JP2014041174A - 波長選択性経路切換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細構造を有さず低コストで簡便に形成することが可能な波長選択性経路切換素子を提供する。
【解決手段】シリコン基板1上に下部クラッド層2が設けられており、下部クラッド層上には下部光導波路コア5及び当該下部光導波路コアを覆う上部クラッド層3が設けられている。上部クラッド層を挟んで下部光導波路コアの上方に上部光導波路コア4が設けられている。下部光導波路コアと上部光導波路コアとの伝播方向の中心軸は互いにねじれの位置に配置されている。そして、下部光導波路コアの導波光を伝播モード変換して出力させるモード変換部10を備えている。特定波長の光に対して、上部光導波路コアの基本伝播モード伝播に対する等価屈折率と、下部光導波路コアの2次の伝播モード伝播に対する等価屈折率とが等しく設定されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、波長の相違に基づき光経路を切り換える波長選択性経路切換素子に関する。
近年、加入者系光アクセスシステムは、1つの局側光回線終端装置(OLT: Optical Line Terminal)と複数の加入者側光回線終端装置(ONU: Optical Network Unit)を、光ファイバ及びスターカプラを介して接続し、OLTを複数のONUが共有する形態に構成される、受動光ネットワーク(PON: Passive Optical Network)通信システムが主流となっている。この通信システムでは、OLTからONUへ向けた下り通信に使われる光信号の波長と、ONUからOLTに向けた上り通信に使われる光信号の波長とを違えて、下り通信と上り通信とが相互に干渉し合わないようにされている。
OLT及びONUは、波長フィルタ、フォトダイオード、レーザダイオード等の光学素子を備えて構成される。これらの光学素子を、レンズを用いて空間結合させるにはそれぞれの光学素子の中心位置(受光位置あるいは発光位置)を設計位置に合せるための複雑な光軸合せ作業が必要である。そこで、量産工程に適する光軸合せ作業の新規な技術を確立することが課題である。
OLT及びONUにおける、下り通信に使われる光信号の経路と上り通信に使われる光信号の経路を切り換える経路切換素子を、OLT及びONUの組立工程で量産に適する形態とするための有力な手段が、レンズの代わりに光導波路を利用して光学素子を結合することである。すなわち、光軸合わせをなくすために光導波路を用いて構成された光導波路素子が知られている(例えば、特許文献1〜6参照)。これらの光導波路素子はシリコン(Si)を導波路材料として使用され極めて小型に形成され、しかも製造にはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の製造過程が流用され低コスト化が実現されている。
シリコン光導波路(コア)をシリコンよりも屈折率の小さい素材で囲む構成の光導波路をシリコン細線型光導波路と呼ぶ。シリコンよりも屈折率の小さい素材とは、例えば、酸化シリコン(SiO2)等である。シリコン細線型光導波路において、コアを形成するシリコンとクラッドを構成する酸化シリコンの屈折率差は極めて大きく、クラッドの屈折率に対するコアの屈折率比は極めて大きい。そのため、導波光の光電場成分のほとんどをコアに閉じ込めることが可能であり、コアの断面寸法をサブミクロン程度と極めて細く形成することができる。また、シリコン細線型光導波路は、半導体素子の製造工程と共通の工程を利用して容易に量産することができる。
光導波路を利用して光学素子を結合する手段をとれば、光は光導波路内に閉じ込められて伝搬するため、レンズを用いる空間結合系を形成するときのように複雑な光軸合せを必要としない。波長フィルタ、フォトダイオード、レーザダイオード等の光学素子は光導波路が形成された基板に設置位置を示すマーカーを形成しておけば、それぞれの光学素子の中心位置が最適位置にくるように配置することは容易である。すなわち、光導波路を用いれば、経路切換素子を量産性に優れる工程で製造することが可能となる。
下り通信に使われる光信号の経路と上り通信に使われる光信号の経路を切り換える上述の経路切換素子は、下り通信に使われる光信号の経路と上り通信に使われる光信号の経路を、波長の相違に基づき切り換えるための素子であるので、波長フィルタとしての機能も備えている。
この経路切換素子の波長フィルタとしての機能は、マッハ-ツェンダ干渉計、方向性結合器、あるいはグレーティング等によって実現される。グレーティングはその反射強度を十分に強くすれば透過帯域内での透過率を一定化することができる。グレーティングはマッハ-ツェンダ干渉計と比較すると、単一段で所望の波長を選択できる特徴がある。Si導波路に形成されたグレーティングは、例えば非特許文献1及び特許文献7に開示されている。更に、多モード導波路におけるモード変換型グレーティングを使用する形態も提案されている(例えば、特許文献8)。
米国特許第4,860,294号明細書 米国特許第5,764,826号明細書 米国特許第5,960,135号明細書 米国特許第7,072,541号明細書 特開平08−163028号公報 特開2004−157192号公報 特表2007−523387号広報 特開2006−325380号公報
Hirohito Yamada et al., "Si Photonic Wire Waveguide Devices", IEICE Trans. Electron. Vol. E90-C, No. 1, pp. 59-64, January 2007.
