JP2014044829A - 微小構造物の製造装置、及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一定の角度を有する微小構造物をより確実に製造する製造装置及び微小構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】集束イオンビーム14を被照射物8の表面に照射するイオン銃4と、前記集束イオンビーム14が照射される領域に原料ガスを供給するガス供給部9と、前記集束イオンビーム14を走査する走査偏向器6とを備える微小構造物の製造装置1において、前記集束イオンビーム14の照射量を制御する照射量制御部10を備え、前記照射量制御部10は、前記集束イオンビームに起因する電気特性を測定する測定部11を有し、前記電気特性が所定の範囲内となるように前記集束イオンビーム14の照射量を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、外形の大きさが数μmからnm程度の微小構造物を、集束イオンビーム法を用いて製造する製造装置及び製造方法に関する。
微小構造物は、例えばギア、ベローズの他、顕微鏡試料の加工に用いられるナイフや、ドリル、スプリングコイル、プローブ顕微鏡の触針などがある。このような微小構造物を作製するには、高精度な作製技術が必要である(非特許文献1)。CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて微小構造物を作製する方法としては、光(レーザー)、集束電子ビーム、集束イオンビームを用いた三種類の方法がある。
例えば、特許文献1及び非特許文献2に開示されている集束イオンビーム化学気相成長法(Focused-Ion-Beam Chemical Vapor Deposition: FIB-CVD)は、三次元微小構造物の作製に有望なツールとして期待されている。
FIB-CVDは、原料ガスを変えることでさまざまな材料からなる構造を作製できる点、高い自由度の三次元微小構造物を作製できる点、集束イオンビームの照射位置を変える等によりさまざまな位置に構造を作製できる点、などの特徴を有する。
特開2001−107252号公報
T. Morita, et. al.: J. Vac. Sci. Technol. B 21, 2737 (2003). S. Matsui, et. al.:J. Vac. Sci. Tech. B 18, 3181 (2000). R. Kometani, et.al.: Microelec. Eng. 87, 1044 (2010).
しかしながら、上記従来のFIB-CVDでは、ガス密度の不均一性、構造物における熱累積・電荷累積等の影響により、微小構造物の成長は一定の長さ(通常は2-3ミクロン程度)以上になると、微小構造物の中心部と端部とで成長率が異なるため、一定の角度を有する微小構造物を作製することが困難であるという問題があった(上記非特許文献3)。
そこで本発明は、一定の角度を有する微小構造物をより確実に製造する製造装置及び微小構造物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る微小構造物の製造装置は、集束イオンビームを被照射物の表面に照射するイオン銃と、前記集束イオンビームが照射される領域に原料ガスを供給するガス供給部と、前記集束イオンビームを走査する走査偏向器とを備える微小構造物の製造装置において、前記集束イオンビームの照射量を制御する照射量制御部を備え、前記照射量制御部は、前記集束イオンビームに起因する電気特性を測定する測定部を有し、前記電気特性が所定の範囲内となるように前記集束イオンビームの照射量を制御することを特徴とする。
本発明に係る微小構造物の製造方法は、集束イオンビームを被照射物の表面に照射する工程と、前記集束イオンビームが照射される領域に原料ガスを供給する工程と、前記集束イオンビームを走査する工程とを備える微小構造物の製造方法において、前記集束イオンビームの照射量を制御する工程を備え、前記集束イオンビームの照射量を制御する工程は、前記集束イオンビームに起因する電気特性を測定する工程と、前記電気特性が所定の範囲内となるように前記集束イオンビームの照射量を制御する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、照射量制御部において二次電子による電気特性が所定の範囲内となるように集束イオンビームの照射量を制御しながら、集束イオンビームを走査することにより、一定の角度を有する微小構造物をより確実に形成することができる。
