JP2014047232A - 構造色発現用組成物及び構造色発現膜 - Google Patents

構造色発現用組成物及び構造色発現膜 Download PDF

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Abstract

【課題】
鮮明な構造色を有し、且つ高温環境下に保持しても鮮明な構造色を維持することが可能な構造色発現膜、及び、該構造色発現膜を容易に形成可能な構造色発現用組成物を提供すること。
【解決手段】
コアシェル構造を有する共重合体粒子を含有する組成物であって、共重合体粒子のコア部が、1分子中に互いに非共役な2つ以上の二重結合を有する架橋性単量体で架橋された樹脂(b)を含有し、樹脂(b)が、架橋性単量体に由来する構造単位を、樹脂(b)の全量基準で0.01質量%以上6.2質量%以下の割合で含み、共重合体粒子の数平均粒子径が、0.05μm以上1μm以下であり、共重合体粒子におけるコア部とシェル部の屈折率差が0.01以上である、構造色発現用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造色発現用組成物及び構造色発現膜に関する。
形状及び大きさの均一な粒子が3次元的に規則配列した塗膜は、ブラッグ反射により特定波長域の光を選択的に反射することが知られている。特に粒子間隔が可視光の波長範囲である場合、目視で構造色を確認することができる。この構造色は、見る角度によって色相が変化するという特徴がある。また、構造色は、色素や顔料とは異なる色彩効果を示し、退色しないという特徴から、色材、フォトニック結晶、光センサー、光フィルター等への応用が期待されており、種々の構造色発現体とそれを含む塗膜の製造方法が研究されてきた。
特許文献1には、コア部及びシェル部からなるコアシェル微粒子を含む構造色塗膜形成塗料組成物であって、これを塗装して得られた塗膜を乾燥・加熱しても変形も流動もしない単分散のコア部が、シェル部中に規則的に配列して構造色を呈すると開示されている。
特開2009−249527号公報
しかし、特許文献1に記載の構造色塗膜形成塗料組成物では、粒度分布幅の拡大やコア粒子の異形化によって、構造色が十分に発現しない、又は構造色が発現しなくなるという問題が生じるおそれがある。
本発明は、鮮明な構造色を有し、且つ加熱・加圧条件下に保持しても鮮明な構造色を維持することが可能な構造色発現膜、及び、該構造色発現膜を容易に形成可能な構造色発現用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、コアシェル構造を有する共重合体粒子のコア部を、所定量の架橋性単量体で架橋された樹脂を含有するものとした上で、さらに共重合体粒子の数平均粒子径を所定の範囲内とすることによって、鮮明な構造色を発現する構造色発現膜が得られることを見出した。
すなわち本発明は、下記のとおりである。
[1]コアシェル構造を有する共重合体粒子を含有する組成物であって、上記共重合体粒子のコア部が、1分子中に互いに非共役な2つ以上の二重結合を有する架橋性単量体で架橋された樹脂(b)を含有し、上記樹脂(b)が、上記架橋性単量体に由来する構造単位を、上記樹脂(b)の全量基準で0.01質量%以上6.2質量%以下の割合で含み、上記共重合体粒子の数平均粒子径が、0.05μm以上1μm以下であり、上記共重合体粒子におけるコア部とシェル部の屈折率差が0.01以上である、構造色発現用組成物。
[2]上記共重合体粒子における上記シェル部の総量が、上記共重合体粒子の全量基準で30質量%以上95質量%以下である、[1]に記載の構造色発現用組成物。
[3]上記共重合体粒子を分散させる分散媒を更に含有する、[1]又は[2]に記載の構造色発現用組成物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の構造色発現用組成物から形成される、構造色発現膜。
[5]上記シェル部に由来するマトリックス材料と、上記マトリックス材料中に分散した上記コア部に由来するコア粒子と、を含有する、[4]に記載の構造色発現膜。
本発明によれば、鮮明な構造色を有し、且つ加熱・加圧下に保持しても鮮明な構造色を維持することが可能な構造色発現膜、及び、該構造色発現膜を容易に形成可能な構造色発現用組成物を提供することができる。
本発明の構造色発現用組成物及び構造色発現膜の一態様を示す模式断面図である。 真球状のコア粒子の一例を示す図である。 異形化したコア粒子の一例を示す図である。
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
(共重合体粒子)
本実施形態に係る共重合体粒子は、コアシェル構造を有する。ここで、「コアシェル構造を有する」は、「コア部と該コア部を被覆するシェル部とを有する」と言い換えることもできる。
本実施形態において、共重合体粒子のコア部は、1分子中に互いに非共役な2つ以上の二重結合を有する架橋性単量体で架橋された樹脂(以下、場合により「樹脂(b)」という。なお、本明細書中、樹脂はいわゆるゴム成分を含む。)を含有する。また、樹脂(b)は、架橋性単量体に由来する構造単位を、樹脂(b)の全量基準で0.01質量%以上6.2質量%以下の割合で含む。
