し除去するものである。
紫外線照射装置3′aは、筐体3′a1と、紫外線ランプ3′a2と、反射板3′a3とを有する。筐体3′a1の内部はパージガスG′が充填されている。
紫外線ランプ3′a2としては、特に、波長が250nm以下の紫外線を照射するランプが好ましく、例えばエキシマ紫外線ランプが挙げられる。この様な波長の紫外線の照射下では、パージガスG′に含まれる酸素は活性酸素やオゾンを生成し、紫外線とともに冷却ローラ5の表面に付着した有機物を二酸化炭素や水などに分解し除去することが可能となる。
K′は紫外線照射口3′a4から紫外線照射口3′a4と対向する冷却ローラ5の表面までの間隙である。間隙K′は、冷却ローラ5の表面への接触、有機物の除去性等を考慮し、1mmから20mmが好ましく、更には、2mmから15mmがより好ましい。
紫外線照射の照射条件としては、主波長が172nmのエキシマ紫外線を付着した有機物の除去性を考慮し、1mJ/cmから3000mJ/cmの光量で照射するのが好ましい。
紫外線照射装置3′aの近くに排気装置を設け、分解ガスの排気を行うことが望ましい。
図3、図4に示す高エネルギー処理装置以外の装置としてアーク又はプラズマトーチによるプラズマ処理(不図示)が挙げられる。
常温、常圧下、空気中でプラズマを安定して発生する高輝度なプラズマ発生装置として、アーク放電タイプで電源の電圧周波数が1〜50kHzの範囲であるものが好ましい。
また、本発明におけるプラズマ発生の電極形状としては、トーチ型電極であることが好ましい。トーチ型の電極の場合、電極を移動させることにより、回転体のような3次元的な構造を有する物体にも均一にプラズマを照射しやすいとともに、複雑な形状に合わせてもプラズマを照射することができる。
このようなプラズマ処理では、回転体の回転速度、プラズマの照射距離、プラズマ発生電極の移動速度を調整することにより、回転体に付着した有機物の除去と回転体表面材質のプラズマによるダメージを軽減することが可能になるため、より好ましくは、プラズマを照射する電極が回転体の面長方向に移動するとよい。
次に本発明の光学フィルムに使用する熱可塑性樹脂、及び添加剤に付き説明する。
<熱可塑性樹脂>
本発明の光学フィルムの製造方法に用いる熱可塑性樹脂は、溶融流延製膜法により製膜可能であれば特に限定されない。(以降、本発明の光学フィルムの製造方法によって製造される光学フィルムを、「本発明の光学フィルム」と簡単にいう場合もある。)
ここで、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂をいう。
熱可塑性樹脂としては、一般的汎用樹脂としては、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、
PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等があり、溶媒に可溶なものを適宜溶解して本発明に係る方法で処理することが好ましい。
また、強度や壊れ難さを特に要求される場合、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
さらに高い熱変形温度と長期使用できる特性を要求される場合は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。
なお、本発明の用途にそって樹脂の種類、分子量の組み合わせを行うことが可能である。
本発明においては、熱可塑性樹脂として、特にアクリル系樹脂を用いることが好ましいが、他の樹脂を適宜混合して用いてもよい。
以下、本発明において好適に用いることができる熱可塑性樹脂について詳細な説明をする。
〈アクリル系樹脂〉
本発明に好ましく用いることができるアクリル系樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、光学フィルムの耐久性が向上する。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定きれないが、成形性当の観点から、好ましくは170℃以下である。
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくはメタクリル酸メチルを主成分(50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%の範囲)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、アクリペットVHやアクリペットVRL20A、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を
有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることも好ましい。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載のものが挙げられる。
また、(メタ)アクリル系樹脂としては、不飽和カルボン酸アルキルエステルの構造単位及びグルタル酸無水物の構造単位を有するアクリル樹脂を用いることができる。前記アクリル樹脂としては、特開2004−70290号公報、特開2004−70296号公報、特開2004−163924号公報、特開2004−292812号公報、特開2005−314534号公報、特開2006−131898号公報、特開2006−206881号公報、特開2006−265532号公報、特開2006−283013号公報、特開2006−299005号公報、特開2006−335902号公報などに記載のものが挙げられる。
また、(メタ)アクリル系樹脂としては、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、及び芳香族ビニル単位を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。当該熱可塑性樹脂としては、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報などに記載のものが挙げられる。
