JP2014037539A - 熱剥離型粘着シート - Google Patents

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Yukio Arimitsu
幸生 有満
Daisuke Shimokawa
大輔 下川
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Abstract

【課題】凹凸面に対する追従性に優れ、被着体の被着面が粗面であっても十分な接着力を発現し、封止樹脂等の粗面を有する半導体基板のダイシング用粘着シートとして使用した際にも、チップ飛びが発生しにくく、かつ、加工終了後は加熱により被着体にストレスを与えることなく、容易に剥離することができる熱剥離型粘着シートを提供する。
【解決手段】基材11の少なくとも片方の面に、ゴム状有機弾性層12を介して熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層13が積層された熱剥離型粘着シートであって、前記熱膨張性粘着層の厚みが5〜20μm、前記ゴム状有機弾性層の厚みが20〜200μmであり、ゴム状有機弾性層の厚みが、熱膨張性粘着層の厚みの1.5〜42倍であることを特徴とする熱剥離型粘着シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着性に優れるとともに、任意な時に加熱処理により被着体より簡単に剥離できる熱剥離型粘着シート及び該粘着シートを使用する電子部品の製造方法等に関する。
半導体基板のダイシング工程等に用いられる半導体基板加工用粘着シートとしては、半導体基板に貼着後、ピックアップする際には紫外線及び/又は放射線により粘着剤が重合硬化し、粘着力が低減する硬化型粘着シートを使用する技術が知られている(特許文献1参照)。一方、半導体基板加工用粘着シートとして、粘着層が熱膨張性微小球を含む熱膨張性粘着層で構成されており、加熱により粘着力を消失させて剥離する熱剥離型粘着シートを使用する技術も検討されている。このような熱剥離型粘着シートは、使用に際して紫外線等の照射設備が不要なことや、剥離耐電の抑制の点で硬化型粘着シートに比して優れているが、熱膨張性微小球を含有することなどにより粘着層が硬く、被着体に対する追従性に劣っていた。
近年、半導体基板は粘着シート貼り付け面となる封止樹脂面に0.4〜15μm
程度の粗面をもつものや、レーザー照射により深さ25〜40μmのマークが印字されたものが増えてきている。このような表面に凹凸を有する半導体基板をダイシングする際には、従来の熱剥離型粘着シートでは凹凸に対する追従性が十分でないために十分な粘着力が得られず、基板切断時に被着体が剥離するチップ飛びが発生し歩留まりが低下する問題や、飛んだチップが切断ブレードにぶつかり、ブレードを破損する問題が生じていた。
特開平6−49420号公報
本発明の目的は、凹凸面に対する追従性に優れているため被着体の被着面が粗面であっても十分な接着力を発現し、封止樹脂等の粗面を有する半導体基板のダイシング用粘着シートとして使用した際にも、チップ飛びが発生しにくく、かつ、加工終了後は加熱により被着体にストレスを与えることなく、容易に剥離することができる熱剥離型粘着シートを提供することである。
本発明の他の目的は、上記凹凸面に対する追従性及び熱剥離性に優れた熱剥離型粘着シートを使用した被着体の加工方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、支持基材と熱膨張性粘着層との間にゴム状有機弾性層を設け、該熱膨張性粘着層の厚みとゴム状有機弾性層の厚みとを一定の比率にすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、基材の少なくとも片方の面に、ゴム状有機弾性層を介して熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層が積層された熱剥離型粘着シートであって、前記熱膨張性粘着層の厚みが5〜20μm、前記ゴム状有機弾性層の厚みが20〜200μmであって、ゴム状有機弾性層の厚みが、熱膨張性粘着層の厚みの1.5〜42倍であることを特徴とする熱剥離型粘着シートを提供する。
前記熱剥離型粘着シートは、電子部品加工用に用いられることが好ましい。
前記熱剥離型粘着シートは、凹凸を有する封止樹脂パッケージの加工用に用いられることが好ましい。
