JP2014043086A - インサート成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】射出成形装置を使用して、強化繊維から成る織物シートに熱可塑性樹脂を充分に含浸させた複合樹脂成形品や複合樹脂積層成形品を、成形サイクルを長くすることなく成形することができるインサート成形方法を提供する。
【解決手段】可動盤に取り付けられたダミープレート及び回転金型部間に形成される密閉空間において、織物シートを所定温度まで加熱させながら金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程と、固定盤に取り付けられた共通金型及び回転金型部間に形成される金型キャビティにおいて、織物シートと金型キャビティに射出充填させた熱可塑性樹脂とを一体成形させ、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る複合樹脂成形品を成形するインサート成形工程と、を有し、シート加熱賦形工程及びインサート成形工程を重複させることを特徴とするインサート成形方法によって達成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂とを金型キャビティ内において一体成形させ、複合樹脂成形品や複合樹脂積層成形品を成形するインサート成形方法に関する。
航空機や自動車等の性能向上のために、あるいは、ノートパソコンや携帯電子機器類の携帯性向上のために、軽量化と高剛性化という、相反する要求を高いレベルで両立させる手段として、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含有させた複合樹脂成形品や複合樹脂積層成形品が注目されている。このような複合樹脂成形品や複合樹脂積層成形品は様々な方法によって成形されるが、これまで主流だった熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする複合樹脂成形品に加えて、成形サイクルやリサイクル性に優れた熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする複合樹脂成形品も登場している。
後者の熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする複合樹脂成形品は、所定の長さに切断した強化繊維を混合させた樹脂ペレットを射出成形装置の射出装置に供給し、溶融樹脂に強化繊維を含有させた状態で金型キャビティに射出充填させて射出成形する方法や、織物状あるいは不織布状に加工した強化繊維から成る織物シートの状態、あるいは織物シートに熱可塑性樹脂等のバインダ樹脂を含浸させた状態で、プレス型等にインサートさせた後、加熱プレス成形により強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂を一体成形する方法等によって成形される。
特許文献1には、熱可塑性樹脂で成る透明又は半透明の透過シートと、炭素繊維及び/又は合成繊維から成る織物シートとをそれぞれ予熱して金型内で加圧し予備成形し、予備成形された透過シートと織物シートとを熱加圧成形(加熱プレス成形)により一体化した加飾予備成形品を成形した上で、前記加飾予備成形品を射出成型用金型にセット(インサート)し、前記熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂を射出成形して完成する織物加飾樹脂製品(複合樹脂積層成形品)の成形方法が開示されている。
特許文献2には、固定側金型と、この固定側金型に対して型開閉されると共にスライド的に駆動される移動側金型とにより構成されるキャビティ(金型キャビティ)に溶融状態の熱可塑性樹脂を射出充填して対になる第1、2のマトリックス樹脂を成形する成形工程と、
前記成形工程で成形された第1、2のマトリックス樹脂がある程度固化した後に前記移動側金型を開いて、そして第1、2のマトリックス樹脂が所定間隔になるよう対向させる、位置合わせ工程と、
前記位置合わせ工程により対向したマトリックス樹脂間に補強繊維織物(織物シート)をインサートするインサート工程と、
前記インサート工程によりインサートされた補強繊維織物とそれぞれのマトリックス樹脂との間に加熱体を挿入して補強繊維織物とマトリックス樹脂の両方を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後に前記加熱体を退避させて前記移動側金型を固定側金型に対して型締めし、型締めすることにより第1、2のマトリックス樹脂を補強繊維織物に貼付あるいは含浸させる含浸工程とからなる、中間基材(プリプレグ)あるいは補強繊維織物強化プラスチック(複合樹脂積層成形品)の貼付成形方法(インサート成形方法)が開示されている。
特開2009−051080号公報 特開2011−143559号公報
特許文献1の織物加飾樹脂製品の成形方法においては、予備成形された織物シート内の繊維形状が射出成形時に崩れることがないため、織物シートの繊維形状を意匠面側の透明、あるいは、半透明の樹脂層を介して意匠の一部とする複合樹脂積層成形品の成形には好適とされている。しかしながら、織物加飾樹脂製品を成形する前に、加飾予備成型品を得るために、透過シートの予備成形と、織物シートの予備成形と、予備成形した透過シート及び織物シートを一体化し加飾予備成型品を成形する熱加圧成形(加熱プレス成形)と、の3回の予備成形が必要である。そのため、射出成形装置以外にこれらの熱加圧成形を行うための加熱プレス装置やそれぞれの予備成形に使用するプレス用金型が必要となり、設備のイニシャルコストが高くなるという問題がある。また、各予備成形工程における透過シート、織物シート及び加飾予備成型品のプレス用金型からの取り出し、これら予備成形工程における透過シート、織物シート及び加飾予備成型品の一時保管、プレス用金型や射出成形用金型への搬送、プレス用金型へのインサート等、射出成形工程以前に多くの工数が必要となるため、成形コストも高価になるという問題がある。
一方、特許文献2の中間基材あるいは補強繊維織物強化プラスチックの貼付成形方法においては、加熱プレス装置を使用しないため、特許文献1のような問題は生じない。しかしながら、第1、2のマトリックス樹脂を射出成形により成形した後、型開きしてから補強繊維織物を第1、2のマトリックス樹脂間に加熱体と共に挿入させ、補強繊維織物及び第1、2のマトリックス樹脂の加熱を開始させる。すなわち、マトリックス樹脂の射出充填から冷却固化という一般的な成形サイクルに、これら第1、2のマトリックス樹脂を再び軟化させるための加熱時間及び軟化させたマトリックス樹脂の冷却固化時間が直接加算され、成形サイクルが長くなるという問題がある。
また、型開き状態の金型間へ挿入させた加熱体によるこの加熱に関して、特許文献2の段落0024には「第1、2のマトリックス樹脂K1、K2は形状が崩れない程度に」と加熱程度に関する記載がある一方、「型締めすると、炭素繊維織物Wは空気を含んでいるので体積は減少するが、第1、2のマトリックス樹脂K1、K2の体積減少は少ない。(中略)さらに型締めすると、第1、2のマトリックス樹脂K1、K2は、逃げ場を失い炭素繊維織物Wの繊維の間に押し込まれる」とも記載されている。しかしながら、「形状が崩れない程度」までしか加熱・軟化されておらず、加熱体を金型間から退避させた直後から冷却固化が進行するこれらマトリックス樹脂が、引き続き行われる型締めにより圧縮され、その間隔が狭くなった補強繊維織物の繊維間へ充分に含浸されるとは考え難い。すなわち、マトリックス樹脂の補強繊維織物の繊維間への含浸が不充分になり、マトリックス樹脂と補強繊維織物との密着強度が低下するという問題がある。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、射出成形装置を使用して、強化繊維から成る織物シートに熱可塑性樹脂を充分に含浸させた複合樹脂成形品や複合樹脂積層成形品を、成形サイクルを長くすることなく成形することができるインサート成形方法を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂とを金型キャビティ内において一体成形させ、複合樹脂成形品を成形するインサート成形方法であって、
固定盤と可動盤と、前記固定盤及び前記可動盤間に配置され、回転金型部を型開閉方向に直交する回転軸回りに回転可能に支持し、型開閉方向に移動させる回転金型支持機構と、を備える射出成形装置において、
