JP2014049468A - 熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フラッシュ光照射によって基板の表面を溶融させることができる熱処理方法および熱処理装置を提供する。
【解決手段】長パルスの発光を行うフラッシュランプから半導体ウェハーの表面に3ミリ秒の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面をシリコン融点MPよりは低い第1目標温度T2にまで昇温する。そして、第1目標温度T2にまでされた半導体ウェハーの表面に短パルスの発光を行うフラッシュランプから0.1ミリ秒の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を融点MP以上の第2目標温度T3にまで昇温する。2段階のフラッシュ光照射を行うことにより、発光回路およびフラッシュランプに過度の負荷を与えることなく、半導体ウェハーの表面をシリコンの融点MP以上に昇温して溶融させることができる。
【選択図】図12

Description

本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法および熱処理装置に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、不純物導入は半導体ウェハー内にpn接合を形成するための必須の工程である。現在、不純物導入は、イオン打ち込み法とその後のアニール法によってなされるのが一般的である。イオン打ち込み法は、ボロン(B)、ヒ素(As)、リン(P)といった不純物の元素をイオン化させて高加速電圧でシリコンの半導体ウェハーに衝突させて物理的に不純物注入を行う技術である。注入された不純物はアニール処理によって活性化される。この際に、アニール時間が数秒程度以上であると、打ち込まれた不純物が熱によって深く拡散し、その結果接合深さが要求よりも深くなり過ぎて良好なデバイス形成に支障が生じるおそれがある。
そこで、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するアニール技術として、近年フラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
このようなキセノンフラッシュランプを使用した熱処理装置として、特許文献1,2には、半導体ウェハーの表面側にフラッシュランプ等のパルス発光ランプを配置し、裏面側にハロゲンランプ等の連続点灯ランプを配置し、それらの組み合わせによって所望の熱処理を行うものが開示されている。特許文献1,2に開示の熱処理装置においては、ハロゲンランプ等によって半導体ウェハーをある程度の温度まで予備加熱し、その後フラッシュランプからのパルス加熱によって所望の処理温度にまで昇温している。
特開昭60−258928号公報 特表2005−527972号公報
一方、不純物の活性化率をさらに向上させるべく、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみをさらに高温に加熱して溶融させる検討がなされている。シリコンは熱伝導率が比較的高いため、半導体ウェハーの表面のみを溶融する程度に加熱するためには、表面から裏面に熱が逃げる前に表面のみを急速に昇温する必要がある。半導体ウェハーの表面のみを急速に昇温する技術としてフラッシュランプアニールは好適であるものの、表面が溶融する程度にまで昇温するためには、従来より行われているフラッシュランプアニールよりも、より短時間に、かつ、より強い強度のフラッシュ光を半導体ウェハーの表面に照射する必要がある。
しかしながら、フラッシュランプを発光させる場合、回路の抵抗や容量による制限によって短時間のうちに急激にフラッシュランプに流れる電流を上昇させることには限界がある。また、極短時間のうちに急激に電流値を上昇させたとしても、フラッシュランプを構成する電極やガラス管へのダメージが大きく、特に一定の電流値を超えた場合にはランプ寿命が極度に低下する。さらに、極短時間のうちにより強度の強いフラッシュ光を半導体ウェハーに照射すると、表面の膜剥がれやウェハー割れも問題となる。このような諸問題によって、フラッシュランプアニールにより半導体ウェハーの表面のみを溶融させることは困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フラッシュ光照射によって基板の表面を溶融させることができる熱処理方法および熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、基板の表面にフラッシュ光を第1の照射時間にて照射して当該表面を基板の融点よりも低い第1の温度に昇温する第1フラッシュ工程と、前記第1の温度に昇温された前記表面にフラッシュ光を第2の照射時間にて照射して当該表面を前記融点以上の第2の温度に昇温する第2フラッシュ工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記第1フラッシュ工程でのフラッシュ光照射を行っている間に、前記第2フラッシュ工程によるフラッシュ光照射を行うことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る熱処理方法において、前記第1の照射時間は、0.5ミリ秒以上15ミリ秒以下であり、前記第2の照射時間は、0.05ミリ秒以上3ミリ秒以下であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る熱処理方法において、前記第2の照射時間は前記第1の照射時間の5分の1以下であることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記第1フラッシュ工程の前に、基板を前記第1の温度よりも低い予備加熱温度に加熱する予備加熱工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記基板は表面に不純物が導入されたシリコンの半導体ウェハーであり、当該表面をシリコンの融点以上に昇温することによって前記不純物の活性化を行うことを特徴とする。