<添加剤>
本発明の光学フィルムは、添加剤としては、有機酸と3価以上のアルコールが縮合した構造を有するエステル系可塑剤、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の少なくとも一種の可塑剤、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤から選択される少なくとも一種の安定剤を含んでいることが好ましく、更にこの他に過酸化物分解剤、ラジカル捕捉剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、マット剤、染料、顔料、さらには前記以外の可塑剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤以外の酸化防止剤などを含んでも構わない。
光学フィルムの組成物の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光又は熱によるラジカル種起因の分解反応を抑制又は禁止する等、解明できていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために、又透湿性、易滑性といった機能を付与するために添加剤を用いる。
一方、光学フィルムの組成物を加熱溶融すると分解反応が著しくなり、この分解反応によって着色や分子量低下に由来した該構成材料の強度劣化を伴うことがある。また、光学フィルムの組成物の分解反応によって、好ましくない揮発成分の発生も併発することもある。
光学フィルムの組成物を加熱溶融するとき、上述の添加剤が存在することは、材料の劣化や分解に基づく強度の劣化を抑制すること、又は材料固有の強度を維持できる観点で優れており、本発明の光学フィルムを製造できる観点から上述の添加剤が存在することが必要である。
また、上述の添加剤の存在は加熱溶融時において可視光領域の着色物の生成を抑制すること、又は揮発成分が光学フィルム中に混入することによって生じる透過率やヘイズ値といった光学フィルムとして好ましくない性能を抑制又は消滅できる点で優れている。
本発明の光学フィルムのヘイズ値は、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満である。
上述のフィルム組成物の保存あるいは製膜工程において、空気中の酸素による劣化反応が併発することがある。この場合、上記添加剤の安定化作用とともに、空気中の酸素濃度を低減させる効果を用いることも本発明を具現化する上で好ましい。これは、公知の技術として不活性ガスとして窒素やアルゴンの使用、減圧から真空による脱気操作、及び密閉環境下による操作が挙げられ、これら3者の内少なくとも1つの方法を上記添加剤と併用することが好ましい。フィルム組成物が空気中の酸素と接触する確率を低減することにより、該材料の劣化が抑制でき、本発明の目的のためには好ましい。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は、樹脂に発生したラジカルを不活性化する、あるいは樹脂に発生したラジカルに酸素が付加したことが起因の樹脂の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でも、特にフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物が好ましい。これらの化合物を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、溶融成型時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12欄から14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。
フェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのフェノール化合物は、例えば、BASFジャパンから、“Irganox1076”及び“Irganox1010”という商品名で市販されている。
本発明において、ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクリロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、高分子タイプの化合物でも良く、具体例としては、N,N′,N″,N′″−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などで、数平均分子量(Mn)が2,000から5,000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードフェノール化合物は、例えば、BASFジャパンから、“Tinuvin144”及び“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されている。
本発明において、リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピンなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。上記タイプのリン系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、“SumilizerGP”、株式会社ADEKAから、“ADK
STAB PEP−24G”及び“ADK STAB PEP−36”という商品名で市販されている。
本発明において、イオウ系化合物の具体例としては、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。上記タイプのイオウ系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、“Sumilezer TPL−R”、及び“Sumilezer TP−D”という商品名で市販されている。
酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常0.01質量部から
25質量部、好ましくは0.05質量部から10質量部、さらに好ましくは0.1質量部から3質量部である。
〈可塑剤〉
可塑剤として、有機酸と3価以上のアルコールが縮合した構造を有するエステル化合物を、可塑剤として1質量%から25質量%含有することが好ましい。1質量%よりも少ないと可塑剤を添加する効果が認められず、25質量%よりも多いとブリードアウトが発生しやすくなり、フィルムの経時安定性が低下するために好ましくない。より好ましくは上記可塑剤を3質量%から20質量%含有する光学フィルムであり、さらに好ましくは5質量%から15質量%含有する光学フィルムである。
可塑剤とは、一般的には高分子中に添加することによって脆弱性を改良したり、柔軟性を付与したりする効果のある添加剤であるが、本発明においては、熱可塑性樹脂単独での溶融温度よりも溶融温度を低下させるため、また同じ加熱温度において熱可塑性樹脂単独よりも可塑剤を含む光学フィルムの組成物の溶融粘度を低下させるために、可塑剤を添加する。また、熱可塑性樹脂の親水性を改善し、光学フィルムの透湿度改善するためにも添加されるため透湿防止剤としての機能を有する。
ここで、光学フィルムの組成物の溶融温度とは、該材料が加熱され流動性が発現された状態の温度を意味する。熱可塑性樹脂を溶融流動させるためには、少なくともガラス転移温度よりも高い温度に加熱する必要がある。ガラス転移温度以上においては、熱量の吸収により弾性率あるいは粘度が低下し、流動性が発現される。しかし熱可塑性樹脂では高温下では溶融と同時に熱分解によって熱可塑性樹脂の分子量の低下が発生し、得られるフィルムの力学特性等に悪影響を及ぼすことがあるため、なるべく低い温度で熱可塑性樹脂を溶融させる必要がある。フィルム組成物の溶融温度を低下させるためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低い融点又はガラス転移温度をもつ可塑剤を添加することで達成することができる。特に、有機酸と多価アルコールが縮合した構造を有する多価アルコールエステル系可塑剤は、熱可塑性樹脂の溶融温度を低下させ、溶融製膜プロセスや製造後にも揮発性が小さく、工程適性が良好であり、かつ得られる光学フィルムの光学特性・寸法安定性・平面性が良好となる点で優れている。
なお、本発明においては3価以上のアルコールのヒドロキシ基(水酸基)を置換する有機酸は単一種であっても複数種であってもよい。
本発明において、有機酸と反応して多価アルコールエステル化合物を形成する3価以上のアルコール化合物としては、好ましくは3価から20価の脂肪族多価アルコールである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ガラクチトール、グルコース、セロビオース、イノシトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
有機酸と3価以上の多価アルコールのエステルは、公知の方法により合成できる。有機
酸と多価アルコールを、例えば、酸の存在下縮合させエステル化する方法、また、有機酸をあらかじめ酸クロライドあるいは酸無水物としておき、多価アルコールと反応させる方法、有機酸のフェニルエステルと多価アルコールを反応させる方法等があり、目的とするエステル化合物により、適宜、収率のよい方法を選択することが好ましい。
この様にして得られる多価アルコールエステルの分子量には特に制限はないが、300から1500であることが好ましく、400から1000であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、熱可塑性樹脂との相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明の光学フィルムは、他の可塑剤と併用してもよい。
本発明に好ましい可塑剤である有機酸と3価以上の多価アルコールからなるエステル化合物は、熱可塑性樹脂に対する相溶性が高く、高添加率で添加することができる特徴があるため、他の可塑剤や添加剤を併用してもブリードアウトを発生することがなく、必要に応じて他種の可塑剤や添加剤を容易に併用することができる。
なお、他の可塑剤を併用する際には、有機酸と3価以上の多価アルコールからなるエステル化合物からなる可塑剤が、可塑剤全体の少なくとも50質量%以上含有されることが好ましい。より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上含有されることが好ましい。この様な範囲で用いれば、他の可塑剤との併用によっても、溶融流延時のフィルムの平面性を向上させることができるという、一定の効果を得ることができる。
好ましい他の可塑剤として下記の可塑剤が挙げられる。
<多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤>
多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤は熱可塑性樹脂と親和性が高く好ましい。
多価アルコールエステル系の一つであるエチレングリコールエステル系の可塑剤:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでもよく、又これら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。更にエチレングリコール部も置換されていてもよく、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるグリセリンエステル系の可塑剤:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロ
ピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。また、アルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていてもよく、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造がポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価アルコールエステル系の可塑剤としては、具体的には特開2003−12823号公報の段落番号[0030]から[0033]記載の多価アルコールエステル系可塑剤が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。また、アルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、また、これら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。更に多価アルコール部も置換されていてもよく、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤の中では、アルキル多価アルコールアリールエステルが好ましく、具体的には上記のエチレングリコールジベンゾエート、グリセリントリベンゾエート、ジグリセリンテトラベンゾエート、特開2003−12823号公報の段落番号[0032]記載例示化合物16が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系の一つであるジカルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また、一置換でもよく、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していて
もよい。更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。また、フタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価カルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的にはトリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また1置換でもよく、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。さらにフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造がポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の中では、ジアルキルカルボン酸アルキルエステルが好ましく、具体的には上記のジオクチルアジペート、トリデシルトリカルバレートが挙げられる。
〈その他の可塑剤〉
本発明に用いられるその他の可塑剤としては、さらにリン酸エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあ
っても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同士が共有結合で結合していてもよい。
またエチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同士が共有結合で結合していてもよい。
更に、リン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
ポリマー可塑剤:具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は1,000から500,000程度が好ましく、特に好ましくは、5000から200000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、熱可塑性樹脂フィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす。これらポリマー可塑剤は一種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを二種以上併用して用いてもよい。
なお本発明の光学フィルムは、着色すると光学用途として影響を与えるため、好ましくは黄色度(イエローインデックス、YI)が3.0以下、より好ましくは1.0以下である。黄色度はJIS−K7103に基づいて測定することができる。
〈紫外線吸収剤〉
紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、紫外線吸収剤の構造は、紫外線吸収能を有する部位が一分子中に複数存在している二量体、三量体、四量体等の多量体でも良く、特開平10−182621号公報、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)360(いずれもBASFジャパン社製)を用いることもできる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、紫外線吸収剤は0.1質量%から20質量%添加することが好ましく、さらに0.5質量%から10質量%添加することが好ましく、さらに1質量%から5質量%添加することが好ましい。これらは二種以上を併用してもよい。
〈酸掃去剤〉
酸掃去剤とは、製造時から持ち込まれる熱可塑性樹脂中に残留する酸(プロトン酸)をトラップする役割を担う剤である。また、熱可塑性樹脂を溶融するとポリマー中の水分と熱により側鎖の加水分解が促進し、CAPならば酢酸やプロピオン酸が生成する。酸と化学的に結合できればよく、エポキシ、3級アミン、エーテル構造等を有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものでない。
