JP2014035186A - 膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー及び膀胱癌診断用キット並びにこれらを使用する方法 - Google Patents

膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー及び膀胱癌診断用キット並びにこれらを使用する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膀胱癌の存在を簡便に診断できる手段及び方法を提供する。
【解決手段】膀胱癌、好ましくは初期の膀胱癌、より好ましくは組織学的異型度グレード1の膀胱癌の診断に有用な、ALDOC、KRT19、GAPDH又はHNRNPCから選択される少なくとも1のタンパク質又はそれらの断片を含む、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー及び膀胱癌診断用キット、並びに膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること事を特徴とする膀胱癌の診断方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー、及び膀胱癌診断用キット、並びに該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーに特異的に結合する抗体に基づく膀胱癌患者のスクリーニング方法又は診断方法に関する。本発明は、好ましくは、初期の膀胱癌、例えば組織学的異型度グレード1の膀胱癌を対象とする。
膀胱癌は、尿路上皮を含む膀胱癌組織が癌化することによって引き起こされ、組織学的には尿路上皮癌が全体の90%を占める。国立がんセンターによると、膀胱癌は、種々の尿路系癌(腎盂、尿管、膀胱)の中で罹患数及び死亡数が最も多く、尿路系癌全体の約半数を占めるとされている。膀胱癌は、泌尿器系の悪性腫瘍の中では、前立腺癌と並んで頻度が高いことが報告されている。
一般に、膀胱癌の診断は、膀胱鏡検査及び尿細胞診に基づいている。膀胱鏡検査は最も信頼が高いとされているが、上皮内癌(CIS)などにおいては診断し難い場合があり、CISでも高率に再発を来すことから治療後も定期的な膀胱鏡検査を含む経過観察が必要となる。また、膀胱鏡検査は、侵襲性が高く、検査に強い痛みを伴い、費用も高いことが患者への大きな負担となっている。尿細胞診は、尿中の剥離離脱した癌細胞を顕微鏡下で観察する方法であり、組織学的変異度の高い腫瘍やCISの検出に有用であるが、膀胱炎などでも細胞の変性が生じることがあり、確定診断としては信頼性に欠けるものである。
一般的な泌尿器系癌の診断方法には、尿中の腫瘍マーカーを測定する方法が挙げられる。現在、膀胱癌の診断に使用されている尿中の腫瘍マーカーとしては、NMP22(Nuclear Matrix Protein 22)やBTA(Bladder Tumor Antigen)が知られている、しかしながら、当該尿中のNMP22に基づく方法は、細胞診に比べ感度が比較的高いものの、偽陽性が多いことが報告されている(非特許文献1〜3)。したがって、当該方法は、膀胱癌診断用マーカーとして十分なものとはいえず、特に膀胱癌の早期診断の適用について教示を与えるものではない。
また、腫瘍マーカー候補タンパク質の同定を試みる場合、血液又は血清中に存在するタンパク質を網羅的に解析する方法も一般的に採用され得るものである。これは、患者血清に含まれるタンパク質と、健常者血清に含まれるタンパク質とを、それぞれ二次元電気泳動法などにより分離及び比較して、癌患者血清中で増減のあるタンパク質を同定する方法によるものである。しかしながら、血清に含まれるタンパク質のうち約99%はアルブミンや免疫グロブリン等の主要タンパク質が占めているため、対象とすべきタンパク質は、その残りの1%以下のさらに一部という極微量しか含まれない。これは、血清中から腫瘍マーカー候補タンパク質を同定することを困難にするものである。
このような状況の下、当該技術分野においては、膀胱癌診断用マーカーを探索する試みが続けられている。特許文献1は、膀胱癌マーカーとして特定のタンパク質(KU-BL-50)を開示する。特許文献2は、尿中の膀胱癌マーカーとしてラミニンγ2単鎖を開示する。しかしながら、これらの文献に係るマーカータンパク質はいずれも、膀胱癌の早期診断に係る有用性を教示するものではない。したがって、膀胱癌の早期診断を可能にし、かつ感度及び特異性が高い膀胱癌診断用マーカーは、未だ見出されていない。
したがって、膀胱癌、特にこれまで鑑別診断が困難であった早期の膀胱癌について、感度及び特異性に優れ、かつ/又は患者への侵襲が少ない膀胱癌の鑑別診断方法が求められている。
特開2002-112780号公報 特開2011-209281号公報
高士宗久、膀胱癌マーカー(尿中BTA, 尿中NMP22).和田 攻, 臨床検査ガイド2001-2002. 東京:文光堂;2001; 945-947 Takashi M, Use of diagnostic categories in urinary cytology in comparison with the bladder tumor antigen(BTA) test in bladder cancer patients. Int Urol Nephrol 1999; 31: 189-196 赤座英之 尿路上皮癌における尿中NMP(nuclear matrix protein 22)の臨床的検討(第1報)−膀胱癌における尿中NMP22の感受性試験および経過観察での有用性. 癌と化学療法 1997; 24, 829-836
本発明は、膀胱癌の存在を簡便に診断できる手段及び方法を提供することを目的とする。特に、本発明は、侵襲性が低く、検査に伴う痛みを解消若しくは軽減し、かつ/又は検査費用を低く抑えることのできる、膀胱癌患者の診断又は同定方法、及び当該診断又は同定のためのデータの取得方法、並びに膀胱癌診断用キットを提供することを目的とする。好ましくは、本発明は、初期の膀胱癌、例えば組織学的異型度グレード1の膀胱癌の存在を診断するのに有用な手段及び方法を提供することを目的とする。
従来から問題とされていた血清中に大量に存在する主要タンパク質の存在に起因する腫瘍マーカータンパク質の同定に係る困難性に対し、発明者は、当該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーのスクリーニングに自己抗体を用いたアッセイ系を構築することにより、前記問題点を解消することに成功した。
これにより、本発明は、膀胱癌、好ましくは初期の膀胱癌、より好ましくは組織学的異型度グレード1の膀胱癌の診断に有用な膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー、及び膀胱癌診断用キット、並びに該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーに特異的に結合する抗体に基づく膀胱癌患者のスクリーニング方法又は診断方法を提供するものである。
本発明は、本明細書に定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーを提供する。
好ましくは、本発明は、ALDOC、KRT19、GAPDH又はHNRNPCから選択される少なくとも1のタンパク質又はそれらの断片を含む、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーを提供する。
本発明は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーに基づく膀胱癌診断用キットを提供する。
本発明は、膀胱癌の存在を判定するためのデータの取得方法であって、
(i)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液とを接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;
(ii)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、健常対象由来の血液と接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;及び
(iii)前記(i)で測定された抗体量と、前記(ii)で測定された抗体量とを比較する工程を含み、
該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが、本明細書に定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーであり、かつ、
該膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液中の抗体量が、該健常対象由来の血液中の抗体量よりも多い場合に、当該膀胱癌を有することが疑われる対象に膀胱癌が存在すると判定する、前記方法を提供する。
本発明は、本明細書に定義する膀胱癌診断用キットを提供する。
本発明に係る膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー、及び膀胱癌診断用キット、並びに該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーに特異的に結合する抗体に基づく膀胱癌患者のスクリーニング方法又は診断方法を使用することにより、膀胱癌、好ましくは初期の膀胱癌(例えば、組織学的異型度グレード1)の診断に有用な手段及び方法を提供することができる。
また、本発明は、膀胱癌、好ましくは初期の膀胱癌(例えば、組織学的異型度グレード1)の診断における侵襲性が低く、検査に伴う痛みがなく又は軽減され、かつ/又は検査費用を低く抑えることのできる、膀胱癌患者の同定方法、その同定のための膀胱癌診断用キット、及び診断のためのデータの取得方法を提供することができる。
本発明は、膀胱癌、特に初期の膀胱癌(例えば、組織学的異型度グレード1)の早期診断に有用である。