また、請求項7の発明は、基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、フラッシュ光を出射する複数のフラッシュランプを有する第1フラッシュランプ群と、フラッシュ光を出射する複数のフラッシュランプを有する第2フラッシュランプ群と、前記保持手段に保持された基板の表面に前記第1フラッシュランプ群から第1の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を基板の融点よりも低い第1の温度に昇温させる第1発光回路と、前記第1の温度に昇温された前記表面に前記第2フラッシュランプ群から第2の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を前記融点以上の第2の温度に昇温させる第2発光回路と、を備えることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る熱処理装置において、前記第1フラッシュランプ群によるフラッシュ光照射を行っている間に、前記第2発光回路が前記第2フラッシュランプ群によるフラッシュ光照射を行うことを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係る熱処理装置において、前記第1の照射時間は、0.5ミリ秒以上15ミリ秒以下であり、前記第2の照射時間は、0.05ミリ秒以上3ミリ秒以下であることを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項9の発明に係る熱処理装置において、前記第2の照射時間は前記第1の照射時間の5分の1以下であることを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項7から請求項10のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記保持手段に保持された基板にフラッシュ光を照射する前に、当該基板を前記第1の温度よりも低い予備加熱温度に加熱する予備加熱手段をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項7から請求項11のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記基板は表面に不純物が導入されたシリコンの半導体ウェハーであり、当該表面をシリコンの融点以上に昇温することによって前記不純物の活性化を行うことを特徴とする。
請求項1から請求項6の発明によれば、基板の表面にフラッシュ光を第1の照射時間にて照射して当該表面を基板の融点よりも低い第1の温度に昇温し、第1の温度に昇温された表面にフラッシュ光を第2の照射時間にて照射して当該表面を融点以上の第2の温度に昇温するため、2段階のフラッシュ光照射を行うこととなって、発光回路およびフラッシュランプに過度の負荷を与えることなく、フラッシュ光照射によって基板の表面を溶融させることができる。
また、請求項7から請求項12の発明によれば、基板の表面に第1フラッシュランプ群から第1の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を基板の融点よりも低い第1の温度に昇温させ、第1の温度に昇温された表面に第2フラッシュランプ群から第2の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を融点以上の第2の温度に昇温させるため、2段階のフラッシュ光照射を行うこととなって、発光回路およびフラッシュランプに過度の負荷を与えることなく、フラッシュ光照射によって基板の表面を溶融させることができる。
本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 保持部を上面から見た平面図である。 保持部を側方から見た側面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 フラッシュランプの発光回路を示す図である。 複数のフラッシュランプの配置構成を示す図である。 半導体ウェハーの表面温度の変化を示す図である。 フラッシュランプの発光強度の波形を示す図である。 フラッシュ光照射時における半導体ウェハーの表面温度の変化を示す図である。 半導体ウェハーの表面温度が第2目標温度に到達した時刻における半導体ウェハーの深さ方向の温度分布である。 フラッシュランプの配置構成の他の例を示す図である。 フラッシュランプの配置構成の他の例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板としてφ300mmの円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、シャッター機構2と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、シャッター機構2、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス(N))を供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は窒素ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、窒素ガス供給源85から緩衝空間82に窒素ガスが送給される。緩衝空間82に流入した窒素ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、窒素ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。また、図3は保持部7を上面から見た平面図であり、図4は保持部7を側方から見た側面図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプター74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプター74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状の石英部材である。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。円環形状を有する基台リング71の上面に、その周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。なお、基台リング71の形状は、円環形状から一部が欠落した円弧状であっても良い。
平板状のサセプター74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。サセプター74は石英にて形成された略円形の平板状部材である。サセプター74の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、サセプター74は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。サセプター74の上面には複数個(本実施形態では5個)のガイドピン76が立設されている。5個のガイドピン76はサセプター74の外周円と同心円の周上に沿って設けられている。5個のガイドピン76を配置した円の径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。各ガイドピン76も石英にて形成されている。なお、ガイドピン76は、サセプター74と一体に石英のインゴットから加工するようにしても良いし、別途に加工したものをサセプター74に溶接等によって取り付けるようにしても良い。
