JP2014047460A - クリップ - Google Patents
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Abstract
【課題】 野縁受けに野縁を取り付けるためのクリップの剛性を高める。
【解決手段】 野縁受け3の下方に野縁4を取り付けるクリップ1であって、第1頭部26と、第1頭部の両端からそれぞれ垂下し、先端に第1係止爪33を備えた第1脚部31、32と、第1頭部に設けられた傾斜部28と、第1脚部に突設され、雌ねじ孔39を備えた第1結合部38とを備えた第1部材21と、第1頭部上に載置された第2頭部41と、第2頭部の両端からそれぞれ垂下し、先端に第2係止爪45を備えた第2脚部42、43と、第2頭部に設けられた位置決め片47と、第2頭部に突設され、挿通孔52を備えた第2結合部51とを備えた第2部材22と、挿通孔を通過して雌ねじ孔に螺合するボルト軸部57と、ボルト軸部の基端に設けられ、挿通孔を通過できないボルト頭部58とを備えたねじ部材23とを有するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 野縁受け3の下方に野縁4を取り付けるクリップ1であって、第1頭部26と、第1頭部の両端からそれぞれ垂下し、先端に第1係止爪33を備えた第1脚部31、32と、第1頭部に設けられた傾斜部28と、第1脚部に突設され、雌ねじ孔39を備えた第1結合部38とを備えた第1部材21と、第1頭部上に載置された第2頭部41と、第2頭部の両端からそれぞれ垂下し、先端に第2係止爪45を備えた第2脚部42、43と、第2頭部に設けられた位置決め片47と、第2頭部に突設され、挿通孔52を備えた第2結合部51とを備えた第2部材22と、挿通孔を通過して雌ねじ孔に螺合するボルト軸部57と、ボルト軸部の基端に設けられ、挿通孔を通過できないボルト頭部58とを備えたねじ部材23とを有するようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、野縁受けに野縁を結合するクリップに関する。
鉄筋コンクリート造の建築構造物において、コンクリート等からなる天井にアンカーボルトによって複数の長尺形状の野縁受けを水平方向に延在するように吊り下げ、野縁受けの下方に複数の長尺形状の野縁を水平方向かつ野縁受けに対して直角に延在するように結合し、野縁に内装材としての天井パネルを結合したものがある。野縁受けは、断面コ字状のチャンネル材が使用されることがある。野縁は、底壁部と、底壁部の両側縁から上方へと立ち起こされた一対の側壁部と、側壁部の上縁から互いに近接する方向に延出したリップ部とを有し、リップ部の先端が底壁部側に屈曲し、リップ部の底壁部側にリップ溝を形成しているものがある。このような天井構造体において、野縁受けに野縁を結合するために、金属製のクリップが使用されることがある(例えば、特許文献1)。
特許文献1に係るクリップは、野縁受けの上方を幅方向(長手方向と直交する方向)に跨ぐ頭部と、頭部の幅方向における両端からそれぞれ垂下し、野縁の両リップ部間を通過して野縁の内方に到る4本の脚部と、各脚部の下端に設けられ、リップ部に引っ掛かる係止爪と、頭部を上下に貫通するように形成された雌ねじ孔と、雌ねじ孔を貫通すると共に螺合し、先端が野縁受けの上面に突き当たる調節ねじとを有している。このクリップは、各脚部が弾性変形することによって、各脚部の下端部及び各係止爪が互いに近接し、両リップ部間を通過する。各脚部は、リップ部間を通過した後に復元力によって互いに離間し、各係止爪が各リップ部の下面側に配置される。そして、調節ねじを雌ねじ孔に対して螺進させ、野縁受けに対してクリップを上方へと変位させ、各係止爪を各リップ部の下面に引っ掛けるようにしている。
しかしながら、上記のクリップは、各脚部の下端部及び係止爪を両リップ部間に通過させるために、脚部を薄板状にして弾性変形可能にしなければならず、脚部の高剛性化が困難である。そのため、野縁受け及び野縁に荷重が加わった場合に、クリップが変形又は破断する虞がある。
