JP2014043372A - グラフェンの成長方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大面積のエピタキシャルグラフェン膜を低廉なコストで製造しうるグラフェンの成長方法を提供する。
【解決手段】単結晶シリコン上に、金属膜を形成し、単結晶シリコンと金属膜の一部とを反応させて単結晶シリコン上に金属シリサイド膜をエピタキシャル成長し、金属シリサイド膜上に残存する金属膜を結晶化して金属シリサイド膜の面方位を反映した単結晶金属膜を形成し、単結晶金属膜上にグラフェンをエピタキシャル成長する。
【選択図】図5

Description

本発明は、グラフェンの成長方法に関する。
グラフェンは、優れた電子物性を有することから、次世代電子デバイスの基本材料としての応用が期待されている。特に、その高い電子移動度を利用したグラフェントランジスタへの応用が盛んに試みられている。
グラフェンの合成方法には様々あるが、その中でもCVD(化学気相堆積:Chemical Vapor Deposition)法が注目されている。その主な理由として、第面積の合成が可能であることが挙げられる。更に近年、銅を金属触媒として用いることでほぼ1層の均質且つ高品質のグラフェンを触媒表面上に合成できることが明らかになった。
しかしながら、上記のグラフェンは多数の微少なドメインによって構成された多結晶膜になっており、ドメイン境界が電子輸送特性を低下させる主要因になることが知られている。個々のドメインは面内方向で互いに回転しているため、それらの接合界面における不規則(不完全)な結合がドメイン境界の発生原因となっている。
一方、銅やコバルトなどの遷移金属の(111)面上においては、個々のドメインの結晶方位が揃うことが報告されている。これは、上記(111)面とグラフェンの格子定数が互いに近い値であるとともに、対称性が等しい(六回回転対称)ことにより、グラフェンを構成する炭素原子配列の向きと、触媒金属膜表面の原子配列が整合することに起因する。よって、(111)面を有する単結晶基板を触媒として用いることで個々のドメインの包囲を揃えることができ、結果的に、ドメイン同士が完璧に整合・結合することで大面積の単結晶グラフェンを作製できると期待されている。
細線加工によるグラフェンナノリボンの作製においては、グラフェン端の構造(ジグザグ端、アームチェア端)が電子特性に大きく影響することが予想されるため、グラフェンの配向制御はデバイス応用上非常に重要である。
このような背景から、サファイア、MgO、マイカ等の単結晶基板を用い、これら単結晶基板上にエピタキシャル成長した単結晶金属膜を触媒として単結晶グラフェンを合成する方法が提案されている。
特開2010−241680号公報 特開2011−178644号公報 特開2012−025004号公報
しかしながら、サファイア、MgO、マイカ等の上記単結晶基板は、最も大口径化が進んでいるサファイア基板でも現状では6インチサイズが最大であり、より大きな基板上への大面積のグラフェン成長が待望されていた。また、上記単結晶基板は高価であるためコスト面でも課題があり、製造コストの低廉化が求められていた。
本発明の目的は、大面積のエピタキシャルグラフェン膜を低廉なコストで製造しうるグラフェンの成長方法を提供することにある。
実施形態の一観点によれば、単結晶シリコン上に、金属膜を形成する工程と、前記単結晶シリコンと前記金属膜の一部とを反応させ、前記単結晶シリコン上に金属シリサイド膜をエピタキシャル成長する工程と、前記金属シリサイド膜上に残存する前記金属膜を結晶化し、前記金属シリサイド膜の面方位を反映した単結晶金属膜を形成する工程と、前記単結晶金属膜上にグラフェンをエピタキシャル成長する工程とを有するグラフェンの成長方法が提供される。
また、実施形態の他の観点によれば、単結晶シリコン上に、金属膜を形成する工程と、前記単結晶シリコンと前記金属膜とを反応させ、前記単結晶シリコン上に金属シリサイド膜をエピタキシャル成長する工程と、前記金属シリサイド膜上にグラフェンをエピタキシャル成長する工程とを有するグラフェンの成長方法が提供される。
開示のグラフェンの成長方法によれば、このように、本実施形態によれば、単結晶シリコン上にエピタキシャル成長した単結晶金属膜又は単結晶金属シリサイド膜を触媒として単結晶グラフェンを成長するので、サファイア、MgO、マイカ等の高価な単結晶基板を用いる場合と比較して、製造コストを大幅に低廉化することができる。また、単結晶シリコン基板は、現状で12インチサイズまで流通しており、大面積の単結晶グラフェンを成長することができる。
図1は、第1実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。 図2は、第1実施形態によるグラフェンの成長方法を示すタイムチャートである。 図3は、第2実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。 図4は、第3実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。 図5は、第4実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。
[第1実施形態]
第1実施形態によるグラフェンの成長方法について図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。図2は、本実施形態によるグラフェンの成長方法を示すタイムチャートである。
