JP2014034554A - オレフィン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】収率及び製造効率を向上させることができるオレフィン誘導体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るオレフィン誘導体の製造方法は、反応器内において、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下で、オレフィンをアルコール及び一酸化炭素と反応させて、カルボン酸又はカルボン酸エステルを合成する第一工程と、第一工程中に、反応器内の気体の少なくとも一部を反応器外へ排出し、排出された気体から一酸化炭素を分離する第二工程と、第二工程において気体から分離された一酸化炭素を、第一工程中に反応器内へ供給する第三工程と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るオレフィン誘導体の製造方法は、反応器内において、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下で、オレフィンをアルコール及び一酸化炭素と反応させて、カルボン酸又はカルボン酸エステルを合成する第一工程と、第一工程中に、反応器内の気体の少なくとも一部を反応器外へ排出し、排出された気体から一酸化炭素を分離する第二工程と、第二工程において気体から分離された一酸化炭素を、第一工程中に反応器内へ供給する第三工程と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、オレフィン誘導体の製造方法に関する。
従来、オレフィン誘導体の製造方法の一例として、一酸化炭素とアルコールを用いたオレフィンの酸化的エステル化反応により、カルボン酸又はカルボン酸エステルを合成する方法が知られている。酸化的エステル化反応では、触媒(例えばPd触媒)の再生(酸化)のために、オレフィンの当量以上の酸化剤(例えばCuCl2)を必要とする。そのため、従来の製造方法は、その製造効率が低く、大量生産に不向きであった(例えば下記特許文献1、2及び非特許文献1、2参照。)。また、従来の製造方法では、反応後に目的物(オレフィン誘導体)と、酸化剤及び酸化剤が還元された化合物(例えばCuCl)とを分離する必要があった。
これらの課題を克服する解決策の一つとして、酸素を酸化剤に用いる方法がある(例えば下記特許文献3,4参照。)。この方法では、酸素が触媒を再生させた後に水となり、水を生成物から容易に分離することができる。
Journal of Molecular Catalyst A: Chemical 330(2010) 18−25
New Journal of Chemistry 2002, 26, 387−397.
しかしながら、酸素を用いる酸化的エステル化反応を行う場合、通常、一酸化炭素、酸素又は空気、及び原料溶液を圧力容器に入れて、密閉した圧力容器内で反応を進行させる。このようなバッチ(batch)方式の製造方法では、1回の製造ごとに、圧力容器への原料の充填、酸化的エステル化反応、圧力容器からの残ガスの排出、及びオレフィン誘導体の精製等の工程を実施しなければならない。このような理由から、酸素を用いる酸化的エステル化反応を利用した場合であっても、オレフィン誘導体の製造効率は依然として低い。
また、原料ガスである一酸化炭素の一部は、オレフィンと反応せずに残ガスとして廃棄され、一酸化炭素と反応しなかったオレフィンが残存してしまう。これにより、オレフィン誘導体の収率及び製造効率が低下してしまう。
さらに、酸素を用いた酸化的エステル化反応によるオレフィン誘導体の量産では、反応の進行に伴って圧力容器内の一酸化炭素及び酸素の各圧力が低下するため、反応の途中でこれらのガスを圧力容器内へ継ぎ足す必要がある。酸素を空気の形で圧力容器内へ供給すると、空気中の窒素も酸素と共に圧力容器へ供給される。空気中の窒素は反応によって消費されないため、圧力容器内に蓄積する。その結果、圧力容器内の気体の全圧が過剰に上昇してしまい、圧力容器の耐えうる限界値に達する恐れがある。圧力容器内の気圧の上昇を抑制するためには、窒素を含む空気を用いる代わりに、圧力容器内で消費された酸素の量に相当する高純度の酸素のみを圧力容器内へ補充する必要がある。しかしながら、高純度の酸素は支燃性が高いため、これを用いる製造方法の安全性には問題がある。酸素の支燃性を低めるために窒素ガスで酸素を希釈すると、空気を用いる場合と同様の上記問題が生じる。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、収率及び製造効率を向上させることができるオレフィン誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るオレフィン誘導体の製造方法の一態様は、反応器内において、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下で、オレフィンをアルコール及び一酸化炭素と反応させて、カルボン酸又はカルボン酸エステルを合成する第一工程と、第一工程中に、反応器内の気体の少なくとも一部を反応器外へ排出し、排出された気体から一酸化炭素を分離する第二工程と、第二工程において気体から分離された一酸化炭素を、第一工程中に反応器内へ供給する第三工程と、を備える。
本発明の一態様では、オレフィンが脂環式オレフィンであってもよい。脂環式オレフィンがノルボルネン類であってもよい。
本発明の一態様では、第二工程において反応器外へ排出される気体が窒素を含むことが好ましい。
本発明の一態様では、第二工程において、圧力スイング吸着法、熱スイング吸着法、温度圧力スイング吸着法、膜分離法及び深冷分離法からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法を用いて、気体から一酸化炭素を分離すればよい。
本発明の一態様では、酸化剤として、酸素、酢酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅、硫酸第二銅、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄及び酢酸第二鉄からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いればよい。
本発明によれば、収率及び製造効率を向上させることができるオレフィン誘導体の製造方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付す。寸法の比率は図面に示すものに限定されない。
(オレフィン誘導体の製造方法の概要)
