JP2014042554A - 磁場発生用電磁石、これを使用した均等磁場発生装置及び磁場発生用電磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】巻き線治具11A,11Bにリング状の巻き線用芯金を装着して巻き線用芯金12の外周側に巻き線を施して巻き線部17を形成し、巻き線用芯金と巻き線用芯金上に巻装した巻き線部17とで磁場を発生する電磁石を構成する。各電磁石を支持プレートで支持して複数の電磁石ユニットを構成し、これら電磁石ユニットを整列保持具で整列させて均等磁場発生装置を構成する。
【選択図】図4
Description
特に、磁気共鳴画像診断装置(MRI装置)に用いられる電磁石では、精密でコントラストの高い生体断層像を高速で撮るとともに、高機能画像取得のために、撮像空間である電磁石中心部における球状空間(例えば直径40cm)内で所定の磁界強度で且つ所定の磁界均一度(数ppmオーダー)で、さらに所定時間安定な静磁界特性が要求されている(例えば、特許文献1参照)。
このように高い磁界均一度を達成するためには、複数のコイルを最適配置し、設計上の磁場均一性を磁界解析で最適化し、設計対応するのが一般的である。
しかしながら、静磁場を形成する電磁石では、厳密な最適化を実施、設計通りに製作、組立を実施しても製作時の寸法公差や適用材の特性により、実際には数百から数千ppmレベルの均一度になるのが普通であり、複数のコイルの相対的な位置ずれによっても磁場均一度は数千ppmの不均一ができてしまったりする。
そこで、本発明は、上記従来例の課題に着目してなされたものであり、設計通りに正確に製作することができる磁場発生用電磁石、複数の磁場発生用電磁石の位置ズレを調整することができる均等磁場発生装置及び磁場発生用電磁石の製造方法を提供することを目的としている。
この構成によると、巻き線治具に装着する巻き線用芯金の外周側に巻き線を施して巻き線部を形成し、巻き線用芯金と巻き線部とで電磁石を構成するので、巻き線治具を使用して形成した巻き線が崩れることなく電磁石を構成することができる。この場合、巻き線用芯金に巻装した巻き線の崩れを防止するために、巻き線治具とともにワニス含浸処理して巻き線を固定することが好ましい。
この構成によると、巻き線部の巻き幅が巻き線用芯金の幅より広いので、磁場発生用電磁石を軸方向の両端側から支持プレートで挟持する際に巻き線部のみに締結による応力が掛かり、巻き線用芯金に不要な応力が掛かることを防止できる。
この構成によると、一対の位置決め用軸を複数の電磁石ユニットの一対のプレートに形成した挿通孔に挿通することにより、複数の電磁石ユニットの径方向の位置を正確に位置決めすることができる。
また、本発明に係る均等磁場発生装置の第5の態様は、前記位置決め用軸の隣接する前記電磁石ユニット間に軸方向の位置決め用カラーを装着している。
この構成によると、位置決め用カラーによって電磁石ユニット間の軸方向の位置決めを正確に行うことができる。
この構成によると、均等磁場を調整した後の各電磁石ユニット間の間隔を間隔調整用ナットで固定するので、電磁石ユニット間の間隔固定を容易に行うことができる。
この構成によると、間隔調整用ナットを螺合させる雄ねじ部を別途用意する必要がなく、構成を簡略化することができる。
この方法によると、巻き線治具に装着する巻き線用芯金に巻き線部を施し、巻き線用芯金とこの巻き線用芯金の外周側に巻装した巻き線部とで電磁石を構成するので、巻き線治具を使用して形成した巻き線部が崩れることなく電磁石を構成することができる。
この方法によると、巻き線用芯金の外周側に巻き線部の装着が完了した後に、巻き線治具毎ワニス含浸処理を行うので、巻き線部をワニスで確実に固定することができ、巻き線治具を外した状態で、巻き線用芯金上に巻装した巻き線部の形状を確実に保持することができる。
図1は本発明に係る均等磁場発生装置を示す斜視図である。
図中、1は電子スピン共鳴や核磁気共鳴などの種々の磁気共鳴を利用して生体の組織画像を得る生体計測装置に適用する均等磁場発生装置である。この均等磁場発生装置1は、図2に示すように、例えば8個の円環状に形成された磁場発生用電磁石EM1〜EM8が同軸的に配置されている。
ここで、両端部側に配設された磁場発生用電磁石EM1,EM2及びEM7,EM8は内径及び外径がともに小さく設定されているが、人体等の生体が中心部を通過するに十分な内径の円環状に形成されている。