まず、グラフェン成長の土台となる単結晶シリコン基板10を用意する。単結晶シリコン基板10としては、(100)シリコン基板や(111)シリコン基板を適用することができる。単結晶シリコン基板10の面方位は、後工程で形成する金属シリサイド膜22が単結晶シリコン基板10上にエピタキシャル成長するように、金属シリサイド膜22を形成する金属材料の種類や金属シリサイド膜22の相等に応じて、適宜選択することが望ましい。
次いで、単結晶シリコン基板10上に、例えばスパッタリング法等により、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)等の金属膜20を堆積する(図1(a))。金属膜20を形成する金属材料は、Co,Ni,Cuに限定されるものではなく、シリコンとの反応物(金属シリサイド)の格子定数がシリコンの格子定数に近い金属材料とする。Co,Ni,Cuは、グラフェンを合成する際の触媒として用いられており、かかる観点からも好ましい。金属膜20の膜厚は、特に限定されるものではないが、例えば0.1μm〜10μm程度とすることができる。金属膜20の堆積法は、スパッタリング法のみならず、蒸着法やCVD法を用いてもよい。
次いで、金属膜20を堆積した単結晶シリコン基板10を、グラフェンを合成するためのCVD合成炉内に搬入する。なお、金属膜20は、グラフェンを合成するためのCVD装置により形成してもよい。この場合は、金属膜20の堆積から後述するグラフェンの合成まで、同一のCVD装置内で連続して処理を行うことができる。
CVD合成炉内での処理は、図2に示すように、大別して、昇温プロセス(ステップS11)、還元プロセス(ステップS12)、成長プロセス(ステップS13)及び降温プロセス(ステップS14)に分けられる。
昇温プロセス(ステップS11)は、室温から還元プロセスの所定の処理温度まで、炉内の温度を昇温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、典型的には、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。昇温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜20℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。
次いで、炉内の温度が還元プロセスのための所定の処理温度まで昇温した後、還元プロセス(ステップS12)を行う。還元プロセスは、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜を還元・除去し、活性な触媒表面を得ることを一つの目的とするステップであり、H雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空等の還元性雰囲気中で行う。
還元プロセスは、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜(図示せず)を還元・除去しうる温度であり、且つ、単結晶シリコン基板10と金属膜20とが反応して金属シリサイド膜22が形成される温度で行う。
昇温プロセス及び還元プロセスの熱処理の際、単結晶シリコン基板10と金属膜20との界面ではシリサイド化反応が生じ、金属シリサイド膜22が形成される(図1(b))。シリサイド化反応では、金属膜20中の金属原子が単結晶シリコン基板10中に、或いは、単結晶シリコン基板10中のシリコン原子が金属膜20中に拡散することで、金属シリサイド膜22が形成される。この反応は、単結晶シリコン基板10上の金属膜20がすべて反応するまで進行し、温度や加熱時間にもよるが、準安定相を経たのちに安定相が形成される。
金属膜20の金属材料として、シリコンとの反応生成物(シリサイド)の格子定数がシリコンの格子定数に近い金属材料を用いることにより、金属シリサイド膜22を単結晶シリコン基板10上にエピタキシャル成長させることができる。このような金属材料としては、例えば、Co、Ni、Cu等が挙げられる。
Coを例に挙げると、350℃程度でCoSiが形成されたのち、CoSiを経て、550℃程度で安定相であるCoSiが形成される。CoSi(格子定数0.536nm)はシリコン(格子定数0.543nm)と同じ立方晶構造であり、シリコンとの格子不整合が−1.2%と小さいために、単結晶シリコン基板10上にエピタキシャル成長する。また、CoSiの融点は1326℃であるため、グラフェンの合成プロセスに十分耐えうる熱的安定性を有する。
同様に、NiにおいてはNiSiやNiSiなど複数の相を有するが、中でもNiSiは1000℃程度まで安定であることが知られている。NiSiもシリコンと同様の結晶構造を有しており、単結晶シリコン基板10上にエピタキシャル成長する。
また、CuにおいてもCuSiやCuSiが単結晶シリコン基板10上にエピタキシャル成長することが知られている。
単結晶シリコン基板10と金属膜20との反応によって得られる金属シリサイド膜22は、シリコンと同様の結晶構造(立方晶)を有するため、シリコン(111)面上には面方位(111)の金属シリサイド膜が、シリコン(100)面上には面方位(100)の金属シリサイド膜が、それぞれ形成される。使用する単結晶シリコン基板10の面配向は特に指定されないが、所望の金属シリサイド膜22の配向に合わせて単結晶シリコン基板10の面配向を使い分けることが望ましい。
なお、金属シリサイド膜22を触媒に用いて面内に6回回転対称性を有するグラフェンをエピタキシャル成長する観点からは、面方位(111)の単結晶シリコン基板10を用い、グラフェンと同じ表面対称性を有する面方位(111)の金属シリサイド膜22を形成することが望ましい。