PON通信システムを構成するONU及びOLTが備える経路切換素子は、上述のように波長フィルタとしての機能を有していなければならない。シリコン細線型光導波路で構成される経路切換素子において、波長フィルタとしての機能を実現する構成要素としてグレーティングが一般的に使われる。しかしながら、このグレーティングの周期は、この経路切換素子で経路切換の対象とされる光信号の光搬送波の波長よりはるかに短く形成する必要がある。このような微細な構造を有するグレーティングを製造するには高度な技術が必要とされる。
また、シリコン細線型光導波路にレーザダイオードの出力光を入力させ、あるいはシリコン細線型光導波路からの出力光をフォトダイオードに効率よく入力させるには、出力光のスポットサイズを変換させるのがよい。
この発明の発明者は、波長フィルタとしての機能を実現する構成要素としてグレーティングを利用する代わりに、方向性結合器を利用すれば微細加工を必要としないことに着目した。更に、方向性結合器を構成する2本の光導波路の配置形態を工夫することでこれら2本の光導波路を、高い精度を以て配置できることを見出した。
シリコン細線型光導波路で構成される経路切換素子である光導波路素子を形成するに当たり、その製造方法を簡略化するためには、SOI(Silicon on Insulator)基板を利用するのが好適である。そこで、SOI基板を利用して経路切換素子を形成するに当たっては、一方の光導波路をその伝播モードが高次の伝播モードとし、切り換えられた光を導波させる光導波路を基本伝播モードとするのが好適であることを見出した。
すなわち、この発明は、微細構造を有さず低コストで簡便に形成することが可能な、波長選択性経路切換機能を実現する波長選択性経路切換素子を提供することを目的とする。
この発明の要旨によれば、上述の目的を達成するため、波長選択性経路切換素子は、以下の特徴を具えている。
この発明の波長選択性経路切換素子は、シリコン基板、下部クラッド層、下部光導波路コア、上部クラッド層、及び上部光導波路コアを備えている。シリコン基板上には、下部クラッド層が設けられている。下部クラッド層上には、下部光導波路コア及び当該下部光導波路コアを覆う上部クラッド層が設けられている。上部クラッド層を挟んで下部光導波路コアの上方に上部光導波路コアが設けられている。
そして、下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率(Effective guide index)と、下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する導波光と同一波長で上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しく設定されている。
下部光導波路コアと上部光導波路コアとの伝播方向の中心軸は、互いにねじれの位置に配置するのが好適である。
また、上部光導波路コアの伝播モードを基本伝播モードに設定し、下部光導波路コアの伝播モードを、2次伝播モードに設定するのがよい。
また、下部クラッド層の屈折率に対する下部光導波路コアの屈折率の比が、上部クラッド層の屈折率に対する上部光導波路コアの屈折率の比より大きく設定するのがよい。具体的には、下部クラッド層の屈折率に対する下部光導波路コアの屈折率は40%以上(1.4倍以上)の大きさであり、上部クラッド層の屈折率に対する上部光導波路コアの屈折率は5%以内(1.05倍以内)の大きさとするのがよい。
この発明の要旨の波長選択性経路切換素子によれば、下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しく設定されている。この場合、第1波長の光に対して、下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する等価屈折率と、上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する等価屈折率が等しくなるように設定すれば、第2波長の光に対しては、下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する等価屈折率と、上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する等価屈折率は等しくならない。
第1波長の光と、第2波長の光とが、共に上部光導波路コアに入力されると、第1波長の光の経路が下部光導波路コアへ切り換えられてしかも高次の伝播モードで出力される。一方、第2波長の光は、そのまま上部光導波路コアを伝播して出力される。すなわち、選択した波長の光の経路を切り換えることができる。
このように、この発明の要旨の波長選択性経路切換素子は、波長の相違に基づき経路を切り換える、波長フィルタとしての機能を備えているので、下り通信に使われる光信号の経路と上り通信に使われる光信号の経路を切り換える上述の経路切換素子として利用して好適である。
また、下部光導波路コアと上部光導波路コアとの伝播方向の中心軸は、互いにねじれの位置に配置する構成とすることによって、上部光導波路コアと下部光導波路コアとを、高い精度を以て配置できる。これは、この発明の波長選択性経路切換素子が、上部クラッド層を挟んで下部光導波路コアの上方に上部光導波路コアが設けられる構成とされており、下部クラッド層、下部光導波路コア、上部クラッド層、及び上部光導波路コアの順に成膜技術によって形成されることによる。すなわち、同一平面状に並列させて2本の光導波路コアをその間隔を高精度に配置するのと比較して、下部光導波路コアと上部光導波路コアとを積層する方向に積み重ねて構成する方が素子形成技術上、精度を確保しやすい。
上部光導波路コアと下部光導波路コアとを、高い精度を以て配置できることによって、切り換えられる波長を高い精度で選択することが可能となり、高い信頼性を有する経路切換素子が実現される。
また、第1波長の光の経路が上部光導波路コアから下部光導波路コアへ切り換えられるためには、上述したように、上部光導波路コア及び下部光導波路コアを第1波長の光が等しい等価屈折率で伝播する状態となっていなければならない。上部光導波路コアの伝播モードを基本伝播モードに設定し、下部光導波路コアの伝播モードを、2次伝播モードに設定することによって、経路切り換えが行われる第1波長の光に対する等価屈折率を等しく設定するのが容易となる。すなわち、上部光導波路コアの伝播モードと下部光導波路コアの伝播モードをともに基本伝播モードに設定して、上部光導波路コア及び下部光導波路コアを第1波長の光が等しい等価屈折率で伝播する状態とすることは極めて難しい。
