JP2014035250A - 放射線撮影装置 - Google Patents

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太介 井川
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和正 松本
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隼士 塩田
Katsushi Kato
勝志 加藤
Takaaki Gonda
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Abstract

【課題】放射線検出器や電気部品類の冷却効果を向上させるとともに、放射線検出器の温度ムラや時間軸上の温度変化による特性のばらつきを抑制する。
【解決手段】放射線撮影装置100aは、平板状の放射線検出器2と、放射線検出器2を駆動する回路基板7と、回路基板7を冷却する平板状の基板冷却部5とを有し、回路基板7は基板冷却部5の一方の表面に設けられるとともに、放射線検出器2は基板冷却部5の他方の表面の側に配設され、放射線検出器2と基板冷却部5との間には断熱構造11が形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、放射線撮影装置に関する。詳しくは、本発明は、放射線を検出して電気信号に変換する放射線検出器と、この放射線検出器を駆動する駆動回路が構築された回路基板と、これらを冷却する冷却部とを有する放射線撮影装置に関する。
近年、デジタル放射線撮影装置の分野では、イメージインテンシファイアに代わり、解像度の向上、体積の小型化、画像の歪みを押さえることを目的として、光電変換素子を用いた等倍光学系の大面積フラットパネル式のセンサが普及している。デジタル放射線撮影装置に適用される光電変換素子には、アモルファスシリコン型、CCD型、CMOS型がある。
ガラス基板上にアモルファスシリコン半導体が形成される構成の光電変換素子は、大画面のものを作成しやすい。その反面、高速動作に対して半導体特性が十分ではない。また、アモルファスシリコンは、単結晶シリコン半導体基板に比べ、微細加工が難しい。このため、出力信号線の容量が大きくなり、kTCノイズの原因となる。
CCD型の光電変換素子は、完全空乏型であるため高感度であるが、大画面化には不向きである。すなわち、CCD型の光電変換素子は、電荷転送型であるため、面積が大きくなって電荷転送の転送段数が増加すると、駆動電圧が駆動端と中心付近では異なる。このため、完全転送が困難になる。また、消費電力はCVf2(Cは基板とウエル間の容量、Vはパルス振幅、fはパルス周波数)で表されるが、面積が大きくなるほど、CとVが大きくなる。たとえば、CCD型の光電変換素子は、消費電力がCMOS型の光電変換素子に比較して、10倍以上大きくなる。
特許文献1には、CMOS型の光電変換素子が適用される大面積のフラットパネルセンサが開示されている。特許文献1のフラットパネルセンサは、シリコン半導体ウェハから光電変換素子を矩形状に切り出し、切り出した矩形状の光電変換素子タイリングすることにより、大面積化を実現している。CMOS型の光電変換素子は、微細加工によってアモルファスシリコンにより形成される光電変換素子よりも、電荷の読取を高速に行うことができる。また、CMOS型の光電変換素子は、CCD型の光電変換素子のような電荷の転送の段数や消費電力の問題が発生しないため、大面積化が容易である。このように、CMOS型の光電変換素子は、動画撮影装置に適用される大面積のフラットパネル式のセンサとして、優位性が高いことが知られている。
ところで、CMOS型の光電変換素子が適用されるフラットパネル式の放射線検出器は、画素単位でアンプを有している。このため、アンプの発熱によって、画素を構成するフォトダイオードの暗電流量が変化する。この結果、CMOS型の光電変換素子の特性が変化する。このような問題を解決するための構成としては、特許文献2に記載のように、放射線検出器が発する熱を伝熱部材で吸収し、吸収した熱を、伝熱管を流れる冷媒によって排出する構成がある。