形成される金属シリサイド膜22の結晶構造(相)は、加熱温度や加熱時間に依存して変化する。加熱温度や加熱時間は、形成する金属シリサイド膜22の膜質、各相の相転移温度や結晶対称性、融点等を考慮して適宜調整されるが、シリコン上にエピタキシャル成長する高温相が形成される条件(例えば、CoSiであれば550℃以上)を選択することが望ましい。
還元プロセスの温度は、金属膜20を形成する金属材料の種類や膜厚等に応じて、金属シリサイド膜22が形成される温度を適宜選択することが望ましい。
還元プロセスの時間は、特に限定されるものではなく、処理温度、金属膜20を形成する金属材料の種類や膜厚等に応じて適宜選択することが望ましく、典型的には10秒〜1時間程度である。
還元プロセス中のガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。
なお、金属シリサイド膜22の形成は、必ずしも自然酸化膜の還元・除去と同時に行う必要はない。例えば、還元プロセスよりも前に、不活性ガス雰囲気、例えば窒素雰囲気中で熱処理を行い、金属シリサイド膜22を予め形成しておいてもよい。また、金属シリサイド膜22は、必ずしも上述のように固相反応によって形成する必要はなく、CVD法等によって単結晶シリコン基板10上に直にエピタキシャル成長するようにしてもよい。
次いで、還元プロセスが終了後、グラフェン16を成長するための所定の温度において、成長プロセス(ステップS13)を行う。図2にはステップS12及びステップS13の処理温度が同じ場合を示しているが、これらステップの処理温度は必ずしも同じである必要はない。
成長プロセスでは、CVD合成炉内にグラフェンの材料となる炭素源を供給して加熱することにより、金属シリサイド膜22上で分解された炭素原子24からグラフェン28を合成する(図1(c)〜図1(d))。この際、金属シリサイド膜22を、炭素源を分解するための触媒として、また、分解した炭素原子24からグラフェン28を形成・配列させるための下地基板として用いることにより、金属シリサイド膜22上に配向制御されたグラフェン28をエピタキシャル成長することができる。
成長プロセスの雰囲気は、H雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空に、グラフェンの原料となる炭素源を導入した雰囲気とする。
炭素源としては、炭素原子を含む気体、液体、又は固体を適用することができる。炭素原子を含む気体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭化水素系ガス(アルカン、アルケン、アルキン、アルコール、アルデヒド、ベンゼン、エーテル、エステル、ケトン等の炭素を含む物質及びこれらの誘導体)を適用することができる。炭素原子を含む液体を用いる場合は、バブリングによって不活性ガス等のキャリアガス中に液体分子を含有させて装置内に導入する。固体を用いる場合としては、例えば、グラファイトやアモルファスカーボンからの蒸着によって原子状炭素を直接供給する方法が挙げられる。
成長プロセスの温度は、グラフェン28が合成しうる温度であれば特に限定されるものではないが、高品質なグラフェン28を得るには、金属シリサイド膜22の融点以下のより高温で行うことが望ましい。金属膜20がCoやNiの場合、例えば1000℃程度である。
成長プロセスの時間は、温度や炭素源の量に依存し特に限定されるものではないが、典型的には1分〜60分程度である。
成長プロセス中のガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源として炭化水素系ガスを用いる場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、成長プロセスが終了後、降温プロセス(ステップS14)を行う。降温プロセスは、成長プロセスの処理温度から室温まで、炉内の温度を降温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。成長プロセスから引き続き、炭素源を導入してもよい。降温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜300℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、基板温度が十分に下がった後、グラフェン28が形成された単結晶シリコン基板10をCVD合成炉から取り出し、一連の処理を終了する。
このように、本実施形態によれば、単結晶シリコン基板上にエピタキシャル成長した金属シリサイド膜を触媒として単結晶グラフェンを成長するので、サファイア、MgO、マイカ等の高価な単結晶基板を用いる場合と比較して、製造コストを大幅に低廉化することができる。また、単結晶シリコン基板は、現状で12インチサイズまで流通しており、大面積の単結晶グラフェンを成長することができる。また、金属シリサイド膜を適宜配向制御することにより、配向制御されたグラフェンを得ることができる。これにより、エッジ(端)の形状(アームチェアー、ジグザグ)を制御することが可能となる。
[第2実施形態]
第2実施形態によるグラフェンの成長方法について図3を用いて説明する。図1及び図2に示す第1実施形態によるグラフェンの成長方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図3は、本実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。