本発明の熱剥離型粘着シートは、表面に凹凸を有する被着体に対しても優れた追従性及び接着力を発現し、被着体をしっかりと固定することができる。しかも、接着目的達成後は、加熱により容易に接着力が低減又は消失するため、被着体にストレスを与えることなく、容易に剥離することができる。
本発明の被着体の加工方法によれば、表面に凹凸を有する微小な被着体をもしっかりと固定することができるため、被着体に対して正確な加工を施すことが容易に可能である。しかも、加工終了後は加熱により容易に粘着シートの粘着力を低減又は消失させることができるため、容易に被着体を剥離回収することができる。
さらに、本発明の方法によれば、表面に封止樹脂による粗面や、レーザー印字等の凹凸を有する半導体基板であってもしっかりと固定することができ、切断時のチップ飛びや、チップ欠け等のトラブルを低減し、快適にダイシング等の加工を行うことができる。加工工程終了後は、加熱により電子部品を容易に粘着シートから剥離することが可能である。
[熱剥離型粘着シート]
図面を参照して、本発明の熱剥離型粘着シートを説明する。図1は、本発明の熱剥離型粘着シートの一例を示す概略断面図である。図1中、11は基材、12はゴム状有機弾性層、13は熱膨張性粘着層、14はセパレーターをそれぞれ示す。ゴム状有機弾性層12は、基材11と熱膨張性粘着層13との間に設けられた層であり、粘着シートを被着体に接着する際にその表面が被着体の表面形状に良好に追従して大きい接着面積を提供する働きと、粘着シートを被着体から剥離するために熱膨張性粘着層13を熱して発泡及び/又は膨張させる際に粘着シートの面方向における発泡及び/又は膨張の拘束を少なくして熱膨張性粘着層13が三次元的に構造変化することによるウネリ構造形成を助長する働きをするものも含まれる。セパレーター14は、熱膨張性粘着層表面を保護するために必要に応じて設けられる層であり、平滑な剥離可能なフィルムにより構成される。セパレーター14はあってもよく、なくてもよい。
本発明の熱剥離型粘着シートは、ゴム状有機弾性層12の厚みが熱膨張性粘着層13の厚みの1.5〜42倍、好ましくは2〜18、さらに好ましくは3〜12倍、特に好ましくは4〜8倍の範囲内である。後述するようにゴム状有機弾性層12は、比較的柔らかく変形しやすい構成となっている。従って、ゴム状有機弾性層12の厚みを比較的硬く変形しにくい熱膨張性粘着層13の厚みよりも大きくすること、特に両者の比を上記範囲内とすることにより、被着体表面の凹凸をゴム状有機弾性層12が吸収し、被着体への貼り付け時には被着体表面の凹凸に熱膨張性粘着層13がよく追従し、被着体と粘着シートとの間に浮きや気泡などが発生することを予防する。これにより被着体表面と粘着層表面と接着面積が増加し、十分な接着力を発現する。ゴム状有機弾性層12の厚みが、熱膨張性粘着層13の厚みの1.5倍未満であると、被着体の凹凸面に対し十分な追随性が得られず、浮きや気泡を生じ、接着力が劣る場合がある。ゴム状有機弾性層12の厚みが熱膨張性粘着層13の厚みに比べて著しく大きい場合、特に42倍を超える場合は、十分な加熱剥離性が得られない場合がある。
(基材)
本発明の熱剥離型粘着シートにおいて基材11は、粘着シートの支持母体となるもので、一般にはプラスチックのフィルムやシートが用いられるが、例えば、紙、布、不織布、金属箔あるいはそれらのプラスチックラミネート体、プラスチック同士の積層体などの適宜な薄葉体を使用でき、特に制限されない。基材の厚さは特に制限されないが、例えば、5〜250μmの範囲から選択することができる。
(熱膨張性粘着層)
熱膨張性粘着層13は、粘着剤に熱膨張性微小球を配合することにより形成することができる。粘着剤としては、公知適宜な感圧接着剤を使用することができ、特に制限されないが、加熱時に熱膨張性微小球の発泡及び/又は膨張を許容し、拘束しないゴム系材料や樹脂等をベースとする感圧接着剤を使用するのが好ましい。
このような感圧接着剤としては、天然ゴム、各種合成ゴム、アクリル系、ビニルアルキルエーテル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリアミド系、ウレタン系やスチレン・ジエンブロック共重合体系などのポリマーをベースポリマーとする感圧接着剤を例示できる。また、これらのポリマーに融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合してクリープ特性を改良したものをベースポリマーとして使用することもできる。
