JP6578152B2 - 殺菌効力増強方法および液状殺菌組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、カチオン系殺菌剤を水溶液中に配合して成る液状殺菌組成物の殺菌効力増強方法、および液状殺菌組成物に関する。
浴室・トイレ、キッチン等のタイル、目地、プラスチックに付着する汚れの中で、特に細菌やカビによって発生する汚れやぬめりの除去には、次亜塩素酸塩を主成分とする液体洗浄剤が一般的に使用されている。しかし、次亜塩素酸製剤は、酸性タイプの漂白剤等と混用すると危険な塩素ガスを発生することから、本来的には使用を制限すべき製品であるが、他に置き換える製品が存在しないため現在でも広く使用されている。こうした現状から、安全性が高く、且つ殺菌効果の高い洗浄剤が要望されている。
ところで、水に対して難溶または不溶である殺菌成分は水系製剤に配合しにくいという問題がある。そこで、水に対する溶解性が高い4級アンモニウム塩やアミンオキシド等のカチオン系殺菌剤を配合した水系洗浄剤が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、除菌作用の向上に寄与する成分としてカチオン界面活性剤を配合した硬表面用除菌洗浄剤組成物が開示されており、水溶性溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルを配合することも記載されている。また、特許文献2には、カチオン系殺菌剤であるアルキルトリメチルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライドおよび/またはアルキルベンザルコニウムハライドと、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール系化合物とを含有する除菌性洗浄剤組成物が開示されている。
また、特許文献3には、有機酸及び/又はその塩、ベタイン型両性界面活性剤、カチオン系殺菌剤を含有する酸性抗菌洗浄剤組成物が開示されており、溶剤としてグリコールエーテル系化合物を配合することが記載されている。
特開2007−126581号公報 特開2008−260799号公報 特開2012−111846号公報
上述した特許文献1〜3には、カチオン系殺菌剤とグリコールエーテル系化合物またはグリコール系化合物とを含有する洗浄剤組成物が開示されており、一部の組成物については抗菌性試験結果も記載されている。しかしながら、特許文献1〜3では、いずれも溶剤としてグリコールエーテル系化合物またはグリコール系化合物を配合しており、カチオン系殺菌剤の殺菌効力を向上させる殺菌効力増強剤として特定のグリコールエーテル系化合物を用いるという技術的思想は何ら示唆されていなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、カチオン系殺菌剤の殺菌効力を向上させることができる殺菌効力増強方法、および液状殺菌組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、殺菌効力増強剤として、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれるグリコールエーテル系化合物の1種以上を用いた、カチオン系殺菌剤である、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムから選ばれる1種以上を有効成分とする液状殺菌剤組成物の殺菌効力増強方法である。
また本発明は、上記構成の殺菌効力増強方法において、前記カチオン系殺菌剤に対する前記グリコールエーテル系化合物の配合比率が3.3以上10000以下であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の殺菌効力増強方法において、前記液状殺菌組成物に対する前記グリコールエーテル系化合物の配合量が1質量%以上10質量%以下であることを特徴としている。
また本発明は、カチオン系殺菌剤として、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドと、前記カチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上のグリコールエーテル系化合物と、を含有する液状殺菌組成物である
また本発明は、上記構成の液状殺菌組成物において、前記カチオン系殺菌剤に対する前記グリコールエーテル系化合物の配合比率が3.3以上500以下であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の液状殺菌組成物において、前記カチオン系殺菌剤の配合量が0.01質量%以上0.3質量%以下であることを特徴としている
また本発明は、上記構成の液状殺菌組成物において、前記グリコールエーテル系化合物の配合量が1質量%以上5質量%以下であることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、カチオン系殺菌剤である、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムから選ばれる1種以上の殺菌効力増強剤として、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれるグリコールエーテル系化合物の1種以上を用いることにより、カチオン系殺菌剤の殺菌効果を向上させることができ、高い殺菌力と安全性とを兼ね備えた液状殺菌組成物を簡単に且つ低コストで製造可能となる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の殺菌効力増強方法において、カチオン系殺菌剤に対するグリコールエーテル系化合物の配合比率を3.3以上10000以下とすることにより、グリコールエーテル系化合物の配合比率をカチオン系殺菌剤の殺菌効力を十分に向上させるために必要十分な配合比率とすることができる