本実施形態に係る製造装置の全体構成を示す模式図である。 本実施形態に係るFIB-CVDの原理を示す模式図である。 本実施形態に係る微小構造物の成長時間と、基板電流及び二次電子量の関係を示したグラフである。 本実施形態に係る微小構造物の成長角度と、基板電流の関係を示したグラフである。 本実施形態に係る微小構造物の成長角度のバリエーションを示す模式図である。 庇状部を水平方向に成長させるための条件を検討した実施例を示す図であり、図6Aは微小構造物のSEM画像、図6Bは成長時間と基板電流の関係を示すグラフである。 走査時間を制御して形成した実施例を示す図であり、図7Aは微小構造物のSEM画像、図7Bは成長時間と基板電流及び走査速度の関係を示すグラフである。 走査時間を制御せずに形成した比較例を示す図であり、図8Aは微小構造物のSEM画像、図8Bは成長時間と基板電流の関係を示すグラフである。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(1)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(2)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(3)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(4)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(5)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(6)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(7)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(8)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(9)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(10)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(11)を示す斜視図である。 本実施形態に係る微小構造物の変形例(12)を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(全体構成)
図1に示す微小構造物の製造装置(以下、「製造装置」という。)1は、チャンバー2と、集束イオンビーム発生部3と、試料台7と、ガス供給部9と、照射量制御部10とを備える。製造装置1は、全体として試料台7に設置した試料としての基板8上に、FIB-CVD法により微小構造物21Aを形成し得るように構成されている。基板8は、例えばSiやSiO,SiC,SiN,GaAs,InAlGaAs,AlGaAs,GaN,ZnO,InP,サファイヤ,或いはAu,Al,Cu,Pt,Ni,Ti,Ag,W,Nb等金属,炭化タングステン,Al,ダイアモンドライクカーボン(DLC),ダイアモンド,グラファイト,グラフェンで形成することができる。
微小構造物21Aは、柱状部22Aと当該柱状部22Aの頂点から水平方向に伸びる庇状部23Aとを有する。本実施形態に係る微小構造物21Aは、庇状部23Aの水平方向の角度(以下、「成長角度」という。)が一定である。
チャンバー2内には、底部に前記試料台7が設けられている。チャンバー2は、上方に試料台7表面に集束イオンビーム14を照射し得るように集束イオンビーム発生部3が配置されていると共に、集束イオンビーム14が照射される領域に原料ガスを供給し得るようにガス供給部9が設けられている。
集束イオンビーム発生部3は、イオン銃4と、光学系5と、走査偏向器6とを備える。イオン銃4は、Gaイオンビーム、Heイオンビーム、Neイオンビーム、Arイオンビーム、Beイオンビーム,Alイオンビーム,Siイオンビーム,Pイオンビーム,Niイオンビーム,Cuイオンビーム,Znイオンビーム,Geイオンビーム,Asイオンビーム,Yイオンビーム,Pdイオンビーム,Agイオンビーム,Inイオンビーム,Snイオンビーム,Sbイオンビーム,Csイオンビーム,Ptイオンビーム,Auイオンビーム,Biイオンビーム,Xeイオンビームなどから選択されたイオンビームを照射する。
イオン銃4は、図示しないが金属で形成された先鋭部と引き出し電極とを有する。先鋭部と引き出し電極間に電界を印加すると共に、先鋭部の先端に例えば液体金属(Gaイオンビームの場合、液体金属ガリウム)を供給し、電界によってイオンビームを放射させる。この場合の加速電圧は、特に限定されるものではないが例えば+5kV〜+30kVとすることができる。