これらの中で、アクリル系共重合体を特に好適に使用できる。アクリル系共重合体の主モノマー成分としては、炭素数20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いるのが好ましい。炭素数20以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種又は2種以上を選択して主モノマー成分として使用することができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは粘着剤のベースポリマー中通常50重量%以上含まれる。
アクリル系共重合体は、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、必要に応じて凝集力や耐熱性等の改質などを目的に適宜な共重合性モノマーが含まれていてもよい。上記共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドやN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノ系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールや(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどが挙げられる。これらの共重合性モノマーは、1種又は2種以上を選択して用いることができる。
上述したモノマーを重合に付すことにより、熱膨張性粘着層13を構成するベースポリマーを製造することができる。重合方法は特に制限されず、重合開始剤を添加して溶液重合方法、塊状重合方法、乳化重合方法等通常用いられる公知の重合方法から適宜選択できる。
熱膨張性粘着層13を構成する粘着剤は、必要に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、公知乃至慣用の粘着付与樹脂(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂など)、架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、多官能アクリレート系架橋剤など)、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の使用量は、いずれも粘着剤に適用される通常の量でよい。
上記熱膨張性微小球としては例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの容易にガス化して膨張性を示す適宜な物質をコアセルべーション法や界面重合法等で殻形成物質内に内包させた熱膨張性微小球を使用することができる。殻形成物質としては、熱溶融性を示す物質や、熱膨張で破壊する物質を使用でき、例えば、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は、良好な熱剥離性を発現するために、体積膨張倍率が例えば、5倍以上、好ましくは7倍以上、特に好ましくは10倍以上であるものを使用するのがよい。
熱膨張性微小球の配合量は、熱剥離性粘着剤層13を膨張(発泡)させる程度や接着力を低下させる程度に応じて適宜選択することができ特に制限されない。例えば、後述する熱剥離性粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して1〜150重量部、好ましくは25〜100重量部の範囲から選択することができる。
熱膨張性粘着層13の厚さは、例えば、5〜30μm、好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは5〜15μmの範囲から選択することができる。熱膨張性粘着層13が厚すぎると凹凸面に対する追随性が劣り、本発明の熱剥離型粘着シートを半導体基板のダイシング時の固定用粘着シートとして使用した場合にはチップ飛びや欠けが発生しやすくなる。厚さが足りない場合には、単位面積あたりの熱膨張性微小球の量が少なくなるため、加熱剥離性に劣る場合がある。
(ゴム状有機弾性層)
ゴム状有機弾性層12は、ASTM D−2240のD型シュアーD型硬度に基づいて50以下、若しくは40以下の天然ゴムや合成ゴム、又はゴム弾性を有する合成樹脂により形成することができる。