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の殺菌効力増強方法において、液状殺菌組成物に対する前記グリコールエーテル系化合物の配合量を1質量%以上10質量%以下とすることにより、カチオン系殺菌剤の殺菌効力の向上とストレスクラッキングの抑制効果とを両立できる殺菌効力増強剤となる
また、本発明の第4の構成によれば、カチオン系殺菌剤として、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドと、カチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上のグリコールエーテル系化合物と、を含有することにより、短時間の処理で高い殺菌力を発揮することができ、安全性にも優れた液状殺菌組成物となる
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の液状殺菌組成物において、カチオン系殺菌剤に対するグリコールエーテル系化合物の配合比率を3.3以上500以下とすることにより、グリコールエーテル系化合物の配合比率をカチオン系殺菌剤の殺菌効力を十分に向上させるために必要十分な配合比率とすることができる
また、本発明の第6の構成によれば、上記第4又は第5の構成の液状殺菌組成物において、カチオン系殺菌剤の配合量を0.01質量%以上0.3質量%以下とすることにより、十分な殺菌効力を発揮できる液状殺菌組成物となる
また、本発明の第7の構成によれば、上記第4乃至第6のいずれかの構成の液状殺菌組成物において、グリコールエーテル系化合物の配合量を1質量%以上5質量%以下とすることにより、カチオン系殺菌剤の殺菌効力の向上とストレスクラッキングの抑制効果とを両立できる液状殺菌組成物となる
以下、本発明の液状殺菌組成物について詳細に説明する。本発明の液状殺菌組成物は、殺菌成分としてカチオン系殺菌剤と、カチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として20℃の水100gに対する溶解度が1g以上20g以下のグリコールエーテル系化合物と、を水に混合して水溶液としたものである。
本発明の液状殺菌組成物に配合されるカチオン系殺菌剤の例としては、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド等のジェミニ型4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩、ポリヘキサメチレングアニジン塩、ポリリジン等が挙げられる。
上記のカチオン系殺菌剤の中でも、特に化合物自体の殺菌効果が高く、且つ、グリコールエーテル系化合物による殺菌効力の増強効果も顕著である1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムが好ましい。
本発明の液状殺菌組成物におけるカチオン系殺菌剤の配合量は、特に限定されないものの、0.001質量%以上0.5質量%以下の範囲で配合することが好ましく、後述の実施例において示すように、カチオン系殺菌剤を液状殺菌組成物全体に対して0.001質量%以上0.3質量%以下の範囲で配合することがより好ましい。
本発明の液状殺菌組成物に配合されるグリコールエーテル系化合物は、カチオン系殺菌剤の殺菌効力を向上させる殺菌効力増強剤として用いられる。従来、ある種のグリコールエーテル系化合物が防カビ・抗菌効果を有することは知られていたが、特定のグリコールエーテル系化合物がカチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として作用することは、本発明者らによって初めて発見された知見である。
本発明においてカチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として用いるグリコールエーテル系化合物は、20℃の水100gに対する溶解度が1g以上20g以下のものである。20℃の水100gに対する溶解度が20gを超えるグリコールエーテル系化合物では、殺菌効力増強効果が得られない。一方、20℃の水100gに対する溶解度が1g未満のグリコールエーテル系化合物では、液状殺菌組成物中に配合することが困難となる。
カチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として用いるグリコールエーテル系化合物の具体例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶解度2.7g/100g−H2O)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(溶解度6g/100g−H2O)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(溶解度1.7g/100g−H2O)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(溶解度3.4g/100g−H2O)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(溶解度19g/100g−H2O)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(溶解度5g/100g−H2O)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(溶解度3g/100g−H2O)等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