具体的には、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸掃去剤としてのエポキシ化合物を含んでなるのが好ましい。このような酸掃去剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8モルから40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2から22個の炭素原子の脂肪酸の4個から2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド等(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリド又は不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは
、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物 EPON 815c、及び他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
用いることができる更に可能な酸掃去剤としては、特開平5−194788号公報の段落番号[0087]〜[0105]に記載されているものが含まれる。
酸掃去剤は、前述の熱可塑性樹脂同様に、製造時から持ち越される、あるいは保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去することが好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸、及び水としては、0.01ppmから100ppmであることが好ましく、熱可塑性樹脂を溶融製膜する上で、熱劣化を抑制でき、製膜安定性、フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
なお酸掃去剤は酸捕捉剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることができる。
〈リターデーション制御剤〉
光学フィルムのリターデーションを制御するために添加する化合物は、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されている様な、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリターデーション制御剤として使用することもできる。また二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
〈マット剤〉
本発明の光学フィルムには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くできるので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、この様なものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等が挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の二次粒子の平均粒径は0.05μmから1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の二次粒子の平均粒径は5nmから50nmが好ましく、さらに好ましくは7nmから14nmである。これらの微粒子は光学フィルム中では、光学フィルム表面に0.01μmから1.0μmの凹凸を生成させるために好ましく用いられる。本発明におけるマット剤の添加量は、光学フィルム1m当たり0.01gから10gが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル株式会社製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は二種以上併用してもよい。二種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質
量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用できる。
この他、フィルムの機械強度を高めたり寸法変化を抑制するために、タルクやグラスファイバーを加えたり、難燃性を高めるために水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの無機系などの粒子を添加しても良い。また、これら添加剤の形状は、球状、板状、針状、棒状等、糸状など、どの様な形状のものでも良い。
上記の添加として用いられる光学フィルム中の微粒子の存在は、別の目的として、光学フィルムの強度向上のために用いることもできる。また、光学フィルム中の上記微粒子の存在は、本発明の光学フィルムを構成する熱可塑性樹脂自身の配向性を向上することも可能である。
〈高分子材料〉
本発明の光学フィルムは、熱可塑性樹脂以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。前述の高分子材料やオリゴマーは熱可塑性樹脂と相溶性に優れるものが好ましく、光学フィルムにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも一種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行う意味を含んでいる。この場合は、上述のその他添加剤として含むことができる。
<偏光板、及び液晶表示装置>
