JP2014047510A - 構造体 - Google Patents

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Hideo Nakajima
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【課題】軸力を受ける構造体の圧縮靭性を向上させ、建物の地震に対する耐力および靭性能を向上させることを目的としている。
【解決手段】軸力を受ける構造体101であって、コンクリート造の躯体2の表面に樹脂製の補強塗膜3が被覆されてなり、前記補強塗膜3が、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、軸力を受ける構造体に関する。
柱等の耐震要素が層状に連なる部分の下層部に位置する構造体は、高軸力を受けるが、このような構造体は、地震時に高い軸圧縮力及び繰り返しのせん断力を受けるため、コンクリートが圧壊して脆性的な破壊が生じるおそれがある。このように上記した構造体が脆性破壊されると、上層部に位置する耐震要素の機能が発揮することができず、建物の地震に対する耐力が失われる。そこで、従来、高軸力を受ける構造体の脆性的な破壊を防止するために、例えば下記特許文献1に示されているように、鉄筋コンクリート造の柱(RC柱)の中に埋設される柱状のコア部材が提案されている。
特開平3−81442号公報
しかしながら、上記した従来の技術は、柱状のコア部材を埋設できる程度の断面積を有する柱等には適用することができるが、例えば連層耐震壁などのような、柱等に比べて厚さが薄い構造体の場合には、柱状のコア部材を配設することが難しいため適用することができない。また、上記した従来の技術は、スパイラル筋の内側にコンクリートを充填してなるプレキャストコア部材を用意し、そのプレキャストコア部材をRC柱のコンクリート打設前に柱内にセットする必要があるため、コストが嵩むと共に施工が非常に煩雑である。さらに、上記した従来の技術では、既存の構造体に対して適用することはできない。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、軸力を受ける構造体の圧縮靭性を向上させ、建物の地震に対する耐力および靭性能を向上させることを目的としている。
本発明に係る構造体は、軸力を受ける構造体であって、コンクリート造の躯体の表面に樹脂製の補強塗膜が被覆されてなり、前記補強塗膜は、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなることを特徴としている。
本発明では、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなる補強塗膜が、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性(強度、伸び)に優れた合成樹脂であり、例えば10〜25MPa程度の高強度と例えば200%以上の大きな破断伸び(伸び変形性能)を有する。このため、躯体の変形が塑性域に達しても、補強塗膜が躯体の大変形に追従して伸び変形するので、補強塗膜によって躯体の変形に応じたエネルギー吸収性能が発揮される。したがって、高い軸圧縮力及び曲げ応力に対応することが可能な構造体を設けることができる。
仮に、高軸圧縮力及び曲げ応力を受けることにより躯体の変形が塑性域に達してコンクリートが破壊されても、補強塗膜は伸びることはあっても破断せず、補強塗膜によって躯体の表面が被覆された状態が維持される。これにより、躯体のコンクリート片の散逸が防止され、また、躯体が転倒したり崩壊したりせずに自立した形状が保持される。例えば、躯体が耐震壁の場合において、大地震時に高軸圧縮力及び曲げ応力を受けることによって破壊が生じたコンクリート片が散乱して避難の障害となったり、そのコンクリート片が周囲に飛散したりするといった被害の増大を防止することができる。
しかも、補強塗膜は変形抵抗を有しているので、地震時に軸力を受ける構造体の躯体が撓み変形したときに、補強塗膜の変形抵抗力によって躯体を元の形状に戻す力が働く。その結果、躯体は、一旦大きく撓み変形した後に若干戻され、最終的な変形量が小さく抑えられる。
また、本発明の構造体によれば、躯体に補強塗膜を吹き付けや塗布することによって形成されるので、従来技術のように柱状のコア部材をRC柱内に埋設する場合に比べて、容易に且つ安価に施工することができ、既設の躯体においても容易に施工できる。
また、本発明に係る構造体は、前記補強塗膜は、前記躯体のうち2面以上に設けられていることが好ましい。
これにより、躯体の2面以上が補強塗膜によって包み込まれた状態となり、その効果(ラッピング効果)により、上記した形状保持がより効果的に発揮される。