前記回転金型部の一方の金型分割面側の金型キャビティ面に前記織物シートを保持させて、
前記可動盤に取り付けられたダミープレート及び前記回転金型部間に形成される密閉空間において、前記織物シートを所定温度まで加熱させながら前記金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程と、
前記回転金型部の他方の金型分割面側の金型キャビティ面に、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを保持させて、前記固定盤に取り付けられた共通金型及び前記回転金型部間に形成される前記金型キャビティにおいて、前記織物シートと前記金型キャビティに射出充填させた熱可塑性樹脂とを一体成形させ、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る複合樹脂成形品を成形するインサート成形工程と、
前記回転金型部の回転により、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる回転金型回転工程と、
を有し、
前記シート加熱賦形工程及び前記インサート成形工程を重複させるインサート成形方法によって達成される。
すなわち、このインサート成形方法によれば、型締めにより、射出成形装置の固定盤及び可動盤間において、固定盤及び可動盤間に配置された回転金型部の2つの金型分割面側に密閉空間及び金型キャビティを同時に形成させて、密閉空間において行われるシート加熱賦形工程と、金型キャビティにおいて行われるインサート成形工程とを重複させることができる。このシート加熱賦形工程は、射出充填させた溶融状態の熱可塑性樹脂が織物シートに接触した際、織物シートに熱エネルギーを奪われて、溶融状態の熱可塑性樹脂の冷却固化が進行し、流動性が低下するのを抑制するために、織物シートを所定温度まで加熱させながら金型キャビティ面形状に賦形させるものである。このように、シート加熱賦形工程とインサート成形工程とを重複させることにより、成形サイクルを長くすることなく、織物シートを所定温度まで加熱させ、織物シートの繊維間に熱可塑性樹脂を充分に含浸させた複合樹脂成形品を成形することができる。
また、このインサート成形方法においては、前記インサート成形工程後、又は途中に、前記複合樹脂成形品を前記共通金型に保持させた状態で、前記回転金型部及び前記ダミープレートを前記共通金型から所定量型開きさせて、前記回転金型部の他方の金型分割面側の金型キャビティ面と前記複合樹脂成形品と前記共通金型との間に形成される第2金型キャビティに第2熱可塑性樹脂を射出充填させて、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る前記複合樹脂成形品に前記第2熱可塑性樹脂を積層させた複合樹脂積層成形品を成形する二次インサート成形工程と、
を更に有していても良く、このインサート成形方法であれば、織物シートに熱可塑性樹脂を充分に含浸させ、かつ、織物シートを熱可塑性樹脂で挟み込んだ複合樹脂積層成形品を成形することができる。
一方、本発明の上記目的は、強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂とを金型キャビティ内において一体成形させ、複合樹脂積層成形品を成形するインサート成形方法であって、
固定盤と可動盤と、前記固定盤及び前記可動盤間に配置され、回転金型部を型開閉方向に直交する回転軸回りに回転可能に支持し、型開閉方向に移動させる回転金型支持機構と、を備える射出成形装置において、
前記回転金型部の第1金型分割面側の金型キャビティ面に前記織物シートを保持させて、前記可動盤に取り付けられたダミープレート及び前記回転金型部間に形成される密閉空間において、前記織物シートを所定温度まで加熱させながら、前記第1金型分割面側の金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程と、
前記固定盤に取り付けられた共通金型及び前記回転金型部間に形成される第1金型キャビティにおいて、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートと前記第1金型キャビティに射出充填させた第1熱可塑性樹脂とを一体成形させ、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る複合樹脂成形品を成形する一次インサート成形工程と、
前記一次インサート成形工程後、又は途中に、前記複合樹脂成形品を前記共通金型に保持させた状態で、前記回転金型部及び前記ダミープレートを前記共通金型から型開きさせた後、前記回転金型部の回転により、前記回転金型部の前記第1金型分割面を、前記共通金型と対向する位置から前記ダミープレートと対向する位置に移動させ、前記回転金型部の第2金型分割面を、前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる一次回転金型回転工程と、
前記回転金型部の前記第2金型分割面側の金型キャビティ面と前記複合樹脂成形品と前記共通金型との間に形成される第2金型キャビティに第2熱可塑性樹脂を射出充填させて、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る前記複合樹脂成形品に前記第2熱可塑性樹脂を積層させた複合樹脂積層成形品を成形する二次インサート成形工程と、
を有し、
前記シート加熱賦形工程及び前記二次インサート成形工程を重複させるインサート成形方法によっても達成される。
このインサート成形方法によれば、二次インサート成形工程で第2熱可塑性樹脂を射出充填させる第2金型キャビティを、一次インサート成形工程で織物シートと第1熱可塑性樹脂とを一体成形させた第1金型キャビティを形成させる金型とは別の金型で形成させるため、少なくともその表面の一部が織物シートから成る複合樹脂成形品の任意の範囲に、加熱賦形させた織物シートの形状とは異なる、任意の形状の熱可塑性樹脂を一体成形させた複合樹脂積層成形品を成形することができる。また、シート加熱賦形工程及び二次インサート成形工程を重複させるため、織物シートの加熱賦形により成形サイクルを長くすることもない。
更に、このインサート成形方法においては、前記一次回転金型回転工程後、前記シート加熱賦形工程前に、前記回転金型部の前記第1金型分割面側の金型キャビティ面に新たな前記織物シートを供給・保持させるシート供給工程と、
前記シート加熱工程及び前記二次インサート成形工程後、前記回転金型部及び前記ダミープレートを前記共通金型から型開きさせた後、前記回転金型部の回転により、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを、前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる二次回転金型回転工程と、
を有していても良い。
また、更に、前述したインサート成形方法のシート加熱賦形工程において、前記ダミープレート及び前記回転金型部の少なくとも一方に配置させた加熱手段により、前記織物シートを前記熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度まで加熱させることが好ましく、前記織物シートにバインダ処理が成されている場合、前記シート加熱賦形工程において、前記加熱手段により、前記織物シートをバインダ樹脂の軟化点及び前記熱可塑性樹脂の軟化点のいずれか高い方の軟化点以上の温度まで加熱させることが好ましい。
シート加熱賦形工程において、このように織物シートをインサート成形工程、又は一次インサート成形工程前に、バインダ樹脂の軟化点及び前記熱可塑性樹脂の軟化点のいずれか高い方の軟化点以上の温度まで加熱させることにより、バインダ処理の有無によらず、射出充填させた熱可塑性樹脂の、織物シートに接触した際の流動性の低下を抑制し、射出充填圧力により、熱可塑性樹脂を織物シートの繊維間へ充分に含浸させることができる。
ここで、前述したインサート成形方法において、前記織物シートが炭素繊維から成っていても良い。一般的に樹脂に対する濡れ性が悪い炭素繊維から成る織物シートであっても、このインサート成形方法により、織物シートの繊維間へ熱可塑性樹脂を充分に含浸させた複合樹脂成形品や複合樹脂積層成形品を成形することができる。
本発明に係るインサート成形方法は、強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂とを金型キャビティ内において一体成形させ、複合樹脂成形品を成形するインサート成形方法であって、