本発明の光学フィルムは、偏光板の保護フィルムとして好適に用いることができ、当該偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができる。本発明の光学フィルムは反射型、透過型、半透過型LCDあるいはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、MVA型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。特に、平面性に優れ、色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
(ペレットの準備1)
下記に示す樹脂混合物1をV型混合機で30分混合した後、ストランドダイを取り付けた二軸押出し機を用いて窒素雰囲気下で230℃で溶融させ、長さ4mm、直径3mmの円筒形のペレット1を作製した。得られたペレット1のガラス転位点(Tg)は、135℃であった。
(樹脂混合物1)
アクリル系樹脂(樹脂にラクトン環構造を有するアクリル系重合体) 89質量%
可塑剤(トリメチロールプロパントリベンゾエート、融点85℃) 9質量%
酸化防止剤(BASFジャパン社製 IRGANOX XP 420/FD)
0.25質量%
紫外線吸収剤(TINUVIN 928、BASFジャパン社製、融点115℃)
1.6質量%
マット剤(シリカ微粒子) 0.15質量%
〈アクリル系樹脂の合成〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、8000gのメタクリル酸メチル(MMA)、2000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10000gの4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン、MIBK)、5gのn−ドデシルメルカプタンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として5.0gのターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(アクゾ化薬製、商品名:カヤカルボンBic−75)を添加すると同時に、10.0gのターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと230gのMIBKからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜120℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、30gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学社製、商品名:PhoslexA−18)を加え、還流下(約90〜120℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
(光学フィルムNo.101の製造)
準備したペレット1を100℃で5時間乾燥させ、含水率100ppmとし、図2に示すフィルム成形装置を使用し、下記に示す条件で光学フィルムを製造するとき、高エネルギー処理手段3として図3に示す常圧プラズマ処理装置を、冷却ローラ5の溶融樹脂の非接触範囲(P1)上に配設し、冷却ローラの全幅(図1のL)に下記条件で常圧プラズマ処理を続け、膜状の溶融物を冷却ローラ5及びタッチローラ6にて押圧し冷却固化してフィルムを形成した。
冷却ローラの幅 :2000mm(タッチローラの幅も同)
挟圧部のフィルム幅 :1800mm
光学フィルムとして利用される幅(図1で示すナーリングeを付与したフィルム端までの幅に相当する上記挟圧部での未延伸フィルム幅):1700mm
形成されたフィルムは、剥離ローラ9によって剥離した後、MD延伸装置10で2倍のMD延伸を行い、TD延伸装置(テンター)20で2倍のTD延伸を行った。次いでテンターによるフィルム担持部をスリッターでスリットした後、フィルム端部から内側30〜45mmの位置にナーリングを付与し、次いで回収部で巻き取り、膜厚40μm、長さ5000mの光学フィルムを製造した。
上記光学フィルムの製造の際、流延ダイの幅方向にフィルム流延幅方向が20mmずれる様に、瞬間的に衝撃を与え、表1記載のフィルムNo.101を作製し巻き取った。
(溶融押出し条件)
単軸押出し機:スクリュー径90mm、L/D=30(L:スクリュー長を示す)
冷却ローラ:表面粗さは、最大高さRyで0.1μm以下のステンレス鋼
タッチローラ:金属外筒、内筒、空隙部を備えている二重筒構造のものを用いた。金属外筒の材質は、ステンレスで、表面粗さは、最大高さRyで0.05μm以下とし、肉厚は、3mmとした。内筒は、アルミニウムで肉厚は、30mmとした。金属外筒と内筒との空隙部は5mmとした。この空隙部にオイルを流し、金属外筒の表面の温度を120℃にした。
押出し環境:材料供給口付近より窒素ガスを封入して、押出し機内を窒素雰囲気に保った。
温度:240℃
流延ダイ:コートハンガータイプで、内壁にハードクロムメッキを施しており、面粗度0.1Sの鏡面に仕上げられている。Tダイのリップ間隙は2mmに設定した。
タッチローラの押圧(線圧):20N/cm
フィルムの搬送速度:30m/minで
TD延伸装置:ピンテンター
MD延伸率:2.0倍
TD延伸率:2.0倍
巻き取り時の張力:150N/m
(常圧プラズマ処理条件)
高エネルギー処理手段とローラの照射面の間隔は3mmとした。
反応性ガス(原料ガス):窒素99.8体積%、酸素0.2体積%の混合ガス
原料ガス風量:2000L/min
電力:50W/cm
<光学フィルムNo.102〜106の作製>
光学フィルムNo.101の作製において、常圧プラズマ処理を行う冷却ローラの幅を表1に記載のように変化させた以外は同様にして、光学フィルムNo.102〜106を作製した。
<評価>
巻き取ったフィルムNo.101〜106を、衝撃を与え幅方向がずれた部分を3mカットして試料とし、端部の破断性(剥離性)と、光学フィルムとして利用される領域の転写ムラを評価した。
(破断性(剥離性)の評価方法)
試料端部の割れ・横段を目視により観察し破断性(剥離性)を評価し下記表に示した。
◎:割れ、横段共に見えず