4種類の膀胱尿路上皮癌細胞株RT-4(グレード 1)、5637(グレード 2)、T-24(グレード 3)、及びTCCSUP(グレード 3)から得られた細胞抽出物をそれぞれ等量ずつ混合し、二次元電気泳動により分離したタンパク質スポットパターンを示す。「グレード」は、組織学的異型度(悪性度)を示し、数値が大きくなるに従って組織学的異型度が高いことを示す。 図1に記載した細胞抽出物をサンプルとして使用し、一次抗体としてグレード3膀胱癌患者由来血清を使用した免疫ブロットの結果を示す。 図1及び図2のスポットパターンを重ね合わせた結果、重複したスポットを示す。 実施例2記載の二次候補タンパク質について、グレード1膀胱癌患者由来血清、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患患者由来血清、及び健常者由来血清を使用したドットブロットアッセイの結果を示す。「クローン」の欄には、FLJ Human cDNA Database(http://flj.lifesciencedb.jp/top/)のクローン番号を示し、その右の欄には、当該クローンの遺伝子名を示す。また、表のボックスは、ネガティブコントロールとしてのVenusタンパク質に対する各サンプルの相対比によって色分けしている。黒色のボックスは、Venusタンパク質に対する相対比が2.0以上のサンプルを示し、グレー色のボックスは、Venusタンパク質に対する相対比が1.4以上2.0未満のサンプルを示し、地色のボックスは、Venusタンパク質に対する相対比が1.4未満のサンプルを示す。 実施例2記載の二次候補タンパク質について、グレード1膀胱癌患者由来血清(G1)と健常者由来血清(N)、並びにグレード1膀胱癌患者由来血清(G1)と膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患患者血清(nonT)を用いたROC解析の結果を示す。「クローン」の欄には、FLJ Human cDNA Database(http://flj.lifesciencedb.jp/top/)のクローン番号を示し、「遺伝子」の欄には、当該クローンの遺伝子名を示す。また、「AUC」の欄において、白色のボックスは0.6未満のAUC値を示し、薄いグレー色のボックスは0.6以上0.7未満のAUC値を示し、濃いグレー色のボックスは0.7以上0.8未満のAUC値を示し、最も濃いグレー色のボックスは0.8以上のAUC値を示す。 実施例3記載のALDOC、KRT19、GAPDH及びHNRNPCについて、グレード 1膀胱癌患者由来血清(5症例)、グレード 2膀胱癌患者由来血清(5症例)、グレード 3膀胱癌患者由来血清(5症例)、及び健常者由来血清(5症例)を使用したドットブロットアッセイの結果を示す。 実施例3記載のALDOC、KRT19、GAPDH及びHNRNPCについて、グレード1膀胱癌患者由来血清(G1)と健常者由来血清(N)を用いて得られたROC解析の結果を示す。
(本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー)
本明細書において、用語「膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー」とは、本明細書に記載した方法に従ってスクリーニングされたタンパク質及び遺伝子をいう。本明細書において、用語「膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー」は、任意に、本明細書に定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの1つをいうことができ、又は本明細書に定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの複数をいうこともできる。本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、前記タンパク質及び遺伝子の任意の1つと、前記タンパク質及び遺伝子の任意の1つ以上との任意の組み合わせをいうこともできる。本発明に係る膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、その断片であってもよい。
本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、図4、5、6及び7並びに配列表に記載されるタンパク質及び遺伝子を含む。したがって、一実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、例えば、EEF2、MSN、ADPRHL2、GAPDH、PDIA6、ESD、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、TKT、CSNK2A1、MDH2、GNB2L1、PRDX6、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、TCP1、PSMC2、ARPC4、RPS7、HSPD1、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、GDI2、C22orf28、ANXA5、PHB、PRDX3、KRT19、ME2、PDLIM1、PSMA3、ENO1、TOMM34、KRT18、CAPZA1及びCCT6Aが含まれる。本発明に係る膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、その断片であってもよい。
一実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、EEF2、MSN、ADPRHL2、GAPDH、PDIA6、ESD、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、TKT、CSNK2A1、MDH2、GNB2L1、PRDX6、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、TCP1、PSMC2、ARPC4、RPS7、HSPD1、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、GDI2、C22orf28、ANXA5、PHB、PRDX3、KRT19、ME2、PDLIM1、PSMA3、ENO1、TOMM34、KRT18、CAPZA1及びCCT6Aからなる群から選択される少なくとも1のタンパク質又はそれらの断片を含む。好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、ALDOC、KRT19、GAPDH又はHNRNPCから選択される少なくとも1のタンパク質又はそれらの断片を含む。
他の実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、ALDOC又はその断片と、EEF2、MSN、ADPRHL2、GAPDH、PDIA6、ESD、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、TKT、CSNK2A1、MDH2、GNB2L1、PRDX6、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、TCP1、PSMC2、ARPC4、RPS7、HSPD1、PKM2、PGK1、PGAM1、GDI2、C22orf28、ANXA5、PHB、PRDX3、KRT19、ME2、PDLIM1、PSMA3、ENO1、TOMM34、KRT18、CAPZA1及びCCT6Aからなる群から選択される少なくとも1のタンパク質又はその断片との任意の組み合わせである。
好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、ALDOCと、KRT19、GAPDH及びHNRNPCからなる群から選択されるいずれか1のタンパク質との組み合わせである。
他の好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、ALDOC又はその断片である。
(好ましい本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー)
好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5において0.5以上のAUCを示すものである。より好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5において0.6以上のAUCを示すものである。さらにより好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5において0.7以上のAUCを示すものである。最も好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5において0.8以上のAUCを示すものである。好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図7において0.7以上のAUCを示すものである。より好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図7において0.8以上のAUCを示すものである。本発明の好ましい膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、その断片であってもよい。
好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5の「G1 vs N」の欄において、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示すものである。このような膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、健常対象に対し、膀胱癌(特に、グレード1などの初期膀胱癌)の存在を特異的に診断するのに有用であり得る。このような本発明の好ましい膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、例えば、MSN、TOMM34、GAPDH、ESD、KRT18、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、CSNK2A1、CAPZA1、MDH2、GNB2L1、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、PSMC2、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、C22orf28、ANXA5、PHB、KRT19、ME2、CCT6A、PDLIM1、PSMA3及びENO1が含まれる。