これは、このような条件に設定するには、下部光導波路コアの幅を極めて狭く設定することが必要となり、このように狭くすることは素子の製作上極めて困難であるからである。この困難は、この発明の波長選択性経路切換素子を、SOI基板を利用して形成することに起因している。SOI基板を利用してこの発明の波長選択性経路切換素子を形成する場合、下部光導波路コアは、シリコン材で形成することになる。この場合、下部光導波路コアと下部クラッド層を構成する酸化シリコン材との屈折率差が極めて大きい、すなわち、クラッドを構成する酸化シリコンの屈折率に対するコアを形成するシリコンの屈折率比はきわめて大きいため、上述のような条件に設定するには、下部光導波路コアの幅を極めて狭く設定することが必要となる。
下部クラッド層の屈折率に対する下部光導波路コアの屈折率の比を、上部クラッド層の屈折率に対する上部光導波路コアの屈折率の比より大きく設定すれば、上部光導波路コアの幅あるいはその厚みを下部光導波路コアより大きくすること、すなわちコアの切断面を広くできる。このようにコアの切断面を広くすれば、上部光導波路コアに、入力される第1波長の光と第2波長の光のスポット位置が多少ずれても入力される光量に大きな変動が生じないので使いやすい素子となる。
更に、上述したように、下部光導波路コアの出力端にモード変換部を備えることによって、下部光導波路コアの導波光を基本伝播モード変換して出力させることが可能となる。第1波長の光は基本伝播モードから高次の伝播モードに変換されて、上部光導波路コアから下部光導波路コアにその経路が切り換えられる。そこで、下部光導波路コアを伝播する第1波長の光の伝播モードを高次伝播モードから基本伝播モードに変換してから出力させるのが望ましい。これは、PONにおける利用を考慮すると、経路切換素子から出力される光は、基本伝播モードに伝播モードが限定されたシングルモード光ファイバ等に入力される形態として利用されることが想定されるので、出力光は基本伝播モードの形態で出力させるのが好適であるからである。
また、モード変換部は、後述するように方向性結合器等を利用して形成することができ、出力光のスポットサイズを変換する機能も容易に実現される。
第1の実施形態の波長選択性経路切換素子の構成を示す概略的斜視図である。 第1の実施形態の波長選択性経路切換素子を構成する光導波路パターンを示す概略的平面図である。 第1の実施形態の波長選択性経路切換素子の切換機能の波長依存性についての説明に供する図である。 第2の実施形態の波長選択性経路切換素子を構成する光導波路パターンを示す概略的平面図である。 第3の実施形態の波長選択性経路切換素子の構成を示す概略的斜視図である。
以下、図を参照して、この発明の実施形態につき説明する。なお、この発明の波長選択性経路切換素子の概略的構成を示す各図は、この発明の実施形態に係る一構成例を示すものであり、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の構成素材及び設計条件等を用いることがあるが、これら構成素材及び設計条件等は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。
<第1の実施形態の波長選択性経路切換素子>
(構成)
図1及び図2を参照して、第1の実施形態の波長選択性経路切換素子の構成について説明する。図1は、波長選択性経路切換素子の構成を示す概略的斜視図であり、図2は、波長選択性経路切換素子を構成する光導波路パターンを示す概略的平面図である。
図1に示すように、第1の実施形態の波長選択性経路切換素子は、次のように構成されている。
第1の実施形態の波長選択性経路切換素子は、シリコン基板1、下部クラッド層2、下部光導波路コア5、上部クラッド層3、及び上部光導波路コア4を備えている。シリコン基板1上には、下部クラッド層2が設けられている。下部クラッド層2上には、下部光導波路コア5及び当該下部光導波路コア5を覆う上部クラッド層3が設けられている。上部クラッド層3を挟んで下部光導波路コア5の上方に上部光導波路コア4が設けられている。
そして、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光と同一波長で上部光導波路コア4を基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しく設定されている。
経路切り換えされる波長の光に対する下部光導波路コア5の伝播モードは、ビームの強度分布が光軸上で極大となる伝播モードとするのが好適である。これは、光ファイバ等に出力させる際に光軸上で光強度が極大である光ビームを入力させることがもっとも容易であるからである。ビームの強度分布が光軸上で極大となる伝播モードは、偶数次の伝播モードであり、2次、4次、…の伝播モードが相当する。これら偶数次の伝播モードのうち、上部光導波路コア4で励起される効率が最も高いのは、最小次数である2次の伝播モードであるので、下部光導波路コア5の伝播モードを、2次伝播モードに設定するのが好適である。
下部光導波路コア5と上部光導波路コア4との伝播方向の中心軸は、互いにねじれの位置に配置されている。このように配置する理由は、上述したように、上部光導波路コア4と下部光導波路コア5とを、高い精度を以て配置できることによる。
選択されて経路が切り換えられる第1波長の光と、非選択で経路が切り換えられない第2波長の光とが共に入力される上部光導波路コア4の口径面積を広く確保するため、上部クラッド層3の屈折率に対する上部光導波路コア4の屈折率を5%以内の大きさ、すなわち上部光導波路コア4の屈折率が上部クラッド層3の屈折率の1.05倍以上とならない範囲に設定されている。
ここで、下部光導波路コア5はシリコンで形成される。これは、後述するように波長選択性経路切換素子を、SOI基板を用いて形成することを前提にしているためである。SOI基板は、広く市販品として入手可能であり、シリコン基板に酸化シリコン層(下部クラッド層2に相当する)、及びこの酸化シリコン層上に下部光導波路コア5の厚みの寸法に等しい厚みのシリコン層が形成されている。これら、酸化シリコン層及びシリコン層は、その厚みが極めて高精度に制御されて形成されている。そのため、上述したように、上部光導波路コア4と下部光導波路コア5とを、高い精度を以て配置できる。
下部光導波路コア5がシリコン材であることから、下部クラッド層2の屈折率に対する下部光導波路コア5の屈折率は40%以上の大きさ、すなわち下部光導波路コア5の屈折率が下部クラッド層2の屈折率の1.4倍以上となるように設定することができる。このように設定すれば、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光と同一波長で上部光導波路コア4を基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しいという条件を容易に満足させることができる。