○:僅かに横段が見える場合があるが、製品には影響ないレベル
×:割れや横段が確認でき、製品としては使用できないレベル
(転写ムラ)
複数の評価者により、試料を目視により観察し転写ムラを評価し下記表に示した。
◎:どの評価者も転写ムラが見えず
○:評価者によって転写ムラが見える場合があるが、製品には影響ないレベル
△:評価者によって転写ムラが見える場合があるが、製品として使用できるレベル
×:多くの評価者で転写ムラが確認でき、製品としては使用できないレベル
Figure 2014051061
表1の結果から、本発明の光学フィルムの製造方法で製造した光学フィルム試料No.103〜105は破断性及び転写ムラについて優れていることが分かる。
なお、幅方向に安定して溶融製膜している状態では、光学フィルムNo.101〜106について巻き取られた試料の破断性は◎の状態であることを確認した。本願は、流延幅が外乱等で変動した時に有効であることを確認した。
また、光学フィルムとして利用される幅以下の幅で、対応するローラ幅に常圧プラズマ処理したNo.106は破断性はよいが、当該利用領域端部の高エネルギー処理手段の未処理部分には有機物に起因する転写ムラが生じていた。
実施例2
高エネルギー処理手段として、図4に示すエキシマ紫外線照射装置を使用し以下に示す条件で照射した以外は、実施例1で作製した試料No.101から106と同じ方法で光学フィルムを作製したところ、実施例1を再現し本発明に係る光学フィルム試料は破断性及び転写ムラに優れていた。
(エキシマ紫外線照射条件)
エキシマ紫外線処理装置として、流延膜の搬送方向の長さが約300mmの石英ガラスの中に、放射照度40mW/cmの、Xe波長172nmエキシマUVランプが4本入った装置を使用し、石英ガラス表面から流延膜表面までの間隙を4mmとして使用した。
実施例3
実施例1で作製した光学フィルムの膜厚を20μmになるように調整し、高エネルギー照射手段として、アーク又はプラズマトーチによるプラズマ処理として、AGRODYN社製プラズマトリートシステム(周波数18kHz、電圧2.3kV〜−6.8kV、電極トーチ型、プラズマ照射距離1.2mm)を用いた以外は、実施例1で作製した試料No.101から106と同じ方法で光学フィルムを作製したところ、実施例1を再現し本発明に係る光学フィルム試料は破断性及び転写ムラに優れていた。
1 押出し機
2 フィルター
3 ギヤポンプ
4 流延ダイ
5 冷却ローラ、キャストローラ、回転支持体
6 タッチローラ、挟圧回転体
7、8 補助冷却ローラ
9 剥離ローラ
10 縦延伸装置、MD延伸装置
19 スリッター
20 横延伸装置、TD延伸装置
52 バックローラ
53 エンボスリング
60 巻取り装置
A 高エネルギー処理手段
P 挟圧部
F 未延伸フィルム
Fex 延伸フィルム
d 担持したフィルム部分
e ナーリング
P1 高エネルギー処理を行う位置(溶融樹脂の非接触範囲)

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂を含む溶融樹脂を流延ダイから押し出し、冷却ローラとタッチローラとの挟圧部に前記溶融樹脂を接触して挟圧しフィルム化する挟圧工程と、前記冷却ローラとタッチローラの少なくとも一方のローラ表面の当該溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理手段を当該ローラの幅方向に設けて、当該ローラ表面に高エネルギー処理する処理工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記挟圧部のフィルム幅が前記冷却ローラと前記タッチローラの全幅より狭く、かつ前記高エネルギー処理手段により当該フィルム幅の内側部分に相当する当該ローラ表面のみを高エネルギー処理することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記挟圧工程の後にフィルムを前記ローラより剥離し、当該フィルムの幅方向の端部を把持して幅方向に延伸する延伸工程、次いで当該担持したフィルムの端部を連続裁断により除去した後、当該フィルムの端部の内側にナーリングを付与するナーリング工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記挟圧部のフィルム幅Aと、前記延伸工程及びナーリング工程後のフィルム幅に相当する延伸前の前記挟圧部のフィルム幅Bとの間のフィルム幅をフィルム幅Cとしたときに、当該フィルム幅Cの内側部分に相当する前記ローラ表面のみを高エネルギー処理することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記光学フィルムの膜厚が、10〜60μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記高エネルギー処理が、常圧プラズマ処理、エキシマ紫外線照射、及びアーク又はプラズマトーチによるプラズマ処理から選択されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記高エネルギー処理が、常圧プラズマ処理であることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 熱可塑性樹脂を含む溶融樹脂を流延ダイから押し出し、冷却ローラとタッチローラとの挟圧部に前記溶融樹脂を接触して挟圧しフィルム化する挟圧手段と、前記冷却ローラとタッチローラの少なくとも一方のローラ表面の当該溶融樹脂の非接触範囲に、高エネルギー処理手段を当該ローラの幅方向に設けて、当該ローラ表面に高エネルギー処理する処理手段を有する光学フィルムの製造装置であって、当該高エネルギー処理手段が、当該フィルム幅の内側部分に相当する当該ローラ表面のみを高エネルギー処理する処理手段であることを特徴とする光学フィルムの製造装置。
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