JP2014029183A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビテーションが発生したとしても、キャビテーションによる動負荷を取付部材へ伝達されにくくすることで、異音や振動を低減できる流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】粘弾性膜90は、仕切部材70,80より本体ゴム弾性体30側の領域に配置され、本体ゴム弾性体30から離れた位置に配置される。流体封入式防振装置は、本体ゴム弾性体30と粘弾性膜90の一方面とにより区画される主液室2と、可撓性ダイヤフラム50と仕切部材70,80により区画される副液室4と、粘弾性膜90の他方面と仕切部材70,80により区画される第一中間室3と、第一中間室3と副液室4との間を連通し、内部を流通する流体の共振周波数をシェイクの周波数にチューニングされた第一オリフィス通路1とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】粘弾性膜90は、仕切部材70,80より本体ゴム弾性体30側の領域に配置され、本体ゴム弾性体30から離れた位置に配置される。流体封入式防振装置は、本体ゴム弾性体30と粘弾性膜90の一方面とにより区画される主液室2と、可撓性ダイヤフラム50と仕切部材70,80により区画される副液室4と、粘弾性膜90の他方面と仕切部材70,80により区画される第一中間室3と、第一中間室3と副液室4との間を連通し、内部を流通する流体の共振周波数をシェイクの周波数にチューニングされた第一オリフィス通路1とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、内部に封入された流体の流通作用に基づく防振効果を利用する流体封入式防振装置に関するものである。
流体封入式防振装置の例として、特開2011−190868号公報、特許第2805305号公報、特公平6−81972号公報、特開2007−107712号公報には、大きな荷重を入力したときのキャビテーションの発生を抑制することが記載されている。キャビテーションの発生は、振動や異音の原因となる。また、当該装置の例として、特開2008−232315号公報、特開2011−74986号公報に記載されたものもある。
本発明は、キャビテーションが発生したとしても、キャビテーションによる動負荷が取付部材へ伝達されにくくすることで、キャビテーションに起因する振動や異音を低減できる流体封入式防振装置を提供することを目的とする。
本手段に係る流体封入式防振装置は、本体ゴム弾性体にて区画される主液室にてキャビテーションを発生させるのではなく、主液室に対して粘弾性膜を介して区画される第一中間室にてキャビテーションを発生させることにより、キャビテーションによる動負荷を取付部材へ伝達されにくくする。
すなわち、流体封入式防振装置は、第一,第二の取付部材と、第一の取付部材と第二の取付部材を連結する本体ゴム弾性体と、可撓性ダイヤフラムと、本体ゴム弾性体側の領域と可撓性ダイヤフラム側の領域とを仕切る仕切部材と、仕切部材より本体ゴム弾性体側の領域に配置され、本体ゴム弾性体から離れた位置に配置される粘弾性膜と、本体ゴム弾性体と粘弾性膜の一方面とにより区画される主液室と、可撓性ダイヤフラムと仕切部材により区画される副液室と、粘弾性膜の他方面と仕切部材により区画される第一中間室と、第一中間室と副液室との間を連通し、内部を流通する流体の共振周波数をシェイクの周波数にチューニングされた第一オリフィス通路とを備える。
本手段によれば、本体ゴム弾性体と仕切部材とにより囲まれる領域は、主液室と第一中間室とに区画されている。従って、振動を入力した場合に、本体ゴム弾性体と仕切部材とにより囲まれる領域の体積が変化する。上述したように、本体ゴム弾性体と仕切部材とにより囲まれる領域は、主液室と第一中間室とが存在する。従って、振動を入力した場合には、少なくとも第一中間室の体積が変化する。