更に、第1の実施形態の波長選択性経路切換素子は、下部光導波路コア5の導波光を伝播モード変換して出力させる、あるいは下部光導波路コア5へ導波光を伝播モード変換して入力させるためのモード変換部10を備えている。モード変換部10は、図2に示すように、下部光導波路コア先端部5cに並列させて出力光導波路6が設けられて構成されている。
図2に示すように、下部光導波路コア先端部5cの導波路幅は一定であるが、出力光導波路6は、出力光導波路先端部6tからなだらかにその導波路幅が広くなる形状に形成されている。すなわち、下部光導波路コア先端部5cと出力光導波路先端部6tとで方向性結合器を構成している。
図2において、出力光導波路6を基本伝播モードで伝播する導波光の光電場の振幅分布の概略を模式的に振幅分布23と示してあり、下部光導波路コア5の伝播モードを2次伝播モードで伝播する導波光の光電場の振幅分布の概略を模式的に振幅分布22と示してある。
出力光導波路先端部6tを設けることで、下部光導波路コア5を2次の伝播モードで伝播した第1波長の光がその伝播モードを基本伝播モードに変換されて出力光導波路6に移行されやすくなっている。しかもビームスポット径を所望の大きさに変化させることが容易となっている。出力光導波路6の幅が一定であれば、第1の波長の光を出力光導波路6に移行させ、かつそのビームスポット径まで変化させることは困難である。
(素子の動作)
図1に示す波長選択性経路切換素子に、選択されて経路が切り換えられえる第1波長の光と、非選択で経路が切り換えられない第2波長の光とが、共に上部光導波路コア4に入力される(図1及び図2においてPinと示し、振幅分布21と示してある)と、第1波長の光の経路が下部光導波路コア5へ切り換えられる。
第1波長の光が上部光導波路コア4から下部光導波路コア5へ切り換えられるためには、上部光導波路コア4を基本伝播モードで伝播する第1波長の光に対する等価屈折率と、下部光導波路コア5を2次の伝播モードで伝播する第1波長の光に対する等価屈折率とが等しくなければならない。このような条件を満たすように、上部光導波路コア4及び下部光導波路コア5の幅が決定されている。この幅は、周知の伝播モードに対する等価屈折率を計算する手法によって求められる。
第1波長の光は、このように下部光導波路コア5を2次の伝播モードで伝播するので、モード変換部10によって、0次の伝播モードに変換された上そのビームスポット径が所望の大きさにされて出力される(図1及び図2においてQoutと示してある)。
一方、第2波長の光に対しては、上部光導波路コア4を基本伝播モードで伝播する等価屈折率と、下部光導波路コア5を2次の伝播モードで伝播する等価屈折率とが等しくない。このため、上部光導波路コア4から下部光導波路コア5へ経路が切り換えられることなく、第2波長の光は上部光導波路コア4から出力される(図1及び図2においてPoutと示してある)。
図3(A)及び(B)を参照して、第1の実施形態の波長選択性経路切換素子の切換機能の波長依存性について、3次元BPM(Beam Propagation Method)法によってシミュレーションした結果を説明する。図3(A)及び(B)に示すシミュレーション結果は、以下に示す条件に設定して得られたものである。
上部光導波路コア4を酸化シリコン材で形成された一辺が2μmの正方形断面形状(図1で4Sと示してある)のコアとして、コアそのものの屈折率を1.51と設定した。また、下部光導波路コア5を、屈折率が3.47のシリコン材で形成された、断面形状の幅がTM波用には1.005μmそしてTE波用には0.77μm、厚みが220 nmである矩形形状(図1で5Sと示してある)と設定した。また、下部光導波路コア5と上部光導波路コア4との厚み方向の中心間距離を900 nmに設定し、下部光導波路コア5と上部光導波路コア4とは2度の角度でねじれの位置で交差するものと設定した。
また、モード変換部10では、下部光導波路コア5を2次の伝播モードで伝播する光のすべてを下部光導波路コア先端部5cから出力光導波路先端部6tへ移行できるように、下部光導波路コア先端部5cの導波路幅、出力光導波路先端部6tの導波路幅の長さ方向に沿った導波路幅の変化率等を設定した。
図3(A)はTEモードに対するシミュレーション結果を示し、図3(B)はTMモードに対するシミュレーション結果を示している。図3(A)及び(B)の横軸は波長をミクロンメートル(μm)単位で目盛って示してあり、縦軸は光強度をdBスケールで示してある。
図3(A)および(B)は、入力光を上部光導波路コア4に入力させて、上部光導波路コア4から出力される光の強度を実線の曲線Poutによって示してあり、出力光導波路6から出力される光の強度を破線の曲線Qoutと示してある。出力光導波路6から出力される光(Qout)は、上部光導波路コア4、下部光導波路コア5及び出力光導波路6を順次伝搬した光成分である。一方、上部光導波路コア4の入出力端から出力される光(Pout)は、上部光導波路コア4に入力された後そのまま上部光導波路コア4から出力される光である。
図3(A)に示すように、TEモードに対して、波長1.503μmにおいて、曲線Poutで示す上部光導波路コア4の入出力端から出力される光の強度が減少し極小となる一方、曲線Qoutで示す出力光導波路6から出力される光の強度は極大となっている。これは、第1の波長を1.503μmに設定した場合、第1の波長の光は上部光導波路コア4に入力された後、下部光導波路コア5、出力光導波路6と移行されて伝搬し出力されることを意味している。これに対して第2の波長を1.503μmからずれた値に設定すれば、第2の波長の光は上部光導波路コア4から入力された後、そのまま上部光導波路コア4から出力されることとなる。
従って、第1の波長を1.503μmとして下り光信号の波長として割り当て、第2の波長を1.503μmからずれた値の波長として上り信号の波長として割り当てれば、PON通信システムのONUあるいはOLTに設置して好適な波長選択性経路切換素子が実現される。
一方、図3(B)に示すように、TMモードに対して、波長1.500μmにおいて、曲線Poutで示す上部光導波路コア4の入出力端から出力される光の強度が極めて大きく減少する一方、曲線Qoutで示す出力光導波路6から出力される光の強度は極大となっている。これは、第1の波長を1.500μmに設定した場合、第1の波長の光は上部光導波路コア4に入力された後、下部光導波路コア5、出力光導波路6と移行されて伝搬し出力されることを意味している。これに対して第2の波長を1.500μmからずれた値に設定すれば、第2の波長の光は上部光導波路コア4から入力された後、そのまま上部光導波路コア4から出力されることとなる。
