JP2014047829A - 圧力緩衝装置およびバルブ部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液体を収容するシリンダ部と、シリンダ部内の空間を、オイルを収容する第1油室と第2油室とに区画するピストンバルブと、ピストンバルブに接続するとともに、シリンダ部の軸方向において移動するピストンロッドと、第1油室と第2油室との間における液体の流路を形成するピストンナット43(円筒部433)と、ピストンナット43の流路内におけるオイルの圧力に応じて変形または変位し、流路を開閉するフロートバルブ52とを備える。そして、流路部材に対するフロートバルブ52は、突出部52Pおよび凹部52Nを有することにより、位置が調整された状態でピストンナット43(円筒部433)との間に隙間を形成する。
【選択図】図4
Description
例えば、特許文献1には、低周波数域で減衰力を高く高周波域で減衰力を低くするように減衰力調整機構を備えた圧力緩衝装置が提案されている。そして、特許文献1の減衰力調整構造においては、変位および変形可能なバルブ部材を液体の流れの流路に設けることによって圧力室を構成し減衰力の調整を図っている。
本発明は、バルブ部材のシール性能の低下を抑制しながら、バルブ部材周辺の異物を排出し易くすることを目的とする。
また、バルブ部材は、外周において更に外側に向けて突出する突出部を備え、突出部によって、流路部材に対する位置が調整された状態で、流路部材との間に隙間を形成することを特徴とすることができる。
そして、第1液室から第2液室側へのバイパス路と、バイパス路に設けられ流路を絞る絞り部材を介して連通する圧力室とを備え、バルブ部材は、変形または変位することにより圧力室内の容積を変化させることを特徴とすることができる。
図1は、本実施形態の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
図2は、油圧緩衝装置1を詳細に説明するための図である。
圧力緩衝装置の一例としての油圧緩衝装置1は、図1に示すように、周波数応答型のサスペンションの一部を構成する複筒型式油圧緩衝装置である。そして、油圧緩衝装置1は、シリンダ部10と、ロッド部材の一例としてのピストンロッド20と、区画部材の一例としてのピストンバルブ30と、減衰力調整部40と、ボトムバルブ60と、を備えている。
シリンダ部10は、薄肉円筒状の外シリンダ11と、外シリンダ11内に収容される薄肉円筒状の内シリンダ12と、円筒状の外シリンダ11の円筒の軸方向(図1では上下方向)の一方の端部を塞ぐ底蓋13とを備えている。なお、以下では、外シリンダ11の円筒の中心軸方向を、単に「軸方向」と称す。
ピストンロッド20は、軸方向に延びるとともに軸方向の一方の端部(図1では下端部)でピストンバルブ30および減衰力調整部40に接続する。
ピストンロッド20は、中実または中空の棒状の部材であり、円柱状または円筒状のロッド部21と、軸方向の一方の端部にピストンバルブ30や減衰力調整部40などを取り付けるための一方側取付部22aと、軸方向の他方の端部にこのピストンロッド20を車体などへ取り付けるための他方側取付部22bと、を有している。一方側取付部22aおよび他方側取付部22bの端部の外面には螺旋状の溝が切られて雄ねじが形成されており、ボルトとして機能する。
ピストンバルブ30は、図2(a)に示すように、ピストン31と、ピストン31に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の一方の端部を塞ぐ第1バルブ群321と、ピストン31に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の他方の端部を塞ぐ第2バルブ群322と、を備えている。また、ピストンバルブ30は、第1バルブストッパ351、第2バルブストッパ352および第3バルブストッパ353を備えている。
そして、第1バルブストッパ351および第2バルブストッパ352は、取付孔351Rに一方側取付部22aが嵌め込まれ、ピストン31との間に第2バルブ群322を挟み込む。また、第1バルブストッパ351の連通孔351Hは、軸方向の一方側が第2油室Y2に対して開口し、他方側が第2バルブストッパ352の内側に位置するピストンロッド20に形成されるバイパス路25に臨む。
そして、第3バルブストッパ353は、取付孔353Rに一方側取付部22aが嵌め込まれ、ピストン31との間に第1バルブ群321を挟み込む。また、第3バルブストッパ353の凹部353aは、バイパス路25に連通する空間である吐出通路36を形成する。