まず、グラフェン成長の土台となる単結晶シリコン基板10を用意する。
次いで、第1実施形態によるグラフェンの成長方法と同様にして、単結晶シリコン基板10上に、例えばスパッタリング法等により、Co、Ni、Cu等の金属膜20を堆積する(図3(a))。
次いで、金属膜20を堆積した単結晶シリコン基板10を、グラフェンを合成するためのCVD合成炉内に搬入する。なお、金属膜20は、グラフェンを合成するためのCVD装置により形成してもよい。この場合は、金属膜20の堆積から後述するグラフェンの合成まで、同一のCVD装置内で連続して処理を行うことができる。
CVD合成炉内での処理は、第1実施形態の場合と同様、昇温プロセス(ステップS11)、還元プロセス(ステップS12)、成長プロセス(ステップS13)及び降温プロセス(ステップS14)を行う。
昇温プロセス(ステップS11)は、室温から還元プロセスの所定の処理温度まで、炉内の温度を昇温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。これら雰囲気中に、前述の炭素源を導入してもよい。昇温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜20℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、炉内の温度が還元プロセスのための所定の処理温度まで昇温した後、還元プロセス(ステップS12)及び成長プロセス(ステップS13)を行う。
本ステップでは、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜の還元・除去、金属シリサイド膜22の形成、並びに、グラフェン28のエピタキシャル成長を行う。
本ステップの雰囲気は、H雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空等の還元性雰囲気中に、前述の炭素源を導入したものである。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
処理温度は、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜(図示せず)を還元・除去しうる温度であり、且つ、単結晶シリコン基板10と金属膜20とが反応して所望の相の金属シリサイド膜22がエピタキシャル成長される温度であって、炭素原子が金属膜20中に固溶する温度以上とする。ただし、加熱中はシリサイド化反応が進行しているため、金属膜20のすべてがシリサイド化反応で消費されるよりも前に炭素原子が十分に金属膜20内に導入されるように、加熱時間、温度、金属膜20の膜厚等に応じて適宜調整することが望ましい。
なお、炭素原子が金属膜20中に固溶する温度は、例えば、Coでは422℃以上であり、Niでは500℃以上である。これら温度は、シリコン上にエピタキシャル成長する高温相が形成される温度(例えば、CoSiの場合で550℃以上)よりも低温である。
本ステップの熱処理を行うと、雰囲気中の炭素源から炭素原子24が金属膜20中に固溶していくとともに、単結晶シリコン基板10と金属膜20との界面からシリサイド化反応が徐々に進行して金属シリサイド膜22が形成される(図3(b))。金属シリサイド膜22は、第1実施形態において説明したように、単結晶シリコン基板10上にエピタキシャル成長する。
シリサイド化反応が進行するにつれ、金属膜20の膜厚が減少していく。これに伴い、固溶限界を超えた金属膜20中の炭素原子24が金属膜20の表面に析出される(図3(c))。本実施形態の方法において還元プロセスと成長プロセスとを明確に切り分けることは難しいが、金属膜20の表面に炭素原子24が析出する以前の過程を還元プロセスと、以降の過程を成長プロセスと、捉えることができる。
金属膜20中への炭素原子の導入する際の熱処理条件は、形成するシリサイド相の種類やシリサイド形成速度(金属膜20の減少速度)、金属膜20表面への炭素原子の析出速度などを考慮し、適宜調整することが望ましい。
本ステップ中の熱処理温度は、必ずしも一定である必要はなく、適宜変化するようにしてもよい。例えば、初期段階ではシリサイド化反応を抑えて金属膜20中への炭素原子の固溶を促進する観点から低温で熱処理を行い、その後、処理温度を上げてシリサイド化反応を進行するようにしてもよい。
本ステップの処理時間は、処理温度、金属膜20の膜厚、金属膜20を形成する金属材料の種類、炭素源の種類及び量等に依存するため一概に規定することはできないが、典型的には10秒〜1時間程度である。また、炭素源を導入するタイミングは、処理温度、金属膜20の膜厚、金属膜20を形成する金属材料の種類、炭素源の量等に応じて適宜調整することが望ましい。
すべての金属膜20がシリサイド化反応によって消費されて金属膜20が消失すると、表面の金属シリサイド膜22は析出した炭素原子24を配列させるための下地基板となる。これにより、金属シリサイド膜22上に、配向制御されたグラフェン28をエピタキシャル成長することができる(図3(d))。
なお、金属膜20中への炭素原子24の導入は、必ずしも還元プロセスにおいて行う必要はない。例えば、炭素を含有する金属ターゲットを用いてスパッタリング法により金属膜20を形成するなど、炭素原子を含む金属膜20を予め堆積するようにしてもよい。この場合、昇温プロセス、還元プロセス及び成長プロセスにおいては、必ずしもCVD合成炉内に炭素源を導入しなくてもよい。