第一中間室は、第一オリフィス通路を介して副液室に連通されている。そのため、第一中間室の体積が変化すると、第一オリフィス通路を流体が流通する。第一オリフィス通路を流体が流通することで、液柱共振作用によって、振動を低減することができる。詳細には、第一オリフィス通路における液柱共振作用による共振周波数は、シェイクの周波数にチューニングされている。従って、シェイクの振動が入力された場合に、当該振動を効果的に低減できる。
ここで、シェイクの周波数帯において大きな振動を入力した場合には、第一オリフィス通路に連通する第一中間室において、キャビテーションが発生するおそれがある。キャビテーションに起因して、第一中間室内においては、動負荷が発生するおそれがある。仮に、第一中間室にて発生した動負荷が主液室に伝達されれば、本体ゴム弾性体に伝達され、さらに第一,第二の取付部材に伝達される。そうすると、キャビテーションに起因する動負荷によって、振動や異音が生じるおそれがある。
しかし、本手段によれば、第一中間室と主液室とは粘弾性膜によって区画されているため、粘弾性膜の減衰性能によって、第一中間室で発生した動負荷が主液室に伝達されにくくなる。このように、キャビテーションに起因する動負荷は、粘弾性膜にて低減される結果、主液室に伝達される動負荷は非常に小さくなる。主液室にてキャビテーションに起因する動負荷が生じなければ、本体ゴム弾性体を介して、第一,第二の取付部材へ伝達されることはない。つまり、シェイクの周波数帯において大きな振動を入力した場合に、キャビテーションが発生したとしても、キャビテーションに起因する振動や異音が発生することを抑制できる。なお、粘弾性膜は、本体ゴム弾性体から離れた位置に設けられている。従って、粘弾性膜に伝達される動負荷が、本体ゴム弾性体に直接伝達されることはない。
また、第二の取付部材は、筒状に形成され、仕切部材は、第二の取付部材の内周面に取り付けられ、第一オリフィス通路は、第二の取付部材の筒軸に対して周方向に延びるように形成されるようにしてもよい。特に、第一オリフィス通路は、第二の取付部材の中心側から外周側に向かって渦巻き状に形成されるようにしてもよい。
第一オリフィス通路を上記形状とすることで、液柱共振作用による共振周波数をシェイクの周波数に合わせることができる。そして、第一オリフィス通路を上記形状とすることで、第一中間室にキャビテーションが発生しやすい状態になるが、上記の通り、動負荷は主液室に伝達されない。
また、第二の取付部材は、筒状に形成され、仕切部材は、第二の取付部材の内周面に取り付けられ、粘弾性膜は、仕切部材の中央部に取り付けられるようにしてもよい。つまり、粘弾性膜は、第二の取付部材から離れた位置に存在する。従って、粘弾性膜に伝達された動負荷は、本体ゴム弾性体のみならず、第二の取付部材に対しても、直接的に伝達されることはない。その結果、動負荷が、粘弾性膜にて低減されて、主液室を介して本体ゴム弾性体および第二の取付部材に対して伝達されることを抑制できる。
また、主液室と副液室との間に形成される第二中間室と、主液室および副液室と第二中間室との間を連通し、シェイクの周波数より高周波数にチューニングされた第二オリフィス通路と、を備え、主液室は、第二中間室以外の他室または外部に対して連通しないようにしてもよい。二つのオリフィス通路によって、低周波数のシェイクに対する防振効果と、高周波数の振動に対する防振効果とを有する。従って、幅広い周波数帯の振動に対して防振効果を発揮できる。
ここで、高周波数の振動が発生した場合には、キャビテーションは発生しない。従って、高周波数の振動に対して液柱共振作用を発揮する第二オリフィス通路が主液室に連通するように形成されているとしても、主液室にてキャビテーションの動負荷が発生することはない。
一方、主液室は、他室および外部に対して連通することなく密閉されるようにしてもよい。主液室が密閉されることで、主液室にてキャビテーションが発生することを確実に防止できる。