基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプター74の周縁部の下面とが溶接によって固着される。すなわち、サセプター74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されており、保持部7は石英の一体成形部材となる。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、略円板形状のサセプター74は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプター74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。半導体ウェハーWは、5個のガイドピン76によって形成される円の内側に載置されることにより、水平方向の位置ずれが防止される。なお、ガイドピン76の個数は5個に限定されるものではなく、半導体ウェハーWの位置ずれを防止できる数であれば良い。
また、図2および図3に示すように、サセプター74には、上下に貫通して開口部78および切り欠き部77が形成されている。切り欠き部77は、熱電対を使用した接触式温度計130のプローブ先端部を通すために設けられている。一方、開口部78は、放射温度計120がサセプター74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。さらに、サセプター74には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプター74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプター74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
図8は、フラッシュランプFLの発光回路を示す図である。フラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサ93に接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)92と、該ガラス管92の外周面上に付設されたトリガー電極91とを備える。コンデンサ93には、電源ユニット95によって所定の電圧が印加され、その印加電圧(充電電圧)に応じた電荷が蓄積される。また、コンデンサ93とガラス管92の両端電極とを接続する回路にはコイル94が設けられている。
キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサ93に電荷が蓄積されてガラス管92の両端電極に高電圧が印加されたとしても、通常の状態ではガラス管92内に電気は流れない。しかしながら、トリガースイッチSWをON状態にしてトリガー電極91に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、両端電極間の放電によってコンデンサ93に蓄えられた電気がガラス管92内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。つまり、キセノンフラッシュランプFLの発光開始タイミングはトリガースイッチSWをOFF状態からON状態に切り換えるタイミングで定まる。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサ93に蓄えられていた静電エネルギーが0.05ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。なお、トリガースイッチSWとしては例えばサイリスター等の電気的なスイッチ素子を用いる。
ところで、本実施形態においては、30本のフラッシュランプFLが設けられており、それぞれのフラッシュランプFLについて図8の如き発光回路が1つ設けられている。フラッシュランプFLの発光時間はコンデンサ93のキャパシタンス(容量)およびコイル94のインダクタンスによって定まる。フラッシュランプFLから出射されるフラッシュ光のパルスの周期、すなわちフラッシュ光照射1回あたりのフラッシュランプFLの発光時間は、コンデンサ93の容量とコイル94のインダクタンスとの積の1/2乗に比例することが知られており、コンデンサ93の容量が大きくなるほど、またコイル94のインダクタンスが大きくなるほど、フラッシュランプFLの発光時間は長くなる。
本実施形態においては、コイル94のインダクタンスが異なる2種類の発光回路を使用しており、30本のフラッシュランプFLのそれぞれは2種のうちのいずれかの発光回路に接続されている。図9は、本実施形態における複数のフラッシュランプFLの配置構成を示す図である。図9に示すように、30本のフラッシュランプFLのそれぞれはショートパルス回路(第2発光回路)SPまたはロングパルス回路(第1発光回路)LPのいずれかに接続されている。ショートパルス回路SPおよびロングパルス回路LPは、いずれも図8の構成を有する発光回路であるが、コイル94のインダクタンスが異なる。ショートパルス回路SPのコイル94のインダクタンスは、ロングパルス回路LPのコイル94のインダクタンスよりも小さい。よって、ショートパルス回路SPにおけるコンデンサ93の容量とコイル94のインダクタンスとの積の1/2乗は、ロングパルス回路LPにおけるそれよりも小さい。このため、ショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1の発光時間は、ロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2(理解の容易のために図9にはハッチングを付している)の発光時間よりも短い。本実施形態では、ショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1の発光時間が0.1ミリ秒であり、ロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2の発光時間が3ミリ秒である。なお、コイル94のインダクタンスに代えて、または、それに加えてショートパルス回路SPおよびロングパルス回路LPにおけるコンデンサ93の容量を異ならせるようにしても良い。
ここで、本実施形態においては図9に示すように、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とが交互に一列に配列されている。すなわち、30本のフラッシュランプFL(フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とを特に区別して示す必要のないときは単に「フラッシュランプFL」と総称する)を15本ずつの2つのフラッシュランプ群に区分している。2つのフラッシュランプ群のうち、一方のフラッシュランプ群(第2フラッシュランプ群)をショートパルス回路SPに接続するとともに、他方のフラッシュランプ群(第1フラッシュランプ群)をロングパルス回路LPに接続し、第1フラッシュランプ群を構成するフラッシュランプFL2と第2フラッシュランプ群を構成するフラッシュランプFL1とを交互に配置しているのである。なお、図9では図示の便宜上、15本のフラッシュランプFL1が1つのショートパルス回路SPに接続され、15本のフラッシュランプFL2が1つのロングパルス回路LPに接続されているが、上述のように1つのフラッシュランプFLには1つの発光回路が設けられており、図9のショートパルス回路SPおよびロングパルス回路LPはそれぞれ15個の発光回路を包括して記載したものである。