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、野縁受けに野縁を取り付けるためのクリップの剛性を高めることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、建築構造体(15)に支持された長尺形状の野縁受け(3)の下方に、底壁部(11)と、前記底壁部の両側縁から上方に立ち上がった一対の側壁部(12)と、前記両側壁部の上端から互いに近接する方向に張り出した一対のリップ部(13)とを備えた長尺形状の野縁(4)を、前記野縁受けと直交するように取り付けるためのクリップ(1)であって、前記野縁受けの上部を前記野縁受けの幅方向に跨ぐ第1頭部(26)と、前記第1頭部の両端からそれぞれ垂下し、前記一対のリップ部間を通過して前記野縁の内部に到る一対の第1脚部(31、32)と、前記第1脚部の下端部のそれぞれに設けられ、前記リップ部の一方に係止され得る第1係止爪(33)と、前記第1頭部の前記野縁受けと対向する部分に設けられたカム部(28)と、前記第1頭部又は前記第1脚部に突設され、軸線が前記野縁受けの幅方向に延在した雌ねじ孔(39)を備えた第1結合部(38)とを備えた第1部材(21)と、前記第1頭部上に載置され、前記野縁受けを前記野縁受けの幅方向に跨ぐ第2頭部(41)と、前記第2頭部の両端からそれぞれ垂下し、前記一対のリップ部間を通過して前記野縁の内部に到る一対の第2脚部(42、43)と、前記第2脚部の下端部のそれぞれに設けられ、前記リップ部の他方に係止され得る第2係止爪(45)と、前記第2頭部又は前記第2脚部に突設され、前記雌ねじ孔に対向する部分に挿通孔(52)を備えた第2結合部(51)とを備えた第2部材(22)と、前記挿通孔を通過して前記雌ねじ孔に螺合する軸部(57)と、前記軸部の基端に設けられ、前記挿通孔を通過できない頭部(58)とを備えたねじ部材(23)とを有し、前記挿通孔は前記軸部を遊嵌した状態に受容し、前記ねじ部材が前記雌ねじ孔に螺合した状態において、前記第1脚部及び前記第2脚部の下端部同士が互いに離接可能なように、前記第1部材及び前記第2部材が相対変位可能であり、前記カム部は、前記ねじ部材が前記雌ねじ孔に螺進又は螺退し、前記第1部材が前記第2部材及び前記野縁受けに対して前記野縁受けの幅方向に移動したときに、前記野縁受けに対して摺動し、前記第1部材及び前記第1頭部に載置された前記第2部材を共に前記野縁受けに対して上方に移動させることを特徴とする。
この構成によれば、第1部材が第2部材に対して変位することによって第1脚部及び第2脚部の下端部間の距離を変化させることができるため、第1脚部及び第2脚部の下端部を弾性変形させることなくリップ部間に通過させることができる。そのため、第1部材及び第2部材に可撓性を付与する必要がなく、第1部材及び第2部材の剛性をより一層高めることが可能になる。また、1つのねじ部材が、第1部材及び第2部材を連結する機能と、第1部材及び第2部材と野縁受け及び野縁との相対位置を調節するための機能とを奏するため、部品点数を少なくすることができ、クリップの構成を簡素にすることができる。また、第1部材及び第2部材が、それぞれ野縁受けの上方を跨ぐように配置されているため、仮にねじ部材による第1部材及び第2部材の結合が解除されても、第1部材及び第2部材はそれぞれ単独で野縁受けに対する野縁の支持を維持することができる。また、カム部を設けたことによって、雌ねじ孔の軸線方向と上下方向とを一致させる必要がなくなる。雌ねじ孔の軸線が野縁受けの幅方向に延在することによって、野縁受け及び野縁の下方又は側方に位置する作業者は、ねじ部材の回転操作が容易になる。
上記の発明において、前記カム部は、前記第1頭部の下面に形成された傾斜面であってもよい。
この構成によれば、簡単な構成で、ねじ部材の螺進又は螺退に応じて、野縁受けに対してクリップを上方へと移動させることができる。
上記の発明において、前記第2部材は、前記第2頭部又は前記第2脚部に設けられ、前記野縁受けに当接することによって前記第2頭部の前記野縁受けに対する幅方向への移動を禁止する位置決め部(42、43、47)を有してもよい。
この構成によれば、位置決め部によって第2部材が野縁受けに対して幅方向に位置決めされるため、ねじ部材を介して第2部材に連結される第1部材も野縁受けに対して位置決めされる。また、ねじ部材が雌ねじ孔に対して螺進又は螺退した際に、第1部材が野縁受けに対して確実に移動するようになる。