図1に示す装置を用いて、本実施形態に係るオレフィン誘導体の製造方法を実施する。オレフィン誘導体の製造装置は、一酸化炭素(CO)の製造装置、液体窒素タンク、空気の導入装置、ガス混合器、バッファータンク、マスフローコントローラー、反応器、一酸化炭素の分離装置、及びベント装置を備える。
図1に示す装置を用いて、本実施形態に係るオレフィン誘導体の製造方法を実施する。オレフィン誘導体の製造装置は、一酸化炭素(CO)の製造装置、液体窒素タンク、空気の導入装置、ガス混合器、バッファータンク、マスフローコントローラー、反応器、一酸化炭素の分離装置、及びベント装置を備える。
一酸化炭素の製造装置、液体窒素タンク及び空気の導入装置は、それぞれガスの輸送管を介してガス混合器と接続されている。ガス混合器はガスの輸送管を介してバッファータンク及びベント装置と接続されている。バッファータンクは、ガスの輸送管及びマスフローコントローラーを介して反応器と接続されている。反応器は、ガスの輸送管及びマスフローコントローラーを介して一酸化炭素の分離装置と接続されている。一酸化炭素の分離装置は、ガスの輸送管を介してガス混合器及びベント装置と接続されている。
一酸化炭素の製造装置では、例えば、メタン(C1)の水蒸気改質により、一酸化炭素が製造される。一酸化炭素は、その製造装置からガス混合器へ供給される。窒素は、液体窒素タンクからガス混合器へ供給される。空気は、その導入装置からガス混合器へ供給される。ガス混合器では、一酸化炭素、窒素及び空気を、オレフィン誘導体(カルボン酸又はカルボン酸エステル)の合成に適した配合比で混合して、混合ガスを調製する。混合ガスは、バッファータンク内に貯蔵され、バッファータンクから反応器内へ供給される。反応器は、その内容物を加熱し、その温度を制御する機構を備えてもよい。また反応器は、その内容物を撹拌する機構を備えてもよい。反応器は、その内部の各気体の圧力を測定する機構を備えてもよい。混合ガスの反応器内への供給量、供給時間及び供給のタイミングは、バッファータンク及びマスフローコントローラー等によって自在に制御される。なお、ガス混合器には、純酸素の供給装置がガスの輸送管を介して接続されていてもよい。この純酸素を酸化剤として混合ガスに含有させてもよい。
一酸化炭素の分離装置としては、例えば、圧力スイング吸着(PSA:Pressure Swing Absorption)法を実施する装置を用いればよい。本実施形態における圧力スイング吸着法とは、高圧の混合ガス中の一酸化炭素を吸着剤に吸着させた後、低圧の雰囲気中で吸着剤から一酸化炭素を脱着させることにより、気体から一酸化炭素を分離する方法である。吸着剤は、一酸化炭素を選択的に吸着する機能を有する。吸着剤は、例えば、多孔質の担体と、当該担体に担持された銅化合物と、を備える。担体としては、例えば、アルミナ、ゼオライト、活性炭、シリカ及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種等を用いればよい。銅化合物としては、例えば、CuCl又はCuCl2等のハロゲン化銅を用いればよい。
一酸化炭素の分離装置は、圧力スイング吸着法を実施するものに限定されない。一酸化炭素の分離装置は、圧力スイング吸着法、熱スイング吸着(TSA)法(温度スイング吸着法)、温度圧力スイング吸着(TPSA)法、膜分離法及び深冷分離法からなる群より選ばれる少なくとも一種の分離方法を実施するための装置であればよい。これらの分離方法を組み合わせてもよい。熱スイング吸着法は、混合ガス中の一酸化炭素を低温で吸着剤に吸着させる工程と、吸着剤の加熱により吸着剤から一酸化炭素を脱着させる工程と、を備える方法である。温度圧力スイング吸着法は、高圧の混合ガス中の一酸化炭素を低温の吸着剤に吸着させた後、低圧の雰囲気中で加熱した吸着剤から一酸化炭素を脱着させる方法である。膜分離法は、気体の選択透過膜を用いて混合ガスから一酸化炭素を選択的に分離する方法である。深冷分離法は、混合ガスを低温に冷却して液化させて、各ガスが凝縮する際の温度の違いを利用した蒸留又は部分凝縮によって、一酸化炭素を分離、回収する方法である。
本実施形態に係るオレフィン誘導体の製造方法は、以下の第一工程、第二工程及び第三工程を具備する。第二工程及び第三工程を第一工程中に実施する。
第一工程では、パラジウム触媒及び酸化剤を反応器へ導入する。さらに必要に応じて溶媒を反応器へ導入してもよい。酸化剤は、反応中に還元されたパラジウム触媒を酸化して再生する活性を有する。また、カルボン酸又はカルボン酸エステルの原料であるオレフィン及びアルコールを反応器内へ導入する。酸素及び一酸化炭素を含有する上記混合ガスを反応器内へ供給する。混合ガス中の酸素も、反応中に還元されたパラジウム触媒を酸化して再生する。アルコールは、原料であるとともに、オレフィン及び一酸化炭素を溶解する溶媒としても機能しうる。反応器内において、オレフィンをアルコール及び一酸化炭素と反応させて、カルボン酸又はカルボン酸エステルを合成する。
第二工程では、反応器内の混合ガスの少なくとも一部(反応器内の残ガス)を反応器外へ排出して、一酸化炭素の分離装置へ供給する。分離装置において、混合ガスから未反応の一酸化炭素を分離する。一酸化炭素と分離された残ガス(窒素及び酸素等)はベント装置により、製造装置外へ排出してもよい。
第三工程では、分離装置において混合ガスから分離された一酸化炭素を、ガス混合器、バッファータンク及びマスフローコントローラーを介して、反応器内へ供給する。第三工程では、分離装置において混合ガスから分離された一酸化炭素を、ガス混合器において空気、窒素、及び一酸化炭素の製造装置からの一酸化炭素の少なくともいずれかと混合して、混合ガスを調製し、この混合ガスを反応器内へ供給してもよい。または、第三工程において、分離装置において混合ガスから分離された一酸化炭素のみを、分離装置から輸送管(及びマスフローコントローラー)を介して反応器内へ直接供給してもよい(図示せず)。
第一工程、第二工程及び第三工程を同時に並行して実施してもよい。第一工程中に第二工程及び第三工程を実施する限り、第二工程及び第三工程は必ずしも同時に並行して実施しなくてもよい。第一工程中、第二工程を連続的に実施してもよく、断続的に実施してもよい。第一工程中、第三工程を連続的に実施してもよく、断続的に実施してもよい。
本実施形態で、反応器内においてオレフィンと反応しなかった一酸化炭素を第二工程及び第三工程によって再利用するため、未反応の一酸化炭素を残ガスとして廃棄する従来の製造方法に比べて、オレフィン誘導体の収率が向上する。また本実施形態では、一酸化炭素の再利用により、原料である一酸化炭素の無駄を低減し、一酸化炭素自体の製造量、製造コストを減少させ、オレフィン誘導体の製造効率を向上させることができる。