他の好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5の「G1 vs nonT」の欄において、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示すものである。これは、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患の存在にかかわらず、膀胱癌(特に、グレード1などの初期膀胱癌)の存在を特異的に診断するのに有用であり得る。このような本発明の好ましい膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、例えば、EEF2、MSN、ADPRHL2、GAPDH、PDIA6、ESD、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、TKT、CSNK2A1、MDH2、GNB2L1、PRDX6、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、TCP1、PSMC2、ARPC4、RPS7、HSPD1、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、GDI2、C22orf28、ANXA5、PHB、PRDX3、KRT19、ME2、PDLIM1、PSMA3及びENO1が含まれる。
より好ましい実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5の「G1 vs N」の欄において、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示すものであり、かつ、図5の「G1 vs nonT」の欄において、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示すものである。このような本発明の好ましい膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、例えば、MSN、GAPDH、ESD、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、CSNK2A1、MDH2、GNB2L1、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、PSMC2、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、C22orf28、ANXA5、PHB、KRT19、ME2、PDLIM1、PSMA3及びENO1が含まれる。
他の実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5の「G1 vs N」の欄に記載されるAUC値が、「G1 vs nonT」の欄に記載されるAUC値よりも高いものである。他の実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、図5の「G1 vs nonT」の欄に記載されるAUC値が、「G1 vs N」の欄に記載されるAUC値よりも高いものである。
一実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39及び41からなる群から選択されるポリペプチド配列又はその断片が含まれる。好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、配列番号1、3、5及び7からなる群から選択されるポリペプチド配列又はその断片が含まれる。最も好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、配列番号1記載のポリペプチド配列又はその断片が含まれる。
本発明に係る「断片」は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチド由来であって、かつ、酵素的又は物理的切断により当該ポリペプチドよりも短くなった全てのペプチドを意味することができる。したがって、本発明に係る「断片」は、アミノ酸1残基を単位として、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドよりも短い全てのペプチド断片を意味し得る。
本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片は、人工的に合成したものであってよい。好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、人工的に合成した配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39及び41からなる群から選択されるポリペプチド配列又はその断片である。別の好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、人工的に合成した配列番号1、3、5及び7からなる群から選択されるポリペプチド配列又はその断片である。別の好ましい実施態様において、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、人工的に合成した配列番号1記載のポリペプチド配列又はその断片である。本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーを合成するためのペプチド合成法及びペプチド合成装置は、当業者に周知であり、かつ利用可能である。人工的に合成した本発明に係る「断片」は、アミノ酸1残基を単位として、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドよりも短い全てのペプチド断片を意味し得る。
一実施態様において、本発明に係る膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞に由来するものである。他の実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞の存在に起因して他の組織から産生されるものである。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞構成タンパク質であってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞内に存在してよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞表面に存在するものであってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞の膜タンパク質であってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞の可溶性タンパク質であってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、膀胱癌細胞から分泌されるものであってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、組織学的異型度グレード1の膀胱癌細胞由来のものであってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、組織学的異型度グレード2の膀胱癌細胞由来のものであってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、組織学的異型度グレード3の膀胱癌細胞由来のものであってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、当業者に周知の方法又は装置を用いて人工的に合成したものであってよい。膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、哺乳動物由来のものであってよい。典型的実施態様において、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーは、ヒト由来のものである。
(膀胱癌)
本明細書において、用語「膀胱癌」には任意の膀胱癌を含み、上皮癌(例えば、尿路上皮癌又は扁平上皮癌)、腺癌、浸潤性癌又は非浸潤性癌を含むがこれらに限定されない。
(組織学的異型度(グレード))
本明細書において、用語「組織学的異型度(グレード)」とは、組織学的診断法により判定された細胞異型及び構造異型に基づく悪性度の指標をいう。組織学的異型度(グレード)は、異型度の進行に応じて、グレード1(G1):軽度異型、グレード2(G2):中等度異型、グレード3(G3):高度異型を表す。
(本発明の膀胱癌診断用キット)
本発明に係る「膀胱癌診断用キット」又は「キット」は、本明細書において定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片を含み、対象に含まれる抗体、好ましくは本明細書に定義する自己抗体の検出及び/又は抗体量の比較を目的とするキットをいう。ここで、本発明の「膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片」は、最終的に本発明の「膀胱癌診断用キット」又は「キット」に含まれていればよい。すなわち、本発明の「膀胱癌診断用キット」又は「キット」には、(1)本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片を結合又は吸着するように当業者に公知の方法で前処理されたもの、及び(2)本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片が当業者に公知の方法で予め結合又は吸着されたもの、の両方を含み得る。
本発明の「担体」は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片を固定することができる任意の固相支持体であってよく、例えばディッシュ、ウエル、ストリップ、チップ、及びビーズなどが含まれるがこれらに限定されない。当該固相支持体への固定は、当業者に周知の方法により実施できる。担体は、ガラス、金属又は樹脂など任意の適切な材質から作成されたものであってよい。担体は、マイクロチャネル、すなわち微細加工技術で作製した流路を有するものであってよい。