さらに、CMOS型の光電変換素子を駆動するための電気部品も発熱する。そして、放射線撮影装置の小型化、薄型化によって、放射線検出器と放射線平面検出器を駆動させるための電気部品との距離が近くなっている。このため、撮影装置の内部の温度が上昇し、CMOS型の光電変換素子の特性が変化する。また、放熱は、撮影装置の内部の温度上昇を防ぐだけでなく、発熱する電気部品の正常動作、耐久性を保証するためにも重要である。このような課題を解決するための構成としては、特許文献3に記載のように、電気部品の発熱とCMOS型の光電変換素子が発する熱を伝熱部材により筐体へ逃がし、伝熱管に冷媒を流通させることによって筐体を冷却する構成がある。
しかしながら、前記特許文献に記載の構成は、次のような問題が生じることがある。
近年の信号処理技術や信号伝達技術の発達により、高フレームレートで画像信号を取り扱うための環境が整ってきている。デジタル方式のX線検出器の利用分野として、これまでは、主に静止画を取得する撮影装置に利用されてきた。近年では、デジタル方式のX線検出器は、長時間連続で画像を取得し続ける動画撮影や、三次元画像情報を取り扱うCT撮影を行う撮影装置への適用も増加しつつある。
高速な動画撮影を行うと、単位時間あたりの電気部品の駆動頻度が高まり、必然的に消費電力が増えて発熱量も増大する。さらに、X線検出器が動画撮影のために長時間にわたって連続駆動する場合には、熱が画質に与える影響が大きくなる。また、X線検出器の温度は、撮影装置の起動直後においては低いが、駆動を続けていくと、時間の経過に伴って上昇する。このため、X線検出器の特性が時間の経過とともに変化する。このように、X線検出器の特性が安定しないという問題が生じる。
特開2002−344809号公報 特開2008−242431号公報 特開2012−95708号公報
前記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、冷却効果を向上させるとともに、安定した性能を保持できる放射線撮影装置を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明の放射線撮影装置は、平板状の放射線検出器と、前記放射線検出器を駆動する駆動回路が実装された回路基板と、前記放射線検出器および前記回路基板を冷媒によって冷却する冷却部と、を有し、前記冷却部は、前記放射線検出器と前記回路基板との間に設けられることを特徴とする。
本発明によれば、動画撮影など、回路基板が長時間にわたって駆動する場合であっても、回路基板に実装される電気部品類の温度上昇を防止または抑制し、電気部品類の特性が時間の経過に伴って変化することを防止または抑制できる。したがって、放射線検出器の特性を安定させることができる。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる放射線撮影装置を、放射線が入射される側とは反対側から見た平面図である。 図2は、本発明の第1実施形態にかかる放射線撮影装置の構成を模式的に示す断面図であり、図1のII−II線断面図である。 図3は、本発明の第1実施形態にかかる放射線撮影装置の構成を模式的に示す断面図であり、図1のIII−III線断面図である。 図4は、検出器冷却部の内部に形成される冷媒流路の構成を模式的に示す平面図である。 図5は、本発明の第1実施形態にかかる放射線撮影装置の構成を模式的に示すブロック図である。 図6は、本発明の第2実施形態にかかる放射線撮影装置の構成を模式的に示すブロック図である。 図7は、本発明の第3実施形態にかかる放射線撮影装置の構成を模式的に示す断面図であり、第1実施形態の図2に相当する図である。 図8は、検出器冷却部の冷媒流路の構成(管路の形状)を模式的に示す平面図である。 図9(a)は、回路基板の構成を模式的に示す平面図であって電気部品類の実装の状態を模式的に示す図であり、図9(b)は、基板冷却部の冷媒流路の構成(管路の形状)を模式的に示す平面図である。
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の各実施形態にかかる放射線撮影装置は、外部から照射される放射線(X線)を検出して、放射線画像(X線画像)(静止画、動画を含む)を生成する。