上記の発明において、前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ連続した1枚の板状体から形成されていてもよい。
この構成によれば、クリップの製造が容易になる。
上記の発明において、前記第1頭部は、前記野縁受けの幅方向における一端側に設けられ、水平方向に延在する第1水平部(29)と、前記第1水平部の前記野縁受けの幅方向における他端側から、前記他端側かつ下方へと傾斜して延び、前記カム部を構成する傾斜部(28)と、前記傾斜部の前記他端側から前記他端側へと水平方向に延在する第2水平部(27)とを有するようにしてもよい。
この構成によれば、第1頭部上に第2頭部を安定性良く載置することができる。
上記の発明において、前記位置決め部は前記第2脚部の一部であり、一対の前記第2脚部のそれぞれが前記野縁受けに当接してもよい。
この構成によれば、第2脚部が位置決め部を兼ねるため、クリップの構成が簡素になる。
以上の構成によれば、野縁受けに野縁を取り付けるためのクリップの剛性を高めることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した野縁受けと野縁とを結合するクリップ1の実施形態を詳細に説明する。以下の説明では、図1に示す座標軸に基づいて各方位を定める。
図1に示すように、クリップ1は、野縁受け3と野縁4とを結合するために使用されるものである。野縁受け3及び野縁4は、例えば亜鉛めっき鋼板やアルミ板から形成された長尺部材である。野縁受け3は、断面形状において、上下方向に延びる縦壁部6と、縦壁部6の上端縁及び下端縁から縦壁部6に対して直角かつ同じ方向(後方)に突出する上壁部7及び下壁部8とを有する(いわゆる、軽溝形鋼)。野縁4は、断面形状において、左右方向(野縁4の幅方向)に延びる底壁部11と、底壁部11の両端から底壁部11に対して直角かつ同じ方向(上方)に突出する一対の側壁部12と、一対の側壁部12の各上端から互いに近接する方向に突出した一対のリップ部13とを有している(いわゆる、リップ溝形鋼)。リップ部13の先端は、底壁部11側に直角に折り曲げられている。これにより、リップ部13の底壁部11側を向く部分には、底壁部11と相反する側(上方)に窪んだリップ溝14が形成されている。
野縁受け3は、コンクリートや鉄骨等から形成された建築構造体の天井又は梁である躯体天井部15に一端が結合されたアンカーボルト16の他端に結合された野縁受けホルダ17に支持されている。野縁受けホルダ17は、一端においてアンカーボルト16に締結され、他端に野縁受け3を下方から包み込み、支持するフック部を備えている。アンカーボルト16及び野縁受けホルダ17は、1つの野縁受け3に対して複数設けられ、野縁受け3を適所で支持している。野縁受け3は、複数設けられ、それぞれが1つの水平面上に配置され、本実施形態では軸線(長手方向)が左右方向に延在している。
野縁4は、複数設けられ、野縁受け3の下方において、それぞれが1つの水平面上に配置され、本実施形態では軸線(長手方向)が前後方向に延在している。すなわち、野縁4は、野縁受け3に対して直交するように配置され、上方から見て野縁受け3と共に格子形状を形成している。野縁4は、上方から見て野縁受け3と交差する箇所において、クリップ1によって野縁受け3に結合されている。野縁4の底壁部11の下面には、例えばビスにより天井パネル19が取り付けられている。野縁受け3及び野縁4は、延在する方向を長手方向、長手方向に直交する水平方向を幅方向(短手方向)とする。
図1〜図4に示すように、クリップ1は、第1部材21と、第2部材22と、第1部材21及び第2部材22を互いに連結するボルト(ねじ部材)23とを有している。第1部材21及び第2部材22は、それぞれ1枚の金属板をフォーミング加工(曲げ加工、プレス加工)することによって形成されている。金属板は、例えば、冷間圧延鋼板やステンレス板等であってよい。
第1部材21は、前後に延在した第1頭部26を有している。第1頭部26は、前端に略長方形の板状をなし、主面が上下を向く前端部27と、前端部27の後縁から屈曲して後方かつ上方に傾斜しつつ延在した板状の傾斜部(カム部)28と、傾斜部28の後縁から屈曲して後方へと延在し、略長方形の板状をなし、主面が上下を向く後端部29とを有している。傾斜部28によって、後端部29は前端部27に対して上方に配置されている。