本発明のキットには、対象の血液中に含まれる抗体、好ましくは本明細書に定義する自己抗体の検出及び/又は抗体量の比較のためのアッセイに使用するさらなる試薬を含み得る。好ましい実施態様において、当該アッセイは、免疫学的アッセイであり、例えばドットブロットアッセイ、スロットブロットアッセイ、ウエスタンブロット法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、サンドイッチELISA、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、ELISPOT法、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、免疫組織化学及び蛍光標示式細胞分取(FACS)などを含むがこれらに限定されない。したがって、好ましい実施態様において、本発明のキットに含まれる更なる試薬には、前記アッセイに使用される二次抗体又は二次抗体同等物が含まれる。
本明細書において、「二次抗体同等物」とは、一次抗体(典型的には、血液由来の抗体、好ましくは自己抗体)に結合し得る任意の物質をいい、例えばプロテインAが含まれる。二次抗体又は二次抗体同等物は、色素又は蛍光色素、放射性同位体、及び酵素などの任意の標識体で標識されたものであってよい。
本発明のキットに使用するサンプルは、血液、血液から分離された血清、又は血液由来の任意の抗体画分のいずれであってもよい。血清、又は血液由来の抗体画分の分離は、当業者に周知の任意の方法により実施できる。好ましくは、本発明のキットに使用するサンプルは、本明細書に定義する「自己抗体」である。
(本発明の方法)
本発明の方法は、膀胱癌、好ましくは早期の膀胱癌(例えば組織学的異型度グレード1の膀胱癌)の存在を診断する方法に関する。
一実施態様において、本発明に係る方法は、本明細書で定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片を使用する。
好ましい実施態様において、本発明に係る方法は、膀胱癌の存在を判定するためのデータの取得方法であって、
(i)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液とを接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;
(ii)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、健常対象由来の血液と接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;及び
(iii)前記(i)で測定された抗体量と、前記(ii)で測定された抗体量とを比較する工程を含み、
該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが、本明細書に定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーであり、かつ、
該膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液中の抗体量が、該健常対象由来の血液中の抗体量よりも多い場合に、当該膀胱癌を有することが疑われる対象に膀胱癌が存在すると判定する、前記方法である。
他の実施態様において、本発明に係る方法は、膀胱癌の診断方法であって、
(i)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液とを接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;
(ii)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、健常対象由来の血液と接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;及び
(iii)前記(i)で測定された抗体量と、前記(ii)で測定された抗体量とを比較する工程を含み、
該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが、本明細書に定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーであり、かつ、
該膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液中の抗体量が、該健常対象由来の血液中の抗体量よりも多い場合に、当該膀胱癌を有することが疑われる対象に膀胱癌が存在すると判定する、前記方法である。
本発明の方法に使用するサンプル、例えば抗体、好ましくは本明細書に定義する自己抗体は、血液、血液から分離された血清、又は血液由来の任意の抗体画分のいずれであってもよい。血清、又は血液由来の抗体画分の分離は、当業者に周知の任意の方法により実施できる。
(本発明に係る「対象」)
本発明に係る「対象」には、抗体を産生し得る任意の生物体及び細胞が含まれる。一実施態様において、本発明に係る「対象」は、哺乳動物である。典型的実施態様において、本発明に係る「対象」は、ヒトである。
典型的実施態様において、本発明に係る「対象」は、健常対象である。典型的実施態様において、本発明に係る「対象」は、健常ヒト対象である。
典型的実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有することが疑われる対象である。典型的実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有することが疑われるヒト対象である。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、上皮癌(例えば、尿路上皮癌又は扁平上皮癌)、腺癌、浸潤性癌又は非浸潤性癌への罹患が疑われる対象であってよい。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、グレード1の膀胱癌への罹患が疑われる対象であってよく、グレード2の膀胱癌への罹患が疑われる対象であってよく、又はグレード3の膀胱癌への罹患が疑われる対象であってよい。好ましい実施態様において、本発明に係る「対象」は、グレード1の膀胱癌への罹患が疑われる対象である。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有する対象であってよい。
他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象である。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有することが疑われる対象である。
一実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有することが疑われる対象、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象、及び健常対象のいずれか1つをいうことができる。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有することが疑われる対象、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象、及び健常対象のうちの任意の2つをいうことができる。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有することが疑われる対象、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象、及び健常対象の全てをいうことができる。典型的実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有することが疑われるヒト対象、及び健常ヒト対象の両方をいうことができる。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌を有する対象であってよい。他の実施態様において、本発明に係る「対象」は、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する疑いのある対象であってよい。
本明細書において、用語「健常対象」とは、任意の疾患に罹患していない対象をいう。好ましくは、「健常対象」は、癌に罹患していない対象、より好ましくは任意の膀胱癌、例えば上皮癌(例えば、尿路上皮癌又は扁平上皮癌)、腺癌、浸潤性癌又は非浸潤性癌に罹患していない対象をいう。好ましくは、「健常対象」は、グレード1膀胱癌に罹患していない対象、グレード2膀胱癌に罹患していない対象、若しくはグレード3膀胱癌に罹患していない対象をいう。より好ましくは、「健常対象」は、初期の膀胱癌、特にグレード1の膀胱癌に罹患していない対象をいう。
本明細書において、用語「膀胱癌を有することが疑われる対象」とは、本発明に従って、膀胱癌を有するか否かを測定、比較、判断、又は診断されるべき対象をいう。「膀胱癌を有することが疑われる対象」に係る膀胱癌は、グレード1膀胱癌、グレード2膀胱癌、又はグレード3膀胱癌であってよい。好ましくは、「膀胱癌を有することが疑われる対象」に係る膀胱癌は、初期の膀胱癌であり、最も好ましくはグレード1の膀胱癌である。「膀胱癌を有することが疑われる対象」に係る膀胱癌は、任意の膀胱癌、例えば上皮癌(例えば、尿路上皮癌又は扁平上皮癌)、腺癌、浸潤性癌又は非浸潤性癌であってよい。
本明細書において、用語「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患」とは、本明細書に定義する膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患をいう。好ましくは、用語「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患」には、急性前立腺炎、腎盂腎炎、及び副腎腫瘍が含まれる。
したがって、用語「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象」とは、本明細書に定義する膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患に罹患している対象をいう。したがって、用語「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象」には、例えば急性前立腺炎、腎盂腎炎、及び副腎腫瘍に罹患している対象が含まれる。
また、本明細書において、用語「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有することが疑われる対象」とは、本発明に従って、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有するか否かを測定、比較、判断、又は診断されるべき対象をいう。
