JP2014043280A - 凍結真空乾燥用包装袋及び凍結真空乾燥用包装袋を用いた凍結真空乾燥方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凍結真空乾燥処理される際に被凍結真空乾燥物を包装する包装袋であり、前記包装袋の平均孔径が10μm〜3mm、かつ開孔面積比率が2×10−6〜8×10−2%である凍結真空乾燥用包装袋である。
【選択図】なし
Description
凍結真空乾燥前の色、原形をほとんど損なわないで、しかも復元性のよい乾燥食品を得る為の方法として、凍結真空乾燥が知られている。凍結真空乾燥は、例えば、対象物をまず、アルミニウムやステンレスなど熱伝導率の高い広口のトレーなどに入れ、−30〜−40℃で凍結させ、その後、真空下で必要な熱量を供給しつつ氷の昇華によって一次乾燥、二次乾燥、場合によっては三次乾燥を行っている。真空乾燥処理では、対象物が大気圧から真空になる最中あるいは真空から大気圧に戻る際の風圧で飛散し、内容量が減ってしまい歩留まりが悪かったたり、別のトレーから組成の異なる対象物が混入するため真空乾燥機内に同じ組成の対象物しか入れられず稼働率が悪かったり、真空乾燥機内の壁などが飛散物で汚染される、対象物を入れたトレーが入出庫する際に真空乾燥機内の棚とトレーが接触して双方の金属が磨耗して削られ、その金属粉が真空乾燥処理中に飛散して食品などに混入するなどの問題があった。
更に好ましい形態としては、前記包装袋の材質が高分子フィルムであり、前記包装袋のシール強度が18N/15mm以上であり、前記高分子フィルムの引張強度の伸びが45%以上であり、前記包装袋の孔径が、30〜800μmである凍結真空乾燥用包装袋である。
また、上記のいずれかに記載の凍結真空乾燥用包装袋を用いて凍結した被凍結真空乾燥物を包装し、その後真空乾燥処理を行う凍結真空乾燥方法であり、上記のいずれかに記載の凍結真空乾燥用包装袋を用いて凍結前の被凍結真空乾燥物を包装し、その後凍結処理及び真空乾燥処理を行う凍結真空乾燥方法である。
包装袋に設けられた貫通孔の孔径は、10μm〜3mmが好ましい。孔径が10μmより小さいと被凍結真空乾燥物の粉末が孔に付着したり、固形成分を含んだ蒸気が孔に付着し固形成分が結晶化して層を形成したりして孔を塞ぐ危険性があり、その結果、真空中にて袋が破裂する可能性がある。孔径が3mmより大きいと真空処理中に内容物が飛び出たり、真空から大気圧に戻す際に異物が入りやすくなる。より好ましくは30〜800μmであり、更に好ましくは30〜500μmである。
貫通孔の穿孔方法は、特に限定されないが、例えば機械的に抜き刃で打ち抜く方法、加熱した針により開ける方法、微細で鋭利な突起物を有するロールとゴムロールでフィルムを挟み込む方法、レーザー光による方法などが知られており、これらの中から最適な方法を選択できる。穿孔は、フィルム成型直後、スリット時、印刷前、印刷中、印刷後、製袋直前、製袋中、製袋後などいかなるタイミングでも構わない。適切な加工を行い、機能を損なわなければ構わない。
孔の位置については、特に定めないが、真空中に孔を塞がないように、袋の上側に配置されていることが好ましい。
開孔面積比率が2×10−6%未満では、水蒸気の透過性が悪く真空乾燥に長時間を要する。開孔面積比率が8×10−2%を超えると、開孔面積が大きすぎるため異物の混入などの恐れがある。
シール強度の測定方法は、JIS Z 0238に準じている。
引張強度の伸びの測定方法は、JIS K 7127に準じている。
フィルムを製造するにあたり種々の添加物を混錬しても、またフィルム化後に延伸や熱処理を行ってもまったく差し支えない。フィルム化後にコーティング、蒸着などを行っても構わない。フィルムの一層に金属箔、金属蒸着膜、又は無機蒸着膜があっても構わない。
多層フィルムは、透明であっても、添加物を混入させて不透明であっても使用することができ、印刷を施したものであっても構わない。またこれらのフィルムと不織布などとの複合の素材でも良い。
本発明の凍結真空乾燥方法では、公知の凍結真空乾燥機が用いられ、特に制限されるものではない。凍結機と真空乾燥機とが別々のものであっても良い。凍結真空乾燥機の大きさ、容量なども特に限定されない。また、凍結時の条件、真空乾燥時の条件も特に限定されず、通常の公知の条件を用いることができる。また、被凍結真空乾燥物の乾燥の判断も通常の公知の条件を当てはめることができる。
アルミ製のトレー(サイズ:24×31×3.5cm)に、加熱調理した6mm角のみじん切りした小ネギを200g入れ、−40℃の急速冷凍で凍結させた。フィルムBに直径30μmの孔を1m2当り200個均一にあけた(開孔面積比率1.41×10−5%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、ネギを載せたトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。これを真空乾燥機に入れて、1時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで23時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例2>
実施例1と同様に小ネギを加熱調理・凍結処理し、フィルムDに直径30μmの孔を1m2当り200個均一にあけた(開孔面積比率1.41×10−5%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、ネギを載せたトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例3>