また、図1のリフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射された光を保持部7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4の内部には複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLが内蔵されている。複数のハロゲンランプHLはチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行う。図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。本実施形態では、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも端部側の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、図1に示すように、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4およびチャンバー6の側方にシャッター機構2を備える。シャッター機構2は、シャッター板21およびスライド駆動機構22を備える。シャッター板21は、ハロゲン光に対して不透明な板であり、例えばチタン(Ti)にて形成されている。スライド駆動機構22は、シャッター板21を水平方向に沿ってスライド移動させ、ハロゲン加熱部4と保持部7との間の遮光位置にシャッター板21を挿脱する。スライド駆動機構22がシャッター板21を前進させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置(図1の二点鎖線位置)にシャッター板21が挿入され、下側チャンバー窓64と複数のハロゲンランプHLとが遮断される。これによって、複数のハロゲンランプHLから熱処理空間65の保持部7へと向かう光は遮光される。逆に、スライド駆動機構22がシャッター板21を後退させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置からシャッター板21が退出して下側チャンバー窓64の下方が開放される。
また、制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。また、制御部3は、図示省略のトリガー制御回路を制御することによって、所定のタイミングにてショートパルス回路SPおよびロングパルス回路LPのそれぞれのトリガースイッチSWをON状態とする。すなわち、制御部3は、ショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1およびロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2のそれぞれを所定のタイミングにて発光させる。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が導入されたシリコンの半導体基板である。その導入された不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介してイオン注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプター74の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプター74に受け渡されて水平姿勢に保持される。半導体ウェハーWは、イオン注入がなされた表面を上面としてサセプター74に保持される。また、半導体ウェハーWは、サセプター74の上面にて5個のガイドピン76の内側に保持される。サセプター74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが保持部7のサセプター74に載置されて保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプター74を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWの温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
図10は、半導体ウェハーWの表面温度の変化を示す図である。半導体ウェハーWが搬入されてサセプター74に載置された後、制御部3が時刻t0に40本のハロゲンランプHLを点灯させてハロゲン光照射によって半導体ウェハーWを800℃以下の予備加熱温度T1(本実施形態では500℃)にまで昇温している。
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が接触式温度計130によって測定されている。すなわち、熱電対を内蔵する接触式温度計130がサセプター74に保持された半導体ウェハーWの下面に切り欠き部77を介して接触して昇温中のウェハー温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、接触式温度計130による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御している。なお、ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWを昇温するときには、放射温度計120による温度測定は行わない。これは、ハロゲンランプHLから照射されるハロゲン光が放射温度計120に外乱光として入射し、正確な温度測定ができないためである。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、接触式温度計130によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時刻t1にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を制御して半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。さらに、チャンバー側部61に装着された反射リング69の内周面は鏡面とされているため、この反射リング69の内周面によって半導体ウェハーWの周縁部に向けて反射する光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一なものとすることができる。