(本発明の方法の工程)
本発明の方法において、工程(i)は、工程(ii)の前に実施でき、又は工程(ii)の後に実施できる。あるいは、本発明の方法において、工程(i)と工程(ii)とは、同時に実施できる。
典型的実施態様において、工程(i)及び工程(ii)に係る「対象」は、「健常対象」及び「膀胱癌を有することが疑われる対象」である。他の実施態様において、工程(i)及び工程(ii)に係る「対象」は、「膀胱癌を有することが疑われる対象」及び「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象」であってよい。他の実施態様において、工程(i)及び工程(ii)に係る「対象」は、「膀胱癌を有することが疑われる対象」及び「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有することが疑われる対象」であってよい。他の実施態様において、工程(i)及び工程(ii)に係る「対象」は、「健常対象」及び「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象」であってよい。他の実施態様において、工程(i)及び工程(ii)に係る「対象」は、「健常対象」及び「膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有することが疑われる対象」であってよい。
本発明に係る方法の工程(i)及び(ii)に係る接触は、任意の担体上に固定された本明細書に定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、本明細書に定義する血液、血清、又は血液由来の抗体画分との接触により実施できる。当該担体は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片を固定することができる任意の固相支持体であってよく、例えばディッシュ、ウエル、ストリップ、チップ、及びビーズなどが含まれるがこれらに限定されない。当該固相支持体への固定は、当業者に周知の方法により実施できる。担体は、ガラス、金属又は樹脂など任意の適切な材質から作成されたものであってよい。担体は、マイクロチャネル、すなわち微細加工技術で作製した流路を有するものであってよい。
本発明の方法に係る工程(i)及び(ii)の測定は、免疫学的アッセイに基づいて実施できる。好ましい実施態様において、当該アッセイは、例えば、ドットブロットアッセイ、スロットブロットアッセイ、ウエスタンブロット法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、サンドイッチELISA、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、ELISPOT法、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、免疫組織化学及び蛍光標示式細胞分取(FACS)などを含むがこれらに限定されないアッセイであり得る。典型的な実施態様において、前記アッセイには、二次抗体又は二次抗体同等物が使用される。二次抗体又は二次抗体同等物(例えば、プロテインA)は、色素又は蛍光色素、放射性同位体、及び酵素などの任意の標識体で標識されたものであってよい。本発明の方法に係る工程(i)及び(ii)の測定は、当業者に周知の方法又は装置(例えば、放射線測定用フィルム、放射線測定器、光学的測定器、蛍光強度測定器など)を使用して実施できる。
本発明の工程(iii)に係る比較は、工程(i)及び(ii)の結果に基づいて実施できる。したがって、当該比較工程は、前記免疫学的アッセイの結果に基づいて実施できる。好ましい実施態様において、本発明の方法に係る免疫学的アッセイにおいて、膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液中の抗体量が、健常対象由来の血液中の抗体量よりも1.2倍以上、1.4倍以上、1.6倍以上、1.8倍以上、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、11倍以上、12倍以上、13倍以上、14倍以上、15倍以上、16倍以上、17倍以上、18倍以上、19倍以上、20倍以上、25倍以上、又は30倍以上多い場合に、当該膀胱癌を有することが疑われる対象に膀胱癌が存在すると判定することができる。
(自己抗体)
本明細書において、用語「自己抗体」とは、本発明に係る「対象」由来の抗体をいう。典型的実施態様において、本発明に係る「自己抗体」は、本明細書に定義した膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーに特異的に結合する抗体である。典型的実施態様において、本発明に係る自己抗体は、本発明のキット及び/又は方法において使用される。本発明に係る自己抗体には、任意の抗体クラス、例えばIgG、IgA、IgM、IgD及びIgEが含まれ、典型的にはIgGを意味する。本発明に係る抗体は、典型的には、ポリクローナル抗体を意味するが、任意にモノクローナル抗体も含み得る。
一実施態様において、本発明の自己抗体は、本明細書に定義する本発明の「対象」に由来する。一実施態様において、本発明の自己抗体は、哺乳動物に由来する。典型的実施態様において、本発明の自己抗体は、ヒトに由来する。
典型的実施態様において、本発明の自己抗体は、膀胱癌を有することが疑われる対象に由来する。典型的実施態様において、本発明の自己抗体は、膀胱癌を有することが疑われるヒト対象に由来する。一実施態様において、本発明の自己抗体は、健常対象に由来する。典型的実施態様において、本発明の自己抗体は、健常ヒト対象に由来する。他の実施態様において、本発明の自己抗体は、上皮癌(例えば、尿路上皮癌又は扁平上皮癌)、腺癌、浸潤性癌又は非浸潤性癌への罹患が疑われる対象由来であってよい。好ましい実施態様において、本発明の自己抗体は、グレード1の膀胱癌への罹患が疑われる対象由来である。他の実施態様において、本発明の自己抗体は、グレード2の膀胱癌への罹患が疑われる対象由来であってよく、又はグレード3の膀胱癌への罹患が疑われる対象由来であってよい。他の実施態様において、本発明の自己抗体は、膀胱癌を有する対象に由来する。
他の実施態様において、本発明の自己抗体は、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有する対象に由来する。他の実施態様において、本発明の自己抗体は、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患を有することが疑われる対象に由来する。
本明細書において、「自己抗体」は、本発明の対象由来の血液に含まれる抗体であってよく、本発明の対象由来の血液から当業者に周知の方法により分離された血清に含まれる抗体であってよく、及び/又は本発明の対象由来の血液から当業者に周知の方法により分離された任意の抗体画分に含まれる抗体であってよい。
好ましい実施態様において、本発明の方法には、本明細書において定義するキットが使用される。他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、本明細書において定義するキットにおいて実施される。本発明の方法に係る「膀胱癌診断用キット」又は「キット」は、本明細書において定義する膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片を含み、対象の血液中に含まれる抗体、好ましくは本明細書に定義する自己抗体の検出及び/又は抗体量の比較を目的とするキットをいう。本発明の方法に係る「担体」は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片を固定することができる任意の固相支持体であってよく、例えばディッシュ、ウエル、ストリップ、チップ、及びビーズなどが含まれるがこれらに限定されない。当該固相支持体への固定は、当業者に周知の方法により実施できる。担体は、ガラス、金属又は樹脂など任意の適切な材質から作成されたものであってよい。担体は、マイクロチャネル、すなわち微細加工技術で作製した流路を有するものであってよい。したがって、好ましい実施態様において、本発明の方法に係る工程(i)及び(ii)は、同一担体上で実施される。
本発明のキットには、対象の血液中に含まれる抗体、好ましくは本明細書に定義する自己抗体の検出及び/又は抗体量の比較のためのアッセイに使用するさらなる試薬を含み得る。好ましい実施態様において、当該アッセイは、免疫学的アッセイであり、例えばドットブロットアッセイ、スロットブロットアッセイ、ウエスタンブロット法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、サンドイッチELISA、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、ELISPOT法、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、免疫組織化学及び蛍光標示式細胞分取(FACS)などを含むがこれらに限定されない。したがって、好ましい実施態様において、本発明のキットに含まれる更なる試薬には、前記アッセイに使用される二次抗体又は二次抗体同等物が含まれる。
本明細書において、「二次抗体同等物」とは、一次抗体(典型的には、血液由来の抗体、好ましくは自己抗体)に結合し得る任意の物質をいい、例えばプロテインAが含まれる。二次抗体又は二次抗体同等物は、色素又は蛍光色素、放射性同位体、及び酵素などの任意の標識体で標識されたものであってよい。
本発明のキットに使用するサンプルは、血液、血液から分離された血清、又は血液由来の抗体画分のいずれであってもよい。血清、又は血液由来の抗体画分の分離は、当業者に周知の任意の方法により実施できる。好ましい実施態様において、本発明のキットに使用するサンプルは、本明細書に定義する「自己抗体」である。
(ドットブロットアッセイ)
ドットブロットアッセイとは、電気泳動やブロッティングの操作をせずに、PVDF製などのメンブレンに直接サンプルを添加し、抗原抗体反応の検出を行うアッセイをいう。ドットブロットアッセイは、解析すべきサンプル数が多い場合などに特に有効な解析手法であり得る。ドットブロットアッセイは、当業者に周知の方法で実施される。
(ROC解析)