前端部27の左側縁及び後端部29の左側縁には、それぞれ前端部27及び後端部29に対して直角に折り曲げられて垂下した前後一対の第1脚部31、32が設けられている。各第1脚部31、32の主面は左右方向を向いている。後側第1脚部32は前側第1脚部31よりも上下方向に長く形成され、各第1脚部31、32の下端は同じ高さに配置されている。各第1脚部31、32の距離L1(前側第1脚部31の後側縁と後側第1脚部32の前側縁との距離)は、野縁受け3の幅W(前後方向長さ、図1参照)よりも大きく設定されている。
各第1脚部31、32の先端部(下端部)には、それぞれ第1係止爪33が設けられている。第1係止爪33は、各第1脚部31、32の先端部を折り返すことによって形成され、各第1脚部31、32の下端から左方に突出した後、屈曲して左方かつ上方に突出している。前側第1脚部31の後側縁には、左方へと突出し、中央部に貫通孔35を備えた板状の第1締結部36が設けられている。
後側第1脚部32の後側縁の上部には、右方へと突出し、主面が前後を向く板状の第1結合部38が設けられている。第1結合部38の中央部には、厚み方向(前後)に貫通する雌ねじ孔39が形成されている。なお、他の実施形態では、第1結合部38が第1頭部26の後端部29から下方へと突出するようにしてもよい。
第2部材22は、主面が上下方向を向き、前後に延在した長方形の平板状の第2頭部41を有している。第2頭部41の長辺の1つである右側縁は前後に延在し、その前端及び後端には第2頭部41に対して直角に折り曲げられて垂下した一対の第2脚部42、43が設けられている。各第2脚部42、43の主面は、それぞれ左右を向いている。一対の第2脚部42、43間の距離L2(前側第2脚部42の後側縁と後側第2脚部43の前側縁との距離)は、野縁受け3の幅Wと略同一に形成され、一対の第2脚部42、43間に野縁受け3をがた付きなく嵌挿できるようになっていることが好ましい。各第2脚部42、43の先端部(下端部)には、それぞれ第2係止爪45が設けられている。第2係止爪45は、各第2脚部42、43の先端部を折り返すことによって形成され、各第2脚部42、43の下端から右方に突出した後、屈曲して右方かつ上方に突出している。
第2頭部41の左側縁には第2頭部41に対して直角に折り曲げられて垂下した前後一対の位置決め片47が設けられている。各位置決め片47は、主面がそれぞれ左右を向き、第2脚部42、43とそれぞれ対向している。各位置決め片47間の距離L3は、野縁受け3の幅Wと略同一に形成され、一対の位置決め片47間に野縁受け3をがた付きなく嵌挿できるようになっている。本実施形態では、各位置決め片47間の距離L3と各第2脚部間の距離L2とは等しく設定されている。
第2頭部41の後側縁には、下方へと垂下し、主面が前後を向く板状の第2結合部51が設けられている。第2結合部51の中央部には、厚み方向(前後)に貫通する挿通孔52が形成されている。挿通孔52は上下に延在した長孔となっている。なお、他の実施形態では、後側第2脚部43の後側縁から第2結合部51を左方へと突出させるようにして形成してもよい。後側第2脚部43の前側縁には、右方へと突出し、中央部に貫通孔54を備えた板状の第2締結部55が設けられている。
ボルト23は、雄ねじが形成されたボルト軸部57と、ボルト軸部57の一端に設けられ、工具が結合可能な角柱状のボルト頭部58とを有している。第1頭部26の後端部29上に第2頭部41が載置され、第1結合部38の後方に第2結合部51が対向し、雌ねじ孔39と挿通孔52とが対向した状態で、ボルト軸部57が後方から挿通孔52及び雌ねじ孔39を順に通過し、雌ねじ孔39に螺合する。ボルト頭部58は挿通孔52を通過することができない大きさに形成されており、第2結合部51は第1結合部38とボルト頭部58との間で前後に変位可能に軸部に支持される。このようにして、第1部材21、第2部材22及びボルト23の組立体であるクリップ1が構成される。
挿通孔52が上下に延在しているため、ボルト軸部57は挿通孔52内を上下に変位することができる。これにより、第1頭部26と第2頭部41との干渉を避けつつ、第1部材21と第2部材22とはボルト軸部57を中心として相対回転することができる。第1部材21と第2部材22とが相対回転する際には、第1頭部26の後端部29の右側縁が第2頭部41の下面上を摺動する。第1部材21及び第2部材22は、第1頭部26の後端部29と第2頭部41とが面接触し、第1脚部31、32及び第2脚部42、43が互いに略平行に延在した第1回転形態(図2及び図7参照)と、第1脚部31、32の下端と第2脚部42、43の下端とが近接した第2回転形態との間で、ボルト軸部57を中心として相対回転可能となっている。