また、本実施形態において、共重合体粒子の数平均粒子径は0.05μm以上1μm以下であり、共重合体粒子におけるコア部とシェル部の屈折率差は0.01以上である。
なお、共重合体粒子のコア部は、シード粒子を覆うように形成されたものであってもよい。すなわち、共重合体粒子は、シード粒子と、該シード粒子を被覆するコア部と、該コア部を被覆するシェル部とを有するものであってもよい。このとき、後述するコア粒子は、シート粒子とコア部とから形成される。
<粒子径、変動係数>
本明細書中、数平均粒子径は、動的光散乱法により測定される数平均粒子径であり、例えば日機装株式会社製のMICROTRAC UPA−150により測定できる。
上述のとおり、共重合体粒子の数平均粒子径は、0.05μm以上1μm以下である。このような共重合体粒子により形成された構造色発現膜では、ブラックの反射条件に則り、規則的に配列したコア部で反射された光が干渉、回折を起こし、鮮明な構造色が発現する。構造色発現膜で発現する構造色は、共重合体粒子の数平均粒子径に依存して変化する。すなわち、共重合体粒子の数平均粒子径を調整することにより、構造色発現膜で発現する構造色を調整することができる。
数平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率で示されるCv値(変動係数)は、30%以下であることが好ましい。Cv値は、Cv[%]=(σ/D)×100(σ:標準偏差、D:平均粒子径)で得られる値であり、この値が小さいほど粒子サイズが均一であることを示す。上記Cv値が30%以下であると、シェル部が最密充填した塗膜を形成させることができ、コア部がより規則的に配列した構造色発現膜を得ることができる。
<屈折率>
コア部とシェル部の屈折率差は、コア部を構成する樹脂成分の屈折率値とシェル部を構成する樹脂成分の屈折率値との差分であり、屈折率値はアッベ屈折率計により測定できる。コア部とシェル部の屈折率差が0.01以上であると、構造色発現膜において、光の透過が抑制され、目視で構造色を確認できる程度の充分な可視光の反射が起こる。
屈折率差の上限値は特に限定されるものではないが、一般に高分子樹脂の光学屈折率の上限が1.82程度で、空気(または真空)の屈折率が1.0であることから屈折率差の上限値は0.82であると考えられる。なお、共重合ポリマーの屈折率nには、下記式(1)で表されるグラッドストーン・デイルの関係式が成立することが知られている。
式(1)中、νは各単量体のホモポリマーの共重合体ポリマー全体に対する体積分率を示し、nは各単量体のホモポリマーの屈折率を示す。本実施形態においては、式(1)により算出される屈折率の差が、0.01以上となるように、コア部及びシェル部を構成する樹脂の製造に用いる単量体を選択することができる。
コア部とシェル部の屈折率差は、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.03以上である。
上述の屈折率差を達成する手法としては、例えば、コア部を構成する樹脂成分を、スチレン系単量体93.8〜99.9%及び架橋性単量体0.1〜6.2質量%とから得られる樹脂とし、シェル部を構成する樹脂成分を、スチレン系単量体よりもホモポリマーの屈折率の低いアクリル系単量体100%から得られる共重合体樹脂とする手法が挙げられる。また、コア部を構成する樹脂成分を、アクリル系単量体93.8〜99.9%及び架橋性単量体0.1〜6.2質量%から得られる樹脂とし、シェル部を構成する樹脂成分を、アクリル系単量体よりもホモポリマーの屈折率の高いスチレン系単量体100%から得られる共重合体樹脂とする手法によっても、上述の屈折率差は達成できる。
<コア部>
共重合体粒子のコア部は、1分子中に互いに非共役な2つ以上の二重結合を有する架橋性単量体で架橋された樹脂(b)を含有し、樹脂(b)は架橋性単量体に由来する構造単位を、樹脂(b)の全量基準で0.01質量%以上6.2質量%以下の割合で含む。コア部が樹脂(b)を含有することにより、コア粒子の異形化及び粒度分布幅の拡大が十分に抑制される。
架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等の多官能ビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等の多官能(メタ)アクリル酸エステル酸誘導体;などが挙げられる。
樹脂(b)における架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、0.01質量%以上6.2質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上4.0質量%以下である。
すなわち、樹脂(b)製造時の架橋性単量体の使用量は、単量体全量に対して、0.01質量%以上6.2質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上4.0質量%以下である。