次いで、成長プロセスが終了後、降温プロセス(ステップS14)を行う。降温プロセスは、成長プロセスの処理温度から室温まで、炉内の温度を降温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。成長プロセスから引き続き、炭素源を導入してもよい。降温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜300℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、基板温度が十分に下がった後、グラフェン28が形成された単結晶シリコン基板10をCVD合成炉から取り出し、一連の処理を終了する。
このように、本実施形態によれば、単結晶シリコン基板上にエピタキシャル成長した金属シリサイド膜を触媒として単結晶グラフェンを成長するので、サファイア、MgO、マイカ等の高価な単結晶基板を用いる場合と比較して、製造コストを大幅に低廉化することができる。また、単結晶シリコン基板は、現状で12インチサイズまで流通しており、大面積の単結晶グラフェンを成長することができる。また、金属シリサイド膜を適宜配向制御することにより、配向制御されたグラフェンを得ることができる。これにより、エッジ(端)の形状(アームチェアー、ジグザグ)を制御することが可能となる。
[第3実施形態]
第3実施形態によるグラフェンの成長方法について図4を用いて説明する。図1乃至図3に示す第1及び第2実施形態によるグラフェンの成長方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図4は、本実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。
まず、グラフェン成長の土台となる単結晶シリコン基板10を用意する。
次いで、単結晶シリコン基板10上に、カーボン膜18を形成する。カーボン膜18は、例えば、上記炭素源を用いたプラズマCVD等により堆積することによって、グラファイトやアモルファスカーボンを蒸着法により堆積することによって、或いは、レジストなどの炭素原子を含む有機化合物を塗布すること等によって形成することができる。カーボン膜18の膜厚は、形成しようとするグラフェン28の層数に応じて適宜調整することが望ましい。
次いで、カーボン膜18上に、例えばスパッタリング法等により、Co、Ni、Cu等の金属膜20を堆積する(図4(a))。
次いで、金属膜20を堆積した単結晶シリコン基板10を、グラフェンを合成するためのCVD合成炉内に搬入する。なお、カーボン膜18及び金属膜20は、グラフェンを合成するためのCVD装置により形成してもよい。この場合、カーボン膜18の堆積から後述するグラフェンの合成まで、同一のCVD装置内で連続して処理を行うことができる。金属膜20の堆積以降を同一のCVD装置内で連続して処理するようにしてもよい。
CVD合成炉内での処理は、第1実施形態の場合と同様、昇温プロセス(ステップS11)、還元プロセス(ステップS12)、成長プロセス(ステップS13)及び降温プロセス(ステップS14)を行う。
昇温プロセス(ステップS11)は、室温から還元プロセスの所定の処理温度まで、炉内の温度を昇温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。これら雰囲気中に、前述の炭素源を導入してもよい。昇温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜20℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、炉内の温度が還元プロセスのための所定の処理温度まで昇温した後、還元プロセス(ステップS12)及び成長プロセス(ステップS13)を行う。
本ステップでは、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜の還元・除去、金属シリサイド膜22の形成、並びに、グラフェン28のエピタキシャル成長を行う。
本ステップの雰囲気は、H雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空等の還元性雰囲気とする。これら雰囲気中に、前述の炭素源を導入してもよい。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
処理温度は、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜(図示せず)を還元・除去しうる温度であり、且つ、単結晶シリコン基板10と金属膜20とが反応して所望の相の金属シリサイド膜22がエピタキシャル成長される温度であって、炭素原子が金属膜20中に固溶する温度以上とする。
なお、炭素原子が金属膜20中に固溶する温度は、例えば、Coでは422℃以上であり、Niでは500℃以上である。これら温度は、シリコン上にエピタキシャル成長する高温相が形成される温度(例えば、CoSiの場合で550℃以上)よりも低温である。
還元プロセスの初期段階では、単結晶シリコン基板10と金属膜20との間にカーボン膜18が形成されている。このため、カーボン層18がストップ層となって単結晶シリコン基板10と金属膜20との間でシリサイド化反応は生じない。
カーボン膜18の炭素原子24は、熱処理の進行に伴って徐々に金属膜20中に固溶していく(図4(b))。
カーボン膜18のすべての炭素原子24が金属膜20中に固溶すると、単結晶シリコン基板10と金属膜20との間のシリサイド化反応を遮っていたカーボン膜18が消失する。これにより、単結晶シリコン基板10と金属膜20との界面からシリサイド化反応が進行し、金属シリサイド膜22が形成される。金属シリサイド膜22は、第1実施形態において説明したように、単結晶シリコン基板10上にエピタキシャル成長する。
