JP2014047313A - 液体洗浄剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用後の水洗及び水拭きを不要にし、且つ効果の持続性と抗カビ・抗菌性に優れた液体洗浄剤を得る。
【解決手段】乳酸を含む水溶液である溶媒に、(a)2−メルカプトピリジン−N−オキシド塩又は同族誘導体塩と、(b)ジクロフルアニド又は同族誘導体、及び/又は、ジヨードメチル−p−トリルスルフォンもしくはヨウ素置換数が異なる同族誘導体と、の混合物を、この混合物の濃度が前記溶媒1Lに対して25mg〜200mg含まれるように添加することにより液体洗浄剤を得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、水に乳酸単独か又は乳酸に加えてクエン酸水素二ナトリウムをさらに添加した溶媒に、有機抗カビ・抗菌剤の複数種を添加して得られる複合型の抗カビ・抗菌剤にかかり、使用後の水洗及び水拭きを不要にし、且つ効果の持続性と抗カビ・抗菌性に優れた液体洗浄剤及びその製造方法に関する。
細菌は進化的にみて古い原核生物に分類され、細胞壁を構成する多糖体種の違いでグラム染色法により陽性と陰性とに分類されている。一方のカビは、細胞の外から細胞壁、細胞膜、核膜及び核からなる真核生物であり、微生物学上はキノコとともに「真菌」に分類されている。即ち、真菌のなかでキノコを生じない糸状菌を一般的に「カビ(黴)」と称している。
住宅の内装、調度家具、電化製品、台所の調理セット内外及び浴室の内壁並びに備品等の表面にみられるカビや細菌の発生或いは増殖を抑えるために、次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈した消毒液いわゆる「塩素系消毒液」が広く用いられている。
塩素系消毒液を真菌に作用させると、細胞壁・細胞膜のみならず核膜および核染色体まで破壊することになり、着色したものが多いカビは漂白される。
しかしながら、該薬液は色素の種別なく作用するから、前掲の内装・用品等や作業者の衣類をも漂白する恐れを生じる。更に、塩素系消毒液にはアンモニアやアミノ酸など窒素含有の化合物と反応して、三塩化窒素臭いわゆる「カルキ臭」や有機クロラミン臭を発生しやすい欠点もある。
塩素系消毒液が克服できない上述の欠点をなくすため、非塩素系の抗カビ・抗菌剤が研究開発されてきた。そのなかで、実用域に達しているものの一つに、界面活性剤と発酵乳酸とを調合したものがあり、殺菌効果があることが知られている。
発酵乳酸の効能は、主に前掲用途で清掃の対象物となる汚れの成分、具体的例示をすれば金属酸化物いわゆる「錆」を溶解することにある。近年、流し台や便器等の金属・陶磁器製備品に付着した汚れ落としに食酢が洗浄剤として推奨されたり、酢酸等の有機酸を主成分とする洗浄剤が商品化され、市販もされている。
一方、乳酸〔示性式CHCH(OH)COOH〕も文字通り「有機酸」であるから、好酸菌等の微生物に対する殺菌効果は弱いが、乳酸発酵菌以外のカビや細菌の増殖には適さない環境をつくるものとして、周知の化学物質である。又、乳化剤としての機能も有しているから、界面活性剤と調合する場合でも、いかなる性状のものを抗菌剤として選択するかで使用時のpHが殺菌力に影響する。
例えば、陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩と調合した場合、殺菌力は一般的に中性から塩基(アルカリ)性で強いから、該塩に属する一般的な塩化ベンザルコニウム系では作用環境pHが5以下になると200mg/L以上の高濃度を必要とする。従って、有機酸との調合で界面活性剤含量の低減を狙いたい場合は、pHの影響を受けにくい第四級アンモニウム塩種の選択を余儀なくされ、選択肢の幅が極めて狭まる。
又、ドデシルジアミノエチルグリシンに代表される両性界面活性剤と調合した場合、細菌や酵母に属する微生物には強力に作用するが、抗カビの効果は期待できなくなる。