(第一の実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる放射線撮影装置100aを、放射線が入射される側とは反対側から見た平面図である。図2と図3は、本発明の第1実施形態にかかる放射線撮影装置100aの構成を模式的に示す断面図である。なお、図2は、図1のII−II線断面図であり、図3は、図1のIII−III線断面図である。また、図1〜図3においては、冷媒温度調整部14と、制御PC20(コンピュータ)と、電源21とを省略してある(図5参照。後述)。
図1においては、放射線撮影装置100aは、紙面の奥側から手前側に向かって照射される放射線を検出する。図2と図3においては、放射線撮影装置100aは、上側から照射される放射線を検出する。図2と図3の矢印Xは、照射される放射線を模式的に示す。
図1〜図3に示すように、放射線撮影装置100aは、筺体1と、放射線検出器2と、回路基板7と、冷却部4,5と有する。
放射線検出器2は、筺体1の放射線入射面9から入射した放射線を電気信号(放射線画像信号)に変換して出力する。放射線検出器2は、略矩形の平板状の構成を有する。なお、放射線検出器2は、公知の各種平板状の放射線検出器が適用できる。特に、放射線検出器2には、CMOS型の光電変換素子が適用されるフラットパネル式の放射線検出器が適用できる。たがって、放射線検出器2の詳細な説明は省略する。
回路基板7には、放射線検出器2を駆動するための駆動回路が構築される。このため、回路基板7の表面には、電源IC17やA/D変換器18などの所定の電気部品や電子部品(以下、電気部品類8)が実装される。そして、回路基板7と放射線検出器2とは、接続配線10によって電気的に接続される。なお、回路基板7の構成は特に限定されない。また、回路基板7に構築される駆動回路の構成は、放射線検出器2の構成に応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。
冷却部4,5は、放射線検出器2および回路基板7を冷却する。冷却部4,5は、放射線検出器2を冷却する部分(以下、検出器冷却部4)と、回路基板7を冷却する部分(以下、基板冷却部5)とを有する。
検出器冷却部4は、放射線検出器2を冷却する機能を有する。検出器冷却部4は、略矩形の平板状の構成を有する。そして、検出器冷却部4は、放射線の透過率が低く、熱伝導率が高い材料により形成される。たとえば、検出器冷却部4は、鉄やステンレスなどによって形成される。鉄やステンレスは、アルミニウム(高い熱伝導率を有する)に比較して放射線の透過率が低く、鉛(放射線の透過率が低い材料)に比較して熱伝導率が高い。
検出器冷却部4の内部には、流体である冷媒が流通可能な冷媒流路41が形成される。冷媒流路41は、断面が略円形の管路である。図4は、検出器冷却部4の内部に形成される冷媒流路41の構成を模式的に示す平面図である。図4に示すように、冷媒流路41は、検出器冷却部4の表面の法線方向視において、ジグザグに蛇行するように形成される。そして、冷媒流路41には、冷媒温度調整部14によって、温度調整(冷却)された流体である冷媒が流される(後述)。冷媒には、たとえばエチレングリコール溶液などといった、金属の腐食を抑制する性質を有する流体が適用される。
放射線検出器2は、検出器冷却部4の一方の表面(筺体1の放射線入射面9の側の表面)に、絶縁性伝熱部材3によって面接合される。絶縁性伝熱部材3は、電気的な絶縁性を有し、熱伝導率が高い材料が適用される。たとえば、絶縁性伝熱部材3には、板状のゴムなどが適用される。また、検出器冷却部4は、放射線検出器2を保持する機能をも有する。具体的には、検出器冷却部4の四辺のうちの互いに対向する2辺は、筺体1の内周面に固定される(図1参照)。そして、放射線検出器2は、放射線を受光する面が筺体1の放射線入射面9の側を向き、かつ放射線入射面9に平行となる姿勢で、検出器冷却部4に保持される。
基板冷却部5は、回路基板7を冷却する機能を有する。また、基板冷却部5は、回路基板7を筺体1に保持する機能をも有する。回路基板7は、基板冷却部5の一方の表面(筺体1の放射線入射面9とは反対側の表面)に、絶縁性伝熱部材6によって面接合される。なお、基板冷却部5および絶縁性伝熱部材6は、検出器冷却部4および絶縁性伝熱部材3と共通の構成を有する。したがって、説明は省略する。そして、回路基板7は、電気部品類8が実装される側の表面が、筺体1の放射線入射面9とは反対側の面を向く姿勢で、基板冷却部5に保持される。