次に、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時刻t2にフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射することによるフラッシュ加熱処理を実行する。なお、半導体ウェハーWの温度が室温から予備加熱温度T1に到達するまでの時間(時刻t0から時刻t1までの時間)および予備加熱温度T1に到達してからフラッシュランプFLが発光するまでの時間(時刻t1から時刻t2までの時間)はいずれも数秒程度である。フラッシュランプFLがフラッシュ光照射を行うに際しては、予め電源ユニット95によってコンデンサ93に電荷を蓄積しておく。そして、コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にて、制御部3の制御によってトリガースイッチSWがON状態となる。
図11は、フラッシュランプFL1およびフラッシュランプFL2の発光強度の時間波形(強度プロファイル)を示す図である。同図において、実線はロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2の発光強度を示し、点線はショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1の発光強度を示す。本実施形態においては、制御部3がまずロングパルス回路LPのトリガースイッチSWをON状態として時刻t21にフラッシュランプFL2の発光を開始させる。上述したように、フラッシュランプFL2の発光時間は、ロングパルス回路LPのコンデンサ93の容量とコイル94のインダクタンスとによって規定されており、本実施形態では3ミリ秒である。すなわち、フラッシュランプFL2は、時刻t21から時刻t24までの3ミリ秒間発光する。フラッシュランプFL2から出射されたフラッシュ光は、保持部7のサセプター74に載置された半導体ウェハーWの表面に照射される。
ここで、図9に示したように、相対的に発光時間の短いフラッシュランプFL1と発光時間の長いフラッシュランプFL2とが交互に一列に配列されている。すなわち、パルス幅(フラッシュ光のパルスの周期)の異なるフラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とが相互に隣接するように配置されている。このため、15本のフラッシュランプFL1により構成されるフラッシュランプ群から半導体ウェハーWの表面の全領域にフラッシュ光が照射されるとともに、15本のフラッシュランプFL2により構成されるフラッシュランプ群からも半導体ウェハーWの表面の全領域にフラッシュ光が照射される。
図12は、フラッシュ光照射時における半導体ウェハーWの表面温度の変化を示す図である。ロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2の発光時間は3ミリ秒である。このため、フラッシュランプFL2から半導体ウェハーWの表面には時刻t21から時刻24までの3ミリ秒の照射時間にてフラッシュ光が照射される。このフラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射によって、半導体ウェハーWの表面は予備加熱温度T1から第1目標温度(第1の温度)T2にまで昇温される。この第1目標温度T2は、フラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射による最高到達温度である。また、第1目標温度T2は、半導体ウェハーWの融点MP、つまりシリコンの融点(約1410℃)よりも低い。
次に、半導体ウェハーWの表面温度が第1目標温度T2に到達した時刻t22に、制御部3がショートパルス回路SPのトリガースイッチSWをON状態としてフラッシュランプFL1の発光を開始させる。フラッシュランプFL1の発光時間は、ショートパルス回路SPのコンデンサ93の容量とコイル94のインダクタンスとによって規定されており、本実施形態では0.1ミリ秒である。すなわち、フラッシュランプFL1は、時刻t22から時刻t23までの0.1ミリ秒間発光する。なお、フラッシュランプFL2が発光を開始する時刻t21からフラッシュランプFL1が発光を開始する時刻t22までの間隔は当然に3ミリ秒未満であり、フラッシュランプFL2によるフラッシュ光照射を行っている間に、ショートパルス回路SPがフラッシュランプFL1によるフラッシュ光照射を行う。フラッシュランプFL1から出射されたフラッシュ光もサセプター74に載置された半導体ウェハーWの表面に照射される。
ショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1の発光時間は0.1ミリ秒であるため、フラッシュランプFL1から半導体ウェハーWの表面には時刻t22から時刻23までの0.1ミリ秒の照射時間にてフラッシュ光が照射される。フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とは相互に隣接するように配置されているため、時刻t22から時刻t23の間は半導体ウェハーWの表面の全領域において、フラッシュランプFL1から照射されたフラッシュ光とフラッシュランプFL2から照射されたフラッシュ光とが相互に均一に重なり合う。これにより、半導体ウェハーWの表面は第1目標温度T2から第2目標温度(第2の温度)T3にまで昇温される。第2目標温度T3は、フラッシュランプFL1からのフラッシュ光照射による最高到達温度である。そして、第2目標温度T3は、半導体ウェハーWの融点MP以上である。
フラッシュランプFL1およびフラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面がシリコンの融点MP以上に昇温されることにより、半導体ウェハーWの表面が溶融する。このように半導体ウェハーWの表面が溶融することによって、当該表面に導入されていた不純物の活性化し、その活性化率は非常に高いものとなる。
ところで、シリコンの溶融は不純物が導入されている半導体ウェハーWの表面近傍のみに留めなければならない。図13は、半導体ウェハーWの表面温度が第2目標温度T3に到達した時刻t25における半導体ウェハーWの深さ方向の温度分布である。同図において、実線はロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射による温度分布を示し、点線はショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1からのフラッシュ光照射による温度分布を示す。同図に示すように、フラッシュランプFL2からの3ミリ秒のフラッシュ光照射によって、半導体ウェハーWの表面は第1目標温度T2にまで昇温されている。そして、第1目標温度T2にまで昇温された半導体ウェハーWの表面にフラッシュランプFL1から0.1ミリ秒のフラッシュ光照射を行うことによって当該表面は融点MP以上の第2目標温度T3にまで昇温される。