上記のように架橋性単量体に由来する構造単位の含有量を調整することにより、構造色発現膜におけるコア粒子が、圧力や加熱の影響(例えば、圧力・加熱による形状変化)を受け難くなる。すなわち、上記のように架橋剤の含有量を調整することにより、圧力・加熱等によるコア粒子の形状変化を十分に抑制することができると推定される。また、コア粒子が真球状の形状を維持して規則的に配列して固定化され、固定化後もその形状が維持されるため、良好な耐熱性を有し、美しい構造色を有する構造色発現膜が得られると考えられる。
コア部を構成する樹脂成分は、樹脂(b)以外の成分を有していてもよい。例えば、樹脂成分は、共役ジエンで架橋された樹脂を含有していてもよく、架橋構造を有しない樹脂、すなわち、本明細書で例示する単量体のうち架橋剤(架橋性単量体及び共役ジエン)以外の単量体から得られる樹脂を含有していてもよい。
コア部を構成する樹脂成分の全量基準で、樹脂(b)の含有量は、10質量%以上であることが好ましくは20質量%以上であることがより好ましい。また、コア部は、樹脂(b)から構成されていてもよい(すなわち、樹脂(b)の含有量が100質量%であってもよい。)。
コア部の数平均粒子径は、0.03μm以上0.8μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.7μm以下であることがより好ましい。このような平均粒子径を有するコア部によれば、一層良好な構造色が発現される。
コア部の数平均粒子径のCv値(変動係数)は、80%以下であることが好ましい。コア部のCv値が80%以下であると、一層良好な構造色が発現される。
<シェル部>
共重合体粒子のシェル部は、後述する樹脂形成単量体から得られる樹脂(以下、場合により「樹脂(a)」という。)を含有する。
樹脂(a)は架橋剤で架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、上述の架橋性単量体を用いることができる。また、架橋剤としては、共役ジエンを用いることもできる。
シェル部が共役ジエンで架橋された樹脂(a)を含有することで、柔軟性・可撓性に優れた構造色発現膜が得られるようになり、このような構造色発現膜は、例えば巻き取って保管することが可能となる。
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、クロロプレンが挙げられ、これらの中でも1,3−ブタジエンが好ましい。
樹脂(a)が共役ジエンで架橋されているとき、樹脂(a)は、共役ジエンに由来する構造単位を、樹脂(a)の全量基準で0.2質量%以上60質量%以下の割合で含むことが好ましい。共役ジエンに由来する構造単位の含有量は、より好ましくは0.6質量%以上57質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以上50質量%以下である。
すなわち、樹脂(a)を共役ジエンで架橋するとき、樹脂(a)製造時の共役ジエンの使用量は、単量体全量に対して、好ましくは0.2質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以上57質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以上50質量%以下である。
シェル部を構成する樹脂成分は、樹脂(a)以外の成分を含有してもよい。例えば、樹脂成分は、(メタ)アクリル酸エステルやスチレン等のモノエチレン系単量体から得られる共重合体等を含有していてもよい。
シェル部を構成する樹脂成分の全量基準で、樹脂(a)の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、シェル部は、樹脂(a)から構成されていてもよい(すなわち、樹脂(a)の含有量が100質量%であってもよい。)。
<コアシェル比>
シェル部を構成する樹脂成分の量は、共重合体粒子を構成する樹脂成分の全量基準で、30質量%以上95質量%以下であることが好ましく、40質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
シェル部を構成する樹脂成分の量が30質量%以上であると、構造色発現膜の製造時に規則的に配列したコア部間の空隙を埋めやすくコア部を固定化しやすいため、コア部の配列を乱すことなく構造色発現膜を成膜することができる。また、シェル部を構成する樹脂成分の量が95質量%以下であると、構造色発現膜の製造時に、コア部を適当な間隔をもって配列させることができ、得られた構造色発現膜が、入射した光を十分反射させることができ、美しい構造色を目視で確認できるものとなる。
<コアとシェルのTg>
コア部を構成する樹脂成分及びシェル部を構成する樹脂成分のTg(ガラス転移温度)は、特に限定されないが、シェル部を構成する樹脂成分のTgが、コア部を構成する樹脂成分のTgより低いことが好ましい。
例えば、コア部を構成する樹脂成分のTgが50℃以上の高Tgであり、シェル部を構成する樹脂成分のTgが40℃以下の低Tgであると、コア部の変形や流動を生じさせることなくシェル部を流動させることができるため、コア部の形状を維持したままコア部の固定化を行うことができる。