従って、例えば、第1の波長を1.500μmとして下り光信号の波長として割り当て、第2の波長を1.500μmからずれた値の波長として上り信号の波長として割り当てれば、PON通信システムのONUあるいはOLTに設置して好適な波長選択性経路切換素子が実現される。
以上説明したように、第1及び第2の波長の光の伝播モードがTEモードあるいはTMモードのいずれか一方に限定されていれば、第1の実施形態の波長選択性経路切換素子をPON通信システムのONUあるいはOLTの経路切換素子として利用することができる。通常のPONシステムでは、信号光として利用される第1及び第2の波長の光は、TEモードあるいはTMモードのいずれか一方に偏光していることが多いので、第1の実施形態の波長選択性経路切換素子は、経路切換素子として利用して好適である。
第1の実施形態の波長選択性経路切換素子をPONシステムの経路切換素子として利用する場合は、第1波長及び第2波長を、PONシステムの上り信号波長及び下り信号波長に対応するように設定すればよい。例えば、PONシステムでは上り信号波長帯域として1.31μmの波長帯域が割り当てられており、下り信号波長帯域として1.49μmとして割り当てられているので、第1波長を1.49μmとし、第2波長を1.31μmとすることができる。この場合、出力光導波路6から出力される第1波長の光はフォトダイオード等の受光素子に入力されるように設置される。ONUから送信される第2波長の光は、上部光導波路コア4に入力されるように配置される。
(製造方法)
図1及び図2を参照して説明した波長選択性経路切換素子を構成する光導波路パターン構造体は、例えば、SOI基板を入手して、以下の工程によって形成できる。SOI基板は、広く市販品として入手可能であり、シリコン基板に酸化シリコン層、及びこの酸化シリコン層上に光導波路の厚みの寸法に等しい厚みのシリコン層が形成されている。
SOI基板の酸化シリコン層上に形成されているシリコン層に対して、ドライエッチング等を行い、下部光導波路コア5、及びモード変換部10の下部光導波路コア先端部5c、出力光導波路先端部6tのパターンを導波路構造のコアとして残して他の部分のシリコン層を取り除く。それに続き、エッチング処理で残された光導波路パターンを取り囲む酸化シリコン層を化学気相成長(CVD: Chemical Vapor Deposition)法等によって形成する。そして、酸化シリコン層の上面が平坦になるように研磨し、この酸化シリコン層を上部クラッド層3として形成する。
上部クラッド層3を形成後、CVD法等によって酸化シリコン層を再び形成し、上部光導波路コア4のパターンを残してエッチングして取り除く。ここで、1度目のCVD法等によって形成される酸化シリコン層は上部クラッド層3となり、2度目のCVD法等によって形成される酸化シリコン層は上部光導波路コア4となるので、その両者の屈折率は、5%以内の大きさとなるように、CVD形成条件を設定する。
<第2の実施形態の波長選択性経路切換素子>
上述の第1の実施形態の波長選択性経路切換素子は、第1及び第2の波長の光の伝播モードがTEモードあるいはTMモードのいずれか一方に限定されている場合に利用して好適ある。しかしながら、このように常に第1及び第2の波長の光の伝播モードがTEモードあるいはTMモードのいずれか一方に限定されているとは限らない。そこで、第2の実施形態の波長選択性経路切換素子は、TEモードに対して波長選択機能を実現するための機能部分と、TMモードに対して波長選択機能を実現する機能部分とを備えることにより、それぞれの伝播モードの波長選択機能部分において波長選択されて経路切り換えができるので、TEモードとTMモードのいずれの伝播成分が含まれていても適用可能となる。
図4を参照して、第2の実施形態の波長選択性経路切換素子について説明する。第2の実施形態の波長選択性経路切換素子も、上述の第1の実施形態の波長選択性経路切換素子と同様の手法で形成できる。図4は、第2の実施形態の波長選択性経路切換素子の光導波路パターンを示す概略的平面図である。第2の実施形態の波長選択性経路切換素子も、第1の実施形態の波長選択性経路切換素子と同様にSOI基板を用いて形成するのが好適である。
図4に示すように、第2の実施形態の波長選択性経路切換素子は、次のように構成されている。
第2の実施形態の波長選択性経路切換素子は、シリコン基板1、下部クラッド層2、及び上述の第1の実施形態の波長選択性経路切換素子が備える下部光導波路コアに相当する第1下部光導波路コア5-1に加えて更に第2下部光導波路コア5-2を備え、そして、上部クラッド層3、及び上部光導波路コア4を備えている。
シリコン基板1上には、下部クラッド層2が設けられている。下部クラッド層2上には、第1下部光導波路コア5-1、第2下部光導波路コア5-2、並びに当該第1下部光導波路コア5-1と当該第2下部光導波路コア5-2とを覆う上部クラッド層3が設けられている。上部クラッド層3を挟んで第1下部光導波路コア5-1と第2下部光導波路コア5-2の上方に上部光導波路コア4が設けられている。
第1下部光導波路コア5-1と第2下部光導波路コア5-2とは、幅テーパー型導波路14によって接続されている。幅テーパー型導波路14は、第1下部光導波路コア5-1との接続端において第1下部光導波路コア5-1と幅テーパー型導波路14の光導波路幅とは等しく、幅テーパー型導波路14と第2下部光導波路コア5-2との接続端において第2下部光導波路コア5-2と幅テーパー型導波路14の光導波路幅とは等しく、第1下部光導波路コア5-1との接続端から第2下部光導波路コア5-2との接続端に至るまで、光導波路幅は滑らかに変化している。
そして、第1下部光導波路コア5-1と第2下部光導波路コア5-2を高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、上部光導波路コア4を基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しく設定されている。
例えば、第1下部光導波路コア5-1を高次TEモードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、第1下部光導波路コア5-1を高次TEモードで伝播する導波光と同一波長で上部光導波路コア4を基本TE伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率とを等しく設定し、第2下部光導波路コア5-2を高次TMモードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、第2下部光導波路コア5-2を高次TMモードで伝播する導波光と同一波長で上部光導波路コア4を基本TM伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率とを等しく設定する。この場合、第1下部光導波路コア5-1と第2下部光導波路コア5-2とは、TE伝播モードとTM伝播モードにそれぞれ対応するように、互いに導波路幅が異なっている。