陰イオン界面活性剤と調合した場合に至っては、界面活性剤としての本来の優れた洗浄特性は発揮されるが、抗カビ・抗菌性が顕著に低下するため、通常は選択されない。
それゆえ、従来から、非特許文献1に記載されているように、各種の化学薬剤についてその作用機構が調査研究されてきた。例えば、塩素系消毒液は酵素タンパク或いは核タンパクのSH基酸化及び破壊、第四級アンモニウム塩は細胞膜の損傷及び酵素タンパクの変性と、作用機構が説明されている。
上述した非塩素系の液体洗浄剤事例も、基本的にはこれまでに系統化された学術的知見に基づく界面活性剤の効果と食酢の使用例から類推できる乳酸の洗浄効果の双方がもたらす相乗効果を期待したものである。しかしながら、相乗効果が得られるか否かの確証はなく、意図に反し相殺的効果になる可能性も否定できない。
そこで、抗カビ・抗菌性の確保を優先し、双方の薬剤を比較的高濃度で調合したため、該薬剤の取扱説明書では通常「噴霧した5分後に水洗又は水拭きするように」と注意喚起し副作用の低減を図っている。水洗又は水拭きでは、清掃対象物表面の漂白や変質等の化学的損傷を抑えることはできるが、反面、抗カビ・抗菌性を失うことになる。
非塩素系・非界面活性剤系の防カビ剤で食品添加物で認められている化学物質には、非特許文献2に記載されているように、o−フェニルフェノール〔OPP;示性式C(OH)C〕やチアベンダゾール〔TBZ;分子式C10S〕があり周知である。双方は元来、柑橘類やバナナの防カビ・防腐剤農薬として外国で使用されていたものであるから、本発明と同じ用途では使用を避けたい化学物質になる。
なぜなら、前者は研究機関によって障害や発ガン性に関する評価及び見解が分かれており未だ確定していないし、後者はマウス及びラットで催奇形性がみられたとの報告もあるからである。
又、特許文献1には有機系抗菌剤として請求項4及び請求項5に記載の「3種のうちの少なくともいずれか一方」とあるが、該3種のうち、ピリジン系抗菌剤とする有機化合物を除くカルベンダジム及び前掲TBZはいずれもベンゾイミダゾール誘導体であり、残留農薬試験の対象になっている。即ち、残留および環境への流出が問題とされる。
わが国の農薬に対する法規制は、医薬と比較して遙に緩和されているといってよい。
更に、特許文献2には、非塩素系・非界面活性剤系として、ニトリル系、ピリジン系、ハロアルキルチオ系、有機ヨード系およびチアゾール系の各抗菌剤を組み合わせた複合型抗菌剤やさらに上述のベンゾイミダゾール系抗菌剤を加えて、阻止できるカビ・細菌の種類を増やそうと図っている。
従って、特許文献2の実施例には、実に10種の抗菌剤組み合わせ(実施例6)が載る。その複雑さの割に、特許文献2で阻止できる真菌・細菌の種類は、相乗効果が認められた32種を含めても57種であり、前掲TBZ単独処方と数だけでは大差がない。
特開2006−52205号公報 特開平8−92012号公報
柴崎勲著「新・食品殺菌工学」株式会社光琳 1983年 渡辺雄二著「食卓の化学毒物事典」株式会社三一書房 1995年
抗カビ・抗菌性に優れることが公知である化学物質を主成分とし、この化学物質の薬効を損なう虞れのないものとして例えば発酵乳酸等を調合して非塩素系の液体洗浄剤を製造すると、身近に存在する不特定多種の真菌及び細菌に効果を発揮させるには、最低50mg/Lの含有濃度としなければならない。因みに、銀・銅等の無機系抗菌剤では、最低で2000〜3000mg/Lの濃度を必要とし、また、陽イオン界面活性剤である塩化ベンザルコニウムでは上述のように200mg/L以上の濃度を必要とする。より薄い濃度では、抗カビ・抗菌効果は発揮されないことが既に分かっている。
しかし、このような濃い濃度にするためには大量の抗菌性化学物質を用いる必要があり、コスト的に非常に不利であるとともに、副作用リスクも高まるという重大な欠点がある。それゆえ、例えば、発育阻止最小濃度(MIC値)を極力小さくし、抗菌性化学物質の濃度を25mg/L程度以下に抑えても十分な効果が発揮できるようにすること等が望まれるが、未だ実現できていない。