検出器冷却部4の冷媒流路41の一端と、基板冷却部5の冷媒流路51の一端とは、筺体1の外部に引き出される。一方、検出器冷却部4の冷媒流路41の他方の一端と、基板冷却部5の冷媒流路51の他方の一端とは、接続管12によって冷媒が流通可能に接続される。このように、検出器冷却部4の冷媒流路41と、基板冷却部5の冷媒流路51とは、接続管12によって直列に接続される。接続管12は、熱伝導率の低い材料(断熱材料)によって形成される。熱伝導率が低い材料としては、たとえば塩化ビニルなどが適用される。このような構成によれば、電気部品類8が発する熱が接続管12を通じて放射線検出器2に伝達することを防止または抑制できる。
そして、放射線撮影装置100aの動作中においては、冷媒温度調整部14(後述)によって、検出器冷却部4の冷媒流路41と基板冷却部5の冷媒流路51に流体である冷媒が流される。このような構成によれば、動作中に放射線検出器2が発する熱は、絶縁性伝熱部材3を通じて検出器冷却部4に伝達し、さらに検出器冷却部4の冷媒流路41を流れる冷媒によって放射線撮影装置100aの外部に運ばれる。同様に、回路基板7に実装される電気部品類8が発する熱は、絶縁性伝熱部材6を通じて基板冷却部5に伝達し、さらに基板冷却部5の冷媒流路51を流れる冷媒によって放射線撮影装置100aの外部に運ばれる。したがって、放射線検出器2および回路基板7(回路基板7に実装される電気部品類8)が冷却される。なお、図2中の矢印Hは、放射線検出器2が発する熱の流れと、電気部品類8が発する熱の流れを模式的に示す。
放射線検出器2と回路基板7とは、検出器冷却部4と基板冷却部5とを挟んで、背中合わせに配設される。そして、検出器冷却部4と基板冷却部5とは略平行に配設される。そして、検出器冷却部4と基板冷却部5とは直接的に接触しておらず、これらの間に断熱構造11(断熱層)が形成される。たとえば、検出器冷却部4と基板冷却部5とは、所定の距離をおいて離間して配設されており、これらの間の空気の層が断熱構造11となる。また、検出器冷却部4と基板冷却部5との間に、熱伝導率が低い平板状の部材(断熱材)が断熱構造11として配設される構成であってもよい。
このように、冷却部には、平板状に形成される検出器冷却部4と基板冷却部5との間に基板冷却部5との間に、断熱構造11が設けられる。そして、検出器冷却部4には、断熱構造11とは反対側の表面に放射線検出器2が設けられる。同様に、基板冷却部5には、断熱構造11とは反対側の表面に回路基板7が設けられる。
次に、本発明の第1実施形態にかかる放射線撮影装置100aの他の部分の構成について、図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態にかかる放射線撮影装置100aの構成を模式的に示すブロック図である。図5に示すように、放射線撮影装置100aは、前記各機器、各部材のほかに、冷媒温度調整部14と、制御PC20(コンピュータ)と、電源21とをさらに有する。
冷媒温度調整部14は、温度調整部により流入した冷媒を温度調整(冷却)することができる。また、冷媒温度調整部14は冷媒に圧力を加えるポンプを有し、これにより温度調整した冷媒を送り出すことができる。冷媒温度調整部14には、公知の各種冷媒冷却装置が適用できる。制御PC20は、放射線撮影装置100aを制御する。電源21は、放射線撮影装置100aに駆動用の電力の供給源である。そして、回路基板7に構築される駆動回路は、電源21から供給される電力を用いて放射線検出器2を駆動する。
検出器冷却部4に形成される冷媒流路41と、基板冷却部5に形成される冷媒流路51とは、接続管12によって冷媒が流通可能に直列に接続される。また、冷媒温度調整部14の冷媒の出口(流出側)と、検出器冷却部4の冷媒流路41の一端とが循環流路13aによって冷媒を流通可能に接続される。同様に、冷媒温度調整部14の冷媒の入口(流入側)と、基板冷却部5の冷媒流路51の一端とが、循環流路13aによって冷媒を流通可能に接続される。このように、検出器冷却部4の冷媒流路41は、冷媒の流れ方向に関して、冷媒温度調整部14よりも下流側で、かつ、基板冷却部5の冷媒流路51よりも上流側に設けられる。
