JP2014035207A - タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム - Google Patents

タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】駆動輪による周期ノイズの影響を排除又は抑制して誤報や未警報の無いタイヤ空気圧低下検出装置を提供する。
【解決手段】車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段1と、回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段と、この回転速度情報から、回転速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段と、駆動輪の左右輪について、演算された左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段と、推定された捻り共振周波数に基づいてタイヤの空気圧の低下を判定する判定手段とを備えたタイヤ空気圧低下検出装置。共振周波数推定手段は、相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明はタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムに関する。さらに詳しくは、走行中の車両のタイヤの捻り共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムに関する。
自動車が安全に走行できるための要素の1つとして、タイヤの空気圧をあげることができる。空気圧が適正値よりも低下すると、操縦安定性や燃費が悪くなり、タイヤバーストの原因となる場合がある。このため、タイヤ空気圧の低下を検出し、運転者に警報を出して適切な処置を促すタイヤ空気圧警報装置(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)は、環境の保護や運転者の安全性の確保という見地から重要な技術である。
従来の警報装置は、直接検知型と間接検知型の2つに分類できる。直接検知型は、タイヤホイール内部に圧力センサを組み込むことでタイヤの空気圧を直接計測するものである。空気圧の低下を高精度に検出することができる一方で、専用のホイールが必要となることや実環境での耐故障性能に問題があることなど、技術的、コスト的な課題を残している。
一方、間接検知型はタイヤの回転情報から空気圧を推定する方法であり、動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式と、共振周波数(Resonance Frequency Mechanism;RFM)方式に細分類することができる。このうち、RFM方式は、DLR方式における問題点(車輪回転速度の相対比較を基本原理とすることから、4輪同時減圧が検出できないなどの問題点)を解決できるものとして種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1〜2記載の発明などにおけるRFM方式は、タイヤの捻り共振周波数が減圧により低下するという特性を利用し、タイヤの回転速度情報又は回転加速度情報からタイヤの捻り共振周波数を時系列推定することにより当該タイヤの空気圧低下を検出するものである。
特開2010−023546号公報 特開2010−023673号公報
ところが、車両の駆動輪においては、車速やギヤポジションなどによってタイヤの捻り共振周波数付近に周期ノイズが発生する場合がある。この場合、ARモデルなどで時系列推定された共振周波数は、かかる周期ノイズに引っ張られてしまい、本来のタイヤの捻り共振周波数とは異なる値となる。その結果、前記TPMSにおいて誤報や未警報となってしまう惧れがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、駆動輪による周期ノイズの影響を排除又は抑制してタイヤ空気圧低下の誤報や未警報をなくすことができるタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラムを提供することを目的としている。
(1)本発明の第1の観点に係るタイヤ空気圧低下検出装置(以下、単に「検出装置」ともいう)は、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段と、
この回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段と、
前記回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段と、
駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段と
推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と
を備えており、
前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴としている。
本発明の検出装置では、相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、共振周波数推定手段が捻り共振周波数の推定を停止するように構成されているので、駆動輪による周期ノイズの影響を排除又は抑制してタイヤ空気圧低下の誤報や未警報をなくすことができる。
(2)本発明の第2の観点に係る検出装置は、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段と、
この回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段と、
この回転加速度情報検出手段により得られる回転加速度情報から、当該回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段と、
駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段と、
推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と
を備えており、
前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴としている。
(3)前記(1)又は(2)の検出装置において、捻り共振周波数付近の周波数帯だけを通過させるバンドパスフィルタを更に備えており、
前記相関算出手段は、前記バンドパスフィルタを通過した左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出することが好ましい。
(4)本発明の第3の観点に係るタイヤ空気圧低下検出方法(以下、単に「検出方法」ともいう)は、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出工程と、
この回転速度情報検出工程において得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算工程と、
前記回転速度情報検出工程において得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定工程と、
駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算工程において演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出工程と