<コア部及びシェル部形成単量体>
コア部及びシェル部を構成する樹脂を得るための単量体(以下、「樹脂形成単量体」と称する。)は、上述の樹脂(b)のための架橋性単量体以外は特に制限されず、コア部とシェル部との屈折率差が0.01以上となるように適宜選択することができる。
樹脂形成単量体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。樹脂形成単量体としては、例えば、スチレン系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、ヒドロキシアルキル基を有する不飽和単量体、シアン化ビニル単量体が挙げられる。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。この中でもスチレンが好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸が挙げられ、これらの無水物を用いることもできる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。この中でもメタクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸エステル単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。この中でもメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましい。
ヒドロシキアルキル基を有する不飽和単量体としては、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。この中でも2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。この中でもアクリロニトリルが好ましい。
さらに、上記の他に、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の塩基性単量体;塩化ビニル;塩化ビニリデン;等も使用することができる。
上記の単量体は、コア部とシェル部の屈折率差が0.01以上であることを満足しさえすれば、コア部とシェル部で同じ単量体を用いてもよい。また、上記の単量体の中でも成膜性の観点からは、コア部に用いる樹脂形成単量体が、スチレン、メチルメタクリレート及びジビニルベンゼンを含み、シェル部に用いる樹脂形成単量体がn−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリル酸を含むことが好ましい。例えば、コア部を形成するための樹脂形成単量体の配合比は、共重合体粒子の全量基準で、スチレン1〜39質量%、メチルメタクリレート1〜39質量%、ジビニルベンゼン0.1〜2質量%、これらと共重合可能な他の単量体0.1〜10質量%とすることが好ましく、シェル部を形成するための樹脂形成単量体の配合比は、共重合体粒子の全量基準で、n−ブチルアクリレート5〜20質量%、メチルメタクリレート1〜20質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート1〜10質量%、メタクリル酸1〜10質量%、これらと共重合可能な他の単量体5〜15質量%とすることが好ましい。尚、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
<重合方法と平均粒子径>
共重合体粒子は、例えば、上記樹脂形成単量体を用いた乳化重合又はソープフリー乳化重合の多段重合によって調製することができる。また、乳化重合時には適当なシード粒子を用いることもできる。シード粒子の重合には通常の乳化重合を用いることができる。例えば、シード粒子の種類と粒子径、乳化剤の種類、開始剤の種類を適宜選択し、適量用いることにより、共重合体粒子の平均粒子径を均一かつ適当な変動係数に調節できる。ここで、上記平均粒子径とは数平均粒子径のことである。
(共重合体粒子の製造方法)
以下、共重合体粒子の製造方法について説明する。
共重合体粒子は、上述した樹脂形成単量体(架橋剤を含む)を乳化重合することにより製造することができる。重合時には適当なシード粒子を用いることができ、シード粒子も公知の乳化重合で製造することができる。また、乳化重合に際しては公知の方法を採用することができ、水性媒体中で、乳化剤、重合開始剤のほか、分子量調整剤などを適宜用いて行うことができる。
<乳化剤>
使用する乳化剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。乳化剤の使用量は、目的とする粒子の大きさに応じて当業者に知られた手法により適宜決定される。
<重合開始剤>
重合開始剤としては過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始;過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイドなどの油溶性重合開始剤;還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが挙げられる。これらは単独であるいは組み合わせて使用できる。