固定盤と可動盤と、前記固定盤及び前記可動盤間に配置され、回転金型部を型開閉方向に直交する回転軸回りに回転可能に支持し、型開閉方向に移動させる回転金型支持機構と、を備える射出成形装置において、
前記回転金型部の一方の金型分割面側の金型キャビティ面に前記織物シートを保持させて、
前記可動盤に取り付けられたダミープレート及び前記回転金型部間に形成される密閉空間において、前記織物シートを所定温度まで加熱させながら前記金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程と、
前記回転金型部の他方の金型分割面側の金型キャビティ面に、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを保持させて、前記固定盤に取り付けられた共通金型及び前記回転金型部間に形成される前記金型キャビティにおいて、前記織物シートと前記金型キャビティに射出充填させた熱可塑性樹脂とを一体成形させ、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る複合樹脂成形品を成形するインサート成形工程と、
前記回転金型部の回転により、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる回転金型回転工程と、
を有し、
前記シート加熱賦形工程及び前記インサート成形工程を重複させるため、その織物シートに熱可塑性樹脂を充分に含浸させた複合樹脂成形品を、成形サイクルを長くすることなく成形することができる。
また、本発明に係るもう一つのインサート成形方法は、強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂とを金型キャビティ内において一体成形させ、複合樹脂積層成形品を成形するインサート成形方法であって、
固定盤と可動盤と、前記固定盤及び前記可動盤間に配置され、回転金型部を型開閉方向に直交する回転軸回りに回転可能に支持し、型開閉方向に移動させる回転金型支持機構と、を備える射出成形装置において、
前記回転金型部の第1金型分割面側の金型キャビティ面に前記織物シートを保持させて、前記可動盤に取り付けられたダミープレート及び前記回転金型部間に形成される密閉空間において、前記織物シートを所定温度まで加熱させながら、前記第1金型分割面側の金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程と、
前記固定盤に取り付けられた共通金型及び前記回転金型部間に形成される第1金型キャビティにおいて、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートと前記第1金型キャビティに射出充填させた第1熱可塑性樹脂とを一体成形させ、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る複合樹脂成形品を成形する一次インサート成形工程と、
前記一次インサート成形工程後、又は途中に、前記複合樹脂成形品を前記共通金型に保持させた状態で、前記回転金型部及び前記ダミープレートを前記共通金型から型開きさせた後、前記回転金型部の回転により、前記回転金型部の前記第1金型分割面を、前記共通金型と対向する位置から前記ダミープレートと対向する位置に移動させ、前記回転金型部の第2金型分割面を、前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる一次回転金型回転工程と、
前記回転金型部の前記第2金型分割面側の金型キャビティ面と前記複合樹脂成形品と前記共通金型との間に形成される第2金型キャビティに第2熱可塑性樹脂を射出充填させて、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る前記複合樹脂成形品に前記第2熱可塑性樹脂を積層させた複合樹脂積層成形品を成形する二次インサート成形工程と、
を有し、
前記シート加熱賦形工程及び前記二次インサート成形工程を重複させるため、織物シート表面の任意の範囲に、加熱賦形させた織物シートの形状とは異なる、任意の形状の熱可塑性樹脂を一体成形させた複合樹脂成形品を、成形サイクルを長くすることなく成形することができる。
本発明の実施例1に係るインサート成形方法に使用する射出成形装置の概略側面図である。 本発明の実施例1に係るインサート成形方法の成形工程を示す概略部分断面図である。 本発明の実施例2に係るインサート成形方法の二次インサート成形工程を示す概略部分断面図である。 本発明の実施例3に係るインサート成形方法の成形工程を示す概略部分断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び図2を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は本発明の実施例1に係るインサート成形方法に使用する射出成形装置の概略側面図である。図2は本発明の実施例1に係るインサート成形方法の成形工程を示す概略部分断面図である。図2(a)がシート加熱賦形工程及びインサート成形工程直前の型閉じ状態、図2(b)がシート加熱賦形工程及びインサート成形工程の開始状態、図2(c)がシート加熱賦形工程及びインサート成形工程の完了状態、図2(d)が型開きした後の製品取出工程を示す。
最初に、図1を参照しながら、本発明に係るインサート成形方法に使用する射出成形装置1の基本構成について説明する。射出成形装置1は、後述する製品取出工程及び回転金型回転工程が完了した型開き状態である。ベッド2に固定された固定盤3と、固定盤3に対して型開閉方向に移動可能に設けられた可動盤5と、固定盤3及び可動盤5間に配置され、取り付けられた回転金型部40を型開閉方向に直交する回転軸周りに回転可能に支持し、型開閉方向に移動させる回転金型支持機構4と、回転金型部40の一部を構成し、固定盤3及び可動盤5に対向する2つの金型取付面を有し、回転金型支持機構4に型開閉方向に直交する鉛直方向の回転軸周りに回転可能に支持される回転金型取付部41と、固定盤3側に設けられた第1射出ユニット17と、を有している。
固定盤3には、正面側(可動盤5と対向する側)の面に共通金型19が取り付けられると共に、背面側から正面側に亘って第1射出ユニット17を共通金型19に向けて進退させるための貫通穴3aが形成されている。固定盤3の四隅からは図示しないタイバーが突出して設けられ、このタイバーは、可動盤5を貫通している。
可動盤5には固定盤3と対向する面にダミープレート6が取り付けられる。また、可動盤5は図示しないタイバーに案内され、図示しない型締手段によって、固定盤3に対して進退自在に設けられている。ダミープレート6は、型締め時に、対向する回転金型部40の金型分割面を保護すると共に、その回転金型部40の金型キャビティ面と対向する面に加熱手段6aが配置されている。加熱手段6aは加熱温度や加熱パターンの制御が容易な電気式ヒータが好ましい。更に、加熱手段6aを回転金型部40にも配置させれば、後述するシート加熱賦形工程において、より効率的に織物シートを加熱することができる。しかしながら、回転金型部40の金型キャビティ面には、後述するようなシート保持・賦形手段42が配置されるため、加熱手段6aの配置には若干の制約が伴う。そのため、加熱手段6aの回転金型部40への配置は、これら配置上の制約、成形サイクル、コスト等を鑑み、適宜採用されることが好ましい。本実施例においては、図を簡単にするために、加熱手段6aがダミープレート6のみに配置されているものとする、一方、加熱手段6aの可動盤5側や、対向する回転金型部40の金型キャビティ面側以外の面からの熱エネルギーの損失を防止するため、これらの部位には断熱材や断熱構造等の断熱・保温手段等が適宜採用されることが好ましいことは言うまでもない。
回転金型支持機構4は、固定盤3及び可動盤5間に配置され、ベッド2上を型開閉方向に移動可能に設けられている。この回転金型支持機構4の型開閉方向の移動の案内(ガイド)は、ベッド2に設けられた直動ガイド等の案内手段によるものであっても良いし、回転金型部40の回転金型取付部41を、金型取付面を有し回転する回転部と、これを回転可能に支持し、自身は回転しない枠部とで構成し、この回転しない枠部の四隅に、図示しないタイバーを貫通させて案内させるものであっても良い。また、これらを組み合わせたものであってもよく、公知の案内手段が適宜、選択されれば良い。この回転金型支持機構4により、型開閉方向に直交する鉛直方向の回転軸周りに回転可能に支持される回転金型部40は、固定盤3及び可動盤5に対向する2つの金型取付面を有する回転金型取付部41と、回転金型取付部41の金型取付面にそれぞれ取り付けられた第1回転金型20及び第2回転金型21とから構成され、回転金型支持機構4に着脱可能に取り付けられている。