推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と
を含んでおり、
前記共振周波数推定工程は、前記相関算出工程において算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止することを特徴としている。
本発明の検出方法では、相関算出工程において算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、共振周波数推定工程において捻り共振周波数の推定を停止するように構成されているので、駆動輪による周期ノイズの影響を排除又は抑制してタイヤ空気圧低下の誤報や未警報をなくすことができる。
(5)本発明の第4の観点に係る検出方法は、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出工程と、
この回転速度情報検出工程において得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算工程と、
この回転加速度情報検出工程において得られる回転加速度情報から、当該回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定工程と、
駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算工程において演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出工程と
推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と
を含んでおり、
前記共振周波数推定工程は、前記相関算出工程において算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止することを特徴としている。
(6)前記(4)又は(5)の検出方法において、前記相関算出工程は、捻り共振周波数付近の周波数帯だけを通過させるバンドパスフィルタを通過した左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出することが好ましい。
(7)本発明の第5の観点に係るタイヤ空気圧低下検出プログラム(以下、単に「プログラム」ともいう)は、走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するためにコンピュータを、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段、前記回転速度情報から当該回転速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段、駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段、及び、推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段として機能させ、
前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴としている。
(8)本発明の第6の観点に係るプログラムは、走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するためにコンピュータを、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段、この回転加速度情報検出手段により得られる回転加速度情報から、当該回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段、駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段、及び、推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段として機能させ、
前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴としている。
本発明の検出装置、方法及びプログラムによれば、駆動輪による周期ノイズの影響を排除又は抑制してタイヤ空気圧低下の誤報や未警報をなくすことができる。
本発明の検出装置の一実施の形態を示すブロック図である。 図1に示される検出装置の電気的構成を示すブロック図である。 駆動ノイズがない場合における駆動輪の左右輪の車輪加速度スペクトルの一例を示す図である。 駆動ノイズがない場合における駆動輪の左右輪の車輪加速度の時系列変化を示す図である。 駆動ノイズがない場合における駆動輪の左右輪の車輪加速度を示す図である。 駆動ノイズが発生した場合における駆動輪の左右輪の車輪加速度スペクトルの一例を示す図である。 駆動ノイズが発生した場合における左右輪の車輪加速度の時系列変化を示す図である。 駆動ノイズが発生した場合における左右輪の車輪加速度を示す図である。 左右輪の車輪加速度の相関(寄与度)の時系列変化を示す図である。 左輪の推定共振周波数の時系列変化を示す図である。 右輪の推定共振周波数の時系列変化を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のタイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム実施の形態を詳細に説明する。
図1に示されるように、本発明の一実施の形態に係る検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤの左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)および右後輪(RR)の回転速度情報を検出するため、各タイヤに関連して設けられた通常の車輪速度検出手段(回転速度情報検出手段)1を備えている。
前記車輪速度検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させ、パルスの数から回転角速度及び車輪速度を測定するための車輪速センサや、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、この電圧から回転角速度及び車輪速度を測定するためのものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記車輪速度検出手段1の出力は、ABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。この制御ユニット2には、例えばタイヤが減圧していることを表示するための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作することができる初期化ボタン4、及びタイヤ減圧であることをドライバーに知らせる警報器5が接続されている。
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェース2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、このCPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行う際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータが読み出されたりするRAM2dとから構成されている。
前記車輪速度検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、「車輪速パルス」ともいう)が出力される。そして、この車輪速パルスを所定の周期ΔT(sec)、例えばΔT=0.005秒で再サンプリングすることにより、車輪速信号の時系列データを得ることができる。着目するタイヤのねじり方向の共振周波数は数十Hz付近に現れるため、ナイキスト周波数内にそれが含まれるようにサンプリング周期を設定する必要がある。