<分子量調整剤>
共重合体粒子のシェル部重合時に、必要に応じて分子量調整剤を添加して分子量を低下させることにより、被塗装物に対する接着性を向上させることができる。分子量調整剤としては、3−クロロベンゼンチオール、四塩化炭素、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。この中でも特に、t−ドデシルメルカプタンがよい。分子量調整剤の使用量は成膜性の観点からは、共重合体粒子を形成する全単量対に対して0質量部以上3質量部以下が好ましい。
(構造色発現用組成物)
本実施形態に係る構造色発現用組成物は、上記共重合体粒子を含有する。
構造色発現用組成物は、共重合体粒子を分散させる分散媒をさらに含んでいてもよい。すなわち、構造色発現用組成物は、分散媒と、該分散媒中に分散した共重合体粒子とを含有する組成物であってもよい。分散媒は、水系溶媒であることが好ましく、例えば、水、水にエタノール等の親水性溶媒を加えた水性溶媒などを好適に用いることができる。水系溶媒に共重合体粒子が分散した構造色発現用組成物は、ラテックスということもできる。
構造色発現用組成物は、必要に応じて、防腐剤、界面活性剤、成膜助剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乳化剤等をさらに含有していてもよい。
構造色発現用組成物中の共重合体粒子の含有量は、固形分の全量基準で90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
また、構造色発現用組成物中の固形分量は、被塗装物の種類、所望の構造色発現膜の膜厚等に応じて、適宜調整することができる。例えば、固形分量は、構造色発現用組成物の全量基準で5〜65質量%とすることができ、30〜60質量%とすることもできる。
(構造色発現膜)
図1(b)は、本実施形態に係る構造色発現膜の一実施形態を示す模式図である。構造色発現塗膜200は、図1(a)に示す共重合体粒子100を用いて得られる塗膜であって、マトリックス材料11と、マトリックス材料11中に分散したコア粒子21と、を含有する。
マトリックス材料11は、共重合体粒子100のシェル部10が変形(例えば、溶融及び流動)して形成されたものである。マトリックス材料11は、シェル部10を構成する樹脂成分からなり、規則的に配置されたコア粒子21を保持している。コア粒子21は、構造色発現用樹脂100のコア部20に由来する粒子であって、マトリックス材料11中に規則的に配置されている。
構造色発現膜の膜厚は特に限定されるものではないが、10μm〜1000μmが好ましい。
構造色発現膜は、例えば、構造色発現用組成物を被塗装物に塗布した後、必要に応じて加熱等の処理を行い、共重合体粒子のシェル部を変形させることにより形成することができる。構造色発現用組成物が分散媒を含む場合には、例えば、被塗装物に塗布した後、乾燥及び加熱を行ってシェル部を変形ないし溶融・流動させ、構造色発現膜を得ることができる。なお、共重合体粒子のシェル部のガラス転移温度が室温以下である場合には、必ずしも加熱を要さず、構造色発現用組成物を被塗装物に塗布した後、分散媒を室温で乾燥除去して構造色発現膜を得ることもできる。
構造色発現用組成物は、バーコーター塗装、スピンコート塗装、ディップ塗装、アプリケーター塗装、スプレー塗装といった通常用いられる種々の塗装方法により、塗布膜を形成することができる。
例えば、アプリケーター塗装の場合、構造色発現用組成物を固形分40質量%以上(好ましくは、40〜65質量%)に濃縮してから被塗装物に塗布し、適当な条件で乾燥(必要に応じて乾燥及び加熱)して、構造色発現膜を得ることができる。また、スプレー塗装の場合、構造色発現用組成物を固形分20〜60質量%として、被塗装物へ塗装し、適当な条件で乾燥(必要に応じて乾燥及び加熱)して、構造色発現膜を得ることができる。
構造色発現用組成物の塗布膜を乾燥及び加熱する条件は、構造色発現用組成物の固形分濃度、構造色発現用組成物の塗布方法等に応じて適宜選択することができる。
乾燥及び加熱は、別々に行うことも同時に行うこともできる。加熱条件は、シェル部を構成する樹脂成分を溶融させて、共重合体粒子間の間隙を埋めることができる条件であればよい。例えば、加熱温度は、シェル部を構成する樹脂成分のガラス転移温度(以下、場合により「T」という。)以上とすることが好ましい。また、加熱温度は、コア部の形状変化を十分に抑制する観点から、T+150℃以下とすることが好ましく、T+130℃以下とすることがより好ましい。
<被塗装物>
構造色発現組成物を塗布する被塗装物は限定されない。例えば紙、SUS板、アクリル板、電着板が挙げられる。特に被塗装物が予め黒色塗装されていると、光を入射した際に起こる余分な散乱光を除外することができ、反射光だけを受光できるため、構造色がより鮮明に見える。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明の内容を具体的に説明する。なお、質量部は全て固形分換算値とした。