また、発育阻止の対象となる真菌は約8万種、細菌は約35万種あるとされるから、該菌類すべてに単独で効果を発揮するのは、微生物に対する作用機構からみて、全種の細胞内核膜および核内染色体まで損傷する化学物質や紫外線・放射線である。抗菌化学物質に限定すれば、通常は塩素又は臭素を含むハロゲン系薬剤程度になってしまう。
そこで本発明者らは、「わが国の監視制度(PRTR)及び労働安全衛生法指定の916物質、毒物及び劇物取締法で規制する物質並びに環境省の水環境調査や内分泌撹乱性の370被疑物質は、たとえ抗カビ・抗菌性を有しても避け、「既存化学物質として登録されているものの中から複数種を選択する」ことを課題克服のための基本方針とした。
又、柑橘類の輸出入を含む流通過程において防カビ・防腐のために用いる農薬、例えば前掲OPP、TBZのように、自然界に流出して二次的な薬害を起こさないよう、流出率・流出量を極限まで低減しなければならないことも課題の一つになる。
更に、メチル基(−CH)の水素がフッ素と塩素で全置換されたスルファミド〔示性式HNSON(C)SC(F)Cl〕系を除く、上述のハロゲン系や陽イオン界面活性剤を薬効主成分とする薬剤は、抗カビ・抗菌性を優先し高濃度の薬剤になっているため、付随する水洗や水拭きの作業を省けない。
上述のように、処理対象物表面の漂白や変質を警戒し、短時間放置後に水洗や水拭きで失活させなければならないからである。従って、水洗や水拭きが不可能な場所及び部位であっても、噴霧した布やスポンジで拭き取るだけで漂白や変質等の弊害を起こさない液体洗浄剤の開発も課題の一つである。
研究の結果、本発明者は、抗カビ・抗菌剤としては非塩素系、非界面活性剤、非農薬指定物質である2−メルカプトピリジン−N−オキシド塩(特許文献2では、実施例4乃至6に配合率が3重量%の副次的混合物として表記の「2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム」と同一)を主成分として位置づけ、MIC値を下げるために複数種の化学物質調合を必須とし、該洗浄剤中の総濃度を25〜200mg/L、実用上においてより好ましくは25〜50mg/Lとすることにより、上述の課題を解決できることを見出した。
また、その際には、数十種のカビに有効とされ、PRTRの2−55のm−ニトロアリニンが関係してくる農薬である前掲チアベンダゾールThiabendazoleは副次的混合物の選択肢からも外し、薬効を比較する本発明品の対照としてのみ検討した。尚、該農薬は真菌に対する薬効を有するが、有効な細菌種は少なく、藻類に対しては殆ど薬効を有しないことが既に分かっている。
上述の課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1)乳酸を含む水溶液である溶媒に、
(a)2−メルカプトピリジン−N−オキシド塩又は同族誘導体塩と、
(b)ジクロフルアニド又は同族誘導体、及び/又は、ジヨードメチル−p−トリルスルフォンもしくはヨウ素置換数が異なる同族誘導体と、
の混合物を、この混合物の濃度が前記溶媒1Lに対して25mg〜200mg含まれるように添加されてなることを特徴とする液体洗浄剤。
(2)前記溶媒には、抗カビ・抗菌剤の乳化剤及び弱酸性を維持するためのpH安定剤(緩衝剤)として、クエン酸水素二ナトリウムを乳化及び緩衝効果を発揮するに足る量だけ更に添加されてなることを特徴とする(1)に記載の液体洗浄剤。
(3)水に乳酸単独か又は乳酸に加えてクエン酸水素二ナトリウムをさらに添加して溶媒を得る工程と、
前記溶媒に、(a)2−メルカプトピリジン−N−オキシド塩又は同族誘導体塩と、
(b)ジクロフルアニド又は同族誘導体、及び/又は、ジヨードメチル−p−トリルスルフォンもしくはヨウ素置換数が異なる同族誘導体と、の混合物を、この混合物の濃度が前記溶媒1Lに対して25mg〜200mg含まれるように添加する工程と、
を有することを特徴とする液体洗浄剤の製造方法。