ドットブロットアッセイなどの免疫学的アッセイにより得られた結果をさらにROC(受信者動作特性)解析に供することができる。ROC解析は、ある診断法の精度を評価する解析手法であり、異なる2つの状態、例えば、健常と疾患、又は良性疾患と悪性疾患などを区別する能力を評価することができる。一般に、ROC解析では、各状態のデータ分布の重複間で判定閾(カットオフ)値を連続的に変化することにより、真陽性及び偽陽性に関するプロットを得る。こうして得られたプロットは、縦軸として真陽性率(感度(sensitivity))、横軸として偽陽性率(1−特異度(1-specificity))を表す曲線を示す。真陽性率とは、(真陽性結果の数)/(真陽性の数+偽陰性試験結果の数)で定義され、疾患を有する群から算出される。また、偽陽性率とは、(偽陽性結果の数)/(真陰性の数+偽陽性結果の数)で定義され、疾患を有さない群から算出される。それぞれの分布が完全に区別される(重複がない)場合、ROCプロットは、真陽性率は1.0又は100%(感度)、偽陽性の割合は0(完全特異)となる。それぞれの分布が一致する場合、左下から右上に向かう45度の斜め線となる。したがって、プロットが左上の角に近づくに従い、ROC解析の定性的な精度は高くなる。また、ROC曲線の曲線下面積(AUC)は、0.5〜1の値をとり、AUC値が高いほど診断能が高くなる。したがって、ROC解析において、当該解析対象について得られたAUC値が、0.5以上、例えば0.6以上、0.7以上、又は0.8以上である場合、当該解析対象は、当該解析に係る診断法に有用であると結論付けることができる。
ROC解析には当業者に利用可能なソフトウエアを使用することができる。例示的なソフトウエアには、「SPBS」、「R」及び「ROCKIT」が挙げられるがこれらに限定されない。
したがって、本発明の免疫学的アッセイの結果に基づいて、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが膀胱癌診断において有用であるか否かを検証するために、ROC解析を実施することができる。
カットオフ値は、任意に設定できる。カットオフ値は、抗体ごとに任意に設定できる。それゆえ、カットオフ値は、抗体ごとに異なっていてよく、又は全て若しくは一部の抗体について同じ値であってよい。本願発明に係る陽性判定基準には、当該カットオフ値よりも大きな値を示したものを陽性と判定できる。
典型的な実施態様において、ROC解析により0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、又は0.9以上のAUCを示す膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが、本発明に係る有用な膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーとして同定できる。
以下の実施例では、材料及びアッセイ法などを具体的に明示して、本発明をさらに詳細に説明する。当該記載は、本発明の説明のために例示的に記載したものであり、特許請求の範囲を制限するものではない。
本実施例は、本発明に係る膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの同定及びその有用性の検証結果を示すものである。
(実施例1):膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの候補タンパク質のスクリーニング
(培養細胞)
4種類の膀胱尿路上皮癌細胞株RT-4(グレード 1)、5637(グレード 2)、T-24(グレード 3)、及びTCCSUP(グレード 3)を米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection(Rockvill, Maryland, USA))より購入した。これらの細胞株をそれぞれ、10% 非働化牛胎児血清(Biowest社, Miami, FL)、100単位/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン(Invitrogen社, Carlsbad, CA)を添加したRPMI-1640培地(Sigma-Aldrich社, St Louis, MO)において37℃、5% CO2/95%空気の条件下で培養し、維持した。細胞がサブコンフルエントな状態になるまで培養し、1,200rpmで10分間遠心分離した後、10mLのPBS(−)でよく洗浄し、もう一度遠心分離を行った後、上清を捨て細胞ペレットを回収した。該細胞ペレットは使用まで-80℃で保存した。
(二次元電気泳動用サンプル調製)
上記細胞ペレットに、質重量に対して10倍量のTCEP抽出液(7M 尿素、2M チオ尿素、2% CHAPS、10mM TCEP、2.5% Pharmalyte pH 3-10(GE Healthcare Bio-Sciences社, Piscataway, NJ)、Complete Mini EDTA-free(Roche Diagnostics社, Mannheim, Germany))を加えて、氷上で超音波ホモジナイザー(SMT社, Tokyo, Japan)を用いて破砕した。これらのタンパク質溶解液を4℃、15,000rpmで5分間遠心分離し、その上清を2-D clean-Up Kit(GE Healthcare Bio-Sciences社)にて脱塩、濃縮し、タンパク質濃度を測定した後、アガロース二次元電気泳動用サンプルとした。
(二次元電気泳動)
一次元目のIEFゲルは長さ100mm、内径3mmのガラス管を用いて作製し、二次元目のSDS-PAGEは幅90mm、高さ80mm、ゲル厚1mm、ゲル濃度10%を使用した。前記4種の膀胱尿路上皮癌細胞株から得られたサンプルをそれぞれ40μg合わせて160μgとし、IEFゲルのアルカリ側に入れ、4℃にてSTEP電圧(100V−20分、300V−15分、500V−15分、700V−60分、900V−90分)にて泳動を行った。一次元目の泳動後に、TCA固定液(10% トリクロロ酢酸、5% 5-スルホサリチル酸二水和物)に3分間浸しタンパク質を固定した。超純水にて15分間ずつ3回洗浄後、SDS処理液(0.05M トリス-HCl pH6.5、2% SDS、10% グリセロール、5% 2-メルカプトエタノール、0.02% BPB)に15分間浸漬処理した。処理後のゲルを、二次元目のSDS-PAGEゲルの上端に設置し、1% アガロースゲルを用いてゲル間を密着させ、固定した。ゲル1枚当たり20mAで2枚同時にSDS-PAGEを行った。1枚目のゲルは電気泳動後、タンク式ブロット装置(NIHON EIDO社, Tokyo, Japan)及び転写バッファー(0.1M トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、0.2M グリシン)を用いて定電圧10V、12時間でPVDFメンブレン(Millipore社)にタンパク質を転写した。他方は、クマシーブリリアントブルー(CBB)R-350(Phast Gel Blue R, GE Healthcare Bio-Sciences社)を用いて染色し、脱色液(10% 酢酸、20% メタノール)でスポットが明瞭となるまで脱色した(図1)。
(血清)
本実施例の免疫ブロットに一次抗体として使用した血清は、北里大学病院(神奈川、日本)で採取されたものである。当該血清の由来は、以下のとおりである:膀胱癌患者血清(36症例)(組織学的異型度(グレード):グレード 1(12症例)、グレード 2(11症例)、及びグレード 3(13症例))、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患患者血清(13症例)(急性前立腺炎(1症例)、腎盂腎炎(6症例)、及び副腎腫瘍(6症例))、健常者血清(30症例)。本研究は北里大学医学部倫理委員会において承認されたものであり、当該血清は全て患者からのインフォームドコンセントを得て採取したものである。
(免疫ブロット(IB)アッセイ)
2-DEにより得られた転写後のPVDFメンブレンをTBS(0.01M Trizma塩基、0.04M Trizma HCl、0.15M NaCl)で5分間洗浄し、一次抗体のPVDFメンブレンへの非特異的反応を防ぐため、0.05% カゼイン/TBSによるブロッキングを室温で30分間行った。その後、0.05% カゼイン含有TBS-T(0.1%のTween 20を含有したTBS)で20倍希釈した抗体希釈液を用いて、前記膀胱癌の組織学的異型度(グレード)ごとに3症例ずつ混合したプール血清を50倍に希釈し、これを一次抗体とした。該一次抗体を用いて、該PVDFメンブレンと1時間反応させた。TBS-Tで5分間ずつ3回洗浄後、抗体希釈液で1,000倍希釈したHRP標識抗ヒトIgGポリクローナル抗体(Dako社, Glostrup, Denmark)を二次抗体として30分間室温で反応させ、TBS-Tで5分間ずつ3回洗浄後、TBSで5分間1回洗浄した。次いで、HRP酵素の基質反応液であるStable DAB溶液(Invitrogen社)と15分間反応させ、抗原抗体反応を可視化した。以下、当該可視化されたパターンを「抗原抗体反応パターン」という。また、2-DEパターンの確認のため、PVDFメンブレンを20分間CBB染色し、脱色液で脱色した(図2)。
2-DEで得られたタンパク質パターン及びIB法で得られた抗原抗体反応パターンを高感度スキャナによりデジタル画像として取り込んだ。その後、二次元電気泳動ゲル画像解析ソフトウェアProdigy SameSpotにより前記2種のデータ由来のパターンが重なったスポットが93個同定された(図3)。当該93個のスポットに対応するタンパク質を、本発明に係る膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの候補タンパク質とした。
(実施例2):膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの候補タンパク質の質量分析による同定