前記の合成ゴムまたは合成樹脂としては、例えばニトリル系、ジエン系、アクリル系などの合成ゴム、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニルなどのゴム弾性を有する合成樹脂が挙げられる。なお、ポリ塩化ビニルなどの本質的には硬質系のポリマーであっても、可塑剤や柔軟剤等の配合剤との組み合わせによりゴム弾性を付与したものを使用してもよい。
また、ゴム状有機弾性層12を構成する材料としては、上述の感圧接着剤と同様のものを使用してもよい。例えば、アクリル系共重合体をベースポリマーとするアクリル系感圧接着剤は、ゴム状有機弾性層13を構成する材料として好適である。
ゴム状有機弾性層12の厚さは、例えば20〜200μm、好ましくは30〜180μm、さらに好ましくは40〜150μmのであって、熱膨張性粘着層13の厚みとの比が上記範囲内となるように選択することができる。ゴム状有機弾性層12が薄いと凹凸面への追随性に劣り十分な接着力が得られない場合があり、本発明の熱剥離型粘着シートを半導体基板のダイシング時の固定用粘着シートとして使用した場合にはチップ飛びや欠けが発生しやすくなる。又、厚すぎると粘着シートが柔らかすぎるため、チップ欠けが発生する場合がある。
[被着体の加工方法]
本発明の熱剥離型粘着シートは、被着体に貼付時には凹凸を有する被着面に対してもよく追従し、浮きや気泡を生じることなく張り付き、被着体をしっかりと固定することができる。特に、被着体の表面粗さが、熱膨張性粘着層12の表面(粘着面)の表面粗さよりも大きい場合には、このような凹凸面に対する追従性が顕著に発現する。なお、表面粗さは、例えば、中心線平均粗さ(算術平均粗さ)などにより評価できる。従って、本発明の熱剥離型粘着シート、すなわち、基材11の少なくとも片方の面に、ゴム状有機弾性層12を介して熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層13が積層された熱剥離型粘着シートであって、ゴム状有機弾性層12の厚みが、熱膨張性粘着層13の厚みの1.5〜42倍である熱剥離型粘着シートを使用して、被着面の表面粗さが熱膨張性粘着層13の表面粗さよりも大きい被着体を固定して、該被着体に種々の加工を施すことができる。本発明の熱剥離型粘着シートは被着体をしっかりと固定し保持することができるため、微細且つ精密な加工を正確に行うことができる。また、加工に際して被着体(被加工体)に荷重のかかる場合であっても、ズレや剥がれを生じにくく、加工終了時までしっかりと被着体を固定することができる。なお、上記加工には例えば、印刷、刻印、積層プレス、切断、研削、洗浄等が含まれるがこれらに限定されない。
加工終了後は、加熱により熱膨張性粘着層13の粘着力を低減又は消失させ、被加工体(被着体)より容易に剥離することができる。この際の加熱処理条件は、被着体の表面状態や熱膨張性微小球の種類等による接着面積の減少性、基材11や被着体の耐熱性や加熱方法等の条件により決められるが、例えば、100〜250℃、1〜90秒間(ホットプレートなど)又は5〜15分間(熱風乾燥器など)である。
[電子部品の製造方法]
本発明の粘着シートの熱膨張性粘着層13の表面粗さよりも表面粗さが大きく、本発明の熱剥離型粘着シートを使用して加工を行うことができる被加工体(被着体としては例えば、シリコンウエハなどの半導体基板や、セラミック、ガラス、樹脂等からなる基板、これらの基板上に回路パターンを形成した電子部品集合体や、このような電子部品集合体をエポキシ樹脂等の封止樹脂で封止した封止樹脂パッケージなどが例示できる。これらの被加工体を粘着シートに貼り合わせて固定し、規定のサイズにダイシングして個片化し、電子部品とすることができる。
本発明の電子部品の製造方法により、例えば、チップサイズパッケージ等の超小型・軽量の電子部品集合体の切断を、チップ飛びやチップ割れなどの不具合を生じることなく正確に行うことができ、高品質の電子部品を効率よく製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
〈ゴム状有機弾性層〉