上述の手段(1)によれば、乳酸は人体老廃物の一種であり、筋肉中に溜まるだけでなく、汗にも含まれ体外排出されている酸味を有する無臭の物質である。特に発汗初期に含有率が高く、遊離塩素を消費する物資の約66%を占め、酸化されるとピルビン酸になる。上述の手段(1)の洗浄剤を布類と清掃対象物に噴霧した後に拭き取った場合、薬剤の若干は清掃対象物の表面に残る。溶媒である水が蒸発しても、同じ有機酸である酢酸より沸点が約7℃高い125℃の乳酸は、抗カビ・抗菌剤を溶かしたまま、清掃対象物の表面で濃縮される。
乳酸の添加量は、添加後の濃度が1〜5重量%になる程度であればよく、要は、複合型抗カビ・抗菌剤の溶媒として適切な量であればよい。n−(直鎖)酪酸のような強い不快臭を発しない乳酸の無臭性は、洗浄剤使用後の表面残留を可能とする。又、長時間経過後の乳酸は、気液平衡で揮散している。更に、上述のように乳酸は人体から汗中に常時排泄されているから、衣類の繊維等はこれに十分耐えうるものが古来から選抜され、合成繊維であっても乳酸による変質が速いものは商品化に至らない。本発明の使用対象となる住宅の内装や調度家具等に関しても、漆工芸品や食器類を除けば「汗による変質」を事前に考慮して材質選択している。
本発明の複合型抗カビ・抗菌剤の液剤中総濃度は25mg/L以上であるが、競合する界面活性剤の液剤中濃度を超えては当然特長が薄れてしまうから、製造に際しては実質的に200mg/L以下にする。即ち、50mg/L程度でも効果は損なわれない。
この濃度から換算して、上述の拭き取り作業後に清掃対象物の表面に残る薬剤は、1μg/回程度と考えられる。従って、水洗や水拭きをしなくても安全上の問題は生じないことになる。
又、複合型抗カビ・抗菌物質である前掲2−メルカプトピリジン−Nオキシド塩類、スルファミド類及びジヨードメチル−p−トリルスルフォン類の3種調合物質は、上述の基本仕様とした総濃度25mg/L以上で、現在判明しているだけで真菌は223種、細菌は147種、藻類は27種に対し有効である。
これは、本発明の効果を比較するため対照とした、ベンゾイミダゾール系抗菌剤に属するTBZに比較して著しく多種類に対して有効であり、とくに細菌及び藻類に対する著効は既存の抗カビ剤単独では得られない特長である。
更に、前掲2−メルカプトピリジン−Nオキシド塩類は、水垢防止剤として、製造者の成分名称「ピリチオンナトリウム」等で市販されている既存化学物質であり、急性経口毒性LD50は2000mg/kg以上(ラット)、危険有害成分には該当しない。
スルファミド類は、慣用名「ジクロフルアニド Dichlofluanide」等で、農業殺菌剤として製造されている。急性経口毒性LD50は、ラットで500mg/kg、マウスで1250mg/kgであり、農薬に分類されるが劇物指定にならない程毒性は低い。
ジヨードメチル−p−トリルスルフォン類は、慣用名「Diiodomethyl-p-tolyl sulfone」等で、水溶性防カビ・殺菌・防藻剤として製造されており、急性経口毒性LD50は製品として31300mg/kg以上(マウス)、危険有害成分には該当しない。
上述の手段(2)によれば、拭き取り作業後に水分が蒸発して濃縮した乳酸水溶液であっても、有機酸塩であるクエン酸水素二ナトリウム〔示性式NaHC〕の乳化作用で防カビ・抗菌物質が均一に分布するから、所謂「殺菌ムラ」をなくすことができる。同時に、有機酸と有機酸塩の解離平衡即ちpH緩衝作用によって、塩基性物質が若干混入しても殺菌に有利な弱酸性を維持することができる。
本発明の実施の形態にかかる洗浄剤の製造方法の説明図である。 本発明の実施の形態にかかる抗カビ・抗菌剤の調合処方の説明図である。 本発明の実施の形態にかかる抗カビ・抗菌剤の代表的分子構造図である。
図1及び図2は本発明の実施例1にかかる洗浄剤の製造方法の説明図、図2は本発明の実施例1にかかる抗カビ・抗菌剤の調合処方の説明図、図3は該抗カビ・抗菌剤の代表的分子構造図である。以下、これらの図面を参考にしながら、本発明の実施例1にかかる洗浄剤及びその製造方法を説明する。以下ではまず本発明の実施例1にかかる洗浄剤の製造方法について説明し、併せて本発明の実施例1にかかる洗浄剤について説明する。