これら回転金型取付部41と、第1回転金型20及び第2回転金型21とは、固定盤3及び可動盤5に対向する2つの金型分割面(第1金型分割面及び第2金型分割面)を有する1つの金型(回転金型部)として構成され、回転金型支持機構4、あるいは、先に説明した回転金型取付部41の回転しない枠部に回転及び着脱可能に取り付けられても良い。また、回転金型部40は、型開閉方向に直交する水平方向の回転軸周りに回転可能に支持される形態であっても良い。
実施例1においては、第1回転金型20及び第2回転金型21は同じ金型キャビティ形状を有しており、その金型キャビティ面が複合樹脂成形品の意匠面となるものとする。これら回転金型の金型分割面、あるいは、金型キャビティ面には、供給された織物シート12をその金型キャビティ面に保持・賦形させるシート保持・賦形手段42が配置されている。具体的には、これら回転金型により形成される金型キャビティ内の空気を吸引する複数の吸引孔42aがそれぞれの金型キャビティ面に設けられ、これら回転金型に配置された吸引管路42bの一端と連通されている。吸引管路42bの他端は回転金型取付部41に配置された吸引手段42cと接続され、吸引管路42bに設けられた図示しない切替弁により、任意の金型キャビティ側の空気が吸引され、織物シート12を金型キャビティ形状に真空成形により加熱賦形させて保持させる。吸引手段42cは回転金型支持機構4に配置されても良いし、装置外に設備として備えられたバキューム配管ライン等に、回転金型部40の型開閉動作及び回転動作に対応した配管システムを介して接続される形態であっても良い。
回転金型部40の第1回転金型20の金型分割面は、その金型キャビティ面に、前成形サイクルにおいて、ダミープレート6及び第1回転金型20間に形成される密閉空間33bにおいて加熱賦形された織物シート12aを保持させた状態で、回転金型部40の回転により、これから開始される成形サイクルに備えて、ダミープレート6と対向する位置から共通金型19と対向する位置に移動されている。
また、ダミープレート6及び対向する回転金型部40の第2回転金型21の金型分割面間に、織物シート12を供給できるように、シート供給手段45が配置されている。シート供給手段45は、多関節ロボット等の可動するアーム部を有する装置と、そのアーム部の先端に設けられた把持手段とで構成されており、ダミープレート6及び対向する回転金型部40の金型分割面間に織物シートを1枚ずつ供給する。
次に、図2を参照しながら、本発明の実施例1に係るインサート成形方法の成形工程を説明する。図2は成形工程の理解を容易にするために、図1の金型部分(側面図)について成形工程を順に図示した概略部分断面図であり、成形工程に直接関係ない構成部位は図示していない。また、図を見易くするために、回転金型部40(回転金型取付部41、第1回転金型20及び第2回転金型21)には、断面であることを表すハッチングを割愛した。また、織物シートについては、シート加熱賦形工程において所定温度まで加熱されたものに12a、加熱されていないものに12の符号を付して以後も区別するものとする。
図1に示す型開き状態から、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4により回転金型部40とダミープレート6とを共通金型19に型閉じさせ、図2(a)に示す型閉じ状態とする。矢印は金型の移動や射出ユニットの射出充填状態や吸引の作動を示し、波マークは加熱手段6aの作動を示す。シート加熱賦形工程及びインサート成形工程はまだ開始されていない。この直前に、図示しないシート供給手段45は、図1の状態から回転金型部40の第2回転金型21の金型キャビティ面に織物シート12を保持させた後、型開閉に支障のない位置に退避している。
第2回転金型21の金型キャビティ面に保持させた織物シート12は、型締めによりダミープレート6及び第2回転金型21間に形成される密閉空間33aに封入された状態となる。密封空間33aは開放状態(型開き状態)に対して、加熱手段6aによる織物シート12の加熱において、保温性や加熱効率の点で好適である。
図2(a)に示す型閉じ状態から、図示しない型締手段により型締力が付与された後、図2(b)に示すように、シート加熱賦形工程とインサート成形工程とが略同時に開始される。シート加熱賦形工程は、先に説明したように、密閉空間33aにおいて、第2回転金型21の金型キャビティ面に保持させた織物シート12を所定温度まで加熱させながら金型キャビティ面形状に賦形させる工程である。一方、型締めにより共通金型19及び第1回転金型20間に形成される金型キャビティ30aにおいては、共通金型19の射出ゲート19aを介して第1射出ユニット17から熱可塑性樹脂17aを射出充填させて、第1回転金型20の金型キャビティ面に保持させた織物シート12aと熱可塑性樹脂17aとを一体成形させるインサート成形工程が行われる。
インサート成形工程において、金型キャビティ30aに射出充填させた熱可塑性樹脂17aは、金型キャビティ面との接触部分からスキン層が形成され、薄肉部等の熱容量の少ない部位から樹脂内部へと冷却固化が進行すると共に、熱可塑性樹脂17aの流動先端部は、金型キャビティ30aが満たされるまで流動性を維持し金型キャビティ30a内を自由流動する。ここで、第1回転金型20の金型キャビティ面に保持させた織物シート12aは、前成形サイクルのシート加熱工程において、射出充填させた熱可塑性樹脂17aの軟化点、あるいは、バインダ樹脂の軟化点の高い方の軟化点以上の温度まで加熱されている。そのため、バインダ処理の有無によらず、熱可塑性樹脂17aの流動先端部が加熱された織物シート12a、あるいは、織物シート12aに含浸させたバインダ樹脂に接触した際、その流動先端部が織物シート12aやバインダ樹脂に熱エネルギーを奪われて、冷却固化が進行することを抑制することができる。
その結果、織物シート12aに接触した熱可塑性樹脂17aの流動先端部の流動性の低下も抑制され、連続して金型キャビティ30aに充填される熱可塑性樹脂17aの射出充填圧力により、熱可塑性樹脂17aが織物シート12aの共通金型19側からその繊維間へ充分に含浸される。このように、熱可塑性樹脂17aが織物シート12aの繊維間へ充分に含浸された状態で一体成形されるため、熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂と織物シートとの密着強度の高い複合樹脂成形品を成形することができる。
また、織物シート12aは熱可塑性樹脂17aの射出充填前に金型キャビティ面に保持(インサート)されているため、特許文献2の貼付成形方法のように型締力により織物シート12aが圧縮されることはない。更に、先に説明したように、織物シート12aに接触した熱可塑性樹脂17aの流動先端部の流動性の低下が抑制されるため、熱可塑性樹脂17aを織物シート12aの繊維間へ含浸させる際の充填抵抗力も抑制され、織物シート12aの繊維の折損や折損片の発生を防止できる。また更に、一般的に樹脂との濡れ性が悪い炭素繊維等の強化繊維から成る織物シートであっても、その流動性が維持された状態で繊維間に充分に含浸された熱可塑性樹脂17aに、冷却固化するまで射出充填圧力を作用させることができるため、熱可塑性樹脂17aとの密着強度を向上させることができる。
一方、密閉空間33aにおいて行われるシート加熱賦形工程では、ダミープレート6に配置させた加熱手段6aにより織物シート12を所定温度まで加熱させながら金型キャビティ面形状に賦形させる。その加熱温度は、先に説明したように、熱可塑性樹脂17aの流動先端部の流動性の低下を抑制する観点から、織物シート12にバインダ処理が成されていない場合は、インサート成形工程で射出充填させる熱可塑性樹脂17aの軟化点以上の温度まで、バインダ処理が成されている場合は、バインダ樹脂の軟化点及び熱可塑性樹脂17aの軟化点のいずれか高い方の軟化点以上の温度まで加熱させることが好ましい。また、シート加熱賦形工程後、次成形サイクルのインサート成形工程開始までの織物シート12aの温度降下を加味した温度まで加熱させることが更に好ましい。