冷媒温度調整部14によって温度調整された冷媒は、まず検出器冷却部4の冷媒流路41に流入する。放射線検出器2が発する熱は、絶縁性伝熱部材3を通じて検出器冷却部4の冷媒流路41を流れる冷媒に伝達する(図2の矢印H)。このようにして、放射線検出器2が冷却される。検出器冷却部4の冷媒流路41を通過した冷媒は、接続管12を通じて、基板冷却部5の冷媒流路51に流入する。回路基板7に実装される電気部品類8(電源IC17やA/D変換器18など)が発する熱は、回路基板7に広範に設けられる伝熱部材(GND層や電源層などの配線パターン)により吸収される。そして、伝熱部材が吸収した熱は、絶縁性伝熱部材6を通じて基板冷却部5の冷媒流路51を流れる冷媒に伝達する(図2の矢印H)。このようにして、回路基板7に実装される電気部品類8が冷却される。基板冷却部5の冷媒流路51を通過した冷媒は、冷媒温度調整部14に戻る。そして、冷媒温度調整部14に戻った冷媒は、温度調整されて検出器冷却部4の冷媒流路41に送られる。
第1実施形態の効果は、次のとおりである。
放射線検出器2を駆動する回路基板7は、基板冷却部5の一方の表面に設けられる。基板冷却部5には、冷媒が流通する冷媒流路51が形成される。そして、回路基板7に実装される電気部品類8は、基板冷却部5の冷媒流路51を流れる冷媒によって冷却される。このため、動画撮影など、電気部品等が長時間にわたって連続して動作する場合であっても、電気部品類8の特性が温度上昇によって低下することを防止または抑制できる。さらに、電気部品類8が発する熱が放射線検出器2に伝達して放射線検出器2の温度が上昇することを防止または抑制できる。このため、放射線検出器2が、電気部品類8の発する熱の影響を受けることを防止または抑制できる。したがって、動画撮影など、放射線検出器2が長時間にわたって連続して動作する場合であっても、放射線検出器2の特性を安定させることができる。このように、電気部品類8や放射線検出器2の特性が、時間の経過とともに変化することを防止または抑制し、電気部品類8や放射線検出器2が安定した動作を継続することができる。
さらに、放射線検出器2は、検出器冷却部4の一方の表面に設けられる。検出器冷却部4には、冷媒が流通する冷媒流路41が形成される。そして、放射線検出器2は、検出器冷却部4の冷媒流路41を流れる冷媒によって冷却される。したがって、放射線検出器2の特性を安定させることができる。
さらに、基板冷却部5と検出器冷却部4との間には断熱構造11が形成される。このため、この断熱構造11によって、回路基板7に実装される電気部品類8の発する熱が放射線検出器2に伝達することが防止または抑制される。
そして、断熱構造11が形成される構成であると、放射線撮影装置100aの動作中に冷媒の供給が停止した場合であっても、回路基板7に実装される電気部品類8が発する熱が放射線検出器2に影響を与えることを防止または抑制できる。具体的には、次のとおりである。検出器冷却部4と基板冷却部5とが接触(たとえば密着)していると、冷媒の供給が停止している場合には、回路基板7に実装される電気部品類8が発する熱は、検出器冷却部4と基板冷却部5とを介して放射線検出器2に伝達する。これに対して、断熱構造11が形成される構成であると、断熱構造11によって、電気部品類8の発する熱が放射線検出器2に伝達することが防止される。したがって、冷媒の供給が停止した場合であっても、放射線検出器2の温度上昇を防止または抑制できる。
さらに、断熱構造11は、次のような効果を奏する。電気部品類8(すなわち熱源)が回路基板7に均等な密度で実装されていなければ、放射線検出器2に伝達する熱も面方向で不均一となる。そうすると、放射線検出器2の面方向の温度分布が不均一となり、放射線検出器2が受ける熱の影響も面方向で不均一となる。これに対して、検出器冷却部4と基板冷却部5との間に断熱構造11が形成される構成であると、面方向の分布が不均一な熱が放射線検出器2に伝達することが防止または抑制される。このため、放射線検出器2の特性が面方向で不均一となることが防止または抑制される。