光学系5は、図示しないが収束レンズと対物レンズとを備える。収束レンズはイオンを収束してビームにする。対物レンズは、試料台7に設置された基板8表面にビームの焦点を合わせる。走査偏向器6は、ビームを所望の方向へ走査する。
このように構成された集束イオンビーム発生部3は、イオン銃4から発生したイオンを収束レンズで集束イオンビーム14にし、続いて対物レンズで基板8表面に集束イオンビーム14の焦点を合わせる。次いで、走査偏向器6は、基板8表面に焦点が合わせられた集束イオンビーム14を走査する。
ガス供給部9は、原料ガスとしてC14H10(フェナントレン)を供給することができるが本発明はこれに限らず、例えば、Si2H6、Si(CH3)4、Ge2H6、D2GaN3、Al(CH3)3、Al(C4H9)3、AlH3-N(CH3)3、 Ta(O2CH5)5、W(CO)6、WF6、Cr(CO)6、Mo(CO)6、Co2(CO)8、Co(C5H5)2、Os3(CO)12, Ru3(CO)12、Fe(CO)5、Fe(C2H5)2、Fe3(CO)12、Rh2Cl2(CO)4、Rh2Cl2(PF3)4、Ni(PF3)4、Ni(MeCp)2、Pt(PF3)4、CpPt(Me)3、MeCpPt(Me)3、AuClPF3、Ir2Cl2(PF3)4、Sn(CH3)4、TiCl4、Ti(O-i-prop)4、Ti(NO3)4、SiH2Cl2、Cr(C6H6)2、CrO2Cl2、SnCl4+O2、C7H7O2F6Au、Me2Au(hfa)、Me2Au(tfa)、Me2Au(acac)、(MeCp)PtMe3、Cu(hfac)TMVS、(tfa)Cu-VTMS、Cu(hfa)2、Cu(hfa)2xH2O、(hfa)CuMHY、(hfa)CuDMBCH4、C2H4、C3H8、C8H8、C10H16O,C10H20、C7H6O2、C2H6SO、C6H12、C6H10O、C9H19-CN、CH2Cl2、C3H6O、CH3OH、CH3CN、CH3NO2、HCOOH、CH3-COOH、CH3CH2-COOH、CH2=H-COOH、C16H10、Si(OCH3)4+O2、TEOS、(C2H3SiO1.5)8=Si8O12C16H24,[(CH3)2SiO]4=Si4O4C8H24、[(CH3)HSiO]5=Si5O5C5H20、=Si5O4C12H36、[HSi(CH3)2O]4Si、H3C(-O-Si(CH3)(C6H5))x-O-CH3、Ta(OEt)5、TMCTS+O2などを供給することとしてもよい。
次に、FIB-CVDの原理について図2を参照して説明する。基板8上に集束イオンビーム発生部3が集束イオンビーム14を照射すると、照射されたイオンのエネルギーによって励起された電子がそれまでの軌道から外れて基板8表面から飛び出す。この電子を二次電子という。
上記二次電子がガス供給部9から供給された原料ガスを分解して、分解された成分が基板8上に堆積する。すなわち、照射位置を変えずに集束イオンビーム14を照射し続けた場合、本図(A)に示すように柱状の構造物である柱状部22Aを形成することができる。
また、走査偏向器6において集束イオンビーム14を走査し、固体成分が体積する位置を少しずつずらしていくことにより、所望の微小構造物21Aを製造することができる。例えば、照射位置を水平方向に走査した場合、本図(B)に示すように水平方向に伸びる線状の構造物である庇状部23Aを形成することができる。
次に、本発明の特徴的構成である照射量制御部10(図1)について説明する。照射量制御部10は、集束イオンビームに起因する電気特性を測定し、当該電気特性が所定の範囲となるように集束イオンビーム14の照射量を制御する。
照射量制御部10は、測定部11と、パーソナルコンピュータ12と、信号発生器(例えばファンクションジェネレータ)13とを有し、それぞれ直列にケーブルで電気的に接続されている。
測定部11は、集束イオンビームによって生じる電気特性として二次電子量を直接測定することとしてもよい。この場合、図示しないが二次電子検出器がチャンバー2内の集束イオンビーム14が照射される領域の近傍に設けられる。当該二次電子検出器は、被照射物として形成途中の微小構造体21Aから発生する二次電子を捕捉する。
また、集束イオンビームによって生じる電気特性として基板8に流れる電流(以下、「基板電流」という。)を測定することとしてもよい。基板電流には、二次電子だけでなく、二次イオン励起のものやビーム電流も加わっていると考えられる。本実施形態の場合、測定部11は電気計(エレクトロメータ)であり、基板電流を測定し得るように試料台7に電気的に接続されている。