ここで、このシート加熱賦形工程は、同じ型締めにより形成される金型キャビティ30a内で進行する成形サイクル(インサート成形工程)とは直接関係なく、次の成形サイクル(インサート成形工程)のための工程である。そのため、本発明に係るインサート成形方法の成形サイクルにおいて、型締め後、金型キャビティ30aに溶融状態の熱可塑性樹脂17aを射出充填させ、冷却固化時間を経過して型開きされるまでの間、すなわち、インサート成形工程の間であれば、このシート加熱賦形工程を、どのタイミングでどれだけの時間継続しても成形サイクルには一切影響しない。
また、インサート成形工程後の型開きの際、密閉空間33aを維持させた状態、すなわち、ダミープレート6及び回転金型部40を一体化させた状態で、共通金型19から型開きさせることが好ましい。このような型開き動作により、射出成形装置の限られた型開閉ストロークにおいて、共通金型19及び回転金型部40間の型開き量をより多く確保することができ、製品取出工程がより容易となる。また、密閉空間33aが維持されているため、この製品取出工程が完了するまで、成形サイクルに一切影響を及ぼすことなく、シート加熱賦形工程を更に継続して行わせることができると共に、この製品取出工程における織物シート12aの温度降下を防止することができる。
このように、成形サイクルを長くすることなく、シート加熱賦形工程における織物シート12の加熱タイミング(開始及び完了)や加熱時間を自由に設定、選択できるため、短時間で織物シートを所定温度まで加熱させる強力な加熱能力を有する加熱手段を配置させる必要がなく、加熱手段の設計自由度が高い。また、シート加熱賦形工程における加熱・賦形時間がインサート成形工程に対して十分に短い場合は、型開き、あるいは、製品取出工程が完了するまでに必要な加熱・賦形が完了するように加熱開始のタイミングを選択することができ、加熱時間を不要に長くして消費エネルギーを増大させることもない。
図2(b)に示すシート加熱賦形工程及びインサート成形工程の開始状態から、それぞれの工程が進行し、図2(c)に示すようにそれぞれの工程が完了する。金型キャビティ30aにおけるインサート成形工程では、射出充填させた熱可塑性樹脂17aが織物シート12aの繊維間へ充分に含浸された状態で冷却固化されて、熱可塑性樹脂17aから成る成形体9aと織物シート12aの密着強度が高い複合樹脂成形品9が成形される。一方、密閉空間33aにおけるシート加熱賦形工程では、第2回転金型21の金型キャビティ面に保持させた織物シート12a(織物シート12)が金型キャビティ面形状に賦形され、所定温度まで加熱される。
図2(c)に示すシート加熱賦形工程及びインサート成形工程の完了後、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4によりダミープレート6と回転金型部40とを共通金型19から型開きさせ、図2(d)に示す型開き状態とする。複合樹脂成形品9は非意匠面である共通金型19側に保持させた状態で型開きさせ、共通金型19に配置された図示しない製品押出手段等で押し出させることが好ましい。押し出された複合樹脂成形品9は図示しない製品取出手段等により装置外に搬送させる(製品取出工程)。その後、図示しない回転金型支持機構4により回転金型部40を回転させて、第2回転金型21の金型キャビティ面に保持させた加熱賦形済みの新しい織物シート12aを、ダミープレート6と対向する位置から共通金型19と対向する位置に移動させる回転金型回転工程が行われると、図1に示す状態から第1回転金型20と第2回転金型21との位置が入れ替わった型開き状態となる。また、インサート成形工程後の型開きの際、密閉空間33aを維持させた状態、すなわち、ダミープレート6及び回転金型部40を一体化させた状態で、共通金型19から型開きさせ、製品取出工程を行うことが好ましいことは先に説明したとおりである。
次の成形サイクルにおいて、図示はしていないが、シート供給手段45により第1回転金型20の金型キャビティ面に保持させた織物シート12を、型締めによりダミープレート6及び第1回転金型20間に形成される密閉空間33bにおいて、所定温度まで加熱させながら金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程が行われ、型締めにより共通金型19及び第2回転金型21間に形成される金型キャビティ30bにおいて、共通金型19の射出ゲート19aを介して第1射出ユニット17から熱可塑性樹脂17aを射出充填させて、第2回転金型21の金型キャビティ面に保持させた織物シート12aと熱可塑性樹脂17aとを一体成形させるインサート成形工程が行われる。このように図1から図2(d)までの工程を繰り返すことにより、少なくともその表面の一部が織物シート12aから成る複合樹脂成形品9が型開き毎に連続して成形される。
このように、実施例1のインサート成形方法は、織物シートがその表裏いずれか一方の少なくとも一部に配される複合樹脂成形品のインサート成形方法として好適である。具体的には、炭素繊維等から成る織物シートを意匠面に配して、その意匠性を直接活かす複合樹脂成形品や、熱可塑性樹脂層を意匠面とし、織物シートを補強手段として非意匠面側に配した複合樹脂成形品等がその成形対象と成り得る。
図3を参照しながら本発明の実施例2を説明する。図3は本発明の実施例2に係るインサート成形方法の二次インサート成形工程を示す概略部分断面図である。図3(a)がインサート成形工程後、又は、その途中に行われる二次インサート成形工程における所定量の型開き動作、図3(b)が二次インサート成形工程における第2熱可塑性樹脂の射出充填動作を示す。
実施例2における実施例1との基本構成上の相違点は、第1射出ユニットに加えて、第2射出ユニットが使用される点と、回転金型部の第1回転金型及び第2回転金型と、これら回転金型と組み合わされる共通金型及びダミープレートとが、金型を所定量型開きさせても、金型キャビティが外部に開放されないシェアエッジ構造となる点である。(ただし、説明を容易にするために、第1回転金型、第2回転金型、共通金型及びダミープレートには、実施例1と同じ符号を付すものとする。)これらの相違点により、実施例1のインサート成形工程において成形された、少なくともその表面の一部が織物シートから成る複合樹脂成形品に、更に、熱可塑性樹脂を積層成形させた、すなわち、織物シートを熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂で挟みこんだ複合樹脂積層成形品を成形することができる。
ここで、シェアエッジ構造とは、くいきり構造、あるいはインロー構造等と称されることもあり、金型分割面を形成する嵌合部の構造として一般的に知られた構造であって、金型開閉方向に伸びて、互いに摺動しながら挿脱することのできる嵌合部を、金型分割面間に形成することによって、金型を所定量型開きさせても、金型キャビティを外部に開放させない構造である。そして、前述した相違点以外の射出成形装置の基本構成は実施例1(図1)と同じであり、シート加熱賦形工程及びインサート成形工程も実施例1(図2)と同じため、実施例1との相違点である二次インサート成形工程(図3)についてのみ説明する。また、図3においても、実施例1の図2と同様に、成形工程に直接関係ない構成部位は図示しておらず、回転金型部40の一部には、断面であることを表すハッチングを割愛した。
実施例1の図2(c)に示す型締め状態において、共通金型19及び第1回転金型20間に形成される金型キャビティ30aではインサート成形工程が完了する。このインサート成形工程における複合樹脂成形品9は、実施例1の図2(d)に示すように、製品押出や製品取出を前提とした強度を得るまで冷却固化させる必要はなく、後述する所定量αの型開きのために、その形状維持が可能な程度まで冷却固化していれば良い。また、ダミープレート6及び第2回転金型21間に形成される密閉空間33aではシート加熱賦形工程が行われ、織物シート12aが第2回転金型21の金型キャビティ面形状に賦形・位置保持されている。このシート加熱賦形工程も、実施例1のように、この段階でシート加熱賦形工程を完了させる必要はない。実施例2においては、インサート成形工程に引き続き行われる二次インサート成形工程の間も密閉空間33aでのシート加熱賦形工程を継続させることができるからである。
図2(c)に示す型締め状態から、図3(a)に示すように、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4により、複合樹脂成形品9を共通金型19に保持させた状態で、ダミープレート6と回転金型部40とを共通金型19から所定量α(アルファ)だけ型開きさせる。先に説明したように、第1回転金型20及び共通金型19はシェアエッジ構造で組み合わされているため、この所定量αの型開きにより、第1回転金型20の金型キャビティ面と、共通金型19に保持させた複合樹脂成形品9との間は開放されずに、二次インサート成形工程のための新たな第2金型キャビティ32が形成される。