また、接続管12が熱伝導率の低い材料により形成される構成であれば、電気部品類8が発する熱が、接続管12を通じて放射線検出器2に伝達することを防止または抑制できる。したがって、冷媒の流れが停止している状態において、放射線検出器2の温度上昇を防止または抑制できる。特に、接続管12が設けられる部分の近傍の温度が他の部分に比較して高くなること(すなわち、放射線検出器2の温度分布が不均一となること)を防止または抑制できる。
また、検出器冷却部4の冷媒流路41は、冷媒温度調整部14の下流側で基板冷却部5の冷媒流路51の上流側に設けられる。このため、検出器冷却部4には、冷媒温度調整部14で温度調整された直後で、かつ基板冷却部5の冷媒流路51を通過していない冷媒が流れる。このような構成によれば、放射線検出器2を優先的に冷却することができる。したがって、放射線検出器2の特性が低下することを防止または抑制できる。
また、検出器冷却部4と基板冷却部5は、筺体1の放射線入射面9から入射した放射線を遮断する。このような構成であると、筺体1の放射線入射面9から入射した放射線が回路基板7に到達することを防止または抑制できる。したがって、電気部品類8が放射線によって損傷することを防止または抑制できる。さらに、電気部品類8からの散乱放射線によって放射線検出器2が出力する電気信号にノイズが乗ること(放射線画像の画質が低下すること)を防止または抑制できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態にかかる放射線撮影装置100bの構成を模式的に示す図である。なお、第1実施形態と共通の構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
図6に示すように、放射線撮影装置100bの検出器冷却部4の冷媒流路41と基板冷却部5の冷媒流路51とは互いに独立している。すなわち、検出器冷却部4の冷媒流路41と基板冷却部5の冷媒流路51の一端どうしは、冷媒を流通可能に接続されていない。そして、放射線撮影装置100bは、検出器用冷媒温度調整部16と基板用冷媒温度調整部15の2つの冷媒温度調整部を有する。検出器用冷媒温度調整部16は、検出器冷却部4の冷媒流路41と、循環流路13cによって冷媒を流通可能に接続されており、検出器冷却部4の冷媒流路41を流れる冷媒の温度調整(冷却)を行う。基板用冷媒温度調整部15は、基板冷却部5の冷媒流路51と、循環流路13bによって冷媒を流通可能に接続されており、基板冷却部5の冷媒流路51を流れる冷媒の温度調整(冷却)を行う。
なお、検出器用冷媒温度調整部16と基板用冷媒温度調整部15とは、別個独立した装置であってもよく、独立した2系統の冷却系を有する単一の装置であってもよい。
このような構成によれば、放射線撮影装置100bは、放射線検出器2と回路基板7とを別個独立して温度調整(冷却)できる。すなわち、放射線検出器2と回路基板7の発熱量は同一ではない。このため、冷媒の適切な温度や流量は相違する。そこで、本発明の第2実施形態においては、2つの冷媒温度調整部が、放射線検出器2を冷却する冷媒と、回路基板7を冷却する冷媒とを、それぞれ最適な流量と温度に調整する。たとえば、検出器用冷媒温度調整部16は、放射線検出器2の放射線入射面9と反対側表面に設置された温度センサにより温度を検出し、放射線検出器2の温度が20〜30℃の間で一定となるように冷媒の流量と温度を調整する。
このような構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第1実施形態と比較すると、放射線検出器2と回路基板7とを別個に温度調整することによって、それぞれを最適な温度に冷却することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、本発明の第3実施形態にかかる放射線撮影装置100cの構成を模式的に示す断面図であり、第1実施形態の図2に相当する図である。なお、第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して示し、説明は省略する。