本発明に係る構造体によれば、軸力を受ける構造体の圧縮靭性を向上させることができ、それにより、建物の地震に対する耐力および靭性能を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態による構造体を具備する建物の概略構成を示す断面図である。 図1に示すA−A間の断面図である。 図2に示すB−B間の断面図である。 本発明の第2の実施の形態による構造体を具備する建物の概略構成を示す平面図である。 図4に示すC−C間の断面図である。 ポリウレア樹脂の力学的特性を示すためのグラフであり、各材料の応力ひずみ関係を示すグラフである。 躯体の一部分を拡大した断面図である。 実施例1による試験結果を示す図である。 実施例2による試験結果を示す図である。 実施例3による試験結果を示す図である。 本発明の変形例を説明するための柱の斜視図であり、(a)は柱の一部に補強塗膜が設けられた構成を示し、(b)は柱全体に補強塗膜が設けられた構成を示している。
以下、本発明に係る構造体の実施の形態について、図面に基いて説明する。
[第1の実施の形態]
図1から図3を参照して、本発明に係る構造体の第1の実施の形態の構成を説明する。
図1及び図2に示す建物100は、柱5と梁7とを備える鉄筋コンクリート造の構造体であり、特に、その(平面視における)中央位置に鉄筋コンクリート造のコア101を有する超高層ビルである。このコア101は、平面視矩形の略筒状の形状を呈しており、建物10の平面視における中央領域に位置し、建物100の基礎部102から建物100の最上階まで立設されている。また、建物100の各階のスラブ103は、コア101にそれぞれ接合されており、建物100の荷重は、コア101で支持されている。また、コア101の内側にも、各階毎にスラブ104が設けられており、各スラブ104は、コア101で支持されている。
上記したコア101(構造体)は、高軸力を受ける構造体であり、コア壁1とコア柱4とコア梁6とによって構成されている。コア壁1は、地震時に建物100に入力される水平力を支持する耐震壁である。ただし、コア壁1の厚さは、コア柱4の柱幅及びコア梁6の梁幅と同じであるため、コア壁1、コア柱4及びコア梁6は外観上区別することができない。
図3は、上記したコア101の縦断面を示している。なお、図3では図面を簡略化するために鉄筋の図示を省略している。
図3に示すように、下層階のコア101のコンクリート造の躯体2の表面には、樹脂製の補強塗膜3が被覆されている。この補強塗膜3は、コア101の躯体2の両側の面に、つまり、コア101の内部側の面2a及び外部側(居室側)の面2bにそれぞれ設けられている。また、補強塗膜3の上端部はスラブ103,104の下面に沿って屈曲した形状となっており、補強塗膜3の上端部はスラブ103,104の下面まで延びている。また、補強塗膜3の下端部はスラブ103,104の上面に沿って屈曲した形状となっており、補強塗膜3の下端部はスラブ103,104の上面まで延びている。さらに、補強塗膜3は、矩形筒状のコア101の外周面及び内周面において、コア101の全周に亘って設けられている。
[第2の実施の形態]
図4及び図5を参照して、本発明に係る構造体の第2の実施の形態の構成を説明する。
図4に示す建物200は、鉄筋コンクリート造の建築物であり、柱201及び梁202(図5に示す)からなるラーメン構造で構成されている。また、この建物200には、各階にそれぞれ、複数のスラブ203と連層耐震壁10(構造体)とが設けられている。連層耐震壁10は、最下階から最上階にかけて鉛直方向に連設されている耐震壁であり、高軸力を受ける構造体である。連層耐震壁10は建物200の短手方向に隣り合う柱201、201間に配設されており、それらの柱201、201に連層耐震壁10の両側端がそれぞれ接合されている。
図5は、上記した建物200の連層耐震壁10廻りの縦断面を示している。なお、図5では図面を簡略化するために鉄筋の図示を省略している。
図5に示すように、下層階の連層耐震壁10のコンクリート造の躯体20の表面には、樹脂製の補強塗膜30が被覆されている。この補強塗膜30は、連層耐震壁10の躯体20の両側の面にそれぞれ設けられている。また、補強塗膜30の上端部は、まず梁202の下面に沿って横向き屈曲した後、梁202の側面に沿って上向きに屈曲し、最後にさらにスラブ203の下面に沿って横向きに屈曲した形状となっており、補強塗膜30の上端部は梁202の表面を経てスラブ203の下面まで延びている。つまり、補強塗膜30によって梁202の下面及び両側の側面がそれぞれ被覆されている。また、補強塗膜30の下端部はスラブ203の上面に沿って屈曲した形状となっており、補強塗膜30の下端部はスラブ203の上面まで延びている。さらに、補強塗膜30は、当該連層耐震壁10の両側にある柱201,201の表面にまで延びており、好ましくは当該柱201,201の全周に亘って設けられている。