また、粘弾性膜には、環状溝が形成されており、環状溝を切断する断面形状が凹凸形状に形成されるようにしてもよい。粘弾性膜を上記形状とすることで、粘弾性膜の変形を十分に許容できる。従って、粘弾性膜にてキャビテーションに起因する動負荷を確実に低減することができる。その結果、主液室に動負荷を伝達することを抑制できる。
<第一実施形態>
第一実施形態の流体封入式防振装置について、図1〜図5を参照して説明する。流体封入式防振装置は、自動車の駆動装置であるエンジンやモータなどを車両ボディ(フレームなど)に対して支持し、エンジンやモータなどの振動を車両ボディに伝達することを抑制する。この流体封入式防振装置は、内部に流体を封入し、流体が流通することによる液柱共振作用によって、高い防振性能を発揮する。
第一実施形態の流体封入式防振装置について、図1〜図5を参照して説明する。流体封入式防振装置は、自動車の駆動装置であるエンジンやモータなどを車両ボディ(フレームなど)に対して支持し、エンジンやモータなどの振動を車両ボディに伝達することを抑制する。この流体封入式防振装置は、内部に流体を封入し、流体が流通することによる液柱共振作用によって、高い防振性能を発揮する。
流体封入式防振装置は、主要な構成として、エンジンやモータなどの駆動装置に取り付けられる第一の取付部材10と、車両ボディに取り付けられる第二の取付部材20と、第一の取付部材10と第二の取付部材20とを連結する本体ゴム弾性体30とを備える。
第一,第二の取付部材10,20は、鉄やアルミニウム等を主成分とする材料により形成されている。第一の取付部材10は、エンジンなどに固定する取付軸11と、取付軸11に一体的に形成されたフランジ部12とを備える。第二の取付部材20は、一端側(図3の上側)を拡径した内側筒部21と、内側筒部21の外周面に圧入や溶接などにより固定された中間筒部22と、中間筒部22の外周側に固定され径方向外方に広がるように形成されたフランジ部23とを備える。なお、第二の取付部材20は、三部材により構成される場合を例示するが、この場合に限られず、一部材により構成されるようにしてもよく、複数部材により構成されるようにしてもよい。なお、以下の説明において、第二の取付部材20の筒軸方向を、単に軸方向と称する。
本体ゴム弾性体30は、第一の取付部材10のフランジ部12と、第二の取付部材20の内側筒部21の一端側の拡径部分とを連結し、厚肉の円錐台形状からなるゴム弾性体で形成されている。本体ゴム弾性体30の大径側(図3の下側)の端部には、端面に開口する半球形状またはすり鉢形状の大径凹所31が形成されている。本体ゴム弾性体30は、自身の粘弾性特性によって、第一の取付部材10の振動を第二の取付部材20に伝達することを抑制できる。
そして、流体封入式防振装置は、上記主要構成の他、シールゴム層40と、可撓性ダイヤフラム50と、円筒固定部材60と、仕切部材本体70と、仕切部材カバー80と、粘弾性膜90とを備える。
シールゴム層40は、本体ゴム弾性体30の大径側端部の外周縁部に、図3の軸方向下方に向かって一体成形された薄肉大径の筒状に形成される。このシールゴム層40は、第二の取付部材20の内側筒部21の内周面全長に亘って接着されている。
可撓性ダイヤフラム50は、薄肉であって弛みを有する円板形状に形成された可撓性のゴム膜である。可撓性ダイヤフラム50の外周面は、金属製の円筒固定部材60の内周面に加硫接着されている。そして、円筒固定部材60は、第二の取付部材20のうち本体ゴム弾性体30とは反対側の端部に配置されており、シールゴム層40に密着して固定される。つまり、可撓性ダイヤフラム50は、第二の取付部材20のうち本体ゴム弾性体30とは反対側(図3の下側)の開口部分を流体密に覆蓋する。このようにして、第二の取付部材20、本体ゴム弾性体30および可撓性ダイヤフラム50によって、密閉された領域が形成される。この領域には、非圧縮性流体が封入されている。また、可撓性ダイヤフラム50のうち本体ゴム弾性体30の反対側は、大気領域である。