パーソナルコンピュータ12は、測定部11とGPIB(General Purpose Interface Bus)ケーブルを介して接続されている。これによりパーソナルコンピュータ12は、測定部11で測定した電流値をリアルタイムに読み取ることができる。
また、パーソナルコンピュータ12は、予め記憶されたプログラムにより、測定部11で測定した電流値が、所定の電流値(以下、「初期値」という。)から外れていないか判断し、外れていた場合には電流値が所定範囲となる照射量を算出する。次いでパーソナルコンピュータ12は、照射量に基づく制御信号を生成し、信号発生器13へ出力する。
ここで初期値は、例えば水平方向に伸びる線状の構造物である庇状部23Aを形成する場合、集束イオンビーム14が水平方向に走査され始めてから所定時間が経過するまでの基板電流値とすることができる。
集束イオンビーム14が水平方向に走査され始めた直後は、微小構造物21Aは比較的安定的に水平方向に成長していく。すなわち、微小構造物21Aが水平方向に成長しているときの基板電流値を初期値とする。
そして継続的に水平方向に庇状部23Aを成長させたときの基板電流値が当該初期値に対し所定の範囲内となるように集束イオンビーム14の照射量を制御する。これにより、製造装置1は微小構造物21Aを水平方向に成長させ続けることができ、長い庇状部23Aをより確実に形成することができる。
信号発生器13は、入力された制御信号に基づき集束イオンビーム14の照射量を制御する。照射量は、例えば、集束イオンビーム14の走査速度、又は集束イオンビーム14の照射時間を適宜変更することにより制御することができる。本実施形態の場合、信号発生器13は、ファンクションジェネレータであり、制御信号に基づき集束イオンビーム14の走査速度を適宜変更することにより、集束イオンビーム14の照射量を制御する。
(動作及び効果)
次に、本実施形態に係る製造装置1の動作及び効果について説明する。
まず、集束イオンビーム発生部3は、試料台7に設置された基板8表面に向かって集束イオンビーム14を照射する。イオン銃4は、例えばGa+イオンビームを照射する場合、加速電圧を30kV、ビーム電流を0.5pAに設定することができる。集束イオンビーム14が基板8表面に照射されると、基板8表面から二次電子が発生する。
同時に、ガス供給部9は、集束イオンビーム14の照射領域に原料ガスを供給する。供給された原料ガスは、上記二次電子によって分解され、分解された成分が基板8上に堆積していく。そして照射位置を変えずに集束イオンビーム14を照射し続けることにより、柱状部22Aが形成される。原料ガスとしてC14H10(フェナントレン)を用いることにより、DLC(Diamond-Like Carbon)からなる柱状部22Aを形成することができる。
次いで、集束イオンビーム発生部3は、水平方向に集束イオンビーム14を走査する。この場合の走査速度は、1〜1000nm/sとすることができる。集束イオンビーム14が水平方向に走査されたとき、照射量制御部10は、電気特性として基板電流の測定を開始する。
照射量制御部10は、集束イオンビーム14が水平方向に走査され始めてから一定時間、例えば水平方向長さが0.3〜2.0μm程度になるまでの時間における基板電流値を初期値に設定する。
そして製造装置1は、照射量制御部10において基板電流値が初期値に対し所定の範囲内となるように集束イオンビーム14の走査速度又は照射時間を制御しながら、集束イオンビーム14を水平方向へ走査する。これにより製造装置1は、水平方向に伸びる長い庇状部23Aをより確実に形成することができる。
次に、実際の実験データを基に上記動作をより詳細に説明する。
基板電流は、集束イオンビーム14が水平方向に走査されはじめて以後、庇状部の形状の変化に伴い変化する。図3は、基板8をSiで形成し、イオン銃4にGa+イオンを用い、加速電圧を30kV、ビーム電流を0.5pAとした場合の庇状部の成長時間と、基板電流及び二次電子量の関係を示したグラフである。
走査速度が200nm/s(一定)の場合の微小構造物121A(本図A)は、水平方向に走査開始後、約10s間は水平方向に庇状部123Aが形成される。ところが、その後庇状部123Aは斜め下方に成長していき、さらに基板8から別の微小構造物124Aが成長する。水平方向に走査開始してから約10s後において基板電流及び二次電子量は、急激に変化する。
走査速度が133nm/s(一定)の場合の微小構造物121B(本図B)は、水平方向に走査開始後、庇状部123Bは斜め上方に成長していき、30s後さらに基板8から別の微小構造物124Bが成長する。水平方向に走査開始してから約30s後において基板電流及び二次電子量は、急激に変化する。