第一工程では、溶媒(アルコールを含む。)中に溶解した一酸化炭素がアルコールとともにオレフィンと反応することにより、カルボン酸又はカルボン酸エステルが生成する。したがって、カルボン酸又はカルボン酸エステルの生成速度(製造効率)を高めるためには、一酸化炭素の溶媒への溶解を促進すればよい。一酸化炭素その他反応器内の混合ガスを構成する各気体の溶媒への溶解度は、各気体の圧力の上昇に伴って増加する。しかしながら、一酸化炭素の溶媒への溶解は、一酸化炭素以外の気体(例えば窒素等)の溶媒への溶解と競合する。従来の製造方法では、反応器内で反応に関与せずに蓄積される窒素等の気体の圧力が高いため、窒素等の溶媒への溶解が、一酸化炭素の溶媒への溶解を阻害して、カルボン酸又はカルボン酸エステルの生成速度の低下の一因となる、と本発明者らは考える。しかし、本実施形態の第二工程では、反応器内の窒素又は反応の副生成物等、反応に寄与しない気体を反応器外へ排出する。そのため、本実施形態の第一工程では、反応に寄与しない気体の反応器内の圧力を常に低い値に調整し、これ等の気体が一酸化炭素の溶媒への溶解を阻害することを抑制することが可能となる。また本実施形態では、第三工程により、第一工程において反応器内の一酸化炭素の圧力を常に最適値に調整し、一酸化炭素の溶媒への溶解を促進することができる。これらの理由から、本実施形態によれば、第一工程においてカルボン酸又はカルボン酸エステルの生成速度を常に高い値に維持し、これらの製造効率を高めることが可能となる。また本実施形態では、第三工程により、反応器内のオレフィンの全ての反応(一酸化炭素との反応)が完了するまで第一工程を中断することなく継続し、収率を向上させることができる。
本実施形態では、パラジウム触媒の酸化剤として酸素を用いる場合、第三工程により、第一工程において反応器内でパラジウム触媒の酸化(再生)に消費される酸素を常に反応器内へ補充することもできる。したがって、本実施形態では、第一工程においてパラジウム触媒の高い活性を常に維持し、カルボン酸又はカルボン酸エステルの生成速度を常に高い値に維持し、これらの製造効率を高めることが可能となる。
本実施形態では、第一工程中に第二工程及び第三工程を連続的に又は断続的に実施するため、1回の製造ごとに圧力容器への原料ガスの充填、及び圧力容器からの残ガスの排出を実施しなければならないバッチ方式の製造方法に比べて、製造効率を高めることが可能となる。
本実施形態では、反応器中の残ガスを反応器外へ排出する第二工程を第一工程中に実施するため、反応器内の残ガスの蓄積を抑制し、反応器内の気圧を常に安全な程度に維持することができる。
第一工程における反応器内の混合ガスの全圧は、0.5〜6MPaGであることが好ましく、3〜5MPaGであることがより好ましい。反応器内の混合ガス中の一酸化炭素の濃度は、15〜70%であることが好ましく、20〜30%であることがより好ましい。なお、混合ガス中の一酸化炭素の濃度とは、反応器内の混合ガスの全圧に対する一酸化炭素の分圧の割合である。酸化剤として酸素を用いる場合、反応器内の混合ガス中の酸素の濃度は高ければ高いほど好ましいが、高過ぎると一酸化炭素の爆発限界が広がり、製造方法の安全性が低下してしまう。したがって、反応器内の混合ガス中の酸素の濃度は4〜8%である。なお、混合ガス中の酸素の濃度とは、反応器内の混合ガスの全圧に対する空気の分圧の割合の0.21倍である。これらの各数値は、ガス混合器及びマスフローコントローラー等によって自在に制御することができる。
第一工程におけるカルボン酸又はカルボン酸エステルの合成反応の反応温度は室温(25℃)〜120℃であることが好ましく、80〜100℃であることがより好ましい。第一工程では反応器内の原料を撹拌したほうがよい。原料の攪拌速度は400〜600rpm程度であることが好ましい。カルボン酸又はカルボン酸エステルが合成される液相中のパラジウム触媒の濃度は、0.01〜10mol%に調整することが好ましく、0.01〜1.0mol%がより好ましい。酸化剤として銅化合物を用いる場合、液相中の銅化合物の濃度は高いほうが好ましいが、高過ぎるとカルボン酸又はカルボン酸エステルの精製工程が煩雑になる。したがって、液相中の銅化合物の濃度は4〜6mol%に調整することが好ましい。酸化助触媒として塩化銅などの塩化物を添加してもよい。液相中の塩素イオンの濃度は高いほうが好ましいが、高過ぎると塩素によって反応器が腐蝕する。したがって、液相中の塩素イオンの濃度は、5〜25mol%に調整することが好ましい。
(オレフィン誘導体に関する具体的態様)
本実施形態において、原料として用いるオレフィンは特に限定されないが、例えば脂環式オレフィンであればよい。脂環式オレフィンは特に限定されないが、例えばノルボルネン類であればよい。以下では、本発明に係るオレフィン誘導体の製造方法の一例として、脂環式オレフィンの一種である5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類から、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸及びそのエステル類を合成する方法について説明する。また、脂環式オレフィンの前駆体、脂環式カルボン酸無水物、及び当該無水物から得られるポリイミドについても説明する。
本実施形態において、原料として用いるオレフィンは特に限定されないが、例えば脂環式オレフィンであればよい。脂環式オレフィンは特に限定されないが、例えばノルボルネン類であればよい。以下では、本発明に係るオレフィン誘導体の製造方法の一例として、脂環式オレフィンの一種である5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類から、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸及びそのエステル類を合成する方法について説明する。また、脂環式オレフィンの前駆体、脂環式カルボン酸無水物、及び当該無水物から得られるポリイミドについても説明する。
<ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸の無水物>
本実施形態において製造されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物類は、下記一般式(1)で表されるものである。
本実施形態において製造されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物類は、下記一般式(1)で表されるものである。
[式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物は、ポリイミドのモノマーとして好適である。