図4及び図5に示すように、雌ねじ孔39に対するボルト23の通過量が小さく、後側第1脚部32及び後側第2脚部43が互いに対向する位置に配置され、それぞれの前側縁が前後方向において同じ位置にある状態をクリップ1の初期状態とする。このとき、前側第1脚部31は前側第2脚部42に対して後方に偏倚しており、前側第1脚部31の後側縁が前後方向において前側第2脚部42の後側縁よりも後方に配置されている。また、前後方向において前後の第2脚部42、43の間に、第1頭部26の後端部29が配置されている。
初期位置から雌ねじ孔39にボルト23を螺進させると、第1結合部38とボルト頭部58との距離が小さくなり、第1結合部38と第2結合部51とが互いに近接するように第1部材21が第2部材22に対して移動する。すなわち、第1部材21及び第2部材22が、ボルト23の軸線方向に沿って相対移動する。
次に、図6〜図10を参照して、クリップ1による野縁受け3と野縁4との結合手順について説明する。最初に、図6に示すように、野縁受け3の下側に平面視で野縁受け3と直交する向きに野縁4を配置し、図示されない保持手段(例えばワイヤや手持ち)により野縁4を仮止めする。次に、野縁受け3と野縁4とが交差する部分の上方に、第1頭部26及び第2頭部41の下方に第1脚部31、32及び第2脚部42、43が位置するようにクリップ1を配置し、クリップ1を下方へと移動させ、一対の第1脚部31、32間及び一対の第2脚部42、43間に野縁受け3を配置する。これにより、第1頭部26及び第2頭部41のそれぞれが野縁受け3の上方を幅方向に跨ぐように配置される。同時に、指等によって、第1脚部31、32及び第2脚部42、43を挟持して、クリップ1を第2回転形態にする。第2回転形態では、野縁4の幅方向(左右方向)における第1係止爪33及び第2係止爪45の突出端間の距離L4がリップ部間の距離L5よりも小さくなり、第1脚部31、32及び第2脚部42、43の下端部がリップ部間を通過して野縁4の内方に突入可能になる。この状態で、第1頭部26の後端部29の下面が野縁受け3の上壁部7の上面に接触するまで、第1脚部31、32及び第2脚部42、43を野縁4内に挿入する。
第1脚部31、32及び第2脚部42、43の下端部が野縁4の内方に配置された状態で、第1脚部31、32及び第2脚部42、43の挟持を解除すると、第1部材21及び第2部材22は自重によってボルト軸部57を中心として互いに回転し、図7及び図8に示すように、第1頭部26の後端部29が野縁受け3の上壁部7の上面に面接触し、第2頭部41が第1頭部26の後端部29の上面に面接触してクリップ1が第1回転形態となる。第1回転形態では、野縁4の幅方向(左右方向)における第1係止爪33及び第2係止爪45の突出端間の距離がL6となって、リップ部13間の距離L5よりも大きくなり、第1脚部31、32及び第2脚部42、43の下端部がリップ部13間を通過できなくなる。
図7及び図8に示す状態では、第2部材22の前側第2脚部42の後側縁が野縁受け3に当接し、後側第2脚部43の前側縁が野縁受け3に当接することによって、第2部材22は野縁受け3に対して前後に移動不能に支持される。また、2つの位置決め片47が野縁受け3に前後から当接することによって、第2部材22は野縁受け3に対して前後に移動不能に支持される。