本実施の形態に係る検出装置は、車輪速度検出手段(回転速度情報検出手段)1と、この車輪速度検出手段1により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段と、この回転加速度情報検出手段により得られる回転加速度情報から、当該回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段と、駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段と、推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段とで主に構成されている。前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されている。そして、本実施の形態に係るプログラムは、前記制御ユニット2にインストールされており、当該制御ユニット2を、回転加速度情報演算手段、共振周波数推定手段、相関算出手段、及び判定手段として機能させる。
捻り共振周波数は、例えば回転加速度情報を2次の自己回帰(Autoregressive;AR)モデルに基づいて時系列解析を行うことで推定することができる。そして、得られる捻り共振周波数が、初期化時に算出された捻り共振周波数よりも所定の閾値を超えて小さくなったときに、タイヤが減圧していると判定し、前記警報器5により警報が発せられる。
本発明は、捻り共振周波数の変化に着目してタイヤ空気圧の低下を判定するに際し、車両の駆動輪において車速やギヤポジションなどによってタイヤの捻り共振周波数付近に周期ノイズが発生し、これが原因で誤報や未警報が惧れがあることに鑑み、当該周期ノイズが発生した場合に、捻り共振周波数の推定を停止することを特徴としている。
車両における左右輪からの路面入力は、通常、互いに独立した入力であるので、左右の車輪加速度は相関関係がないのが普通である。すなわち、捻り共振付近のような30〜50Hz付近の路面の左右入力はランダムとみなすことができるので、左右輪の車輪加速度の相関はゼロに近い。しかし、エンジンから駆動系を通り、車輪加速度に影響する周期的振動(駆動ノイズ)は、駆動輪の左右輪ともに同相の振動成分となる。この振動成分が、本来の捻り共振周波数に近い周波数で現れると、時系列で推定している共振周波数の値が前記振動成分に引っ張られ、本来の捻り共振周波数を推定することができなくなり、それがタイヤ空気圧低下検出装置の誤報や未警報につながる。
本実施の形態では、前述した駆動ノイズ発生時と未発生時の相関係数R又は寄与度Rを実験により事前に求めておき、その中間に閾値を設定している。そして、算出された駆動輪の左右輪の車輪加速度の相関係数又は寄与度が前記閾値よりも大きくなったときに、捻り共振周波数の時系列推定を停止させている。すなわち、相関係数又は寄与度が前記閾値よりも大きくなったときに得られた車輪加速度のデータをリジェクトしている。相関として寄与度Rを採用する場合、前記閾値としては、例えば0.3〜0.5の範囲内の値とすることができる。
前記相関を算出するためのデータ数としては、当該データの数があまりに少ないと精度が低くなり、逆に、データの数が多すぎると、精度が向上するものの推定停止の判断が遅れるため、100点(4ms間隔のサンプリングの場合で400ms分)〜500点(4ms間隔のサンプリングの場合で2s分)程度であることが望ましい。また、当該データ数に相当する適当な大きさの忘却係数を設定した逐次最小二乗法によって前記相関を算出するようにしてもよい。
また、駆動ノイズが捻り共振周波数に近いほどその影響は大きいので、例えば30〜50Hzの範囲に捻り共振周波数があるようなタイヤにおいては、30〜50Hzのバンドパスフィルタを左右輪の車輪加速度にかけたうえで相関係数又は寄与度の算出をしたほうが望ましい。バンドパスフィルタをしていなければ、捻り共振周波数の推定に悪影響を及ぼさない周波数帯域に駆動ノイズがあった場合でも、算出される相関係数の値は大きくなり、正確に共振周波数推定ができるにも拘らず、推定を停止してしまう。しかし、バンドパスフィルタをかけると、捻り共振周波数の推定に悪影響を及ぼさない周波数帯域のデータがリジェクトされ、算出される相関係数の値は大きくならない。この場合、共振周波数の推定が停止されないので、推定機会を無駄に減らすことがなくなる。
図3は、駆動ノイズがない場合における駆動輪の左右輪の車輪加速度スペクトルの一例を示す図であり、図4は、同じく左右輪の車輪加速度の時系列変化を示す図であり、図5は、同じく左右輪の車輪加速度を示す図である。車両における左右輪からの路面入力は、通常、互いに独立した入力であるので、図5に示されるように、左右の車輪加速度は寄与度Rが0.0377と非常に小さく、両者には相関関係がない。
これに対し、駆動ノイズが発生した場合は、左右輪ともに同相の振動成分をなって車輪加速度に現れる。図6は、駆動ノイズが発生した場合における駆動輪の左右輪の車輪加速度スペクトルの一例を示す図であり、図7は、同じく左右輪の車輪加速度の時系列変化を示す図であり、図8は、同じく左右輪の車輪加速度を示す図である。図6において、矢印で示される部分がエンジンノイズによる振動成分である。図8に示されるように、駆動ノイズが発生した場合は左右輪の車輪加速度の相関(寄与度)が0.8574と大きくなり、時系列で推定している捻り共振周波数の値が前述した振動成分に引っ張られ(図6参照)、本来のタイヤ捻り共振周波数を推定することができなくなる。図9は、左右輪の車輪加速度の相関(寄与度)の時系列変化を示しており、80〜100秒付近で駆動ノイズが発生し、左右輪の車輪加速度の相関が大きくなっていることが分かる。
〔実施例〕
つぎに本発明の検出方法の実施例を説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
FF車の前輪に本発明の検出方法を適用した。4msのサンプリング周期で車輪速度をサンプリングし、30〜50Hzのバンドパスフィルタを通したデータに基づき算出された車輪加速度の捻り共振周波数の時系列推定を2次ARモデルにて行った。また、前輪の左右輪の車輪加速度について相関(寄与度)を算出した。寄与度は、前輪の左右輪それぞれに対し、250点(1秒分)のデータについて算出し、寄与度が0.4より大きい場合のデータをリジェクトした。
[比較例1]
実施例1と同様にして車輪速度のサンプリングを行い、得られた車輪速度に基づき算出された車輪加速度の捻り共振周波数の時系列推定を行った。実施例1とは異なり、寄与度の算出はせず、したがって当該寄与度によるデータのリジェクトは行わなかった。
図10は、左輪の推定共振周波数の時系列変化を示しており、図11は、右輪の推定共振周波数の時系列変化を示している。寄与度によるリジェクトを行った実施例1では、推定共振周波数の変動が小さくなっていることが分かる。
〔その他の変形例〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、前述した実施の形態では、タイヤの回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定しているが、タイヤの回転速度情報について捻り共振周波数を時系列推定し、推定された捻り共振周波数に基づいてタイヤの空気圧低下を判定することもできる。この場合においても、相関算出手段により、駆動輪の左右輪について、当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する。そして、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止する。