一般式(1)中のR1として選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えると、ポリイミドのモノマーとして用いた場合に、得られるポリイミドの耐熱性が低下する。また、このようなR1として選択され得るアルキル基の炭素数としては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR1として選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
一般式(1)中のR1としては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、中でも、原料の入手が容易であることや精製がより容易であるという観点から、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のR1は精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが特に好ましい。
一般式(1)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が上限を超えると、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物類の精製が困難になる。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の上限値は、より精製が容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の下限値は、原料の安定性等の観点から、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように一般式(1)中のnとしては2〜3の整数であることが特に好ましい。
一般式(1)中のR2、R3として選択され得る炭素数1〜10のアルキル基は、R1として選択され得る炭素数1〜10のアルキル基と同様のものである。このようなR2、R3として選択され得る置換基としては、精製の容易さの観点から、上記置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3である。
一般式(1)で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物類の具体例としては、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロヘキサノン−6’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロプロパノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロブタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘプタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロオクタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロノナノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロウンデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロドデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロトリデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロテトラデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロペンタノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロヘキサノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
<ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−カルボン酸及びそのエステル類>
本実施形態のノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸及びそのエステル類は、下記一般式(2)で表されるものである。
本実施形態のノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸及びそのエステル類は、下記一般式(2)で表されるものである。
[式(2)中、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
一般式(2)中のR4は、上記一般式(1)中のR1と同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR1と同様である。また、一般式(2)中のR2、R3は一般式(1)中のR2、R3と同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR2、R3と同様である。更に、上記一般式(2)中のnは上記一般式(1)中のnと同様の整数であり、その好適な値も上記一般式(1)中のnと同様である。
一般式(2)中のR5、R6、R7、R8として選択され得るアルキル基は炭素数が1〜10のアルキル基である。このようなアルキル基の炭素数が10を超えると、精製が困難となる。また、このようなR5、R6、R7、R8として選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。また、このようなR5、R6、R7、R8として選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
一般式(2)中のR5、R6、R7、R8として選択され得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜10のシクロアルキル基である。このようなシクロアルキル基の炭素数が10を超えると精製が困難となる。また、このようなR5、R6、R7、R8として選択され得るシクロアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、3〜8であることがより好ましく、5〜6であることが更に好ましい。
一般式(2)中のR5、R6、R7、R8として選択され得るアルケニル基は、炭素数が2〜10のアルケニル基である。このようなアルケニル基の炭素数が10を超えると、精製が困難となる。また、このようなR5、R6、R7、R8として選択され得るアルケニル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、2〜5であることがより好ましく、2〜3であることが更に好ましい。