上記のグリコールエーテル系化合物の中でも、特に化学製品として汎用されていて入手が容易であり、且つ、カチオン系殺菌剤と共に配合したとき高い殺菌効力増強効果を発揮する、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。
本発明の液状殺菌組成物におけるグリコールエーテル系化合物の配合量は、特に限定されないものの、配合量が少なすぎる場合は、カチオン系殺菌剤の殺菌効果が十分に増強されない可能性がある。一方、配合量が多すぎる場合は、カチオン系殺菌剤の殺菌効果の向上が見られないばかりか、樹脂製の浴室壁面に対してストレスクラッキングを引き起こしやすくなってしまう。後述の実施例において示すように、グリコールエーテル系化合物を液状殺菌組成物全体に対して1質量%以上10質量%以下の範囲で配合することが好ましい。
また、カチオン系殺菌剤に対するグリコールエーテル系化合物の配合比率が小さすぎる場合、カチオン系殺菌剤の殺菌効果が十分に増強されない可能性がある。一方、カチオン系殺菌剤に対するグリコールエーテル系化合物の配合比率が大きすぎると、カチオン系殺菌剤の殺菌効果の向上が見られないばかりか、グリコールエーテル系化合物の配合量が多くなり、樹脂製の浴室壁面に対してストレスクラッキングを引き起こしやすくなってしまう。後述の実施例において示すように、カチオン系殺菌剤に対するグリコールエーテル系化合物の配合比率を3.3以上10000以下とすることで、カチオン系殺菌剤の殺菌効力を十分に向上させるために必要十分な配合比率となる。
本発明の液状殺菌組成物には、目的に応じて界面活性剤を配合することができる。例えば、殺菌効力増強剤として配合するグリコールエーテル系化合物の水に対する溶解度がさほど高くない場合であって、グリコールエーテル系化合物の配合量を増加させたい場合に界面活性剤を配合する。また、界面活性剤には泡を発生する性質(泡立ち性)があり、泡立ち性に優れた界面活性剤を使用することで、本発明の液状殺菌組成物をトリガースプレー等で壁面にスプレーしたときの液ダレを抑制するとともに塗布領域も視認しやすくなる。
本発明の液状殺菌組成物に配合される界面活性剤の種類は特に限定されるものではないが、殺菌成分として配合されるカチオン系殺菌剤は、アニオン界面活性剤が共存する環境下では、その効果が著しく低下してしまう。そのため、本発明の液状殺菌組成物に配合される界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が好適に用いられる。本発明の液状殺菌組成物中における界面活性剤の配合量は、特に限定されないものの、0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。
ノニオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリルジメチルアミンオキシド等の長鎖アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、ベタイン型界面活性剤が挙げられる。具体的には、ラウリル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、ラウリルアミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピル−N,N−ジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン等が挙げられる。
本発明の液状殺菌組成物は、水系タイプであり、溶媒としては主に水が用いられる。水としては、イオン交換水や逆浸透膜水等の精製水や、通常の水道水や工業用水、海洋深層水等が挙げられる。
更に、本発明の液状殺菌組成物には、その他の成分として、必要に応じて、無機抗菌剤、有機抗菌剤、防藻剤、防錆剤、界面活性剤、溶剤、キレート剤、酸剤、アルカリ剤、香料、消臭成分等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することにより、抗菌効果、防藻効果、防錆効果、洗浄効果、芳香性、消臭性等を付与するようにしてもよい。
こうして得られた本発明の液状殺菌組成物を、キッチンや浴室の排水口、タイル目地等、細菌やカビの発生しやすい箇所に塗布あるいはスプレーすることで、細菌やカビを効果的に除去することができる。そして、本発明の液状殺菌組成物は、危険で取り扱いにくい次亜塩素酸製剤と異なり、安全に、かつ簡単に施用できるので極めて実用性が高いものである。
また、本発明の液状殺菌組成物は、カチオン系殺菌剤と、殺菌効力増強剤として特定のグリコールエーテル系化合物を水に配合するだけの、非常に単純な組成である。そのため、製造が簡便なうえ、多くの殺菌剤で問題となる皮膚への刺激性も小さく、安全性が極めて高いものである。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
[試験液の調製]