(実施例1)
実施例1にかかる洗浄剤の製造方法は、まず溶媒となる乳酸水溶液の製造に始まる。蒸留水又は逆浸透膜でろ過した水に、発酵乳酸を添加し約5%とする。
まず、図1に示されるように、蒸留水又は給水弁1からの水道水を逆浸透膜ろ過装置2に導入してろ過した水を希釈水貯蔵容器3に貯留する。無論のこと、希釈水貯蔵容器3は塩素水による事前洗浄を施してある。
次に、液体洗浄剤貯蔵容器13に開閉弁9を操作して希釈水を規定量張る。続いて乳酸容器4の開閉弁10を操作して乳酸を添加し、約5%の濃度とする。更に、下記の表1に示す混合比率になるよう各容器5〜7内に秤量した抗カビ・抗菌剤3種を、液体は開閉弁11及び開閉弁12を操作し、固体は秤量皿6から直接に、液体洗浄剤貯蔵容器13内の水溶液に順次添加する。一段落したら、かくはん機14を駆動し、さらに事前に液量に対し1%になるよう概略秤量しておいた秤量皿8内のクエン酸水素二ナトリウム・1.5水和物結晶を該水溶液に徐々に添加しながら乳化させ、pH計15の表示を確認、既定のpH値である3〜4に安定化させる。こうして調製し、本発明の液体洗浄剤を得る。
尚、抗カビ・抗菌剤3種は、下記の表1乃至表3の通り総濃度を50mg/Lとなるよう液体洗浄剤の仕上がり量を勘案して事前に秤量し、各容器5〜7に入れて用意しておく。
ここで抗カビ・抗菌剤の総濃度上限を50mg/Lとしたのは、上述MIC値が25mg/L以下で薬効が発揮される菌種を増やすのが本発明の主な狙いであり、MIC値の2倍濃度が適切と判断したからである。抗カビ・抗菌の薬効上からは特別に上限があるわけではないが、水洗又は水拭きを不要にする等の視点や多種調合による相乗効果の狙いと矛盾しないようにする等の視点からみて、上限濃度は概ね200mg/Lとするのがよい。
Figure 2014047313
(実施例2)
実施例1と抗カビ・抗菌剤を2種調合に変えたものが表2に示した実施例2である。この実施例は、実施例1においては添加されていた「ジクロフルアニド Dichlofluanide」を添加せず、代りに、「ジヨードメチル−p−トリルスルフォン Diiodomethyl-p-tolyl sulfone」を20mg/L加えることにした点で実施例1と異なる。
Figure 2014047313
(実施例3)
抗カビ・抗菌剤を実施例2とは別の2種調合に変えたものが表3に示された実施例3である。この実施例は、実施例1においては添加されていた「ジヨードメチル−p−トリルスルフォン Diiodomethyl-p-tolyl sulfone」を添加せず、代りに、「ジクロフルアニド Dichlofluanide」を20mg/L加えることにした点で実施例1、2と異なる。
Figure 2014047313
使用の際は、本発明の液体洗浄剤を噴霧器等を使って布やスポンジに表面が十分に湿る程度含ませ、対象物の表面にも同様に噴霧し、「拭き掃除」の要領で拭き上げてそのまま放置し乾燥させた。上述したように、水洗や水拭きは一切行わなかった。
実施例1乃至実施例3の液体洗浄剤を調製し、上述のような抗カビ・抗菌処理を行った後、表面拭き取り及び培養法による細菌検査を実施して陽性・陰性の判定を行った。また、陰性になった真菌・細菌・藻類については、実施例1乃至実施例3の各薬液を適宜希釈して調製、使用し、前掲の発育阻止最小濃度(MIC値)を測定算出した。
実施例1乃至実施例3の液体洗浄剤で有効性が確認できた種類の数を整理したのが表4である。尚、MIC値が25mg/Lを超えるものは計数していない。
Figure 2014047313
尚、特許文献1の各種類数はあくまで参考値である。にもかかわらず敢えて掲載したのは、特許文献1の請求項に、有機系抗菌剤として複数組み合わせる一方を本発明と同じ2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウムとしているからであり、本発明における組み合わせで特許文献1より高い相乗効果が得られたが、大部分の抗カビ・抗菌性を該2−メルカプトピリジン系の抗菌剤が担っていることが判明したからである。