図7に示すように、断熱構造11の内部に(または断熱構造11に積層して)、放射線遮蔽部材23が設けられる。放射線遮蔽部材23は、たとえばPbやMoなどといった放射線を遮蔽する材料により形成される平板状の部材である。このような構成によれば、第1実施形態に比較して、検出器冷却部4の材質の制限が少なくなる。すなわち、第1実施形態においては、検出器冷却部4は、回路基板7に実装される電気部品類8に放射線が到達しないように、放射線を遮断する機能をも有する。このため、第1実施形態においては、検出器冷却部4は、放射線を遮蔽する性質を有する材料により形成される。これに対して、第3実施形態によれば、断熱構造11に設けられる(または断熱構造11に積層する)放射線遮蔽部材23によって、回路基板7が放射線の影響を受けることを防止または抑制する。このため、検出器冷却部4は放射線を遮蔽する効果を有していなくてもよい。したがって、検出器冷却部4の材料の制限が少なくなる。なお、検出器冷却部4は、冷媒流路41による散乱放射線を防止するため、放射線透過率が高い材料により形成される構成であることが好ましい。たとえば、検出器冷却部4は、アルミニウムなどといった、熱伝導率が高く、かつ放射線の透過率が高い材料により形成される構成が適用できる。
なお、検出器冷却部4の冷媒流路41と基板冷却部5の冷媒流路51とは、第1実施形態のように接続管12によって直列に接続されている構成であってもよく、第2実施形態のように互いに独立している構成であってもよい。
第3実施形態によれば、第1実施形態や第2実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第3実施形態によれば、検出器冷却部4の材質の制限が少なくなるという効果を奏する。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図8と図9を参照して説明する。図8は、検出器冷却部4の冷媒流路41の構成(管路の形状)を模式的に示す平面図である。図9(a)は、回路基板7の構成を模式的に示す平面図であり、電気部品類8の実装の状態を模式的に示す図である。図9(b)は、基板冷却部5の冷媒流路51の構成(管路の形状)を模式的に示す平面図である。第4実施形態と第1実施形態とは、検出器冷却部4の冷媒流路41と基板冷却部5の冷媒流路51の構成(管路の形状)が相違し、それ以外は共通の構成が適用できる。なお、第1実施形態と共通の構成については、同じ符号を付して示し、説明は省略する。
図8に示すように、検出器冷却部4の冷媒流路41は、流入側と流出側とが対となって(並列に並んで)、検出器冷却部4の面方向の中心に向かって渦を巻くような構成を有する。流入側を流れる冷媒の温度は低く、流出側を流れる冷媒の温度は高い。このため、流出側と流入側とがそれぞれ偏在して設けられる構成であると、検出器冷却部4の面方向の温度分布が不均一になるおそれがある。これに対して、流入側と流出側とが対となって渦を巻く構成であると、流出側と流入側とが交互に並ぶ。このため、検出器冷却部4の面方向の温度分布が不均一になること(冷却の程度が不均一になること)を防止または抑制できる。放射線検出器2は、面方向の発熱量の分布がほぼ均一である。このため、冷媒流路41がこのような構成であると、放射線検出器2の面方向の温度分布が不均一になることを防止または抑制できる。したがって、放射線検出器2が受ける熱の影響が、面方向で不均一となることを防止または抑制できる。
図9(a)に示すように、回路基板7には、駆動回路を構築する電気部品類8として、たとえば電源IC17やA/D変換器18が実装される。これらは、回路基板7に均一な密度で実装されるのではなく、所定の領域に偏在して実装されることがある。このような構成であると、回路基板7の発熱量は、面方向で不均一となる。そこで、回路基板7の表面を、平均発熱量ごとに分割する。たとえば、図9(a)に示すように、回路基板7の表面を、電源IC17が実装される領域Aと、A/D変換器18が実装される領域Bと、大きな発熱量の電気部品類8が実装されない領域Cとに分割する。そして、図9(b)に示すように、基板冷却部5の冷媒流路51の密度を、回路基板7の分割した各領域に対応する領域ごとに異ならせる。すなわち、発熱量の多い領域(領域A、領域B)に対応する部分においては、冷媒流路51の密度を大きくする。一方、発熱量の少ない領域(領域C)に対応する部分においては、冷媒流路51の密度を小さくする。このような構成によれば、発熱量の多い部分については冷却量を大きくすることができる。このため、基板冷却部5の面方向の温度分布が不均一になることを防止または抑制できる。