シリサイド化反応が進行するにつれ、金属膜20の膜厚が減少していく。これに伴い、固溶限界を超えた金属膜20中の炭素原子24が金属膜24の表面に析出される(図4(c))。本実施形態の方法において還元プロセスと成長プロセスとを明確に切り分けることは難しいが、金属膜20の表面に炭素原子24が析出する以前の過程を還元プロセスと、以降の過程を成長プロセスと、捉えることができる。
すべての金属膜20がシリサイド化反応によって消費されて金属膜20が消失すると、表面の金属シリサイド膜22は、析出した炭素原子24を配列させるための下地基板となる。これにより、金属シリサイド膜22上に、配向制御されたグラフェン28をエピタキシャル成長することができる(図4(d))。
次いで、成長プロセスが終了後、降温プロセス(ステップS14)を行う。降温プロセスは、成長プロセスの処理温度から室温まで、炉内の温度を降温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。成長プロセスから引き続き、炭素源を導入してもよい。降温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜300℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、基板温度が十分に下がった後、グラフェン28が形成された単結晶シリコン基板10をCVD合成炉から取り出し、一連の処理を終了する。
このように、本実施形態によれば、単結晶シリコン基板上にエピタキシャル成長した金属シリサイド膜を触媒として単結晶グラフェンを成長するので、サファイア、MgO、マイカ等の高価な単結晶基板を用いる場合と比較して、製造コストを大幅に低廉化することができる。また、単結晶シリコン基板は、現状で12インチサイズまで流通しており、大面積の単結晶グラフェンを成長することができる。また、金属シリサイド膜を適宜配向制御することにより、配向制御されたグラフェンを得ることができる。これにより、エッジ(端)の形状(アームチェアー、ジグザグ)を制御することが可能となる。
[第4実施形態]
第4実施形態によるグラフェンの成長方法について図5を用いて説明する。図1乃至図4に示す第1乃至第3実施形態によるグラフェンの成長方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図5は、本実施形態によるグラフェンの成長方法を示す概略断面図である。
まず、グラフェン成長の土台となるSOI基板16を用意する。SOI基板16は、例えば、単結晶シリコン基板10上に、絶縁膜12と、単結晶シリコン膜14とが形成されたものである。単結晶シリコン膜14の膜厚は、典型的には0.1μm〜10μm程度であり、後述する条件を満たす膜厚を適宜選択する。単結晶シリコン膜14の面配向は、形成しようとする金属シリサイド膜22の面配向にあわせて、(111)面や(100)面を選択することが望ましい。
なお、SOI基板16は、金属と反応しない下地基板上に単結晶シリコン膜14が形成されたものであれば、必ずしも図示する構造のSOI基板16に限定されるものではない。
次いで、単結晶シリコン膜14上に、例えばスパッタリング法等により、Co、Ni、Cu等の金属膜20を堆積する(図5(a))。
単結晶シリコン膜14及び金属膜20の膜厚は、これら膜が反応して金属シリサイド膜が形成された場合に、単結晶シリコン膜14のすべてがシリサイド化反応で消費され、且つ、余剰の金属膜20が金属シリサイド膜の表面に残存するように、適宜選択される。単結晶シリコン膜14及び金属膜20の膜厚は、余剰の金属膜20の膜厚が例えば0.1μm〜2μm程度となるように、金属材料の種類、形成するシリサイドにおける金属原子とシリコン原子との化学量論比等に応じて適宜選択することが望ましい。
次いで、金属膜20を堆積した単結晶シリコン基板10を、グラフェンを合成するためのCVD合成炉内に搬入する。なお、金属膜20は、グラフェンを合成するためのCVD装置により形成してもよい。この場合は、金属膜20の堆積から後述するグラフェンの合成まで、同一のCVD装置内で連続して処理を行うことができる。
CVD合成炉内での処理は、第1実施形態の場合と同様、昇温プロセス(ステップS11)、還元プロセス(ステップS12)、成長プロセス(ステップS13)及び降温プロセス(ステップS14)を行う。
昇温プロセス(ステップS11)は、室温から還元プロセスの所定の処理温度まで、炉内の温度を昇温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。昇温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜20℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。
次いで、炉内の温度が還元プロセスのための所定の処理温度まで昇温した後、還元プロセス(ステップS12)を行う。還元プロセスは、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜を還元・除去し、活性な触媒表面を得るためのステップであり、H雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空等の還元性雰囲気中で行う。