<構造色発現用組成物の調整>
ナスフラスコに、実施例及び比較例で得られたラテックス(固形分18±2質量%)100質量部を入れ、乳化剤0.45質量部を入れて攪拌しながら水酸化カリウム0.7質量部を添加してpH6〜8に調節した。次いで消泡剤0.06質量部を入れた後、ロータリーエバポレーターを用いて固形分43±2質量%に濃縮し、構造色発現用組成物とした。
<塗膜形成方法:アプリケーター塗装>
上記の方法で固形分43±2質量%に調整した濃縮物を、予め黒色塗装された電着板上にアプリケーターを使用して約0.2mmの膜になるように塗装した。塗装後、55℃、RH75%で40分間、加熱乾燥することにより、構造色発現膜を得た。
(評価方法)
<屈折率の測定>
屈折率差は、コア部及びシェル部を構成する樹脂を各々別々に重合し、アッベ屈折率計にて測定した屈折率値の差とした。
<反射光測定方法>
サカタインクス社製のマクベス測色計(CE−741GL)を用いて構造色発現膜の反射率及び色を測定した。受光角度は45°、入射角度は−30°、波長範囲は360〜750nmとした。色は測定により得られた反射ピーク波長を表色系変換した色である。
<色感の評価>
構造色発現膜の発色の印象を以下の評価基準で評価した。
A:色が美しく、色味が強い
B:色がはっきりと識別できる
C:色が相対的に識別できる
D:塗膜が真っ白もしくは透明で色相を確認できない
<成膜性の評価>
構造色発現膜の成膜性について、目視観察及び爪でひっかくことで評価した。評価基準は以下の通りである。
A:均一な塗膜が形成されており、爪で引っ掻いても塗膜が剥がれない
B:均一な塗膜が形成されているが、爪で引っ掻くと塗膜が剥がれる
C:部分的にクラックがはいっており、爪で引っ掻くと塗膜が剥がれる
D:全体に細かく多数のクラックがはいっており、接触しただけで塗膜が剥がれる
<真球状コア粒子の割合>
ラテックス中のコア粒子について、真球状を維持している粒子の割合を評価するため、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1万倍で観測した場合の個々の粒子を、真球状粒子と異形化粒子とに区別して各粒子の総数を数え、その割合を算出した。評価基準は以下の通りとした。
A:真球状粒子の割合が全体の90%以上
B:真球状粒子の割合が全体の80%以上90%未満
C:真球状粒子の割合が全体の70%以上80%未満
D:真球状粒子の割合が全体の70%未満
(実施例1)
反応器に、水300質量部、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.01質量部、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.01質量部、シード粒子(粒子径35nmのポリスチレン粒子)0.28質量部を仕込み、混合攪拌しながら約80℃に加温した。この溶液に、スチレン35質量部、メチルメタクリレート13.5質量部、ジビニルベンゼン1.5質量部からなる混合液1を120分間かけて添加し、同時に水100質量部、水酸化ナトリウム0.1質量部、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.01質量部、過硫酸ナトリウム0.7質量部からなる混合液2を300分間かけて添加した。混合液1を添加終了後30分が経過した時点で、形成されたコア粒子を少量採取し、粒子径を測定した。
混合液1を添加終了後、60分が経過した時点で、メチルメタクリレート20質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート6質量部、ブチルアクリレート15質量部、メタクリル酸6質量部、グリシジルメタクリレート3質量部、t−ドデシルメルカプタン0.2質量部からなる混合液3を100分間かけて添加した。
混合液2を添加終了後、攪拌しながら30分間かけて95℃に昇温し、1時間保持した後室温に冷却して、共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は50質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は238nm、変動係数は13%であった。コア部のみの粒子径は181nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜は色味が強く美しい紫青色の構造色を示し、表面が均一な状態で成膜した。図2に真球状の形状が維持されたコア粒子の代表的な観察結果(SEMによる観察結果)を示す。実施例1でも図2と同様の観察結果が得られた。
(実施例2)
実施例1の混合液1の組成を、スチレン35質量部、メチルメタクリレート14.9質量部、ジビニルベンゼン0.1質量部とした以外は実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は50質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は234nm、変動係数は12%であった。コア部のみの粒子径は186nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜はやや色味の弱い紫青色の構造色を示し、表面が均一な状態で成膜した。