図7及び図8に示す状態から、ボルト23を雌ねじ孔39に対して螺進させると、第2部材22が野縁受け3に対して前後方向に移動不能に支持されているため、第1部材21が第2部材22及び野縁受け3に対して後方に移動する。第1部材21が後方に移動すると、第1頭部26の傾斜部28の下面が野縁受け3の上壁部7の前縁に当接する。更に、ボルト23を雌ねじ孔39に対して螺進させると、傾斜部28が上壁部7の前縁上を摺動する。傾斜部28は、野縁受け3に対する第1部材21の後方への移動を上方への移動に変換するカムとして機能し、図8の白抜き矢印が示すように、第1部材21は野縁受け3に対して後方かつ上方へと移動する。第1頭部26上に載置された第2部材22も第1部材21と共に野縁受け3に対して上方に移動する。第1部材21及び第2部材22が上方に移動することによって第1係止爪33及び第2係止爪45の突出端は、リップ部13の下部に形成されたリップ溝14内へと突入する。ボルト23の雌ねじ孔39に対する螺進が更に進むと、図9及び図10に示すように、第1頭部26の前端部27の下面が上壁部7の上面に乗り上げる。このとき、第1係止爪33及び第2係止爪45の突出端はリップ部13の下面(リップ溝14の底面)に当接する。これにより、野縁受け3及び野縁4は、上下方向において、第1頭部26及び第2頭部41と、第1係止爪33及び第2係止爪45との間に挟持される。また、野縁受け3及び野縁4は、前後方向において、第1部材21の前側第1脚部31と第2部材22の後側第2脚部43との間に挟持される。
図9及び図10に示すように、クリップ1によって、野縁受け3及び野縁4を結合した後に、タッピングねじ61を用いて、クリップ1と野縁受け3を結合してもよい。タッピングねじ61は、第2締結部55の貫通孔54を通過し、野縁受け3の縦壁部6に螺着するように設ける。なお、同様に、第1締結部36の貫通孔35を通過して野縁受け3の縦壁部6に螺着するようにタッピングねじ61を設けてもよい。
本実施形態に係るクリップ1は、ボルト23によって第2部材22が第1部材21に対して変位可能に組み付けられており、第1回転位置と第2回転位置との間で変位することによって第1脚部31、32及び第2脚部42、43の下端間、すなわち第1係止爪33及び第2係止爪45の突出端間の距離を変化させることができる。そのため、第1部材21及び第2部材22(特に第1脚部31、32及び第2脚部42、43)が可撓性を有さなくても、第1係止爪33及び第2係止爪45がリップ部13間を容易に通過することができる。これにより、第1部材21及び第2部材22の高剛性化が可能になり、クリップ1の耐荷重(耐力)を増大させることができる。
また、クリップ1は、ボルト23の軸線方向が野縁4の長手方向に沿った方向に延在しているため、野縁受け3及び野縁4の下方に位置する作業者がボルト23の回転操作が容易になっている。
第1部材21及び第2部材22のそれぞれが、野縁受け3の上方を跨ぐように配置され、その両端において野縁4に結合するため、仮にボルト23による第1部材21及び第2部材22の結合が解除され、第1部材21及び第2部材22が分離しても、第1部材21及び第2部材22はそれぞれ単独で、野縁受け3に対する野縁4の支持を維持することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、本実施形態では、ボルト23の螺進に応じた第2部材22に対する第1部材21の前後方向移動によって傾斜部28が野縁受け3に対して上方への駆動力を発生するようにしたが、他の実施形態ではボルト23の螺退に応じた第2部材22に対する第1部材21の前後方向移動によって傾斜部28が野縁受け3に対して上方への駆動力を発生するようにしてもよい。また、本実施形態では第2脚部42、43及び位置決め片47、47の双方によって第2部材22を野縁受け3に対して前後移動不能に係止させたが、他の実施形態では第2脚部42、43及び位置決め片47、47の一方によって野縁受け3に位置決めするようにしてもよい。また、前端部27を省略して、傾斜部28を第1頭部26の前端まで延長させるようにしてもよい。
1…クリップ、3…野縁受け、4…野縁、6…縦壁部、7…上壁部、8…下壁部、11…底壁部、12…側壁部、13…リップ部、14…リップ溝、21…第1部材、22…第2部材、23…ボルト(ねじ部材)、26…第1頭部、27…前端部(第2水平部)、28…傾斜部、29…後端部(第1水平部)、31…前側第1脚部、32…後側第1脚部、33…第1係止爪、38…第1結合部、39…雌ねじ孔、41…第2頭部、42…前側第2脚部、43…後側第2脚部、45…第2係止爪、47…位置決め片、51…第2結合部、52…挿通孔、57…ボルト軸部、58…ボルト頭部、
Claims (6)
- 建築構造体に支持された長尺形状の野縁受けの下方に、底壁部と、前記底壁部の両側縁から上方に立ち上がった一対の側壁部と、前記両側壁部の上端から互いに近接する方向に張り出した一対のリップ部とを備えた長尺形状の野縁を、前記野縁受けと直交するように取り付けるためのクリップであって、