即ち、該薬剤の組み合わせで該メルカプトピリジン系は主成分に位置づけられて必須になる。従って、特許文献1で言う無機系抗菌剤若しくはハロゲンレスの有機系抗菌剤(TBZ)との組み合わせで得られる相乗効果で、高く評価できるものではない。
何故なら、真菌種を除いて細菌と藻類の有効種類数は、メルカプトピリジン系を含む実施例2及び実施例3の2種調合でも、複雑な組み合わせをした特許文献1及び同2の双方より多種の菌・藻類に対し優れた薬効結果を得ているからである。
勿論、実施例1の結果は、真菌種に対しても対照試験及び特許文献1及び同2を凌いでおり、ジクロフルアニド及びジヨードメチル−p−トリルスルフォンがメルカプトピリジン系では発育阻止できない特定菌種に薬効を発揮するとともに、大半の菌種に対し相乗的に抗カビ・抗菌性を高めていることの証左に他ならない。
実施例1の試験結果でMIC値が最大の25mg/Lになったのは緑膿菌の一種であるシュードモナス エレギノーサ(学名 Pseudomonas aeruginosa)、次いで20mg/Lは真菌に属するクリプトコッカス ラティアラス(Cryptococcus lutealus)、同エルミンソスポリウム グラミニューム(Helminthosporium gramineum)、イスランディ毒生産菌のペニシリウム イスランディカム(Penicillium islandicum)、角膜真菌症原因菌であるペニシリウム リラシナム(Penicillium lilacinumm)、同ピッチア メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、酵母のロドトルラ ガリニス(Rhodotorula gulinis)、同ロドトルラ ラクトーサ(Rhodotorula lactosa)及び唯一細菌に属するオートトロフィックバクテリア(Autotrophic bacteria)であった。本発明の液体洗浄剤が有効と判定された他種の真菌・細菌のMIC値は15mg/L以下であり、藻類のMIC値は総じて10mg/Lであった。
実施例2の試験結果を実施例1と比較したところ、ジクロフルアニドの抗カビ・抗菌性及び相乗効果は、真菌類では黒・黄麹カビ或いは発ガン性毒素を産生するアスペルギルス属(Aspergillus)、川崎病等のアレルゲンであるアルタルナリア属(Alternaria)、呼吸器障害を引き起こしやすいゲオトリカム属(Geotricham)、食品汚染を引き起こしやすいムコール属(Mucor)、循環器及び生殖器障害を引き起こしやすいトリコデルマ属(Tricoderma)に対し顕著であった。
実施例3の試験結果を実施例1と比較したところ、ジヨードメチル−p−トリルスルフォンの抗カビ・抗菌性及び相乗効果は、真菌類では前掲のアスペルギルス属及びゲオトリカム属がジクロフルアニドと重複するが、灰色カビのボトリティス属(Botrytis)、植物性アレルゲンになるクラドスポリウム属(Cladosporium)、角膜真菌原因やトリコテセン毒素産生をするフザリウム属(Fusarium)、シトリニン毒素産生をするペニシリウム属(Penicillium)に対し顕著であった。
実施例1乃至実施例3及び特許文献2の試験結果を併せて検討したところ、従来の抗カビ・抗菌剤を使用した場合の真菌のMIC値を1/5〜1/20にする等、著効をもたらす主剤は2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウムと判明した。