フラッシュランプFL1のフラッシュ光照射時間は0.1ミリ秒と極めて短いため、その熱影響は半導体ウェハーWの表面から極浅い領域に限定される。従って、図13に示すように、フラッシュランプFL1からのフラッシュ光照射によってシリコンの融点MP以上に加熱されるのは半導体ウェハーWの表面近傍の極めて浅い領域のみに留まる。融点MP以上に加熱される深さは不純物が導入されている深さと整合するようにフラッシュランプFL1の照射時間を制御するのが好ましい。
また、フラッシュランプFL2のフラッシュ光照射時間は3ミリ秒であり、フラッシュランプFL1の照射時間よりは長いものの、例えばハロゲンランプHLなどに比較すると極めて短い。よって、フラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射によっても半導体ウェハーWの深さ方向に均一に加熱されるものではなく、図13に示す如き温度分布を形成する。すなわち、フラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面は第1目標温度T2にまで昇温され、半導体ウェハーWの表面からの深さが深くなるにつれて温度が低下する。従って、フラッシュランプFL2からの3ミリ秒のフラッシュ光照射によっても、半導体ウェハーWの裏面近傍では予備加熱温度T1からほとんど昇温しない。
図11に戻り、時刻t23に制御部3がショートパルス回路SPのトリガースイッチSWをOFF状態としてフラッシュランプFL1の発光を停止させる。フラッシュランプFL1の発光が停止することにより、半導体ウェハーWの表面温度は第2目標温度T3からシリコンの融点MP以下にまで降温する。その結果、フラッシュランプFL1からのフラッシュ光照射によって溶融していた半導体ウェハーWの表面が凝固する。このとき、溶融したのは半導体ウェハーWの表面近傍の極めて浅い領域のみであり、その領域よりも下層はシリコン単結晶のままであるため、その単結晶が成長するように凝固が生じ、表面温度が融点MP以下にまで降温したときには半導体ウェハーWの全体が再び単結晶となる。
その後、時刻t24に制御部3がロングパルス回路LPのトリガースイッチSWをOFF状態としてフラッシュランプFL2の発光を停止させる。フラッシュランプFL2の発光が停止することにより、半導体ウェハーWの表面温度は第1目標温度T2からも急速に降温する。このようにしてフラッシュランプFL1およびフラッシュランプFL2の発光が停止することによって、フラッシュ加熱処理が終了する。なお、図10の時刻スケールは秒であるのに対して、図11の時刻スケールはミリ秒であるため、図11のt21からt24はいずれも図10ではt2に重ねて表示されるものである。
フラッシュランプFL2の発光が停止した後、所定時間が経過した時刻t3にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から降温を開始する。また、ハロゲンランプHLが消灯するのと同時に、シャッター機構2がシャッター板21をハロゲン加熱部4とチャンバー6との間の遮光位置に挿入する。ハロゲンランプHLが消灯しても、すぐにフィラメントや管壁の温度が低下するものではなく、暫時高温のフィラメントおよび管壁から輻射熱が放射され続け、これが半導体ウェハーWの降温を妨げる。シャッター板21が挿入されることによって、消灯直後のハロゲンランプHLから熱処理空間65に放射される輻射熱が遮断されることとなり、半導体ウェハーWの降温速度を高めることができる。
また、シャッター板21が遮光位置に挿入された時点で放射温度計120による温度測定を開始する。すなわち、保持部7に保持された半導体ウェハーWの下面からサセプター74の開口部78を介して放射された赤外光の強度を放射温度計120が測定して降温中の半導体ウェハーWの温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。
消灯直後の高温のハロゲンランプHLからは多少の放射光が放射され続けるのであるが、放射温度計120はシャッター板21が遮光位置に挿入されているときに半導体ウェハーWの温度測定を行うため、ハロゲンランプHLからチャンバー6内の熱処理空間65へと向かう放射光は遮光される。従って、放射温度計120は外乱光の影響を受けることなく、サセプター74に保持された半導体ウェハーWの温度を正確に測定することができる。
制御部3は、放射温度計120によって測定される半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプター74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプター74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
本実施形態においては、発光時間の異なる2種類の発光回路(ロングパルス回路LPおよびショートパルス回路SP)を設け、2段階のフラッシュ光照射を行っている。すなわち、まずはロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2から半導体ウェハーWの表面に3ミリ秒の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を融点MPよりは低い第1目標温度T2にまで昇温している。そして、第1目標温度T2にまでされた半導体ウェハーWの表面にショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1から0.1ミリ秒の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を融点MP以上の第2目標温度T3にまで昇温している。
このように2段階のフラッシュ光照射を行うことにより、発光回路(ロングパルス回路LPおよびショートパルス回路SP)およびフラッシュランプFL(フラッシュランプFL1およびフラッシュランプFL2)に過度の負荷を与えることなく、半導体ウェハーWの表面をシリコンの融点MP以上に昇温して溶融させることができる。これにより、半導体ウェハーWの表面に導入された不純物の活性化率を従来より向上させることができる。また、予備加熱温度T1を800℃以下にしつつ、照射時間の短いフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面を融点MP以上にまで加熱しているため、不純物の過度の拡散を抑制することができる。さらに、2段階のフラッシュ光照射を行うことにより、シリコンの融点MP以上にまで加熱されて溶融される領域は表面から極浅い領域に限定される。
また、2段階のフラッシュ光照射であれば、個々のフラッシュランプFLに過度の負担を与えず、フラッシュランプFLに与えるダメージも従来と比較して顕著に大きなものではないため、フラッシュランプFLの寿命の低下を防止することができる。さらに、1パルスの極めて短時間、かつ、強度の強いフラッシュ光を照射して半導体ウェハーWの表面を融点MP以上に加熱する場合と比較して、半導体ウェハーWに与えるダメージも少なく、ウェハー割れや膜の剥がれを抑制することができる。