仕切部材本体70(本発明の「仕切部材」に相当)は、上述した密閉領域に配置されている。仕切部材本体70は、樹脂または金属により形成され、全体としては厚肉の円板形状に形成される。仕切部材本体70は、本体ゴム弾性体30と可撓性ダイヤフラム50との軸方向間であって、第二の取付部材20の内周面にシールゴム層40を介して固定される。具体的には、仕切部材本体70は、本体ゴム弾性体30と円筒固定部材60により軸方向に挟まれた状態で、シールゴム層40に密着して固定される。このようにして、仕切部材本体70は、本体ゴム弾性体30側の領域と可撓性ダイヤフラム50側の領域とを仕切る。
仕切部材本体70には、図3の下側に開口する溝71が形成されている。溝71は、図4に示すように、仕切部材本体70の中心側(第二の取付部材20の中心側)から外周側に向かって渦巻き状に形成されている。つまり、溝71は、第二の取付部材20の筒軸に対して周方向に延びるように形成されている。
そして、溝71の中心側の端部は、本体ゴム弾性体30側(図3の上側)に開口している。つまり、溝71の中心側の端部は、軸方向の両側に開口している。なお、溝71の中心側の端部以外は、本体ゴム弾性体30側には開口していない。また、仕切部材本体70の図3の下側端面には、複数箇所の突起72が形成されている。
仕切部材カバー80(本発明の「仕切部材」に相当)は、仕切部材本体70のうち溝71の開口側を閉塞するように設けられる。仕切部材カバー80は、図3および図5に示すように、金属または樹脂により円板状に形成される。仕切部材カバー80は、溝71の外周側の渦巻き端部に対応する位置において、貫通穴81が形成されている。つまり、溝71の外周側の渦巻き端部が、可撓性ダイヤフラム50側に連通する。
さらに、仕切部材カバー80には、仕切部材本体70の複数の突起72に対応する位置に複数の貫通穴82が形成されている。各貫通穴82に各突起72が嵌め込まれることで、仕切部材本体70と仕切部材カバー80とが、相対的に位置決めされる。
ここで、仕切部材カバー80は、仕切部材本体70の溝71に対して、貫通穴81のみにて開口し、それ以外には開口していない。従って、仕切部材本体70と仕切部材カバー80とにより、渦巻き状の第一オリフィス通路1が形成される。そして、第一オリフィス通路1の中心側の渦巻き端部が、本体ゴム弾性体30側に開口し、外周側の渦巻き端部が、可撓性ダイヤフラム50側に開口する。
粘弾性膜90は、薄肉であって弛みを有する円板形状に形成された可撓性のゴム膜である。粘弾性膜90は、仕切部材本体70の中央部のうち、溝71の中心側開口部を囲むように、仕切部材本体70に固定される。粘弾性膜90は、仕切部材本体70に対して加硫接着により固定してもよいし、嵌め込みにより固定してもよい。この粘弾性膜90は、図3の下側に環状溝が形成するように弛んだ形状に形成されている。つまり、粘弾性膜90は、環状溝を切断する断面形状が凹凸形状に形成されている。粘弾性膜90を当該形状とすることで、粘弾性膜90の変形を十分に許容できる。
さらに、粘弾性膜90と仕切部材本体70の溝71の中心側開口部との間には、隙間が形成されている。また、粘弾性膜90は、初期設置状態において、本体ゴム弾性体30の大径凹所31から離れた位置に配置される。つまり、粘弾性膜90は、本体ゴム弾性体30と仕切部材本体70の図3の上側端面とにより囲まれる領域を、本体ゴム弾性体30側の領域と仕切部材本体70の溝71の開口部側の領域とに仕切る。さらに、粘弾性膜90は、第二の取付部材20およびシールゴム層40からも離れた位置に配置されている。
上記のように各部材を構成することで、本体ゴム弾性体30と粘弾性膜90の図3の上側面とにより、主液室2が区画される。主液室2は、他室および外部に対して連通することのない密閉領域である。そして、主液室2には、非圧縮性流体が封入される。主液室2は、粘弾性膜90の外周側にも存在している。