あるいは逆に、第1下部光導波路コア5-1を高次TMモードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、第1下部光導波路コア5-1を高次TMモードで伝播する導波光と同一波長で上部光導波路コア4を基本TM伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率とを等しく設定し、第2下部光導波路コア5-2を高次TEモードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、第2下部光導波路コア5-2を高次TEモードで伝播する導波光と同一波長で上部光導波路コア4を基本TE伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率とを等しく設定する。
第1下部光導波路コア5-1と上部光導波路コア4とは2度の角度でねじれの位置で交差し、第2下部光導波路コア5-2と上部光導波路コア4とは2.2度の角度でねじれの位置で交差するように形成されている。このように、第1下部光導波路コア5-1と上部光導波路コア4とのねじれの角度と、第2下部光導波路コア5-2と上部光導波路コア4とのねじれの角度が相違するのは、TE伝播モードとTM伝播モードでその結合長が異なることによる。
上部光導波路コア4の伝播モードが基本伝播モードに設定されており、第1下部光導波路コア5-1と第2下部光導波路コア5-2の伝播モードが2次伝播モードに設定されている。第1下部光導波路コア5-1と第2下部光導波路コア5-2の伝播モードが2次伝播モードに設定されている理由は、上述の第1の実施形態の波長選択性経路切換素子と同様である。
また、選択されて経路が切り換えられえる第1波長の光と、非選択で経路が切り換えられない第2波長の光とが共に入力される上部光導波路コア4の口径面積を広く確保するため、上部クラッド層3の屈折率に対する上部光導波路コア4の屈折率を5%以内の大きさ、すなわち上部光導波路コア4の屈折率が上部クラッド層3の屈折率の1.05倍以上とならない範囲に設定されている。
また、下部クラッド層2の屈折率に対する第1下部光導波路コア5-1及び第2下部光導波路コア5-2の屈折率は40%以上の大きさ、すなわち第1下部光導波路コア5-1及び第2下部光導波路コア5-2の屈折率が下部クラッド層2の屈折率の1.4倍となるように設定されている。更に、第1下部光導波路コア5-1及び第2下部光導波路コア5-2の導波光を、TEあるいはTM伝播モードで伝播した導波光の伝播モードを変換して出力させるためのモード変換部12を備えている。モード変換部12は、上述の第1の実施形態の波長選択性経路切換素子が備えるモード変換部10と同様の構造である。
第1下部光導波路コア5-1、第2下部光導波路コア5-2、幅テーパー型導波路14、及びモード変換部12は、SOI基板を用いて形成される場合は、SOI基板の酸化シリコン層上に形成されたシリコン層がエッチングされることによって光導波路パターン構造体として形成される。
以上説明したように、TEモードに対して波長選択機能を実現させるための機能部分を第1下部光導波路コア5-1と下部クラッド層2とで構成し、TMモードに対して波長選択機能を実現させるための機能部分を第2下部光導波路コア5-2と下部クラッド層2とで構成すれば、第1及び第2の波長の光の伝播モードがTEモードあるいはTMモードのいずれか一方に限定されていない場合であっても、波長選択性経路切換素子として機能させることができる。
もちろん、TMモードに対して波長選択機能を実現させるための機能部分を第1下部光導波路コア5-1と下部クラッド層2とで構成し、TEモードに対して波長選択機能を実現させるための機能部分を第2下部光導波路コア5-2と下部クラッド層2とで構成しても同様である。
<第3の実施形態の波長選択性経路切換素子>
上述の第1及び第2実施形態の波長選択性経路切換素子は、モード変換部によって経路切り換えされた高次の伝播モードの光を、基本伝播モードに変換し、しかもビームスポット径を所望の大きさに変換させて出力する構成とされている。ここでは、モード変換部を介さずに、経路切り換えされた光を基本伝播モードでしかも所望の大きさのビームスポット径を有する光束として出力可能な形態である、第3の実施形態の波長選択性経路切換素子を提案する。
図5を参照して第3の実施形態の波長選択性経路切換素子の構成について説明する。第3の実施形態の波長選択性経路切換素子も、上述の第1及び2の実施形態の波長選択性経路切換素子と同様の手法で形成できる。
図5に示すように、第3の実施形態の波長選択性経路切換素子は、次のように構成されている。
第3の実施形態の波長選択性経路切換素子は、シリコン基板1、下部クラッド層2、下部光導波路コア5、上部クラッド層3、及び上述の第1及び第2の実施形態の波長選択性経路切換素子が備える上部光導波路コアに相当する第1上部光導波路コア4-1に加えて、更に第2上部光導波路コア4-2を備えている。
シリコン基板1上には、下部クラッド層2が設けられている。下部クラッド層2上には、下部光導波路コア5及び当該下部光導波路コア5を覆う上部クラッド層3が設けられている。上部クラッド層3を挟んで下部光導波路コア5の上方に第1上部光導波路コア4-1及び第2上部光導波路コア4-2が設けられている。
そして、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光と同一波長で第1上部光導波路コア4-1を基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しく設定されている。また、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、下部光導波路コア5を高次伝播モードで伝播する導波光と同一波長で第2上部光導波路コア4-2を基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しく設定されている。
下部光導波路コア5と、第1上部光導波路コア4-1及び第2上部光導波路コア4-2との伝播方向の中心軸は、互いにねじれの位置に配置されている。また、下部光導波路コア5の伝播モードは、上述の実施形態の波長選択性経路切換素子におけるのと同様の理由で、2次伝播モードに設定するのが好適である。