一方、密閉空間33aを維持させた状態、すなわち、ダミープレート6及び回転金型部40を一体的に共通金型19から所定量α(アルファ)だけ型開きさせるため、先に説明したように、密閉空間33aで行われるシート加熱賦形工程は、この二次インサート成形工程が完了するまで継続させても成形サイクルには一切影響しない。尚、ダミープレート6及び回転金型部40を一体的に共通金型19から型開きさせる方法としては、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4によるダミープレート6(可動盤5)及び回転金型部40のそれぞれの型開き動作を連動するように制御させても良いし、ダミープレート6及び回転金型部40を任意で連結可能な連結手段により連結させて、回転金型支持機構4による回転金型部40の型開閉方向の移動をフリーにした状態で、型締手段により型開きさせても良い。
図3(a)に示す所定量αの型開き状態を維持させたまま、図示しない型締手段により型締力が付与された後、図3(b)に示すように、共通金型19に設けられた射出ゲート19bを介して、共通金型19に対して進退自在に配置された第2射出ユニット18から第2金型キャビティ32に第2熱可塑性樹脂18aを射出充填させて、複合樹脂成形品9の織物シート12aに第2熱可塑性樹脂18aを積層させた複合樹脂積層成形品9’を成形する二次インサート成形工程が行われる。
この二次インサート成形工程の所定量αの型開きの際、複合樹脂成形品9は、その形状維持が可能な程度までしか冷却固化を進行させていないため、その表面の織物シート12a及び成形体9a共に、成形体9aを構成する熱可塑性樹脂17a、あるいは、織物シート12aに含浸させたバインダ樹脂の高い方の軟化点をわずかに下回る程度の温度に維持されている。また、先に説明したように、インサート成形において、共通金型19側から織物シート12aの表面(第1回転金型20側)近傍の繊維間まで熱可塑性樹脂17aを含浸させている。そのため、この二次インサート成形工程において射出充填させた第2熱可塑性樹脂18aは、その流動先端部が織物シート12a、あるいは、織物シート12aに含浸させたバインダ樹脂の表面に接触しても、その流動性の低下が抑制され、連続して第2金型キャビティ32に充填される第2熱可塑性樹脂18aの射出充填圧力により、織物シート12aの表面(第1回転金型20側)から繊維間へ含浸される。その結果、織物シート12aの表面(第1回転金型20側)から含浸された第2熱可塑性樹脂18aと、共通金型19側から織物シート12aの表面近傍の繊維間まで含浸された熱可塑性樹脂17aや織物シート12aに含浸させたバインダ樹脂とが充分に融着される。このように、熱可塑性樹脂17a及び第2熱可塑性樹脂18aが、織物シート12aの表裏両面からその繊維間へ充分に含浸された状態で一体成形されるため、熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂と織物シートとの密着強度の高い複合樹脂積層成形品を成形することができる。
また、この二次インサート成形工程においては、例えば、第2熱可塑性樹脂18aが透明、あるいは半透明である場合や、回転金型部40の金型キャビティ面に微細な凹凸形状などを有する場合等に、複合樹脂成形品9を含めた最終製品容積より僅かに大きくなるように所定量αを設定して、第2熱可塑性樹脂18aの射出充填の途中、あるいは完了後に、最終製品容積まで再型締めさせる、いわゆる射出プレス成形方法や射出圧縮成形方法を行い、透過性や微細な凹凸形状の再現性に優れた複合樹脂積層成形品を成形することもできる。
更に、第2射出ユニット18は共通金型19の上面に垂直に配置させるように図示したが、実際には、共通金型19に設けられた射出ゲート19bに対して進退可能に配置されれば、共通金型19の側面のいずれかの側に配置されても、第1射出ユニット17と同様に共通金型19の背面側に第1射出ユニット17と並べて配置されても良く、射出成形装置の設置状況や射出ユニットの配置制約等に合わせて適宜最適な配置が選択されれば良い。
図3(b)に示すシート加熱賦形工程及び二次インサート成形工程の完了後、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4によりダミープレート6と回転金型部40とを共通金型19から型開きさせ、図2(d)に示す型開き状態とする。図2(d)の複合樹脂成形品9を複合樹脂積層成形品9’と読み替えれば、以後の製品取出工程他は実施例1と同じため説明は割愛する。
このように実施例1の図1から図2(d)の成形工程において、図2(c)及び図2(d)間に実施例2の図3(a)、(b)の成形工程を付け加えれば、これらの工程を繰り返すことにより、少なくともその表面の一部が織物シート12aから成る複合樹脂成形品9に第2熱可塑性樹脂18aを積層させた、すなわち、織物シートを熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂で挟みこんだ複合樹脂積層成形品9’が、所定量の型開きを除く型開き毎に連続して成形される。
このように、実施例2のインサート成形方法は、織物シートを熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂で挟みこんだ複合樹脂積層成形品のインサート成形方法として好適である。具体的には、特許文献1のように、透明、あるいは、半透明樹脂層を介して炭素繊維等から成る織物シートの意匠性を活かすような、より意匠性の高い複合樹脂積層成形品や、特許文献2のように、織物シートをマトリックス樹脂に内包させる複合樹脂積層成形品等がその成形対象と成り得る。また、実施例2のインサート成形方法においても、一次インサート成形工程の全ての時間をシート加熱賦形工程に費やしても、成形サイクルに一切影響しないことは言うまでもなく、更に、二次インサート成形工程の完了までシート加熱賦形工程を継続させても、成形サイクルに一切影響しない。
また、実施例2においては、第2金型キャビティを回転金型部の所定量の型開きにより形成させる形態としたが、回転金型部の金型キャビティ面の任意の部分を可動中子等で構成させ、この可動部分の可動により形成させる形態も可能である。
図4を参照しながら本発明の実施例3を説明する。図4は本発明の実施例3に係るインサート成形方法の成形工程を示す概略部分断面図である。図4(a)が一次インサート成形工程の完了状態、図4(b)が一次インサート成形工程完了後の型開きの後、一次回転金型回転工程が完了した状態、図4(c)が一次回転金型回転工程完了後の再型締め時に、シート加熱賦形工程及び二次インサート成形工程が重複して行われている状態、図4(d)がシート加熱賦形工程及び二次インサート成形工程が完了して再型開きした後の製品取出工程を示す。
実施例3における実施例1との基本構成上の相違点は、第1射出ユニットに加えて、第2射出ユニットが使用される点と、第1回転金型及び第2回転金型が異なる金型キャビティ形状を有する点である。(ただし、説明を容易にするために、第1回転金型及び第2回転金型には、実施例1と同じ符号を付すものとする。また、実施例3においては、第2回転金型の金型キャビティ面が複合樹脂積層成形品の意匠面側となるものとする。)これらの相違点により、実施例2と同様に、実施例1のインサート成形工程に相当する一次インサート工程において成形された、少なくともその表面の一部が織物シートから成る複合樹脂成形品に、更に、熱可塑性樹脂を積層成形させた、すなわち、織物シートを熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂で挟みこんだ複合樹脂積層成形品を成形することができる。また、実施例3及び実施例2の複合樹脂積層成形品の相違点は、実施例3の複合樹脂積層成形品が、複合樹脂成形品の織物シート表面の任意の範囲に、加熱賦形させた織物シートの形状とは異なる、任意の形状の熱可塑性樹脂を一体成形させる点である。
前述した相違点以外の射出成形装置の基本構成は実施例1(図1)と同じであり、シート加熱賦形工程及び、後述する一次インサート成形工程も実施例1のインサート成形工程(図2)と同じため、実施例1及び実施例2との相違点についてのみ説明する。また、図4においても、実施例1の図2と同様に、成形工程に直接関係ない構成部位は図示しておらず、回転金型部40の一部には、断面であることを表すハッチングを割愛した。