[補強塗膜]
上記した補強塗膜3,30は、躯体2,20の表面に吹き付けやローラーなどで塗布される樹脂製の塗膜であって、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤との化学反応により形成された化合物からなる。例えば、補強塗膜3,30としては、イソシアネートとアミンとの化学反応により形成された化合物であるポリウレア樹脂を用いることができる。
補強塗膜3,30は、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性(強度、伸び)に優れた合成樹脂からなり、例えばポリウレア樹脂の場合は、図6に示す応力ひずみ特性を有する。補強塗膜3,30を構成する合成樹脂としては、例えば引張強度が鉄筋の十分の一程度の20MPa程度(10〜25MPa)であって、破断伸びが200%以上の物性を有する樹脂からなる。ポリウレア樹脂としては、例えば「スワエールAR−100(登録商標:三井化学産資株式会社製)」が用いられる。なお、補強塗膜3,30の厚さ寸法Dは、2mm以上であることが好ましい。
ここで、躯体2,20に補強塗膜3,30を被覆する施工方法としては、塗布するコンクリート表面を十分に清掃して塵等を取り除いた後、プライマーを塗布し、その後、補強塗膜材料を躯体2,20の表面に所定厚さだけ塗布する。これにより、躯体2,20の表面に補強塗膜3,30が形成される。なお、プライマーの塗布は省略することも可能であり、或いは、補強塗膜3,30と躯体2,20との付着性を高めるために躯体2,20の表面を斫って凸凹に加工してもよい。
次に、上記した構成からなる構造体(コア101及び連層耐震壁10)の作用について、具体的に説明する。
上述したように、本実施の形態では、補強塗膜3,30が、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性(強度、伸び)に優れた合成樹脂であるため、躯体2,20の変形が塑性域に達しても、補強塗膜3,30が躯体2,20の大変形に追従して伸び変形するので、補強塗膜3,30によって躯体2,20の変形に応じたエネルギー吸収性能が発揮される。したがって、高い軸圧縮力及び曲げ応力に対応することが可能なコア101或いは連層耐震壁10を設けることができる。
仮に、高い軸圧縮力及び曲げ応力を受けることにより躯体2,20の変形が塑性域に達してコンクリートが破壊されても、補強塗膜3,30は伸びることはあっても破断せず、補強塗膜3,30によって躯体2,20の表面が被覆された状態が維持される。これにより、躯体2,20のコンクリート片の散逸が防止され、また、躯体2,20が転倒したり崩壊したりせずに自立した形状を保持される(形状保持)。例えば、躯体2,20がコア101或いは連層耐震壁10の場合において、大地震時に高い軸圧縮力及び曲げ応力を受けることによって破壊が生じたコンクリート片が散乱して避難の障害となったり、そのコンクリート片が周囲に飛散したりするといった被害の増大を防止することができる。
また、補強塗膜3,30は変形抵抗を有しているので、地震時にコア101や連層耐震壁10の躯体2,20が撓み変形したときに、補強塗膜3,30の変形抵抗力によって躯体2,20を元の形状に戻す力が働く。その結果、躯体2,20は、一旦大きく撓み変形した後に若干戻され、最終的な変形量が小さく抑えられる。
また、補強塗膜3,30を躯体2,20の表面に吹き付けたり塗布したりするだけなので、容易に且つ安価に施工することができ、既設の躯体2,20に対しても容易に施工できる。
また、図7に示すように、躯体2(20)にクラックC(ひび割れ)が生じても、補強塗膜3(30)はその伸縮性によって破断しない。この場合、補強塗膜3(30)は伸び変形しているので、補強塗膜3(30)の弾性力によって戻る方向の力Eが作用する。この力は、クラックCの幅を拡げる力Sに抵抗する方向に作用するため、結果的に、クラックCの開き量dが小さく抑えられる。
また、本実施の形態のコア101及び連層耐震壁10では、補強塗膜3,30が躯体2,20のうち2面以上に設けられているので、躯体2,20が補強塗膜3,30によって包み込まれた状態となり、そのようなラッピング効果により、上記した形状保持がより効果的に発揮される。
上述したように、本実施の形態のコア101及び連層耐震壁10によれば、軸力を受けるコア101及び連層耐震壁10の圧縮靭性を向上させることができる。これにより、建物100,200の上層階のコア101や連層耐震壁10、又はその他の耐震要素の性能を最大限に発揮させ、高い靭性能を付与することができ、建物100,200の地震に対する耐力および靭性能を向上させることができる。