更に、第1上部光導波路コア4-1から出力される光及び第2上部光導波路コア4-2に入力される光のそれぞれが共に出力あるいは入力される第1上部光導波路コア4-1及び第2上部光導波路コア4-2の口径面積を広く確保するため、下部クラッド層2の屈折率に対する下部光導波路コア5の屈折率の比が、上部クラッド層3の屈折率に対する第1上部光導波路コア4-1の屈折率の比より大きく、かつ下部クラッド層2の屈折率に対する下部光導波路コア5の屈折率の比が上部クラッド層3の屈折率に対する第2上部光導波路コア4-2の屈折率の比より大きく設定されている。具体的には、下部クラッド層2の屈折率に対する下部光導波路コア5の屈折率は40%以上の大きさであり、上部クラッド層3の屈折率に対する第1上部光導波路コア4-1の屈折率は5%以内の大きさであり、かつ上部クラッド層3の屈折率に対する第2上部光導波路コア4-2の屈折率は5%以内の大きさとなるように設定されている。
第3の実施形態の波長選択性経路切換素子によれば、例えば、第1及び第2波長の光を第1上部光導波路コア4-1から入力させ(図5でPin-1と示してある)、第1波長の光の経路を切り換えて下部光導波路コア5を介して第2上部光導波路コア4-2に移行させて第2上部光導波路コア4-2から出力させることができる(図5でQout-1と示してある)。このとき第2波長の光は第1上部光導波路コア4-1からそのまま出力される(図5でPout-1と示してある)。
また、例えば、第1波長の光を第2上部光導波路コア4-2から入力させ(図5でPin-2と示してある)、第1波長の光の経路を切り換えて下部光導波路コア5を介して第1上部光導波路コア4-1に移行させて第2上部光導波路コア4-1から出力させることができる(図5でQout-2と示してある)。このとき第2波長の光は第2上部光導波路コア4-2からそのまま出力される(図5でPout-2と示してある)。
経路の切り換えは、下部光導波路コア5を介して、上述のように第1波長の光に対して行う形態とすることも、また、第2波長の光に対して行うことも同様に可能である。
上述したように、第3の実施形態の波長選択性経路切換素子は、入力光(第1波長の光)を第1上部光導波路コア4-1から入力させる利用形態、及び第2上部光導波路コア4-2から入力させる利用形態のいずれも実現可能であり、入力光(第1波長の光)の入力方向について、2通りの自由度を有するという特徴がある。
第1及び第2の実施形態のようにモード変換部を設けるか、第3の実施形態のようにモード変換部を設けない構成とするかは、波長選択性経路切換素子の利用形態に依存する。波長選択性経路切換素子への入力光が光ファイバからの出力光である場合、あるいはレーザダイオード等の発光素子からである場合等で、入力光の伝播モードあるいはビームスポット径が異なるので、好適な実施形態を選択して利用すればよい。同様に、波長選択性経路切換素子からの出力光を光ファイバへ入力するか、フォトダイオード等の受光素子に入力させるかによっても好適なビーム形状が異なるので、入力側の素子等の都合を勘案して好適な波長選択性経路切換素子の形態を選択するのがよい。
1:シリコン基板
2:下部クラッド層
3:上部クラッド層
4:上部光導波路コア
4-1:第1上部光導波路コア
4-2:第2上部光導波路コア
5:下部光導波路コア
5-1:第1下部光導波路コア
5-2:第2下部光導波路コア
5c:下部光導波路コア先端部
6:出力光導波路
6t:出力光導波路先端部
10、12:モード変換部
14:幅テーパー型導波路

Claims (18)

  1. 下部クラッド層、下部光導波路コア、上部クラッド層、及び上部光導波路コアを備え、
    前記下部クラッド層上に、前記下部光導波路コア及び当該下部光導波路コアを覆う前記上部クラッド層が設けられ、
    前記上部クラッド層を挟んで、前記下部光導波路コアの上方に前記上部光導波路コアが設けられ、
    前記下部光導波路コアと前記上部光導波路コアとの伝播方向の中心軸が、互いにねじれの位置に配置されており、
    前記下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、前記下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する前記導波光と同一波長で前記上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しい
    ことを特徴とする波長選択性経路切換素子。
  2. 前記上部光導波路コアの伝播モードが、基本伝播モードに設定されており、
    前記下部光導波路コアの伝播モードが、2次伝播モードに設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長選択性経路切換素子。
  3. 前記下部クラッド層の屈折率に対する前記下部光導波路コアの屈折率の比が、前記上部クラッド層の屈折率に対する前記上部光導波路コアの屈折率の比より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の波長選択性経路切換素子。
  4. 前記下部クラッド層の屈折率に対する前記下部光導波路コアの屈折率は1.4倍以上の大きさであり、前記上部クラッド層の屈折率に対する前記上部光導波路コアの屈折率は1.05倍以内の大きさである
    ことを特徴とする請求項3に記載の波長選択性経路切換素子。
  5. 前記下部クラッド層は、シリコン基板に酸化シリコン層及びこの酸化シリコン層上にシリコン層が形成されたSOI基板の前記酸化シリコン層によって構成され、
    前記下部光導波路コアは、前記SOI基板の前記酸化シリコン層上に形成されている前記シリコン層をエッチング処理して形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の波長選択性経路切換素子。
  6. 前記下部光導波路コアの導波光を伝播モード変換して出力させる、あるいは前記下部光導波路コアへ導波光を伝播モード変換して入力させるためのモード変換部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長選択性経路切換素子。
  7. 前記下部光導波路コアを第1下部光導波路コアとして、更に第2下部光導波路コアを備え、
    前記下部クラッド層上に、前記第1下部光導波路コアと前記第2下部光導波路コア、及び当該第1下部光導波路コアと前記第2下部光導波路コアを覆う前記上部クラッド層が設けられ、
    前記上部クラッド層を挟んで、前記第1下部光導波路コアと前記第2下部光導波路コアの上方に前記上部光導波路コアが設けられ、