当該スポットをそれぞれゲルから切り出して1.5mLチューブに回収し、以下に記載する質量分析を行った。ゲル内消化を以下の方法で行った。2-DEゲルから切り出したタンパク質スポットを、50% アセトニトリル(ACN)/ 50mM NH4HCO3溶液を用いてCBB染色液の脱色を3時間行い、蒸留水で2度洗浄した。蒸留水を除いた後、該ゲルに100% ACNを加え、5分ごとに転倒混和しながら15分間静置して脱水し、その後ACNを出来るだけ除いた。該ゲル片を真空遠心分離機で45分間処理して、完全に乾燥させた後、氷上で20μg/μL トリプシン、25mM NH4HCO3溶液をゲルが浸るくらい加え、再水和させた。その後、余分なトリプシン溶液を除き、同様にゲルが浸るくらいの25mM NH4HCO3溶液を加え、激しく撹拌しながら37℃で24時間反応させ、ゲル内消化を行った。該消化によりゲルから流出したペプチド断片を含む溶液を、新たな1.5mLチューブに回収した後、ゲルに少量の5% TFA / 50% ACNを加えて、もう一度5分間激しく撹拌処理を行い、その上清も同じチューブに回収した。こうして回収した酵素消化ペプチド混合物を、MALDI-TOF/TOF MS(autoflex III TOF/TOF, Bruker Daltonics社)により分析した。測定には、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(HCCA)マトリックスとキャリブレーション用Prespotted AnchorChip Peptide CalibStandardがスポットされたディスポーザブルプレート(プロテオミクス用プレスポットアンカーチップ96)を用いた。質量分析により得られたペプチドマスフィンガープリント(PMS)パターンを、データベースIPI Human 20091026(84,379配列;34,740,790残基, http://www.ebi.ac.uk/IPI/IPIhuman.html/)を用いたMASCOT(http://www.matriscience.com/)により検索し、当該93種の候補タンパク質を具体的に同定した。
(実施例3):膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーに対する自己抗体の測定
(サンプルの調製)
上記質量分析によって同定された膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの候補タンパク質から83種を選別し、それぞれコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を使用して当該タンパク質を合成した。ネガティブコントロールとして、ヒトに由来しない蛍光タンパク質“Venus”も同様に合成した。合成したタンパク質を、1x Laemmliバッファー(62.5mM トリス-HCl(pH6.8), 2% SDS, 10% グリセロール, 5% β-メルカプトエタノール, 0.001% BPB, 1mM PMSF)にそれぞれ可溶化後、200ng/μLに調製した。当該83種の合成タンパク質及びVenusタンパク質は、以下に記載するドットブロットアッセイに使用した。
(ドットブロットアッセイ)
当該83種の候補タンパク質のうち55種について、ドットブロットアッセイを行った。PVDFメンブレンをメタノール中で1分間親水化処理した後、TBSに5分以上浸した。当該メンブレン上にmicro Dot Blot arrayerを用いて前記合成タンパク質及びVenusタンパク質を1μLずつスポットした。その後、該PVDFメンブレンをTBSで5分間振盪して洗浄し、ブロッキング溶液(20% N101(NOF社)及び25%グリセロール/TBS)を使用して、室温で1時間振盪してブロッキングした。ドットブロットアッセイに係る一次抗体には、グレード1膀胱癌患者由来血清(12症例)、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患患者由来血清(13症例)、健常者由来血清(30症例)を使用し、これらをそれぞれ室温30分ずつ反応させた。次いで、TBS-Tで5分間ずつ3回洗浄し、synthetic blockで1000倍に希釈したHRP標識抗ヒトIgGポリクローナル抗体(Dako社)を二次抗体として使用して室温で30分反応させ、TBS-Tにて5分間ずつ3回洗浄後、TBSで5分間1回洗浄した。その後、該PVDFメンブレンを、遮光状態で5分間化学発光試薬Immobilon Wstern(Millipore社)と反応させ、その発光量をDotBlotChipSystem Ver.4.0(Dynacom社)を使用し、ネガティブコントロールとしての"Venus"タンパク質により得られた数値との相対比で示した(図4)。
(実施例4):膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーの候補タンパク質の膀胱癌診断における有用性の検証
前記ドットブロットアッセイにより得られた各合成タンパク質についての数値がVenusタンパク質について得られた数値と比較して1.4倍以上の数値を示したものにつき、グレード1膀胱癌患者由来血清(G1)及び健常者由来血清(N)、並びにグレード1膀胱癌患者由来血清(G1)及び膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患患者血清(nonT)を用いたROC解析を行った(図5)。当該解析には、「SPBS ver.9.42 for Windows(登録商標)」を使用した。
(好ましい本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー)
ROC解析において、AUC値は、1.0に近いほど、本発明に係る膀胱癌診断に有用性が高いことを示す。
したがって、図5の「G1 vs N」の欄において、高いAUC値、例えば0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示す候補タンパク質は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーとして有用性が高いものである。このような本発明の好ましい膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、MSN、TOMM34、GAPDH、ESD、KRT18、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、CSNK2A1、CAPZA1、MDH2、GNB2L1、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、PSMC2、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、C22orf28、ANXA5、PHB、KRT19、ME2、CCT6A、PDLIM1、PSMA3及びENO1が含まれる。
また、図5の「G1 vs nonT」の欄において、高いAUC値、例えば0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示す候補タンパク質は、膀胱癌以外の泌尿器系良性疾患の存在にかかわらず、特異的に膀胱癌(特に、グレード1などの初期膀胱癌)の存在を診断できる、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーとして有用性が高いものである。このような本発明の好ましい膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、EEF2、MSN、ADPRHL2、GAPDH、PDIA6、ESD、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、TKT、CSNK2A1、MDH2、GNB2L1、PRDX6、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、TCP1、PSMC2、ARPC4、RPS7、HSPD1、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、GDI2、C22orf28、ANXA5、PHB、PRDX3、KRT19、ME2、PDLIM1、PSMA3及びENO1が含まれる。
さらに、図5の「G1 vs N」の欄において、高いAUC値、例えば0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示し、かつ、図5の「G1 vs nonT」の欄において、高いAUC値、例えば0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、及び最も好ましくは0.8以上のAUC値を示す候補タンパク質は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーとして有用性がより高いものである。このような本発明の好ましい膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーには、MSN、GAPDH、ESD、ATP5A1、EIF4A1、EIF4A2、LDHA、EIF3I、LMNA、SEPT2、ATAD3A、PKM2、ARPC2、HNRNPC、ELAVL4、CSNK2A1、MDH2、GNB2L1、C12orf10、AKR1C1、ANXA2、RELA、PSMC2、PKM2、PGK1、ALDOC、PGAM1、C22orf28、ANXA5、PHB、KRT19、ME2、PDLIM1、PSMA3及びENO1が含まれる。
(実施例5):膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーとしてのALDOC、KRT19、GAPDH及びHNRNPCの膀胱癌診断における有用性の検証
膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーのうち、ALDOC、KRT19、GAPDH及びHNRNPCについて、さらなるアッセイを行った。
ドットブロットアッセイは、実施例2に記載したものと同様の手順に従って、膀胱癌患者由来血清(グレード 1(5症例)、グレード 2(5症例)、及びグレード 3(5症例))及び健常者由来の血清(5症例)を使用して行った(図6)。
さらに、ALDOC、KRT19、GAPDH及びHNRNPCについて、前記ドットブロットアッセイにおける基準をVenusタンパク質に対して1.4倍以上とし、かつグレード1膀胱癌患者由来血清(G1)及び健常者由来血清(N)を用いて得られたROC解析の結果を示す(図7)。当該解析には、「SPBS ver.9.42 for Windows(登録商標)」を使用した。
図7の結果は、本発明の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーに係るALDOC、KRT19、GAPDH及びHNRNPCが、膀胱癌、特にグレード1の初期膀胱癌の診断に有用であることを実証するものである。