図2(a)に示すように、減衰力調整部40は、減衰力可変バルブ41と、絞り部材の一例としてのオリフィス42と、流路部材の一例としてのピストンナット43と、スプール44と、支持バネ46とを有する。さらに、減衰力調整部40は、エンドキャップ51と、バルブ部材の一例としてのフロートバルブ52と、圧力調整室スプリング53とを有する。
なお、本実施形態では、スリット42Sは周方向において1箇所以上に設けている。ただし、スリット42Sの数、長さ、スリット幅などは仕様に応じて適宜設定できる。
円柱状部431は、軸方向に伸びピストンロッド20の一方側取付部22aが嵌め込まれる貫通孔であるボルト孔43Rと、ボルト孔43Rに隣接し軸方向に環状突出部432側から円筒部433まで貫通して形成される連絡通路43Hを有している。なお、本実施形態では、連絡通路43Hは、ピストンナット43の周方向において複数設けられている。
なお、ピストンロッド20のバイパス路25、圧力室47、連絡通路43H、円筒部433(圧力調整室55)、エンドキャップ51の貫通孔51H(後述)によって、第2油室Y2と第1油室Y1との間に一つのオイルの流路が形成される。この流路においては、後述するように、ピストンバルブ30の動作に応じてオイルが流れる。
また、スプール44の上端部44aは、軸方向の一端側にて減衰力可変バルブ41に接触可能に形成されるとともに、他端側にて後述する支持バネ46に接触するように形成される。そして、スプール44は、後述する支持バネ46によりピストンナット43に向けて付勢され、減衰力可変バルブ41をピストンナット43の端部に押し付ける。
そして、図2(a)に示すように、スプール44の上端部44aと、ピストンナット43の環状突出部432と、減衰力可変バルブ41とによって囲まれた空間によって、圧力室47を形成する。
エンドキャップ51は、図3に示すように、円柱形状を有する部材である。エンドキャップ51は、側面部511と、一方側端部512と、他方側端部513とを備える。
エンドキャップ51の側面部511の外径は、ピストンナット43の円筒部433の内径と同程度に設定される。そして、エンドキャップ51は、ピストンナット43の円筒部433の内側に嵌め込まれる。この際に、側面部511の外周に形成されるネジ(不図示)と、円筒部433の内周に形成されるネジ(不図示)とが嵌め合わされて固定される。
環状部51Cは、後述する圧力調整室スプリング53との間に、フロートバルブ52の外縁を挟み込む。また、変形規制部51Gは、後述するように、フロートバルブ52が撓み変形した際に、その変形量を所定範囲で許容するための間隔を形成する。
さらに、エンドキャップ51は、他方側端部513から一方側端部512に向けて貫通する貫通孔51Hを備えている。この貫通孔51Hは、一方側が圧力調整室55と連通し、他方側が第1油室Y1に臨む(図2(a)参照)。
以上のように、フロートバルブ52は、伸張行程時や圧縮行程時において、変形または変位することで、圧力調整室55の容積を変化させる。また、エンドキャップ51の貫通孔51Hを塞ぐことによって圧力調整室55と第1油室Y1側とのオイルの流れを遮断したり、開放したりする。
フロートバルブ52がピストンナット43に設けられた状態で、凹部52Nにおける外周と円筒部433の内周との隙間(以下、凹部隙間W1)の距離は、突出部52Pにおける外周と円筒部433の内周との隙間(以下、突出部隙間W2)の距離と比較して長くなる。
図4(a)に示すように、凹部52Nは、フロートバルブ52の中心と円筒部433の円筒中心との位置が一致している状態において、凹部隙間W1が例えば0.7mmになるようにしている。この凹部隙間W1の距離は、後述するように例えばオイル内に混入している異物(コンタミネーション)が通過可能な距離に基づいて設定している。
そして、突出部52Pは、円筒部433に対してフロートバルブ52が偏心した状態において、円筒部433に接していないフロートバルブ52の部分における凹部隙間W1が、一定の距離を保つようにしている。この一定の距離は、フロートバルブ52の凹部52Nの一部が、環状部51Cの内側(中心軸側)に落ち込まない距離に基づいて設定している。このように、突出部52Pによって、フロートバルブ52のピストンナット43に対する最大偏心量を調整する。そして、突出部52Pは、フロートバルブ52が円筒部433に対して偏心した場合に、エンドキャップ51の他方側端部513における閉塞(シール)性能を維持できるように機能する。
以上のように、本実施形態では、ピストンナット43(円筒部433)に対するフロートバルブ52の位置が調整された状態で、フロートバルブ52とピストンナット43との間に所定距離の隙間(凹部隙間W1)が形成されるようにしている。
なお、本実施形態では、フロートバルブ52を円形状とし、複数の突出部52Pを周方向に等間隔に配置することによって、フロートバルブ52が円筒部433の径方向における変位の際の偏った接触や、フロートバルブ52の不均一形状である場合に生じ得る変形の際の応力集中による負荷などによって、フロートバルブ52の耐久性が低下することを防止している。