図4(a)に示す型閉じ状態から、図示しない型締手段により型締力が付与された後、共通金型19と第1回転金型20との間に形成される第1金型キャビティ31において、共通金型19の射出ゲート19aを介して第1射出ユニット17から第1熱可塑性樹脂17aを射出充填させて、第1回転金型20の金型キャビティ面に保持させた、加熱・賦形済みの織物シート12aと第1熱可塑性樹脂17aとを一体成形させる一次インサート成形工程が行われる。この一次インサート成形工程は、実施例1のインサート成形工程と同じである。この一次インサート成形工程における複合樹脂成形品9の冷却固化は、後述する一次回転金型回転工程前の型開きのために、実施例2と同様に、その形状維持が可能な程度まで進行していれば良い。ただし、実施例1と異なり、ダミープレート6と第2回転金型21との間に密閉空間は形成されるものの、第2回転金型21の金型キャビティ面には次成形サイクルのための織物シート12はこの段階では供給されておらず、形成された密閉空間においてシート加熱賦形工程は行われない。
図4(a)に示す一次インサート成形工程の完了後、又は途中に、複合樹脂成形品9を共通金型19に保持させた状態で、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4によりダミープレート6と回転金型部40とを共通金型19から型開きさせ、図示しない回転金型支持機構4により回転金型部40を回転させて、図4(b)に示すように、第1回転金型20の金型分割面を、共通金型19と対向する位置からダミープレート6と対向する位置に移動させ、第2回転金型21の金型分割面を、ダミープレート6と対向する位置から共通金型19と対向する位置に移動させる(一次回転金型回転工程)。
一次回転金型回転工程の完了後、すぐに、シート供給手段45により、第1回転金型20の金型キャビティ面に次成形サイクル用の織物シート12を供給・保持させるシート供給工程が行われる。このシート供給工程の前、ダミープレート6及び第1回転金型20間の距離をより多く確保してシート供給の作業性を向上させると共に、共通金型19に保持させた複合樹脂成形品9の温度低下を防止するために、一次回転金型回転工程の完了後、回転金型部40のみを図示しない回転金型支持機構4により共通金型19に型閉じさせることが好ましい。
図4(b)に示す型開き状態から、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4により回転金型部40とダミープレート6とを共通金型19に型閉じさせ、図4(c)に示す型閉じ状態とする。先に、回転金型部40のみを共通金型19に型閉じさせた場合は、シート供給工程が完了次第、ダミープレート6を図示しない型締手段により回転金型部40(第1回転金型20)に型閉じさせる。
図示しない型締手段により型締力が付与された後、シート加熱賦形工程と二次インサート成形工程とが重複して行われる。シート加熱賦形工程は、実施例1と同様に、密閉空間33’において、第1回転金型20の金型キャビティ面に保持させた織物シート12を所定温度まで加熱させながら金型キャビティ形状に賦形させる工程である。一方、二次インサート成形工程は、型締めにより、第2回転金型21の金型キャビティ面と共通金型19に保持させた複合樹脂成形品9と共通金型19との間に形成される第2金型キャビティ32において、共通金型19の射出ゲート19bを介して第2射出ユニット18から第2熱可塑性樹脂18aを射出充填させて、少なくともその一部の表面が織物シート12aから成る複合樹脂成形品9に第2熱可塑性樹脂18aを積層させた複合樹脂積層成形品9’を成形する工程である。
実施例3におけるシート加熱工程は、実施例2のように、2つのインサート成形工程に連続して継続させることはできないが、実施例1と同様に、少なくとも二次インサート成形工程の間であれば、どのタイミングでどれだけの時間継続しても成形サイクルには一切影響しない。また、実施例3における二次インサート成形工程は、実施例2のように、第2金型キャビティを、回転金型部40の所定量の型開きにより型開きさせた金型キャビティ面及び複合樹脂成形品間に形成させるのではなく、一次インサート成形工程で織物シートと第1熱可塑性樹脂17aとを一体成形させた第1金型キャビティを形成させる金型とは別の金型で形成させるため、成形サイクルは一次回転金型回転工程分長くなるが、少なくともその表面の一部が織物シート12aから成る複合樹脂成形品9の任意の範囲に、加熱賦形させた織物シート12aの形状とは異なる、任意の形状の第2熱可塑性樹脂18aを一体成形させることができる。
シート加熱賦形工程及び二次インサート成形工程の完了後、図示しない型締手段及び回転金型支持機構4によりダミープレート6と回転金型部40とを共通金型19から型開きさせ、図4(d)に示す再型開き状態とする。複合樹脂積層成形品9’は非意匠面である複合樹脂成形品9側を共通金型19に保持させた状態で型開きさせ、共通金型19に配置された図示しない製品押出手段等で押し出させることが好ましい。押し出された複合樹脂積層成形品9’は図示しない製品取出手段により装置外に搬送させる(製品取出工程)。この型開きの際、製品取出工程を容易にし、かつ、シート加熱賦形工程を継続させて、製品取出工程時の加熱賦形させた織物シート12aの温度低下を防止するため、密閉空間33’を維持させた状態、すなわち、ダミープレート6と回転金型部40とを一体化させた状態で、共通金型19から型開きさせることが好ましいことは先に説明したとおりである。
その後、図示しない回転金型支持機構4により回転金型部40を再び回転させて、シート加熱賦形工程において加熱賦形させた新たな織物シート12aを保持させた第1回転金型20の金型分割面を共通金型19と対向する位置に、第2回転金型21の金型分割面をダミープレート6と対向する位置に移動させる(二次回転金型回転工程)と、図4(a)に示す型閉じ状態をそのまま型開きさせた状態となる。再び、回転金型部40とダミープレート6とを共通金型19に型閉じさせれば、図4(a)で示す型閉じ状態に戻る。
このように図4(a)から図4(d)までの工程を繰り返すことにより、少なくともその表面の一部が織物シートから成る複合樹脂成形品の任意の範囲に、更に、加熱賦形させた織物シートの形状とは異なる、任意の形状の熱可塑性樹脂を積層成形させた、すなわち、織物シートを熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂で挟みこんだ複合樹脂積層成形品を、型開き2回毎に連続して成形することができる。このインサート成形方法であれば、織物シートとその表裏両面の熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂との密着強度の高い複合樹脂積層成形品を成形することができるだけでなく、織物シートの表裏両面の熱可塑性樹脂から成るマトリックス樹脂を異なる形状で成形することができ、複合樹脂積層成形品の加飾性や機能性を更に高めることができる。また、シート加熱賦形工程を二次インサート成形工程と重複させることができるので、成形サイクルが長くなることもない。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、実施例1乃至実施例3において、強化繊維から成る織物シートを回転金型部の金型キャビティ面に吸引により保持及び賦形(真空成形)させる形態としたが、保持及び賦形手段(方法)は吸引以外であっても良い。例えば、ダミープレート6を回転金型部40の金型キャビティ形状に対応させ、加熱手段6aを内蔵させたプレス型とし、針刺し式等の公知の保持方法で回転金型部40の金型分割面、あるいは、金型キャビティ面に保持させた織物シート12を、型締めを利用した加熱プレス成形により賦形させても良い。また、別の加熱プレス装置等で、回転金型部の金型キャビティ形状と略同じ形状に予備賦形させた織物シートやプリプレグを、回転金型部の金型キャビティ面にインサートさせる形態を否定するものではない。このような形態においても、これら予備賦形させた織物シートやプリプレグを、成形サイクルに一切影響を与えることなく所定温度まで加熱させることに何の問題もない。
また、実施例2及び実施例3においては、複数の射出ユニットを使用する形態としたが、それぞれの射出ユニットから射出充填させる熱可塑性樹脂は、必ずしも異なる色彩や機能を有する別の種類である必要はなく、織物シートを挟み込む熱可塑性樹脂が全く同じ種類のもので良い場合は、単独の射出ユニットのまま、金型内に配置させた樹脂流路切替弁等で必要に応じて溶融樹脂流路を切り換えて、溶融樹脂を任意の金型キャビティに射出充填させる形態であっても良い。