本発明は、膀胱癌の診断における侵襲性が低く、検査に伴う痛みを解消若しくは軽減し、かつ/又は検査費用を低く抑えることのできる膀胱癌患者の同定又は診断方法、そのデータの取得方法、及び当該同定又は診断のための膀胱癌診断用キットを提供することにより、膀胱癌、特に組織学的異型度グレード1などの初期膀胱癌の鑑別診断において有用な手段及び方法の開発を可能にするものである。また、本発明に係るキットは、自動化することが可能であり、膀胱癌、特に初期膀胱癌の鑑別診断用装置の開発にも寄与し得る。
以下の記載において、「FLJ*****++++」からなる参照番号は、FLJ Human cDNA Database(http://flj.lifesciencedb.jp/top/)におけるクローン番号を示し、括弧内は、当該クローンの遺伝子名を示す。
配列番号1は、FLJ92580AAAF (ALDOC)のポリペプチド配列(365 aa)を示す。
配列番号2は、FLJ92580AAAF (ALDOC)のヌクレオチド配列(1,095 bp)を示す。
配列番号3は、FLJ93770AAAF (KRT19)のポリペプチド配列(401 aa)を示す。
配列番号4は、FLJ93770AAAF (KRT19)のヌクレオチド配列(1,203 bp)を示す。
配列番号5は、FLJ22872AAAF (GAPDH)のポリペプチド配列(368 aa)を示す。
配列番号6は、FLJ22872AAAF (GAPDH)のヌクレオチド配列(1,104 bp)を示す。
配列番号7は、FLJ45003AAAF (HNRNPC)のポリペプチド配列(294 aa)を示す。
配列番号8は、FLJ45003AAAF (HNRNPC)のヌクレオチド配列(882 bp)を示す。
配列番号9は、FLJ20587AAAF (TOMM34)のポリペプチド配列(310 aa)を示す。
配列番号10は、FLJ20587AAAF (TOMM34)のヌクレオチド配列(930 bp)を示す。
配列番号11は、FLJ25674AAAF (ESD)のポリペプチド配列(283 aa)を示す。
配列番号12は、FLJ25674AAAF (ESD)のヌクレオチド配列(849 bp)を示す。
配列番号13は、FLJ26390AAAF (ATP5A1)のポリペプチド配列(554 aa)を示す。
配列番号14は、FLJ26390AAAF (ATP5A1)のヌクレオチド配列(1,662 bp)を示す。
配列番号15は、FLJ26572AAAF (EIF4A1)のポリペプチド配列(407 aa)を示す。
配列番号16は、FLJ26572AAAF (EIF4A1)のヌクレオチド配列(1,221 bp)を示す。
配列番号17は、FLJ27123AAAF (EIF3I)のポリペプチド配列(326 aa)を示す。
配列番号18は、FLJ27123AAAF (EIF3I)のヌクレオチド配列(978 bp)を示す。
配列番号19は、FLJ35050AAAF (PKM2)のポリペプチド配列(532 aa)を示す。
配列番号20は、FLJ35050AAAF (PKM2)のヌクレオチド配列(1,596 bp)を示す。
配列番号21は、FLJ35201AAAF (ARPC2)のポリペプチド配列(187 aa)を示す。
配列番号22は、FLJ35201AAAF (ARPC2)のヌクレオチド配列(561 bp)を示す。
配列番号23は、FLJ83256WAAF (GNB2L1)のポリペプチド配列(318 aa)を示す。
配列番号24は、FLJ83256WAAF (GNB2L1)のヌクレオチド配列(954 bp)を示す。
配列番号25は、FLJ84302AAAF (AKR1C1)のポリペプチド配列(324 aa)を示す。
配列番号26は、FLJ84302AAAF (AKR1C1)のヌクレオチド配列(972 bp)を示す。
配列番号27は、FLJ85735AAAF (PSMC2)のポリペプチド配列(434 aa)を示す。
配列番号28は、FLJ85735AAAF (PSMC2)のヌクレオチド配列(972 bp)を示す。
配列番号29は、FLJ92579AAAF (PGK1)のポリペプチド配列(418 aa)を示す。
配列番号30は、FLJ92579AAAF (PGK1)のヌクレオチド配列(1,254 bp)を示す。
配列番号31は、FLJ92867AAAF (C22orf28)のポリペプチド配列(506 aa)を示す。
配列番号32は、FLJ92867AAAF (C22orf28)のヌクレオチド配列(1,518 bp)を示す。
配列番号33は、FLJ93030AAAF (ANXA5)のポリペプチド配列(321 aa)を示す。
配列番号34は、FLJ93030AAAF (ANXA5)のヌクレオチド配列(963 bp)を示す。
配列番号35は、FLJ93035AAAF (PHB)のポリペプチド配列(273 aa)を示す。
配列番号36は、FLJ93035AAAF (PHB)のヌクレオチド配列(819 bp)を示す。
配列番号37は、FLJ95664AAAF (PDLIM1)のポリペプチド配列(330 aa)を示す。
配列番号38は、FLJ95664AAAF (PDLIM1)のヌクレオチド配列(990 bp)を示す。
配列番号39は、FLJ96131AAAF (PSMA3)のポリペプチド配列(256 aa)を示す。
配列番号40は、FLJ96131AAAF (PSMA3)のヌクレオチド配列(768 bp)を示す。
配列番号41は、FLJ96469AAAF (ENO1)のポリペプチド配列(435 aa)を示す。
配列番号42は、FLJ96469AAAF (ENO1)のヌクレオチド配列(1,305 bp)を示す。

Claims (15)

  1. ALDOC、KRT19、GAPDH又はHNRNPCから選択される少なくとも1のタンパク質又はそれらの断片を含む、膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー。
  2. 前記タンパク質がALDOCである、請求項1記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー。
  3. 前記少なくとも1のタンパク質が、ALDOCと、KRT19、GAPDH及びHNRNPCからなる群から選択されるいずれか1のタンパク質との組み合わせである、請求項1記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー。
  4. 前記タンパク質又はそれらの断片が、膀胱癌細胞に由来するものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー。
  5. 前記膀胱癌が、膀胱尿路上皮癌である、請求項4記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー。
  6. 前記膀胱癌が、組織学的異型度グレード1の膀胱癌である、請求項1〜5のいずれか1項記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー。
  7. 前記ALDOC、KRT19、GAPDH及びHNRNPCがヒト由来のものであり、該ALDOCのポリペプチド配列が配列番号1により定義され、該KRT19のポリペプチド配列が配列番号3により定義され、該GAPDHのポリペプチド配列が配列番号5により定義され、かつ該HNRNPCのポリペプチド配列が配列番号7により定義されるものである、請求項1〜6のいずれか1項記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーを含む、膀胱癌診断用キット。
  9. 前記膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが、ガラス、金属又は樹脂から形成される担体上に固定されている、請求項8記載の膀胱癌診断用キット。
  10. 膀胱癌の存在を判定するためのデータの取得方法であって、
    (i)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液とを接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;
    (ii)膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片と、健常対象由来の血液と接触させて、該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカー又はその断片に結合した抗体量を測定すること;及び、
    (iii)前記(i)で測定された抗体量と、前記(ii)で測定された抗体量とを比較する工程を含み、
    該膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが、請求項1〜7のいずれか1項記載の膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーであり、かつ、
    該膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液中の抗体量が、該健常対象由来の血液中の抗体量よりも多い場合に、当該膀胱癌を有することが疑われる対象に膀胱癌が存在すると判定する、前記方法。
  11. 前記膀胱癌を有することが疑われる対象由来の血液中の抗体量が、前記健常対象由来の血液中の抗体量よりも1.2倍以上、1.4倍以上、1.6倍以上、1.8倍以上、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、11倍以上、12倍以上、13倍以上、14倍以上、15倍以上、16倍以上、17倍以上、18倍以上、19倍以上、20倍以上、25倍以上、又は30倍以上多い場合に、当該膀胱癌を有することが疑われる対象に膀胱癌が存在すると判定する、請求項10記載の方法。
  12. 前記抗体量の比較工程が、標識二次抗体又は二次抗体同等物を使用する免疫学的アッセイにより実施される、請求項10又は11記載の方法。
  13. 前記血液に代えて、当該血液から分離された血清を使用する請求項10〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 請求項10〜13のいずれか1項記載の方法における使用のための、膀胱癌診断用キット。
  15. 前記膀胱癌診断用ポリペプチドマーカーが、ガラス、金属又は樹脂から形成される担体上に固定されている、請求項14記載の膀胱癌診断用キット。
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