また、粘弾性膜90の図3の下側面と仕切部材本体70の中央部とにより、第一中間室3が区画される。第一中間室3は、第一オリフィス通路1に連通している。ここで、本体ゴム弾性体30と仕切部材本体70との間に区画される主液室2および第一中間室3は、本体ゴム弾性体30の変形によって体積変化し得る領域となる。
さらに、可撓性ダイヤフラム50と仕切部材カバー80とにより、副液室4が区画される。可撓性ダイヤフラム50のうち仕切部材カバー80の反対側は大気領域であるため、副液室4の圧力が変化すると、圧力変化に応じて可撓性ダイヤフラム50が変形して、体積が変化する。つまり、副液室4は、圧力を一定とするように体積変化する領域となる。さらに、第一オリフィス通路1が、第一中間室3と副液室4とを連通する。そして、第一中間室3、第一オリフィス通路1および副液室4には、非圧縮性流体が封入されている。
以上にて説明した流体封入式防振装置の動作について説明する。エンジンまたはモータが振動すると、第一の取付部材10が第二の取付部材20に対して振動する。そうすると、本体ゴム弾性体30が変形する。そして、本体ゴム弾性体30の変形によって、自身の粘弾性特性によって振動を低減する。
さらに、本体ゴム弾性体30が変形すると、主液室2と第一中間室3とにより形成される領域の体積が変化する。このとき、主液室2は密閉領域であるため、主液室2の体積は変化しない。そのため、本体ゴム弾性体30が変形すると、第一中間室3の体積が変化することになる。
第一中間室3の体積が変化すると、第一オリフィス通路1を介して、第一中間室3と副液室4との間で非圧縮性流体が流通する。例えば、第一中間室3の体積が小さくなるように変化すると、流体は第一中間室3から副液室4側へ流通し、第一中間室3の体積が大きくなるように変化すると流体は逆方向に流通する。
そして、第一オリフィス通路1の内部を流体が流通することで、液柱共振作用によって、振動を低減することができる。ここで、第一オリフィス通路1は、渦巻き状に形成して、流路断面積を十分に大きく、かつ、流路長さを十分に長く設定されている。つまり、第一オリフィス通路1は、液柱共振作用による共振周波数を、エンジンまたはモータのシェイク(低周波数の振動)の周波数にチューニングされている。従って、シェイクの振動が入力された場合に、当該振動を効果的に低減できる。
次に、シェイクの周波数帯において大きな振動を入力した場合を考える。この場合、第一オリフィス通路1に連通する第一中間室3において、キャビテーションが発生するおそれがある。特に、第一オリフィス通路1を渦巻き状にすることで、キャビテーションが発生しやすい状態になる。そして、キャビテーションに起因して、第一中間室3においては、動負荷が発生するおそれがある。
第一中間室3は、上述したように、粘弾性膜90によって主液室2と区画されている。従って、第一中間室3で発生した動負荷は、粘弾性膜90の減衰性能によって、主液室2に伝達されにくくなる。このように、キャビテーションに起因する動負荷は、粘弾性膜90にて低減される結果、主液室2に伝達される動負荷は非常に小さくなる。主液室2にてキャビテーションに起因する動負荷が生じなければ、本体ゴム弾性体30を介して、第一の取付部材10および第二の取付部材20へ伝達されることはない。
つまり、シェイクの周波数帯において大きな振動を入力した場合に、キャビテーションが発生したとしても、キャビテーションに起因する振動や異音が発生することを抑制できる。
特に、粘弾性膜90は、本体ゴム弾性体30から離れた位置に設けられている。従って、粘弾性膜90に伝達される動負荷が、本体ゴム弾性体30に直接伝達されることはない。さらに、粘弾性膜90は、仕切部材本体70の中央部に取り付けられている。従って、粘弾性膜90は、第二の取付部材20およびシールゴム層40から離れた位置にある。このことから、粘弾性膜90に伝達された動負荷が、本体ゴム弾性体30のみならず、第二の取付部材20に対しても、直接的に伝達されることはない。その結果、動負荷が、粘弾性膜90にて確実に低減されて、主液室2を介して本体ゴム弾性体30および第二の取付部材20に対して伝達されることを抑制できる。