一般式(2)中のR5、R6、R7、R8として選択され得るアリール基は、炭素数が6〜20のアリール基である。このようなアリール基の炭素数が20を超えると精製が困難となる。また、このようなR5、R6、R7、R8として選択され得るアリール基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、6〜10であることがより好ましく、6〜8であることが更に好ましい。
一般式(2)中のR5、R6、R7、R8として選択され得るアラルキル基は、炭素数が7〜20のアラルキル基である。このようなアラルキル基の炭素数が20を超えると精製が困難となる。また、このようなR5、R6、R7、R8として選択され得るアラルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、7〜10であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。
一般式(2)中のR5、R6、R7、R8としては、精製がより容易となるという観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、アリル基、フェニル基又はベンジル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。なお、一般式(2)中のR5、R6、R7、R8は同一のものであっても異なっていてもよいが、合成上の観点からは、同一のものであることがより好ましい。
一般式(2)で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸及びそのエステル類としては、例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラエチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラプロピルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラブチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラ(2−エチルヘキシル)エステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラアリルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラシクロヘキシルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラフェニルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラベンジルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラエチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラプロピルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラブチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラ(2−エチルヘキシル)エステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラアリルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラシクロヘキシルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラフェニルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラベンジルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロプロパノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロブタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘプタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロオクタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロノナノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロウンデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロドデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロトリデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロテトラデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸テトラメチルエステル、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸等が挙げられる。
<ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸又はそのエステル類の合成方法>
本実施形態の上記一般式(2)で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸又はそのエステル類の合成方法(第一工程)について説明する。
本実施形態の上記一般式(2)で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸又はそのエステル類の合成方法(第一工程)について説明する。
第一工程では、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下、下記一般式(3)で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類を、アルコール及び一酸化炭素と反応させて上記一般式(2)で表される化合物を得る。
[式(3)中、R2、R3、R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