還元プロセスの雰囲気は、H雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空等の還元性雰囲気とする。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。
還元プロセスは、金属膜20の表面に形成された自然酸化膜(図示せず)を還元・除去しうる温度であり、且つ、単結晶シリコン膜14と金属膜20とが反応して所望の相の金属シリサイド膜22がエピタキシャル成長される温度で行う。すなわち、還元プロセスの熱処理により、単結晶シリコン膜14と金属膜20とを反応させ、金属シリサイド膜22を形成する。温度や時間は、金属膜の種類や厚みに依存するが、良質なエピタキシャル膜が得られるよう適宜調整することが望ましい。
この際、金属膜20は、単結晶シリコン膜14のすべてのシリコン原子と結合して金属シリサイド膜22を形成するに必要な金属原子の数以上の金属原子を含む膜厚を有しているため、形成した金属シリサイド膜22上には、金属膜20が残存する。金属シリサイド膜22上に残存した金属膜は、エピタキシャル成長された金属シリサイド膜22の配向性を反映した単結晶の金属膜26となる(図5(b))。
例えば、Coの場合、450℃において、最安定な結晶構造が六方最密充填構造から面心立方構造へと変化するが、後者はCoSiと同様の結晶構造であるため、Co/CoSi界面において対称性はよく合致する。また、以下に示すように、Coの結晶周期とCoSiの結晶周期は、それぞれの格子定数の整数倍において良く整合する(ミスマッチは0.37%)。
Co(面心立方構造):格子定数0.356nm×3周期=1.068nm
CoSi(面心立方構造):格子定数0.536nm×2周期=1.072nm
したがって、エピタキシャル成長されたCoSi上には、CoSiの配向性を反映した単結晶のCoを形成することができる。
単結晶シリコン膜14と金属膜20との反応によって得られる金属シリサイド膜22は、シリコンと同様の結晶構造(立方晶)を有するため、面方位(111)の単結晶シリコン膜14上には、面方位(111)の金属シリサイド膜22が形成される。また、面方位(111)の金属シリサイド膜22上には、面方位(111)の金属膜26が形成される。同様に、面方位(100)の単結晶シリコン膜14上には、面方位(100)の金属シリサイド膜22が形成される。また、面方位(100)の金属シリサイド膜22上には、面方位(100)の金属膜26が形成される。使用する単結晶シリコン膜14の面配向は特に指定されないが、所望の金属膜26の配向に合わせて単結晶シリコン膜14の面配向を使い分けることが望ましい。
なお、金属膜26を触媒に用いて面内に6回回転対称性を有するグラフェンをエピタキシャル成長する観点からは、面方位(111)の単結晶シリコン膜14を用い、グラフェンと同じ表面対称性を有する面方位(111)の金属膜26を形成することが望ましい。
次いで、還元プロセスが終了後、グラフェン28を成長するための所定の温度において、成長プロセス(ステップS13)を行う。
成長プロセスでは、CVD合成炉内にグラフェンの材料となる炭素源を供給して加熱することにより、金属膜26上で分解された炭素原子24からグラフェン28を合成する(図5(c)〜図5(d))。この際、金属膜26を、炭素源を分解するための触媒として、また、分解した炭素原子24からグラフェン28を形成・配列させるための下地基板として用いることにより、金属膜26上に配向制御されたグラフェン28をエピタキシャル成長することができる。
成長プロセスの雰囲気は、H雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空に、グラフェンの原料となる前述の炭素源を導入した雰囲気とする。
成長プロセスの温度は、グラフェン28が合成しうる温度であれば特に限定されるものではないが、高品質なグラフェン28を得るには、金属シリサイド膜22の融点以下、且つ、より高温で行うことが望ましい。金属膜20がCoやNiの場合、例えば1000℃程度である。
成長プロセスの時間は、温度や炭素源の量に依存し特に限定されるものではないが、典型的には1分〜60分程度である。
成長プロセス中のガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源として炭化水素系ガスを用いる場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、成長プロセスが終了後、降温プロセス(ステップS14)を行う。降温プロセスは、成長プロセスの処理温度から室温まで、炉内の温度を降温するステップである。炉内の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、H雰囲気、不活性ガス雰囲気、H/不活性ガス雰囲気、又は真空とすることができる。成長プロセスから引き続き、炭素源を導入してもよい。降温レートは、特に限定されるものではないが、例えば、10℃/分〜300℃/分程度である。ガス分圧は、特に限定されるものではないが、例えば、全圧は0.01kPa〜100kPa程度、水素・不活性ガス分圧は0.001Pa〜100kPa程度である。炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
次いで、基板温度が十分に下がった後、グラフェン28が形成されたSOI基板16をCVD合成炉から取り出し、一連の処理を終了する。