そして、圧力調整室スプリング53は、上向きばね脚53bをピストンナット43の円筒部433の端部面に対向して取り付けられ、下向きばね脚53cによりフロートバルブ52をエンドキャップ51の環状部51Cに向けて押し付けるように支持する。
図1に示すように、ボトムバルブ60は、軸方向に形成された複数の油路を有するバルブボディ61と、バルブボディ61に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の一方の端部を塞ぐ第1バルブ621と、バルブボディ61に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の他方の端部を塞ぐ第2バルブ622、これらの部材を固定するボルト60Bとを備えている。
円盤状部63には、ボルト60Bの軸部を通すために軸方向に形成されたボルト孔65Rと、ボルト孔65Rよりも半径方向の外側の部位に軸方向に形成された第1油路661と、第1油路661よりも半径方向の外側の部位に軸方向に形成された第2油路662とが形成されている。第1油路661および第2油路662は、円周方向に等間隔に複数(本実施形態においては4つ)形成されており、第1油室Y1とリザーバ室Rとを連通する連通路として機能する。
円筒状部64は、軸方向の一方の端部側に端面から凹んだ凹部64aを、円周方向に等間隔に複数(本実施形態においては4つ)有している。この凹部64aにより、円筒状部64の内部とリザーバ室Rとを連通している。
第2バルブ622は、ボルト60Bの軸部を通すボルト孔が形成された円盤状の部材である。そして、第2バルブ622の外径は、第2油路662を塞ぐ大きさに設定されている。また、第2バルブには、半径方向の中心から見た場合の第1油路661に対応する位置に、円周方向に等間隔に複数(本実施形態においては9つ)の油孔が形成されている。
はじめに、圧縮行程時および伸張行程時におけるピストンバルブ30とボトムバルブ60の動作について説明する。
図5は、圧縮行程時のオイルの流れを示す図である。
図5に示すように、ピストン31が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の一方の端部側(図5においては下方)へ移動すると、ピストン31の移動で第1油室Y1内のオイルは押され、ピストンバルブ30下側の圧力は上昇し、ピストンバルブ30の第2油路342に高圧が作用する。その結果、この第2油路342を塞ぐ第2バルブ群322が開き、オイルは図5の矢印Aに示すように第2油路342を通ってピストンバルブ30の上方の第2油室Y2に流入する。この第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れは、第2バルブ群322および第2油路342で絞られ、油圧緩衝装置1の圧縮行程時における減衰力を得る。
図6に示すように、ピストン31が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の他方の端部側(図6においては上方)へ移動すると、その体積分のオイルが第1油室Y1に不足することにより負圧となる。これにより、第2油室Y2内のオイルがピストンバルブ30の第1油路341を通り、この第1油路341を閉塞する第1バルブ群321を開き、図6の矢印Cのように、第1油室Y1に流入する。この第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れは、ピストンバルブ30の第1バルブ群321および第1油路341で絞られ、油圧緩衝装置1の伸張行程時における減衰力を得る。
伸張行程において、ピストン31(図6参照)の移動が低周波大振幅の領域では、第2油室Y2(図6参照)のオイルの圧力はオリフィス42で絞られることなく、速やかに圧力室47へ伝達される。そのため、圧力室47のオイルの圧力は第2油室Y2と同圧となる。その結果、減衰力調整部40における減衰力可変バルブ41は閉じたままとなる。
また、圧力調整室55が連絡通路43Hを介して圧力室47と連通している。従って、フロートバルブ52は押し込まれ、圧力調整室55も圧力室47と同圧になって、圧力室47の液圧低下を生じさせない。
そして、フロートバルブ52の弾性撓み部52Fが変形規制部51Gに接触すると、急速に圧力室47の液圧が上昇し、第2油室Y2と圧力室47との圧力差が解消されると、スプール44が支持バネ46に押されて減衰力可変バルブ41が閉じる。最終的には、ピストンバルブ30を介するオイルの移動経路のみとなり、油圧緩衝装置1の減衰力が高くなる。