(実施例3)
実施例1の混合液1の組成を、スチレン35質量部、メチルメタクリレート13質量部、ジビニルベンゼン2質量部とした以外は実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は50質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は235nm、変動係数は13%であった。コア部のみの粒子径は184nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜は色味がはっきりとした紫青色の構造色を示し、表面が均一な状態で成膜した。
(実施例4)
実施例1のシード量を0.21質量部に、混合液1の組成をスチレン35質量部、メチルメタクリレート11.8質量部、ジビニルベンゼン3質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は50質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は288nm、変動係数は15%であった。コア部のみの粒子径は230nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜はやや色味の薄い青色の構造色を示し、表面が均一だが、爪で引っ掻くと剥がれる程度に成膜した。
(実施例5)
実施例1の混合液1の組成をスチレン2.8質量部、メチルメタクリレート1.2質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.02質量部に変更し、混合液3の組成をブタジエン2.5質量部、メチルメタクリレート22.5質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート16質量部、ブチルアクリレート38.7質量部、メタクリル酸11.4質量部、グリシジルメタクリレート4.8質量部、t−ドデシルメルカプタン0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は96質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は339nm、変動係数は12%であった。コア部のみの粒子径は126nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜はやや色味の薄い緑色の構造色を示し、表面が均一な状態で成膜した。
(実施例6)
実施例1の混合液1の組成をスチレン49.6質量部、メチルメタクリレート20.9質量部、ジビニルベンゼン0.4質量部に変更し、混合液3の組成をメチルメタクリレート7.5質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4.7質量部、ブチルアクリレート11.8質量部、メタクリル酸3.5質量部、グリシジルメタクリレート1.5質量部、t−ドデシルメルカプタン0.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は29質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は342nm、変動係数は13%であった。コア部のみの粒子径は301nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜は色味が強く美しい赤橙色の構造色を示し、部分的にクラックが入った状態で成膜し、爪で引っ掻くと剥がれた。
(比較例1)
実施例1の混合液1の組成をスチレン35質量部、メチルメタクリレート11.5質量部、ジビニルベンゼン3.5質量部に変更し、混合液3の組成をメチルメタクリレート20質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート6質量部、ブチルアクリレート15質量部、メタクリル酸6質量部、グリシジルメタクリレート3質量部、t−ドデシルメルカプタン0.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は50質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は233nm、変動係数は13%であった。コア部のみの粒子径は185nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜は白色で構造色を確認できず、部分的にクラックが入っており、爪で引っ掻くと剥がれた。なお、図3に、構造色を発現しない異形化したコア粒子の観察結果(SEMによる観察結果)を示す。比較例1でも図3と同様の観察結果が得られた。
(比較例2)