また、実施例3においては、少なくともその表面の一部が織物シートから成る複合樹脂成形品の任意の範囲に、更に、加熱賦形させた織物シートの形状とは異なる、任意の形状の熱可塑性樹脂を積層成形させた複合樹脂積層成形品を成形するものとしたが、必ずしも、加熱賦形させた織物シートの形状とは異なる形状である必要はなく、実施例2のように、加熱賦形させた織物シートの形状に略近い形状で、複合樹脂成形品の表裏いずれか一方の織物シートから成る面の略全面に積層させる形態であっても良い。
本発明に係るインサート成形方法は、これまで説明したように、射出成形装置を使用して、強化繊維から成る織物シートの繊維間へ熱可塑性樹脂を充分に含浸させた複合樹脂成形品や複合樹脂積層成形品を、成形サイクルを長くすることなく成形することができる。また、本発明に係るインサート成形方法を行う射出成形装置は、汎用の射出成形装置への回転金型支持機構等の追加改造と、専用金型の準備により容易に得ることができる。更に、実施例2及び実施例3のように射出ユニットを複数個配置すれば、専用金型の準備により、そのまま多層成形装置として活用でき、汎用の射出成形装置に戻すことも容易である。この点においても、多種少量生産の要求に対応する樹脂成形品製造者にとって、本発明の産業上の利用可能性は非常に高い。
3 固定盤
4 回転金型支持機構
5 可動盤
6 ダミープレート
6a 加熱手段
9 複合樹脂成形品
9’ 複合樹脂積層成形品
12 織物シート(加熱前)
12a 織物シート(加熱後)
17 第1射出ユニット
17a 熱可塑性樹脂(第1熱可塑性樹脂)
18 第2射出ユニット
18a 第2熱可塑性樹脂
19 共通金型
20 第1回転金型
21 第2回転金型
30a 金型キャビティ
30b 金型キャビティ
31 第1金型キャビティ
32 第2金型キャビティ
33a 密閉空間
33b 密閉空間
33’ 密閉空間
40 回転金型部

Claims (7)

  1. 強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂とを金型キャビティ内において一体成形させ、複合樹脂成形品を成形するインサート成形方法であって、
    固定盤と可動盤と、前記固定盤及び前記可動盤間に配置され、回転金型部を型開閉方向に直交する回転軸回りに回転可能に支持し、型開閉方向に移動させる回転金型支持機構と、を備える射出成形装置において、
    前記回転金型部の一方の金型分割面側の金型キャビティ面に前記織物シートを保持させて、
    前記可動盤に取り付けられたダミープレート及び前記回転金型部間に形成される密閉空間において、前記織物シートを所定温度まで加熱させながら前記金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程と、
    前記回転金型部の他方の金型分割面側の金型キャビティ面に、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを保持させて、前記固定盤に取り付けられた共通金型及び前記回転金型部間に形成される前記金型キャビティにおいて、前記織物シートと前記金型キャビティに射出充填させた熱可塑性樹脂とを一体成形させ、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る複合樹脂成形品を成形するインサート成形工程と、
    前記回転金型部の回転により、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる回転金型回転工程と、
    を有し、
    前記シート加熱賦形工程及び前記インサート成形工程を重複させることを特徴とするインサート成形方法。
  2. 前記インサート成形工程後、又は途中に、前記複合樹脂成形品を前記共通金型に保持させた状態で、前記回転金型部及び前記ダミープレートを前記共通金型から所定量型開きさせて、前記回転金型部の他方の金型分割面側の金型キャビティ面と前記複合樹脂成形品と前記共通金型との間に形成される第2金型キャビティに第2熱可塑性樹脂を射出充填させて、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る前記複合樹脂成形品に前記第2熱可塑性樹脂を積層させた複合樹脂積層成形品を成形する二次インサート成形工程と、
    を更に有することを特徴とする請求項1に記載のインサート成形方法。
  3. 強化繊維から成る織物シートと熱可塑性樹脂とを金型キャビティ内において一体成形させ、複合樹脂積層成形品を成形するインサート成形方法であって、
    固定盤と可動盤と、前記固定盤及び前記可動盤間に配置され、回転金型部を型開閉方向に直交する回転軸回りに回転可能に支持し、型開閉方向に移動させる回転金型支持機構と、を備える射出成形装置において、
    前記回転金型部の第1金型分割面側の金型キャビティ面に前記織物シートを保持させて、前記可動盤に取り付けられたダミープレート及び前記回転金型部間に形成される密閉空間において、前記織物シートを所定温度まで加熱させながら、前記第1金型分割面側の金型キャビティ面形状に賦形させるシート加熱賦形工程と、
    前記固定盤に取り付けられた共通金型及び前記回転金型部間に形成される第1金型キャビティにおいて、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートと前記第1金型キャビティに射出充填させた第1熱可塑性樹脂とを一体成形させ、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る複合樹脂成形品を成形する一次インサート成形工程と、
    前記一次インサート成形工程後、又は途中に、前記複合樹脂成形品を前記共通金型に保持させた状態で、前記回転金型部及び前記ダミープレートを前記共通金型から型開きさせた後、前記回転金型部の回転により、前記回転金型部の前記第1金型分割面を、前記共通金型と対向する位置から前記ダミープレートと対向する位置に移動させ、前記回転金型部の第2金型分割面を、前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる一次回転金型回転工程と、
    前記回転金型部の前記第2金型分割面側の金型キャビティ面と前記複合樹脂成形品と前記共通金型との間に形成される第2金型キャビティに第2熱可塑性樹脂を射出充填させて、少なくともその表面の一部が前記織物シートから成る前記複合樹脂成形品に前記第2熱可塑性樹脂を積層させた複合樹脂積層成形品を成形する二次インサート成形工程と、
    を有し、
    前記シート加熱賦形工程及び前記二次インサート成形工程を重複させることを特徴とするインサート成形方法。
  4. 前記一次回転金型回転工程後、前記シート加熱賦形工程前に、前記回転金型部の前記第1金型分割面側の金型キャビティ面に新たな前記織物シートを供給・保持させるシート供給工程と、
    前記シート加熱工程及び前記二次インサート成形工程後、前記回転金型部及び前記ダミープレートを前記共通金型から型開きさせた後、前記回転金型部の回転により、前記シート加熱賦形工程において加熱賦形させた前記織物シートを、前記ダミープレートと対向する位置から前記共通金型と対向する位置に移動させる二次回転金型回転工程と、
    を更に有することを特徴とする請求項3に記載のインサート成形方法。
  5. 前記シート加熱賦形工程において、前記ダミープレート及び前記回転金型部の少なくとも一方に配置させた加熱手段により、前記織物シートを前記熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度まで加熱させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のインサート成形方法。
  6. 前記織物シートにバインダ処理が成されている場合、前記シート加熱賦形工程において、前記加熱手段により、前記織物シートをバインダ樹脂の軟化点及び前記熱可塑性樹脂の軟化点のいずれか高い方の軟化点以上の温度まで加熱させることを特徴とする請求項5に記載のインサート成形方法。
  7. 前記織物シートが炭素繊維から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のインサート成形方法。
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