前記野縁受けの上部を前記野縁受けの幅方向に跨ぐ第1頭部と、前記第1頭部の両端からそれぞれ垂下し、前記一対のリップ部間を通過して前記野縁の内部に到る一対の第1脚部と、前記第1脚部の下端部のそれぞれに設けられ、前記リップ部の一方に係止され得る第1係止爪と、前記第1頭部の前記野縁受けと対向する部分に設けられたカム部と、前記第1頭部又は前記第1脚部に突設され、軸線が前記野縁受けの幅方向に延在した雌ねじ孔を備えた第1結合部とを備えた第1部材と、
前記第1頭部上に載置され、前記野縁受けを前記野縁受けの幅方向に跨ぐ第2頭部と、前記第2頭部の両端からそれぞれ垂下し、前記一対のリップ部間を通過して前記野縁の内部に到る一対の第2脚部と、前記第2脚部の下端部のそれぞれに設けられ、前記リップ部の他方に係止され得る第2係止爪と、前記第2頭部又は前記第2脚部に突設され、前記雌ねじ孔に対向する部分に挿通孔を備えた第2結合部とを備えた第2部材と、
前記挿通孔を通過して前記雌ねじ孔に螺合する軸部と、前記軸部の基端に設けられ、前記挿通孔を通過できない頭部とを備えたねじ部材と
を有し、
前記挿通孔は前記軸部を遊嵌した状態に受容し、
前記ねじ部材が前記雌ねじ孔に螺合した状態において、前記第1脚部及び前記第2脚部の下端部同士が互いに離接可能なように前記第1部材及び前記第2部材が相対変位可能であり、
前記カム部は、前記ねじ部材が前記雌ねじ孔に螺進又は螺退し、前記第1部材が前記第2部材及び前記野縁受けに対して前記野縁受けの幅方向に移動したときに、前記野縁受けに対して摺動し、前記第1部材及び前記第1頭部に載置された前記第2部材を共に前記野縁受けに対して上方に移動させることを特徴とするクリップ。 - 前記カム部は、前記第1頭部の下面に形成された傾斜面であることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
- 前記第2部材は、前記第2頭部又は前記第2脚部に設けられ、前記野縁受けに当接することによって前記第2頭部の前記野縁受けに対する幅方向への移動を禁止する位置決め部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
- 前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ連続した1枚の板状体から形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載のクリップ。
- 前記第1頭部は、前記野縁受けの幅方向における一端側に設けられ、水平方向に延在する第1水平部と、前記第1水平部の前記野縁受けの幅方向における他端側から、前記他端側かつ下方へと傾斜して延び、前記カム部を構成する傾斜部と、前記傾斜部の前記他端側から前記他端側へと水平方向に延在する第2水平部とを有することを特徴とする請求項4に記載のクリップ。
- 前記位置決め部は前記第2脚部の一部であり、一対の前記第2脚部のそれぞれが前記野縁受けに当接していることを特徴とする請求項3に記載のクリップ。
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JP2012188455A JP2014047460A (ja) | 2012-08-29 | 2012-08-29 | クリップ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015183397A (ja) * | 2014-03-20 | 2015-10-22 | 株式会社内山産業 | 野縁保持具 |
CN114293698A (zh) * | 2021-11-25 | 2022-04-08 | 滁州金诚金属制品有限公司 | 一种梁悬挂连接器 |
CN115917095A (zh) * | 2020-03-16 | 2023-04-04 | Rmh技术有限责任公司 | 用于金属屋顶的安装装置 |
-
2012
- 2012-08-29 JP JP2012188455A patent/JP2014047460A/ja active Pending
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