このような2段階のフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面をシリコンの融点MP以上に昇温するフラッシュ加熱では、ロングパルス回路LPに接続されたフラッシュランプFL2からのフラッシュ光の照射時間を0.5ミリ秒以上15ミリ秒以下とする(本実施形態では3ミリ秒)。フラッシュランプFL2からの長パルスのフラッシュ光照射時間が0.5ミリ秒未満であると、照射時間が短すぎて半導体ウェハーWの表面に十分なエネルギーを与えることができず、表面を第1目標温度T2にまで昇温させることが困難となる。
一方、フラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射時間が15ミリ秒を超えると、フラッシュ光照射によって昇温した半導体ウェハーWの表面から裏面に向けての熱伝導により裏面温度も上昇することとなる。半導体ウェハーWの表面温度が上昇すると、その後の冷却工程における冷却速度が低下する。また、半導体ウェハーWの裏面にもデバイスを形成している場合には、その裏面デバイスに熱影響を与えることとなる。このような理由により、フラッシュランプFL2からの長パルスのフラッシュ光照射時間は0.5ミリ秒以上15ミリ秒以下とする。なお、φ300mmの半導体ウェハーW(厚さは0.775mm)であれば、フラッシュ光照射の瞬間から熱伝導によって表面温度と裏面温度とが等しくなるまでに要する時間が約15ミリ秒程度である。
また、ショートパルス回路SPに接続されたフラッシュランプFL1からのフラッシュ光の照射時間は0.05ミリ秒以上3ミリ秒未満とする(本実施形態では0.1ミリ秒)。フラッシュランプFL1からの短パルスのフラッシュ光照射時間が0.05ミリ秒未満であると、照射時間が短すぎて半導体ウェハーWの表面に十分なエネルギーを与えることができず、表面を融点MP以上の第2目標温度T3にまで昇温させることが困難となる。
一方、フラッシュランプFL1からのフラッシュ光照射時間が3ミリ秒を超えると、半導体ウェハーWの表面に過度にエネルギーが与えられることとなって、溶融領域が深くなり過ぎる。このような理由により、フラッシュランプFL1からの短パルスのフラッシュ光照射時間は0.05ミリ秒以上3ミリ秒未満とする。
フラッシュランプFLに与えるダメージをなるべく少なくして半導体ウェハーWの表面を融点MP以上に昇温するためには、フラッシュランプFL2からの長パルスのフラッシュ光照射によって表面を融点MP近くの第1目標温度T2にまで昇温するとともに、フラッシュランプFL1から短パルスのフラッシュ光照射の時間を短くするのが好ましい。このためには、短パルスのフラッシュランプFL1からのフラッシュ光照射時間を長パルスのフラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射時間に比較してなるべく短くする必要があり、5分の1以下とするのが好ましい。より望ましくは、フラッシュランプFL1からのフラッシュ光照射時間をフラッシュランプFL2からのフラッシュ光照射時間の10分の1以下とする(本実施形態では30分の1)。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、フラッシュランプFL2によるフラッシュ光照射を行っている間に、フラッシュランプFL1によるフラッシュ光照射を行うようにしていたが、フラッシュランプFL2によるフラッシュ光照射の後にフラッシュランプFL1によるフラッシュ光照射を行うようにしても良い。要するに、フラッシュランプFL2からの長パルスのフラッシュ光照射によって第1目標温度T2にまで昇温された半導体ウェハーWの表面にフラッシュランプFL1から短パルスのフラッシュ光照射を行うようにすれば良い。
また、複数のフラッシュランプFLの配置態様は図9の例に限定されるものではない。図14は、複数のフラッシュランプFLの配置構成の他の例を示す図である。図14の例においては、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とが井桁状に交差して配列されている。すなわち、複数のフラッシュランプFLを同数の2つのフラッシュランプ群に区分し、そのうちの一方のフラッシュランプ群(第2フラッシュランプ群)をショートパルス回路SPに接続するとともに、他方のフラッシュランプ群(第1フラッシュランプ群)をロングパルス回路LPに接続する。第1フラッシュランプ群を構成するフラッシュランプFL2は水平方向に沿って互いに平行となるように平面状に配列されている。また、第2フラッシュランプ群を構成するフラッシュランプFL1も水平方向に沿って互いに平行となるように平面状に配列されいる。そして、第1フラッシュランプ群の配列面と第2フラッシュランプ群の配列面とを、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とが井桁状に交差するように重ねるて配置するのである。なお、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2との配列の上下関係はいずれが上であっても良い。
このようにしても、複数のフラッシュランプFL1から半導体ウェハーWの表面の全領域にフラッシュ光が照射されるとともに、複数のフラッシュランプFL2からも半導体ウェハーWの表面の全領域にフラッシュ光が照射される。このため、上記実施形態と同様の処理を行って同様の効果を奏することができる。
また、複数のフラッシュランプFLの配置態様は図15のようにしても良い。図9および図14ではフラッシュランプFLを円筒状のガラス管92を備えた棒状ランプとしていたが、図15の例においてはフラッシュランプFLを点光源ランプ(例えば球状ランプ)としている。点光源ランプである複数のフラッシュランプFLを同数の2つのフラッシュランプ群に区分し、そのうちの一方のフラッシュランプ群(第2フラッシュランプ群)をショートパルス回路SPに接続するとともに、他方のフラッシュランプ群(第1フラッシュランプ群)をロングパルス回路LPに接続している。そして、図15の配置構成においては、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とを縦方向および横方向の双方について交互に配列している。すなわち、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とを市松模様に配列しているのである。
このようにしても、複数のフラッシュランプFL1から半導体ウェハーWの表面の全領域にフラッシュ光が照射されるとともに、複数のフラッシュランプFL2からも半導体ウェハーWの表面の全領域にフラッシュ光が照射される。このため、上記実施形態と同様の処理を行って同様の効果を奏することができる。