さらに、磁場発生用電磁石EM3及びEM6の内側すなわち軸方向中央部に配設された磁場発生用電磁石EM4及びEM5は、内径及び外径がともに磁場発生用電磁石EM3及びEM6より大きい大径に設定された円環状に形成されている。
したがって、磁場発生用電磁石EM1,EM2,EM7及びEM8と、磁場発生用電磁石EM3及びEM6と、磁場発生用電磁石EM4及びEM5とは互いに異なる定数に設定されている。
ここで、巻き線治具11A及び11Bは、巻き線用芯金12を挟んで上下対称形に形成されている。
これにより、巻き線用芯金12を巻き線治具11A及び11Bで挟持した状態となり、巻き線用芯金12の外周側に巻き線収納空間16が形成される。
そして、巻き線用芯金12を挟持した巻き線治具11A及び11Bを図示しない巻き線機に装着して、巻き線収納空間16に例えばアルファ巻きで巻き線を施して、巻き線用芯金12の外周側に円環状の巻き線部17を形成する。このとき、前述したように、巻き線治具11A及び11Bには、円環状当接面11c及び11dより外側に凹んだ巻き線収容部11e及び11fが形成されているので、図3に示すように、巻き線部17の幅W1が巻き線用芯金12のリング状板部12aの幅W2より広くなり、図4で拡大図示するように、巻き線部17にオーバーハング部17a及び17bが形成される。
支持プレートP1a〜P6a及びP1b〜P6bのそれぞれは、互いに同一形状に高精度で形成され、図1に示すように、中心開口21を有する。また、支持プレートP1a〜P6a及びP1b〜P6bのそれぞれは、図5及び図6に示すように、マシニングセンタ等のNC工作機械で、磁場発生用電磁石EM1〜EM8を構成する巻き線用芯金12の係合突出部12b及び12cが係合する円環状の係合溝22が形成され、この係合溝22の外周側に連接して電磁石ユニットMU1〜MU6の巻き線部17の軸方向端面が接触する平坦面23が形成されている。
そして、図7に示すように、磁場発生用電磁石EM1及びEM2間にスペーサ20を介装して一体化した状態で、磁場発生用電磁石EM1の係合突出部12cを支持プレートP1aの係合溝22に係合させて位置決めし、さらに冷却水シール24を嵌合段部25に嵌合させて、Oリングや封止用接着剤などでシーリングを行う。
この位置決め状態で、例えば支持プレートP1a側から磁場発生用電磁石EM1及びEM2の内周側及び外周側でそれぞれ複数本のスタッドボルト31を挿通し、支持プレートP1b側から突出した雄ねじ部に締結ナット32を螺合させて締付けることにより、支持プレートP1a及びP1b間に磁場発生用電磁石EM1及びEM2を正確に位置決めして固定し、電磁石ユニットMU1を構成することができる。
また、磁場発生用電磁石EM3〜EM6については、単独で、支持プレートP2a,P2b〜P5a,P5bによって挟持し、スタッドボルト31及び締結ナット32で締付けることにより、正確に位置決めして固定し、電磁石ユニットMU2〜MU5を構成する。
そして、各電磁石ユニットMU1〜MU5において、図5及び図10に示すように、支持プレート6ibの右端面から突出する所要数のスタッドボルト31の先端部に間隔調整用ナット33及び34を螺合させる。
なお、スタッドボルト31の長さは間隔調整用ナット33及び34が螺合状態で、隣接する電磁石ユニット間の間隔調整が可能な長さに設定されている。
ここで、2次元位置調整機構AM1a,AM1b及びAM6a,AM6bのそれぞれは、図8及び図9に示すように、ベース基板41上に形成された軸方向のスライドガイド42によって軸方向に摺動可能に案内された長方形板状の軸方向摺動テーブル43と、この軸方向摺動テーブル43上に、スライドガイド44によって軸直角方向に摺動可能に案内された軸直角方向摺動テーブル45とを備えている。
幅狭板部45aには、軸直角方向に延長し軸方向に離間する一対の長孔45dが形成され、これら長孔45d内に軸方向摺動テーブル43に螺合された固定ボルト45eが挿通されている。
そして、軸方向摺動テーブル43に幅狭板部45aの端部に対向して支持板部48が形成され、この支持板部48に位置調整ボルト49が軸直角方向に螺合され、この位置調整ボルト49の先端が幅狭板部45aの端部に接触して軸直角方向摺動テーブル45の位置決めを行う。