次に、上述した実施の形態によるコア101及び連層耐震壁10の効果を裏付けるために行った試験例(実施例1、2、3)について以下説明する。
(実施例1)
実施例1では、矩形断面の鉄筋コンクリート製の梁材を試験体に使用し、その梁材の表面にポリウレア樹脂を塗布した試験体1、2、3と、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体4とに対して載荷装置を使用した衝撃曲げ試験を行い、ポリウレア樹脂の塗布状況を変えた試験体1〜4の変形状態(亀裂や剥離)を確認した。
各試験体1〜4の梁材は、縦100mm×横120mmで長さ寸法が1200mmの6面を有する構造体であり、4週強度で25N/mm2のコンクリートを使用している。さらに、試験体1〜4の内部にD13(芯被り35mm)、せん断補強筋D6を使用している。そして、載荷条件としては、試験体1〜4を長さ方向を水平方向に向けて配置し、試験体1〜4の長さ方向の中心部に対して30kNの荷重を準静的な0.0001m/sの速度で載荷を付与した。
ここで、試験体1は梁材の6面に塗布厚4mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体2は梁材の6面に塗布厚2mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体3は梁材のうち長さ方向を水平方向に向けた状態で上面および下面の2面のみに塗布厚2mmのポリウレア樹脂を塗布したもの(4側面にポリウレア樹脂を塗布しない場合)であり、試験体4はポリウレア樹脂を施していないものである。
図8は、上記試験体1〜4において、横軸を載荷点の変形量δ(mm)とし、縦軸を荷重P(kN)とした曲げ試験結果を示している。
図8に示すように、試験体4の場合には、変形量δが略40mmで破壊し、その破壊箇所においてコンクリート片が生じた。
上下2面にポリウレア樹脂2mmを塗布した試験体3の場合は、変形量δが略60mmで破壊しているが、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体4の場合よりはじん性が高い、つまり拘束効果(ラッピング効果)を有し、一定の形状保持効果があることが確認された。
また、梁材の表面全周(6面)にポリウレア樹脂を塗布した試験体1、2においては、降伏後(図8の降伏点P1より右側)でも30kNの荷重が維持されていることが確認できることから、ラッピング効果が大きく、形状保持効果が高いことがわかる。
(実施例2)
次に、実施例2では、上記実施例1における梁材の6面に塗布厚2mmでポリウレア樹脂を塗布し、衝撃曲げ試験で載荷速度を変えた試験を行い、変形状態(亀裂や剥離)を確認した。
第1試験T1は4m/s(高速)の載荷速度とし、第2試験T2は0.5〜1m/s(中速)の載荷速度とし、第3試験T3は0.1〜0.5m/s(低速)の載荷速度とし、第4試験T4は0.0001m/s(準静的速度)の載荷速度とした。
図9は、上記第1試験T1〜第4試験T4において、横軸を載荷点の変形量δ(mm)とし、縦軸を荷重P(kN)とした曲げ試験結果を示している。
図9に示すように、各試験T1〜T4ともに降伏後でも準静的最大荷重が維持されていることがわかる。このことから、ポリウレア樹脂を梁材の6面全体にわたって塗布する場合には、載荷速度にかかわらず、準静的最大荷重が維持されることを確認することができる。このとき、梁材の試験体は大きく変形し、約5度程度の角度で屈曲していたが、コンクリート片が生じることもなく、梁材としての形状が保持されていた。このように、ポリウレア樹脂を塗布した梁材は、衝撃や持続的な加力に対して有効であり、コンクリート片の発生を防ぐことができることが確認できた。
(実施例3)
実施例3では、矩形断面の鉄筋コンクリート製の梁材を試験体に使用し、その梁材の表面にポリウレア樹脂を塗布した試験体1´、2´と、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体3´とに対して載荷装置を使用した衝撃曲げ試験を行い、ポリウレア樹脂の塗布状況を変えた試験体1´〜3´の変形状態(亀裂や剥離)を確認した。
各試験体1´〜3´の梁材は、縦150mm×横150mmで長さ寸法が450mmの6面を有する構造体であり、4週強度で25N/mm2のコンクリートを使用している。さらに、試験体1´〜3´の内部にD13(芯被り35mm)、せん断補強筋D6を使用している。そして、載荷条件としては、試験体1´〜3´を長さ方向を水平方向に向けて配置し、試験体1´〜3´の長さ方向の中心部に対して30kNの荷重を準静的な0.0001m/sの速度で載荷を付与した。