このように、本実施形態によれば、単結晶シリコン基板上にエピタキシャル成長した単結晶金属膜を触媒として単結晶グラフェンを成長するので、サファイア、MgO、マイカ等の高価な単結晶基板を用いる場合と比較して、製造コストを大幅に低廉化することができる。また、単結晶シリコン基板は、現状で12インチサイズまで流通しており、大面積の単結晶グラフェンを成長することができる。また、単結晶金属膜を適宜配向制御することにより、配向制御されたグラフェンを得ることができる。これにより、エッジ(端)の形状(アームチェアー、ジグザグ)を制御することが可能となる。
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記第1乃至第3実施形態では、グラフェン成長の下地となる基板として単結晶シリコン基板を用いたが、少なくとも表面に単結晶シリコンが形成された基板であれば、必ずしも単結晶シリコン基板である必要はない。例えば、第4実施形態の場合と同様に、表面に単結晶シリコン膜を有するSOI基板を用いてもよい。
また、上記第4実施形態では、金属膜26の形成後に炭素源を導入することによりグラフェン28を成長したが、第2又は第3実施形態に記載の方法と同様にして、予め金属膜20中に炭素原子を導入しておくようにしてもよい。
また、上記第1及び第4実施形態では、昇温プロセス及び還元プロセスの際に炭素源を導入していないが、第2及び第3実施形態の場合と同様、炭素源を導入するようにしてもよい。この場合、炭素源としての炭化水素系ガスを導入する場合のガス分圧は、0.01Pa〜10Pa程度が望ましい。
また、上記実施形態に記載したグラフェンの成長方法における各層の構成材料や製造条件等は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。
10…単結晶シリコン基板
12…絶縁膜
14…単結晶シリコン膜
16…SOI基板
18…カーボン膜
20,26…金属膜
22…金属シリサイド膜
24…炭素原子
28…グラフェン

Claims (11)

  1. 単結晶シリコン上に、金属膜を形成する工程と、
    前記単結晶シリコンと前記金属膜の一部とを反応させ、前記単結晶シリコン上に金属シリサイド膜をエピタキシャル成長する工程と、
    前記金属シリサイド膜上に残存する前記金属膜を結晶化し、前記金属シリサイド膜の面方位を反映した単結晶金属膜を形成する工程と、
    前記単結晶金属膜上にグラフェンをエピタキシャル成長する工程と
    を有することを特徴とするグラフェンの成長方法。
  2. 請求項1記載のグラフェンの成長方法において、
    前記グラフェンをエピタキシャル成長する工程では、炭素源を導入し、前記炭素源を分解するための触媒として前記単結晶金属膜を用い、前記グラフェンを成長する
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  3. 単結晶シリコン上に、金属膜を形成する工程と、
    前記単結晶シリコンと前記金属膜とを反応させ、前記単結晶シリコン上に金属シリサイド膜をエピタキシャル成長する工程と、
    前記金属シリサイド膜上にグラフェンをエピタキシャル成長する工程と
    を有することを特徴とするグラフェンの成長方法。
  4. 請求項3記載のグラフェンの成長方法において、
    前記グラフェンをエピタキシャル成長する工程では、炭素源を導入し、前記炭素源を分解するための触媒として前記金属シリサイド膜を用い、前記グラフェンを成長する
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  5. 請求項1又は3記載のグラフェンの成長方法において、
    前記金属膜中に炭素原子を導入する工程を更に有し、
    前記グラフェンをエピタキシャル成長する工程では、前記単結晶シリコンと前記金属膜との反応に伴い前記金属膜中から析出された炭素原子により、前記グラフェンを成長する
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  6. 請求項5記載のグラフェンの成長方法において、
    炭素源を含む雰囲気に前記金属膜を暴露することにより、前記金属膜中に炭素原子を導入する
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  7. 請求項5記載のグラフェンの成長方法において、
    前記金属膜を形成する工程の前に、前記単結晶シリコン上にカーボン膜を堆積する工程を更に有し、
    前記カーボン膜からの拡散により、前記金属膜中に炭素原子を導入する
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のグラフェンの成長方法において、
    前記金属膜は、Co膜、Ni膜又はCu膜である
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のグラフェンの成長方法において、
    前記単結晶シリコン及び前記金属シリサイド膜は、(111)の面方位を有する
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のグラフェンの成長方法において、
    前記単結晶シリコン及び前記金属シリサイド膜は、(100)の面方位を有する
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のグラフェンの成長方法において、
    前記単結晶シリコンは、絶縁膜上に形成された単結晶シリコン膜である
    ことを特徴とするグラフェンの成長方法。
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