実施例1の混合液1の組成をスチレン35質量部、メチルメタクリレート21質量部、アクリル酸1質量部に変更し、混合液3の組成を1,3−ブタジエン7.5質量部、メチルメタクリレート11.3質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート7質量部、ブチルアクリレート10質量部、メタクリル酸5質量部、グリシジルメタクリレート2質量部、t−ドデシルメルカプタン0.2質量部に変更した以外は実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は43質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は237nm、変動係数は13%であった。コア部のみの粒子径は185nmであった。また、屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜は透明で構造色を確認できず、部分的にクラックが入っており、爪で引っ掻くと剥がれた。
(比較例3)
ソープフリー重合で実施例1の混合液1と同じ組成で808nmの粒子を作成し、これをコアとして実施例1の混合液3と同じ組成でシェルを重合して、共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は50質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は1007nm、変動係数は14%であった。屈折率はコア部が1.56、シェル部が1.48で、その差は0.08であった。塗膜は白色で構造色を確認できず、部分的にクラックが入っており、爪で引っ掻くと剥がれた。
(比較例4)
実施例1の混合液1の組成をスチレン26質量部、メチルメタクリレート6質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート6質量部、ブチルアクリレート6質量部、メタクリル酸3質量部、グリシジルメタクリレート2.8質量部、t−ドデシルメルカプタン0.2質量部に変更し、混合液3の組成を混合液1の組成にt−ドデシルメルカプタン0.2質量部を加えた組成としたこと以外は、実施例1と同様にして共重合体粒子を含むラテックスを得た。共重合体粒子を形成する単量体全質量に対するシェル部の質量%は50質量%である。
得られた共重合体粒子は、粒子径は235nm、変動係数は13%であった。コア部のみの粒子径は184nmであった。また、屈折率はコア部が1.55、シェル部が1.55で、その差は0であった。塗膜は透明で構造色を確認できず、細かいクラックが多数入っており、爪で引っ掻くと剥がれた。
実施例及び比較例で得られた共重合体粒子及び構造色発現膜の評価結果を表1及び表2に示す。
本実施形態の構造色発現組成物は、コア部の架橋剤使用量を制限することでコア粒子の球の形状が維持されるため、シェル部中でコア粒子が規則的に配列する。これにより、色味のはっきりとした意匠性が高い構造色が得られる。従来の方法では、球状粒子を配列させるために別の固定剤を用いたり、2種類以上のポリマーを交互積層させて構造色発現体を調整する必要がある。これらと比較して、本実施形態の構造色発現組成物は、他の固定剤を使用せずにコア部の配列を乱すことなく、1液で様々な形状の被塗物への直接塗装が可能であるという利点がある。また、色素など光の吸収による色材と違い、物理的な発色であるため、退色しにくいという特性もある。以上のことから、本実施形態の構造色発現組成物は意匠性が高い色材として、車の外装や建築物への塗装への利用が可能である。
10…シェル部、11…マトリックス材料、20…コア部、21…コア粒子、100…共重合体粒子、200…構造色発現膜。

Claims (5)

  1. コアシェル構造を有する共重合体粒子を含有する組成物であって、
    前記共重合体粒子のコア部が、1分子中に互いに非共役な2つ以上の二重結合を有する架橋性単量体で架橋された樹脂(b)を含有し、
    前記樹脂(b)が、前記架橋性単量体に由来する構造単位を、前記樹脂(b)の全量基準で0.01質量%以上6.2質量%以下の割合で含み、
    前記共重合体粒子の数平均粒子径が、0.05μm以上1μm以下であり、
    前記共重合体粒子におけるコア部とシェル部の屈折率差が0.01以上である、構造色発現用組成物。
  2. 前記共重合体粒子における前記シェル部の総量が、前記共重合体粒子の全量基準で30質量%以上95質量%以下である、請求項1に記載の構造色発現用組成物。
  3. 前記共重合体粒子を分散させる分散媒を更に含有する、請求項1又は2に記載の構造色発現用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造色発現用組成物から形成される、構造色発現膜。
  5. 前記シェル部に由来するマトリックス材料と、前記マトリックス材料中に分散した前記コア部に由来するコア粒子と、を含有する、請求項4に記載の構造色発現膜。
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