圧縮行程時においては、圧力調整室55の圧力に対して第1油室Y1の圧力が高くなる。そうすると、エンドキャップ51に設けられる貫通孔51Hを通って、圧力調整室55内に第1油室Y1からオイルが流入する。このとき、フロートバルブ52は、圧力調整室スプリング53に抗して、エンドキャップ51の変形規制部51Gから離れる。
そして、第1油室Y1から流入したオイルは、貫通孔51H、ピストンナット43の円筒部433(圧力調整室55)、連絡通路43Hを流路として、第2油室Y2側に向けて流れようとする。
図9は、他の例の減衰力調整部40を説明するための図である。
図9(a)に示すように、他の例の減衰力調整部40では、ピストンナット43の円筒部433の内周面に、中心に向けて突出する突出部433Pと、突出部433Pが形成されずに凹んだ部分を構成する凹部433Nとを備える。この突出部433Pは、図9(b)に示すように、円筒部433の内周において複数箇所(この例では4箇所)に設ける。また、複数の突出部433Pは、周方向において等間隔に配置する。さらに、円筒部433の周方向において、隣り合う突出部433Pの間に凹部433Nが位置する。
また、他の例においては、フロートバルブ52は、突出部52P(凹部52N)が形成されず円形状をしている。そして、フロートバルブ52は、ピストンナット43の円筒部433の内側に収容される。
図9(b)に示すように、凹部433Nは、フロートバルブ52の中心と円筒部433の円筒中心との位置が一致している状態で、凹部隙間W3が例えば0.7mmになるようにしている。この凹部隙間W3の距離は、異物が通過可能な距離に基づいて設定している。
そして、突出部433Pは、円筒部433に対してフロートバルブ52が偏心した状態において、円筒部433に接していないフロートバルブ52の部分における凹部隙間W3が、一定の距離を保つようにしている。この一定の距離は、フロートバルブ52の一部が、エンドキャップ51の環状部51Cの内側(中心軸側)に落ち込まない距離に基づいて設定している。このように、突出部433Pによって、フロートバルブ52の円筒部433に対する最大偏心量を調整する。そして、突出部433Pは、フロートバルブ52が円筒部433に対して偏心した場合に、エンドキャップ51の他方側端部513における閉塞(シール)性能を維持できるように機能する。
ここで、突出部433Pおよび凹部433Nによって、フロートバルブ52と円筒部433との間に凹部隙間W3を形成する。従って、エンドキャップ51との間に入り込んだ異物は、この凹部隙間W3を通って、圧力室47側へと排出される。
Claims (5)
- 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内の空間を、液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、
前記区画部材に接続するとともに、前記シリンダの軸方向において移動するロッド部材と、
前記第1液室と前記第2液室との間における液体の流路を形成する流路部材と、
前記流路部材の前記流路内における液体の圧力に応じて変形または変位し、当該流路を開閉するバルブ部材と、を備え、
前記流路部材に対する前記バルブ部材の位置が調整された状態で、当該バルブ部材と当該流路部材との間に隙間が形成されることを特徴とする圧力緩衝装置。 - 前記流路部材の内周と前記バルブ部材の外周との間隔が第1の距離に形成された部分によって前記隙間を形成し、
前記間隔が前記第1の距離よりも小さい第2の距離に形成された部分によって前記位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の圧力緩衝装置。 - 前記バルブ部材は、外周において更に外側に向けて突出する突出部を備え、当該突出部によって、前記流路部材に対する位置が調整された状態で、当該流路部材との間に隙間を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力緩衝装置。
- 前記第1液室から前記第2液室側へのバイパス路と、当該バイパス路に設けられ流路を絞る絞り部材を介して連通する圧力室とを備え、
前記バルブ部材は、変形または変位することにより前記圧力室内の容積を変化させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧力緩衝装置。 - 圧力緩衝装置のシリンダにおいて区画された第1液室と第2液室との間の液体の流路に設けられ、当該流路における液体の流れを閉塞または開放するバルブ部材であって、
中央に設けられて液体の圧力を受けて変形する変形部と、
前記変形部の外周に設けられ、当該外周において更に外側に向けて突出する突出部と、
を備えることを特徴とするバルブ部材。
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