1 車輪速度検出手段
2 制御ユニット
2a インターフェース
2b CPU
2c ROM
2d RAM
3 表示器
4 初期化ボタン
5 警報器

Claims (8)

  1. 車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段と、
    この回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段と、
    前記回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段と、
    駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段と
    推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と
    を備えており、
    前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出装置。
  2. 車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段と、
    この回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段と、
    この回転加速度情報検出手段により得られる回転加速度情報から、当該回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段と、
    駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段と、
    推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と
    を備えており、
    前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出装置。
  3. 捻り共振周波数付近の周波数帯だけを通過させるバンドパスフィルタを更に備えており、
    前記相関算出手段は、前記バンドパスフィルタを通過した左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧低下検出装置。
  4. 車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出工程と、
    この回転速度情報検出工程において得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算工程と、
    前記回転速度情報検出工程において得られる回転速度情報から、当該回転速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定工程と、
    駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算工程において演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出工程と
    推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と
    を含んでおり、
    前記共振周波数推定工程は、前記相関算出工程において算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止することを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法。
  5. 車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出工程と、
    この回転速度情報検出工程において得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算工程と、
    この回転加速度情報検出工程において得られる回転加速度情報から、当該回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定工程と、
    駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算工程において演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出工程と
    推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と
    を含んでおり、
    前記共振周波数推定工程は、前記相関算出工程において算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止することを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法。
  6. 前記相関算出工程は、捻り共振周波数付近の周波数帯だけを通過させるバンドパスフィルタを通過した左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する請求項4又は5に記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
  7. 走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するためにコンピュータを、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段、前記回転速度情報から当該回転速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段、駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段、及び、推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段として機能させ、
    前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出プログラム。
  8. 走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するためにコンピュータを、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報から、タイヤの回転加速度情報を演算する回転加速度情報演算手段、この回転加速度情報検出手段により得られる回転加速度情報から、当該回転加速度情報の捻り共振周波数を時系列推定する共振周波数推定手段、駆動輪の左右輪について、前記回転加速度情報演算手段により演算された当該左右輪の回転加速度情報の時系列での相関を算出する相関算出手段、及び、推定された捻り共振周波数に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段として機能させ、
    前記共振周波数推定手段は、前記相関算出手段により算出された相関が所定の閾値を超えた場合に、捻り共振周波数付近に前記車両の駆動輪からの周期ノイズが発生したとして、捻り共振周波数の推定を停止するように構成されていることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出プログラム。
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