また、発熱量の多い領域に対応する部分は、冷媒流路51のうちの冷媒の流れの上流側の部分が形成される。一方、発熱量の少ない領域に対応する領域には、冷媒流路51のうちの冷媒の流れの下流側の部分が形成される。このような構成によれば、発熱量の多い部分を優先的に冷却することができる。
なお、前記領域は一例であり、領域の分割数は特に限定されるものではない。また、検出器冷却部4の冷媒流路41と基板冷却部5の冷媒流路51とは、第1実施形態のように接続管12によって直列に接続されている構成であってもよく、第2実施形態のように互いに独立している構成であってもよい。さらに、第3実施形態のように、断熱構造11の内部に(または断熱構造11に積層して)放射線遮蔽部材23が設けられる構成であってもよい。
このような構成によれば、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第1実施形態〜第3実施形態と比較すると、検出器冷却部4と基板冷却部5の面方向の温度分布が不均一となることを防止または抑制する効果を高くすることができる。
本発明は、放射線撮影装置の冷却に好適な技術である。そして、本発明によれば、放射線検出器の冷却効果を向上させるとともに、安定した性能を保持できる放射線撮影装置を提供することができる。
1:筐体
2:放射線検出器
3:絶縁性伝熱部材
4:検出器冷却部
5:基板冷却部
6:絶縁性伝熱部材
7:回路基板
8:電気部品等
9:放射線入射面
10:接続配線
11:断熱層
12:接続管
13a,13b,13c:循環流路
14:冷媒温度調整部
15:基板用冷媒温度調整部
16:検出器用冷媒温度調整部
20:制御PC
21:電源
23:放射線遮蔽部材
100a,100b,100c:放射線撮影装置

Claims (7)

  1. 平板状の放射線検出器と、
    前記放射線検出器を駆動する駆動回路が実装された回路基板と、
    前記放射線検出器および前記回路基板を冷媒によって冷却する冷却部と、
    を有し、
    前記冷却部は、前記放射線検出器と前記回路基板との間に設けられることを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 前記冷却部には、前記放射線検出器を冷却する冷媒が流通する流路と、前記回路基板を冷却する冷媒が流通する流路とが形成され、
    前記放射線検出器を冷却する冷媒が流通する流路と、前記回路基板を冷却する冷媒が流通する流路との間には、断熱構造が設けられることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  3. 前記断熱構造には放射線遮蔽部材が設けられることを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影装置。
  4. 前記放射線検出器を冷却する冷媒が流通する流路と前記回路基板を冷却する冷媒が流通する流路とが直列に接続され、
    前記放射線検出器を冷却する冷媒が流通する流路および前記回路基板を冷却する冷媒が流通する流路を流通する冷媒の温度を調整する1の冷媒温度調整部をさらに有することを特徴とする請求項2または3に記載の放射線撮影装置。
  5. 前記冷媒温度調整部は、前記放射線検出器を冷却する冷媒が流通する流路から冷媒を流通させることを特徴とする請求項4に記載の放射線撮影装置。
  6. 前記流路は、流入側と流出側とが互いに隣り合って渦を巻くように形成されることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
  7. 前記回路基板を冷却する冷媒が流通する流路は、前記回路基板に実装される部品の発熱量に応じて密度が異なることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
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