また、2次元位置調整機構AM2a,AM2b〜AM5a,AM5bのそれぞれは、支持する電磁石ユニットMU2〜MU5の支持プレートP2a,P2b〜P5a,P5bの間隔に応じて軸方向の幅が2次元位置調整機構AM1a,AM1b及びAM6a,AM6bに比較して幅狭に構成されていることを除いては2次元位置調整機構AM1a,AM1b及びAM6a,AM6bと同様の構成を有する。
これら2次元位置調整機構AM1a,AM1b〜AM6a,AM6bへの電磁石ユニットMU1〜MU6の固定部への固定が完了すると、位置決め用軸28a及び28bを引き抜くことにより、各2次元位置調整機構AM1a,AM1b〜AM6a,AM6bによる電磁石ユニットMU1〜MU5を個別に軸方向及び軸直角方向の微調整を行うことが可能となる。
そして、最終的に微調整された電磁石ユニットMU1〜MU6の隣接するユニット間隔が前述した間隔調整用ナット33をスタッドボルト31の雄ねじ部に螺合させた状態で対向するスタッドボルト31の頭部31aに当接させるとともに、間隔調整用ナット34を対向する支持プレートPiaの板面に当接させることにより、固定される。
先ず、磁場発生用電磁石EM1〜EM8を製造するには、磁場発生用電磁石EM1,EM2及びEM7,EM8に対応するサイズの巻き線用芯金12を4個と、磁場発生用電磁石EM3及びEM6に対応するサイズの巻き線用芯金12を2個と、磁場発生用電磁石EM4及びEM5に対応するサイズの巻き線用芯金12を2個それぞれ用意する。
各巻き線用芯金12について、係合突出部12b及び12cを、例えばポリテトラフルオロエチレンテープ等のフッ素樹脂テープでなるマスク材でマスクする。そして、巻き線用芯金12のマスク材でマスクした係合突出部12b及び12cを、図4に示すように、巻き線治具11A及び11Bの円環状係合溝11a及び11bに係合させる。これにより、巻き線用芯金12を巻き線治具11A及び11Bで挟み込む。
そして、巻き線部17が形成された巻き線用芯金12を巻き線治具11A及び11Bと共に、巻き線機から取り外し、そのまま例えば真空加圧ワニス含浸装置に装入して真空加圧ワニス含浸処理を実施する。この真空加圧ワニス含浸処理によって、巻き線部17の巻き線間に絶縁材となるワニスを含浸させて巻き線部17の巻き線を固定する。
このように、アニール処理を行って、巻き線部17の残留応力を除去することにより、残留応力による巻き線部17の変形を確実に防止することができ、巻き線部17を高精度で形成することができる。
このように、本実施形態では、巻き線用の治具として使用する巻き線用芯金12の外周面に巻き線部17を形成して磁場発生用電磁石EM1〜EM8を構成するので、巻き線部17の内径が巻き線用芯金12によって正確に規制されることから巻き線部17の内径を設計通りに正確に形成することができる。しかも、巻き線用芯金12を取り外すことがないので、巻き線部17の形状が崩れることがなく、巻き線部17の形状を高精度で維持することができる。さらに、巻き線部17を巻き線治具11A,11B及び巻き線用芯金12から外すことなく、ワニス含浸処理を行って巻き線部17を固定するので、巻き線部17の形状を正確に維持することができる。
そして、上記工程によって製作された磁場発生用電磁石EM1〜EM8を使用して均等磁場発生装置1を製作する。この均等磁場発生装置1の製作は、先ず、磁場発生用電磁石EM1,EM2及びEM7及びEM8については、磁場発生用電磁石EM1及びEM2を同一形状のスペーサ20を介して一体化して置くと共に、磁場発生用電磁石EM7及びEM8についても同一形状のスペーサ20を介して一体化しておく。また、各サイズの磁場発生用電磁石EM1〜EM8を挟持する外形寸法が同一寸法に高精度に形成され、内面側に磁場発生用電磁石EM1〜EM8を構成する巻き線用芯金12の係合突出部12b及び12cが係合する係合溝22を形成した支持プレートP1a、P1b〜P6a,P6bを用意して置く。
そして、電磁石ユニットMU1〜MU6の2次元位置調整機構AM1a,AM1b〜AM6a,AM6bへの固定が完了すると、各電磁石ユニットMU1〜MU6から位置決め用軸28a及び28bを引き抜いて、電磁石ユニットMU1〜MU6の設置を完了する。
なお、3つ以上の電磁石ユニットを固定する場合には、複数組例えば2組の電磁石ユニット同士を図10に示す貫通スタッドボルト38及び締結ナット39及び40によって固定するようにしても良い。