さらに該化合物は、真菌に属するカワラタケ、細菌に属するバチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonos)、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus)及び枯草菌(Bacillus)、加えて藻類で身近な存在であるトレンテポーリア属(Trentepohlias)、クロレラ属(Chlorella)、及びスキゾスリックス属(Schizothrix)にまで薬効を広げている。
又、様々な疾病原因となり2−メルカプトピリジン−N−オキシド塩では対処が困難な上述の菌種に対し特異的に作用すると同時に他の菌種に対して発揮する主剤の抗カビ・抗菌力を相乗的に高めるのがジクロフルアニド及びジヨードメチル−p−トリルスルフォンであることが初めて明らかになった。
これまでを総括すると、身近に存在する真菌・細菌・藻類の増殖を漏れなく阻止するには、作用が異なる抗カビ・抗菌剤の3種を複合した液体洗浄剤で十分に対応でき、日用品等の一般的用途では無機系抗菌剤や4種を超える複合型の有機系抗菌剤は必要としない。
又、100g(=ml)の水に実施例1の液体洗浄剤若しくは比較対照としたチアベンダゾール(TBZ)1gを添加したのち、24時間後の水への流出(移行)量をガスクロマトグラフィで測定したところ、実施例1は3mg/L以下、対照のTBZは実施例1の千倍になる約3000mg/Lと測定された。
このことから、薬剤処理後に水洗または水拭きを行うと、TBZのような防カビ剤は処理箇所の系外に殆ど流出し、周囲環境汚染の恐れが出てくる。一方、本発明の液体洗浄剤は水への溶出が少なく、水洗または水拭きを必要としないので系外への流出を心配しなくて済み、周囲環境汚染の恐れもない。
本発明は、塩素系防カビ・殺菌剤を使用できない、或いは、後処理として水洗や水拭きが原則としてできない、住宅の内装や調度家具及び電化製品の表面、台所の調理セット内外及び浴室の天井や内壁並びに備品等の表面にみられるカビや細菌の発生或いは増殖を抑えるために幅広く利用できる。
更に、これまでは換気扇を回しながら発生したカビやシミを除去する、手間のかかる消毒および清掃をしていた浴室や調理場に、抗カビ・抗菌を施す場面にも利用できる。
1 給水弁
2 逆浸透ろ過装置
3 希釈水貯蔵容器
4 85〜92%の乳酸(市場流通水溶液)
5 15〜30%の2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム水溶液(容器)
6 99%ジクロフルアニド固形農薬(容器)
7 20%ジヨードメチル−p−トリルスルフォン液体農薬(容器)
8 クエン酸水素二ナトリウム・1.5水和物(容器)
9〜12 各容器に接続した開閉弁
13 液体洗浄剤貯蔵容器
14 かくはん機
15 pH計

Claims (3)

  1. 乳酸を含む水溶液である溶媒に、
    (a)2−メルカプトピリジン−N−オキシド塩又は同族誘導体塩と、
    (b)ジクロフルアニド又は同族誘導体、及び/又は、ジヨードメチル−p−トリルスルフォンもしくはヨウ素置換数が異なる同族誘導体と、
    の混合物を、この混合物の濃度が前記溶媒1Lに対して25mg〜200mg含まれるように添加されてなることを特徴とする液体洗浄剤。
  2. 前記溶媒には、抗カビ・抗菌剤の乳化剤及び弱酸性を維持するためのpH安定剤(緩衝剤)として、クエン酸水素二ナトリウムを乳化及び緩衝効果を発揮するに足る量だけ更に添加されてなることを特徴とする請求項1に記載の液体洗浄剤。
  3. 水に乳酸単独か又は乳酸に加えてクエン酸水素二ナトリウムをさらに添加して溶媒を得る工程と、
    前記溶媒に、(a)2−メルカプトピリジン−N−オキシド塩又は同族誘導体塩と、
    (b)ジクロフルアニド又は同族誘導体、及び/又は、ジヨードメチル−p−トリルスルフォンもしくはヨウ素置換数が異なる同族誘導体と、の混合物を、この混合物の濃度が前記溶媒1Lに対して25mg〜200mg含まれるように添加する工程と、
    を有することを特徴とする液体洗浄剤の製造方法。
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