また、粘弾性膜90は、上述したように十分に変形を許容できる形状とした。これにより、粘弾性膜90にてキャビテーションに起因する動負荷を確実に低減できる。さらに、主液室2は、密閉領域である。主液室2が密閉領域であることで、主液室2と他室または外部と流体の流通がないため、主液室2にキャビテーションが発生することを確実に防止できる。
<第二実施形態>
次に、第二実施形態の流体封入式防振装置について、図6〜図8を参照して説明する。本実施形態において、上記実施形態と同一構成または対応する構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態の流体封入式防振装置は、上記実施形態に対して、主として、第二中間室101および第二オリフィス通路102を形成した点が相違する。
次に、第二実施形態の流体封入式防振装置について、図6〜図8を参照して説明する。本実施形態において、上記実施形態と同一構成または対応する構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態の流体封入式防振装置は、上記実施形態に対して、主として、第二中間室101および第二オリフィス通路102を形成した点が相違する。
仕切部材本体70の溝71の長さが、上記実施形態に比べて短くなっている。溝71の中心側の端部は、仕切部材本体70の中心からずれた位置に形成されている。また、粘弾性膜90は、上記実施形態に比べて小さくなっている。つまり、粘弾性膜90は、溝71の中心側の端部を囲むように、偏心した位置に形成される。上記の点において、溝71および粘弾性膜90は上記実施形態と相違するが、実質的には同様である。
仕切部材本体70の溝71が形成されていない箇所の両面に、円形凹所173,174が形成されている。円形凹所173,174を仕切る底面には、複数の貫通穴175が形成されている。また、円形凹所174は、副液室4の一部を形成する。つまり、仕切部材カバー80において、円形凹所174に対応する位置が貫通している。
そして、本体ゴム弾性体30側の円形凹所173には、可動膜110が収容されている。可動膜110は、円板状のゴム板であり、可動膜110の厚みは、円形凹所173の深さよりも薄く形成されている。また、可動膜110の外径は、円形凹所173の内径と同程度とし、円形凹所173の内径より僅かに小さくしてもよく、僅かに大きくしても良い。つまり、可動膜110が、円形凹所173の開口側と底面側とを僅かな隙間を介して区画するようにしても良いし、完全にシールした状態で区画するようにしても良い。
さらに、円形凹所173の開口側には、金属または樹脂製の閉塞カバー120が固定されている。閉塞カバー120には、複数の貫通穴121が形成されている。つまり、閉塞カバー120と円形凹所173とにより、主液室2と副液室4との間に第二中間室101が形成される。この第二中間室101内において、可動膜110は、軸方向に僅かながら移動可能、または、軸方向に変形可能である。ここで、主液室2は、第二中間室101以外に連通することなく密閉されている。
そして、第二中間室101において可動膜110が移動または変形することによって、主液室2と第二中間室101とを連通する貫通穴121、および、副液室4と第二中間室101とを連通する貫通穴175が、シェイクの周波数よりも高周波数において液柱共振作用を発揮する第二オリフィス通路102として機能する。
本実施形態の動作について説明する。上記同様に、シェイク(低周波数)の振動が入力された場合には、第一オリフィス通路1を流体が流通することで発揮する液柱共振作用によって、シェイクの振動を低減できる。さらに、本実施形態においては、シェイクの周波数帯よりも高周波数の振動が入力された場合には、第二オリフィス通路102を流体が流通することで発揮する液柱共振作用によって、当該周波数帯の振動を低減できる。例えば、アイドリング時に発生する振動や車両走行時に発生する振動を低減できる。