また、フラッシュランプFLの配列態様は図9,14,15のパターンに限定されるものではなく、種々のパターンを採用することが可能である。但し、短パルスのフラッシュランプFL1または長パルスのフラッシュランプFL2が偏在する配置(例えば、図9において紙面右側半分にフラッシュランプFL1のみを配置し、左側半分にフラッシュランプFL2のみを配置)とすると、それぞれからのフラッシュ光が半導体ウェハーWの表面の全領域に均一に照射されないこととなる。このため、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とを均等な密度で配置した図9,14,15の如きランプ配置とする方が好ましい。
また、上記実施形態においては、フラッシュランプFL1とフラッシュランプFL2とを同数としていたが、これに限定されるものではなく、いずれかの数が多くても良い。すなわち、複数のフラッシュランプのうちの一部にて構成される第2フラッシュランプ群をショートパルス回路SPに接続するとともに、残部にて構成される第1フラッシュランプ群をロングパルス回路LPに接続する構成であれば良い。
また、ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWの予備加熱温度T1を1000℃以上とするのであれば、短パルスの1段階のフラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの表面をシリコンの融点MP以上に昇温することもできる。もっとも、上記実施形態のように不純物活性化のためのフラッシュ加熱を行う場合には、予備加熱段階で半導体ウェハーWを1000℃以上にまで加熱すると不純物が拡散するため、このような手法は適さない。しかし、例えばガラス基板上のシリコン再結晶の目的でフラッシュ加熱を行うような場合であれば、かかる手法によってシリコンを溶融させて再結晶させることができる。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、上記実施形態においては、ハロゲンランプHLからのハロゲン光照射によって半導体ウェハーWを予備加熱するようにしていたが、予備加熱の手法はこれに限定されるものではなく、ホットプレートに載置することによって半導体ウェハーWを予備加熱するようにしても良い。
また、本発明に係る熱処理装置によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。特に、ガラス基板上に形成されたシリコンの膜を再結晶させるのに、本発明に係る技術を好適に用いて結晶性を向上させることができる。
1 熱処理装置
2 シャッター機構
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
65 熱処理空間
FL,FL1,FL2 フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
LP ロングパルス回路
SP ショートパルス回路
W 半導体ウェハー

Claims (12)

  1. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    基板の表面にフラッシュ光を第1の照射時間にて照射して当該表面を基板の融点よりも低い第1の温度に昇温する第1フラッシュ工程と、
    前記第1の温度に昇温された前記表面にフラッシュ光を第2の照射時間にて照射して当該表面を前記融点以上の第2の温度に昇温する第2フラッシュ工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  2. 請求項1記載の熱処理方法において、
    前記第1フラッシュ工程でのフラッシュ光照射を行っている間に、前記第2フラッシュ工程によるフラッシュ光照射を行うことを特徴とする熱処理方法。
  3. 請求項2記載の熱処理方法において、
    前記第1の照射時間は、0.5ミリ秒以上15ミリ秒以下であり、
    前記第2の照射時間は、0.05ミリ秒以上3ミリ秒以下であることを特徴とする熱処理方法。
  4. 請求項3記載の熱処理方法において、
    前記第2の照射時間は前記第1の照射時間の5分の1以下であることを特徴とする熱処理方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記第1フラッシュ工程の前に、基板を前記第1の温度よりも低い予備加熱温度に加熱する予備加熱工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記基板は表面に不純物が導入されたシリコンの半導体ウェハーであり、
    当該表面をシリコンの融点以上に昇温することによって前記不純物の活性化を行うことを特徴とする熱処理方法。
  7. 基板にフラッシュ光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、
    フラッシュ光を出射する複数のフラッシュランプを有する第1フラッシュランプ群と、
    フラッシュ光を出射する複数のフラッシュランプを有する第2フラッシュランプ群と、
    前記保持手段に保持された基板の表面に前記第1フラッシュランプ群から第1の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を基板の融点よりも低い第1の温度に昇温させる第1発光回路と、
    前記第1の温度に昇温された前記表面に前記第2フラッシュランプ群から第2の照射時間にてフラッシュ光を照射して当該表面を前記融点以上の第2の温度に昇温させる第2発光回路と、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  8. 請求項7記載の熱処理装置において、
    前記第1フラッシュランプ群によるフラッシュ光照射を行っている間に、前記第2発光回路が前記第2フラッシュランプ群によるフラッシュ光照射を行うことを特徴とする熱処理装置。
  9. 請求項8記載の熱処理装置において、
    前記第1の照射時間は、0.5ミリ秒以上15ミリ秒以下であり、
    前記第2の照射時間は、0.05ミリ秒以上3ミリ秒以下であることを特徴とする熱処理装置。
  10. 請求項9記載の熱処理装置において、
    前記第2の照射時間は前記第1の照射時間の5分の1以下であることを特徴とする熱処理装置。
  11. 請求項7から請求項10のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記保持手段に保持された基板にフラッシュ光を照射する前に、当該基板を前記第1の温度よりも低い予備加熱温度に加熱する予備加熱手段をさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
  12. 請求項7から請求項11のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記基板は表面に不純物が導入されたシリコンの半導体ウェハーであり、
    当該表面をシリコンの融点以上に昇温することによって前記不純物の活性化を行うことを特徴とする熱処理装置。
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