アクリル共重合体(アクリル酸ブチル:アクリル酸ビニル:アクリル酸=100重量部:10重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製:商品名「コロネートL」)2重量部、ロジンフェノール系樹脂(住友ベークライト株式会社製:商品名「スミライトレジン」)30重量部をトルエンに混合溶解し、塗工液を調製した。該塗工液を厚さ50μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚みが70μmとなるように塗布し、ゴム状有機弾性層を形成した。
〈熱膨張性粘着層〉
アクリル共重合体(アクリル酸ブチル:アクリル酸ビニル:アクリル酸=100重量部:10重量部:5重量部)100重量部、イソシアネート系架橋剤日本ポリウレタン工業株式会社製:商品名「コロネートL」)5重量部、熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製:商品名「マイクロスフェアーF30D」)70重量部をトルエン中に均一に溶解分散して塗工液を調製した。該塗工液をセパレーター上に乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、熱膨張性粘着層を形成した。
〈熱剥離型粘着シート〉
上記ゴム状有機弾性層と熱膨張性粘着層とを貼り合わせ、熱剥離型粘着シートを得た。
(比較例1)
熱膨張性粘着層の厚みを70μmとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、熱剥離型粘着シートを得た。
(比較例2)
ゴム状有機弾性層の厚みを13μmとし、熱膨張性粘着層の厚みを10μmとした以外は実施例1と同様の操作を行い、熱剥離型粘着シートを得た。
(検証)
実施例及び比較例で得られた熱剥離型粘着シートについて以下の試験を行った。結果を表1に示す。
[粘着力]
ステンレス板(SUS304BA)表面に各熱剥離型粘着シートを貼り合わせ、引っ張り速度300mm/min、ピール角度180・で粘着シートを引き剥がす際の粘着力を測定した。
[加熱剥離性]
ステンレス板(SUS304BA304BA)表面に各熱剥離型粘着シートを貼り合わせてサンプルを作製し、該サンプルを100℃ラ1分間加熱して剥離状況を目視で確認した。剥離した場合○、剥離しなかった場合・と評価した。
[凹凸貼り合わせ性]
図2を参照して凹凸貼り合わせ性の試験方法を説明する。図2は凹凸貼り合わせ性試験のサンプルを示す概略断面図である。なお、図2中、21はステンレス板(SUS304BA)、22は、幅20mmに切断した実施例又は比較例で得られた熱剥離型粘着シート、23は厚さ23μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを示す。ステンレス板上にPETフィルムを置き、各熱剥離型粘着シートをラミネーターを使用して、圧力0.3MPa、貼り付け速度1m/minで貼り合わせた。なお、図2は粘着シートの幅方向の断面図であり、フィルムの貼り合わせは、粘着シートの長さ方向に沿ってラミネートすることにより行った。PETフィルムの幅aは20mmである。貼り合わせ後、浮き(非粘着部分)としてb及びcの最大長さを測定し、bとcとの平均を算出した。平均値が200μm未満である場合○と、200μ以上である場合・と評価した。
Figure 2014037539
本発明の熱剥離型粘着シートの一例を示す概略断面図である。 実施例において行った凹凸貼り合わせ性の評価方法を説明する図である。
11:基材
12:ゴム状有機弾性層
13:熱膨張性粘着層
14:セパレーター
21:ステンレス板
22:粘着シート
23:厚さ23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム

Claims (3)

  1. 基材の少なくとも片方の面に、ゴム状有機弾性層を介して熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層が積層された熱剥離型粘着シートであって、
    前記熱膨張性粘着層の厚みが5〜20μm、前記ゴム状有機弾性層の厚みが20〜200μmであって、
    ゴム状有機弾性層の厚みが、熱膨張性粘着層の厚みの1.5〜42倍であることを特徴とする熱剥離型粘着シート。
  2. 電子部品加工用に用いられることを特徴とする請求項1記載の熱剥離型粘着シート。
  3. 凹凸を有する封止樹脂パッケージの加工用に用いられることを特徴とする請求項1〜2記載の熱剥離型粘着シート。
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