図4は庇状部の成長角度と基板電流との関係を示すグラフである。本図に示すように、庇状部の成長角度が大きく変化したとき、すなわち庇状部が水平方向から大きく外れたときに基板電流が3.5pAから6.1pAへ急激に変化している。このことから、微小構造物の成長角度は、集束イオンビーム14の走査速度に依存することが確認できた。
以上より、集束イオンビーム14の走査速度が遅いと図5A,図5Bに示すように庇状部123B,123Cは斜め上向きに成長する。また、集束イオンビーム14の走査速度が速いと庇状部123D,123Aは斜め下向きに成長する(図5C,D)ことが確認できた。本明細書では、庇状部が水平方向に成長する場合の成長角度を0°、庇状部が上向きに成長する場合の成長角度を正、下向きに成長する場合の成長角度を負とする。
上記した集束イオンビーム14の走査速度に依存するという結果に基づき、庇状部を水平方向に成長させるための条件(成長角度を0°とするための条件)について検討した(図6)。
まずイオン銃4にGa+イオンを用い、加速電圧を30kV、ビーム電流を0.5pAとして柱状部122Fを形成し、当該柱状部122Fの頂点から、種々の走査速度で集束イオンビーム14を走査したところ、成長角度が0°となる走査速度が80nm/sであることが確認できた。図6Aは走査速度80nm/sで形成した庇状部123Fを備える微小構造物121FのSEM画像である。また、走査速度80nm/sで庇状部123Fを形成した際の基板電流を測定した結果を図6Bに示す。本図から、基板電流が1.1±0.1pAの範囲内であるとき、成長角度0°の庇状部123Fを形成できることが確認された。
上記結果に基づき、基板電流を1.1±0.1pAとするように集束イオンビーム14の走査速度を制御しながら形成した庇状部23Aを備える微小構造物21AのSEM画像を図7に示す。
なお、走査速度は344ms毎に制御することとした。また、走査速度の制御量は、2nm/sとした。すなわち、照射量制御部10は、基板電流が上記範囲の上限を超えた場合に走査速度を2nm/s減少させ、基板電流が上記範囲の下限を下回った場合に走査速度を2nm/s増加させることとした。
図7Aに示すように集束イオンビームの走査速度を制御することにより、線状の柱状部22Aの頂点から水平方向に伸びる線状の成長角度0°の庇状部23Aを15μm成長させることができた。この庇状部23Aは、厚さも約85nmで一定であった。また、走査速度は、本図Bに示すように庇状部23Aの成長に伴い減少している。この結果、水平方向の走査開始直後と、15μmまで成長した庇状部23Aの先端とにおいて、水平方向に成長させるための最適な走査速度が異なっていることが確認された。
以上の結果、基板電流を測定し、当該基板電流を基に集束イオンビーム14の走査速度を制御することにより、庇状部23Aを成長角度0°でより確実に形成できることが確認できた。また、本実施形態に係る製造装置1及び製造方法によれば、成長角度0°の長い庇状部23Aを高精度で形成できることが確認できた。
一方、比較例として走査速度80nm/s(一定)で形成した庇状部123Gを図8に示す。本図Aから明らかなように、庇状部123Gは長さが2μmを超えると下方に成長し始め、さらに基板8から別の微小構造物121Gが成長している。本図Bに示すように、走査速度を制御せずに庇状部123Gを形成した場合、成長角度が負の向きに大きくなるにつれ基板電流が急激に変化した。この結果から走査速度が一定のままでは、成長角度0°の庇状部23Aを形成することは不可能であることが確認された。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
上記実施形態の場合、微小構造物21Aは、線状の柱状部22Aの頂点から線状の庇状部23Aが形成されたいわゆる片持ち梁である場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図9に示すように微小構造物21Bは、庇状部23Bの両端に柱状部22Bがそれぞれ形成されたいわゆる両持ち梁でもよい。
図10に示す微小構造物21Cは、庇状部23Cの一端に線状の柱状部22Cが形成されており、他端に円柱状の柱状部30が形成されている。さらに庇状部23Cには板状及び三角柱状の中間部31,33が形成されている。このような円柱状の柱状部30、板状及び三角柱状の中間部31,33は、線状の柱状部22Cを連設することにより形成することができる。
図11に示す微小構造物21Dは、線状の柱状部22Dと、当該柱状部22Dの頂点から水平に伸び、さらにクランク状に幾重にも屈曲した庇状部23Dとを備える。本図に示す庇状部23Dは、柱状部22Dの頂点から水平方向に集束イオンビーム14を走査する際、基板電流を基に走査速度を制御すると共にクランク状に屈曲させることにより形成することができる。