実施例1と同様に小ネギを加熱調理・凍結処理し、フィルムAに直径180μmの孔を1m2当り1000個均一にあけた(開孔面積比率2.54×10−3%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、小ネギを載せたトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。これを真空乾燥機に入れて、1時間かけて真空度1Torrまで真空乾燥し、二次乾燥以降は実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
実施例1と同様に小ネギを加熱調理・凍結処理し、フィルムCに直径400μmの孔を1m2当り2500個均一にあけた(開孔面積比率3.14×10−2%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、小ネギを載せたトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例5>
実施例1と同様に小ネギを加熱調理・凍結処理し、フィルムAに直径700μmの孔を1m2当り1500個均一にあけた(開孔面積比率5.77×10−2%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、小ネギを載せたトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例6>
実施例1と同様に小ネギを加熱調理・凍結処理し、フィルムAに直径2mmの孔を1m2当り80個均一にあけた(開孔面積比率2.51×10−2%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、小ネギを載せたトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例7>
加熱調理した3cm角のジャガイモを400g入れ、−40℃の急速冷凍で凍結させた。実施例5と同様のフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、ジャガイモをトレーを用いずに挿入して、袋の開口部をヒートシールした。これを真空乾燥機に入れて、1時間かけて真空度3Torrまで真空乾燥し、二次乾燥以降は実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入の有無、飛散を確認した。
実施例1と同様に加熱調理・凍結処理した小ネギを、厚み50μmの低密度ポリエチレンフィルムを無孔のまま、30×35cmにカットし、トレーの上に被せ4隅のみガムテープで部分的に留めて固定した。実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<比較例2>
実施例1と同様に加熱調理・凍結処理した小ネギを、フィルムAに直径5mmの孔を1m2当り50個均一にあけた(開孔面積比率9.81×10−2%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、ジャガイモを載せたトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。実施例1と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<比較例3>
実施例7と同様に加熱調理・凍結処理したジャガイモを、フィルムAに直径30mmの孔を1m2当り20個均一にあけた(開孔面積比率1.41%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作製し、ジャガイモを載せたトレーごと挿入してヒートシールした。実施例6と同様に真空乾燥を実施し、乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
実施例1と同様のトレーに、熱湯で抽出し、その後水分を飛ばし3倍に濃縮したコーヒー液500ccと難消化性デキストリン10g混ぜて、−40℃の急速冷凍で凍結させた。実施例1と同様のフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、凍結させたコーヒー混合物をトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。これを真空乾燥機に入れて、2時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで22時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例9>
実施例8と同様に抽出・混合・凍結したコーヒー混合物を、実施例3と同様のフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、このコーヒー混合物をトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。これを真空乾燥機に入れて、2時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで22時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例10>
実施例8と同様に抽出・混合・凍結したコーヒー混合物を、実施例4と同様のフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、このコーヒー混合物をトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。これを真空乾燥機に入れて、2時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで22時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例11>