(A)カチオン系殺菌剤として、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド(商品名:ハイジェニアS100、タマ化学工業社製)、塩化ベンザルコニウム(商品名:カチオンF2−50R、日油社製)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム(商品名:アーカード210−80E、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、(B)グリコールエーテル(殺菌効力増強剤)として、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(商品名:ダワノールDPnP、ダウ・ケミカル日本社製)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ダワノールPnB、ダウ・ケミカル日本社製)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ダワノールDPnB、ダウ・ケミカル日本社製)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ダワノールTPnB、ダウ・ケミカル日本社製)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルカルビトール、和光純薬工業社製)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(商品名:ダワノールDPM、ダウ・ケミカル日本社製)を表1に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100重量%として試験液(本発明1〜10)を得た。
(A)カチオン系殺菌剤として、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、(B)グリコールエーテル(殺菌効力増強剤)として、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを表2および表3に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100重量%として試験液(比較例1〜17)を得た。
[殺菌効果の確認試験(Staphylococcus aureus)]
本発明、比較例の試験液900μLに、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の培養液100μLを接種し、よく攪拌した後、混合液をSCDLP培地で100倍希釈した。接種から希釈までの時間は1分間とした。この希釈液を滅菌済みのプラスチックシャーレに1mL秤取し、48℃に保温しておいた15mLの寒天培地と混合し、寒天が固まったのを確認後、37℃で培養を行い、発生するコロニー数を計測した。また、対照例(ネガティブコントロール)として試験液の代わりに滅菌水を用いたものも用意した。試験液で処理したものと対照例のコロニー数の比較により除菌率を算出した。
[殺菌効果の確認試験(Cladosporium cladosporioides)]
本発明、比較例の試験液900μLに、黒カビ(C.cladosporioides)の培養液100μLを接種し、よく攪拌した後、混合液をGPLP培地で100倍希釈した。接種から希釈までの時間は1分間とした。この希釈液を滅菌済みのプラスチックシャーレに固化させておいたGPLP寒天培地上に100μL滴下し、コンラージ棒でよく延ばした後、25℃で培養を行い、発生するコロニー数を計測した。また、対照例(ネガティブコントロール)として試験液の代わりに滅菌水を用いたものも用意した。試験液で処理したものと対照例のコロニー数の比較により除菌率を算出した。
評価基準としては、除菌率が99%以上の場合を○、除菌率が50%〜99%の場合を△、除菌率が50%未満の場合(対照例と同等)を×とした。殺菌効果の試験結果を試験液の配合と併せて表1〜表3に示す。
Figure 0006578152
Figure 0006578152
Figure 0006578152
注1:グリコールエーテル(B)の括弧内の数字は、20℃の水100gに対する溶解度(g/100g−H2O)を示す。
注2:1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド
注3:塩化ベンザルコニウム
注4:塩化ジデシルジメチルアンモニウム
注5:SA;S.aureus、CC;C.cladosporioides
表1に示すように、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド(以下、BBBと略す)、塩化ベンザルコニウム(以下、BCと略す)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム(以下、DDACと略す)から選ばれる1種以上のカチオン系殺菌剤と、20℃の水100gに対する溶解度が1g以上20g以下であるジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上のグリコールエーテル系化合物とを配合した本発明1〜10では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、黒カビ(C.cladosporioides)のいずれに対しても除菌率が99%以上となり、短時間(1分間)の処理で細菌、黒カビが完全に死滅した。
また、BBBの配合量が0.3質量%である本発明5、およびDDACの配合量が0.001質量%である本発明8、9の結果より、カチオン系殺菌剤の配合量が0.001質量%以上0.3質量%以下の範囲で十分な殺菌効果が認められた。
また、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルの配合量が1質量%である本発明5、およびジプロピレングリコールモノプロピルエーテルの配合量が10質量%である本発明8の結果より、グリコールエーテル系化合物の配合量が1質量%以上10質量%以下の範囲で十分な殺菌効力増強効果が認められた。
また、カチオン系殺菌剤(A)に対するクリコールエーテル系化合物(B)の配合比率(B/A)が3.3である本発明5、および配合比率(B/A)が10000である本発明8の結果より、カチオン系殺菌剤に対するグリコールエーテル系化合物の配合比率が3.3以上10000以下の範囲で十分な殺菌効力増強効果が認められた。