このように、二つのオリフィス通路1,102によって、低周波数のシェイクに対する防振効果と、高周波数の振動に対する防振効果とを有する。従って、幅広い周波数帯の振動に対して防振効果を発揮する。
ここで、高周波数の振動が発生した場合には、キャビテーションは発生しない。従って、高周波数の振動に対して液柱共振作用を発揮する第二オリフィス通路102が主液室2に連通するように形成されているとしても、主液室2にてキャビテーションの動負荷が発生することはない。
1:第一オリフィス通路、 2:主液室、 3:第一中間室、 4:副液室、 10:第一の取付部材、 20:第二の取付部材、 30:本体ゴム弾性体、 50:可撓性ダイヤフラム、 70:仕切部材本体(仕切部材)、 80:仕切部材カバー(仕切部材)、 90:粘弾性膜、 101:第二中間室、 102:第二オリフィス通路
Claims (7)
- 第一,第二の取付部材と、
前記第一の取付部材と前記第二の取付部材を連結する本体ゴム弾性体と、
可撓性ダイヤフラムと、
前記本体ゴム弾性体側の領域と前記可撓性ダイヤフラム側の領域とを仕切る仕切部材と、
前記仕切部材より前記本体ゴム弾性体側の領域に配置され、前記本体ゴム弾性体から離れた位置に配置される粘弾性膜と、
前記本体ゴム弾性体と前記粘弾性膜の一方面とにより区画される主液室と、
前記可撓性ダイヤフラムと前記仕切部材により区画される副液室と、
前記粘弾性膜の他方面と前記仕切部材により区画される第一中間室と、
前記第一中間室と前記副液室との間を連通し、内部を流通する流体の共振周波数をシェイクの周波数にチューニングされた第一オリフィス通路と、
を備える流体封入式防振装置。 - 前記第二の取付部材は、筒状に形成され、
前記仕切部材は、前記第二の取付部材の内周面に取り付けられ、
前記第一オリフィス通路は、前記第二の取付部材の筒軸に対して周方向に延びるように形成される、請求項1の流体封入式防振装置。 - 前記第一オリフィス通路は、前記第二の取付部材の中心側から外周側に向かって渦巻き状に形成される、請求項2の流体封入式防振装置。
- 前記第二の取付部材は、筒状に形成され、
前記仕切部材は、前記第二の取付部材の内周面に取り付けられ、
前記粘弾性膜は、前記仕切部材の中央部に取り付けられる、請求項1〜3の何れか一項の流体封入式防振装置。 - 前記主液室と前記副液室との間に形成される第二中間室と、
前記主液室および前記副液室と前記第二中間室との間を連通し、前記シェイクの周波数より高周波数にチューニングされた第二オリフィス通路と、
を備え、
前記主液室は、前記第二中間室以外の他室または外部に対して連通しない、請求項1〜4の何れか一項の流体封入式防振装置。 - 前記主液室は、他室および外部に対して連通することなく密閉される、請求項1〜4の何れか一項の流体封入式防振装置。
- 前記粘弾性膜には、環状溝が形成されており、前記環状溝を切断する断面形状が凹凸形状に形成される、請求項1〜6の何れか一項の流体封入式防振装置。
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JP2012169916A JP2014029183A (ja) | 2012-07-31 | 2012-07-31 | 流体封入式防振装置 |
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JP2012169916A JP2014029183A (ja) | 2012-07-31 | 2012-07-31 | 流体封入式防振装置 |
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- 2012-07-31 JP JP2012169916A patent/JP2014029183A/ja active Pending
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