ここで、試験体1´は梁材の6面に塗布厚4mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体2´は梁材の上面以外の5面に塗布厚4mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体3´はポリウレア樹脂を施していないものである。
図10は、上記試験体1´〜3´において、横軸を載荷点の変形量δ(mm)とし、縦軸を荷重P(kN)とした曲げ試験結果を示している。
図10に示すように、試験体3´の場合には、変形量δが略0.65mmで破壊し、その破壊箇所においてコンクリート片が生じた。
上面以外の5面にポリウレア樹脂4mmを塗布した試験体2´の場合は、変形量δが略9mmで破壊しているが、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体3´の場合よりはじん性が高い、つまり拘束効果(ラッピング効果)を有し、一定の形状保持効果があることが確認された。
また、梁材の表面全周(6面)にポリウレア樹脂を塗布した試験体1´においては、変形量δが略30〜35mmで破壊しているが、5面にポリウレア樹脂を塗布した試験体2´の場合よりは更にじん性が高い、つまりラッピング効果が大きく、形状保持効果が高いことがわかる。
以上、本発明に係る構造体の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、本発明に係る構造体の一例としてコア101及び連層耐震壁10について説明しているが、本発明は、コア101や連層耐震壁に限定されるものではない。具体的には、本発明に係る構造体は、柱であってもよく、或いは、軸力を受けるコアや連層耐震壁以外の壁であってもよい。例えば、本発明に係る構造体が柱である場合には、図11(a)に示すように、補強塗膜300が柱5の長さ方向の一部の区間にのみ、好ましくは柱5の端部(下端部)の躯体の表面にのみ設けられた構成であってもよい。若しくは、図11(b)に示すように、補強塗膜300が柱5の全長に亘って設けられた構成であってもよい。なお、図11(a)及び図11(b)に示す構成では、補強塗膜300が柱5の全周に亘って設けられているが、補強塗膜300が柱5の躯体の表面のうちの3面だけを被覆した構成であってもよく、この場合でも、上記したラッピング効果を発揮することができる。さらに、補強塗膜300が柱5の表面のうちの2面或いは1面だけを被覆している構成であってもよく、この場合であっても、上記したラッピング効果が発揮されないが、上記した形状保持の効果を奏することができる。
また、上記した実施の形態では、補強塗膜3,30がコア101及び連層耐震壁10の躯体2,20の両側の面にそれぞれ被覆されているが、本発明は、躯体2,20の片面にのみ補強塗膜3,30が設けられた構成であってもよい。
さらに、補強塗膜3,30において、例えばガラス片やガラス繊維、ガラスフリット等を分散させてなる不燃性を有する混入材を、ポリウレア樹脂に混入させることも可能である。あるいは混入材として、例えばコンクリート、煉瓦、瓦、石綿スレート、鉄鋼、アルミニウム、モルタル、漆喰等のガラス以外の不燃材料であっても良い。
また、上記した実施の形態では、補強塗膜3,30として、イソシアネートとアミンとの化学反応により形成された化合物からなるポリウレア樹脂が用いられているが、本発明は、イソシアネートとポリオールとの化学反応により形成された化合物からなるポリウレタン樹脂を補強塗膜として用いることも可能であり、また、イソシアネートとポリオールとアミンとの化学反応により形成された化合物からなる樹脂を補強塗膜として用いることも可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1・・・コア壁
2,20・・・躯体
3,30・・・補強塗膜
4・・・コア柱
5・・・柱(構造体)
6・・・コア梁
7・・・梁
10・・・ 連層耐震壁(構造体)
101・・・コア(構造体)

Claims (2)

  1. 軸力を受ける構造体であって、
    コンクリート造の躯体の表面に樹脂製の補強塗膜が被覆されてなり、
    前記補強塗膜は、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなることを特徴とする構造体。
  2. 前記補強塗膜は、前記躯体のうち2面以上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
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