第一工程において用いられる上記一般式(3)で表されるノルボルネン類において、その一般式(3)中のR9は、上記一般式(1)中のR1と同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR1と同様である。また、一般式(3)中のR2、R3は一般式(1)中のR2、R3と同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR2、R3と同様である。更に、上記一般式(3)中のnは上記一般式(1)中のnと同様の整数であり、その好適な値も上記一般式(1)中のnと同様である。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン(別名「5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン」)、メチル−5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−(メチル−5’’−ノルボルネン)、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン(別名「5−ノルボルネン−2−スピロ−2’−シクロヘキサノン−6’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン」)、メチル−5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−(メチル−5’’−ノルボルネン)、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロプロパノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロブタノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロヘプタノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロオクタノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロノナノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロデカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロウンデカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロドデカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロトリデカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロテトラデカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロペンタデカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−(メチルシクロペンタノン)−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−スピロ−α−(メチルシクロヘキサノン)−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン等が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物を合成するための方法は特に制限されないが、例えば、下記反応式(I)で表されるような反応を利用することにより、一般式(3)で表される化合物を合成することができる。
[反応式(I)中、n、R2、R3は上記一般式(1)中のn、R2、R3と同義であり、R9は一般式(3)中のR9と同義であり、Rはそれぞれ独立にアミンを形成し得る一価の有機基(例えば炭素原子数1〜20の直鎖状の飽和炭化水素基等)を示し、X−はアミンとアンモニウム塩を形成し得る一価のイオン(例えば、ハロゲンイオン、硫酸水素イオン、酢酸イオン等)を示す。]
反応式(I)で表される合成方法では、一般式(I−1)で表されるシクロアルカノン(シクロペンタノンやシクロヘキサノン等)と、シクロアルカノンに対して2当量以上の二級アミンのアンモニウム塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等:反応式(I)中において式:NHR2HXで表される化合物)と、ホルムアルデヒド誘導体と、酸(塩酸、硫酸、酢酸等)とを用いて、酸性の反応液を得る。上記反応液を不活性ガス雰囲気下において30〜180℃で0.5〜10時間加熱し、反応液中において、カルボニル基の両隣に活性なα水素を有する環状ケトン類とホルムアルデヒド類と二級アミン類のマンニッヒ反応を進行させて、一般式(I−2)で表されるマンニッヒ塩基を合成する。次いで、得られたマンニッヒ塩基を単離することなく、その反応液中に、有機溶媒と、上記一般式(1)中のR1として選択され得る基と同様の基を置換基として有していてもよいシクロペンタジエン(マンニッヒ塩基に対して2当量以上)とを添加して混合物を調製する。有機溶媒としては、ディールスアルダー反応に利用可能な有機溶媒であればよく、好ましくは、テトラハイドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトニトリル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール等を用いればよい。上記混合物に塩基を導入して中性又は塩基性とし、0〜150℃(好ましくは60℃程度)の条件下において、上記混合物を0.1〜48時間撹拌する。この操作により、混合物中において、一般式(I−2)で表されるマンニッヒ塩基から一般式(I−3)で表されるジビニルケトンを合成する。一般式(I−3)で表されるジビニルケトンと上記置換基を有していてもよいシクロペンタジエンとの反応(ディールスアルダー反応)により、上記一般式(3)で表される化合物が合成される。なお、ホルムアルデヒド誘導体としては、マンニッヒ塩基の製造に用いられる公知のホルムアルデヒドの誘導体を適宜利用でき、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。また、ジビニルケトンは、前記混合物の0〜150℃の条件下における撹拌中に前記マンニッヒ塩基からアミン化合物が脱離して合成される。