そして、2次元位置調整機構AM1a,AM1b〜AM6a,AM6bによる微調整が終了した後に、各電磁石ユニット間の間隔を間隔調整用ナット33及び34によって固定し、さらに、全体の電磁石ユニットMU1〜MU6を貫通スタッドボルト35及び締結ナット36によって固定することにより、微調整後の各電磁石ユニットMU1〜MU6の軸方向位置及び半径方向位置を正確に固定することができる。
なお、上記実施形態においては、8個の磁場発生用電磁石EM1〜EM8を使用して均等磁場発生装置1を構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、磁場発生用電磁石の使用個数は任意に設定することができる。
また、上記実施形態においては、均等磁場発生装置1を水冷方式で冷却する場合について説明したが、液体以外の冷媒を使用する冷却方式を採用する場合には、冷却水シール24を省略することができる。
Claims (10)
- 巻き線治具にリング状の巻き線用芯金を装着して当該巻き線用芯金の外周側に巻き線を施して巻き線部を形成し、前記巻き線用芯金と当該巻き線用芯金上に巻装した巻き線部とで磁場を発生する電磁石を構成したことを特徴とする磁場発生用電磁石。
- 前記巻き線部の巻き幅は、前記巻き線用芯金の幅より広くされてオーバーハング部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁場発生用電磁石。
- 巻き線治具にリング状の巻き線用芯金を装着して当該巻き線用芯金の外周側に巻き線を施して巻き線部を形成し、前記巻き線用芯金及び前記巻き線部で構成される磁場を発生する複数の磁場発生用電磁石と、該複数の磁場発生用電磁石の一つ又は複数を一対の中心開口を有する支持プレートで位置決め挟持して構成した複数の電磁石ユニットと、前記複数の電磁石ユニットを前記磁場発生用電磁石の中心軸が一致するように整列保持する整列保持具とを備えていることを特徴とする均等磁場発生装置。
- 前記整列保持具は、複数の電磁石ユニットの一対のプレートに挿通する少なくとも一対の位置決め用軸で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の均等磁場発生装置。
- 前記位置決め用軸の隣接する前記電磁石ユニット間に軸方向の位置決め用カラーを装着したことを特徴とする請求項4に記載の均等磁場発生装置。
- 前記複数の電磁石ユニットを前記位置決め用軸及び位置決め用カラーで径方向及び軸方向に位置決めした状態で、前記複数の電磁石ユニットを個別の2次元位置調整機構に取付け、前記位置決め用軸及び位置決め用カラーを取り外した状態で、前記各2次元位置調整機構で前記複数の電磁石ユニット位置を調整して均等磁場を形成したことを特徴とする請求項5に記載の均等磁場発生装置。
- 前記複数の電磁石ユニットを前記位置決め用軸及び位置決め用カラーで径方向及び軸方向に位置決めした状態で、前記複数の電磁石ユニットを個別の2次元位置調整機構に取付け、前記位置決め用軸及び位置決め用カラーを取り外した状態で、前記各2次元位置調整機構で前記複数の電磁石ユニット位置を調整して均等磁場を形成し、前記複数の電磁石ユニット位置を間隔調整用ナットで固定したことを特徴とする請求項5に記載の均等磁場発生装置。
- 前記間隔調整用ナットは、前記電磁石ユニットの一対の支持プレートを固定するボルトの雄ねじ部に螺合されていることを特徴とする請求項7に記載の均等磁場発生装置。
- リング状の巻き線用芯金を一対の巻き線治具に位置決めして挟持した状態で、前記巻き線用芯金の外周側に巻き線を施して巻き線部を形成し、前記巻き線部の装着が完了した後に、巻き線用芯金を前記巻き線部の装着状態で前記一対の巻き線治具から取り外して磁場発生用電磁石としたことを特徴とする磁場発生用電磁石の製造方法。
- リング状の巻き線用芯金を一対の巻き線治具に位置決めして挟持した状態で、前記巻き線用芯金の外周側に巻き線を施して巻き線部を形成し、前記巻き線部の装着が完了した後に、前記巻き線治具毎ワニス含浸処理を行って前記巻き線部を固定し、次いで前記巻き線用芯金を前記巻き線部の装着状態で前記一対の巻き線治具から取り外して磁場発生用電磁石としたことを特徴とする磁場発生用電磁石の製造方法。
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