図12に示す微小構造物21Eは、線状の柱状部22Eと、当該柱状部22Eの頂点から幾重にも蛇行した庇状部23Eとを備える。本図に示す庇状部23Eは、柱状部22Eの頂点から水平方向に集束イオンビーム14を走査する際、基板電流を基に走査速度を制御すると共に蛇行させることにより形成することができる。
図13に示す微小構造物21Fは、線状の柱状部22Fと、当該柱状部22Fの頂点を中心とし柱状部22Fに対し直交する方向に形成された板状の庇状部23Fとを備える。本図に示す庇状部23Fは、線状の庇状部23Aを平行に連設することにより形成することができる。
図14に示す微小構造物21Gは、1対の線状の柱状部22Gと、当該柱状部22Gの頂点から水平方向に伸びる庇状部23Gとを備える。庇状部23Gは線状部と板状部とを有する。本図に示す庇状部23Gは、走査速度の制御量(初期値、初期値に対する範囲)を線状の庇状部23Gを形成している途中で適宜変更することにより、形成することができる。
図15に示す微小構造物21Hは、線状の柱状部22Hと、当該柱状部22Hの頂点に柱状部22Hに直交する方向に形成された板状の庇状部23Hとを備える。さらに庇状部23Hには、厚さ方向に貫通する異なる形状、例えば円形、三角形、四角形の穴40,41,42が複数(本図では各1個、合計3個)形成されている。本図に示す庇状部23Hは、板状の構造物を形成した後、同じCVDを用いてエッチングにより所望の形状の穴を設けることにより、形成することができる。なお、エッチングは用いずに、穴40,41,42が形成された板を描画により形成することとしてもよい。
図16に示す微小構造物21Jは、線状の柱状部22Jと、当該柱状部22Jの頂点を中心とした板状の庇状部23Jが高さ方向に複数(本図では3個)積層されている。本図に示す微小構造物21Jは、図13に示す微小構造物21Fを形成した後、板状の庇状部23J上にさらに柱状部22J及び板状の庇状部23Jを順に設けることにより、形成することができる。
図17に示す微小構造物21Kは、線状の柱状部22Kと、当該柱状部22Kの頂点を中心としたピラミッド状の庇状部23Kが形成されている。本図に示す庇状部23Kは、図13に示す微小構造物21Fを形成した後、板状の庇状部23F上にさらに当該庇状部23Fより小さい庇状部23Fを重ねて順に設けることにより、形成することができる。
図18に示す微小構造物21Lは、線状の柱状部22Lと、当該柱状部22Lの頂点から水平方向の伸びる庇状部23Lとを備える。庇状部23Lは高さ方向に変化する段部45を有する。本図に示す庇状部23Lは、走査速度の制御量(初期値、初期値に対する範囲)を種々組み合わせることにより、形成することができる。
図19に示す微小構造物21Mは、らせん状に形成された柱状部22Mからなる。
図20に示す微小構造物21Nは、ジグザグに形成された柱状部22Nからなる。
また、上記実施形態では、集束イオンビーム14の水平方向の走査は、ファンクションジェネレータを用い一様な傾斜を持つアナログの走査信号波形で行う方式について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、イオンビーム描画を行うときにフィールド全体を電子プローブでラスター状に走査して描画をするラスター走査、集束イオンビーム14を任意の位置に移動して描画をするベクター走査、ドット走査を用いることもできる。
また、上記実施形態では、試料として基板8を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、SiO,SiC,SiN,GaAs,InAlGaAs,AlGaAs,GaN,ZnO,InP,サファイヤ,或いはAu,Al,Cu,Pt,Ni,Ti,Ag,W,Nb等金属,炭化タングステン,Al, ダイアモンドライクカーボン(DLC),ダイアモンド,グラファイト,グラフェンを用いることもできる。また、基板形状は、ウエハ或いはそのチップに限らず、例えば、ガラスキャピラリー,金属ニードル等さまざまな形状の基板を用いることができる。また、電気素子、機械素子,光学素子、バイオ素子上においても、本発明は実行可能である。
また、上記実施形態では、集束イオンビームの照射量を制御する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、構造堆積速度を制御することとしてもよい。構造堆積速度は、Ga集束イオンビームの加速電圧,ビーム電流,ブランキング速度,或いは原料ガス供給温度,供給量や基板温度により制御することができる。