反応式(I)中、一般式(I−1)で表されるシクロアルカノンとしては、例えば、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロテトラデカノン、シクロペンタデカノン、3−メチルシクロブタノン、3−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘプタノン、3−メチルシクロオクタノン、3−メチルシクロノナノン、3−メチルシクロデカノン、3−メチルシクロウンデカノン、3−メチルシクロドデカノン、3−メチルシクロトリデカノン、3−メチルシクロテトラデカノン、3−メチルシクロペンタデカノン等が挙げられる。また、前記二級アミンのアンモニウム塩としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジノナデシルアミン、モルホリン、ジエタノールアミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、インドリン、イソインドリン等の2級アミンの塩(上記X−がカウンターアニオンとなる2級アミンの塩)が挙げられる。また、反応式(I)中、X−は、いわゆるカウンターアニオンであり、例えば、F−、Cl−、Br−、I−、CH3COO−、CF3COO−、CH3SO3 −、CF3SO3 −、C6H5SO3 −、CH3C6H4SO3 −、HOSO3 −及びH2PO4 −等が挙げられる。更に、前記ジビニルケトンは、前記混合物の0〜150℃の条件下における撹拌中に前記マンニッヒ塩基からアミン化合物が脱離して合成される。
第一工程に用いられるアルコールは、下記一般式(5)で表されるアルコールであることが好ましい。
R11OH (5)
[式(5)中、R11は前記一般式(2)中のR5、R6、R7又はR8として選択され得る原子及び基のうちの水素原子以外のものである。]
[式(5)中、R11は前記一般式(2)中のR5、R6、R7又はR8として選択され得る原子及び基のうちの水素原子以外のものである。]
このようなアルコールとしては、炭素数が1〜10のアルキルアルコール、炭素数が3〜10のシクロアルキルアルコール、炭素数が2〜10のアルケニルアルコール、炭素数が6〜20のアリールアルコール、炭素数が7〜20のアラルキルアルコールを用いることが好ましい。このようなアルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、ブタノール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられ、中でも、得られる化合物の精製がより容易となるという観点から、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。また、このようなアルコールは1種を単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。
アルコールを用いる第一工程では、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下、アルコール(R11OH)及び一酸化炭素(CO)と、前記一般式(3)で表される化合物とを反応させて、上記一般式(3)で表される化合物中のオレフィン部位に、それぞれ下記一般式(6)で表されるエステル基を導入すればよい。全てのエステル基のR11が同一であってもよい。エステル基が導入される位置ごとにR11が異なっていてもよい。
−COOR11 (6)
[式(6)中、R11は前記一般式(2)中のR5、R6、R7又はR8として選択され得る原子及び基のうちの水素原子以外のものである。]
[式(6)中、R11は前記一般式(2)中のR5、R6、R7又はR8として選択され得る原子及び基のうちの水素原子以外のものである。]
このような反応(エステル化反応)によって、一般式(2)で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸エステル類が合成される。
上記エステル化反応におけるアルコールの使用量は、一般式(2)で表される化合物を得ることが可能な量であればよく、特に制限されず、例えば、一般式(2)で表される化合物を得るために理論上必要となる量(理論量)以上にアルコールを加えて、余剰のアルコールをそのまま溶媒として使用してもよい。
エステル化反応においては、一酸化炭素は必要量を反応系に供給できればよい。そのため、一酸化炭素としては、一酸化炭素の高純度ガスを用いる必要は無い。
第一工程に用いるパラジウム触媒としては特に制限されず、パラジウムを含有する公知の触媒を適宜用いることができ、例えば、パラジウムの無機酸塩、パラジウムの有機酸塩、担体にパラジウムを担持した触媒等が挙げられる。このようなパラジウム触媒としては、具体的には、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムアルミナ及びパラジウム黒等が挙げられる。このようなパラジウム触媒の使用量としては、前記パラジウム触媒中のパラジウムのモル量が前記一般式(3)で表される化合物に対して0.001〜0.1倍モルとなる量とすることが好ましい。
第一工程において用いられる酸化剤としては、エステル化反応において、パラジウム触媒中のPd2+がPd0に還元された場合に、そのPd0をPd2+に酸化することが可能なものであればよく、特に制限されない。酸化剤としては、例えば、酸素、銅化合物、鉄化合物等が挙げられる。より具体的な酸化剤としては、具体的には、酸素、酢酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅、硫酸第二銅、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。このような酸化剤の使用量は、一般式(3)で表される5−ノルボルネン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−5’’−ノルボルネン類に対して2〜16倍モル(より好ましくは8倍モル程度)とすることが好ましい。
一般式(3)で表される化合物とアルコール及び一酸化炭素との反応(エステル化反応)は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては特に制限されず、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
エステル化反応においては、酸化剤等から酸が副生されることから、かかる酸を除去するために塩基を添加してもよい。このような塩基としては、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム等の脂肪酸塩が好ましい。また、このような塩基の使用量は酸の発生量等に応じて適宜調整すればよい。