    前記第1下部光導波路コアと前記第2下部光導波路コアとは、幅テーパー型導波路によって接続され、
    前記第1下部光導波路コアと前記上部光導波路コアとの伝播方向の中心軸が、互いにねじれの位置に配置され、前記第2下部光導波路コアと前記上部光導波路コアとの伝播方向の中心軸が互いにねじれの位置に配置されており、
    当該幅テーパー型導波路は、前記第1下部光導波路コアとの接続端において当該第1下部光導波路コアと当該幅テーパー型導波路の光導波路幅とは等しく、前記幅テーパー型導波路と前記第2下部光導波路コアとの接続端において当該第2下部光導波路コアと当該幅テーパー型導波路の光導波路幅とは等しく、前記第1下部光導波路コアとの接続端から前記第2下部光導波路コアとの接続端に至るまで、光導波路幅は滑らかに変化し、
    前記第1下部光導波路コアと前記第2下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、前記第1下部光導波路コアと前記第2下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する前記導波光と同一波長で前記上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しい
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長選択性経路切換素子。
  8. 前記上部光導波路コアの伝播モードが基本伝播モードに設定されており、
    前記第1下部光導波路コアと前記第2下部光導波路コアの伝播モードが、2次伝播モードに設定されている
    ことを特徴とする請求項7に記載の波長選択性経路切換素子。
  9. 前記下部クラッド層の屈折率に対する前記第1下部光導波路コア及び前記第2下部光導波路コアの屈折率の比が、前記上部クラッド層の屈折率に対する前記上部光導波路コアの屈折率の比より大きいことを特徴とする請求項7又は8に記載の波長選択性経路切換素子。
  10. 前記下部クラッド層の屈折率に対する前記第1下部光導波路コア及び前記第2下部光導波路コアの屈折率は1.4倍以上の大きさであり、前記上部クラッド層の屈折率に対する前記上部光導波路コアの屈折率は1.05倍以内の大きさである
    ことを特徴とする請求項9に記載の波長選択性経路切換素子。
  11. 前記下部クラッド層は、シリコン基板に酸化シリコン層及びこの酸化シリコン層上にシリコン層が形成されたSOI基板の前記酸化シリコン層によって構成され、
    前記第1下部光導波路コア及び前記第2下部光導波路コアは、前記SOI基板の前記酸化シリコン層上に形成されている前記シリコン層をエッチング処理して形成されている
    ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の波長選択性経路切換素子。
  12. 前記第2下部光導波路コアの導波光を伝播モード変換して出力させる、あるいは前記第2下部光導波路コアへ導波光を伝播モード変換して入力させるためのモード変換部を備えることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の波長選択性経路切換素子。
  13. 前記モード変換部が方向性結合器であることを特徴とする請求項6又は12に記載の波長選択性経路切換素子。
  14. 前記上部光導波路コアを第1上部光導波路コアとして、更に第2上部光導波路コアを備え、
    前記下部クラッド層上に、前記下部光導波路コア及び当該下部光導波路コアを覆う前記上部クラッド層が設けられ、
    前記上部クラッド層を挟んで、前記下部光導波路コアの上方に前記第1上部光導波路コア及び第2上部光導波路コアが設けられ、
    前記下部光導波路コアと、前記第1上部光導波路コア及び前記第2上部光導波路コアとの伝播方向の中心軸が、互いにねじれの位置に配置されており、
    前記下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、前記下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する前記導波光と同一波長で前記第1上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しく、かつ
    前記下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率と、前記下部光導波路コアを高次伝播モードで伝播する前記導波光と同一波長で前記第2上部光導波路コアを基本伝播モードで伝播する導波光に対する等価屈折率が等しい
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長選択性経路切換素子。
  15. 前記第1上部光導波路コア及び第2上部光導波路コアの伝播モードが基本伝播モードに設定されており、
    前記下部光導波路コアの伝播モードが、2次伝播モードに設定されている
    ことを特徴とする請求項14に記載の波長選択性経路切換素子。
  16. 前記下部クラッド層の屈折率に対する前記下部光導波路コアの屈折率の比が、前記上部クラッド層の屈折率に対する前記第1上部光導波路コアの屈折率の比より大きく、かつ
    前記下部クラッド層の屈折率に対する前記下部光導波路コアの屈折率の比が、前記上部クラッド層の屈折率に対する前記第2上部光導波路コアの屈折率の比より大きい
    ことを特徴とする請求項14又は15に記載の波長選択性経路切換素子。
  17. 前記下部クラッド層の屈折率に対する前記下部光導波路コアの屈折率は1.4倍以上の大きさであり、前記上部クラッド層の屈折率に対する前記第1上部光導波路コアの屈折率は1.05倍以内の大きさであり、かつ前記上部クラッド層の屈折率に対する前記第2上部光導波路コアの屈折率は1.05倍以内の大きさである
    ことを特徴とする請求項16に記載の波長選択性経路切換素子。
  18. 前記下部クラッド層は、シリコン基板に酸化シリコン層及びこの酸化シリコン層上にシリコン層が形成されたSOI基板の前記酸化シリコン層によって構成され、
    前記下部光導波路コアは、前記SOI基板の前記酸化シリコン層上に形成されている前記シリコン層をエッチング処理して形成されている
    ことを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の波長選択性経路切換素子。
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