上記実施形態では、液体金属イオン源を有するFIBを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、Gas field ion source (GFIS)タイプのFIBや、ICP等を利用したFIBを用いてもよい。
1 :製造装置(微小構造物の製造装置)
2 :チャンバー
3 :集束イオンビーム発生部
4 :イオン銃
5 :光学部
6 :走査偏向器
7 :試料台
8 :基板(被照射物)
9 :ガス供給部
10 :照射量制御部
11 :測定部
14 :集束イオンビーム
21A :微小構造物(被照射物)

Claims (12)

  1. 集束イオンビームを被照射物の表面に照射するイオン銃と、
    前記集束イオンビームが照射される領域に原料ガスを供給するガス供給部と、
    前記集束イオンビームを走査する走査偏向器と
    を備える微小構造物の製造装置において、
    前記集束イオンビームの照射量を制御する照射量制御部を備え、
    前記照射量制御部は、前記集束イオンビームに起因する電気特性を測定する測定部を有し、前記電気特性が所定の範囲内となるように前記集束イオンビームの照射量を制御する
    ことを特徴とする微小構造物の製造装置。
  2. 前記測定部は、前記被照射物を流れる電流を測定することを特徴とする請求項1記載の微小構造物の製造装置。
  3. 前記測定部は、二次電子の強度を測定することを特徴とする請求項1記載の微小構造物の製造装置。
  4. 前記照射量制御部は、前記集束イオンビームの走査速度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微小構造物の製造装置。
  5. 前記照射量制御部は、前記集束イオンビームの照射時間を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微小構造物の製造装置。
  6. 前記照射量制御部は、構造堆積速度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微小構造物の製造装置。
  7. 集束イオンビームを被照射物の表面に照射する工程と、
    前記集束イオンビームが照射される領域に原料ガスを供給する工程と、
    前記集束イオンビームを走査する工程と
    を備える微小構造物の製造方法において、
    前記集束イオンビームの照射量を制御する工程を備え、
    前記集束イオンビームの照射量を制御する工程は、
    前記集束イオンビームに起因する電気特性を測定する工程と、
    前記電気特性が所定の範囲内となるように前記集束イオンビームの照射量を制御する工程と
    を有することを特徴とする微小構造物の製造方法。
  8. 前記電気特性を測定する工程は、前記被照射物を流れる電流を測定することを特徴とする請求項7記載の微小構造物の製造方法。
  9. 前記電気特性を測定する工程は、二次電子の強度を測定することを特徴とする請求項7記載の微小構造物の製造方法。
  10. 前記集束イオンビームの照射量を制御する工程は、前記集束イオンビームの走査速度を制御することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の微小構造物の製造方法。
  11. 前記集束イオンビームの照射量を制御する工程は、前記集束イオンビームの照射時間を制御することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の微小構造物の製造方法。
  12. 前記集束イオンビームの照射量を制御する工程は、構造堆積速度を制御することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の微小構造物の製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017183126A1 (ja) * 2016-04-20 2017-10-26 株式会社日立製作所 デバイス加工方法およびデバイス加工装置
US10633402B2 (en) 2015-12-31 2020-04-28 Praxair Technology, Inc. Tin-containing dopant compositions, systems and methods for use in ion implantation systems
WO2021253978A1 (zh) * 2020-06-15 2021-12-23 河南大学 一种3d微/纳米结构的构筑方法

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