一般式(2)中のR5、R6、R7又はR8を水素原子とするために、エステル化反応により上記式:−COOR11で表される基を導入した後に、加水分解処理や、カルボン酸とのエステル交換反応を施してもよい。このような反応の方法は特に制限されず、式:−COOR11で表される基を式:−COOHとすることが可能な公知の方法を適宜採用することができる。
上記のエステル化反応又は加水分解等を行った後においては、より純度の高い化合物を得るために、再結晶等の精製工程を適宜実施してもよい。このような精製の方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
<ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物類の合成方法>
上記一般式(1)で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物類の合成方法(第四工程)について説明する。第四工程では、ギ酸、酸触媒及び無水酢酸を用いて、上記一般式(2)で表される化合物から上記一般式(1)で表される化合物を得る。
上記一般式(1)で表されるノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物類の合成方法(第四工程)について説明する。第四工程では、ギ酸、酸触媒及び無水酢酸を用いて、上記一般式(2)で表される化合物から上記一般式(1)で表される化合物を得る。
第四工程の他の態様では、第一工程で合成した上記一般式(2)で示される化合物を酸触媒又は塩基触媒の存在下において加水分解して、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロアルカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸を製造する。これを加熱により又は脱水剤により脱水閉環せしめ、上記一般式(1)で表される無水物類を得る。
<ポリイミド>
上記一般式(1)で表される化合物は、ポリアミド酸の原料やポリイミド等の耐熱性樹脂の原料として特に有用である。ポリイミドの合成方法としては、例えば、溶媒中において上記一般式(1)で表される無水物類をジアミン化合物と反応させてポリアミド酸を得た後、ポリアミド酸を加熱又は酸無水物により脱水閉環する方法がある。このようにして得られるポリイミドは、上記一般式(1)で表される化合物をモノマーの一つとして有する。
上記一般式(1)で表される化合物は、ポリアミド酸の原料やポリイミド等の耐熱性樹脂の原料として特に有用である。ポリイミドの合成方法としては、例えば、溶媒中において上記一般式(1)で表される無水物類をジアミン化合物と反応させてポリアミド酸を得た後、ポリアミド酸を加熱又は酸無水物により脱水閉環する方法がある。このようにして得られるポリイミドは、上記一般式(1)で表される化合物をモノマーの一つとして有する。
本実施形態に係るポリイミドは、脂肪族系のテトラカルボン酸二無水物を用いているにも関わらず、十分に高度な溶媒溶解性を有しながら無色透明である。また本実施形態に係るポリイミドは、従来公知の脂肪族系テトラカルボン酸二無水物から作られるポリイミドと比較して、高い耐熱性(高いガラス転移温度Tg)を有する。したがって、本実施形態の上記一般式(1)で表される化合物は、フレキシブル配線基板用のポリイミド、耐熱絶縁テープ用のポリイミド、電線エナメル用のポリイミド、半導体の保護コーティング用のポリイミド、液晶配向膜用のポリイミド等の原料として特に有用である。
本実施形態のポリイミドは、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を有するものである。
[式(4)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜40のアリール基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
上記ポリイミドは、脂環式のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるものであるため、その透明性が非常に高い。このようなポリイミドは、フレキシブル配線基板用フィルム、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング剤、液晶配向膜、有機EL用透明導電性フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム等の原料として特に有用である。
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
Claims (6)
- 反応器内において、パラジウム触媒及び酸化剤の存在下で、オレフィンをアルコール及び一酸化炭素と反応させて、カルボン酸又はカルボン酸エステルを合成する第一工程と、
前記第一工程中に、前記反応器内の気体の少なくとも一部を前記反応器外へ排出し、排出された前記気体から一酸化炭素を分離する第二工程と、
前記第二工程において前記気体から分離された前記一酸化炭素を、前記第一工程中に前記反応器内へ供給する第三工程と、
を備える、
オレフィン誘導体の製造方法。 - 前記オレフィンが脂環式オレフィンである、
請求項1に記載のオレフィン誘導体の製造方法。 - 脂環式オレフィンがノルボルネン類である、
請求項2に記載のオレフィン誘導体の製造方法。 - 前記第二工程において前記反応器外へ排出される前記気体が窒素を含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオレフィン誘導体の製造方法。 - 前記第二工程において、圧力スイング吸着法、熱スイング吸着法、温度圧力スイング吸着法、膜分離法及び深冷分離法からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法を用いて、前記気体から前記一酸化炭素を分離する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン誘導体の製造方法。 - 前記酸化剤として、酸素、酢酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅、硫酸第二銅、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄及び酢酸第二鉄からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いる、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のオレフィン誘導体の製造方法。
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