実施例8と同様に抽出・混合・凍結したコーヒー混合物を、実施例5と同様のフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、このコーヒー混合物をトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。これを真空乾燥機に入れて、2時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで22時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
実施例8と同様に抽出・混合・凍結したコーヒー混合物を、比較例1と同様のフィルムで固定し、実施例8と同様に真空乾燥を実施し、1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<比較例5>
実施例8と同様に抽出・混合・凍結したコーヒー混合物を、フィルムAに直径5μmの孔を1m2当り500個均一にあけた(開孔面積比率9.81×10−7%)。このフィルムから内寸30×35cmの袋を作成し、コーヒー混合物をトレーごと挿入して、袋の開口部をヒートシールした。実施例4と同様に真空乾燥を実施し、1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れを確認した結果、袋が破裂し内容物が飛散していたため内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無は確認できずに評価を中止した。
実施例3で凍結処理まで行ったカットネギ入り袋と、実施例9で凍結処理まで行ったコーヒー混合物を、2時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで22時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例13>
実施例4で凍結処理まで行ったカットネギ入り袋と、実施例10で凍結処理まで行ったコーヒー混合物を、2時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで22時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
<実施例14>
実施例5で凍結処理まで行ったカットネギ入り袋と、実施例11で凍結処理まで行ったコーヒー混合物を、2時間かけて真空度0.5Torrまで真空乾燥し、二次乾燥として、その真空度を保ちながら、30℃のヒーターで22時間加温した。1時間かけて大気圧に戻し乾燥機から出して袋の破れ、内容物の乾燥状態、異物混入、飛散の有無を確認した。
袋の破れ・・・・○:良好
□:袋の一部が破裂したが、内容物飛散なし
△:袋の一部が破裂し内容物が少し飛散した
×:破裂し内容物の大半が飛散した
乾燥状態・・・・○:水分含量2%以下で乾燥良好
□:水分含量2〜6%で大半乾燥できた
△:乾燥不十分
×:水分が残っている
異物の混入、飛散 ○:異物無し
□:他の成分が僅かに混じっていた
△:他の成分が目立つほど混じっていた。
×:他の成分や真空乾燥機内のホコリが目立つほど混じっていた
□※:ネギの袋内に、コーヒーの粉が僅かに混じっていた
評価結果について、○及び□を合格とし、△及び×を不合格とした。
法は、例えば、カップ麺や即席みそ汁の具材、お菓子に混ぜる原料、薬品の固形化、粉末
化に使用することができる。
以下、本発明の参考形態を付記する。
<1>凍結真空乾燥処理される際に被凍結真空乾燥物を包装する包装袋であり、前記包装袋の平均孔径が10μm〜3mm、かつ開孔面積比率が2×10 −6 〜8×10 −2 %であることを特徴とする凍結真空乾燥用包装袋。
<2>前記包装袋の材質が高分子フィルムであり、前記包装袋のシール強度が18N/15mm以上である<1>記載の凍結真空乾燥用包装袋。
<3>前記高分子フィルムの引張強度の伸びが45%である<2>記載の凍結真空乾燥用包装袋。
<4>前記包装袋の孔径が、30〜800μmである<1>、<2>又は<3>記載の凍結真空乾燥用包装袋。
<5><1>〜<4>のいずれかに記載の凍結真空乾燥用包装袋を用いて凍結した被凍結真空乾燥物を包装し、その後真空乾燥処理を行うことを特徴とする凍結真空乾燥方法。
<6><1>〜<4>のいずれかに記載の凍結真空乾燥用包装袋を用いて凍結前の被凍結真空乾燥物を包装し、その後凍結処理及び真空乾燥処理を行うことを特徴とする凍結真空乾燥方法。
Claims (6)
- 凍結真空乾燥処理される際に被凍結真空乾燥物を包装する包装袋であり、前記包装袋の平均孔径が10μm〜3mm、かつ開孔面積比率が2×10−6〜8×10−2%であることを特徴とする凍結真空乾燥用包装袋。
- 前記包装袋の材質が高分子フィルムであり、前記包装袋のシール強度が18N/15mm以上である請求項1記載の凍結真空乾燥用包装袋。
- 前記高分子フィルムの引張強度の伸びが45%である請求項2記載の凍結乾燥用包装袋。
- 前記包装袋の孔径が、30〜800μmである請求項1、2又は3記載の凍結真空乾燥用包装袋。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の凍結真空乾燥用包装袋を用いて凍結した被凍結真空乾燥物を包装し、その後真空乾燥処理を行うことを特徴とする凍結真空乾燥方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の凍結真空乾燥用包装袋を用いて凍結前の被凍結真空乾燥物を包装し、その後凍結処理及び真空乾燥処理を行うことを特徴とする凍結真空乾燥方法。
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