これに対し、表2、3に示すように、BBB、BC、DDACのみを配合した比較例1、2、6、8〜10では、除菌率が50%〜99%となり、殺菌効果が十分でなかった。また、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルのみを配合した比較例3〜5、7、11〜13では除菌率が50%以下であり、対照例と同等であった。
本発明1〜6、10と比較例1、2、6、8、本発明7と比較例9、本発明8、9と比較例10の比較より、カチオン系殺菌剤であるBBB、BC、DDACのみを配合した比較例1、2、6、8〜10では即効性のある十分な殺菌効果は認められなかったが、比較例1、2、6、8〜10と同量のBBB、BC、DDACと共に、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルのいずれかを配合した本発明1〜10では、即効的な殺菌効果が得られることが確認された。
また、本発明1〜10と比較例3〜5、7、11〜13の比較より、本発明1〜10と同量のジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルのいずれかを単独で配合した比較例3〜5、7、11〜13では殺菌効果は認められなかった。以上の結果から、20℃の水100gに対する溶解度が1g以上20g以下のグリコールエーテル系化合物は、化合物自体には殺菌効果が認められないものの、カチオン系殺菌剤と共に配合することで、カチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として作用することが確認された。
一方、表3に示すように、カチオン系殺菌剤であるBBB、DDACと、20℃の水100gに対する溶解度が20gを超えるジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルとを配合した比較例14、15では、除菌率が50%〜99%となり、殺菌効果はBBB、DDACのみを配合した比較例1、10と同等であった。また、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのみを配合した比較例16、17の試験液では除菌率が50%以下であり、対照例と同等であった。
本発明1、3、4、8、9と比較例14〜17の比較より、20℃の水100gに対する溶解度が20gを超えるグリコールエーテル系化合物は、化合物自体に殺菌効果は認められず、且つ、BBB、DDACと共に配合しても殺菌効力増強剤として作用しないことが確認された。
[浴室用殺菌洗浄剤の作製]
カチオン系抗菌剤として1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドを0.1質量%、グリコールエーテル系化合物としてジプロピレングリコールモノブチルエーテルを4質量%、ベタイン型両性界面活性剤として、ラウリルアミドプロピルベタインを3質量%、有機酸成分として乳酸を1質量%加えたものに、最終的にバランスとして水を加えて100質量%に調製し、よく混合して浴室用殺菌洗浄剤を作製した。
作製された浴室用殺菌洗浄剤を、トリガースプレー(1回の吐出量が約0.7cc)を用いて、汚れのあるユニットバス浴槽に適量噴霧後、スポンジを用いて擦り洗浄を行い、水洗した結果、泡切れもよく、汚れがほとんど落ちた。さらに、浴室用殺菌洗浄剤を浴槽の排水溝に適量噴霧しておいたところ、それまでは常に発生が認められていた雑菌の繁殖によるピンク色のヌメリが3日後も認められなかった。
本発明は、カチオン系殺菌剤の殺菌効力を顕著に向上させることができ、安全性にも優れた殺菌効力増強方法、および液状殺菌組成物であり、特にキッチンや浴室等で使用される殺菌洗浄剤として好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 殺菌効力増強剤として、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれるグリコールエーテル系化合物の1種以上を用いた、
    カチオン系殺菌剤である、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムから選ばれる1種以上を有効成分とする液状殺菌組成物の殺菌効力増強方法
  2. 前記カチオン系殺菌剤に対する前記グリコールエーテル系化合物の配合比率が3.3以上10000以下であることを特徴とする請求項1に記載の殺菌効力増強方法
  3. 前記液状殺菌組成物に対する前記グリコールエーテル系化合物の配合量が1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の殺菌効力増強方法
  4. カチオン系殺菌剤として、1,4−ビス(3,3’−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドと、
    前記カチオン系殺菌剤の殺菌効力増強剤として、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上のグリコールエーテル系化合物と、
    を含有する液状殺菌組成物
  5. 前記カチオン系殺菌剤に対する前記グリコールエーテル系化合物の配合比率が3.3以上500以下であることを特徴とする請求項4に記載の液状殺菌組成物
  6. 前記カチオン系殺菌剤の配合量が0.01質量%以上0.3質量%以下であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液状殺菌組成物。
  7. 前記グリコールエーテル系化合物の配合量が1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の液状殺菌組成物。
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